JP3798268B2 - 光学ガラス及びそれを用いた光学製品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、研削、研磨を必要とせず目的とする最終製品の形状を精密に成形し得る精密プレス成形に適用可能であり、かつ高屈折率高分散特性を備えた光学ガラス、このガラスからなる光学部品、このガラスからなるプレス成形素材及びその製造方法、並びに上記素材を用いたガラス成形品の製造方法に関する。
特に、本発明は、精密プレス成形用光学ガラス並びにそれを用いたガラスプリフォームおよび光学製品に関する。さらに詳しくは、本発明は、高屈折率、高分散および低いガラス転移温度を有し、640℃以下の低温にて精密プレス成形が可能で、かつ精密プレス成形後に研削または研磨を必要としない超精密非球面レンズなどを作製するためのPbOを含まない精密プレス成形用光学ガラス、並びにそれを用いたガラスプリフォームおよび光学製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高屈折率・高分散の光学ガラスからなる非球面レンズなどの光学部品を精密プレス成形によって作製する技術は、光学設計上、非常に重要な光学部品を生産性よく作製する技術として有効である。そのため、上記技術に適用可能な光学ガラスに関する発明が幾つか特許出願され、公開されている。しかし、これらの公開特許出願に記載されたガラスは、プレス温度を低温化して精密プレス成形用金型の寿命を長くするために、光学ガラス組成に多量の酸化鉛を含有させている。
【0003】
例えば特開平1−308843号公報にはPbOを30〜58重量%含有する精密プレス用光学ガラスが、また、特開平7−247135号公報にはPbOを25〜54重量%含有する低融点光学ガラスがそれぞれ開示されている。
特開平1−308843号公報には、重量%表示で、SiO2 15〜50%、PbO 30〜58%、Li2O 0.1〜7%、Na2O 0〜15%、K2O 0〜15%、ただし、Li2O+Na2O+K2O 3〜25%、La23 0〜15%、MgO 0〜10%、TiO2 0〜10%、ただし、La23+MgO+TiO2 0.1〜20%、ZrO2 0〜5%、Al23 0〜10%、ただしZrO2+Al23 0.1〜10%、ZnO 0〜20%、B23 0〜15%、Y23 0〜5%、Gd23 0〜5%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜9%、Nb25 0〜15%、Ta25 0〜5%、WO3 0〜5%、P25 0〜5%、As23 0〜1%、Sb23 0〜5%からなる精密プレス用光学ガラスが開示されている。また、特開平7−247135号公報には、重量%表示で、P25 10〜35%、PbO 25〜54%、Li2O 0〜5%、Na2O 0〜18%、K2O 0〜14%、ただし、Li2O+Na2O+K2O 1〜20%、Nb25 0〜22%、WO3 0〜28%、ただし、Nb25+WO3 5〜35%である低融点光学ガラスが開示されている。
【0004】
しかし、通常、精密プレス成形は、金型の酸化を防ぐために不活性雰囲気或いは弱還元雰囲気のもとで行われており、ガラス成分中に酸化鉛が多量に含まれている前述のガラスを精密プレスした場合、ガラス表面にある酸化鉛が還元されガラス表面に金属鉛として析出してしまう。さらに、プレス成形を繰返し行ううちに、析出した金属鉛が型の成形面に付着するなどして成形面の面精度が低下し、成形品の転写面の面精度が維持されなくなってしまう。そのため、型に付着する金属鉛を取り除くメンテナンスが必要となり、量産化には不適当である。また、金属鉛が成形された光学部品の表面に析出して曇りが生じ、光学部品としては不良品となってしまう。また、多くの酸化鉛を含有する上記の光学ガラスの溶解では環境汚染も大きな問題となる。従って、前述の特開平1−308843号公報及び特開平7−274135号公報に開示されているガラスは、精密プレス用ガラスとして適当ではない。
【0005】
また、現在市販されている光学ガラスの中には、酸化鉛を含まずに軽量化した高屈折率高分散光学ガラスがある(特開昭62−3103号公報)。しかし、これらのガラスは、精密プレス成形温度がおおよそ650℃以上と高いため、精密プレス成形に使用すると、精密プレス成形用型材を著しく劣化させてしまい、量産化が非常に困難である。また、ガラス自体も不安定であるため、精密プレス中にプレスされているガラス中に結晶が析出しやすく、たとえ高温に耐える型材を使用したとしても、精密プレス成形の歩留まりが非常に悪いという問題がある。このように、精密プレス成形温度が高ければ高いほど型材の酸化や劣化の問題が生じ、面精度の保持が難しくなり、精密プレス成形による光学部品の量産化は困難になる。従って、精密プレス成形用の高屈折率・高分散光学ガラスの転移温度や屈伏点温度はできるだけ低いことが要求される。
【0006】
このようなプレス成形温度の低温化を目的とするガラスとして特開平5−51233号公報に記載のガラスがある。このガラスは、重量%表示で、SiO2:10−20%、GeO2:3−15%、B2O3:0−7%、かつSiO2、GeO2、及びB2O3の合計量は20−27%、TiO2:19−29%、Nb2O5:17−29%、BaO:0−7%、かつNb2O5、TiO2、及びBaOの合計量は44−54%、Li2O:0−3%、Na2O:7−18%、K2O:0−22%、Cs2O:0−20%、かつLi2O、Na2O、K2O、及びCs2Oの合計量は24−33%の組成で、屈伏点温度550℃以下、屈折率が1.76以上、アッべ数が26.5以下で高屈折率高分散光学ガラスである。しかるに、このガラスは低温化の目的は達成しているものの、多量のTiO2を含むためガラスが着色するという問題があり、さらに量産化に際してのガラスの溶融性及び安定性などにも問題がある。また、必須成分であるGeO2は非常に高価的な成分であるため、光学部品の低コスト化に不適である。さらに、特開平5−51233号公報に記載のガラスは、液相温度が高く、軟化点付近での失透傾向も強いため、精密プレス用ガラスプリフォームの作成も困難であり、精密プレス用ガラスとしては不適当である。
【0007】
また、高屈折率及び高分散特性を有するとともに、低い温度でガラスが失透せずに軟化してプレス成形することが可能であり、かつ液相温度が低く安定性に優れた光学ガラスを提供することを目的とする発明が特開平7−97234号公報に開示されている。この公報に記載されたガラスは、重量%で表示して、P25 を2〜29%、Na2 Oを2〜25%、Nb25 を4以上22%未満、WO3 を20〜52%含むことを特徴とする低融点光学ガラス及び重量%で表示して、P25 を12〜32%、B23 を0.5〜16%、Li2 Oを0.3〜6%、Na2 Oを2〜22%、Nb25 を8〜52%含むことを特徴とする低融点光学ガラスである。
【0008】
これらの光学ガラスは、確かに高屈折率及び高分散特性を有するとともに、低い温度でガラスが失透せずに軟化してプレス成形することが可能であり、かつ液相温度が低く安定性に優れた光学ガラスである。しかるに、この光学ガラスは、Nb25及びWO3の含有量が多く、ガラスが着色するという課題があった。また、近年、デジタルカメラやビデオ等の小型化がさらに進められており、光学系をよりシンプルにする要求が強くなっている。これを受けて、従来にも増して高屈折率及び高分散特性を有する光学ガラスをプレス成形により大量生産することが非常に望まれており、上記光学ガラスでは、屈折率及び分散特性がまだ不足している。
【0009】
通常のプレス成形は、ガラスの屈伏点温度よりおおよそ20〜60℃高い温度範囲で実施される。ガラスの屈伏点温度が600℃を超えると、プレス温度は620℃以上にとなるため、ガラスの表面に付着しているOHは型材と反応して分解してしまう。このような分解反応はプレス成形されたガラスレンズの表面に多数の泡を残してしまう。そのため、精密成形された光学部品の転写面の面精度を維持することが困難になるばかりでなく、型材の表面に傷をつけてしまい、量産化に不適当である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、PbOを含まず、かつ高屈折率、高分散および低いガラス転移温度を有し、640℃以下の低温にて精密プレス成形が可能で、精密プレス成形後に研削または研磨を必要としない超精密非球面レンズなどを作製するための精密プレス成形用光学ガラス、並びにそれを用いたガラスプリフォームおよび光学製品を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、精密プレス成形品の量産化に適用可能な高屈折率及び高分散特性、主として屈折率ndが1.7〜2.0、アッベ数νdが20〜32の範囲の光学恒数を有する光学ガラス、並びにこの光学ガラスからなる光学部品及び精密プレス成形素材を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記光学ガラスからなる精密プレス成形素材の製造方法及び精密プレス成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の屈折率[nd]、アッベ数[νd]および液相温度における粘性を有する光学ガラス、特定の屈折率[nd]、アッベ数[νd]およびガラス転移温度[Tg]を有する光学ガラス、あるいは特定のガラス組成を有する光学ガラスにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
さらに本発明者らは、上記の目的を達成するため、種々の実験を基に検討した。その結果、ガラスに屈折率[nd]が1.7以上の高屈折率特性及びアッべ数[νd]で32以下となる高分散特性を持たせるには、ガラス構造内部の酸素原子の数密度を一定範囲に保つとともに、その中の架橋酸素イオン数を可能な限り減らすことが好ましい、という知見を得た。そして、この知見に基づき、P2O5とB2O3をフォーマーとするガラスに比較的多量のWO3を導入し、これによってフォーマーのP2O5とB2O3の合計含有量を35モル%以下に減らすことができ、その結果、上記要求を満たすとともに安定性や量産性に優れた光学ガラスとして、架橋酸素イオン数が少ないP2O5−B2O3−WO3―アルカリ金属酸化物系ガラスを新規に開発し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1) 屈折率[nd]が1.75〜2.0、アッベ数[νd]が20〜28.5であり、液相温度における粘性が0.4Pa・s以上であることを特徴とする光学ガラス(以下、光学ガラス(1)と称す。)。
(2) 屈折率[nd]が1.75〜2.0、アッベ数[νd]が20〜28.5であり、ガラス転移温度[Tg]が540℃以下であることを特徴とする光学ガラス(以下、光学ガラス(2)と称す。)。
(3) 屈折率[nd]が1.75〜2.0、アッベ数[νd]が20〜28.5であり、透過率λ80が500nm以下、かつ透過率λ5が385nm以下であることを特徴とする光学ガラス(以下、光学ガラス(3)と称す。)。
(4) モル%で、P25 12〜34%、B23 0.2〜15%、Nb25 0〜25%、WO3 0〜40%並びにLi2O、Na2OおよびK2Oの中から選ばれる少なくとも1種のR'2O 4〜45%およびBaO、ZnOおよびSrOから選ばれる少なくとも1種のRO 0〜30モル%(30モル%は含まず)を含み、かつ上記成分の合計含有量が94%以上である(1)〜(3)のいずれかに記載の光学ガラス。
(5) モル%表示したときに、ガラス成分として、
P2O5を12〜34%、
B2O3を0.2〜15%
(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35%)、
WO3を0〜45%、
Nb2O5を0〜25%、
TiO2を0〜10%
(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)、
BaOを0〜25%、
ZnOを0〜20%
(但し、BaOとZnOの合計含有量が30%未満)、
Li2Oを2〜30%、
Na2Oを2〜30%、
K2Oを0〜15%
(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が10〜45%)、
CaOを0〜10%、
SrOを0〜10%、
Al2O3を0〜5%、
Y2O3を0〜5%、
Sb2O3を0〜1%、
As2O3を0〜1%含み、
前記成分の合計含有量が94%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光学ガラス。
(6) モル%で、P25 15〜30%、B23 0.5〜15%、Nb25 5〜25%、WO3 6〜40%並びにLi2O、Na2OおよびK2Oの中から選ばれる少なくとも1種(R'2O)4〜45%およびBaO、ZnOおよびSrOから選ばれる少なくとも1種(RO)0〜30モル%(30モル%は含まず)を含み、かつ上記成分の合計含有量が95%以上である(1)〜(5)のいずれかに記載の光学ガラス。
(7) モル%で、P25 15〜30%、B23 0.5〜15%、Nb25 5〜25%、WO3 6〜40%並びにLi2O、Na2OおよびK2Oの中から選ばれる少なくとも1種(R'2O)4〜45%およびBaO、ZnOおよびSrOから選ばれる少なくとも1種(RO)0〜30モル%(30モル%は含まず)を含み、かつ上記成分の合計含有量が95%以上であることを特徴とする光学ガラス(以下、光学ガラス(4)と称す。)。
(8) BaOを0〜25モル%(0モル%は含まず)含有する(6)または(7)に記載の光学ガラス。
(9) モル%で、P25 15〜30%、B23 0.5〜15%、Nb25 5〜25%、WO3 6〜40%、TiO2 10%以下並びにLi2O、Na2OおよびK2Oの中から選ばれる少なくとも1種(R'2O)4〜45%およびBaO、ZnOおよびSrOから選ばれる少なくとも1種(RO)0〜30%(0%および30%は含まず)からなることを特徴とする光学ガラス(以下、光学ガラス(5)と称す。)。
(10) モル%表示したときに、ガラス成分として、
P2O5を12〜34%、
B2O3を0.2〜15%
(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35%)、
WO3を0〜45%、
Nb2O5を0〜25%、
TiO2を0〜10%
(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)、
BaOを0〜25%、
ZnOを0〜20%
(但し、BaOとZnOの合計含有量が30%未満)、
Li2Oを2〜30%、
Na2Oを2〜30%、
K2Oを0〜15%
(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が10〜45%)、
CaOを0〜10%、
SrOを0〜10%、
Al2O3を0〜5%、
Y2O3を0〜5%、
Sb2O3を0〜1%、
As2O3を0〜1%含み、
前記成分の合計含有量が94%以上であり、
含有する酸素原子の密度が4.2×1022〜5.2×1022個/cm3であることを特徴とする光学ガラス(以下、光学ガラス(6)と称す。)。
(11) モル%表示したときに、ガラス成分として、
P2O5を12〜34%、
B2O3を0.2〜15%
(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35%)、
WO3を2〜45%、
Nb2O5を0〜25%、
TiO2を0〜10%
(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)、
BaOを0〜25%、
ZnOを0〜20%
(但し、BaOとZnOの合計含有量が30%未満)、
Li2Oを2〜30%、
Na2Oを2〜30%、
K2Oを0〜15%
(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が29〜45%)、
CaOを0〜10%、
SrOを0〜10%、
Al2O3を0〜5%、
Y2O3を0〜5%、
Sb2O3を0〜1%、
As2O3を0〜1%含み、
前記成分の合計含有量が94%以上であることを特徴とする光学ガラス(以下、光学ガラス(7)と称す。)。
(12) モル%表示したときに、ガラス成分として、
P2O5を12〜34%、
B2O3を0.2〜15%
(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35%)、
WO3を2〜45%、
Nb2O5を0〜25%、
TiO2を0〜10%
(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)、
BaOを0〜11%、
ZnOを0〜20%
(但し、BaOとZnOの合計含有量が30%未満)、
Li2Oを2〜30%、
Na2Oを2〜30%、
K2Oを0〜15%
(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が10〜45%)、
CaOを0〜10%、
SrOを0〜10%、
Al2O3を0〜5%、
Y2O3を0〜5%、
Sb2O3を0〜1%、
As2O3を0〜1%含み、
前記成分の合計含有量が94%以上であることを特徴とする光学ガラス(以下、光学ガラス(8)と称す。)。
(13) P2O5、B2O3、WO3、Nb2O5、TiO2、BaO、ZnO、Li2O、Na2O 、及びK2Oを必須成分とし、前記必須成分からなる組成または前記組成にSb2O3を加えた組成を有することを特徴とする(10)〜(12)のいずれかに記載の光学ガラス。
(14) BaO含有量が0〜11%である(10)または(11)に記載の光学ガラス。
(15) Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が29モル%以上である(10)または(12)に記載の光学ガラス。
(16) 含有する酸素原子の密度が4.2×1022〜5.2×1022個/cm3であることを特徴とする(11)〜(15)のいずれか1項に記載の光学ガラス。
(17) P2O5、B2O3、WO3及びアルカリ金属酸化物を含み、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35モル%であり、WO3の含有量が2〜45モル%であり、かつ含有する酸素原子の密度が4.2×1022〜5.2×1022個/cm3であることを特徴とする光学ガラス(以下、光学ガラス(9)と称す。)。
(18) Li2Oを2〜30モル%含む(17)に記載の光学ガラス。
(19) 実質的にGeO2を含まない(10)〜(18)のいずれか一項に記載の光学ガラス。
(20) ガラス転移温度Tgが530℃以下および/または屈伏点温度Tsが580℃以下であることを特徴とする(10)〜(19)のいずれか一項に記載の光学ガラス。
(21) 屈折率ndが1.7〜2.0、アッベ数νdが20〜32であることを特徴とする(10)〜(20)のいずれか一項に記載の光学ガラス。
(22) 液相温度が970℃以下であることを特徴とする(10)〜(20)のいずれか一項に記載の光学ガラス。
(23) (1)〜(22)のいずれか一項に記載の光学ガラスよりなる光学部品。
(24) (1)〜(22)のいずれか一項に記載の光学ガラスよりなるガラスプリフォーム。
(25) 流出パイプより流出する溶融ガラスを所定重量、型で受け、(1)〜(22)のいずれか一項に記載の光学ガラスからなるガラスプリフォームを作製することを特徴とするガラスプリフォームの製造方法。
(26) (1)〜(22)のいずれか1項に記載の光学ガラスを用いてガラスプリフォームを製造する方法において、
流出パイプから流下する溶融ガラスを自然滴下させることによってあるいは切断刃で切断することによって、溶融ガラス塊を落下させ、
この溶融ガラス塊を、成形型の凹部で受け、その際、この凹部に開口する細孔から、空気、不活性ガス等の気体を吹き出し、
溶融ガラス塊と成形型凹部の内面との間に気体の層を作り、溶融ガラス塊の少なくとも表面の一部が軟化点以下の温度に達するまで、溶融ガラス塊を前記凹部内面と実質的に非接触状態で凹部内に保持し、冷却することを特徴とするガラスプリフォームの製造方法。
(27) (24)に記載の精密プレス成形素材または(25)に記載の製造方法によって作製されたガラスプリフォームを加熱、精密プレス成形してガラス成形品を作製することを特徴とするガラス成形品の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の光学ガラスは、光学ガラス(1)〜(9)の9つの態様があり、各光学ガラスについて説明する。
光学ガラス(1)は、屈折率[nd]が1.75〜2.0、アッベ数[νd]が20〜28.5であり、液相温度における粘性が0.4Pa・s以上の光学ガラスである。この光学ガラス(1)においては、ガラス転移温度[Tg]は、通常540℃以下であるが、さらには520℃以下、510℃以下、490℃以下にすることができる。また、ガラスの屈伏点温度[Ts]は、通常580℃以下であるが、さらには570℃以下、560℃以下、550℃以下にすることができる。
【0015】
光学ガラス(2)は、屈折率[nd]が1.75〜2.0、アッベ数[νd]が20〜28.5であり、ガラス転移温度[Tg]が540℃以下の光学ガラスである。この光学ガラス(2)においては、ガラス転移温度[Tg]は540℃以下であるが、さらには520℃以下、510℃以下、490℃以下にすることができる。また、ガラスの屈伏点温度[Ts]は、通常580℃以下であるが、さらには570℃以下、560℃以下、550℃以下にすることができる。さらに、液相温度における粘性は、通常0.4Pa・s以上である。
【0016】
光学ガラス(3)は、屈折率[nd]が1.75〜2.0、アッベ数[νd]が20〜28.5であり、透過率λ80が500nm以下、かつ透過率λ5が385nm以下である。この光学ガラス(3)においては、ガラス転移温度[Tg]は540℃以下であるが、さらには520℃以下、510℃以下、490℃以下にすることができる。また、ガラスの屈伏点温度[Ts]は、通常580℃以下であるが、さらには570℃以下、560℃以下、550℃以下にすることができる。さらに、液相温度における粘性は、通常0.4Pa・s以上である。
【0017】
上記光学ガラス(1)〜(3)においては、屈折率[nd]が1.75〜2.0、アッベ数[νd]が20〜28.5の範囲の光学定数を有するが、屈折率[nd]を1.80〜2.0、さらには1.83〜2.0、1.83〜1.9の範囲にすることができ、また、アッベ数[νd]を23〜28の範囲にすることができる。
【0018】
光学ガラス(1)〜(3)は、例えば、モル%で、P25 12〜34%、B23 0.2〜15%、Nb25 0〜25%、WO3 0〜40%並びにLi2O、Na2OおよびK2Oの中から選ばれる少なくとも1種(R'2O)4〜45%およびBaO、ZnOおよびSrOから選ばれる少なくとも1種(RO)0〜30モル%(30モル%は含まず)を含み、かつ上記成分の合計含有量が94%以上である組成を有する光学ガラスであることができる。
【0019】
さらに、光学ガラス(1)〜(3)は、例えば、モル%表示したときに、ガラス成分として、
P2O5を12〜34%、
B2O3を0.2〜15%
(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35%)、
WO3を0〜45%、
Nb2O5を0〜25%、
TiO2を0〜10%
(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)、
BaOを0〜25%、
ZnOを0〜20%
(但し、BaOとZnOの合計含有量が30%未満)、
Li2Oを2〜30%、
Na2Oを2〜30%、
K2Oを0〜15%
(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が10〜45%)、
CaOを0〜10%、
SrOを0〜10%、
Al2O3を0〜5%、
Y2O3を0〜5%、
Sb2O3を0〜1%、
As2O3を0〜1%含み、
前記成分の合計含有量が94%以上である組成を有する光学ガラスであることができる。この光学ガラスは、後述する光学ガラス(6)と同様の組成を有するガラスである。
【0020】
あるいは、光学ガラス(1)〜(3)は、例えば、モル%で、P25 15〜30%、B23 0.5〜15%、Nb25 5〜25%、WO3 6〜40%並びにLi2O、Na2OおよびK2Oの中から選ばれる少なくとも1種(R'2O)4〜45%およびBaO、ZnOおよびSrOから選ばれる少なくとも1種(RO)0〜30モル%(30モル%を含まず)を含み、かつ上記成分の合計含有量が95%以上である光学ガラスであることができる。この光学ガラスは、光学ガラス(4)と同様の組成を有するガラスである。
【0021】
本発明の光学ガラス(5)は、モル%で、P25 15〜30%、B23 0.5〜15%、Nb25 5〜25%、WO3 6〜40%、TiO2 10%以下並びにLi2O、Na2OおよびK2Oの中から選ばれる少なくとも1種(R'2O)4〜45%およびBaO、ZnOおよびSrOから選ばれる少なくとも1種(RO)0〜30モル%(0モル%および30モル%は含まず)からなるガラス組成を有している。
【0022】
光学ガラス(5)の特に好ましい組成は、モル%で、P25 15〜30%、B23 0.5〜15%、Nb25 5〜25%、WO3 6〜40%、BaO0〜25%、ZnO 0〜15%、TiO2 0〜10%(0%は含まず)並びにLi2O、Na2OおよびK2Oの中から選ばれる少なくとも1種(R'2O)4〜45%からなるものである。
【0023】
前記光学ガラス(4)及び(5)において、P25は、ガラスの網目構造の形成物であり、ガラスに製造可能な安定性を持たせるための必須成分である。しかし、P25の含有量は30モル%を超えると、ガラスのTg温度や屈伏点温度の上昇、屈折率の低下、及びアッベ数の向上を招くのに対し、15モル%未満では、ガラスの失透傾向が強くなりガラスが不安定となるので、P25の含有量は15〜30モル%の範囲とする。好ましくは16〜27モル%の範囲である。
【0024】
23は、本発明のガラスの必須成分であり、ガラスの溶融性の向上やガラスの均質化に非常に有効な成分であると同時に、少量のB23の導入でガラス内部にあるOHの結合性を変え、プレス時にガラスを発泡させない非常に有効な成分である。しかし、B23は15モル%より多く導入すると、高屈折率を保つために多量のNb25を導入したガラスが非常に不安定となるのに対し、その含有量が0.5モル%より少なくなると、精密プレス成形のときにガラスが発泡しやすくなるので、その含有量は0.5〜15モル%の範囲とする。好ましくは1〜13モル%の範囲である。
【0025】
Nb25は本発明の必須成分であり、PbOを使用せずにガラスに高屈折率・高分散などの特性を持たせるために欠かせない、本発明中で非常に重要な働きをする成分である。しかし、その含有量が25モル%を超えると、ガラスの転移温度や屈伏点温度が高くなり、安定性も悪化し、高温溶解性も悪くなる一方、ガラスが精密プレス時に発泡や着色しやすくなるという欠点がある。これに対し、その含有量が5モル%より少なくなると、ガラスの屈折率が低下し、分散も小さくなるので、Nb25の含有量は5〜25モル%の範囲とする。好ましくは10〜25モル%の範囲、より好ましくは12〜22モル%の範囲である。
【0026】
WO3は本発明の必須成分であり、PbOを使用することなしに低融点で、しかも高屈折率高分散特性をガラスに与えることのできる、本発明中で最も有効な成分である。WO3はアルカリ金属酸化物と同様にガラスの転移温度や屈伏点温度を下げる働きを示し、また、屈折率を上げる効果があり、かつ、ガラスと型材との濡れ性を抑制する効果があるため、精密プレス成形の際にガラスの型離れが非常によくなり、溶融ガラスの流出パイプへの濡れ上がりも抑制できるという効果を有する。しかし、その含有量が40モル%を超えると、ガラスが着色しやすくなる一方、ガラスの高温粘性も低くなるので、精密プレス用ガラスプリフォームの作製が難しくなるのに対し、6モル%未満ではガラスの転移温度や屈伏点温度が高くなり、精密プレス時にガラスが発泡しやすくなるので、その含有量は6〜40モル%の範囲とする。好ましくは6〜30モル%、より好ましくは6〜22モル%、さらに好ましくは9〜20モル%である。
【0027】
RO成分としてのBaOはガラスの屈折率を高め、耐失透性を向上させ、液相温度を低下させるための成分であるが、同時にガラス液相温度における粘性を高める成分でもあるため、その含有量は適宜選択することができる。しかし、BaOの含有量が25モル%を超えると、ガラスが不安定となるばかりでなく、ガラスの化学的耐久性も悪化するので、BaOの含有量は0〜25モル%の範囲が好ましい。また、プレス温度をより低くするためにガラス転移点を低くしたいときには、0〜22モル%がより好ましく、0〜19モル%がさらに好ましい。ただし、BaOは少量でも耐失透性を向上させる効果があるため、ガラスの安定性を考慮すれば、好ましくは2〜25モル%、より好ましくは4〜22モル%、特に好ましくは5〜19モル%である。
【0028】
また、耐失透性の観点からは、BaOを後述するR'2O(Li2O+Na2O+K2O)成分で置き換えることもでき、その場合、BaOとR'2O成分との合量は10〜55モル%が好ましく、25〜50モル%がより好ましい。
【0029】
R'2Oとして、Li2O、Na2OおよびK2Oの中から選ばれる少なくとも1種を含むが、これらの成分は、いずれもガラスの耐失透性をよくし、屈伏点温度や液相温度を低下させ、ガラスの高温溶融性をよくするために導入される成分である。そのため、Li2OとNa2Oはそれぞれ2モル%以上導入することが好ましい。しかし、Li2OとNa2Oをそれぞれ30モル%より多く導入すると、ガラスの安定性が悪くなるばかりでなく、目的とする高屈折率、高分散特性が得られなくなる。したがって、Li2OとNa2Oの含有量は、それぞれ2〜30モル%がよい。好ましくは、Li2Oの含有量は5〜25モル%、より好ましくは5〜20モル%である。特にLi2Oは屈折率を上げる作用を有するため、本発明のガラスには好適であり、8〜20モル%がより好ましく、特に10〜20モル%が好ましい。Na2Oの含有量は3〜25モル%、より好ましくは3〜22モル%、さらに好ましくは3〜20モル%であり、最も好ましくは5〜13モル%である。また、アルカリ金属酸化物をあまり多く導入すると、ガラスの安定性が悪くなるばかりでなく、目的とする高屈折率・高分散特性が得られなくなる。したがって、K2Oの含有量は15モル%以下が好ましく、より好ましくは0〜8モル%、特に好ましくは1〜5モル%である。
このR'2Oの含有量は4〜45モル%であり、好ましくは8〜45モル%、より好ましくは15〜45モル%であり、さらに好ましくは18〜43モル%であり、特に好ましくは19〜40モル%である。
【0030】
本発明の光学ガラス(4)には、前記必須成分に加え、さらに任意成分として、モル%で、TiO2 0〜10%、ZnO 0〜12%、SrO 0〜10%、K2O 0〜15%、Al23 0〜5%、Sb23 0〜1%およびAs23 0〜1%を含み、かつNb25とWO3とTiO2との合計含有量が25〜45%、BaOとZnOとSrOとの合計含有量が5〜25%およびLi2OとNa2OとK2Oとの合計含有量が4〜35%であって、P25、B23、Nb25、WO3、BaO、Li2O、Na2O、TiO2、ZnO、SrO、K2O、Al23、Sb23およびAs23の合計含有量が95%以上であるものが好ましい。
【0031】
TiO2はガラスの屈折率を高め、耐失透性を向上させる効果を有する任意成分であるが、その含有量が10モル%を超えると、ガラスの耐失透性は急激に悪化し、屈伏点温度も液相温度も急上昇し、精密プレス時にガラスが着色しやすくなるので、その含有量は10モル%以下が好ましく、より好ましくは9モル%以下、さらに好ましくは2〜9モル%である。なお、Nb25、WO3、TiO2の合計含有量は、45モル%を超えると高屈折率高分散の特性が得られるが、溶解したガラスが着色し、耐失透性も悪化するのに対し、その合計含有量が25モル%より少なくなると、目的とする屈折率及び分散などの光学特性が得られなくなるので、Nb25、WO3、TiO2の合計含有量は25〜45モル%の範囲が好ましく、より好ましくは27〜42モル%、さらに好ましくは30〜40モル%の範囲である。また、Nb25の含有量は10〜29モル%、WO3の含有量は3〜30モル%が好ましい。
【0032】
RO成分としてのZnOはガラスの屈折率や分散を高めるために導入される任意成分で、少量のZnOの導入でガラスの転移温度や屈伏点温度または液相温度を低下させる効果もある。しかし、多量に導入すると、ガラスの耐失透性が著しく悪化し、液相温度も逆に高くなる恐れがあるため、その含有量は15モル%以下が好ましく、より好ましくは13モル%以下、さらに好ましくは3〜10モル%である。
【0033】
RO成分としてのSrOは本発明の任意成分であり、少量のSrOをガラスに導入すると、ガラスの液相温度の低下、安定性の向上に効果があるが、10モル%を超えて多く導入すると、目的とする高屈折率・高分散特性が得られず、かつ耐失透性も悪くなる。このため、SrOの含有量は10モル%以下が好ましく、より好ましくは8モル%以下である。ただし、BaOとZnOとSrOとの合計含有量が30モル%以上になると、ガラスの安定性も悪化し、屈伏点温度も液相温度も上昇するので、目的とする低屈伏点温度化や低液相温度化が達成できなくなる。したがって、その合計含有量は5〜25モル%の範囲が好ましく、より好ましくは6〜23モル%、さらに好ましくは10〜20モル%である。
【0034】
任意成分であるAl23は、適量添加によりガラスの液相温度における粘性の向上やガラスの耐久性の改善に効果があるが、5モル%を超えるとガラスが溶けにくくなる一方、屈伏点温度や液相温度も高くなる。したがって、その含有量は5モル%以下が好ましく、より好ましくは4モル%以下である。
【0035】
As23とSb23はガラスの清澄剤として有効である。しかし、いずれも1モル%を超えて添加すると、精密プレス時にガラスが発泡しやすくなるので、その含有量は1モル%以下が好ましく、ガラス溶融時の泡が溶融技術で解決できるのであれば、含有しないことが好ましい。
【0036】
本発明の光学ガラス(4)においては、前記の必須成分と任意成分との合計含有量は、95モル%以上であることが好ましい。さらに、SiO2、La23、Y23、Gd23、ZrO2、Ta25、Bi23、TeO2、CaO、MgOおよびCs2Oなどの成分を、本発明の目的が損なわれない程度であれば、5モル%まで導入することが可能である。
【0037】
本発明の光学ガラス(5)は、前記必須成分と共に、さらに前記任意成分の中からZnO 12%以下およびTiO2 10%以下を含むものであって、Nb25とWO3とTiO2の合計含有量は、25〜45モル%が好ましく、より好ましくは27〜42モル%、さらに好ましくは30〜40モル%である。一方、BaOとZnOの合計含有量は5〜25モル%が好ましく、より好ましくは6〜23モル%、さらに好ましくは10〜20モル%の範囲である。
【0038】
本発明の光学ガラス(5)は、例えば、モル%で、P25 15〜30%、B23 0.5〜15%、Nb25 5〜25%、WO3 6〜40%、BaO 0〜25%、ZnO 0〜15%、TiO2 0〜10%(0%は含まず)並びにLi2O、Na2OおよびK2Oの中から選ばれる少なくとも1種(R'2O)4〜45%からなる光学ガラスであることが好ましく、特に、BaOの含有量は5〜25モル%であることが好ましい。
【0039】
また、本発明の光学ガラス(1)〜(5)においては、以下の態様が好ましい。
BaOの一部がZnOおよび/またはSrOに置換され、かつZnOの含有量が0〜15モル%で、SrOの含有量が0〜10モル%である光学ガラス。
BaOの一部がZnOに置換され、ZnOの含有量が0〜13モル%(0モル%は含まず)である光学ガラス。
BaOの一部がZnOに置換され、かつBaOの含有量が6〜15モル%で、ZnOの含有量が3〜10モル%である光学ガラス。
R'2Oの含有量が15〜45モル%である光学ガラス。
R'2OがLi2O、Na2OおよびK2Oであり、かつそれらの含有量が、Li2O 2〜30モル%、Na2O 2〜30モル%およびK2O 15モル%以下である光学ガラス。
R'2OがLi2O、Na2OおよびK2Oであり、かつそれらの含有量が、Li2O 5〜25モル%、Na2O 5〜25モル%およびK2O 0〜8モル%である光学ガラス。
TiO2の含有量が10モル%以下である光学ガラス。
Nb25の含有量が10〜25モル%、WO3の含有量が6〜30モル%およびTiO2の含有量が2〜9モル%である光学ガラス。
Nb25とWO3とTiO2の合計含有量が30〜40モル%である光学ガラス。
屈折率[nd]が1.75〜2.0で、かつアッベ数[νd]が20〜28.5の範囲の光学定数を有する光学ガラス。
屈伏点温度[Ts]が580℃以下である光学ガラス。
ガラス転移温度[Tg]が540℃以下である光学ガラス。
液相温度における粘性が0.4Pa・s以上である光学ガラス。
【0040】
本発明の光学ガラス(4)及び(5)は、前記のガラス組成とすることにより、屈折率[nd]を1.75〜2.0、さらには1.80〜2.0、1.83〜2.0、1.83〜1.9にすることができ、また、アッベ数[νd]を20〜28.5、さらには23〜28にすることができる。一方、ガラスの屈伏点温度[Ts]を580℃以下、さらには570℃以下、560℃以下、550℃以下にすることができ、またガラス転移温度[Tg]を540℃以下、さらには520℃以下、510℃以下、490℃以下にすることができる。
この光学ガラス(4)及び(5)においては、液相温度における粘性を0.4Pa・s以上とすることができる。
【0041】
本発明の光学ガラス(6)〜(9)は、いずれも、屈折率ndが1.7〜2.0及びアッべ数νdが20〜32の光学恒数を有する。さらに、本発明の光学ガラス(6)〜(9)は、いずれも、ガラス転移温度Tgが530℃以下であり、屈伏点温度Tsが580℃以下であり、精密プレス成形に好適な光学ガラスである。
本発明の光学ガラス(6)〜(9)は、屈折率ndが1.7〜2.0及びアッべ数νdが20〜32の光学恒数を有するが、より安定かつ精密プレス成形に好適な光学ガラスを得る上から、屈折率ndは1.80〜1.90であるものが好ましい。
また、本発明の光学ガラス(6)〜(9)は、本発明の目的を達成する上からPbOなどの鉛化合物を含まないことが望ましくまた、GeO2を含まないことが望ましい。
【0042】
通常、ガラスの成分として代表的なものはガラスフォーマーとしてSiO2、P2O5、B2O3など、ガラスのモディファイアとしてのLi2O、Na2O、K2O、BaO、ZnO、Nb2O5、WO3などがある。これらの成分に構成されるガラスの吸収や分散を決定するのは、主に酸素イオンの電子であって、この酸素イオンの電子が緩く結合しているか、強く結合しているかによる。ガラス中の酸素の吸収にはガラスフォーマー同士をつなぐ架橋酸素とそうでない非架橋酸素(Na+、Ba2+、Y3+などのモディファイアイオンに結合している酸素)の吸収がある。紫外線領域における架橋酸素の電子遷移による吸収は、ガラスの屈折率に大きく影響するが、分散にはあまり影響しない。つまり、架橋酸素の電子遷移による吸収は大きければ大きいほど、または吸収ピーク波長は長波長になればなるほど、ガラスの屈折率が大きくなるが、アッベ数はそれほど変わらない。これに対して、紫外線領域における非架橋酸素の電子遷移による吸収は、ガラスの屈折率と分散の両方に大きく影響する。非架橋酸素の電子遷移による吸収のピーク波長は長波長になればなるほど、及びその振動子強度が強ければ強いほど屈折率と分散がともに大きくなる。従って、高屈折率・高分散ガラスを作成するためには、ガラスの構造内部にて多くの非架橋酸素を作り出すことが非常に重要であると考えられる。
【0043】
つまり、ガラス単位体積あたりの構造体において、架橋酸素イオンを作り出すフォーマーイオン数と酸素イオン全数とのイオン比をできるだけ小さくすることが、高屈折率・高分散ガラスを作製する上で重要である、と本発明者らは考える。このような考えに基づいて、本発明者らは、本発明の光学ガラス(6)〜(9)を開発した。
【0044】
即ち、本発明者らは、ホウ燐酸ガラス、特に、P2O5、B2O3、WO3及びアルカリ金属酸化物を含むホウ燐酸ガラスにおいて、ガラス単位体積あたりの酸素イオン数とガラス網目構造のフォーマーとなる燐イオンとホウ素イオンの合計量とのイオン比を4.2以上にすることで、ガラスの屈折率を1.70以上、アッべ数を32以下にすることができることを見出した。即ち、ホウ燐酸ガラスにおいては、ガラス単位体積あたりの酸素原子密度とガラス網目構造形成物のフォーマーの含有量を制御することで、ガラスの屈折率と分散を制御できることを見出した。
【0045】
ガラス成分Ci(以下、iはガラス成分を特徴付ける整数)のモル分率をXi、室温におけるガラスの密度をd(g/cm3)、ガラス成分Ciの分子量をMi、ガラス成分Ciの分子1個が含む酸素原子数をOi(個)、ガラスの平均分子量をM(但し、M=ΣMiXiであり、Σはすべてのガラス成分について足しあげることを意味する記号である。)とすると、ガラス単位体積あたりの酸素原子密度D(個/cm3)は次のような式で計算できる。
【0046】
【数1】
Figure 0003798268
【0047】
例えば、P2O5ではOiは5個であり、B2O3ではOiは3個、WO3ではOiは3個である。
【0048】
ガラス単位あたりの酸素密度が高ければ高いほど、またはガラスフォーマーの含有量が低ければ低いほど屈折率と分散が大きくなる。しかし、ガラス単位体積あたりの酸素原子数とガラス網目構造のフォーマーとなる燐イオンとホウ素イオンの合計量とのイオン比を4.2より大きく保つ必要が有る。そのため、本発明の光学ガラスでは、ガラス化可能な組成範囲における酸素原子密度を4.2×1022〜5.2×1022個/cm3の範囲にする。酸素原子密度が4.2×1022/cm3より少なくなると、屈折率は1.7より小さくなるのに対し、5.2×1022/cm3を超えて多くなると、酸素原子密度の低い成分のアルカリ金属イオンとアルカリ土類金属イオンの含有量が少なくなる。その結果、ガラスが結晶化したり、着色したりする恐れがある。よって、ガラス単位体積あたりの酸素原子密度は好ましくは4.5×1022〜5.0×1022個/cm3の範囲である。
【0049】
次に、光学ガラス(6)〜(9)のガラス成分の役割およびその組成範囲の限定理由について説明する。
P2O5は、ガラスの網目構造の形成物(フォーマー)であり、ガラスに製造可能な安定性を持たせるための必須成分である。しかし、P2O5の含有量は34モル%を超えると、ガラスの転移温度Tgや屈伏点温度Tsの上昇、屈折率ndの低下、及びアッべ数νdの増加を招く。一方、P2O5の含有量が12モル%未満では、ガラスの失透傾向が強くなりガラスが不安定となる。そのため、P2O5の含有量は12〜34モル%の範囲とする。P2O5の含有量は好ましくは14〜32モル%の範囲である。
【0050】
B2O3もガラスの必須成分であり、ガラスの溶融性の向上やガラスの均質化に非常に有効な成分であると同時に、少量のB2O3の導入でガラス内部にあるOHの結合性を変え、プレス時にガラスを発泡させない非常に有効な成分である。しかし、B2O3の含有量が15モル%を超えると、本発明のガラスは、高屈折率を保つために多くの非架橋酸素を有するNb2O5及びWO3を多量に導入しているために、ガラスが非常に不安定となる。一方、B2O3の含有量が0.2モル%より少なくなると、精密プレス成形のときにガラスが発泡しやすくなる。そこで、B2O3の含有量は0.2〜15モル%の範囲とする。B2O3の含有量は好ましくは0.5〜13モル%の範囲である。
【0051】
なお、ガラス網目構造のフォーマーとなるP2O5とB2O3の合計含有量量は、15〜35モル%の範囲に制限される。P2O5とB2O3の合計含有量が35モル%を超えると、ガラスの屈折率が低くなり、アッべ数が大きくなる。一方、P2O5とB2O3の合計含有量が15モル%未満では、ガラスが非常に不安定となる。P2O5とB2O3の合計含有量は、より好ましくは16〜32モル%の範囲である。
【0052】
WO3は、PbOを使用することなしに低融点で、しかも高屈折率・高分散特性を付与するために最も有効な成分である。WO3はガラスに多くの非架橋酸素をもたらすとともにアルカリ金属酸化物と同様にガラスの転移温度や屈伏点温度を下げる働きを示すとともに、屈折率を上げる効果がある。さらに、ガラスと型材との濡れ性を抑制する効果があるため、精密プレス成形の際にガラスの離型れが非常によくなるという効果を奏する。しかし、WO3の含有量が45モル%を超えると、ガラスが融着したり、ガラスが着色したりする恐れがあり、かつ、ガラスの高温粘性も低くなるので、精密プレス用ガラスプリフォームの作成が難しくなる。一方、WO3の含有量が6モル%以下ではガラスの転移温度や屈伏点温度が高くなり、精密プレス時にガラスが発泡しやすくなる場合がある。但し、WO3の含有量が6モル%以下であっても、アルカリ金属酸化物の含有量を増やしたり、TiO2及び/又はNb2O5の量を減らすなど、他の成分を調整することにより、ガラス転移点や屈伏点の上昇やガラスの発泡を抑制することができる。そこで、WO3の含有量は0〜45モル%の範囲とする。WO3の含有量は2〜45モル%の範囲であることができ、より好ましくは5〜40モル%の範囲である。
【0053】
Nb2O5はガラスに多量の非架橋酸素をもたらすことができる成分であり、PbOを使用せずにガラスに高屈折率・高分散などの特性を付与することができる。しかし、Nb2O5の含有量が25モル%を超えると、ガラスの転移温度や屈伏点温度が高くなり、安定性も悪化し、高温溶解性も悪くなり、かつ、ガラスが精密プレス時に発泡や着色しやすくなる。そこで、Nb2O5の含有量は25モル%以下とする。Nb2O5の含有量は、好ましくは5〜23モル%の範囲である。
【0054】
TiO2はガラスに多く非架橋酸素をもたらすことができる成分であるためガラスの屈折率と分散を高める作用を有し、失透安定性を向上させる。しかし、TiO2の含有量が10モル%を超えると、ガラスの失透安定性が急激に悪化し、屈伏点温度も液相温度も急上昇し、精密プレス時にガラスが着色しやすくなる。そこで、TiO2の含有量は10モル%以下とする。TiO2の含有量は、好ましくは9モル%以下である。
【0055】
なお、WO3、Nb2O5、及びTiO2の合計含有量が45モル%を超えると、高屈折率高分散の特性は得られるものの、溶解したガラスが着色し、失透安定性も悪化する。上記合計含有量が20モル%未満では、ガラスの非架橋酸素数は少なくなるので、目的とする屈折率及び分散が得られなくなる。そのため、WO3、Nb2O5、及びTiO2の合計含有量は20〜45モル%の範囲とする。この合計含有量は、好ましくは21〜42モル%の範囲、より好ましくは25〜42モル%の範囲である。アルカリ金属酸化物の含有量が多い場合、合計含有量が上記範囲内のWO3、Nb2O5、及びTiO2を含有させることによってガラスの着色を起こりにくくすることができる。
【0056】
BaOはガラスの屈折率を高め、失透安定性を向上させ、液相温度を低下させるための成分である。特に多量のWO3を導入する場合、BaOを導入することでガラスの着色を押さえ、失透安定性(耐失透性)を高めることができる。しかし、BaOの含有量が25モル%を超えると、ガラスが不安定となるばかりでなく、化学的耐久性も悪化し、分散を下げたり、ガラス転移点を上昇させ得る。そこで、BaOの含有量は25モル%以下とする。BaOの含有量は、好ましくは23モル%以下である。より好ましくは11モル%以下であり、さらに好ましくは8モル%以下である。
【0057】
ZnOはガラスの屈折率や分散を高めるために導入される成分で、少量のZnOの導入でガラスの転移温度や屈伏点温度または液相温度を低める効果もある。しかし、多量に導入すると、ガラスの失透安定性が著しく悪化し、液相温度も逆に高くなる恐れがあるため、その含有量は20モル%以下とする。ZnOの含有量は、好ましくは17モル%以下である。
【0058】
但し、BaOとZnOとの合計含有量は30モル%未満とする。BaOとZnOとの合計含有量が30モル%以上では、ガラスの安定性が悪化し、屈伏点温度も液相温度も上昇するので、目的とする低屈伏点温度化や低液相温度化が達成できなくなる。従って、その合計含有量を30モル%未満とする。BaOとZnOとの合計含有量は、好ましくは25モル%以下とする。
【0059】
Li2O、Na2O、及びK2Oなどのアルカリ金属酸化物は、いずれもガラスの耐失透性を良くし、屈伏点温度や液相温度を低下させ、ガラスの高温溶融性をよくするために導入される成分である。そのため、本発明の光学ガラス(6)〜(8)においては、Li2OとNa2Oはそれぞれ2モル%以上、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量は10モル%以上にする。しかし、Li2O、Na2O、及びK2Oの合計含有量が45モル%を超えると、ガラスの安定性が悪くなるばかりでなく、目的とする高屈折率・高分散特性が得られなくなる。そこで、Li2Oは2〜30モル%、Na2Oは2〜30モル%、K2Oは0〜15モル%の範囲の含有量とする。さらにこれら三種のアルカリ金属酸化物の合計含有量は10〜45モル%の範囲とする。より好ましくは、Li2Oは5〜27モル%、Na2Oは3〜27モル%、K2Oは0〜13モル%の範囲であり、その合計含有量は12〜43モル%の範囲である。さらに好ましくはLi2O、Na2O、及びK2Oの合計含有量は29モル%以上であり、よりさらに好ましくは32モル%以上である。また、Li2O、及びNa2Oの合計含有量は27モル%以上であることが好ましい。
また、本発明の光学ガラス(9)もアルカリ金属酸化物を含有するが、このアルカリ金属酸化物とは、Li2O、Na2O及びK2Oからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、本発明の光学ガラス(9)においては、Li2Oの含有量が、好ましくは2〜30モル%であり、より好ましくは5〜27モル%である。尚、本発明の光学ガラス(9)のLi2O、Na2O、及びK2Oの合計含有量は、上述の本発明の光学ガラス(6)〜(8)と同様である。
【0060】
CaO、SrO、Y2O3及びAl2O3の各成分は任意成分である。少量のCaO、SrO、Y2O3及びAl2O3をガラスに導入すると、ガラスの液相温度の低下、安定性の向上に効果がある。しかし、CaO及びSrOの含有量がそれぞれ10モル%を超えると、目的とする高屈折率・高分散特性が得られず、かつ耐失透性も悪くなる。また、Y2O3の含有量が5モル%超える場合に同様である。このため、CaO、SrOの含有量はそれぞれ10モル%以下、Y2O3の含有量は5モル%以下とする。好ましくはCaOが0〜8モル%、SrOが0〜8モル%の範囲であり、Y2O3が0〜4モル%の範囲である。任意成分であるAl2O3は適量添加によりガラスの液相温度における粘性の向上やガラスの耐久性の改善に非常に効果があるが、5モル%を超えるAl2O3を導入すると、ガラスが溶けにくくなり、かつ屈伏点温度や液相温度も高くなる。そこで、Al2O3の含有量は5モル%以下とし、好ましくは4モル%以下とする。
【0061】
As2O3とSb2O3はガラスの清澄剤として有効である。しかし、いずれも1モル%超えて添加すると、精密プレス時にガラスが発泡しやすくなるので、その含有量は1モル%以下とする。
以上、各ガラス成分の含有量について説明したが、これら各成分の合計含有量を94モル%以上とすることが好ましく、97モル%以上とすることがより好ましく、98モル%以上とすることがさらに好ましく、不純物は別として上記各成分のみからなるものがさらに好ましい。
【0062】
次に、本発明の光学ガラス(6)〜(9)において、より好ましい組成範囲の具体例を説明する。
上記より好ましい組成範囲は、モル%表示したときに、ガラス成分として、P2O5を14〜32%、B2O3を0.5〜13%(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が16〜32%)、WO3を5〜40%、Nb2O5を5〜23%、TiO2を0〜9%(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が25〜42%)、Li2Oを5〜27%、Na2Oを3〜27%、K2Oを0〜13%(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が12〜43%)、BaOを0〜23%、ZnOを0〜17%(但し、BaOとZnOの合計含有量が0〜25%)、CaOを0〜8%、SrOを0〜8%、Al2O3を0〜4%、Y2O3を0〜4%、Sb2O3を0〜1%、As2O3を0〜1%含み、前記成分の合計含有量が94%以上の範囲のものである。この範囲では、上記成分の合計含有量が98モル%以上であることがさらに好ましく、不純物は別にして上記成分のみからなるものが特に好ましい。
【0063】
上記より好ましい組成範囲の中でさらに好ましい範囲は、モル%表示したときに、ガラス成分として、P2O5を17〜30%、B2O3を1〜10%(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が18〜32%)、WO3を5〜25%、Nb2O5を10〜23%、TiO2を1〜9%(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が28〜40%)、Li2Oを5〜22%、Na2Oを4〜22%、K2Oを0.5〜7%(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が12〜38%)、BaOを2〜23%、ZnOを1〜10%(但し、BaOとZnOの合計含有量が3〜25%)含み、前記成分の合計含有量が94%以上の範囲のものである。この範囲では、上記成分の合計含有量が98モル%以上であることがさらに好ましく、不純物は別にして上記成分のみからなるものが特に好ましい。
さらに、SiO2、La2O3、Y2O3、Gd2O3、ZrO2、Ta2O5、Bi2O3、TeO2、CaO、MgO、及びCs2Oなどの成分も本発明の目的を損なわない程度であれば6%までの導入は可能である。
【0064】
本発明の低融点、高屈折率・高分散光学ガラスの原料としては、P2O5についてはH3PO4、メタリン酸塩、五酸化二燐など、B2O3についてはHBO3、B2O3などを用い、他の成分については炭酸塩、硝酸塩、酸化物などを適宜に用いることが可能である。これらの原料を所定の割合に秤取し、混合して調合原料とし、これを1000〜1250℃に加熱した溶解炉に投入し、溶解・清澄・攪拌し、均質化してから鋳型に鋳込み徐冷することにより、本発明の低融点、高屈折率・高分散光学ガラスを得ることができる。
【0065】
この光学ガラスは、液相温度が970℃以下であり、そして、溶融ガラスから本発明の精密プレス成形素材(以下、プリフォームと記す。)を成形するのに適した粘性においても安定したガラス状態が保てるため、プリフォームを熱間で成形することができる。熱間で成形する方法としては、溶融したガラス融液を滴下または流下させ、これを気体を介して受け型で受けた後、所望の形状、例えば、球状、偏平球状に成形する方法がある。
滴下によりプリフォームを作る場合、滴下可能な粘性、例えば1〜3Pa・sにガラスの温度を調整し、これを滴下することで球状のプリフォームが得られる。滴下したガラスは落下中に固化させてもよく、或は噴出する気体上に浮上させながら、例えば、回転させて固化させてもよい。
また、流下させてプリフォームを作る場合、ガラスを流出パイプから流下させた後にガラスを切断し、該流下したガラスを気体を介して受け型で受け、該ガラスを球または偏平球に成形し、固化させることにより得られる。このとき流下させたガラスは、切断刃を用いずに切断することが好ましく、中でも流下するガラスの先端部を受け型で受けた後、その受け型を急速に降下させることにより切断する方法(以下、降下切断法と記す。)が特に好ましい。このように流下するガラスからプリフォームを成形する場合、流下するガラスは、粘性が3−60ポアズの範囲であることが好ましい。
【0066】
この方法によれば、流出パイプから流下する溶融ガラスを自然滴下させることによって、または降下切断法によって、或は切断刃で切断することによって、溶融ガラス塊を落下させ、この溶融ガラス塊を、受け型の凹部で受ける。その際、この凹部に開口する細孔から、空気、不活性ガスなどの気体を噴出させ、溶融ガラス塊と受け型凹部の内面との間に気体の層を作り、溶融ガラス塊の少なくとも表面の一部が軟化点以下の温度に達するまで、溶融ガラス塊を前記凹部内面と実質的に非接触状態で受け型凹部内に保持し、冷却することにより、ガラスプリフォーム(精密プレス成形素材)を効率よく製造することができる。
【0067】
本発明の光学部品は、上記の本発明の高屈折率・高分散光学ガラスからなるプリフォームを精密プレス成形することにより得られる。ここで、精密プレス成形とは、プレス成形によって最終製品(特に高精度が要求されるレンズなどの光学部品)をプレス後の研削、研磨工程なしに直接作る成形方法のことを言い、予め最終製品の形状に対応して精密に作製された成形型の成形面の形状をガラスに精密に転写して成形品を得る方法である。なお、プレスの方法及び装置は、公知のものを用いることができ、条件はガラスの組成及び物性などを考慮して適宜選択できる。この方法により好適に製造される光学部品としては、非球面レンズなどを例示することができる。
【0068】
精密プレス成形は、例えば、図1に示すようなプレス装置を用いて行うことができる。図1に示す装置は、支持棒9上にも設けた支持台10上に、上型1、下型2及び案内型3からなる成形型を載置したものを外周にヒーター12を巻き付けた石英管11中に設けたものである。本形態の高屈折率・高分散光学ガラスからなるガラスプリフォーム4としては、例えば、直径2−20mm程度の球状物や楕円型球状物を使用することができる。球状物や楕円型球状物の大きさは、最終製品の大きさを考慮して適宜、決定される。
【0069】
ガラスプリフォーム4を下型2及び上型1の間に設置した後、ヒーター12に通電して石英管11内を加熱する。成形型内の温度は、下型2の内部に挿入された熱電対14によりコントロールされる。加熱温度は、ガラスプリフォーム4の粘度が精密プレスに適した、例えば約107.6ポアズ程度になる温度とする。所定の温度となった後に、押し棒13を降下させて上型1を上方から押して成形型内のガラスプリフォーム4をプレスする。プレスの圧力は及び時間は、ガラスの粘度などを考慮して適宜、決定する。例えば、圧力は約5〜15MPaの範囲、時間は10〜300秒とすることができる。プレスの後、ガラス転移温度まで徐冷し、次いで室温まで急冷し、成形型から成形品を取り出すことで、本形態の光学部品を得ることができる。
なお、上記光学ガラスは精密プレス成形用のガラスに限定されず、光学ガラス全般または高品質性が要求される用途にも適用可能である。
【0070】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。尚、以下の実施例 4 13 15 18 20 21 24 26 27 32 34 60 63 65 69 77 に記載の光学ガラスは、本願請求項に記載の発明の範囲外の光学ガラスである。
【0071】
実施例1〜83
まず、各ガラス成分の原料として、それぞれ相当する酸化物、フッ化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩を使用し、表1〜表7に示す組成のガラスが得られるように秤量し、十分に混合したのち、白金坩堝に投入して電気炉で1000〜1250℃で溶融し、撹拌して均質化を図り、清澄してから適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ後、ガラスの転移温度まで冷却してから直ちにアニール炉に入れ、室温まで徐冷することにより、光学ガラスを製造した。
【0072】
得られた光学ガラスについて、屈折率[nd]、アッベ数[νd]、転移温度[Tg]、屈伏点温度[Ts]、液相温度[L.T.]、この液相温度における粘性および着色性を、以下のようにして測定した。これらの結果を表1〜表7に示す。実施例78〜83の光学ガラスの分光透過率曲線を求め、実施例78の分光透過率曲線は図2に示す。また、実施例78及び実施例79〜83の透過率λ80及び透過率λ5を表8に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0003798268
【0074】
【表2】
Figure 0003798268
【0075】
【表3】
Figure 0003798268
【0076】
【表4】
Figure 0003798268
【0077】
【表5】
Figure 0003798268
【0078】
【表6】
Figure 0003798268
【0079】
【表7】
Figure 0003798268
【0080】
【表8】
Figure 0003798268
【0081】
(1)屈折率(nd)及びアッべ数(νd)
徐冷降温速度を−30℃/hにして得られた光学ガラスについて測定した。
(2)転移温度(Tg)及び屈伏点温度(Ts)
理学電機株式会社の熱機械分析装置により昇温速度を4℃/分にして測定した。
(3)液相温度(LT)
400〜1100℃の温度勾配のついた失透試験炉に1時間保持し、倍率80倍の顕微鏡により結晶の有り無しを観察し、液相温度を測定した。
(4)液相温度における粘性
回転円筒法(Margules法)[成瀬省著「ガラス工学」(共立出版)]により、液相温度における粘度を測定した。
【0082】
比較例1〜3
比較例1〜3は、それぞれ特開昭55−37500号公報に記載の実施例9、特開昭56−40094号公報に記載の実施例4、特開平5−51233号公報に記載の実施例1である。これらのガラスを比較例として示した。これらのガラスの特性を、実施例と同様にして測定した。その結果を表9に示す。
【0083】
【表9】
Figure 0003798268
【0084】
以上の結果、実施例のガラスは、いずれも屈折率[nd]が1.75〜2.00、アッベ数[νd]が20〜28.5の範囲にあることを確認した。また、いずれのガラスも転移温度[Tg]が530℃以下、屈伏点温度[Ts]が580℃以下、液相温度[L.T.]が970℃以下であり、精密プレスに適し、耐失透性に優れていることを確認した。(さらに、液相温度における粘性は0.4Pa・s以上のものもあった。)
これに対し、比較例のガラスは、液相温度[L.T.]が1000℃以上と高く、屈伏点温度[Ts]も、比較例1および比較例2では、580℃より高く、量産に適さないものであった。
【0085】
実施例84
実施例1〜83で得られたガラスを、図1に示すプレス装置を用いた非球面精密プレスすることにより非球面レンズを得た。直径2〜20mmの球状物とした実施例のガラスを下型2および上型1の間に設置した後、石英管11内を窒素雰囲気としてヒーター12に通電して石英管11内を加熱した。成形鋳型内の温度を被成形ガラス塊の粘度が約10.8Pa・sとなる温度とした後、この温度を維持しつつ、押し棒13を降下させて上型1を押して成形鋳型内の被成形ガラス塊をプレスした。プレスの圧力は8MPa、プレス時間は30秒間とした。プレスの後、プレスの圧力を解除し、非球面プレス成形されたガラス成形体を下型2および上型1と接触させたままの状態で転移温度まで徐冷し、次いで室温付近まで急冷して非球面に成形されたガラスを成形鋳型から取り出した。得られた非球面レンズは、きわめて精度の高いレンズであった。
【0086】
実施例85
実施例1〜83と同様にガラスを溶融し、清澄、攪拌した後、白金合金製の流出パイプより流下させて、上述した降下切断法によって直径2〜30mmの球状の精密プレス成形素材(プリフォーム)4を得た。この方法によって得られた83種類のプリフォーム4は実施例1〜83で得られた光学ガラスよりなるものである。これらのプリフォーム4を図1に示すプレス装置を用い、次に説明するようにして非球面精密プレス成形することによって非球面レンズを得た。
【0087】
まず、直径2〜30mmの球状プリフォーム4を下型2及び上型1の間に設置したのち、石英管11内を窒素雰囲気としてヒーター12に通電して石英管11内を加熱した。成形型内部の温度をガラスの屈伏点温度+20〜60℃となる温度(ガラスの粘度が107.6ポアズとなる温度)に設定し、同温度を維持しつつ、押し棒13を降下させて上型1を押して成形型内のプリフォーム4をプレスした。プレスの圧力は8MPa、プレス時間は30秒とした。その後、プレスの圧力を解除し、プレス成形されたガラス成形品を下型2及び上型1と接触させたままの状態でガラスの転移温度Tg−30℃の温度までに徐冷し、次いで室温まで急冷して成形型から取り出して非球面レンズを得た。得られた83種類の非球面レンズは、いずれも、きわめて精度の高いものであり、表1〜7に記載された光学恒数を有するものであった。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、高屈折率・高分散特性を有し、ガラスの転移温度が530℃以下、屈伏点温度が580℃以下、液相温度が970℃以下で耐失透性を有しており、かつ成形性に優れた低融点光学ガラスを提供することができる。さらに、本発明の光学ガラスを用いることにより、精密プレス用型材の寿命を伸ばすことができ、安定して精密プレスを行うことができる。また、本発明の低融点光学ガラスを用いて精密プレスすることで、非球面レンズ等の光学製品を得ることもできる。本発明のガラスは普通の光学ガラスとしても使用できる。以上説明したように、本発明の精密プレス成形用光学ガラスは産業上非常に有用である。
さらに、本発明によれば、高屈折率・高分散特性を有し、精密プレス成形に好適な光学ガラス及び前記ガラスからなる精密プレス成形素材を提供することができる。特に、本発明の光学ガラスは、ガラス転移温度Tgが530℃以下および/または屈伏点温度Tsが580℃以下であり、液相温度が970℃以下と耐失透性に優れた特性を実現することができるので、精密プレス成形用の光学ガラスとして好適であるのみならず、溶融ガラスを流出パイプより滴下または流出させて、精密プレス成形素材を安定かつ良好に作ることができる。
また、本発明によれば、上記光学ガラスを用いることにより、精密プレス成形用成形型の寿命を伸ばすことができ、安定して精密プレス成形を行うことができ、特に非球面レンズ等の光学部品の製造に好適に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学ガラスからなるガラスプリフォームを精密プレス成形するためのプレス装置の概略図である。
【図2】実施例78の光学ガラスの分光透過率曲線を示す。
【符号の説明】
1…上型
2…下型
3…案内型
4…ガラスプリフォーム(精密プレス成形素材)
9…支持棒
10…支持台
11…石英管
12…ヒーター
14…熱電対

Claims (25)

  1. 屈折率[nd]が1.80〜2.0、アッベ数[νd]が20〜28.5であり、液相温度における粘性が0.4Pa・s以上であり、必須成分として、P2O5、B2O3WO 3 Nb2O5、TiO2、Li2Oを含むとともに、モル%表示したときに、ガラス成分として、P2O5を12〜34%、B2O3を0.2〜15%(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35%)、WO311 %以下、Nb2O5を10〜25%、TiO2を2〜10%(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)、BaOを0〜25%、ZnOを0〜20%(但し、BaOとZnOの合計含有量が30%未満)、Li2Oを2〜30%、Na2Oを2〜30%、K2Oを0〜15%(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が10〜45%)、CaOを0〜10%、SrOを0〜10%、Al2O3を0〜5%、Y2O3を0〜5%、Sb2O3を0〜1%、As2O3を0〜1%含み、前記成分の合計含有量が94%以上であることを特徴とする光学ガラス。
  2. 屈折率[nd]が1.80〜2.0、アッベ数[νd]が20〜28.5であり、ガラス転移温度[Tg]が540℃以下、必須成分として、P2O5、B2O3WO 3 Nb2O5、TiO2、Li2Oを含むとともに、モル%表示したときに、ガラス成分として、P2O5を12〜34%、B2O3を0.2〜15%(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35%)、WO311 %以下、Nb2O5を10〜25%、TiO2を2〜10%(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)、BaOを0〜25%、ZnOを0〜20%(但し、BaOとZnOの合計含有量が30%未満)、Li2Oを2〜30%、Na2Oを2〜30%、K2Oを0〜15%(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が10〜45%)、CaOを0〜10%、SrOを0〜10%、Al2O3を0〜5%、Y2O3を0〜5%、Sb2O3を0〜1%、As2O3を0〜1%含み、前記成分の合計含有量が94%以上であることを特徴とする光学ガラス。
  3. WO 3 の含有量が 10.7 %以下である請求項 1 または 2 に記載の光学ガラス。
  4. WO 3 の含有量が 10 %以下である請求項 1 または 2 に記載の光学ガラス。
  5. Li2Oを5〜25%含むことを特徴とする請求項1 4のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  6. 実質的にGeO2を含まないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  7. モル%表示したときに、ガラス成分として、P2O5を12〜34%、B2O3を0.2〜15%(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35%)、WO3を2〜11%、Nb2O55〜25%、TiO21〜10%(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)、BaOを0〜25%、ZnOを0〜20%(但し、BaOとZnOの合計含有量が30%未満)、Li2Oを2〜30%、Na2Oを2〜30%、K2Oを0〜15%(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が10〜45%)、CaOを0〜10%、SrOを0〜10%、Al2O3を0〜5%、Y2O3を0〜5%、Sb2O3を0〜1%、As2O3を0〜1%含み、前記成分の合計含有量が94%以上であり、含有する酸素原子の密度が4.2×1022〜5.2×1022個/cm3であることを特徴とする光学ガラス。
  8. モル%表示したときに、ガラス成分として、P2O5を12〜34%、B2O3を0.2〜15%(但し、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35%)、WO3を2〜11%、Nb2O55〜25%、TiO21〜10%(但し、WO3とNb2O5とTiO2の合計含有量が20〜45%)、BaOを0〜11%、ZnOを0〜20%(但し、BaOとZnOの合計含有量が30%未満)、Li2Oを2〜30%、Na2Oを2〜30%、K2Oを0〜15%(但し、Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が10〜45%)、CaOを0〜10%、SrOを0〜10%、Al2O3を0〜5%、Y2O3を0〜5%、Sb2O3を0〜1%、As2O3を0〜1%含み、前記成分の合計含有量が94%以上であることを特徴とする光学ガラス。
  9. Li2OとNa2OとK2Oの合計含有量が29モル%以上である請求項7または8に記載の光学ガラス。
  10. Li2Oを5〜25%含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  11. 実質的にGeO2を含まないことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  12. P2O5、B2O3、WO3、Nb2O5、TiO2、BaO、ZnO、Li2O、Na2O 、及びK2Oを必須成分とし、前記必須成分からなる組成または前記組成にSb2O3を加えた組成を有することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  13. 屈折率[nd]が1.80〜2.0、アッベ数[νd]が20〜28.5であることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  14. P2O5、B2O3、WO3 、Nb2O5、TiO2、及びLi2Oを含み、P2O5とB2O3の合計含有量が15〜35モル%であり、WO3の含有量が2〜11モル%、Nb2O5の含有量が5〜25%、TiO2の含有量が1〜10モル%(但し、WO3、Nb2O5、TiO2の合計含有量が20〜45%)、Li2Oの含有量が2〜30モル%であり、かつ含有する酸素原子の密度が4.2×1022〜5.2×1022個/cm3であることを特徴とする光学ガラス。
  15. 実質的にGeO2を含まない請求項14に記載の光学ガラス。
  16. 屈折率ndが1.8〜2.0、アッベ数νdが20〜32であることを特徴とする請求項14または15に記載の光学ガラス。
  17. ガラス転移温度Tgが530℃以下および/または屈伏点温度Tsが580℃以下であることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  18. 液相温度が970℃以下であることを特徴とする請求項7〜17のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の光学ガラスよりなる光学部品。
  20. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の光学ガラスよりなる精密プレス成形用ガラスプリフォーム。
  21. 流出パイプより流出する溶融ガラスを所定重量、型で受け、請求項7〜18のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる精密プレス成形用ガラスプリフォームを作製することを特徴とする精密プレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
  22. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の光学ガラスを用いて精密プレス成形用ガラスプリフォームを製造する方法において、流出パイプから流下する溶融ガラスを自然滴下させることによってあるいは切断刃で切断することによって、溶融ガラス塊を落下させ、この溶融ガラス塊を、成形型の凹部で受け、その際、この凹部に開口する細孔から、空気、不活性ガス等の気体を吹き出し、溶融ガラス塊と成形型凹部の内面との間に気体の層を作り、溶融ガラス塊の少なくとも表面の一部が軟化点以下の温度に達するまで、溶融ガラス塊を前記凹部内面と実質的に非接触状態で凹部内に保持し、冷却することを特徴とする精密プレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
  23. 請求項20に記載の精密プレス成形用ガラスプリフォームまたは請求項22に記載の製造方法によって作製された精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱、精密プレス成形してガラス成形品を作製することを特徴とするガラス成形品の製造方法。
  24. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の光学ガラスを用いて精密プレス成形用ガラスプリフォームを製造する方法において、流出パイプから流下する溶融ガラスの先端部を受け型で受けた後、前記受け型を急速に降下させて前記溶融ガラスを切断して溶融ガラス塊を得、前記溶融ガラス塊を、受け型の凹部に開口する細孔から、空気、不活性ガス等の気体を吹き出し、溶融ガラス塊と成形型凹部の内面との間に気体の層を作り、溶融ガラス塊の少なくとも表面の一部が軟化点以下の温度に達するまで、溶融ガラス塊を前記凹部内面と実質的に非接触状態で凹部内に保持し、冷却することを特徴とする精密プレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
  25. 請求項24に記載の製造方法によって作製された精密プレス成形用ガラスプリフォームを加熱、精密プレス成形してガラス成形品を作製することを特徴とするガラス成形品の製造方法。
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