JP3796242B2 - 内燃機関用点火コイル - Google Patents

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本発明は、自動車エンジン等の内燃機関の火花プラグにおいて、火花放電を発生させるために高電圧を供給する内燃機関用点火コイルに関するものである。特に、本発明は、内燃機関用点火コイルにおける第2鉄心および第3鉄心の形状と、鉄心材の成形に関するものである。
図6は従来の内燃機関用点火コイルを説明するための上面図である。図7は従来の内燃機関用点火コイルを説明するための正面図である。図6および図7において、図示されていない、一次コイルおよび二次コイルが巻回されているボビン63の内部に第1鉄心61が、前記ボビン63の周囲に第2鉄心62が図に示すように組み立てられている。また、ケース64は、前記第1鉄心61および第2鉄心62と、前記コイルが巻回されたボビン63が収納され、下部に点火部65が設けられている。
図8は従来の内燃機関用点火コイルに使用される第1鉄心および第2鉄心を説明するための図である。図8に示す例は、特願平11−96204号に記載された発明である。前記発明における、珪素鋼板からなるフープ材81は、ほぼ円形からなる第2鉄心62と、その内部に短冊状の第1鉄心61がそれぞれ連続的に打ち抜かれる。前記のような鉄心の製造方法は、図8に示すように、フープ材81は、環状の第2鉄心62と短冊状の第1鉄心61のみしか利用できないため、フープ材81の斜線の部分が打ち抜き代となり、この部分が無駄になる。
前記フープ材81として、方向性珪素鋼板を使用する場合、打ち抜かれた鉄心は、ロール方向と異なる方向での磁気抵抗が大きく、ロール方向と異なる方向との磁気抵抗の差を少なくするために、幅をロール方向より大きくする必要がある。この場合、鉄心は、形状が大きくなり、珪素鋼板の使用量も多く、廃材も多く発生させた。
図9は他の従来の内燃機関用点火コイルに使用される鉄心の打ち抜き例を説明するための図である。図10は図9に示す打ち抜き鉄心を使用した内燃機関用点火コイルを説明するための図である。図9および図10は、特願平11−96206号に記載された内燃機関用点火コイルの例である。図9および図10の例は、複数の部材62′を接合することにより環状に形成されている。
図9および図10の例は、図8に示す例と比較すると、無駄となる鉄心打ち抜き代が小さくなるが、図10に示すように、フープ材のロール方向になるように鉄心を分割して組み立てている。しかし、前記例は、組み立て部の形状が複雑となり、打ち抜き代も小さくならず、珪素鋼板の使用量および廃材の量が多い。
図11は別の従来例であり、内燃機関用点火コイルに使用される鉄心の例を説明するための図である。図11に示された例は、特願平11−126640号に記載された内燃機関用点火コイルに使用される鉄心である。前記鉄心は、所定の幅の珪素鋼板からなるフープ材を所定の形状に巻回しているため、打ち抜き代が無くなり、ほとんど無駄がない。
しかし、前記フープ材を巻回した鉄心は、第1鉄心111と第2鉄心112の接合部に磁束が流れると、第2鉄心112に渦電流が多く発生するため、打ち抜き溝113を設けることにより、前記渦電流損を減少させている。前記打ち抜き溝113を設けることは、有効断面積を減少させ、その分鉄心を大きくする必要があった。
特願平11−96204号 特願平11−96206号 特願平11−126640号
前記フープ材を打ち抜いて作製された鉄心、あるいは磁気抵抗を考慮した鉄心は、打ち抜き代や使用量が多く、珪素鋼板の無駄が多いという問題があった。また、前記フープ材の無駄を無くすために、鉄心を分割して打ち抜いた後、組みたてる方式は、組み立て部の形状が複雑で、珪素鋼板の使用量が必ずしも少なくないという問題があった。さらに、所定の幅のフープ材を巻回した鉄心は、渦電流の問題が発生し、その対策が必要であるという問題があった。
本発明は、以上のような課題を解決するためのものであり、鉄心材の粉末または粉末冶金等を成形することにより、材料の節約および渦電流等の問題を解決した安価で小型化した内燃機関用点火コイルを提供することを目的とする。
(第1発明)
第1発明の内燃機関用点火コイルは、ボビンに巻回されている一次コイルおよび二次コイルと、前記一次コイルおよび二次コイルを磁気的に結合させる第1鉄心ないし第3鉄心と、前記一次コイルおよび二次コイルと、前記鉄心を収納するケースと、から構成されており、前記コイルを巻回保持する筒状の前記ボビンの内部を磁束が通過する第1鉄心と、前記第1鉄心の積み重ね方向に対向させて配置し、前記第1鉄心との間に閉磁路を構成する鉄心材の粉末を固めたほぼ半球状の第2鉄心および第3鉄心と、を少なくとも備えていることを特徴とする。
(第2発明)
第2発明の内燃機関用点火コイルにおいて、ほぼ半球状の第2鉄心および第3鉄心は、ボビンの外形より大きく、かつ、前記ボビンの形状にほぼ沿っていることを特徴とする。
(第3発明)
第3発明の内燃機関用点火コイルにおいて、鉄心を収納するケースの一部を構成する形状は、ほぼ半球状の第2鉄心または第3鉄心の形状に沿っていることを特徴とする。
(第4発明)
第4発明の内燃機関用点火コイルにおいて、ほぼ半球状の第2鉄心および第3鉄心は、互いに対向する位置と反対側に開口部を備えていることを特徴とする。
(第5発明)
第5発明の内燃機関用点火コイルにおいて、第2鉄心および第3鉄心を磁束が通る断面積の合計は、第1鉄心の磁束が通る断面積とほぼ同じであることを特徴とする。
本発明によれば、鉄心材を粉末にしてほぼ半球状に成形した鉄心であるため、材料に無駄がなく、渦電流等の問題を解決するとともに、小型化することができる安価な内燃機関用点火コイルを得ることができるようになった。
本発明によれば、ほぼ半球状に成形した鉄心であるため、材料に無駄がないだけでなく、所望の特性とすることが容易であり、小型化および安価な内燃機関用点火コイルを得ることができるようになった。
(第1発明)
第1発明の内燃機関用点火コイルは、少なくともボビンに巻回されている一次コイルおよび二次コイルと、前記一次コイルおよび二次コイルを磁気的に結合させる第1鉄心ないし第3鉄心と、前記一次コイルおよび二次コイルと、前記各鉄心を収納するケースとから構成される。
前記第1鉄心は、たとえば、珪素鋼板を積層して構成され、前記コイルを巻回保持する筒状の前記ボビンの内部を磁束が通過する。第2鉄心および第3鉄心は、前記第1鉄心の積み重ね方向に対向させて配置され、前記第1鉄心との間に閉磁路を構成する。また、前記第2鉄心および第3鉄心は、鉄心材の粉末に、たとえば、樹脂を混ぜて、成形型に入れて固め、ほぼ半球状に成形されている。
第1発明は、粉末の鉄心材を成形してほぼ半球状にしたため、打ち抜き代が無くなり、材料の歩留り性を向上させると同時に小型化が可能になった。
(第2発明)
第2発明における前記ほぼ半球状の第2鉄心および第3鉄心の形状は、コイルが巻回されたボビンを入れるため、前記ボビンの外形より大きく、かつ、全体として小型化するために、前記ボビンの形状にほぼ沿っている。
(第3発明)
第3発明において、鉄心等を収納するケースの形状は、内燃機関用点火コイルのプラグ側に配置されたほぼ半球状の鉄心に沿うようにしている。前記形状は、内燃機関用点火コイル全体の形状を小型化することができる。
(第4発明)
第4発明は、ほぼ半球状の第2鉄心および第3鉄心を互いに対向する位置と反対側に、配線を導出する開口部を備えている。
(第5発明)
第5発明は、第2鉄心および第3鉄心を磁束が通る断面積の合計を第1鉄心の磁束が通る断面積とほぼ同じにすることにより、第2鉄心および第3鉄心の厚さを薄く、小型化を図ることができる。
図1は本発明の一実施例である内燃機関用点火コイルにおける第2鉄心および第3鉄心を説明するための斜視図である。図2は本発明の一実施例である内燃機関用点火コイルにおける第2鉄心と第3鉄心を組み立てた状態を説明するための図である。図3は本発明の一実施例である内燃機関用点火コイルにおける第2鉄心および第3鉄心とコイルボビンとの関係を説明するための平面図である。図4は本発明の一実施例である内燃機関用点火コイルにおける第1鉄心、第2鉄心、および第3鉄心の正面図である。図5は本発明の一実施例で、図3のB−B断面図である。
図1において、第1鉄心11は、積層された短冊状の珪素鋼板からなる。前記短冊状の第1鉄心11は、プレスによる打ち抜きで得られるが、形状が短冊状であるため、打ち抜き代が無い。第2鉄心12および第3鉄心13は、その形状がほぼ半球状であり、前記第1鉄心11と図示されていないボビン等を互いに対向するように包囲する。
前記ほぼ半球状の第2鉄心12および第3鉄心13は、内部に挿入されるボビンに一部が沿った形状であり、それぞれの頂部にコイル端部の配線を導出する開口121、131が設けられている。さらに、前記ほぼ半球状の第2鉄心12および第3鉄心13は、鉄心材の粉末を型に入れ、樹脂等のバインダーとともに固められる。
前記鉄心は、粉末冶金のように鉄心材を焼結して作製することもできる。このような鉄心は、形状を成形型により任意にできるだけでなく、内燃機関用点火コイルの特性を考慮したものが作製でき、歩留り性が良い。
図2および図3から判るように、ほぼ半球状の鉄心は、ボビン14およびケース15にできるだけ沿うように成形されるため、小型化が可能であるだけでなく、鉄心材料を少なくすることができ、安価な内燃機関用点火コイルが得られる。
図2において、第2鉄心12と第3鉄心13は、これらの中に、第1鉄心11およびコイルボビン等を挿入した後、互いに対向するように組み立てられる。前記コイルの端部の配線は、前記開口121および131から導出される。第2鉄心12および第3鉄心13の対向面(接合面)は、磁束の流れる方向と同じであるため、この部分に発生する空隙が磁束の流れに与える影響はすくない。
図5における、図3のB−B断面において判るように、第2鉄心12および第3鉄心13を磁束が通る断面積の合計は、第1鉄心11の磁束が通る断面積とほぼ同じ程度必要である。しかし、本実施例は、第2鉄心12および第3鉄心13の磁束が通る断面積を第1鉄心11の積層方向に大きくすることにより、第1鉄心11と同程度の断面積を確保しつつ、第1鉄心11の積層方向と直角方向の第2鉄心12および第3鉄心13の厚みを小さくできる。
また、第2鉄心12および第3鉄心13は、その内側の形状をボビンの外形に沿わせることにより、スペースを有効利用できるため小型軽量化が可能になった。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の第2鉄心および第3鉄心の形状は、ほぼ半球状であれば、図示と同じ形状、および真の半球に限定されない。
本発明の一実施例である内燃機関用点火コイルにおける第2鉄心および第3鉄心を説明するための斜視図である。(実施例1) 本発明の一実施例である内燃機関用点火コイルにおける第2鉄心と第3鉄心を組み立てた状態を説明するための図である。 本発明の一実施例である内燃機関用点火コイルにおける第2鉄心および第3鉄心とコイルボビンとの関係を説明するための平面図である。 本発明の一実施例である内燃機関用点火コイルにおける第1鉄心、第2鉄心、および第3鉄心の正面図である。 本発明の一実施例で、図3のB−B断面図である。 従来の内燃機関用点火コイルを説明するための上面図である。 従来の内燃機関用点火コイルを説明するための正面図である。 従来の内燃機関用点火コイルに使用される第1鉄心および第2鉄心を説明するための図である。 他の従来の内燃機関用点火コイルに使用される鉄心の打ち抜き例を説明するための図である。 図9に示す打ち抜き鉄心を使用した内燃機関用点火コイルを説明するための図である。 別の従来例であり、内燃機関用点火コイルに使用される鉄心の例を説明するための図である。
符号の説明
11・・・第1鉄心
12・・・第2鉄心
121・・・開口
13・・・第3鉄心
131・・・開口
14・・・ボビン
15・・・ケース
16・・・点火部

Claims (5)

  1. ボビンに巻回されている一次コイルおよび二次コイルと、
    前記一次コイルおよび二次コイルを磁気的に結合させる第1鉄心ないし第3鉄心と、
    前記一次コイルおよび二次コイルと、前記鉄心を収納するケースと、
    から構成される内燃機関用点火コイルにおいて、
    前記コイルを巻回保持する筒状の前記ボビンの内部を磁束が通過する第1鉄心と、
    前記第1鉄心の積み重ね方向に対向させて配置し、前記第1鉄心との間に閉磁路を構成する鉄心材の粉末を固めたほぼ半球状の第2鉄心および第3鉄心と、 を少なくとも備えていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
  2. 前記ほぼ半球状の第2鉄心および第3鉄心は、前記ボビンの外形より大きく、かつ、前記ボビンの形状にほぼ沿っていることを特徴とする請求項1に記載された内燃機関用点火コイル。
  3. 前記鉄心を収納するケースの一部を構成する形状は、前記ほぼ半球状の第2鉄心または第3鉄心の形状に沿っていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された内燃機関用点火コイル。
  4. 前記ほぼ半球状の第2鉄心および第3鉄心は、互いに対向する位置と反対側に開口部を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載された内燃機関用点火コイル。
  5. 前記第2鉄心および第3鉄心を磁束が通る断面積の合計は、第1鉄心の磁束が通る断面積とほぼ同じであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載された内燃機関用点火コイル。
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