JP3796159B2 - 電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置 - Google Patents

電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線の被覆材を除去して、芯線を露出させる電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は、この種の電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置に関連する技術の一例として、先に本願出願人によって提案された特開2000−92644号公報に記載の電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置である。
【0003】
図8に示すように、被覆材除去装置51は、電線52の中間部側に位置する上下一対の電線チャック53,54と、電線チャック53,54の電線52先端部52a寄り(図面上右側)に位置する上下一対の超音波カッタ55,56と、超音波カッタ55,56の更に先端部52a側に位置する上下一対の皮剥ぎチャック57,58とを備えている。
【0004】
電線チャック53,54は、その先端側に前後一対のV字状の把持部59,60を有し、前後一対の各把持部59,60の間に縦溝61,62を有している。各電線チャック53,54の縦溝61,62には、対向する各電線チャック53,54の把持部59,60が進入する。上側の電線チャック53には、下側の電線チャック54の把持部60に当接するV字状のストッパ63が突設されている。これらの構成により、電線52が適切な接圧で確実に把持されるようになっている。
【0005】
超音波カッタ55,56は、超音波溶着で使用するような略円柱形の超音波ホーン64,65の先端に平板状のカッタ部66,67を一体に形成ないしは固定したものであり、矢印イの如く電線径方向に超音波振動する。超音波カッタ55,56の振幅は数十μm程度であり、振動数は例えば10kHzないしはそれ以上である。カッタ部66,67の先端の刃部68,69はV字状に形成されている。刃部68,69は、上側と下側のカッタ部66,67において、電線52を挟んで前後対称に形成されている。刃先68a,69aの位置は上下で一致している。
【0006】
皮剥ぎチャック57,58は電線チャック53,54と同様な形状に形成され、先端側に前後一対のV字状の把持部70,71を有し、各把持部70,71の間に縦溝72,73を有している。把持部70,71で電線52の先端部52aを把持し、その際、各把持部70,71の縦溝72,73に各皮剥ぎチャック57,58の把持部70,71が進入する。上側の皮剥ぎチャック57には、下側の皮剥ぎチャック58の把持部71に当接するV字状のストッパ76が突設されている。これらの構成により、電線52の被覆材74が適切な接圧で確実に把持される。
【0007】
このような構成によれば、超音波カッタ55,56により電線52の被覆材74に切り込みを入れ、続いて、皮剥ぎチャック57,58で電線52の端末部を把持しながら長手方向に引っ張ることにより被覆材74が皮剥ぎされて芯線が露出するようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置では、解決すべき以下の問題点がある。
【0009】
超音波カッタ(以下「カッタ」という)55,56等を使用して、電線52の被覆材74に切り込みを入れて被覆材74を皮剥ぎする方法では、高精度に加工を行うことができず、品質安定性が低いという問題がある。すなわち、自動車等に配索される電線52は小径化の傾向にあり、これに伴い、被覆材74の被覆厚も薄肉化し、カッタ55,56による加工では芯線に傷を付ける心配がある。殊に、プリント基板等の基板上に配索される電線にあっては、極細の電線が使用されるゆえ、このような損傷による影響を受けやすく、芯線が切れるなどして接続不良を生ずることもある。
【0010】
また、電線52サイズ、被覆材74の被覆厚さ、被覆材74の材質等に応じたカッタ55,56を用意しなければならず、加工の自由度が小さく、汎用性が低いという問題がある。量産工程においては、カッタ55,56の交換によって歩留りを招き生産性が低下してしまうこともある。加工にも時間がかかり、コスト高になるという問題もある。
【0011】
さらに、従来の被覆材除去方法は、電線52の端末部を皮剥ぎして芯線を露出させる方法であり、電線52の外周に切り込みを入れて、被覆材74を引っ張ることにより皮剥ぎが完了するものであるが、電線52の中間部を皮剥ぎして芯線を露出させる場合には、この方法を適用することができない。また、複数の芯線を有する板状のフラットワイヤハーネスにも適用することができない。
【0012】
上記課題の解決を図ったものとして、レーザ光を利用して電線の被覆材を加熱・蒸発させて除去する方法(特開平5−138386号公報)が知られているが、この方法は、マスク板のくり抜き部から通過したレーザ光の照射範囲で、被覆材を除去する方法であるが、被覆材の一部が芯線に付着して残留することがある。被覆材が残留すると、皮剥ぎされた芯線の後処理に不都合を生じて、例えば一の電線の芯線に他の電線を接続する際の障害になることがある。また、被覆材を溶かして除去する方法であるため、小出力で小型のレーザ加工機では被覆材を完全に除去することができないという問題もある。
【0013】
本発明は、上記した点に鑑み、電線の品質安定性が高く、小出力のレーザ加工機で高能率に加工を行うことができ、加工の自由度が大きく汎用性の高い電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、被覆材を皮剥ぎし、所要箇所に芯線を露出させる、フラットワイヤハーネスの被覆材除去方法において、前記被覆材にレーザ光を照射して切込溝を入れることにより、所望パターンの被覆材除去部を形成する切込工程と、該被覆材除去部を押圧工具で押圧するパンチ工程とを経て、被覆材を除去して形成された窓部に芯線を露出させるフラットワイヤハーネスの被覆材除去方法であって、前記切込工程では、前記フラットワイヤハーネスを横断する方向に延びる一対の第一の切込溝、一対の該第一の切込溝を繋ぐ該フラットワイヤハーネスの芯線の軸線上を通る第二の切込溝、および、前記第一の切込溝の端部を繋ぎ該フラットワイヤハーネスの軸線方向に延びる第三の切込溝を一対形成し、かつ、前記パンチ工程では、前記切込溝を有する側から、該フラットワイヤハーネスの芯線を被覆するリング状の被覆材を収納することができるスリット状の間隙をあけて一対の脚部を備えた押圧工具で前記被覆材除去部における芯線の幅方向の両側を押圧することを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、被覆材にレーザ光を照射することにより、細幅の切込溝が形成されて、この切込溝に仕切られた被覆材除去部を押圧工具で押圧することにより、被覆材が皮剥ぎされて、芯線の露出部を所望の箇所に形成することができる。切込溝を形成するレーザ光の照射条件は、電線サイズ、被覆材の被覆厚さ、被覆材の材質等に応じて設定することができ、芯線に傷を付けることなく高精度の加工を行うことができる。レーザ光の出力は、被覆材に細幅の切込溝を形成するだけでよいから小出力で済み、これにより、電線の熱影響層も少なくなる。
【0016】
さらに、前記切込工程では、前記フラットワイヤハーネスを横断する方向に第一の切込溝を一対形成するとともに、一対の該第一の切込溝を繋ぎ該フラットワイヤハーネスの芯線の軸線上を通る第二の切込溝を形成するので、フラットワイヤハーネスを横断する方向に第一の切込溝を形成することで、第一の切込溝に仕切られた被覆材除去部が形成され、フラットワイヤハーネスの芯線の軸線上を通る第二の切込溝を形成することで、被覆材除去部が第二の切込溝を境にして腹裂状に分割され、そして、押圧工具で被覆材除去部を押圧することにより、第二の切込溝が開口し、被覆材がきれいに皮剥ぎされ、芯線に被覆材が付着することを防止でき、不都合なく一の電線の芯線に他の電線を接続することができる。
【0017】
また、フラットワイヤハーネスの被覆材に、前記第一の切込溝の端部を繋ぎ該フラットワイヤハーネスの軸線方向に延びる第三の切込溝を一対形成するので、第三の切込溝を一対形成することで、複数の芯線が所定のピッチで配列されたフラットワイヤハーネスの被覆材に、切込溝で仕切られた矩形状の被覆材除去部を形成することができ、この被覆材除去部を押圧工具で押圧することにより、被覆材が皮剥ぎされて芯線が露出する。
【0018】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載のフラットワイヤハーネスの被覆材除去方法において、上記フラットワイヤハーネスが、複数の芯線が所定のピッチで配列されてなるフラットワイヤハーネスであって、かつ、前記一対の第一の切込溝が隣接する芯線のピッチの約半分の位置まで延びていることを特徴とする。
【0020】
また、レーザ光を照射することにより電線の被覆材に切込溝を形成し、該切込溝で仕切られた被覆材除去部を形成するレーザヘッドと、該被覆材除去部を押圧する押圧工具とを備えた被覆材除去装置では、被覆材除去部を形成するレーザヘッドと、被覆材除去部を押圧する押圧工具とを備えることで、レーザ光を照射して切込溝を形成する切込工程と、切込溝に仕切られた被覆材除去部を押圧するパンチ工程とが連続して行われ、短時間で効率良く被覆材の皮剥ぎが行われる。
【0022】
また、上記被覆材除去装置において、前記押圧工具は、その先端側に前記電線の芯線を進入させる一対の脚部を備え、該一対の脚部に前記被覆材除去部に対する押圧部が形成されていると、押圧工具で電線を押圧した際に、その先端側の一対の脚部の間に芯線が進入し、芯線の両側の被覆材除去部が押圧部に押し出される格好で皮剥ぎされる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置の第一の実施形態を示すものである。
【0025】
図1に示すように、被覆材12の除去工程は、レーザ光23を照射することにより細幅の切込溝15を形成する切込工程Aと、切込溝15に仕切られた領域である被覆材除去部14をパンチ(押圧工具)31で押圧するパンチ工程Bとからなっている。切込工程Aとパンチ工程Bとは、フラットワイヤハーネス(電線)10が固定されたワークテーブル25aを所定の方向に移動させることにより連続して行われるようになっている。
【0026】
フラットワイヤハーネス10は、導体である芯線11が所定のピッチで配列され、その外側が絶縁体である被覆材12で被覆されたものである。図1に示すフラットワイヤハーネス10は、5本の芯線11からなるフラットワイヤハーネス10である。端末部には、図示しないコネクタハウジングの端子収容室に挿入される端子が接続され、相手方のコネクタ(図示せず)と電気的に接続するようになっている。
【0027】
芯線11の構成材料は、特に限定されず、公知の導体材料が使用される。例えば、軟銅線、錫めっき銅線またはニッケルめっき銅線等が使用される。銅線にめっきを施したものは、耐食性及び耐熱性が向上するとともに、被覆材12である絶縁体との反応からも保護されて、電気的性質を長期に亘り維持することができる利益がある。
【0028】
被覆材12は、公知の押出機(図示せず)を用いて、芯線11に押出被覆することにより形成され、低融点(110℃〜200℃)の熱可塑性樹脂材料を構成材料としている。熱可塑性樹脂材料としては、様々な種類のものが公知になっているが、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。樹脂材料の種類によっては、可塑材が添加されたものや(ポリ塩化ビニル樹脂)、架橋処理が施されたもの(ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂)が用いられる。
【0029】
芯線11及び被覆材12の構成材料は、フラットワイヤハーネス10の使用用途、使用条件を考慮して選択されるものであり、特に限定されるものではない。また、フラットワイヤハーネス10のサイズ、被覆材12の被覆厚さ等についても、限定されるものではなく、任意に選択可能である。
【0030】
次に、被覆材除去方法について工程順に説明する。先ず、切込工程Aは、ワークテーブル25a(図5)上のフラットワイヤハーネス10の被覆材12にレーザ光23を照射して、被覆材12に切込溝15を入れて所望パターンの被覆材除去部14を形成する工程である。
【0031】
図1に示すように、被覆材除去部14は、フラットワイヤハーネス10の長手方向X及び幅方向(横断方向)Yの略中間部に略矩形状に形成されている。この被覆材除去部14は、切込溝15に仕切られた領域である。切込溝15は、芯線11の幅方向Yに延びる一対の横溝(第一の切込溝)15aと、一対の横溝15aの端部を繋ぎ長手方向(軸線方向)Xに延びる縦溝(第三の切込溝)15cと、芯線11の軸線上に形成された中溝(第二の切込溝)15bとからなっている。被覆材除去部14の大きさは、他の電線(図示せず)とのジョイント接続等を考慮して決定される。
【0032】
一対の横溝15aは、芯線11の幅方向Y外側にはみ出し、隣接する芯線11のピッチの約半分の位置まで延びている。縦溝15cは、横溝15aに繋がり芯線11の長手方向Xに延びている。
【0033】
また、芯線11の軸線上には、腹裂状の中溝15bが形成されている。この中溝15bは、一対の横溝15aに対して垂直に、一対の縦溝15cに対しては、平行に形成されており、フラットワイヤハーネス10の片面のみに形成されている(図4)。上述した被覆材除去部14は、この中溝15bを境として両側に分割している。
【0034】
中溝15bは、軸線上に形成されるものであるゆえ、芯線11に被覆材12の付着がないように、被覆材12の被覆厚さ相当の切込深さに設定されている(図4(b))。中溝15bを片面のみに形成することにより、芯線11の幅方向Y両側に形成される被覆材除去部14は、中溝15bの反対側の片面で繋がり一体になっている。後述するパンチ工程Bにおいて、被覆材除去部14の両側をパンチ31で下向きに押圧することにより、中溝15bが幅方向Yに開口して芯線11から被覆材除去部14が一体的に連なって皮剥ぎされるようになっている(図4(c))。
【0035】
図4(a)に示すように、横溝15aの切込深さは、被覆材12の被覆厚に相当する寸法を目安とする。芯線11の外側に延びる横溝15aは、被覆材12を貫通している。このように、貫通させることにより、小さい皮剥ぎ抵抗で被覆材12の皮剥ぎを行うことができる。他方、図4(b)に示すように、縦溝15cは、皮剥ぎ形状を形成するきっかけになればよく、必ずしも貫通形成する必要はない。すなわち、縦溝15cの切込深さは、皮剥ぎのきっかけになる程度の切込みで十分である。
【0036】
図3は、切込溝15の加工軌跡を示したものであり、(a)はフラットワイヤハーネス10の加工軌跡を示し、(b)は単線40の加工軌跡を示したものである。加工軌跡は任意であり限定されるものではないが、一例として図3(a)に示すように加工される。レーザ光23は、加工点1から始まり加工点7で終わるまで連続的に照射される。加工点1→2及び加工点3→4の切込溝15が上述した横溝15aに相当し、加工点2→3及び加工点4→5の切込溝15が縦溝15cに相当し、加工点6→7の切込溝15が中溝15bに相当する。加工点1→7までのレーザ光23の照射は、所定の照射条件で行われる。矩形状の加工軌跡は、加工光学系22(図5)を2軸方向(X−Y方向)に移動させることにより形成される。
【0037】
このような切込溝15を形成するには、芯線11の傷付き等が防止され、短時間で精度良く加工を行うことができるCO2レーザ加工機21で行うのが好ましい。小出力のCO2レーザ加工機21では、芯線11の構成材料である銅に対する悪影響が極めて少なく、高精度の加工を行うことができるからである。従って、芯線11上を横断する横溝15aの切込深さを、被覆材12の被覆厚と同等にしても問題はない。
【0038】
切込工程Aに続くパンチ工程Bは、被覆材除去部14を芯線11から皮剥ぎする工程である。このパンチ工程Bは、昇降自在に動作する図示しないラムと、ラムの先端部に固定されるパンチ31とを備えたパンチ加工機(図示せず)によって行われる。
【0039】
図1に示すパンチ31は、その先端側に芯線11を奥側に進入させる一対の脚部33a,33bを備え、一対の脚部33a,33bの先端部に被覆材除去部14を押圧する押圧部32a,32bが形成されている。パンチ31は、被覆材除去部14を押圧して皮剥ぎするものであるゆえ、被覆材除去部14の大きさに対応する寸法に設定されている。
【0040】
図4(c)に示すように、一対の脚部33a,33bの間に形成されるスリット状の間隙W1は、芯線11を被覆するリング状の被覆材12を収容することができる寸法に設定されている。この間隙W1は、被覆材除去部14を皮剥ぎすることができる寸法であれば問題ないが、間隙W1が小さすぎると、一対の脚部33a,33bの間隙W1に芯線11が進入できないため、リング状の被覆材12の外径を目安に間隙W1の寸法が定められている。
【0041】
一対の脚部33a,33bの先端部には、押圧部32a,32bが形成されているから、パンチ31を被覆材除去部14に押し付けた際に、中溝15bが開口して被覆材12から芯線11が剥き出され、その芯線11が一対の脚部33a,33bの間に進入し、芯線11の両側の被覆材12が押圧部32a,32bに押し出される格好で皮剥ぎされる。
【0042】
図2に示すように、フラットワイヤハーネス10から被覆材12が皮剥ぎされると、芯線11の両側に一対の窓部17a,17bが形成される。窓部17a,17bの中間部には、芯線11が露出している。皮剥ぎされた被覆材チップ18は、一体的に連なって排出されている。
【0043】
図5は、被覆材除去装置20の一部をなすCO2レーザ加工機21の基本構成を示したものである。CO2レーザ加工機21は、レーザ発振器(レーザヘッド)22aを有する加工光学系22と、ワークテーブル25aにフラットワイヤハーネス10を固定する加工物系25とから構成されている。ワークテーブル25aの二軸座標値、テーブル送り速度、レーザ光23の照射条件は、インターフェースを介して加工光学系22に接続される端末装置26から入力される。
【0044】
CO2レーザ加工機21の加工光学系22は、レーザ光23を発振するレーザ発振器22aと、レーザ発振器22aにより発振されたレーザ光23の光路を変えるミラー22bと、ミラー22bからのレーザ光23が集光される集光レンズ22cとを備えている。集光レンズ22cはノズル24内に収納されている。被覆材12は、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を構成材料としているため、アシストガスの供給は不要である。
【0045】
CO2レーザ加工機21は、小出力でスポットの小さいレーザ光23を照射して幅狭の溝加工(スクライビング)を高精度に行うことができるゆえ、フラットワイヤハーネス10等の切込溝15の形成に好適する。なお、CO2レーザ加工機21の他に種々のレーザ加工機を使用することもでき、小出力のYAGレーザ加工機を用いて加工を行なうこともできる。
【0046】
ミラー22bは、レーザ光23の光路を変えるための反射鏡である。反射鏡の素材には、銅やベリリウム銅を素材として鏡面仕上げしたものや、鏡面に金や銀をコートしたものが用いられる。集光レンズ22cは、レーザ光23を集光照射するための光学部品である。集光レンズ22cによって、ビーム形状、ビーム径、焦点距離、スポット径等を適宜変更できるため、電線サイズ等に応じて加工に適した集光レンズ22cが使用される。
【0047】
加工物系25は、レーザ光23が照射されるフラットワイヤハーネス10と、フラットワイヤハーネス10を固定し二軸方向に駆動するワークテーブル25aとを備えている。加工光学系22と加工物系25との位置関係を決定する駆動機構には、加工物系25を固定し加工光学系22を移動(走査)する方式を採用している。溝を形成した後は、X−Yテーブルを操作して、フラットワイヤハーネスをパンチ31位置まで移動させる。他の駆動方式として、加工光学系22を固定し、ワークテーブル25aをNCコントローラで2軸方向に移動する方式としてもよい。
【0048】
図6及び図7は、本発明の第二の実施形態を示したものである。第一の実施形態と同一構成部分については、同一符号を付して説明を省略する。本実施形態の被覆材除去方法では、第一の実施形態と同一の被覆材除去装置20を利用する点で共通している。第一の実施形態と相違する点は、加工対象がフラットワイヤハーネス10ではなく、単線(電線)40である点である。
【0049】
単線40は、芯線41と、芯線41の周囲を被覆する被覆材42とからなっている。芯線41の構成材料には軟銅等が用いられ、被覆材42の構成材料にはポリ塩化ビニル樹脂等が用いられている。単線40の端末部は、カッタ等により皮剥ぎされて端子金具(図示せず)が接続されるようになっている。
【0050】
図6に示すように、被覆材除去部44は、単線40の長手方向Xの略中間部に形成されている。この被覆材除去部44は、切込溝46に仕切られた領域である。切込溝46は、単線40の円周方向の一対の横溝46a(第一の切込溝)と、一対の横溝46aに垂直に繋がり単線40の軸線上に形成された中溝46b(第二の切込溝)とから形成されている。
【0051】
図3(b)には、切込工程Aにおける切込溝46の加工軌跡が示されている。加工軌跡は任意であり限定されるものではないが、一例として図3(b)に示すように加工される。加工点1はレーザ光23の照射開始点であり、レーザ光23を単線40の幅方向Yに真っ直ぐ横断させ加工点2で照射を一旦終了し、同様にして、加工点3から加工点4までレーザ光23を照射して、一対の横溝46aが形成される。次に、軸線上を加工点5から加工点6までレーザ光23を照射することで中溝46bが形成される。
【0052】
中溝46bは単線40の片面にのみ形成され、中溝46bを境にして被覆材除去部44は、両側の被覆材42に分割されている。図6に示すように、パンチ工程Bにおいては、両側の被覆材42をパンチ31の一対の脚部33a,33bで押圧することにより、被覆材42が芯線41から皮剥ぎされて、芯線41が露出するようになっている。
【0053】
図7に示すように、一対の脚部33a,33bの間隙W2は、第一の実施形態の間隙W1(図4)より僅かに幅狭になっている。間隙W2が、単線40の外径と略等しい寸法に設定すると、被覆材除去部44の皮剥ぎをすることができないからである。被覆材除去装置20の説明は、第一の実施形態と同様であるため省略する。
【0054】
なお、レーザ光23をフラットワイヤハーネス10または単線40の両面から照射して切込溝15,46を形成してもよい。また、凹部を有するダイス(図示せず)をパンチ31と対向するように配置させて、パンチ31とダイスの間にフラットワイヤハーネス10または単線40を挟むようにして被覆材12,42の皮剥ぎを行ってもよい。また、第一の実施形態及び第二の実施形態では、フラットワイヤハーネス10または単線40の中間部の被覆材12,42を皮剥ぎする実施形態を示したが、端末部の皮剥ぎも行うことができる。
【0055】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、電線に小出力のレーザ光を照射することにより、細幅の切込溝が形成され、この切込溝に仕切られた領域である被覆材除去部を押圧工具で押圧することにより、被覆材が高精度に皮剥ぎされるから、芯線切れ等の損傷や被覆材の付着を生じることなく、芯線の露出部を所望の箇所に形成することができ、また、切込溝を形成するレーザ光の照射条件を、被覆材の厚さ、被覆材の材質等に応じて設定することができるから、種々の電線サイズの皮剥ぎに適用することができる。従って、電線の品質安定性が向上し、また、加工の自由度が大きく汎用性が向上する。
【0056】
さらに、電線を横断する方向に第一の切込溝が形成され、電線の軸線上に第二の切込溝が形成されるから、第一の切込溝に仕切られた被覆材除去部は第二の切込溝を境にして腹裂状に分割されて、押圧工具で被覆材除去部を押圧することにより、第二の切込溝が開口し、第一の切込溝に沿って被覆材がきれいに皮剥ぎされる。従って、電線の芯線に傷が付いたり、被覆材が付着することを防止でき、電線の品質安定性が向上する。
【0057】
またフラットワイヤハーネスの被覆材に第三の切込溝が一対形成されるから、切込溝で仕切られた矩形状の被覆材除去部を押圧工具で押圧することにより、被覆材が皮剥ぎされて芯線が露出する。従って、フラットワイヤハーネスの被覆材の除去を高能率、高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置の第一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電線の被覆材除去方法で被覆材を除去した状態を示す斜視図である。
【図3】同じく電線の被覆材除去方法における切込工程での加工軌跡を示し、(a)はフラットワイヤハーネスに対する加工軌跡、(b)は単線に対する加工軌跡を示す説明図である。
【図4】図1のフラットワイヤハーネスの断面図を示し、(a)はA−A線に沿う断面図、(b)はB−B線に沿う断面図、(c)は(b)に示す被覆材を皮剥ぎした状態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る被覆材除去装置の第一の実施形態におけるレーザ加工機の基本構成を示す図である。
【図6】本発明に係る電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置の第二の実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6に示す電線の断面図である。
【図8】従来の電線の被覆材除去方法及び被覆材除去装置の一例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10 フラットワイヤハーネス(電線)
11 芯線
12 被覆材
14 被覆材除去部
15 切込溝
15a 横溝(第一の切込溝)
15b 中溝(第二の切込溝)
15c 縦溝(第三の切込溝)
20 被覆材除去装置
21 レーザ加工機
22a レーザ発振器(レーザヘッド)
23 レーザ光
25 加工物系
31 パンチ(押圧工具)
33a,33b 脚部
A 切込工程
B パンチ工程

Claims (2)

  1. 被覆材を皮剥ぎし、所要箇所に芯線を露出させる、フラットワイヤハーネスの被覆材除去方法において、
    前記被覆材にレーザ光を照射して切込溝を入れることにより、所望パターンの被覆材除去部を形成する切込工程と、該被覆材除去部を押圧工具で押圧するパンチ工程とを経て、被覆材を除去して形成された窓部に芯線を露出させるフラットワイヤハーネスの被覆材除去方法であって、
    前記切込工程では、前記フラットワイヤハーネスを横断する方向に延びる一対の第一の切込溝、一対の該第一の切込溝を繋ぐ該フラットワイヤハーネスの芯線の軸線上を通る第二の切込溝、および、前記第一の切込溝の端部を繋ぎ該フラットワイヤハーネスの軸線方向に延びる第三の切込溝を一対形成し、かつ、
    前記パンチ工程では、前記切込溝を有する側から、該フラットワイヤハーネスの芯線を被覆するリング状の被覆材を収納することができるスリット状の間隙をあけて一対の脚部を備えた押圧工具で前記被覆材除去部における芯線の幅方向の両側を押圧する
    ことを特徴とするフラットワイヤハーネスの被覆材除去方法。
  2. 上記フラットワイヤハーネスが、複数の芯線が所定のピッチで配列されてなるフラットワイヤハーネスであって、かつ、
    前記一対の第一の切込溝が隣接する芯線のピッチの約半分の位置まで延びている
    ことを特徴とする請求項1に記載のフラットワイヤハーネスの被覆材除去方法。
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