JP3795578B2 - 受信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スキャン動作を、見かけ上で、高速で行ない得るようにした受信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周波数掃引して所定電界強度以上の受信局を検出すると掃引を停止して該受信局の受信を行なうスキャン機能を備えた受信機にあっては、スキャン信号により周波数掃引を開始して次の受信局が検出するまで掃引がなされる。そこで、次の受信局が検出されるまでには、いくばくかの時間が掛かる。
【0003】
また、実開昭59−81140号にて提案される技術は、以下のごときものである。まず、受信機に2つの受信部が設けられる。そして、一方の受信部でバンドの全範囲が周波数掃引されて所定電界強度以上の受信局が全て検出され、検出された受信局に応じたデータがメモリー手段に記憶され、かかる動作が繰り返して行なわれる。そして、他方の受信部は、選局操作によりメモリー手段に記憶された適宜なデータが読み出され、該データに応じた受信局に受信制御される。かかる技術は、一方の受信部で検出された受信局をプリセットし、これらのプリセットされた受信局が他方の受信部で選局操作により選択されて受信されるものである。受信できる受信局が変化し易い状況で用いられる場合に、常に良好に受信できる受信局のみがプリセットされた状態となり、車載用のラジオ受信機等として好適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のスキャン機能を備える従来の受信機にあっては、所定電界強度の受信局を確実に検出するためには、検出回路の応答速度等の点から、無闇に周波数掃引速度を速くすることはできない。そこで、次の受信局が検出されるまでの動作時間を短かくするには限度がある。
【0005】
また、実開昭59−81140号に示される技術は、プリセットによる選局機能に関するものであって、本発明のごときスキャン機能の改善を図るものでない。そして、周波数掃引してスキャン動作しプリセットする一方の受信部と、選局操作で受信制御される他方の受信部とは、同調周波数につきなんら関連性がなく、選局操作される受信部において実質上または見かけ上のいずれでもスキャン機能はなし得ない。さらに、バンドの全範囲が周波数掃引されて検出された受信局に応じたデータが記憶されるメモリー手段として、検出された受信局の数のデータを記憶できるだけの容量が必要である。
【0006】
本発明は、上述のごとき従来の技術を基礎知識として、スキャン動作を高速でなし得るようにした受信機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の受信機は、主受信部と、この主受信部の同調周波数より先行する周波数を掃引して所定電界強度以上で前記同調周波数の次の受信局を検出すると掃引を停止するスキャン機能を有する副受信部と、この副受信部のスキャン機能で検出された前記次の受信局に応じたデータを記憶するメモリー手段と、チャンネルコントローラと、を備え、前記チャンネルコントローラは、前記副受信部がスキャン機能で前記次の受信局を検出するとこれに応じた前記データを前記メモリー手段に書き込み、スキップ信号が与えられると、前記メモリー手段から前記データを読み出して該データにより前記主受信部で前記次の受信局を受信するようになすとともに、前記副受信部のスキャン機能を再び動作開始させるように構成されている。
【0008】
そして、前記主受信部に、周波数掃引して所定電界強度以上の受信局を検出すると掃引を停止するスキャン機能を設け、前記チャンネルコントローラは、前記スキップ信号が与えられたときに、前記メモリー手段に前記副受信部で検出された前記次の受信局のデータが書き込まれていなければ、前記主受信部のスキャン機能を動作開始させるように構成しても良い。
【0009】
さらに、前記チャンネルコントローラは、スキャン信号が与えられると、前記主受信部のスキャン機能を動作開始させ、スキップ信号が与えられると、前記メモリー手段に前記データが書き込まれていれば該データにより前記主受信部を受信制御し、前記データが書き込まれていなければ前記主受信部のスキャン機能を動作開始させるように構成することもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の受信機の一実施例につき、図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の受信機の一実施例のブロック回路図であり、図2は、本発明の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0011】
まず、本発明の受信機のブロック回路につき図1を参照して説明する。アンテナ10の出力信号が、第1高周波増幅器20と第2高周波増幅器50に与えられる。第1高周波増幅器20の出力信号は、第1混合器22と第1中間周波増幅器24と第1検波器26と低周波増幅器28を介してスピーカ30から拡声される。そして、第1混合器22に与えられる第1局部発振信号は、第1電圧制御発振器32と第1プリスケラー34と第1分周器36と第1位相比較器38と第1基準波発生器40および第1ローパスフィルタ42とからなる第1PLLによって制御される。これらの第1高周波増幅器20からスピーカ30に至る系路および第1PLLにより、主受信部90が構成されている。
【0012】
また、第2高周波増幅器50の出力信号は、第2混合器52と第2中間波増幅器54を介して第2検波器56に与えられ、受信電界強度に応じた信号が出力される。そして、第2混合器52に与えられる第2局部発振信号は、第2電圧制御発振器62と第2プリスケラー64と第2分周器66と第2位相比較器68と第2基準波発生器70および第2ローパスフィルタ72とからなる第2PLLによって制御される。これらの第2高周波増幅器50から第2検波器56に至る系路および第2PLLにより、副受信部92が構成されている。
【0013】
さらに、中央演算装置からなるチャンネルコントローラ80より、第1分周器36と第2分周器66に、それぞれ適宜な周波数の局部発振信号を第1PLLおよび第2PLLから発生させるべく、データが与えられる。そして、第1検波器26の出力信号の一部は、第1A/D変換器44でデジタル信号に変換されて第1チューニングコントローラ46に与えられる。この第1チューニングコントローラ46は、所定電界強度以上の受信局を検出すると、検出信号をチャンネルコントローラ80に与える。チャンネルコントローラ80は、主受信部90が周波数掃引するように第1分周器36に与えるデータを順次に変更し、第1チューニングコントローラ46から検出信号が与えられるとその時点で第1分周器36に与えていたデータを保持し、該受信局の受信が継続される。もって、主受信部90はスキャン機能を備えたものである。また、第2検波器56の出力信号は、第2A/D変換器74でデジタル信号に変換されて第2チューニングコントローラ76に与えられる。この第2チューニングコントローラ76は、所定電界強度以上の受信局を検出すると、検出信号をチャンネルコントローラ80に与える。チャンネルコントローラ80は、副受信部92が周波数掃引するように第2分周器66に与えるデータを順次に変更し、第2チューニングコントローラ76から検出信号が与えられるとその時点で第2分周器66に与えていたデータを保持するとともに該データをメモリーコントローラ82を介してメモリー84に書き込み記憶させる。もって、副受信部92もスキャン機能を備えたものである。なお、メモリーコントローラ82とメモリー84によりメモリー手段が構成されている。そして、スキップキー86よりスキップ信号がチャンネルコントローラ80に与えられ、またスキャンキー88よりスキャン信号がチャンネルコントローラ80に与えられると、後述のごとき動作を行なう。なお、スキップ信号は、スキップキー86の操作によってチャンネルコントローラ80に与えられるのみならず、主受信部90で受信している受信局の電界強度が所定値以下となったときにも自動的に発生される。また、スキップ信号は、スキャン動作によりある受信局が受信されてから所定時間内にスキャン動作を停止する操作(例えば、スキャンキー88の再操作)がなされないことによって、該所定時間の経過によって自動的に発生されるものであっても良い。そして、副受信部92は、受信信号の拡声は行なわない。
【0014】
次に、スキャン信号およびスキップ信号が与えられたときの動作につき、図2を参照して説明する。最初にスキャンキー88が操作等されてスキャン信号がチャンネルコントローラ80に与えられると(ステップ1)、チャンネルコントローラ80は主受信部90のスキャン機能を動作開始させる(ステップ2)。すなわち、チャンネルコントローラ80は、第1分周器36に与えるデータを順次に変更して、主受信部90の同調周波数を掃引させる。そして、所定電界強度以上の受信局が検出されて第1チューニングコントローラ46から検出信号が出力されるまで掃引が続けられる(ステップ3)。受信局が検出されて検出信号がチャンネルコントローラ80に与えられると、チャンネルコントローラ80は、その時点で第1分周器36に与えていたデータを保持し、主受信部90のスキャン動作を停止させるとともに(ステップ4)、主受信部90で当該受信局の受信を継続させる(ステップ5)。さらに、チャンネルコントローラ80は、主受信部90のスキャン動作の停止により、その時点で第1分周器36に与えていたデータを第2分周器66に与えるデータとし(ステップ6)、このデータから順次に変更されるデータを第2分周器66に与えて、副受信部92のスキャン機能を動作開始させる(ステップ7)。ここで、ステップ6において、主受信部90のスキャン動作の停止により、第1分周器36に与えていたデータをそのまま第2分周器66に与えるならば、副受信部92は主受信部90と同じ受信局をまず受信して第2チューニングコントローラ76から検出信号が出力され、スキャン動作が停止されることとなる。そこで、実際的には、このときの検出信号を無視するか、または第2分周器66に与えられるデータが第1分周器36に与えられたものより僅かに先行してずらされたものとなるように構成されている。この副受信部92のスキャン動作は、所定電界強度以上で主受信部90で受信している受信局より先行する次の受信局が検出されて第2チューニングコントローラ76から検出信号が出力されるまで続けられる(ステップ8)。このスキャン動作により次の受信局が検出されて、検出信号がチャンネルコントローラ80に与えられると、チャンネルコントローラ80は、副受信部92のスキャン動作を停止し(ステップ9)、その時点で第2分周器66に与えられていたデータをメモリー84に書き込み記憶させる(ステップ10)。なお、ステップ7,8で副受信部92でスキャン動作がなされている間に、スキップキー86が操作されてスキップ信号が与えられると(ステップ11)、チャンネルコントローラ80はステップ2に戻り、主受信部90のスキャン動作を再開させる。このステップ11でステップ2に戻る場合には、副受信部92のスキャン動作は停止される。
【0015】
また、ステップ5による主受信部90における受信局の受信の継続は、スキップキー86が操作されてスキップ信号が与えられるまで続けられる(ステップ12)。このスキップ信号が与えられたときに、既に副受信部92のスキャン動作により次の受信局が検出されてその受信局に応じたデータがメモリー84に記憶されていれば(ステップ13)、メモリー84のデータを読み出して第1分周器36に与えるデータとし(ステップ14)、メモリー84から読み出されたこのデータに応じた受信局を主受信部90で受信するステップ5に戻る。また、メモリー84から読み出されたデータを第2分周器66のデータとするステップ6に行き、副受信部92によるスキャン機能の動作を再開させる。そして、ステップ13で、スキップ信号が与えられたときに、副受信部92のスキャン動作により次の局が未だ検出されず、メモリー84に先行する受信局のデータが書き込み記憶されていなければ、ステップ2に戻り、主受信部90のスキャン動作が開始される。なお、スキャンキー88の再操作によりスキャン信号がチャンネルコントローラ80に与えられると、主受信部90の受信が継続され、スキャン機能は停止される。
【0016】
かかる構成および作用により、本発明の受信機は、主受信部90である受信局を受信している間に、副受信部92は先行して次の受信局をスキャン動作により検出して対応するデータが記憶されており、スキップ信号が与えられると、記憶されていたデータにより主受信部90で次の受信局を直ちに受信することができる。したがって、主受信部90のスキャン動作が、見かけ上は、スキャン動作時間なしで迅速に行なわれる。
【0017】
なお、上記実施例では、主受信部90もスキャン機能を備えており、スキャン信号が与えられたときと、副受信部92がスキャン動作中で未だ次の受信局が検出されずにデータがメモリー84に記憶されていないときにスキップ信号が与えられたときには、主受信部90のスキャン機能を動作開始させるように構成されている。しかしながら、本発明の受信機は、上記実施例に限られず、主受信部90はスキャン機能を備えていないものであっても良い。かかる場合には、スキャン信号により副受信部92のスキャン機能を動作開始させ、受信局が検出されると、この受信局を主受信部90で受信させる。さらに、副受信部92はスキャン動作が続行されてその次の受信局を検出させれば良い。そして、スキップ信号が与えられたときに副受信部92がスキャン動作中であれば、副受信部92が次の受信局を検出するまで主受信部90で従前の受信局の受信を維持させ、副受信部92で次の受信局を検出した時点で主受信部90でこの受信局を受信するように構成すれば良い。
【0018】
また、チャンネルコントローラ80を形成する中央演算装置は、チューニングコントローラ46,76およびメモリーコントローラ82の作用を含んで機能するものであっても良いことは勿論である。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明の受信機は、以下のごとき格別な効果を奏する。
【0020】
請求項1記載の受信機にあっては、主受信部である受信局を受信している間に、副受信部がスキャン動作により主受信部で受信している受信局の次の受信局を検出して対応するデータが記憶されるので、スキップ信号が与えられると、該データにより主受信部が直ちに次の受信局を受信できる。したがって、見かけ上は、スキャン動作時間が0であり、極めて動作の迅速なスキャン機能が得られる。そして、主受信部である受信局を受信している間に、副受信部で次の受信局を検出するので、副受信部の周波数掃引速度は遅くても良く、より確実に受信局の検出が可能である。また、メモリー手段は、副受信部で検出された次の受信局のデータを記憶できれば良く、容量が小さくて足りる。
【0021】
そして、請求項2記載の受信機にあっては、副受信部によるスキャン動作で次の受信局が検出される前にスキップ信号が与えられると、主受信部のスキャン機能を動作開始させるので、かかる場合には従来のスキャン機能を備えた受信機と同等の作用が得られる。また、主受信部の周波数掃引速度を速く設定し、副受信部の周波数掃引速度を遅く設定することもできるので、主受信部が受信している間は、副受信部で確実に次の受信局を検出し、主受信部が受信局を受信していない間または副受信部で次の受信局が検出されていない間にスキップ信号が与えられると、主受信部により迅速に次の受信局を検出するようにすることが可能である。
【0022】
さらに、請求項3記載の受信機にあっては、スキャン信号が与えられたときは、未だ副受信部のスキャン動作で受信局が検出されていない状態であり、主受信部のスキャン機能が動作開始されるので、従来のスキャン機能を備えた受信機と同等の作用が得られる。そして、主受信部の周波数掃引速度を速く設定するならば、スキャン信号により主受信部で迅速に受信局を検出してこれを受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の受信機の一実施例のブロック回路図である。
【図2】 本発明の動作の一例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
36,66 分周器
44,74 A/D変換器
46,76 チューニングコントローラ
80 チャンネルコントローラ
82 メモリーコントローラ
84 メモリー
86 スキップキー
88 スキャンキー
90 主受信部
92 副受信部
Claims (3)
- 主受信部と、この主受信部の同調周波数より先行する周波数を掃引して所定電界強度以上で前記同調周波数の次の受信局を検出すると掃引を停止するスキャン機能を有する副受信部と、この副受信部のスキャン機能で検出された前記次の受信局に応じたデータを記憶するメモリー手段と、チャンネルコントローラと、を備え、前記チャンネルコントローラは、前記副受信部がスキャン機能で前記次の受信局を検出するとこれに応じた前記データを前記メモリー手段に書き込み、スキップ信号が与えられると、前記メモリー手段から前記データを読み出して該データにより前記主受信部で前記次の受信局を受信するようになすとともに、前記副受信部のスキャン機能を再び動作開始させるように構成したことを特徴とする受信機。
- 請求項1記載の受信機において、前記主受信部に、周波数掃引して所定電界強度以上の受信局を検出すると掃引を停止するスキャン機能を設け、前記チャンネルコントローラは、前記スキップ信号が与えられたときに、前記メモリー手段に前記副受信部で検出された前記次の受信局のデータが書き込まれていなければ、前記主受信部のスキャン機能を動作開始させるように構成したことを特徴とする受信機。
- 請求項2記載の受信機において、前記チャンネルコントローラは、スキャン信号が与えられると、前記主受信部のスキャン機能を動作開始させ、スキップ信号が与えられると、前記メモリー手段に前記データが書き込まれていれば該データにより前記主受信部を受信制御し、前記データが書き込まれていなければ前記主受信部のスキャン機能を動作開始させるように構成したことを特徴とする受信機。
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