JP3794648B2 - 金属ラミネート用ポリエステル系フィルム、ならびにそれを用いたラミネート金属板および金属容器 - Google Patents

金属ラミネート用ポリエステル系フィルム、ならびにそれを用いたラミネート金属板および金属容器 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、清涼飲料缶、ビール缶、エアゾール缶などの缶壁部が長い金属缶用の金属材料のラミネートに好適なポリエステル系フィルムに関する。さらに詳しくは、耐衝撃性に優れており、例えば、自動販売機などでの衝撃による破れ(クラック)の発生が少ない金属ラミネート用ポリエステル系フィルムに関する。さらに本発明は、このフィルムを金属板にラミネートすることにより得られるラミネート金属板、および該ラミネート金属板を成形してなる金属容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、金属缶において金属成分が缶の内容物へ移行すること、および内容物により金属缶内面が腐食されることを防止するために塗装が施されている。最近、工程の簡素化、衛生性の向上、公害防止などの目的で有機溶剤を使用せずに、ブリキ、ティンフリースチール(錫を含まないスチールのことをいう)、アルミニウムなどの金属でなる板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工などにより製缶する方法の検討が進められている。このような熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリオレフィン系フィルムを用いることが試みられている。しかし、このようなポリオレフィン系フィルムは、成形加工性、耐熱性、耐フレーバー性などが不十分である。
【0003】
このような目的に、最近、ポリエステル系フィルムが注目されている。ポリエステル系フィルムは、成形加工性、耐熱性、耐フレーバー性などの特性のバランスがとれており、ポリオレフィン系フィルムに比べて高品質である。特に、金属板にポリエステル系フィルムをラミネートする際に、そのポリエステル系フィルムを多層化し、各層に機能を分担させる方法、例えば、接着性と保護性とを分担した2層タイプの複合フィルムとして、耐熱性、接着性、成形性、耐フレーバー性、耐衝撃性などの特性のバランスをとる試みがなされているが、市場での要求を満足させるレベルまで達することは困難であった。特に、耐衝撃性と他の特性とのバランスをとることが大きな課題となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決するものであり、その目的は、他の特性を低下させることなく、耐衝撃性が改良された、金属ラミネート用ポリエステル系フィルムを提供することにある。本発明の目的はまた、このフィルムを金属板にラミネートすることにより得られるラミネート金属板、および該ラミネート金属板を缶状に成形してなる金属容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0006】
本発明の金属ラミネート用ポリエステル系フィルムは、酸化防止剤0.01〜5重量%を含むポリエステル組成物より形成される。
【0007】
本発明のラミネート金属板は、上記フィルムが、金属板にラミネートされている。
【0008】
本発明の金属容器は、上記ラミネート金属板を成形してなる。
【0009】
以下に、本発明について詳しく説明する。
【0010】
本発明に用いられるポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸のいずれもが用いられ得る。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などがある。脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸などがある。脂環式ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸などがある。これらは単独または2種以上で使用することができる。
【0011】
上記ジカルボン酸成分の中で、耐フレーバー性の低下が少ない点で、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が好ましく用いられ得る。
【0012】
本発明に用いられるポリエステルを構成するジオール成分としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオールおよびエーテル結合含有ジオールのいずれもが用いられ得る。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカンメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどがある。脂環式ジオールとしては、シクロヘキサンジメタノールなどがある。エーテル結合含有ジオールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどがある。これらは単独または2種以上で使用することができる。
【0013】
本発明に用いられるポリエステルは、通常、上記ジカルボン酸およびジオールから形成され得る。組み合わせて用いられるジカルボン酸成分およびジオール成分の種類および含有量は、所望のフィルム特性、経済性などに基づいて適宜決定され得る。本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびこれらの共重合体が好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体が好ましい。具体的には、上記ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸とエチレングリコールとからなり、上記ポリブチレンテレフタレートは、テレフタル酸とブタンジオールとからなり、そして上記ポリエチレンナフタレートは、ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとからなる。
【0014】
上記ポリエステルは、1種類で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。一般には、本発明に用いられるポリエステルはその構成成分のうち70モル%以上がエチレンテレフタレート単位よりなることが好ましい。エチレンテレフタレート単位が70モル%未満では、得られるフィルムの耐熱性が低下し、例えば金属板にラミネートする場合の加工時にフィルムが伸びたり、熱収縮による幅縮少が起こり、あるいはシワが発生したりするため、緩和なラミネート条件が必要になり、生産性が低下する。あるいは、ポリエステルの原料費が高くなり経済的に不利となる。
【0015】
本発明に用いられるポリエステルは、いずれも従来の方法により製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法;ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交換法などを用いてポリエステルまたは共重合ポリエステルが調製される。これらの方法はそれぞれ、回分式および連続式のいずれの方法で行ってもよい。あるいは、分子量を高めるために固相重合法を用いてもよい。ポリエステル中のオリゴマー量を低減させるためには、固相重合法、抽出法などを採用することが好ましい。
【0016】
本発明に用いられるポリエステル組成物には、得られるフィルムの耐衝撃性を向上させるために、酸化防止剤が配合される。
【0017】
本発明に用いられる酸化防止剤としては、一次酸化防止剤(これは、フェノール系またはアミン系のラジカルの捕捉や連鎖停止作用を有する)、および二次酸化防止剤(これは、リン系、イオウ系などの過酸化物分解作用を有する)が挙げられ、これらのいずれも用いられ得る。具体例としては、フェノール系酸化防止剤(例えば、フェノールタイプ、ビスフェノールタイプ、チオビスフェノールタイプ、ポリフェノールタイプなど)、アミン系酸化防止剤(例えば、ジフェニルアミンタイプ、キノリンタイプなど)、リン系酸化防止剤(例えば、ホスファイトタイプ、ホスホナイトタイプなど)、イオウ系酸化防止剤(例えば、チオジプロピオン酸エステルタイプなど)などが挙げられる。具体的には、nーオクタデシルーβー(4'ーヒドロキシ-3,5'-ジーt-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレンー3ー(3',5'-ジーt-ブチルー4'ーヒドロキシフェニル)プロピオネート](これは、「イルガノックス1010」(商品名)として市販されている)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン(これは、「イルガノックス1330」(商品名)として市販されている)、トリス(ミックスドモノおよび/またはジノニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジ-ラウリル-チオジプロピオネート、ジ-ミリスチル-チオジプロピオネート、ジ-ステアリル-チオジプロピオネートなどが挙げられる。これらの酸化防止剤は、1種類で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、一次酸化防止剤と二次酸化防止剤とを併用することが好ましい。
【0018】
上記酸化防止剤のポリエステル組成物への配合もまた特に限定されない。例えば、ポリエステルの製造工程で配合する方法、ポリエステル系フィルムの形成時に配合する方法などがあり、その配合形態としては、上記酸化防止剤をポリエステルに直接配合し、溶融混練を行なう方法;高濃度の酸化防止剤を含むマスターバッチを予め作製しておき、そのマスターバッチを配合する方法などがある。
【0019】
上記酸化防止剤のポリエステル組成物中の含有量は、0.01〜5重量%である必要があり、0.05〜2重量%が好ましい。0.01重量%未満では、得られるポリエステル系フィルムの耐衝撃性が改良されず、5重量%を超える場合には、得られるポリエステル系フィルムの耐衝撃性がこれ以上向上しなくなり、フィルムの形成工程で酸化防止剤の飛散が生じ、フィルム形成装置を汚すおそれがあり、そして経済的にも不利となる。
【0020】
上記ポリエステル組成物には、上記酸化防止剤以外にも、必要に応じて、滑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤などの添加剤を配合させることも可能である。
【0021】
上記ポリエステル組成物の各種成分を混合したときの極限粘度は、0.5〜2.0の範囲であることが好ましく、0.55〜1.0の範囲であることが好ましい。ポリエステル組成物の極限粘度が0.5未満の場合には、得られるフィルムの力学特性が低下するおそれがあり、2.0を越える場合には、含有量に比例したフィルムの性能が得られず、また原料のポリエステルの生産性も落ちるので経済的ではない。
【0022】
本発明のポリエステル系フィルムは上記の要件を満足すれば未延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもどちらでもかまわない。延伸フィルムの場合は1軸延伸および2軸延伸のいずれでもかまわないが、等方性であることから2軸延伸フィルムが好ましい。上記フィルムの製造法も特に限定されない。例えば、延伸フィルムの場合は、Tダイ法、チューブラー法などのいずれの方法も適用できる。
【0023】
本発明のポリエステル系フィルムは、単層で用いてもよいし、2層以上の複層で用いてもよい。これらのうち各層に金属ラミネート用フィルムとして必要な主要機能を分担させた複層タイプが好ましい。例えば、保護層/柔軟層/接着層よりなる3層タイプ;および(保護+柔軟)層/接着層、または保護層/(柔軟+接着)層よりなる2層タイプが特に好ましい。
【0024】
上記保護層に用いられるポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体が挙げられる。上記柔軟層に用いられるポリエステルとしては、例えば、脂肪族ジカルボン酸の共重合体が挙げられる。上記接着層に用いられるポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体が挙げられる。各層の厚みは、用いるポリエステルの組成や要望される特性により変化するので、それぞれに適するように任意に設定されるべきであるが、例えば、3層タイプの場合は、保護層/柔軟層/接着層=1〜20μm/3〜60μm/1〜15μmの範囲で設定することが好ましく、2層タイプの場合は、(保護+柔軟)層/接着層、または保護層/(柔軟+接着)層=1〜20μm/5〜60μmの範囲で設定することが好ましい。
【0025】
本発明のポリエステル系フィルムを、上記のように複層で用いる場合、上記酸化防止剤は、特に限定されないが、柔軟層に含有させることが好ましい。
【0026】
上記ポリエステル系フィルムの金属板へのラミネート法も特に限定されず、例えば、ドライラミネート法、サーマルラミネート法などを採用することができる。特に、ポリエステル系フィルムの上に、接着層を積層した多層フィルムを共押出し法で製造し、金属板を通電加熱することによりサーマルラミネートする方法が好ましい。フィルムのラミネートは片面であっても両面であってもどちらでもかまわない。両面ラミネートの場合は同時にラミネートしても逐次でラミネートしてもよい。
【0027】
上記ラミネート金属板を用いて金属容器を成形する法もまた、特に限定されない。金属容器の形態としては、2ピース缶、または3ピース缶のいずれにも適用できるが、2ピース缶に適用するのが特に有用である。2ピース缶の製造方法には、浅絞り法、再絞り法、絞りしごき法、絞りストレッチ法などが挙げられ、3ピース缶の製造方法には、はんだ法、溶接法、接着法などが挙げられる。
【0028】
次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されず、前述の趣旨を逸脱しない限り、いずれも本発明の技術的範囲に入る。
【0029】
【実施例】
実施例および比較例で用いた測定方法は次のとおりである。
【0030】
(1)融点(Tm)およびガラス転移点(Tg)
示差走査型熱量計を用いて求める。サンプルを300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷する。このサンプル10mgを10℃/分の昇温速度で昇温した際に、ガラス状態からゴム状態への転移に基づく比熱変化を読みとり、この温度をガラス転移点(Tg)とした。結晶融解に基づく吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0031】
(2)接着性
厚み0.29mmのブリキ板とポリエステル系フィルムの接着層面とを重ね合せ、230℃に加熱した金属ロールとゴムロールとの間を圧力20kg/cm2で通過させた。通過後のフィルムとブリキ板とのラミネート品の接着力(ラミネート強さ)をテンシロンで測定した。
○:ラミネート強さが200g/cm以上
×:ラミネート強さが200g/cm未満。
【0032】
(3)ステック温度
所定の温度に加温した金属ロールに、上記(2)と同様の方法でブリキ板にラミネートしたラミネートフィルムのフィルム面を重ね合わせ、指先で押えたときの粘着による抵抗が急激に増大する温度を測定した。温度は5℃ずつ上げ、最後は1℃ずつ上げて評価し、ステック温度を求めた。
ステック温度が80℃未満では、製缶工程でポンチの粘着が起こり製缶の操業性が低下するので好ましくない。
【0033】
(4)耐熱性
上記(2)と同様の方法でブリキ板にラミネートしたラミネートフィルムを5cm×5cmに切断し、このフィルム面に100gの分銅を置き、200℃で5分間加熱した後の分銅の跡型の発生状況を目視で評価した。
○:分銅の跡型が見られなかった
×:分銅の跡型が見られた。
【0034】
(5)耐衝撃性
上記(2)と同様の方法でブリキ板にラミネートしたラミネートフィルムのフィルム面に、先端径4mm、重量0.4kgの錘を高さ30cmより垂直に落下し変形させ、この変形したフィルムを製缶のモデルとした。この製缶モデルラミネートフィルムを240℃で10分間熱処理した後、水をはったオートクレーブに入れて120℃で30分間加熱し、レトルトのモデル処理を行った。このレトルトモデル処理ラミネートフィルムの上記錘により変形した部分にブリキ板側より、底面が平坦で重量が0.4kgの錘を高さ24cmより垂直に落下させ、衝撃を与えた。この衝撃を与えたラミネートフィルムのフィルム側に塩化ビニル製のパイプを接着剤で接合し、この中に1%食塩水を入れ電極(陰極)を挿入し、ブリキ板を陽極として6Vの電圧をかけ30秒後の電流値(mA)を測定した。10回の測定値を、その平均値で表示した。0.2mA以下であることが好ましい。
【0035】
(6)熱処理後のしわ
上記(2)と同様の方法でブリキ板にラミネートしたラミネートフィルムをプレス機で100kg/cm2の圧力でプレス成形しカップを得た。このカップを200℃で5分間加熱した後のフィルムのしわの発生状態を目視で評価した。
○:しわの発生が見られなかった
×:しわの発生が見られた。
【0036】
(7)耐フレーバー性
後述の方法により得られるA層およびB層(およびC層)からなる複合フィルムのA層側を内面として10cm角のフィルムをインパルスシーラーで3方シールする。この3方シール袋にd−リモネン30mlを充填し、開封口をインパルスシーラーで密封する。この密封袋を40℃の恒温室で10日間静置し、d−リモネンの吸着を行う。この密封袋を開封しd−リモネンを排出させた後、未シール部分のフィルムを4cm角の大きさに切り出し、表面に付着しているd−リモネンをキムワイプ(商品名)できれいにふきとりフィルムの重量W1を測定する。このフィルムを60℃で24時間真空乾燥した後、再度フィルムの重量W2を測定する。
d−リモネンの単位重量あたりの吸着量を、次式により求め、重量%で表示した。
【0037】
【数1】
Figure 0003794648
【0038】
d−リモネンの単位重量あたりの吸着量が、2%以下のフィルムが実用的である。
【0039】
(実施例1)
A層レジン:平均粒径3μmの球状ゼオライト2000ppmを含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比95/5)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm245℃)
B層レジン:フェノール系酸化防止剤であるイルガノックス1330(チバガイギー社製)0.2重量%を含むテレフタル酸/炭素数36のダイマー酸(モル比90/10)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm=230℃、Tg=22℃)
C層レジン:平均粒径3μmの球状ゼオライト2000ppmを含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比83/17)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm=215℃)
上記A層レジン、B層レジンおよびC層レジンを、それぞれ別々の押出機で溶融させ、この溶融体をダイ間でA/B/C層の順に合流させた後、冷却ドラム上に押出して冷却させ、総厚み32μm(A層厚み:12μm、B層厚み:15μm、C層厚み:5μm)の未延伸積層フィルムを得た。得られた複合フィルムとブリキ板とのラミネートフィルム(C層面側をラミネート)を得た。このラミネート金属板の接着性、ステック温度、耐熱性、耐衝撃性、熱処理後のしわ、および耐フレーバー性を上記方法により測定し、その結果を表1に示す。以下の実施例2〜5および比較例1〜5の結果についても同様にして表1に示す。
【0040】
実施例1で得られた複合フィルムを用いてなるラミネート金属板は、接着性、製缶操業性、耐熱性、耐衝撃性、および耐フレーバー性の全ての特性に優れており、実用性の高いものであった。
さらに、このラミネート金属板を用いて、絞りしごき法で2ピース缶に成形したところ、成形の作業性は良好であった。この2ピース缶について、上記ラミネート金属板に対する測定方法と同様にして耐衝撃性および耐フレーバー性を評価したところ、良好な結果が得られた。
【0041】
(比較例1)
酸化防止剤であるイルガノックス1330を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムおよびラミネート金属板を得、実施例1と同様にして評価した。
比較例1で得られた複合フィルムを用いてなるラミネート金属板は、耐衝撃性に劣り実用性の低いものであった。このラミネート金属板を用いて絞りしごき法で2ピース缶に成形したところ、成形の作業性は良好であった。しかし、この2ピース缶について上記ラミネート金属板に対する測定方法と同様にして耐衝撃性を評価したところ、良好な結果は得られなかった。
【0042】
(実施例2)
A層レジン:平均粒径2.5μmの不定形シリカ700ppmを含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比85/15)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm220℃)
B層レジン:フェノール系酸化防止剤であるイルガノックス1010(チバガイギー社製)0.2重量%を含むテレフタル酸/炭素数36のダイマー酸(モル比90/10)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm=230℃、Tg=22℃)
C層レジン:平均粒径3μmの球状ゼオライト2000ppmを含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比80/20)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm=200℃)
上記A層レジン、B層レジンおよびC層レジンをそれぞれ別々の押出し機で溶融させ、この溶融体をダイ間でA/B/C層の順に合流させた後、冷却ドラム上に押出して冷却させて未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムをまず、縦方向に85℃で3.3倍、次いで横方向に100℃で3.4倍に延伸した後、170℃で熱セットを行い、総厚み30μm(A層厚み:9μm、B層厚み:18μm、C層厚み:3μm)の2軸延伸フィルムを得た。
【0043】
得られたフィルムを用いて実施例1と同様にして、ブリキ板とのラミネート金属板を得、実施例1と同様の方法にて評価した。実施例2で得られた複合フィルムを用いてなるラミネート金属板は、接着性、製缶操業性、耐熱性、耐衝撃性、耐フレーバー性のいずれの特性にも優れており、実用性が高いものであった。
【0044】
(比較例2)
酸化防止剤であるイルガノクス1010を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして延伸フィルムおよびラミネート金属板を得、実施例1と同様の方法にて評価した。
比較例2で得られた複合フィルムを用いてなるラミネート金属板は、耐衝撃性に劣り、実用性の低いものであった。
【0045】
(実施例3)
A層レジン:平均粒径3μmの球状ゼオライト2000ppmを含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比95/5)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm245℃)
B層レジン:フェノール系の酸化防止剤であるイルガノックス1330(チバガイギー製)0.2重量%を含むテレフタル酸/炭素数36のダイマー酸(モル比90/10)と1,4ブタンジオールとから得られた共重合ポリエステル(Tm204℃、Tg4℃)と、テレフタル酸/イソフタル酸(モル比88/12)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm225℃、Tg72℃)とを、重量比で8:2の割合で配合したブレンド物
C層レジン:平均粒径3μmの球状ゼオライトを2000ppm含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比83/17)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm215℃)
上記A層レジン、B層レジンおよびC層レジンをそれぞれ別々の押出機で溶融させ、この溶融体をダイ間でA/B/C層の順に合流させた後、冷却ドラム上に押出して冷却させ、総厚み32μm(A層厚み:12μm、B層厚み:15μm、C層厚み:5μm)の未延伸フィルムを得た。
【0046】
得られたフィルムを用いて実施例1と同様にして、ブリキ板とのラミネート金属板(C層側をラミネート)を得、実施例1と同様の方法にて評価した。実施例2で得られた複合フィルムを用いてなるラミネート金属板は、接着性、製缶操業性、耐熱性、耐衝撃性、耐フレーバー性のいずれの特性にも優れており、実用性が高いものであった。
さらに、このラミネート金属板を用いて、絞りしごき法で2ピース缶に成形したところ、成形の作業性は良好であった。この2ピース缶について上記ラミネート金属板に対する測定方法と同様にして耐衝撃性および耐フレーバー性を評価したところ、良好な結果が得られた。
【0047】
(比較例3)
酸化防止剤であるイルガノックス1330を添加しなかったこと以外は、実施例3と同様にして延伸フィルムおよびラミネート金属板を得、実施例1と同様の方法にて評価した。
比較例3で得られた複合フィルムを用いてなるラミネート金属板は、耐衝撃性に劣り、実用性の低いものであった。
【0048】
(実施例4)
A層レジン:平均粒径2.5μmの不定形シリカ700ppmを含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比85/15)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm220℃)
B層レジン:平均粒径2.5μmの不定形シリカ700ppmおよびイルガノックス1010(チバガイギー製)0.2重量%を含むテレフタル酸/炭素数36のダイマー酸(モル比85/15)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm220℃、Tg16℃)
上記A層レジンおよびB層レジンをそれぞれ別々の押出し機で溶融させ、この溶融体をダイ間で合流させた後、冷却ドラム上に押出し冷却させ、A/B層からなる二層構成の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムをまず、縦方向に85℃で3.3倍、次いで100℃で3.4倍に延伸した後、170℃で熱セットを行い、総厚み30μm(A層9μm、B層21μm)の2軸延伸フィルムを得た。
【0049】
得られたフィルムを用いて、ブリキ板とのラミネート金属板(B層側をラミネート)を得、実施例1と同様の方法にて評価した。実施例4で得られた複合フィルムを用いてなるラミネート金属板は、接着性、製缶操業性、耐熱性、耐衝撃性および耐フレーバー性のいずれの特性にも優れており、実用性が高いものであった。
【0050】
(比較例4)
酸化防止剤であるイルガノックス1010を添加しなかったこと以外は、実施例4と同様にして延伸フィルムおよびラミネート金属板を得、実施例1と同様の方法にて評価した。
比較例4で得られた複合フィルムを用いてなるラミネート金属板は、耐衝撃性に劣り、実用性の低いものであった。
【0051】
(実施例5)
A層レジン:平均粒径が3μmの球状の架橋ポリメチルメタクリル系樹脂ビーズ2000ppmを含む極限粘度が1.00のポリエチレンテレフタレート(Tm254℃)
B層レジン:フェノール系の酸化防止剤であるイルガノックス1010(チバガイギー製)を0.10重量%およびリン系(ホスファイトタイプ)の酸化防止剤であるアデカスタブTEP36(旭電化工業製)0.20重量%を含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比85/15)とエチレングリコールとから得られた共重合ポリエステル(Tm220℃)
上記A層レジンおよびB層レジンをそれぞれ別々の押出し機で溶融させ、この溶融体をダイ内で合流させた後、冷却ドラム上に押出して冷却させ、A/B層からなる二層構成の総厚み32μm(A層2μm、B層30μm)の未延伸フィルムを得た。
【0052】
得られたフィルムを用いてブリキ板とのラミネート金属板(B層側をラミネート)を得、実施例1と同様の方法にて評価した。実施例5で得られた複合フィルムを用いてなるラミネート金属板は、接着性、製缶操業性、耐熱性、耐衝撃性、耐フレーバー性のいずれの特性にも優れており、実用性が高いものであった。
【0053】
(比較例5)
酸化防止剤であるイルガノックス1010およびアデカスタブTEP36を添加しなかったこと以外は、実施例5と同様にして延伸フィルムおよびラミネート金属板を得、実施例1と同様の方法にて評価した。
比較例5で得られた複合フィルムを用いてなるラミネート金属板は、耐衝撃性に劣り、実用性の低いものであった。
【0054】
上記実施例1〜5および比較例1〜5の結果を以下の表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003794648
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、他の特性を低下させることなく、耐衝撃性に優れた、金属ラミネート用ポリエステル系フィルムを得ることができる。さらにこのフィルムをラミネートした金属板は、耐衝撃性を有するため、清涼飲料缶、ビール缶、エアゾール缶などの缶壁部が長い金属缶の製造に有用である。得られた金属容器は、耐衝撃性に優れるため、自動販売機などで販売される清涼飲料水用の缶、ビール缶などとして有用であり、缶内部のフィルムは内容物中への金属の移行を防止し、金属缶内部の腐食を防止する効果を有する。

Claims (3)

  1. 金属ラミネート用ポリエステル系フィルムであって、該フィルムが、保護層/柔軟層/接着層あるいは(保護層+柔軟層)/接着層、保護層/(柔軟層+接着層)の構成からなり、かつ該柔軟層にダイマー酸を酸成分とするポリエステルを含み、該柔軟層に酸化防止剤0.01〜5重量%を含むポリエステル組成物より形成される、金属ラミネート用ポリエステル系フィルム。
  2. 請求項1に記載のフィルムが金属板にラミネートされている、ラミネート金属板。
  3. 請求項2に記載のラミネート金属板を成形してなる、金属容器。
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