JP3794094B2 - フォークリフトの安定度試験用治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォークリフトの縦方向(前後方向)もしくは横方向(左右方向)における安定度試験である転角(転覆角)負荷試験を行う際に使用される治具に関し、さらに詳しくは、フォークリフトのキャリッジ(フィンガバー)に積荷荷重に代えて下向きの牽引荷重を作用させる際に使用される治具に関する。
【0002】
ここで、上記の試験は、負荷状態の車両を前方もしくは側方に傾けた場合に、転倒しない限界の勾配を見極めるために行われる。
【0003】
【従来の技術】
従来のフォークリフトの転角負荷試験、例えば車両前後方向での転角負荷試験としては、図16に示すように、ウエイト101を積んだ車両102を傾斜角台103上に停止させた上でフォーク105を最大揚高とし、傾斜角台103を徐々に傾斜させていった場合に後輪104が浮き上がった瞬間の傾斜角台103の角度を目視にて読み取るいわゆるウエイト積載方法が主流を占めている。なお、上記の試験はウエイト重量を変えて2〜3回実施される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなウエイト積載方式の試験では、定格荷重のウエイト101を積んだ上で最大揚高のまま車両102を傾けるために安全対策上必ずしも好ましくないばかりでなく、ウエイト101の保管および管理が面倒であり、また、規格の傾斜角度で試験することができないために、その規格の角度に対する転角負荷(荷重)は最終的に計算で算出する以外に方法がなく、規格の角度に対する転角負荷の値の精度向上に限界があるとされている。
【0005】
このようなことから、定格荷重のウエイトを実際に積んで行う試験法に代えて、例えば油圧式の荷重発生装置によりウエイトと同等の下向きの牽引荷重負荷を与えて試験を行うようにした方法が一部で提案されている。
【0006】
この方法は、キャリッジ(フィンガバー)もしくはフォーク側の荷重作用点とその下方の荷重発生装置側の荷重発生点とを、中間にロードセル等の荷重センサを介在させたチェーンで連結し、上記の荷重発生装置による牽引荷重を徐々に増加させる一方、キャリッジもしくはフォークに直接加わる荷重をチェーンの引張力として検出しながらこれを監視し、車両の後輪が浮き上がったタイミングでその時の荷重センサの指示値を転角負荷として自動記録するものである。
【0007】
この場合、牽引荷重の増大に伴って車両が傾くことから、このような姿勢変化にかかわらず、荷重発生装置側の荷重発生点とキャリッジもしくはフォーク側の荷重作用点とを結んだ線が常に鉛直状態になるように維持しないと、規格の角度に対する転角負荷(荷重値)の精度向上が望めず、したがって、特にキャリッジもしくはフォーク側の荷重作用点となる部分に何らかの工夫を施す必要がある。
【0008】
本発明は、以上のような課題に着目してなされたもので、上記のように荷重発生装置によりキャリッジに下向きに牽引荷重を負荷して安定度試験を行うにあたり、キャリッジ側に装着することによって、上記の荷重発生点と荷重作用点とを結ぶ線が常に鉛直状態となるように維持することができるようにした治具を提供しようとするものである。
【0009】
さらに、本発明は、前後方向の安定度試験のみならず左右方向の安定度試験にも対応することができ、さらに荷重中心(ロードセンタ)が異なる場合であっても二種類の荷重中心に対応することができる汎用性の高い治具を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、フォークリフトのキャリッジに積荷荷重に代えて下向きの牽引荷重を作用させて安定度試験を行うにあたり、前記キャリッジに装着されるとともに、途中に荷重センサを含む牽引荷重負荷用の索条体が連結される治具であって、治具本体には前記索条体が連結される入力部材が設けられていて、この入力部材が鉛直軸を含む直交三軸のそれぞれの軸心まわりの回転自由度を有していることを特徴としている。
【0011】
より具体的には、上記入力部材は内側フレームに対して上下方向の軸心まわりに回転可能に支持されているとともに、内側フレームは外側フレームに対して前記上下方向の軸心と直交する第1の軸心まわりに回転可能に支持されていて、さらに、外側フレームは治具本体に対して第1の軸心および前記上下方向の軸心と直交する第2の軸心まわりに回転可能に支持されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項2に記載の発明における外側フレームは治具本体に対して車両前後方向での位置が変更可能となっていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明における外側フレームは支持ブラケットに対して第2の軸心まわりに回転可能に支持されているとともに、支持ブラケットは前記治具本体に対しその上方から着脱可能に嵌合保持されていて、支持ブラケットの前後方向もしくは上下方向の向きを反転させることにより治具本体に対する外側フレームの位置が変更可能となっていることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、治具本体側の前後一対の位置決め基準部に対応して支持ブラケットの前後二箇所に設定された位置決め基準部同士のなすスパンの中心に対して上記の第2の軸心が前後いずれかにオフセットしていて、支持ブラケットの前後の向きを反転させることにより治具本体に対する外側フレームの前後方向での位置が選択的に変更可能となっていることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、支持ブラケットの前後の向きを反転させることにより変化する外側フレームの前後方向での位置変化量が、二種類の荷重中心の差と一致していることを特徴としている。
【0016】
したがって、請求項1に記載の発明では、治具本体に支持された入力部材が直交三軸の回転自由度を有していることから、試験対象となる車両の傾き変化に対して荷重作用点となる入力部材が忠実に追従し、その入力部材と荷重発生装置側の荷重発生点とを結んでいる索条体が常に鉛直状態となるように保持される。
【0017】
また、請求項2に記載の発明のように、入力部材を支持している外側フレームが治具本体に対して前後方向での位置が変更可能であるため、試験対象となる荷重中心(フォークに積載した荷重の重心位置からフォークの垂直前面までの距離)の値が異なったとしても、上記のように外側フレームの位置を変更することで荷重中心の違いに対応することができる。
【0018】
特に、請求項3,4に記載の発明のように、支持ブラケットが治具本体に対して着脱可能となっていることにより、支持ブラケットを前後反転もしくは上下反転させるだけで上記の荷重中心の違いに対応できることになる。
【0019】
そして、請求項5に記載の発明のように、支持ブラケットの向きを前後反転させたときの外側フレームの位置変化量が二種類の荷重中心の差と一致していることにより、支持ブラケットの向きを変えるだけで実質的にワンタッチで二種類の荷重中心のいずれかに選択的に切り換えることができる。
【0020】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、治具本体に支持されて、牽引荷重負荷用の索条体が連結されることになる入力部材が直交三軸の回転自由度を有していることから、試験対象となる車両の傾きが変化しても上記の入力部材の自由度のために索条体を常に鉛直状態に維持することができ、正確な試験を行うことができるとともに、その試験データの信頼性が大幅に向上する。
【0021】
しかも、上記の入力部材の直交三軸の回転自由度のために、共通の治具を用いながら車両前後方向の安定度試験と左右方向の安定度試験を行うことができるため、試験時の段取り替え工数を大幅に削減できる効果がある。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、内側フレームを介して入力部材を支持している外側フレームが治具本体に対して前後方向での位置が変更可能となっているため、請求項2に記載の発明と同様の効果のほかに、その位置を変更することで荷重中心の違いにも容易に対応することができる効果がある。
【0023】
特に、請求項3,4に記載の発明によれば、上記の外側フレームが支持ブラケットを介して治具本体に着脱可能に支持されているため、単に支持ブラケットの前後もしくは上下の向きを反転させるだけで支持ブラケットに対する外側フレームの位置ひいては入力部材の位置を変更することができ、結果的に荷重中心の変更をきわめて簡単に行える効果がある。
【0024】
また、請求項5に記載の発明によれば、上記のように支持ブラケットの前後の向きを反転させたときの外側フレームの位置変化量を二種類の荷重中心の差の値と一致するように予め設定してあるため、支持ブラケットの向きを変えるだけで荷重中心の位置が一義的に定まり、荷重中心の変更をより一層簡単に行える効果がある。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1〜図9は本発明の好ましい実施の形態を示す図であって、特に図5〜8は本発明の治具の使用を前提とする安定度試験装置すなわち転角負荷試験装置の概略を示している。
【0026】
図5,6に示すように、本実施形態の転角負荷試験装置は、大別して、フロア1上に設けられてヒンジ2の水平なヒンジピン3を回転中心として任意に傾動変位可能な傾斜角台4と、この傾斜角台4のヒンジ2側のフロア1上に立設された前後方向の転角負荷試験用の第1の荷重発生装置5と、前記傾斜角台4をはさんでその両側に対向配置された左右方向の転角負荷試験用の第2,第3の荷重発生装置6,7とから構成されている。
【0027】
そして、前記傾斜角台4は、試験対象となるフォークリフト(以下、車両という)Tを搭載した上で、ピット8内に設置されたリフトシリンダ(油圧シリンダ)9の伸縮作動に応じてヒンジピン3を回転中心として傾動変位するようになっている。
【0028】
図7は前記第1の荷重発生装置5の詳細を示しており、この第1の荷重発生装置5は鉛直姿勢の昇降用シリンダ(油圧シリンダ)10を駆動源として昇降動作する水平多関節型のアーム11を中心として構成されている。
【0029】
より詳しくは、フロア1上に鉛直姿勢のポスト12が立設されており、このポスト12に昇降用シリンダ10のシリンダチューブ13が外挿されているとともに、ポスト12と一体とピストン14によってシリンダチューブ13内が上下二つの圧力室15,16に画成されている。なお、ポスト12は、図5にも示すように、倒れ防止用の3本の傾斜したサポートロッド17によって支えられている。したがって、昇降用シリンダ10は、上記二つの圧力室15,16に導入される油圧を制御することにより、ポスト12およびピストン14を固定側としてシリンダチューブ13がポスト12に沿って昇降動作することになる。
【0030】
前記シリンダチューブ13にはブラケット18が一体に固定されているとともに、このブラケット18には鉛直なヒンジピン19が固定されていて、このヒンジピン19とベアリング20とを介してブラケット18に対し中間アーム21が旋回自在に連結されている。さらに、中間アーム21の先端側には同様にして鉛直なヒンジピン22が設けられており、このヒンジピン22とベアリング23とを介して、中間アーム21に対し先端アーム25が旋回自在に連結されている。すなわち、ブラケット18と中間アーム21および先端アーム25の三者を、ヒンジピン19,22とベアリング20,23とを介して相互に鉛直軸まわりに旋回自在に連結することにより、前記ヒンジピン結合部を関節とするいわゆる水平多関節型のアーム11が形成されている。
【0031】
なお、前記ブラケット18には上下二箇所にブッシュ部26が設けられており、このブッシュ部26がポスト12と平行に設けられたガイドロッド27にスライド可能に外挿されていて、結果的にポスト12に対するシリンダチューブ13の回り止めが施されている。
【0032】
そして、後述するように、前記先端アーム25の最先端の軸穴28が荷重発生点として機能して、図9に示すように、車両TのキャリッジCに装着された牽引アタッチメント60から垂下されて中間に荷重センサとしてロードセル29を含むチェーン(索状体)30がその軸穴28に連結されることになる。
【0033】
上記のロードセル29の出力は後述する後輪(操舵輪)の浮き上がり検出装置31の出力とともに制御盤32に取り込まれる。この制御盤32は、図9に示すように、各油圧シリンダ9,10等の油圧制御や速度制御のための各種操作部や表示ランプ等を含む操作盤33のほかに、計測信号処理回路34や荷重値の表示器35およびプリンタ36等が内蔵されており、上記のロードセル29の出力は計測信号処理回路34に取り込まれる。
【0034】
図8は前記第2,第3の荷重発生装置6,7の詳細を示しており、この第2,第3の荷重発生装置6,7は、ポスト37に昇降可能に案内支持された水平多関節型のアーム38と、そのアーム38の先端に装着されたトラニオンタイプの牽引用シリンダ(油圧シリンダ)39とを中心として構成されている。
【0035】
より詳しくは、フロア1上に鉛直姿勢のポスト37が立設されており、このポスト37に昇降ガイド40と一体となったブラケット41が昇降可能に案内支持されており、同時にブラケット41はポスト下部42とを連結しているチェーン43に所定の張力が加わるように、上部のクレーン44によってチェーン45を介して吊り下げ支持されている。なお、ポスト37は、図示しない建屋側の上部の梁によってもまた支えられている。
【0036】
前記ブラケット41には鉛直なヒンジピン46が固定されていて、このヒンジピン46とベアリング47とを介してブラケット41に対し中間アーム48が旋回自在に連結されている。さらに、中間アーム48の先端側には同様にして鉛直なヒンジピン49が設けられており、このヒンジピン49とベアリング50とを介して中間アーム48に対し先端アーム51が旋回可能に連結されていて、該先端アーム51の最先端にトラニオンタイプの牽引用シリンダ39が装着されている。
【0037】
つまり、第1の荷重発生装置5と同様にして、ブラケット41と中間アーム48および先端アーム51の三者を、ヒンジピン46,49とベアリング47,50とを介して相互に鉛直軸まわりに旋回自在に連結することにより、前記ヒンジピン結合部を関節とするいわゆる水平多関節型のアーム38が形成されている。
【0038】
なお、前記ブラケット41には上下2箇所にブッシュ部52が設けられており、このブッシュ部52がポスト37と平行に設けられたガイドロッド53にスライド可能に外挿されていて、結果的にポスト37に対するブラケット41の回り止めが施されている。
【0039】
そして、後述するように、前記牽引用シリンダ39のピストンロッド先端のクレビス54が荷重発生点として機能して、図8,9と同様に、車両TのキャリッジCに装着された牽引アタッチメント60から垂下されて中間にロードセル29を含むチェーン30がそのクレビス54に連結されることになる。
【0040】
図1〜4は図9に示した試験用治具である牽引アタッチメント60の詳細を示す図であって、この牽引アタッチメント60は、バックプレート61とこのバックプレート61から前方に張り出した治具本体としての左右一対のサイドアーム62とを中心として形成されていて、このサイドアーム62に後述する入力部材としての荷重入力軸67が支持されるようになっている。なお、左右のサイドアーム62はサポートプレート63,64によって水平状態となるように支えられている。そして、牽引アタッチメント60はバックプレート61を取付面として図6,9に示すようにキャリッジCの前面側に着脱可能に装着される。
【0041】
前記各サイドアーム62の内側面には互いに対向するようにブラケット受容溝66が形成されており、このブラケット受容溝66に対して後述するように、その上方から支持ブラケット79が着脱可能に嵌合保持されることになる。
【0042】
上記の荷重入力軸67はベアリング68およびアダプタ69を介してボックス状の内側フレーム70に回転可能に支持されており、その下端にはクレビス71が設けられている。そして、このクレビス71に対して後述するようにボルト・ナット72,73を介して荷重センサであるロードセル29が吊り下げ支持される。
【0043】
また、上記の内側フレーム70は荷重入力軸67と直交する水平なピン74(図4参照)とベアリング75とを介して同じく矩形状の外側フレーム76に回転可能に支持されており、さらに外側フレーム76は荷重入力軸67およびピン74の双方と直交する水平なピン77(図3参照)とベアリング78とを介して左右の支持ブラケット79に回転可能に支持されている。そして、上記の支持ブラケット79をサイドアーム62側のブラケット受容溝66にその上方から嵌合させることで、この支持ブラケット79を介して外側フレーム76がサイドアーム62に回転可能に支持されるかたちとなり、結果的に荷重入力軸67はそれ自体の軸心とピン74,77の直交三軸のそれぞれの軸心まわりに回転可能な自由度を有している。
【0044】
前記支持ブラケット79は、図1に示すように、位置決め基準部であるその前後の端面79aが相手側であるブラケット受容溝66の前後の端面66aに当接することでサイドアーム62に対する前後方向の位置決めがなされるものであるが、支持ブラケット79の前後の端面79a間のなすスパンの中心(支持ブラケット79の全長の中心)に対してベアリング78が嵌合する軸受穴の位置を前後いずれかにオフセットさせてある。
【0045】
すなわち、図1に示すa寸法とb寸法(b>a)とを互いに異ならしめてあることから、支持ブラケット79を左右で相互に入れ換えるか、もしくはその位置で180°回転させて前後位置を反転させることにより、上記のオフセット量(b−a)の倍の寸法だけサイドアーム62に対する外側フレーム76の位置が前後方向で変化するようになっている。
【0046】
その結果、例えば荷重中心が500mmの車両の安定度試験と荷重中心が600mmの車両の安定度試験とに牽引アタッチメント60を共通して使用しようとする場合に、上記のオフセット量を50mmに設定しておくことにより、左右の支持ブラケット79の前後を反転させることにより、共通の牽引アタッチメント60を使用して荷重中心が500mmの車両の安定度試験と荷重中心が600mm車両の安定度試験として対応できるようになっている。
【0047】
なお、図1〜4に示すように、荷重入力軸67の先端にはフック部80が設けられており、サイドアーム62への外側フレーム76の脱着に際して使用される。 次に、以上のように構成された転角負荷試験装置による試験手順について図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0048】
先ず、車両Tの前後方向の転角負荷試験に際しては、図6,9に示すように、車両TのキャリッジCに図1〜4に示した転角負荷試験専用の牽引アタッチメント60を装着するとともに、その牽引アタッチメント60の荷重入力軸67に荷重センサとしてのロードセル29を吊り下げ支持させる(図10のステップS1)。そして、予め水平姿勢にしてある傾斜角台4上に車両Tを乗り入れて停止させた上、ロードセル29の下端とアーム11の先端の軸穴28とを図11に示すような適当な長さのチェーン30で連結する(ステップS2,S3)。
【0049】
さらに、車両TのキャリッジCを任意の高さ位置例えば最大揚高位置にセットする一方(ステップS4)、アーム11を任意の高さ位置にセットする。この時、アーム11は図12に示すようにθ1がおよそ30°、θ2がおよそ60°となるように調整するのが望ましい。同時に、車両Tが転倒することがないように図示しないクレーンにて転倒防止対策を施しておく。
【0050】
続いて、後輪(操舵輪)Wの浮き上がり検出装置31を車両Tにセットする(ステップS5)。この浮き上がり検出装置31は、図13に示すように、略コ字状のフレーム57の両端に光電スイッチ58の投光器58aと受光器58bとを両者の光軸が互いに一致するように対向配置したもので、後輪Wが傾斜角台4に接地しているときに投受光器58a,58b間の投射光を遮るように設置しておけば、その後輪Wの浮き上がりと同時に上記の遮光状態が解除されて後輪Wの浮き上がりを速やかに検出することができる。そこで、図14に示すように、後輪Wが傾斜角台4と実際に接地している部分をはさんでその後輪車軸方向で投光器58aと受光器58bとが対向するように各後輪Wごとに図13に示す浮き上がり検出装置31をセットする。
【0051】
この後、図6に示す傾斜角台駆動用のリフトシリンダ9を作動させて、傾斜角台4が規格の角度となるように傾ける(ステップS6)。
【0052】
次いで、第1の荷重発生装置5の昇降用シリンダ10を高速作動させてチェーン30を下方に牽引し、表示器35に表示されるロードセル荷重値およびチェーン30の張り具合を確認しながらチェーン30に所定の張力を与える(ステップS7)。この時、アーム11とチェーン30との連結部である軸穴28が荷重発生点として機能し、同時に牽引アタッチメント60側の荷重入力軸67が荷重作用点として機能し、チェーン30に引張力として加わった荷重がロードセル29により検出されて制御盤32側の表示器35にリアルタイムで表示される。
【0053】
上記のようにチェーン30を下方に牽引した結果そのチェーン30が適度な張力をもつようになったならば昇降用シリンダ10を低速作動に切り換えて、チェーン30を介して車両TのキャリッジCになおも荷重を増加させながら下向きの負荷をかけ続ける(ステップS8,S9)。この時、負荷を受けた車両Tの沈み込み等のためにその車両Tの姿勢が変化したとしても、それに応じてアーム11を形成している中間アーム21や先端アーム25がヒンジピン19,22を中心として旋回して、荷重発生点であるところの先端アーム25とチェーン30との連結部(軸穴28)が水平面内で変位する。同時に、牽引アタッチメント60の荷重入力軸67は、直交三軸の回転自由度のために、それ自体の軸心もしくはピンク74、77を回転中心として揺動変位する。これにより、車両Tの姿勢変化やキャリッジCに負荷される荷重の大小にかかわらず、荷重発生点28と荷重作用点である荷重入力軸67とを結んでいるチェーン30の指向方向、すなわち荷重作用線の方向は常に鉛直状態に保たれる。
【0054】
車両Tに負荷をかけているうちに後輪Wのいずれか一方が浮き上がると、これを浮き上がり検出装置31の光電スイッチ58が検出する。この光電スイッチ58の出力を受けてブザーが鳴る一方で、第1の荷重発生装置5による牽引動作が自動停止するとともに、計測信号処理回路34では後輪Wの浮き上がりの瞬間のロードセル29の指示値をピークホールト機能によりホールドして記憶し、同時にその値をプリンタ36で印字して出力する(ステップS10,S11)。
【0055】
この時点では、車両Tは転倒しないまでも不安定な状態にあり、上記の牽引動作の自動停止後に速やかに牽引解除の操作を操作盤33のスイッチで行うことにより車両Tが元の状態に復帰して試験が終了する(ステップS12〜S14)。
【0056】
このように本実施形態によれば、車両Tを規定の角度に傾けた上、負荷を増加させながら後輪Wが浮き上がる瞬間の荷重を正確に実測することができ、その傾斜角と転角負荷との相関を示す試験データの信頼性がきわめて高いものとなる。
ここで、荷重中心が異なる車両Tの転角負荷試験を行うにあたっては、図1に示す牽引アタッチメント60のサイドフレーム62から荷重入力軸67を支持ブラケット79や外側フレーム76ごと一旦取り外した上で、左右の支持ブラケット79を相互に入れ換えるか、もしくは支持ブラケット79をそのままの位置で180度回転させることにより、支持ブラケット79の向きを前後反転させて、再度支持ブラケット79をサイドフレーム62側のブラケット受容溝66に嵌合させる。その結果、a寸法とb寸法の差すなわちオフセット量の倍の寸法だけ荷重入力軸67の位置が従前と比べて変化し、荷重中心が異なる車両Tの試験に柔軟に対応することができる。
【0057】
また、車両Tの左右方向の転角負荷試験については、第2,第3の荷重発生装置6または7を用いて基本的には上記と同様の手順にて行えばよく、牽引アタッチメント60を交換する必要はない。すなわち、牽引アタッチメント60の荷重入力軸67は前述したように直交3軸の回転自由度を有しているものであるから、転角負荷試験方向が前後方向(縦方向)から左右方向(横方向)に変わったとしてもそのままで試験を行うことができる。ただし、車両Tの姿勢としては、図15に示すようにヒンジピン3による傾斜角台4の回転中心に対して車両Tが傾斜し、かつ後下がり状態となるように設定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す牽引アタッチメントの分解斜視図。
【図2】同じく牽引アタッチメントの組立状態の斜視図。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図。
【図4】図3のB−B線に沿う断面図。
【図5】図1,2の牽引アタッチメントが適用される試験装置全体の平面説明図。
【図6】図5の正面説明図。
【図7】図5のD−D線に沿う断面図。
【図8】図5のE−E線に沿う断面図。
【図9】図6に示した試験装置のブロック回路図。
【図10】上記の試験装置による試験方法の処理手順を示すフローチャート。
【図11】図9の試験方法で使用されるチェーンの説明図。
【図12】第1の荷重発生装置におけるアームの平面説明図。
【図13】図9に試験方法で使用される後輪の浮き上がり検出装置の斜視図。
【図14】後輪の浮き上がり検出装置のセット時の説明図。
【図15】左右方向の転角負荷試験時の車両の姿勢を示す説明図。
【図16】従来の転角負荷試験方法を示す説明図。
【符号の説明】
5…第1の荷重発生装置
6…第2の荷重発生装置
7…第3の荷重発生装置
29…ロードセル(荷重センサ)
30…チェーン(索条体)
60…牽引用アタッチメント(試験用治具)
62…サイドフレーム(治具本体)
66…ブラケット受容溝
66a…前後の端面(位置決め基準部)
67…荷重入力軸(入力部材)
70…内側フレーム
74…ピン
76…外側フレーム
77…ピン
79…支持ブラケット
79a…前後の端面(位置決め基準部)
C…キャリッジ
T…フォークリフト(車両)
Claims (5)
- フォークリフトのキャリッジに積荷荷重に代えて下向きの牽引荷重を作用させて安定度試験を行うにあたり、前記キャリッジに装着されるとともに、途中に荷重センサを含む牽引荷重負荷用の索条体が連結される治具であって、
治具本体には前記索条体が連結される入力部材が設けられていて、この入力部材が鉛直軸を含む直交三軸のそれぞれの軸心まわりの回転自由度を有していて、
前記入力部材は内側フレームに対して上下方向の軸心まわりに回転可能に支持されているとともに、内側フレームは外側フレームに対して前記上下方向の軸心と直交する第1の軸心まわりに回転可能に支持されていて、さらに外側フレームは治具本体に対して第1の軸心および前記上下方向の軸心と直交する第2の軸心まわりに回転可能に支持されていることを特徴とするフォークリフトの安定度試験用治具。 - 前記外側フレームは治具本体に対して車両前後方向での位置が変更可能となっていることを特徴とする請求項1記載のフォークリフトの安定度試験用治具。
- 前記外側フレームは支持ブラケットに対して第2の軸心まわりに回転可能に支持されているとともに、支持ブラケットは前記治具本体に対しその上方から着脱可能に嵌合保持されていて、支持ブラケットの前後方向もしくは上下方向の向きを反転させることにより治具本体に対する外側フレームの位置が変更可能となっていることを特徴とする請求項2記載のフォークリフトの安定度試験用治具。
- 前記治具本体側の前後一対の位置決め基準部に対応して支持ブラケットの前後二箇所に設定された位置決め基準部同士のなすスパンの中心に対して上記の第2の軸心が前後いずれかにオフセットしていて、支持ブラケットの前後の向きを反転させることにより治具本体に対する外側フレームの前後方向での位置が選択的に変更可能となっていることを特徴とする請求項3記載のフォークリフトの安定度試験用治具。
- 前記支持ブラケットの前後の向きを反転させることにより変化する外側フレームの前後方向での位置変化量が、二種類の荷重中心の差と一致していることを特徴とする請求項4記載のフォークリフトの安定度試験用治具。
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