JP3794056B2 - スタータ用ハウジングの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スタータ用ハウジングの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スタータをエンジンへ取り付ける方法として、図10に示す様に、スタータ100のハウジング110に設けられたインロー筒部120をエンジン側壁200に設けられた嵌合孔210に挿入して、ハウジング110のフランジ部130をボルト140等でエンジン側壁200に固定する方法が一般的である。
この様な取付け方法に対応するハウジング110の製造方法を図11及び図12を参照して説明する。
まず、ピニオン軸を支持するための軸受が圧入される軸受孔150とエンジン取付け面160とを基準としてモータ取付け面170を切削加工する。次に、モータ取付け面170の開口部内周面にモータ回転軸と同軸を成すインロー孔部180を切削にて形成する。次に、モータ取付け面170とインロー孔部180とを基準として、モータ回転軸と同軸を成すインロー筒部120を旋盤による旋削加工にて形成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の取付け方法では、ハウジング110のインロー筒部120とエンジン側壁200の嵌合孔210との嵌合がたを排除するために、インロー筒部120と嵌合孔210との間のクリアランスを出来るだけ小さくする必要がある。このため、インロー筒部120の外周面を旋削加工にて高精度に形成する必要があるが、旋盤による加工は、ワーク(ハウジング110)の着脱作業と所定回転数での一定時間の回転工程を必須とするため、本質的に加工に時間が掛かり、生産性の向上が容易でなかった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、嵌合がたを防止しつつ、嵌合作業及び嵌合面の仕上げ作業の簡素化を実現したスタータ用ハウジングの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の手段によれば、ピニオンギヤがエンジンのリングギヤと噛み合う際に最も大きな衝撃力が加わる部位に配置される突条の第1の当接面を加工基準として、残りの突条の第2の当接面が剪断加工により形成される。即ち、従来の様にハウジングのインロー筒部の全外周面を高精度に切削仕上げする必要がなく、インロー筒部の全外周面と比較して極めて小面積である第2の当接面のみを形成すれば良いため、高能率な剪断加工によって第2の当接面を形成することにより、加工時間を短縮して作業効率を向上することができる。
【0005】
請求項2の手段によれば、第2の当接面は、ハウジングに破損または塑性変形を生じさせる剪断荷重より小さい剪断荷重で剪断できるだけの周方向幅に形成される。即ち、第1の当接面を有する突条は、ピニオンギヤとリングギヤとが噛み合う際に最も大きな衝撃力が加わるため、その噛合衝撃力に耐えられるだけの周方向幅を必要とするが、第2の当接面を有する残りの突条は、第1の当接面を有する突条ほど大きな噛合衝撃力が加わらないため、第2の当接面の周方向幅を小さく設定することできる。従って、第2の当接面を形成する際の剪断荷重を小さくできるため、ハウジングの破損や塑性変形を防止できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のスタータ用ハウジングの製造方法を図面に基づいて説明する。
図1はスタータ用ハウジング(以下ハウジングと略す)の正面図である。
スタータ1は、図9に示す様に、ピニオンギヤ2を覆うハウジング3のギヤカバー部3aがエンジン側壁4(本発明のスタータ取付壁)の嵌合孔5よりエンジン側壁4の内側へ挿入され、エンジン側壁4に対して位置決めされた状態で、ハウジング3に設けられたフランジ部3bがボルト6でエンジン側壁4に固定される。
【0007】
ハウジング3は、アルミダイカスト製で、図1及び図2に示す様に、エンジン側壁4の嵌合孔5に嵌合する筒部7と、この筒部7の外周面に径方向の外側へ突出する3か所の突条8、9とを有し、この各突条8、9の外周面(当接面)が嵌合孔5の内周面に当接することで嵌合孔5に対する径方向の位置決めが行われる。また、ハウジング3は、筒部7の軸方向後端で筒部7の外周面に対して直角に設けられた取付け面10を有し、この取付け面10が嵌合孔5の周囲のエンジン側壁4面に当接することで取付け方向(リングギヤ11に対する軸方向)の位置決めが行われる。
【0008】
筒部7の外周面に設けられた各突条8、9は、筒部7の周方向に互いに所定角度離れて位置し、それぞれ嵌合孔5の内周面に当接する当接面8a、9aを有する。
但し、3個のうち1個の突条(以下、第1の突条8と呼ぶ)は、図3に示す様に、筒部7の軸心Mを中心として反噛み合い側へピニオンギヤ2の圧力角αだけ離れた最大噛み合い衝撃角度位置(つまり、ピニオンギヤ2がリングギヤ11と噛み合う際に最も大きな衝撃力が加わる部位)に設けられ、当接面8aの周方向幅が筒部7の軸心を中心として45〜180度の範囲内に設定されている。即ち、図6において時計回転方向へのピニオンギヤ2の回転時における衝撃噛み合いは、圧力角αの部位である最大噛み合い衝撃角度位置で生じるため、この位置に耐衝撃強度を持つ突条を設けておけば、特に衝撃荷重の要求されるハウジング3の性能を高めることができる。なお、ピニオンギヤ2が図6の反時計回転方向へ回転する場合は、ピニオンギヤ2の回転時における衝撃噛み合いが、圧力角β(=α)の部位である最大噛み合い衝撃角度位置で生じるため、この位置に耐衝撃強度を持つ突条を設けることは言うまでもない。
【0009】
他の2個の突条(以下、第2の突条9と呼ぶ)は、例えば第1の突条8から周方向に略等距離の位置に設けられて、当接面9aの周方向幅が5〜45度の範囲内に設定されている。
各突条8、9の当接面8a、9aは、筒部7の軸心を中心として嵌合孔5の内周面と略等しい径の仮想円上に位置している。但し、周方向幅が大きい第1の突条8の当接面8aは、ハウジング3をダイカストによって製造した時に得られる鋳肌面がそのまま使用され、周方向幅が小さい第2の突条9の当接面9aは、第1の突条8の当接面8aを加工基準としてトリミングプレス(図4参照)による剪断加工で形成される。
【0010】
次に、トリミングプレスによる当接面の仕上げ加工方法について図4〜7を参照して説明する。
a)ハウジング3は、図4及び図5に示す様に、その軸心が垂直となるように保持治具12で固定されている。
b)次に、固定されたハウジング3に対して、側方(図4の右側)からトリミング加工の基準となる治具13がトリミング加工治具14と一体に移動し、治具13の先端面13aが第1の突条8の当接面8aに接する位置で停止する。
c)トリミング加工治具14は、軸方向に摺動可能となっており、プレス加工機の加圧軸15の下降にしたがってダイ14aがハウジング3の軸心と平行に下降し、筒部7の外周面上に設けられた第2の突条9の頂部を除去する。なお、プレス加工前(つまりダイカストで製造された状態)の第2の突条9は、図6に示す様に、それぞれ筒部7の軸方向先端部から軸方向基端部へ向かって次第に径方向外側へ拡大した形状である。
d)以上のトリミング加工により第2の突条9に当接面9aが形成される(図7参照)。なお、ハウジング3の取付け面10には、第2の突条9の軸方向基端部に隣接してその径方向外側に、プレス加工によって生じる削り屑を逃がすための溝16が設けられている(図6参照)。このため、第2の突条9の頂部を除去加工した後に筒部7の外周面に削り屑(バリ)が残留せず、嵌合孔5との嵌合に支障を与えない。
【0011】
ここで、第2の突条9をトリミングプレスで剪断加工する場合の剪断面の周長(当接面9aの全周長)と、必要なトリミングプレスの出力荷重(トリミング荷重)との関係を図8に示す。但し、剪断面(当接面9a)の軸方向長は5mm、3mmとし、その剪断強度を19.7〜20kgf/mm2 とする。図中のAは、アルミダイカスト製品であるハウジング3に破損または塑性変形が発生する時のトリミング荷重値である。この図8から、筒部7の全周長が破損または塑性変形する領域であっても、本実施例では、第2の突条9の頂面だけをトリミングプレスによる剪断加工で小さな当接面9aを形成すれば良いため、ハウジング3の破損または塑性変形を防止できる。
【0012】
(本実施例の効果)
本実施例では、ピニオンギヤ2がエンジンのリングギヤ11と噛み合う際に最も大きな衝撃力が加わる部位に配置される第1の突条8の当接面8aを加工基準として、他の第2の突条9の当接面9aを剪断加工により形成している。即ち、従来の様にハウジング3のインロー筒部の全外周面を高精度に切削仕上げする必要がなく、インロー筒部の全外周面と比較して極めて小面積である2個の第2の突条9の当接面9aのみを形成すれば良いため、高能率な剪断加工によって当接面9aを形成することにより、加工時間を大幅に短縮して作業効率を向上することができる。
【0013】
この剪断加工を行う際に、第1の突条8は、ピニオンギヤ2とリングギヤ11とが噛み合う際に最も大きな衝撃力が加わるため、その噛合衝撃力に耐えられるだけの周方向幅を必要とするが、他の2個の第2の突条9は、第1の突条8ほど大きな噛合衝撃力が加わらないため、当接面9aの周方向幅を小さく設定することできる。従って、図8に示した様に、当接面9aを形成する際の剪断荷重を小さくできるため、ハウジング3の破損や塑性変形を防止できる。
【0014】
また、本実施例では、3個の突条8、9の各当接面8a、9aを嵌合孔5の内周面に嵌合させれば良いため、従来の様に、インロー筒部の全外周面にわたって嵌合孔5とのクリアランスが所定範囲内となるように位置合わせする必要がないことから、嵌合作業が容易である。更に、嵌合時の摩擦抵抗も少ないため、その分だけ嵌合作業が簡単である。
また、精密鋳造等の採用により突条の当接面の仕上げ工程を省略する場合でも、金型のキャビティ内面の内、高精度が必要なのは当接面を形成するための金型内面部分だけとなるため、金型の製造工程が容易である。
【0015】
なお、本実施例では、2個の第2の突条9の当接面9aを1回のトリミング加工により同時に形成しているが、必ずしも同時である必要はなく、別々に形成することも可能である。
また、第2の突条9は2個以外の複数個でも良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハウジングの正面図である。
【図2】ハウジングの側面図である。
【図3】ピニオンギヤとリングギヤとの噛み合い状態を示す正面図である。
【図4】トリミングプレス加工の一例を示す模式図である。
【図5】トリミングプレス加工の一例を示す模式斜視図である。
【図6】加工直前の状態を示すハウジングの側面図である。
【図7】トリミングプレス加工実施後のハウジングの側面図である。
【図8】剪断面の周長とトリミング荷重との関係を示す特性図である。
【図9】エンジン側壁へのスタータの取付け状態を示す断面図である。
【図10】従来のスタータの取付け状態を示す断面図である。
【図11】従来のハウジングの正面図である。
【図12】図11に示すハウジングの側面断面図である。
【符号の説明】
1 スタータ
2 ピニオンギヤ
3 ハウジング
4 エンジン側壁(スタータ取付壁)
5 嵌合孔
7 筒部
8 第1の突条
8a 第1の突条の当接面(第1の当接面)
9 第2の突条
9a 第2の突条の当接面(第2の当接面)
11 リングギヤ
Claims (2)
- エンジン側のスタータ取付壁に設けられた嵌合孔に挿入する筒部を有し、その筒部の外周面に径方向の外側へ突出する突条が周方向に3か所以上設けられて、その各突条が前記嵌合孔の内周面に当接した状態で取り付けられるスタータ用ハウジングであって、
前記各突条のうち一つの突条は、スタータのピニオンギヤがエンジンのリングギヤと噛み合う際に最も大きな衝撃力が加わる部位に配置されて、前記嵌合孔の内周面に当接する第1の当接面を有し、
残りの突条は、それぞれ前記嵌合孔の内周面に当接する第2の当接面を有し、前記第1の当接面を加工基準として前記第2の当接面を剪断加工により形成することを特徴とするスタータ用ハウジングの製造方法。 - 前記第2の当接面は、前記ハウジングが破損または塑性変形を生じる剪断荷重より小さい剪断荷重で剪断できるだけの周方向幅に形成されることを特徴とする請求項1に記載したスタータ用ハウジングの製造方法。
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1996
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