JP3793838B2 - キャップ付き止水栓 - Google Patents

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敬通 田中
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、止水栓を備える流路にストレーナ等の取り外し用キャップや水抜きキャップを有し、これらのキャップの取り外し用の操作用部材を備えるキャップ付き止水栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、湯水混合水栓などの給水栓には、止水弁を設けると共に、湯又は水に含まれるゴミなどを取り除くためのストレーナや、給水栓内の湯又は水が逆流することを防止する逆止弁などを、止水弁より下流側の流路に配設しているものがある。このような給水栓においては、ストレーナや逆止弁を適当な時期に清掃したり交換するなどのメンテナンスの必要から、これらを収容した部位に、取り外し可能なキャップを設けているものがあり、また、寒冷地仕様の給水栓においては凍結防止のために、上述した給水栓と同様に、止水弁より下流側の流路に水抜きキャップを配設するものもある。そして、止水栓の調節用のスピンドルを備え、これらのキャップと止水栓を近接して設ける構成を採用し、ストレーナのメンテナンスなどと止水栓の操作を同一箇所で一括して行えるように便宜を図ると共に、流路における省スペース化を図ったものがある。
【0003】
これらのキャップや水抜きキャップ(以下、単に「キャップ」という。)には、これらを簡易に取り外すための可動の操作用部材が設けられているものがあり、例えば、引き輪を備えたものがある。このような引き輪は通常はキャップ側に倒した状態にあり、操作時にはこれを引き起こし、固定されたキャップ共々給水栓から取り外すように構成されている。
【0004】
このような給水栓では、ストレーナのメンテナンスや寒冷時の凍結防止のための水抜き等を行う際には、止水弁を閉じ水栓本体の上流側を閉塞し、給水・給湯管からの湯水の流入を停止させた後、前記したキャップを取り外していたが、このような場合に、止水弁を閉め忘れたり十分に閉じないままにこれらのキャップを取り外しここから水が誤放出されてしまうことがあった。特に、寒冷地においては、寒冷時期に頻繁に水抜き作業を行うため、水抜きキャップ又は水抜きキャップ兼用のストレーナや逆止弁のキャップを備える給水栓においてこのような問題が多く生じていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した問題点を解決するものであり、上記のように止水栓を備える流路にストレーナや逆止弁などの取り外し用キャップや水抜きキャップを有し、これらのキャップを取り外すための可動の操作用部材を備えるキャップ付き止水栓において、止水栓を閉じ忘れてこれらのキャップを取り外すことによる湯水の誤放出を防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために本発明が採用したキャップ付き止水栓は、止水栓を備える流路に、ストレーナ若しくは逆止弁などの取り外し用キャップ又は水抜き用のキャップを有し、キャップを取り外すための可動の操作用部材を備えるキャップ付き止水栓であって、止水栓の調節スピンドルに、止水栓の開弁時において前記操作用部材に干渉する干渉部を設けたことを特徴とするものである。
ここで、干渉部とは、操作用部材のキャップ操作そのものに干渉する手段及び操作用部材の操作に何らかの干渉を加え止水栓の閉塞作業を操作者に注意喚起する手段をいう。この手段によれば、止水栓の開弁時には、調節スピンドルに設けられた干渉部が、操作用部材が操作位置に位置することを妨げるので、操作者は止水栓が開弁状態にあることを知ることができ、湯水の誤放水を防止できる。また、所定の操作位置に位置しなければ操作用部材を操作不能の状態とする構成を採用することにより湯水の誤放水を確実に防止できる。一方で止水栓が開弁状態にないときには操作用部材を操作位置に位置させてキャップを取り外す作業が可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように本発明のキャップ付き止水栓15は、給水栓本体Uと壁面V内に配設された給湯又は給水配管(図示省略)とを接続し、その流路をクランク状に屈曲する給水栓用の接続ソケット1の下方屈曲部2内に設けられている。
【0008】
このキャップ付き止水栓15は、止水弁21とストレーナ30とキャップ40とを備えており、キャップ40の操作用部材として引き輪50を備えている。接続ソケット1の配管側接続口8から水栓本体側接続口9において、止水弁21がストレーナ30よりも上流側に設けられており、この止水弁21を閉止しキャップ40を開放することにより、止水弁21より下流側に位置するストレーナ30のメンテナンスを可能となしている。止水弁21は接続ソケット1の弁座孔3内周に設けられた雌ねじ10に螺嵌されており、調節スピンドル22を回転させることにより進退するガイド部23内に装着されたパッキン24が接続ソケット1の弁座4に着座することにより、止水弁室5に連通する流入口6を閉塞するように構成されている。キャップ付き止水栓15のネジ部27には配管側接続口8内に連通する開口部28が設けられておりこれにより流入口6へと湯水が導かれる。
【0009】
ストレーナ30は、無底筒状形態をなし、一方の開放側端を弁座4に当接させ、かつ止水弁21のガイド部23の外周に外嵌されるように止水弁室5内に嵌装されている。ストレーナ30の他方の開放側端は、接続ソケット1に設けられた操作用孔7内周面に設けられた雌ねじ11に螺入された略円筒形状のキャップ40に、接着材により一体的に取り付けられている。
【0010】
キャップ40の前面中央部には、その中心軸に沿って、調節スピンドル22用の貫通孔41が設けられており、これに、前記した止水弁21の調節スピンドル22が嵌挿され、この調節スピンドル22のキャップ40の前面側に突出する先端部が調節用ネジ溝25を備えた略円筒状の干渉部26を構成している。一方、止水弁21のガイド部23側はこの貫通孔41を貫通して止水弁室5内に突出しており、調節スピンドル22を回転及び進退自在に摺動可能となしている。また、調節スピンドル22の摺動面と接する貫通孔41の内周面には周回溝42が設けられ、これに嵌装されたOリング43により調節スピンドル22とキャップ40の貫通孔41の当接面をシールしている。また、操作用孔7の開口縁に設けられた凹部12と、この凹部12に対応する位置にキャップ40に同様に設けられた凹部47との間にOリング44が嵌装され、さらにキャップ40を操作用孔7に螺入することによりキャップ40に設けられた鍔部45により圧着され、キャップ40外周面と操作用孔7内周面とのシールを高めている。
【0011】
キャップ40の前面側には、キャップ40を操作用孔7から取り外すためのC字形状の引き輪50が設けられている。この引き輪50の両突端部が、キャップ40前面に、貫通孔41の中心をはさんだ対向する2カ所に設けられた取付孔46に遊嵌され、引き輪50が調節スピンドル22の両側を跨いで起きあがり自在に取り付けられている。この引き輪50を正立させたうえで、指でつまみ、ひねるようにキャップ40ごと回転させることにより、キャップ40を操作用孔7より取り外すことができる。
【0012】
図1及び図2に示すように、調節スピンドル22は止水弁21を開弁しているとき、すなわち調節スピンドル22が手前側に移動しているときには、その干渉部26が手前側に突出し引き輪50が正立できないように引き輪50の引き起こしに干渉する。そして、止水弁21を閉弁すると調節スピンドル22が奥側に移動し、干渉部26が奥側に移動し、干渉部26のキャップ40前面からの突出量を減らすことにより引き輪50の正立が可能となるように構成されている。
【0013】
したがって、このような構成を採用することにより、止水弁21を閉弁した状態では引き輪50が正立可能であるので、前述したように引き輪50を正立させたうえで指でつまみ、ひねるようにキャップ40ごと回転させ、キャップ40を操作用孔7より取り外すことができる。一方、開弁した状態では引き輪50が正立できないのでこのように引き輪50を操作することがが不可能となる。よって、操作者は止水弁21が開閉いずれの状態にあるかを極めて容易に感知することができるので、止水弁21が開弁状態のままキャップ40を取り外し、配管側から流入する湯又は水を誤って放出してしまうことを極めて少なくできる。さらに、単に調節スピンドル22の先端部の長さを変更してキャップ40からの突出量を調節するか、又は引き輪50を干渉部26に干渉されるような形状のものに変更するだけの極めて簡易な構造でこの目的を達成することができる。
【0014】
上記した実施の形態は本発明の一例を示したものであり、本発明はこれに限られない。上記のキャップ付き止水栓15では、ストレーナ30と止水弁21とを同一軸上に一体的に設けているが、必ずしもこれに限られない。図3は接続ソケット1の流路中にストレーナ(図示省略)と止水弁60とを隣接して配設した別のキャップ付き止水栓16を示したものである。このキャップ付き止水栓16では、ストレーナ(図示省略)と一体的に設けられたキャップ61に引き輪62が設けられており、止水弁21が開弁しているときには突出する調節スピンドル63の干渉部64により、この引き輪62が立ち上がることが妨げられるように構成されている。
【0015】
また、本発明の操作用部材は引き輪に限られるものではない。図4は図3と同様に接続ソケット1の流路中にストレーナ(図示省略)と止水弁70とを隣接してて配設したキャップ付き止水栓17において、止水弁21の調節スピンドル71を間にキャップ72と対向する位置に設けられた支持部73を支点にして、調節スピンドル71の進退方向と交わる方向にキャップ72を回動自在に被覆及び露呈可能なカバー74に、干渉部76を備えた調節スピンドル71が突出可能な挿通孔75を設けたものである。このキャップ付き止水栓17では、カバー74を操作用部材として採用したものである。
【0016】
さらに、このキャップ付き止水栓15,16,17は、クランク状に屈曲された接続ソケット1に用いられることに限られず、例えばストレート形状の接続ソケットに用いることも可能である。また、接続ソケット1に限らず配管や水栓本体に設けることも可能である。また、ストレーナのキャップに限らず、逆止弁のキャップや水抜き栓のキャップについて用いることが可能なことはもちろんである。
【0017】
【考案の効果】
本発明は上記のように構成されているので、止水栓を閉じずに操作用のキャップなどを取り外し、湯水を誤って放出してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のキャップ付き止水栓を用いた接続ソケットの断面図である。
【図2】図1の要部拡大斜視図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態のキャップ付き止水栓の要部拡大斜視図である。
【図4】本発明の第三の実施の形態のキャップ付き止水栓の要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1;接続ソケット、2;屈曲部、3;弁座孔、4;弁座、5;止水弁室、6:流入口、7;操作用孔、8;配管側接続口、9;水栓本体側接続口、10;雌ねじ、11;雌ねじ、12;凹部、15,16,17;キャップ付き止水栓、21;止水弁、22;調節スピンドル、23;ガイド部、24;パッキン、25調節用ネジ溝、26;干渉部、27;ネジ部、28;開口部、30;ストレーナ、40;キャップ、41;貫通孔、42;周回溝、43;Oリング、44;Oリング、45;鍔部、46;取付孔、47;凹部、50;引き輪、60;止水弁、61;キャップ、62;引き輪、63;調節スピンドル、64;干渉部、70;止水弁、71;調節スピンドル、72;キャップ、73;支持部、74;カバー、75;挿通孔、76;干渉部、U;給水栓本体、V;壁面。

Claims (1)

  1. 止水栓を備える流路に、ストレーナ若しくは逆止弁などの取り外し用キャップ又は水抜き用のキャップを有し、キャップを取り外すための可動の操作用部材を備えるキャップ付き止水栓であって、
    止水栓の調節スピンドルに、止水栓の開弁時において前記操作用部材に干渉する干渉部を設けたことを特徴とするキャップ付き止水栓。
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