JP3793737B2 - Pfcガスの処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PFC(Perfluorocompounds、過弗化物)ガスの処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
PFCは、CF4 ,C26,C38,SF6 ,NF3 などの総称である。PFCガスは、半導体エッチング用ガス、半導体用クリーニングガス或いは絶縁用ガスなどに使用されている。このPFCガスは、地球温暖化ガスであり、大気放出の規制対象になっている。このため、種々の分解方法が検討されている。その一つとして、特開2001−149749号公報にはPFCガスと空気と水を或る割合で混合したガスを反応温度650〜850℃に加熱し、PFC分解触媒と有害成分除去触媒が充填された分解塔で加水分解する装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開2001−149749号公報による方法では、PFCガスを加水分解する分解塔へ供給する前にPFCガスと空気と水を或る割合で混合したガスを約10℃から反応温度650〜850℃までに加熱する必要がある。従来の装置では、混合ガスの加熱を行う予熱器は中空円筒形の容器から成り、混合ガスは加熱面となる容器側面に沿った旋回流として容器上方から下方に流れる間に所定の温度まで加熱される。混合ガス流量を増やし装置の処理能力を増加させる場合、ガス流量に比例して伝熱面となる加熱容器内の側面積を増やす必要があり、予熱器の体積が増加する。従って、処理能力の高い装置を作る際に装置の占有体積が大型化し、装置の搬送,敷設上の制約が生じる大きな要因となる。
【0004】
本発明の目的は、予熱器を小型化することによりコンパクトなPFC処理装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、内部に内筒を設けて供給されるPFCガス,空気及び水の混合ガスの旋回流を発生させ、この混合ガスを加熱する予熱器と、予熱器で加熱された混合ガスに含まれるPFCを分解する触媒が充填された反応器と、予熱器で加熱されたPFCガスを整流して反応器に導く多孔板とを備え、その内筒の下端が多孔板よりも上方に位置していることにある。
予熱器内に設けられた内筒が加熱面からの熱輻射によって高温となり混合ガスの加熱を促進するため、実効的な伝熱面積が増加することになり、予熱器を小型化できる。このため、コンパクトなPFCガス処理装置を得ることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の一実施例であるPFC分解装置全体の概略図を示す。エッチング炉13からN2 で希釈され排出されたPFCガス14は、プラスティック等の粒を充填した充填塔15で固形物を除去し、スプレー塔16で水溶成分を除去した後に予熱器1導入され、予熱器1でPFC分解温度まで加熱する。予熱器1には空気17と、イオン交換樹脂18を通した水19が供給される。これらの混合ガス即ち反応ガスは予熱器1の出口に設置されたPFC分解塔2に導入され、
PFC分解塔に充填された触媒の働きにより加水分解され、CO,SO22などの一部の有害成分が除去される。PFC分解塔2を出た分解ガスは冷却室10に導入され、スプレーノズルから噴霧される水19によって冷却される。冷却室を通過したガスは、吸着材などの充填材20を入れた排ガス洗浄塔21で、HF及び水溶成分を水19に吸収させることによって除去し、その後ミスト除去装置22に導入される。ミストが除去されたガスはブロワ23で吸引して排ガス24として大気中に放出する。排ガス洗浄塔21等でHFを吸収した排水25は、排水タンク26に溜められたのち排水ポンプ27によって排出される。
【0007】
本実施例は、上記PFC分解装置の中の予熱器1に係わるものである。図2に、予熱器1及び反応塔2を含む該略図を示す。N2 で希釈されたPFCガスと空気が予熱器の上部から約10℃の温度で導入され、蒸気発生器3からノズルを通して供給される水蒸気と混合し反応ガスとなる。反応ガスは予熱器外筒4と予熱器内筒5の間を旋回しながら下方に流れる。電気ヒータ6は熱輻射により予熱器外筒4を加熱し、更に予熱器外筒4の熱輻射により予熱器内筒5を加熱する。反応ガスは予熱器外筒4及び予熱器内筒5からの熱伝達及び反応ガス中に含まれる水蒸気へのガス輻射により、反応温度である約750℃まで加熱される。加熱温度はヒータ出力により調節する。予熱器,反応塔及びヒータは、耐熱性の保温材7で囲み、外部への熱リークを低減しヒータの発熱を有効に活用する。加熱した反応ガスは反応塔上部の多孔板8を通り整流されて一様な流速で反応塔に供給される。予熱器下部では整流効果を高めるために、加熱部で生じていた反応ガスの旋回流9を弱める必要がある。このために、予熱器内筒4は予熱器長さの60〜70%とし、反応塔上部の多孔板付近の流路を広げるようにするのが良い。反応塔を出た処理ガスは、冷却室10で水スプレーにより冷却される。従って、省スペースの観点から反応塔,冷却室は連続した縦置き構造とするのがよい。予熱器外筒4及び予熱器内筒5には耐食性及び耐熱性に優れた金属材料を用いるが、その表面には輻射率を高めるためにオートクレーブ等により黒色の酸化皮膜処理を施すのが良い。また、予熱器外筒4及び予熱器内筒5の間隙は伝熱の観点からは狭いほうが有利であるが、反応ガスの流動圧損の増加及びそれに伴う旋回流9の減衰が生じるので、反応ガスの流速との関係で決める必要がある。図2では、予熱器の長さが約1m〜3m、予熱器外筒の径は0.2m〜0.5mである。
【0008】
なお、ヒータを予熱器内筒内に設置した場合、ヒータ発熱のほとんどが反応ガスの加熱部を通過することになりヒータ発熱をより有効に利用できる。しかし、予熱器内筒表面の熱流束の増加により予熱器内筒温度の増加を招き、特殊な耐熱部材を使用する必要が生じるためコスト面から得策ではない。また、予熱器外筒4と予熱器内筒5の表面に旋回流に沿ったフィンを設けると反応ガスへの熱伝達をより向上できるが、反応ガスの旋回流を減衰させないフィン構造とする必要がある。
【0009】
図3には、装置の高さに制限がある場合の実施例を示す。予熱器を二分割し、反応ガスを第一筒である第一予熱器11で約600℃まで加熱し、第二予熱器12,反応塔2及び冷却室10から成る第二筒に導く。反応ガスの温度は第二予熱器のヒータ出力で調節し、約750℃で反応塔へ供給する。図3では、予熱器の長さが全長約4m、予熱器外筒の径は0.9m である。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、触媒を用いた加水分解によるPFCガス処理装置において、予熱器の実効伝熱面積が予熱器内に内筒を設けない場合の最大約1.5 倍となり、PFCガス処理装置を小型化することができる。特に、装置を大型化する場合ほどスペース低減の効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体エッチング炉に接続した本発明の一実施例であるPFC処理装置の構成図である。
【図2】内筒を設けた予熱器の構成を示し、(A)はその予熱器の平面図であり、(B)はその予熱器の縦断面図である。
【図3】二分割した予熱器の構成を示し、(A)はその予熱器の平面図であり、(B)はその予熱器の縦断面図である。
【符号の説明】
1…予熱器、2…反応塔、3…蒸気発生器、4…予熱器外筒、5…予熱器内筒、6…ヒータ、7…保温材、8…反応塔上部の多孔板、10…冷却室、11…第一予熱器、12…第二予熱器、13…エッチング炉、15…充填塔、16…スプレー塔、18…イオン交換樹脂、20…充填材、21…排ガス洗浄塔、22…ミスト除去装置、23…ブロワ、26…排水タンク、27…排水ポンプ。

Claims (5)

  1. 内部に内筒を設けて供給されるPFCガス,空気及び水の混合ガスの旋回流を発生させ、この混合ガスを加熱する予熱器と、前記予熱器で加熱された前記混合ガスに含まれる前記PFCを分解する触媒が充填された反応器と、前記予熱器で加熱されたPFCガスを整流して前記反応器に導く多孔板とを備え
    前記内筒の下端が前記多孔板よりも上方に位置していることを特徴とするPFCガス処理装置。
  2. 前記内筒の高さは前記予熱器の高さの60〜70%である請求項1記載のPFCガス処理装置。
  3. 前記内筒と前記予熱器の外筒との間に水蒸気を供給する蒸気発生器を備えた請求項1記載のPFCガス処理装置。
  4. 内部に内筒を設けて供給されるPFCガス,空気及び水の混合ガスの旋回流を発生させ、この混合ガスを加熱する第1予熱器と、前記第1予熱器で加熱された前記混合ガスが供給され、内部に内筒を設けて混合ガスの旋回流を発生させ、この混合ガスを加熱する第2予熱器と、前記第2予熱器で加熱された前記混合ガスに含まれる前記PFCを分解する触媒が充填された反応器と、前記第2予熱器で加熱されたPFCガスを整流して前記反応器に導く多孔板とを備え、
    前記第2予熱器内の前記内筒の下端が前記多孔板よりも上方に位置していることを特徴とするPFCガス処理装置。
  5. 前記第1予熱器内で前記内筒と前記第1予熱器の外筒との間に水蒸気を供給する蒸気発生器を備えた請求4記載のPFCガス処理装置。
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