JP2004261777A - 半導体排ガス処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排ガス分解処理室36にて分解された半導体排ガスFが最も高温となっているガス排出部38近傍にミスト供給手段18が取り付けられているので、高温になることで分子運動が最も盛んな状態の半導体排ガスFに薬液を噴霧でき、半導体排ガスFと薬液とが高い確率で気液接触できる。したがって、出口スクラバ20に導入する半導体排ガスF中の有害成分を予め低減させることができ、出口スクラバ20における有害成分除去の負荷を軽減させることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体,液晶等の電子回路素子の製造中、特にクリーニング,エッチング工程において派生する排ガスの処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセス、特にCVD(化学的気相成長法)プロセスでは、SiH4のようなデポジットガスによるデポジット終了後、CVDチャンバをクリーニングするため、C2F4,CF4およびCHF3のようなパーフルオロカーボン(以下、「PFC」という。)、NF3のような炭素を含まないフッ素化合物などのクリーニングガスが使用されている。
【0003】
これらクリーニングガスのうち、PFCは人体への毒性は不明であるが、化合物そのものが安定であり、大気中に放出された場合、長期間滞留して地球温暖化を促進することが知られている。一方、炭素を含まないフッ素化合物、とりわけNF3は、曝露限界値(以下、「TLV」という。)が10ppm以下に制限されているように人体に対して有害である。したがって、CVDチャンバのクリーニングに使用したこれらクリーニングガスの排ガスは、熱酸化分解など様々な処理方式によって分解処理された後大気中へと排出されている。
【0004】
このような半導体排ガス処理技術として、図4に示すように、(a)半導体排ガス(F)に含まれる粉塵などを除去し、分解処理の前処理を行なう入口スクラバ(101)、(b)内部に排ガス分解処理室(102)が形成されるとともに、下部にガス排出部(103)が開設されている排ガス処理塔本体(104)と、排ガス処理塔本体(104)の底部に装着された本体底部(105)と、本体底部(105)に挿通され且つ排ガス処理塔本体(104)内に立設され、その先端から排ガスを排ガス分解処理室(102)内に放出するガス供給パイプ(106)と、本体底部(105)内にその給電部(107)が配設され且つ本体底部(105)から立設された電熱ヒータ(108)とを有し、半導体排ガスを分解処理する排ガス処理塔(109)および(c)分解ガス送給配管(110)を介して排ガス処理塔(109)のガス排出部(103)に接続され、分解処理された半導体排ガスの除害を行なう出口スクラバ(111)とで構成された熱酸化分解方式の半導体排ガス処理装置(100)が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この技術では、排ガス分解処理室(102)内に立設された電熱ヒータ(108)の給電部(107)を最も温度の低い排ガス処理塔(109)の本体底部(105)に配設し、加えて、本体底部(105)に低温の排ガスが通過するガス供給パイプ(106)が挿通されている。このため、本体底部(105)とガス供給パイプ(106)との間で熱交換が行われ、排ガス側は予熱され、本体底部(105)側は冷却されるので、給電部(107)は比較的低温に保たれ絶縁性を確保でき、また、電熱ヒータ(108)の負荷を過度に高くしなくとも難分解性のPFCや有害なNF3などを含むCVDチャンバのクリーニング排ガスのような半導体排ガスを確実に分解処理することができる。
【0006】
しかしながら、これら半導体排ガスはPFCやその他フッ素化合物を含んでおり、半導体排ガスの分解によって発生したフッ素は、空気中の水素や水と即座に反応してTLVが3ppm以下に制限されている猛毒のHF(フッ化水素)を生成する。このHFは水に極めてよく溶けるため、水などの薬液を噴霧して微粒子やガスなどを除去する出口スクラバ(111)によってある程度除去できるが、多量に発生するHFを完全に除去することは困難である。このため、出口スクラバ(111)を通過した半導体排ガス中のHFの濃度が3ppm以下となるように処理済み半導体排ガスを空気で希釈したり、処理済み半導体排ガスを集合スクラバ(図示せず)でさらに除害処理して排出しなければならないという問題があった。
【0007】
また、この問題を解決すべく出口スクラバ(111)によるHF除去効率を向上させるため、出口スクラバ(111)を大型化して噴霧する薬液の量を増やすことも考えられるが、イニシャルコストが多くかかるようになるとともに、薬液使用量が増えるためランニングコストも上昇し、効率的ではないという問題もあった。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−188810号公報(第3−6頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
それゆえ、本発明の主たる課題は、薬液使用量を増やすことなく、半導体排ガス中の有害物質を確実に除害できる半導体排ガス処理装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、「内部に排ガス分解処理室(36)が形成されるとともに、排ガス分解処理室(36)にて分解した排ガス(F)を排出するガス排出部(38)が開設された排ガス処理塔(16)と、ガス排出部(38)に分解ガス送給配管(40)を介して接続された出口スクラバ(20)とを具備し、出口スクラバ(20)にて排ガス分解処理室(36)で分解した半導体排ガス(F)中の有害成分を除害する半導体排ガス処理装置(10)において、ガス排出部(38)の近傍にて半導体排ガス(F)に薬液を噴霧するミスト供給手段(18)が取り付けられている」ことを特徴とするものである。
【0011】
この発明では、排ガス分解処理室(36)で分解されて高温となっている半導体排ガス(F)が通過するガス排出部(38)近傍に薬液を噴霧するミスト供給手段(18)が取り付けられているので、排ガス分解処理室(36)内の温度を低下させない、すなわち排ガス分解処理室(36)での分解処理効率を低下させることなく、高温になることで分子運動が最も盛んな状態となっている半導体排ガス(F)に薬液を噴霧でき、半導体排ガス(F)と薬液とが高い確率で気液接触できる。このため、フッ素を含む半導体排ガス(F)を分解した際に生じる猛毒のHFなどの有害成分と薬液とが高い確率で気液接触でき、HFなどの有害成分を効率よく薬液中に溶解・吸収させることができる。したがって、出口スクラバ(20)での有害成分処理負荷を軽減させることができ、出口スクラバ(20)を大型化したり、処理済み排ガスを集合スクラバで処理する必要がなく、つまり、薬液使用量を増やすことなく分解ガス(F)中の有害成分量を確実に低減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の発明において、「出口スクラバ(20)は、多数のガス通流孔(50a)を有し、垂直方向に間隔を隔てて複数設置された穿孔プレート(50)と、穿孔プレート(50)の上面または下面の少なくとも一方に向けて薬液を噴霧する複数のスプレーノズル(52)(54)とで構成されている」ことを特徴とするものである。
【0013】
この発明では、スプレーノズル(52)(54)から噴霧された薬液が、霧状となって出口スクラバ(20)内を漂うとともに、この薬液がガス通流孔(50a)を閉塞しないように穿孔プレート(50)上面にて液膜を形成した後、下方に設置されている穿孔プレート(50)へ向けてガス通流孔(50a)から順次流下していく。
【0014】
このため、ガス通流孔(50a)を通過する半導体排ガス(F)は、ガス通流孔(50a)を流下する薬液と気液接触するとともに、ガス通流孔(50a)を通過した後も出口スクラバ(20)内を漂う薬液と気液接触することとなるので、薬液と半導体排ガス(F)との接触面積を大きくすることができる。
【0015】
また、穿孔プレート(50)は垂直方向に複数設置されているので、スプレーノズル(52)(54)から噴霧された薬液は、下方に設置された穿孔プレートの枚数と同じ回数だけガス通流孔(50a)にて半導体排ガス(F)との気液接触を繰り返して行うことができる。
【0016】
それゆえ、この発明の出口スクラバ(20)では、少ない液量で確実に半導体排ガス(F)中の有害成分を除害することができる。
【0017】
なお、各穿孔プレート(50)の下面に向けて薬液を噴霧する場合には、ガス通流孔(50a)を通過せずに穿孔プレート(50)下面側で滞留する半導体ガス(F)も薬液と気液接触することができ、この薬液も下方に設置された穿孔プレート(50)の枚数と同じ回数だけガス通流孔(50a)にて半導体排ガス(F)との気液接触を繰り返して行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示実施例にしたがって説明する。本発明における一実施例の有害排ガス処理システム(10)では、図での理解をしやすくするために各ユニットをバラバラに記載しているが、実際は(a)半導体排ガスの熱分解、(b)HF等の発生フッ素化合物の洗浄排気又は固定化除害、(c)その他の可燃性成分の燃焼除害、の3要素を実行する各種構成ユニットをキャビネット(12)内にて一体に収納している。
【0019】
図1は本発明の排ガス処理装置(10)の基本形式の概要を示した図であり、大略、入口スクラバ(14)、排ガス処理塔(16)、ミスト供給手段(18)、出口スクラバ(20)、配管系(40)(48)、排気ファン(22)および水槽(24)などで構成されている。
【0020】
入口スクラバ(14)は、排ガス処理塔(16)に導入する半導体排ガス(F)に含まれる粉塵などを除去するためのものであり、直管型のスクラバ本体(14a)と、前記スクラバ本体(14a)内部の頂部近傍に設置され、アルカリ液、酸性液或いは水などの薬液を噴霧状にして撒布するスプレーノズル(14b)とで構成されている。
【0021】
この入口スクラバ(14)の頂部は、工場の半導体製造装置(図示せず)と排ガスダクト(26)にて連結しており、半導体製造工程において使用された残留ガス及び半導体製造工程において使用され、諸々の化学反応を経た排ガスの集合した半導体製造排ガス或いはパージガスなど各種半導体排ガス(F)がここに導入される。
【0022】
また、入口スクラバ(14)は、薬液を貯留する水槽(24)上に立設されており或いは水槽(24)と別個に配設され両者が配管で接続され、排水が水槽(24)に送り込まれるようになっている。
【0023】
そして、スプレーノズル(14b)と水槽(24)との間には循環水ポンプ(28)が設置されており、水槽(24)内の貯留薬液をスプレーノズル(14b)に揚上するようになっている。
【0024】
排ガス処理塔(16)は、半導体排ガス(F)を熱酸化分解法によって分解する装置であり、排ガス処理塔本体(30)、ガス供給パイプ(32)および電熱ヒータ(34)などによって構成されている。
【0025】
なお、排ガス処理塔(16)は、キャビネット(12)から突設された軸受(12a)に、排ガス処理塔本体(30)の上部側面から突設された枢着軸(30c)が回動可能に吊り下げられるようにして設置されており、垂直状態及びキャビネット(12)から排ガス処理塔本体(30)の下端部を引き出した水平状態で保持できるようになっている。このため、以下に述べる排ガス処理塔本体(30)の底部に装着された本体底部(44)の着脱が容易になる。
【0026】
排ガス処理塔本体(30)は、スチール製で円筒状の外皮ジャケット(30a)と、耐火材で構成された内張部材(30b)とで構成されており、内張部材(30b)の内部に排ガス分解処理室(36)が形成されている。内張部材(30b)は外皮ジャケット(30a)の内周全面を覆っており、内張部材(30b)が排気ガス(F)に直接接触するようになっている。
【0027】
また、排ガス処理塔本体(30)の下部には、ガス排出部(38)が開設されるとともに、排ガス分解処理室(36)にて分解処理された半導体排ガス(F)を後述する出口スクラバ(20)へと送給する分解ガス送給配管(40)が接続されている。
【0028】
そして、排ガス処理塔本体(30)の底部には、絶縁部材(42)が装着された本体底部(44)がボルト・ナットのような締結具(46)で着脱可能に固着されており、この絶縁部材(42)の中心には耐熱性・耐腐食性に優れた金属パイプで構成されたガス供給パイプ(32)が立設されており、その周囲を電熱ヒータ(34)が取り巻くように配設されている。
【0029】
ガス供給パイプ(32)は、前述のように本体底部(44)の絶縁部材(42)の中央を貫通するように配設されており、電熱ヒータ(34)の給電部(34a)はガス供給パイプ(32)を取り巻くように絶縁部材(42)内に配設されている。ガス供給パイプ(32)の高さは、前記電熱ヒータ(34)とほぼ同じかそれより高く形成されている。排ガス分解処理室(36)に挿入された前記ガス供給パイプ(32)には、入口スクラバ(12)の下端から導出されて、入口スクラバ(12)にて洗浄された半導体排ガス(F)をガス供給パイプ(32)へと送り込む洗浄ガス送給配管(48)が接続されている。
【0030】
電熱ヒータ(34)は、排ガス分解処理室(36)内を加熱して半導体排ガス(F)を熱酸化分解させるものであり、炭化珪素の中実あるいは中空の棒状体で形成されている。また、この電熱ヒータ(34)の両端には給電部(34a)が設けられ、給電部(34a)間に発熱部(34b)が設けられている。
【0031】
ミスト供給手段(18)は、排ガス分解処理室(36)で電熱ヒータ(34)によって熱酸化分解した高温の半導体排ガス(F)に薬液を噴霧するためのものであり、ガス排出部(38)の近傍、具体的には、ガス排出部(38)に接続された分解ガス送給配管(40)内の前記ガス排出部(38)近傍の位置に取り付けられ、半導体排ガス(F)の通流方向に向けて薬液を噴霧するスプレーノズルである。なお、このミスト供給手段(18)には、循環水ポンプ(28)にて揚上された水槽(24)内の貯留薬液が供給されている。
【0032】
出口スクラバ(20)は、ミスト供給手段(18)を通過した半導体排ガス中の有害成分を最終的に除害するためのものであり、その下端に分解ガス送給配管(40)が接続された直管型のスクラバ本体(20a)と、このスクラバ本体(20a)内にて垂直方向に間隔を隔てて複数(本実施例では2段)設置された穿孔プレート(50)と、前記穿孔プレート(50)の下面に向けて薬液を噴霧する上向きのスプレーノズル(52)と、最上部の穿孔プレート(50)の直上部に取り付けられ、半導体排ガス(F)通流方向に対向するように上方から薬液を噴霧する下向きのスプレーノズル(54)とで構成されている(図3参照)。
【0033】
ここで穿孔プレート(50)は、図3に示すように、スクラバ本体(20a)内部空間の全面を横切るように取り付けられた板状の部材であり、その表面には半導体排ガス(F)を通流させるための小さなガス通流孔(50a)が多数穿設されている。なお、この穿孔プレート(50)としては、パンチングメタルや網などが好適である。
【0034】
また、最下部に取り付けられたスプレーノズル(52)の下側には、穿孔プレート(50)のガス通流孔(50a)よりも小さな開口を有する網状部材(56)がスクラバ本体(20a)内部空間の全面を横切るように取り付けられている。
【0035】
この出口スクラバ(20)は、薬液を貯留する水槽(24)上に立設されており或いは水槽(24)と別個に配設され両者が配管で接続され、スプレーノズル(52)(54)から噴霧された薬液が、分解ガス送給配管(40)を経由して送り込まれるミスト供給手段(18)で噴霧された薬液と合流して水槽(24)に送り込まれるようになっている。
【0036】
なお、スプレーノズル(52)(54)とには、水槽(24)内の循環薬液ではなく、新水などの新しい薬液が供給されている。
【0037】
そして出口スクラバ(20)の頂部出口は処理済みガス(F)を大気中へ放出する排気ファン(22)に接続されている。
【0038】
水槽(24)は、入口スクラバ(14)およびミスト供給手段(18)に供給する薬液を貯留し、また、入口スクラバ(14)、ミスト供給手段(18)および出口スクラバ(20)から排出される薬液を回収するタンクである。
【0039】
この水槽(24)には、出口スクラバ(20)のスプレーノズル(52)(54)にて噴霧された新しい薬液が常に供給されているので、所定量以上の薬液が貯留しないように余剰薬液をオーバーフローさせて排水処理装置(図示せず)へ送るようにしている。
【0040】
なお、本実施例の半導体排ガス処理装置(10)における排ガス処理塔(16)を除く他の部分には、半導体排ガス(F)に含まれる、或いは、当該排ガス(F)の分解によって生じるフッ酸などの腐食性成分による腐蝕から各部を守るため、塩化ビニル,ポリエチレン,不飽和ポリエステル樹脂およびフッ素樹脂などによる耐蝕性のライニングやコーティングが施されている。
【0041】
次に、本実施例の半導体排ガス処理装置(10)の作用について説明する。半導体製造装置から排出された半導体排ガス(F)は、入口スクラバ(14)内に導入され、スプレーノズル(14b)から散布された霧状の薬液(アルカリ液、酸性液又は水)に接触し、半導体排ガス(F)中の粉塵が散布された微細液滴に接触して捕捉され水槽(24)に送り込まれる。これと同時に排ガス(F)中の水溶性成分も薬液中に吸収除去される。
【0042】
入口スクラバ(14)にて洗浄された低温湿潤の半導体排ガス(F)は、洗浄ガス送給配管(48)を介してガス供給パイプ(32)へと送り込まれる。排ガス(F)はガス供給パイプ(32)を介して、まず絶縁部材(42)に接触してこれを冷却し、続いてガス供給パイプ(32)を上昇し、その上昇中に周囲温度によって加熱され、十分予熱された時点でガス供給パイプ(32)の先端から排ガス分解処理室(38)内に放出される。
【0043】
十分予熱された後、ガス供給パイプ(32)の先端から排ガス処理塔本体(30)内に放出された排ガス(F)は、十分な高温を保っている天井付近の高温雰囲気および電熱ヒータ(34)の発熱部(34b)に接触して直ちに熱酸化分解される。
【0044】
このとき、半導体排ガス(F)にはフッ素化合物が含まれているので、半導体排ガス(F)の熱酸化分解によってフッ素が発生するとともに、このフッ素が空気中の水素や水と即座に反応して猛毒で、かつ、水に極めて溶けやすいHFを多量に生成する。
【0045】
また、ガス供給パイプ(32)へと送り込まれた低温湿潤の半導体排ガス(F)が絶縁部材(42)に接触してこれを冷却するので、電熱ヒータ(34)の給電部(34a)とその周囲部分の絶縁破壊が効果的に防止されている。
【0046】
このようにして熱分解された排ガス(F)は、続いてガス排出部(38)を経由して分解ガス送給配管(40)に導入される。
【0047】
分解ガス送給配管(40)内のガス排出部(38)近傍にはミスト供給手段(18)が取り付けられており、排ガス分解処理室(36)にて分解された最も高温で且つ最も分子運動が盛んな状態の半導体排ガス(F)に直接薬液が噴霧されているので、半導体排ガス(F)と薬液とが高い確率で気液接触できる。つまり、半導体排ガス(F)を熱酸化分解によって生じたHFと薬液とが高い確率で気液接触できる。このため、HFを効率よく薬液中に溶解・吸収させることができ、後述する出口スクラバ(20)でのHF処理負荷を軽減させるとともに、分解処理された半導体排ガス(F)を冷却することができる。
【0048】
また、本実施例では、ミスト供給手段(18)が分解ガス送給配管(40)内に配設されたスプレーノズルで構成されているので、このスプレーノズルが生成するミストによって分解ガス送給配管(40)内に堆積する粉塵などを洗い流すこともできる。
【0049】
なお、ミスト供給手段(18)にて噴霧された薬液は、分解ガス送給配管(40)へ送り込まれ、出口スクラバ(20)の下端部を介して水槽(24)へと送られる。
【0050】
続いて、ミスト供給手段(18)によってHFが効果的に除害されるとともに冷却された半導体排ガス(F)は、出口スクラバ(20)に導入され、出口スクラバ(20)内の下側から上側に向けて通流する。
【0051】
このとき、出口スクラバ(20)内では、最上部のスプレーノズル(54)から最上部の穿孔プレート(50)に向けて、その液膜がガス通流孔(50a)を閉塞しないようにアルカリ液、酸性液或いは水のような薬液が噴霧されており、噴霧された薬液は、出口スクラバ(20)内を漂うとともに、ガス通流孔(50a)を閉塞しないように穿孔プレート(50)上面にて液膜を形成した後、下方に設置された穿孔プレート(50)に向けてガス通流孔(50a)から順次流下している。このため、ガス通流孔(50a)を通過する半導体排ガス(F)は、ガス通流孔(50a)から流下する薬液に気液接触するとともに、ガス通流孔(50a)を通過した後、出口スクラバ(20)内を漂う霧状の薬液とも気液接触し、大きな接触面積にてHFなどの有害成分が除害される。
【0052】
また、穿孔プレート(50)は垂直方向に複数設置されているので、最上部のスプレーノズル(54)から噴霧された薬液は、穿孔プレート(50)の設置枚数と同じ回数だけガス通流孔(50a)にて半導体排ガス(F)との気液接触を繰り返して行うことができる。
【0053】
また、各穿孔プレート(50)の下面には、各穿孔プレート(50)の下方に設置されたスプレーノズル(52)から薬液が供給されているので、ガス通流孔(50a)を通過せずに穿孔プレート下面側で滞留する半導体ガス(F)も薬液と気液接触することができ、さらに、この薬液も下方に設置された穿孔プレート(50)の枚数と同じ回数だけガス通流孔(50a)にて半導体排ガス(F)との気液接触を繰り返して行うことができる。
【0054】
そして、本実施例の出口スクラバ(20)では、最下部のスプレーノズル(52)の下側に網状部材(56)が取り付けられており、スプレーノズル(52)(54)から噴霧され流下してきた薬液が水槽(24)へ送り込まれる前にこの網状部材(56)を通過するようにしている。このため、分解ガス送給配管(40)から出口スクラバ(20)内へ導入された半導体ガス(F)は、先ずはじめに、網状部材(56)を通過する際に薬液と気液接触することができるので、出口スクラバ(20)を通過する半導体排ガス(F)中の有害成分をさらに効果的に除害することができる。
【0055】
このように、本実施例の出口スクラバ(20)では、少ない液量で確実に半導体排ガス(F)中の有害成分を除害することができる。
【0056】
そして、出口スクラバ(20)内にて、アルカリ液、酸性液或いは水のような薬液による十分な薬液洗浄と温度低下がなされた半導体排ガス(F)は、排気ファン(22)によって大気放出される。
【0057】
なお、上述の実施例では、排ガス処理塔(16)における半導体排ガス(F)の分解方式として、電熱ヒータ(34)を用いる熱酸化分解方式のものを示したが、半導体排ガス(F)の分解方式は触媒酸化燃焼や直接燃焼などであってもよい。つまり、ガス排出部(38)近傍、すなわち分解された半導体排ガスが最も高温となり分子運動が最も盛んなときに当該排ガスに対して薬液を噴霧できるものであれば、半導体排ガス(F)の分解方式は如何なるものであってもよい。
【0058】
また、ミスト供給手段(18)として、分解ガス送給配管(40)内に取り付けられたスプレーノズルを示したが、排ガス分解処理室(36)内の温度を低下させることなく、すなわち排ガス分解処理室(36)での分解処理効率を低下させることなく薬液を噴霧できるのであれば、ミスト供給手段(18)は排ガス分解処理室(36)内のガス排出部(38)近傍に取り付けてもよく、また、薬液を噴霧できるものであればその構造は如何なるものであってもよく、スプレーノズルに限定されるものではない。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、排ガス分解処理室にて分解された半導体排ガスが最も高温となるガス排出部近傍にミスト供給手段が取り付けられているので、高温になることで分子運動が最も盛んな状態の半導体排ガスに薬液を噴霧でき、半導体排ガスと薬液とが高い確率で気液接触できる。このため、出口スクラバに導入する半導体排ガス中の有害成分を予め軽減させることができ、出口スクラバにおける有害成分除害の負荷を軽減させることができる。
【0060】
また、出口スクラバでは、スプレーノズルから噴霧された薬液がガス通流孔を経由して下方に設置された穿孔プレートに向けて順次落下していく際に大きな接触面積にて繰り返し半導体排ガスと気液接触でき、少ない液量で確実に半導体排ガス中の有害成分を除害することができる。
【0061】
したがって、薬液使用量を増やすことなく、半導体排ガス中の有害物質を確実に除害できる半導体排ガス処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の半導体排ガス処理装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例の排ガス処理塔の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例の出口スクラバの概略構成を示す部分断面斜視図である。
【図4】従来の半導体排ガス処理装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
(10)…半導体排ガス処理装置
(12)…キャビネット
(14)…入口スクラバ
(16)…排ガス処理塔
(18)…ミスト供給手段
(20)…出口スクラバ
(22)…排気ファン
(24)…水槽
(26)…排ガスダクト
(28)…循環水ポンプ
(30)…排ガス処理塔本体
(32)…ガス供給パイプ
(34)…電熱ヒータ
(36)…排ガス分解処理室
(38)…ガス排出部
(40)…分解ガス送給配管
(42)…絶縁部材
(44)…本体底部
(48)…洗浄ガス送給配管
(50)…穿孔プレート
(50a)…ガス通流孔
(52)…上向きスプレーノズル
(54)…下向きスプレーノズル
(56)…網状部材
Claims (2)
- 内部に排ガス分解処理室が形成されるとともに、前記排ガス分解処理室にて分解した排ガスを排出するガス排出部が開設された排ガス処理塔と、前記ガス排出部に分解ガス送給配管を介して接続された出口スクラバとを具備し、前記出口スクラバにて前記排ガス分解処理室で分解した半導体排ガス中の有害成分を除害する半導体排ガス処理装置において、
前記ガス排出部の近傍にて半導体排ガスに薬液を噴霧するミスト供給手段が取り付けられていることを特徴とする半導体排ガス処理装置。 - 前記出口スクラバは、多数のガス通流孔を有し、垂直方向に間隔を隔てて複数設置された穿孔プレートと、前記穿孔プレートの上面または下面の少なくとも一方に向けて薬液を噴霧する複数のスプレーノズルとで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体ガス処理装置。
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