JP3793128B2 - 画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やレーザープリンター及び普通紙ファクシミリ等の画像形成装置及びプロセスカートリッジに関し、より詳しくは画質、耐久安定性に優れた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報産業の急速な発展に伴い、産業上又はオフィス用途として高画質な画像記録が望まれている。これらの要望に対して電子写真法、熱転写法及びインクジェット法等の種々の方法が提案され、実用化されている。中でも電子写真法は、その高速印字性及び高画質のメリットからオフィスで多用されているが、最近ではグラフィック画像の記録のケースも多くなってきており、より一層の高画質化や高精細化が求められてきている。これら市場の要求に対して、レーザープリンターにおいては、従来の240dpiから600、1200dpiとより高解像度化されつつあり、また、複写機におけるデジタル化、高解像度化を進める等、画像形成装置における高画質化や高精彩化が進められている。
【0003】
これらの動きに対して、装置開発の側からは、精密加工技術の開発、高精度の制御技術の開発及び使用等が提案され検討されているが、トナー開発の側からは、トナーサイズの小径化による高画質化、ならびに円形度の高いトナーによる高画質や高精彩化の技術開発が活発に行われている。これらのトナーの小径化、円形度の向上において、従来の着色剤と結着樹脂を混練、粉砕、分級してトナーを得る粉砕法トナーでは粉砕の細密化、分級手段、研磨等の後処理による小径化、球形化等が盛んに研究されているが、一方、着色剤を含有したエチレン性不飽和単量体を分散剤の存在下に水中に分散した後、重合して得られる重合トナーが注目され、精力的に研究開発が行われており、重合トナーがトナーの小径化、円形度の向上の有力な手段であることが確認されている。このように小径で円形度の高いトナーは、感光体上の静電潜像を忠実にかつ精度良く現像し、また高い転写性を発揮することで画像の高画質化や高精細化に絶大な効果をもたらす。
【0004】
また近年、半導電性、又は表面に誘電層を有する弾性ローラを現像ローラとして用いて感光体の表面に押し当てながら現像を行う、いわゆる接触一成分現像方法が提案されている。例えば、Japan Hardcopy’89論文集25〜28頁、FUJITSU Sci.Tech.J.,28,4,pp.473−480(December 1992)、特開平5−188756号公報及び特開平5−188752号公報には、一成分接触現像に関する技術が記載されている。
【0005】
接触一成分現像方法においては、感光体表面と現像電極が非常に近接しているため、現像のエッジ効果を低減できる利点があり、更に上記のような球形トナーを用いた場合、より一層の高画質化や高精細化の可能性がある。
【0006】
接触一成分現像方法では、現像ローラと感光体とがそれぞれの軸方向に均一なニップ幅を安定して維持するために、現像ローラにはゴムローラやスポンジローラー等の弾性ローラが圧接し、また現像ローラは、感光体へ強く圧接されると共に現像ローラの表面よりトナーを感光体により多く現像させるために、現像ローラの周速を感光体の周速より速く設定する必要がある。このため感光体と現像ローラ間の駆動トルクが高くなり、長期間使用による感光体表面の傷や摩耗、トナー融着を引き起こし、耐久特性が劣化するという問題を有している。
【0007】
また、トナーとして球形トナーを用いた場合、現像ローラ上に形成されるトナー層が不均一になり、画像濃度の低下やカブリ等、画質低下の問題があり、例えば特開平9−62085号公報には表面粗さが10μm以下の現像ローラを用いることで現像ローラ上に均一なトナー層を形成する方法が、特開平9−319208号公報にはトナーの平均粒径と現像ローラ表面の凹凸、表面粗さを規定し、現像ローラ上に均一なトナー層を形成する方法が開示されているが、表面粗さを大きくするとトナーと現像ローラ表面との接触機会が増加するため現像ローラ上へのトナーコート量も増加し、結果として現像ローラと感光ドラムとの当接圧が上がり、現像ローラの駆動トルクが大きくなり、やはり感光体の摩耗量の増加やトナー融着の発生という問題が生じてくる。
【0008】
特に、感光層が電荷発生層と電荷輸送層の2層で構成される有機積層型感光体では、電荷輸送層がトナーや現像ローラと強く当接し摺動するため、感光体表面は傷付き、摩耗する。感光層の傷や不均一な摩耗は、感光体の耐久性を低下させると共に、現像ローラの感光体表面との接触を不均一にし、スジやカブリ等の画像欠陥を引き起こしてしまう。現像ローラの当接圧を下げると初期の感光体の傷、摩耗といった問題は解決できるものの、現像性の低下を防ぐために現像ローラと感光体との周速比をかなり大きくする必要があり、結果として繰り返し画像出力においては感光体の傷や摩耗は増加し、更にはトナーの劣化を引き起こす等の問題が発生し易い傾向にあった。
【0009】
感光体の摩耗量を低減する方法として、感光層中にシリコーン樹脂微粒子やフッ素樹脂粒子の添加による感光体表面の滑り性を上げることによる摩耗量低減が特開昭63−65449号公報に開示されているが、これらの方法により感光体の滑り性は増しても感光層は依然として機械的強度が低くトナー添加剤であるシリカ、アルミナ及びチタニア等の無機化合物粉末が感光層表面に深い溝を掘るようなアブレシブ摩耗する等、傷は発生し易く、また上記トナー添加剤が感光層表面に融着し更にそれがきっかけとなりトナー融着が発生することもあり十分な対策とはなっていない。
【0010】
一方、前述のように小径で円形度の高いトナーは、感光体上の静電潜像を忠実にかつ精度良く現像し、また高い転写性を発揮することで画像の高画質化、高精細化に絶大な効果があるが、反面クリーニング性は低く、複写機やプリンターでの印字試験に際してクリーニング不良等の問題が頻発するという欠点を有する。
【0011】
複写機やプリンター等の画像形成装置においては、感光体表面に形成されたトナー像を転写材に転写した後、感光体表面には未転写トナーが残留し、残留トナーはブラシ、磁気ブラシ又はブレード等で感光体表面から除去される。ブラシクリーニングは、ポリエステルやアクリル系の繊維が使用されループ状や直毛状等の形状、繊維の硬度、太さ等を変化させ最適化を図り使用している。しかしブラシのみのクリーニングは、微粉トナーの除去ができず繊維間をすり抜け十分な除去にいたらない。磁気ブラシに至っても同様であり、また電界の印加で静電的除去も試みられているが、トナー飛散が発生し十分でない。従って現在、残留トナーの除去性、コスト、小型化等から弾性ブレードを用いたブレードクリーニングが主流である。ブレードクリーニングの改良に関する報告は多く、特許公報に開示されている。例えば特開平5−35156号公報には、ウレタンゴムブレードの硬度、弾性率、伸び等の物性値とクリーニング特性についての検討結果が開示されている。
【0012】
このように他の方式と比較してもクリーニング性能の高いブレードクリーニングであるが、前述の、小径で円形度が高いトナーをクリーニングした場合には、複写機やプリンターを使用するあらゆる環境で十分なクリーニング性能を発揮することは困難であり、特に高温高湿や低温低湿の環境でクリーニング不良が発生する傾向にあった。特に、小径で円形度が高いトナーを用いた場合には、初期においてはクリーニングブレードと感光体表面との間をトナーがすり抜ける状態のクリーニング不良が発生し易く、繰り返し使用時においては感光層の傷や不均一な摩耗によるクリーニングブレードと感光体表面の不均一な接触に起因するスジ状のクリーニング不良が発生し易い。初期のすり抜け状のクリーニング不良を改善するためにクリーニングブレードの感光体表面への当接圧力を増加すると、初期のクリーニング性は向上するが繰り返し画像出力においては感光体表面の傷、不均一な摩耗がいっそう増し、結果としてクリーニング性の悪化を引き起こし易い傾向にあり、また、クリーニングブレードの感光体表面への当接圧が高過ぎるとブレードめくれが発生し易くなるという弊害がある。
【0013】
従って、接触現像方法において球形トナーの現像性を維持しつつトナークリーニング性、感光体の耐久性を維持することが難しいのが現状である。
【0014】
更に本発明では、電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤で顕在化し、得られた画像を中間転写ベルトに転写する一次転写手段と中間転写ベルトに転写された画像を更に転写材に転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、中間転写ベルトと電子写真感光体と中間転写ベルトのクリーニング機構及び電子写真感光体のクリーニング機構が一体のユニット内に配置され、該中間転写ベルトのクリーニング機構が、残留した現像剤を一次転写時と逆の極性に帯電させ、中間転写ベルト上から一次転写と同時に電子写真感光体に戻す機構を用いている。
【0015】
こうした機構の場合、一次転写時に電子写真感光体に残留したトナーだけでなく、中間転写ベルトに残留したトナーのクリーニングも行わなければならず、残留トナー量が多くなる。また、中間転写ベルトから電子写真感光体に戻されたトナーは、流動性を上げるために用いられている外添剤や荷電制御剤が多く含まれており更にクリーニング性が難しい構成となる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤で顕在化し、得られた画像を中間転写ベルトに転写する一次転写手段と中間転写ベルトに転写された画像を更に転写材に転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、中間転写ベルトと電子写真感光体と中間転写ベルトのクリーニング機構及び電子写真感光体のクリーニング機構が一体のユニット内に配置され、該中間転写ベルトのクリーニング機構が、残留した現像剤を一次転写時と逆の極性に帯電させ、中間転写ベルト上から一次転写と同時に電子写真感光体に戻す機構において、小径で円形度の高いトナーを用いた接触現像方法では球形トナーの現像性の維持及びトナークリーニング性と感光体、特に有機感光体の耐久性の両立に問題があり、その改善が求められていた。
【0017】
本発明の目的は、かかる課題を解決するものとして、トナーに小径で円形度の高いトナーを用いた電子写真現像方法においても現像性を維持しつつ、繰り返し画像出力時の特性にも優れ、高い画像品質かつ高精細な画像の供給が長期に亘り可能となる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、導電性支持体上に電荷発生層と結着樹脂が熱可塑性樹脂である電荷輸送層この順に積層した電子写真感光体であって該電荷輸送層の表面が該電子写真感光体の表面である電子写真感光体と、中間転写ベルトと、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤で顕在化し得られた画像を中間転写ベルトに転写する一次転写手段と、該中間転写ベルトに転写された画像を更に転写材に転写する二次転写手段と、中間転写ベルトのクリーニング機構と、該電子写真感光体のクリーニング機構とを有する画像形成装置において、
中間転写ベルトと、該電子写真感光体と、該中間転写ベルトのクリーニング機構と、該電子写真感光体のクリーニング機構が一体のユニット内に配置されており
該中間転写ベルトのクリーニング機構が、該中間転写ベルトに残留した現像剤を一次転写時と逆の極性に帯電させ、中間転写ベルト上から一次転写と同時に電子写真感光体に戻す機構であり、
該電子写真感光体の電荷輸送層の表面から1μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが232N/mm2以上254N/mm2以下で弾性変形率が35%以上であり
該電子写真感光体の電荷輸送層の表面から5μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが262N/mm2以上で弾性変形率が30%以上である
ことを特徴する画像形成装置が提供される。
【0019】
また、本発明に従って、導電性支持体上に電荷発生層と結着樹脂が熱可塑性樹脂である電荷輸送層とをこの順に積層した電子写真感光体であって該電荷輸送層の表面が該電子写真感光体の表面である電子写真感光体と、中間転写ベルトと、中間転写ベルトのクリーニング機構と、該電子写真感光体のクリーニング機構とが一体のユニットに配置されたプロセスカートリッジであって、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤で顕在化して得られた画像を該中間転写ベルトに転写する一次転写手段、及び、該中間転写ベルトに転写された画像を更に転写材に転写する二次転写手段を有する画像形成装置本体と着脱自在に構成された中間転写ベルト−電子写真感光体一体のプロセスカートリッジにおいて、
該中間転写ベルトのクリーニング機構が、該中間転写ベルトに残留した現像剤を一次転写時と逆の極性に帯電させ、該中間転写ベルト上から一次転写と同時に該電子写真感光体に戻す機構であり、
該電子写真感光体の電荷輸送層の表面から1μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが232N/mm 2 以上254N/mm 2 以下で弾性変形率が35%以上であり、
該電子写真感光体の電荷輸送層の表面から5μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが262N/mm 2 以上で弾性変形率が30%以上である
ことを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは粒子径が小さく、円形度の高いトナーである。トナーの円相当個数平均径は2〜10μmであり、好ましくは5〜8μmと小径化することにより、画像の輪郭部分、特に文字画像やラインパターンの現像での再現性が良好なものになる。しかし、一般的にトナー粒子径を小径化すると、必然的に微小径のトナーの存在比率が高くなるため、トナーの感光体表面や現像ローラへの付着力が高くなり、結果として転写残トナーの増加や画像カブリの発生等の問題を招いていた。
【0022】
しかし、本発明に用いられるトナーでは円形度を高く、平均円形度が0.950〜0.995で、円形度標準偏差が0.040未満とすることにより、従来では困難であった小粒径を呈するトナーの転写性を大幅に改善すると共に低電位潜像に対する現像能力も格段に向上する。
【0023】
具体的には、フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナーの円相当個数平均径が2〜10μmであり、かつ平均円形度が0.950〜0.995で、円形度標準偏差が0.040未満の乾式1成分トナーである。
【0024】
本発明に使用されるトナーの円相当径、円形度及びそれらの頻度分布とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
【0025】
【数1】
Figure 0003793128
【0026】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0027】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0028】
本発明において、トナーの個数基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径d1と粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出される。
【0029】
【数2】
Figure 0003793128
【0030】
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度cと円形度標準偏差SDcは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、頻度をfciとすると、次式から算出される。
【0031】
【数3】
Figure 0003793128
【0032】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物等を除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子としてφ5mmのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0033】
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、トナーの円相当径や円形度頻度分布等を求める。
【0034】
本発明においてトナーに使用されるワックス成分としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス及びそれらの誘導体等で、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含み、また、高級脂肪族アルコール等のアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸あるいはその化合物;酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックス等のスチレンモノマーへの溶解温度が40〜80℃のものであれば、どれでも用いることが可能である。
【0035】
これらの中でもポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、石油系ワックス、高級アルコール、もしくは、高級エステルである場合、現像性や転写性の改善効果が更に高くなる。
【0036】
上述したワックス成分は、結着樹脂100質量部に対して1〜30質量部使用するのが好ましい。
【0037】
本発明においてトナーに用いられる結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びスチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、それらを形成するための単量体が用いられる。具体的にはスチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独、又は、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じ易く、一方75℃を超える場合はトナーの定着点の上昇をもたらす。特に、フルカラー画像を形成するためのカラートナーの場合においては各色トナーまた、現像剤であるトナーの形状係数を特定の値とすることで、現像剤の電子写真感光体から転写媒体への転写効率を大きくすることができる。その結果、電子写真感光体上に転写残の現像剤が少なくなり、帯電部材への現像剤付着が減少する。また、仮に帯電部材に付着したとしても本発明のような形状係数を有する現像剤であれば帯電部材上から離脱し易いことがわかった。トナーの定着時の混色性が低下し色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性が低下するため好ましくない。
【0038】
結着樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。低軟化点物質を外殻樹脂で内包化した所謂コアーシェル構造を有するトナーの場合、具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめて抽出物を得て、更に低軟化点物質は溶解するが外殻樹脂は溶解しない有機溶剤(例えばクロロホルム等)を抽出物に加え十分洗浄を行った後、残留物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプル(THF溶液)をウォーターズ社製150Cを用いて測定する。カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806及び807を連結し、標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。結着樹脂の主たるピーク分子量は5000〜100万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2〜100を示すものが本発明には好ましい。
【0039】
本発明に使用されるトナーに用いられる着色剤は、以下に示すイエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤が挙げられ、黒色着色剤としてカーボンブラック、磁性体又は以下に示すイエロー着色剤/マゼンタ着色剤/シアン着色剤を混合して黒色に調色されたものが利用される。
【0040】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物又はアリルアミド化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168又は180等が好適に用いられる。
【0041】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物又はペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221又は254等が特に好適に用いられる。
【0042】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物又は塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62又は66等が特に好適に用いられる。
【0043】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー粒子中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂成分100質量部に対し1〜20質量部使用するのが好ましい。
【0044】
黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり、樹脂100質量部に対し40〜150質量部使用するのが好ましい。
【0045】
本発明に使用されるトナーには公知の荷電制御剤を併用することができ、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に、トナー粒子を直接重合法を用いる場合には、重合阻害性が無く水系分散媒体への可溶化物の無い荷電制御剤が好ましい。
【0046】
具体的化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物;スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;カリークスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として、四級アンモニウム塩;該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0047】
しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリヤーとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においては、ブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0048】
本発明に使用されるトナーに無機微粉体を添加することは、現像性、転写性、帯電安定性、流動性及び耐久性向上のために好ましい実施形態である。該無機微粉体としては公知のものが使用可能であるが、特にシリカ、アルミナ、チタニアあるいはその複酸化物の中から選ばれることが好ましい。更には、シリカであることがより好ましい。例えば、かかるシリカは硅素ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ及びアルコキシドや水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2OやSO3 2-等の製造残渣の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム及び塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0049】
本発明に使用されるトナーに用いられる無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結果を与え、トナー100質量部に対してシリカ微粉末0.1〜8質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部、更に好ましくは1.0を超えて3.0質量部まで使用するのが特によい。
【0050】
また、本発明に使用されるトナーに用いられる無機微粉体は、必要に応じ、疎水化や帯電性制御等の目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤で、あるいは、種々の処理剤で併用して処理されていることも可能であり好ましい。
【0051】
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出した。
【0052】
高い帯電量を維持し、低消費量及び高転写率を達成するためには、無機微粉体は少なくともシリコーンオイルで処理されることが更に好ましい。
【0053】
本発明に使用するトナーにおいては、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばポリテトラフルオロエチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末等の研磨剤;例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末等の流動性付与剤;ケーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤、また、逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0054】
本発明に使用するトナーを製造する方法としては、樹脂、低軟化点物質からなる離型剤、着色剤、荷電制御剤等を加圧ニーダーやエクストルーダー又はメディア分散機を用い均一に分散せしめた後、機械的又はジェット気流下でターゲットに衝突させ、所望のトナー粒径に微粉砕化せしめた後(必要により、トナー粒子の平滑化及び球形化の工程を付加)、更に分級工程を経て粒度分布をシャープにせしめトナーにする粉砕方法によるトナーの製造方法の他に、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報及び特開昭59−61842号公報に開示されている懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合方法等を用いトナーを製造することが可能である。
【0055】
粉砕法を用いてトナーを製造する方法においては、トナー粒子の形状を所望の円形度頻度分布の範囲に納めることが困難であり、溶融スプレー法においては、ある程度の円形度を得ることができるが、得られるトナーの粒度分布が広くなり易い傾向があると共に、トナーの表面状態をコントロールすることが困難である。他方、分散重合法においては、得られるトナーは極めてシャープな粒度分布を示すが、使用する材料の選択が狭いことや有機溶剤の利用が廃溶剤の処理や溶剤の引火性に関する観点から製造装置が複雑で煩雑化し易い。ソープフリー重合に代表される乳化重合方法は、トナーの粒度分布が比較的揃うため有効であるが、使用した乳化剤や重合開始剤末端がトナー粒子表面に存在し時に環境特性を悪化させ易い。
【0056】
本発明においては、トナー粒子の円形度頻度分布のコントロールが重要であり、比較的容易に円相当個数平均径が2〜6μmの微粒子トナーが得られる常圧下、又は、加圧下での乳化重合法又は懸濁重合方法を用い、予め得られた重合体にメディアを用い定形化したり、直接加圧衝突板に重合体を衝突せしめる方法や、更には得られた重合体を水系中にて凍結せしめたり、塩折や反対表面電荷を有する粒子をpH等の条件を考慮することで合体し、凝集、合一せしめる凝集方法が特に好ましい。更に、一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめるシード重合方法も本発明に好適に利用することができる。中でも懸濁重合方法が本発明においては特に好ましい。
【0057】
トナーの製造方法として直接重合方法を利用する場合、トナー粒子の円形度頻度分布及び粒径頻度分布の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機械的装置条件(例えばローターの周速、パス回数、攪拌羽根形状等の攪拌条件や容器形状)又は、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより所定のトナー粒子を得ることができる。また、前述の如くトナー粒子の乾燥に用いられる円錘型乾燥機の攪拌条件、処理時間を調整することによっても所定のトナー粒子を得ることができる。
【0058】
また、トナーを加熱乾燥する際にもトナー粒子に球形化処理を施すことが可能で、例えば流動層乾燥機を用い、回転翼の攪拌条件と処理時間を調整することによりトナー粒子形状を好ましいものにすることができる。
【0059】
本発明におけるトナーは、ワックス成分の物理特性を前述の如き特定することにより、上記の如きトナー粒子の球形化処理に対してもトナーの粗粒化やワックス成分による影響を最小限とすることができるので非常に有効なものとなる。
【0060】
直接重合法によりトナーを製造する際、用いられる重合開始剤として例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド及びラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが一般的には重合性単量体に対し0.5〜20質量%用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独又は混合して使用される。重合度を制御するため公知の架橋剤、連鎖移動剤及び重合禁止剤等を更に添加し、用いてもよい。
【0061】
トナーの製法として分散安定剤を用いた懸濁重合法を利用する場合、用いる分散安定剤としては、無機化合物として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ及びアルミナ等が挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン等が挙げられる。これらを水相に分散させて使用できる。これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を使用することが好ましい。
【0062】
分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、細かい粒子を得るために、分散媒体中にて該無機化合物の微粒子を生成してもよい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速攪拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合するのが好ましい。
【0063】
これら分散安定剤の微細な分散のために、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。これは上記分散安定剤の所期の作用を促進するためのものであり、例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム及びオレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0064】
本発明で使用するトナーの製造方法として直接重合法を用いる場合においては、以下の如き製造方法が可能である。
【0065】
重合性単量体中に、低軟化点物質からなる離型剤、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザーや超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の攪拌機、ホモミキサー又はホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは、単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように攪拌速度や攪拌時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、かつ粒子の沈降が防止される程度の攪拌を行えばよい。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行うのが好ましい。重合反応後半に昇温してもよく、更に、本発明における画像形成方法における耐久性向上の目的で、未反応の重合性単量体や副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を反応系から留去してもよい。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体組成物100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
【0066】
本発明の画像形成装置は、現像ローラとしての弾性ローラ表面に、一成分現像剤としてトナーをコーティングし、これを感光体表面と接触させる方法を採用している。トナーは非磁性トナーが好ましいが、磁性トナーでもよい。現像ローラ上のトナーと感光体表面が接触するようにすることが重要である。トナー担持体は実質的に感光体表面と接触しているが、これは、トナー担持体からトナーを除いた時に該トナー担持体が感光体と接触しているということを意味する。この時、トナーを介して、感光体と感光体表面に対向する現像ローラ間に働く電界によってエッジ効果のないトナー画像を得るためには、現像ローラ表面あるいは、現像ローラの表面近傍に電位をもち、感光体表面とトナー担持体表面間で電界を形成する必要がある。このため、現像ローラの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を形成するか、又は導電性ローラの表面層に薄層の誘電層を設けるか、更には、導電性ローラ上に感光体表面に対向する側を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブあるいは、絶縁性スリーブで感光体に対向しない側に導電層を設けたいずれの構成でも可能である。
【0067】
本発明において、トナーを担持する現像ローラは感光体の周速同方向に回転していてもよいし、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合感光体の周速に対して、周速比で100%以上が好ましく、より好ましくは120〜300%、更に好ましくは140〜250%にして周速差を生じさせるのがよい。100%未満であると、ラインの切れが悪い等の画像品質に問題を生じ易い。周速比が高くなると、現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得られる。
【0068】
本発明は、トナーを磁性キャリヤーから形成される磁気ブラシを用いる二成分現像方法についてはこれを包含していない。
【0069】
本発明に用いられるクリーニング部材としては、ブレード、ローラ、ファーブラシ、磁気ブラシ等を用いることができる。これらのクリーニング部材の2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0070】
本発明に用いられる電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とをこの順に積層した構成である。
【0071】
本発明に用いる感光体の電荷輸送層は、表面から1μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが232N/mm2以上254N/mm2以下で弾性変形率が35%以上かつ、表面から5μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが262N/mm2以上で弾性変形率が30%以上である必要がある。
【0072】
本発明者らは鋭意検討の結果、電子写真感光体の電荷輸送層の硬度と変形率に着目し、表面皮膜硬度計を用いて得られるユニバーサル硬さ値(H)と弾性変形率(塑性変形率)の値が、ある数値以上の場合に、接触現像方法において球形トナーの現像性を維持しつつトナークリーニング性、感光体の耐久性を維持することが可能であることを見出した。
【0073】
電子写真感光体における電荷輸送層の表面近傍のユニバーサル硬さ、すなわち表面から1μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが232N/mm2未満では本発明の画像形成装置においては、感光体の機械的強度が十分でなく、また、表面から1μmの押し込み深さにおける弾性変形率が35%未満ではトナークリーニング性が十分でなく、トナー外添剤の埋め込み等に起因したトナー融着が引き起こる。また、表面から1μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが254N/mm2より大きくなると、感光体電荷輸送層の摩耗量が少なくなるためにブレードめくれが発生する。
【0074】
一方、電子写真感光体における電荷輸送層の内部のユニバーサル硬さ、すなわち表面から5μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが262N/mm2未満であるか、弾性変形率が30%未満である場合、本発明の画像形成装置においては、感光体の繰り返し使用時の電荷輸送層における傷、不均一な摩耗に対する耐久性が十分でなく、特にスジ状のトナークリーニング不良発生の原因となる傷がより深く成長する。
【0075】
本発明における電子写真感光体の電荷輸送層の表面硬度は、計装化圧子圧入法(nanoindentation methods)によるユニバーサル硬さ(HU:単位N/mm2)で測定する。
【0076】
本発明において、ユニバーサル硬さはHelmut Fisher GMBH+Co.製のFISHERSCOPE H100Vを用いて測定した。試料は、ガラス板上に18μmの膜厚で形成した。測定は圧子に一定の荷重をかけ圧子の押し込み深さを1μm、5μmと代えて測定した。また、弾性変形率はユニバーサル硬度測定時に圧子の荷重を減少させることにより、膜の弾性エネルギー(塑性エネルギー)を解析することもできる。弾性変形率(塑性変形率)は圧子が膜に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち圧子の膜に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めたものであり、下式からその値は求まる;
弾性変形率(%)=弾性変形に要したエネルギー/(塑性変形に要したエネルギー+弾性変形に要したエネルギー)
【0077】
本発明における電子写真感光体の具体例を以下に説明する。
【0078】
本発明における電子写真感光体に使用する支持体は、導電性を有するものであればよく、アルミニウムやステンレス等の金属、あるいは導電層を設けた金属、紙及びプラスチック等が挙げられ、形状はシート状や円筒状等が挙げられる。特に、LBP等の画像入力がレーザー光の場合は、散乱による干渉縞防止、又は支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けることが好ましい。これは、カーボンブラックや金属粒子等の導電性粉体を結着樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μmが好ましく、特には10〜30μmが好ましい。
【0079】
その上に必要に応じて接着機能及びバリアー機能を有する中間層を設けることができる。中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン及びポリエーテルウレタン等が挙げられる。これらは、適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μmが好ましく、特には0.3〜1μmが好ましい。
【0080】
導電性支持体あるいは中間層の上には電荷発生層が形成される。用いられる電荷発生材料としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン及び非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。電荷発生層は前記電荷発生材料を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル又は液衝突型高速分散機等を使用して十分に分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、特には0.1〜2μmが好ましい。
【0081】
電荷輸送層は、主として電荷輸送材料と結着樹脂とを溶剤中に溶解させた塗料を塗布、乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物及びチアゾール系化合物等が挙げられる。これらは、0.5〜2倍量の結着樹脂と組み合わされ、塗布、乾燥して電荷輸送層を形成する。
【0082】
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
【0083】
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、50000以上200000以下が好ましい。50000未満では結着樹脂として、機械的強度が十分でなく電荷輸送層の耐摩耗性が低下やトナー融着が発生し易く、200000を超えると電荷輸送層用塗料の粘度が高くなり過ぎ塗工性が極度に悪化し生産性低下の問題がある。
【0084】
本発明に用いられる感光体の電荷輸送層は、表面から1μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが232N/mm2以上254N/mm2以下で弾性変形率が35%以上かつ、表面から5μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが262N/mm2以上で弾性変形率が30%以上であればよいが、上記のような低分子量の電荷輸送材料を結着樹脂中に分散した電荷輸送層では、その膜の機械的強度及び変形率は結着樹脂の機械的強度及び電荷輸送材料の含有量に大きく依存する。しかも低分子量の電荷輸送材料を分子分散しているため、その分散状態により電荷輸送層の膜の機械的強度及び変形率は表面近傍と内部で異なる値となる。特に、電荷輸送層形成時の膜の乾燥条件により電荷輸送層中の電荷輸送材料の分散状態が異なってくる。従って、本発明に用いる電荷輸送層を、低分子量の電荷輸送材料を結着樹脂中に分散した膜によって得るためには、結着樹脂として、ポリアリレート樹脂やポリカーボネート樹脂等の硬度の高いかつ高分子量の樹脂を選択し、更に低分子量の電荷輸送材料の含有量を極力小さくする必要がある。更に、適当な乾燥条件を選択することにより、本発明のような膜の表面近傍と内部で硬度と弾性変形率が異なる電荷輸送層を形成することが可能である。
【0085】
電荷輸送層の硬度は上述のように多くの因子で決まるため、一概には決定されないが、結着樹脂及び電荷輸送材料の組み合わせと混合比、更に乾燥条件の選択によっては表面から1μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが232N/mm2以上254N/mm2以下で弾性変形率が35%以上かつ、表面から5μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが262N/mm2以上で弾性変形率が30%以上は達成される。
【0086】
例えば重量平均分子量80000以上のポリカーボネート樹脂と分子量400〜500程度のトリフェニルアミン誘導体又はスチルベン誘導体の電荷輸送材料を質量比10:8以上の比率で混合し、100℃で乾燥した場合には上述の電荷輸送層の硬度及び弾性率と成り得る。
【0087】
本発明に使用される感光体の電荷輸送層には、各種添加剤を添加することができる。該添加剤とは酸化防止剤及び紫外線吸収剤等の劣化防止剤である。
【0088】
本発明における中間転写体に用いられる成型用原料のうちの主たる材料である樹脂は、特に制約はないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリサルホンやポリエーテルサルホン及びポリフェニレンサルファイド等の硫黄含有樹脂、ポリフッ化ビニリデンやポリエチレン−四フッ化エチレン共重合体等のフッ素含有樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等やこれらの各種変性樹脂や共重合体を1種類あるいは2種類以上を使用することができる。但し、上記材料に限定されるものではない。
【0089】
次に、中間転写ベルトの電気抵抗値を調節するために混合する添加剤は、特に制限されるものではないが、抵抗を調整する導電性フィラーとしては、カーボンブラックや各種の導電性金属酸化物等があり、非フィラー系抵抗調整剤としてはエーテル結合や水酸基等を分子内に含んだ帯電防止樹脂又は電子導電性を示す有機高分子化合物等である。
【0090】
各種金属塩やグリコール類等の低分子量のイオン導電材は、電子写真感光体への移行を生じ易いため、一般的には好ましくないが、必ずしも全ての材料が問題を生じるわけでは無いので、電子写真感光体に影響しない範囲にある材料であれば使用することができる。
【0091】
つづいて本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体カートリッジを用いた画像形成装置の1例を図1に示す。
【0092】
図1は電子写真プロセスを利用したフルカラー画像形成装置(複写機あるいはレーザービームプリンター)である。
【0093】
第1の画像担持体として繰り返し使用される回転ドラム型の電子写真感光体(以下感光ドラムと記す)1は、矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0094】
感光ドラム1は回転過程で、一次帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。32は一次帯電器の電源であり、ここでは直流に交流を重畳して印加しているが、直流のみでもよい。次いで不図示の露光手段(カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系等)による露光光3を受けることにより目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0095】
次いで、その静電潜像が第1の現像器(イエロー色現像器41)により第1色であるイエロートナーYにより現像される。この時、第2〜第4の現像器(マゼンタ色現像器42、シアン色現像器43及びブラック色現像器44)の各現像器は作動−オフになっていて感光ドラム1には作用せず、上記第1色のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像器による影響を受けない。
【0096】
中間転写ベルト5は、矢印方向に感光ドラム1と同じ周速度をもって回転駆動されている。感光ドラム1上に形成担持された上記第1色のイエロートナー画像が、感光ドラム1と中間転写ベルト5とのニップ部を通過する過程で、一次転写ローラー6から中間転写ベルト5に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト5の外周面に順次一次転写されていく。
【0097】
中間転写ベルト5に対応する第一色のイエロートナー画像の転写を終えた感光ドラム1の表面は、クリーニング装置13により清掃される。
【0098】
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次中間転写ベルト5上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
【0099】
二次転写ローラー7は、二次転写対向ローラー8に対応し平行に軸受させて中間転写ベルト5の下面部に離間可能な状態に配設してある。
【0100】
感光ドラム1から中間転写ベルト5への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための一次転写バイアスは、トナーとは逆極性(+)でバイアス電源30から印加される。その印加電圧は、例えば+100V〜2kVの範囲である。
【0101】
感光ドラム1から中間転写ベルト5への第1〜第3色のトナー画像の一次転写工程において、二次転写ローラー7は中間転写ベルト5から離間させることも可能である。
【0102】
中間転写ベルト5上に転写された合成カラートナー画像の転写材Pへの転写は、二次転写ローラー7が中間転写ベルト5に当接されると共に、給紙ローラー11から転写材ガイド10を通って、中間転写ベルト5と二次転写ローラー7との当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送され、二次転写バイアスが電源31から二次転写ローラー7に印加される。この二次転写バイアスにより中間転写ベルト5から転写材Pへ合成カラートナー画像が二次転写される。トナー画像の転写を受けた転写材Pは、定着器15へ導入され加熱定着される。
【0103】
転写材Pへの画像転写終了後、中間転写ベルト5には離接自在に配置されたクリーニング用帯電部材9が当接され、感光ドラム1とは逆極性のバイアスを印加することにより、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト5上に残留している転写残トナーに一次転写時と逆極性の電荷が付与される。33はバイアス電源である。ここでは、直流に交流を重畳して印加している。一次転写時と逆極性に帯電された前記転写残トナーは、感光ドラム1とのニップ部及びその近傍において感光ドラム1に静電的に転写されることにより、中間転写体がクリーニングされる。この工程は一次転写と同時に行うことができるため、スループットの低下を生じない。
【0104】
つづいて本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体カートリッジについて説明する。本発明のカートリッジは、図2に示されるように少なくとも中間転写ベルト5と電子写真感光体1、中間転写ベルトクリーニング部材9及び電子写真感光体のクリーニング部材13が一体のユニットとして構成され、画像形成装置本体と容易に着脱できるようになっている。中間転写ベルトのクリーニングは、前述のように転写残トナーを一次転写と逆の極性に帯電させ、一次転写部で電子写真感光体に戻すために必要な機構であり、本図では中抵抗の弾性体からなるクリーニングローラー9を装備している。電子写真感光体のクリーニングは、ブレードクリーニングである。本カートリッジには不図示の廃トナー容器も一体となっており、中間転写ベルト−電子写真感光体双方の転写残トナーもカートリッジ交換時に同時に廃棄されるため、メンテナンス性の向上に貢献している。また、中間転写ベルトは、8と12の2本のローラーで張架され部品点数の削減と小型化を図っている。ここで、8は駆動ローラーであると同時にクリーニングローラーの対向ローラーとなっている。中間転写ベルトに従動して回転するテンションローラー12は、スライドする機構を有しており、圧縮ばねにより矢印の方向に圧接され、中間転写ベルトに張力を与えている。そのスライド幅は1〜5mm程度で、ばねの圧力合計は5〜100N程度である。また、電子写真感光体1と駆動ローラー8は不図示のカップリングを有し、本体から回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0105】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。但し、本発明はこれのみに限定されない。なお、実施例中の「部」は質量部を意味する。
【0106】
[トナーの製造例]
高速攪拌装置TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を備えた2リットル用4ッ口フラスコ中にイオン交換水650gと0.1mol/リットル−Na3PO4水溶液500gを投入し、回転数を12000rpmに調整し、70℃に加温せしめた。ここに1.0mol/リットル−CaCl2水溶液70部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散安定剤Ca3(PO42を含む水系分散媒体を調製した。
【0107】
一方、分散質として、
スチレン 78部
2−エチルヘキシルアクリレート 22部
ジビニルベンゼン 0.2部
カーボンブラック(粒径=45nm) 5部
ポリカーボネート樹脂(ピーク分子量=7000) 5部
ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム化合物 2部
エステルワックス(mp=62℃) 10部
からなる混合物をアトライター(三井金属社製)を用い3時間分散させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を添加し重合性単量体組成物を調製した。
【0108】
次に、前記水系分散媒体中に該重合性単量体組成物を投入し、内温70℃のN2雰囲気下で、高速攪拌器の回転数を12000rpmに維持しつつ、15分間攪拌し、該重合性単量体組成物を造粒した。その後、攪拌器をプロペラ攪拌羽根に換え50rpmで攪拌しながら同温度に5時間保持し、更に80℃に昇温して10時間保持して重合を完了した。
【0109】
重合終了後、懸濁液を冷却し、次いで希塩酸を添加し分散安定剤を除去せしめた。更に、水洗浄を数回繰り返した後、流動層乾燥機(大川原製作所製)を用い、熱風中で攪拌しながら10時間トナー粒子の球形化処理と乾燥処理を行い、重合体粒子(A)を得た。
【0110】
該重合体粒子(A)は、円相当個数平均径が4.1μmで、円形度頻度分布における平均円形度が0.990で、円形度標準偏差が0.030で、GPCによる分子量分布で、ピーク分子量が15000、Mw/Mnが18であった。
【0111】
上記重合体粒子(A)100部と疎水性オイル処理シリカ微粉体(BET;200m2/g)2部をヘンシェルミキサー(三井金属社製)で乾式混合して、トナーを調製した。
【0112】
<感光体の製造例1>
直径47mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、これに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬塗布し、140℃で30分間熱硬化し、膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0113】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
結着樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール=0.2/0.8 20部
【0114】
次に、この導電層上に、N−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.7μmの中間層を形成した。
【0115】
次に、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するTiOPc4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、エチルアセテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬法で塗布し、膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0116】
次に、電荷輸送層を形成するために、下記式で示される構成単位を有するポリアリレート樹脂(Mw=101000)10部と
【0117】
【化1】
Figure 0003793128
下記式で示されるアミン化合物7部
【0118】
【化2】
Figure 0003793128
とモノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン30部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上にこの塗料を浸漬法で塗布し、100℃で1時間乾燥し、膜厚が24μmの電荷輸送層を形成し、感光体1を作製した。この時電荷輸送層のユニバーサル硬度及び弾性変形率を表1に示す。
【0119】
<感光体の製造例2>
感光体製造例1において用いたアミン化合物を7部から5部に代えた以外は、感光体製造例1と同様にして感光体2を作製した。この時の電荷輸送層のユニバーサル硬度及び弾性変形率を表1に示す。
【0120】
<感光体の製造例3>
感光体製造例1と同様にして支持体、導電層、下引き層、電荷発生層を形成した。
【0121】
次に、下記式で示されるスチリル化合物7部
【0122】
【化3】
Figure 0003793128
及び下記式で示される構成単位を有するポリカーボネート樹脂(Mw=100000)10部
【0123】
【化4】
Figure 0003793128
をモノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン20部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上にこの塗料を浸漬法で塗布し、100℃で1時間乾燥し、膜厚が24μmの電荷輸送層を形成し、感光体3を作製した。この時の電荷輸送層のユニバーサル硬度及び弾性変形率を表1に示す。
【0124】
<感光体の製造例4>
感光体の製造例3において用いたポリカーボネート樹脂の重量平均分子量100000を180000に代えた以外は、感光体の製造例3と同様にして感光体4を作製した。この時の電荷輸送層のユニバーサル硬度及び弾性変形率を表1に示す。
【0125】
<感光体の比較製造例1>
感光体製造例1と同様にして支持体、導電層、下引き層、電荷発生層を形成した。
【0126】
次に、製造例1で用いたポリアリレート樹脂に代え重量平均分子量Mwが40000のZ型ポリカーボネート樹脂25部をモノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン20部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層用塗料を用いて前記電荷発生層上に浸漬法で塗布し、100℃で1時間乾燥し、膜厚が24μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体5を得た。この時の電荷輸送層のユニバーサル硬度及び弾性変形率を表1に示す。
【0127】
<感光体の比較製造例2>
感光体製造例1において用いたアミン化合物を7部から10部に代えた以外は、感光体製造例1と同様にして感光体6を作製した。この時の電荷輸送層のユニバーサル硬度及び弾性変形率を表1に示す。
【0128】
<感光体の比較製造例3>
感光体製造例1において電荷輸送層形成時の乾燥条件を125℃で1時間にした以外は、感光体製造例1と同様にして感光体7を作製した。この時の電荷輸送層のユニバーサル硬度及び弾性変形率を表1に示す。
【0129】
<感光体の比較製造例4>
感光体製造例4において電荷輸送層形成時の乾燥条件を125℃で1時間にした以外は、感光体製造例4と同様にして感光体8を作製した。この時の電荷輸送層のユニバーサル硬度及び弾性変形率を表1に示す。
【0130】
【表1】
Figure 0003793128
【0131】
(実施例1)
画像形成装置として、ヒューレットパッカード製LBP「カラーレーザージェット4500」(プロセススピード117mm/秒)を改造して用いた。現像ローラの回転周速は、感光体との接触部分において同方向であり、該感光体回転周速に対し150%となるように駆動、クリーニング部材として、ウレタンブレードを、設定圧70g/cmに設定した。
【0132】
感光体として製造例1の感光体1を用い、トナーとして前記製造例のトナーを用い、以下の条件を満足するようプロセス条件を設定した。
【0133】
感光体暗部電位 −600V
感光体明部電位 −130V
現像バイアス −375V
【0134】
本機を温湿度23℃/60%の環境に設置し、トナーを補給しつつ、A4サイズ紙に面積比率4%印字の文字パターンで10000枚の連続画出し試験を行い、評価を行った。また、耐久前後において、感光体の表面粗さを測定した。評価結果を表2に示す。
【0135】
(実施例2〜4及び比較例1〜4)
感光体として前記製造例の感光体2〜8を用いた以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0136】
(実施例5、6及び比較例5、6)
実施例1の画像形成装置においてクリーニングブレードの設定圧は90g/cmとし、感光体として感光体1、3及び5、7を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0137】
【表2】
Figure 0003793128
【0138】
【表3】
Figure 0003793128
【0139】
表2及び表3より明らかなように、本発明における実施例の画像形成装置は球形トナーを用いた接触現像方法においてトナーの現像性を維持しつつ、トナークリーニング性、感光体の耐久性を維持することが可能となり、高画質、高精細な画像を長期間安定して提供することができる。
【0140】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、トナー現像性、トナークリーニング性を維持しつつ、繰り返し画像出力時の感光体の機械的摩耗を抑え、高画質、高安定な画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体型プロセスカートリッジを備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】 本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体型プロセスカートリッジの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 一次帯電器
3 露光光
5 中間転写ベルト
6 一次転写対向ローラー
7 二次転写ローラー
8 二次転写対向ローラー
9 クリーニングローラー
10 転写材ガイド
11 給紙ローラー
12 テンションローラー
13 クリーニング装置
16 定着器
30,31,32,33 電源
41 イエロー色現像器
42 マゼンタ色現像器
43 シアン色現像器
44 ブラック色現像器

Claims (8)

  1. 導電性支持体上に電荷発生層と結着樹脂が熱可塑性樹脂である電荷輸送層この順に積層した電子写真感光体であって該電荷輸送層の表面が該電子写真感光体の表面である電子写真感光体と、中間転写ベルトと、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤で顕在化し得られた画像を中間転写ベルトに転写する一次転写手段と、該中間転写ベルトに転写された画像を更に転写材に転写する二次転写手段と、中間転写ベルトのクリーニング機構と、該電子写真感光体のクリーニング機構とを有する画像形成装置において、
    中間転写ベルトと、該電子写真感光体と、該中間転写ベルトのクリーニング機構と、該電子写真感光体のクリーニング機構が一体のユニット内に配置されており
    該中間転写ベルトのクリーニング機構が、該中間転写ベルトに残留した現像剤を一次転写時と逆の極性に帯電させ、中間転写ベルト上から一次転写と同時に電子写真感光体に戻す機構であり、
    該電子写真感光体の電荷輸送層の表面から1μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが232N/mm2以上254N/mm2以下で弾性変形率が35%以上であり
    該電子写真感光体の電荷輸送層の表面から5μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが262N/mm2以上で弾性変形率が30%以上である
    ことを特徴する画像形成装置。
  2. 前記画像形成装置は、現像手段として、弾性ローラ上にトナー層を形成し、該弾性ローラ前記電子写真感光体を相互に回転させながら該トナー層を前記電子写真感光体の表面に接触させ、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を該トナー層のトナーで現像することによってトナー像を形成する手段を有し、
    該トナーは乾式1成分トナーであり、
    ロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて該トナーの円相当個数平均径が2〜10μmであり、かつ、該トナーの平均円形度が0.950〜0.995であり、かつ、該トナーの円形度標準偏差が0.040未満である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記電子写真感光体の電荷輸送層の結着樹脂が重量平均分子量50000以上200000以下の熱可塑性樹脂である請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記トナーが懸濁重合法を用いて製造されたトナーである請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 導電性支持体上に電荷発生層と結着樹脂が熱可塑性樹脂である電荷輸送層この順に積層した電子写真感光体であって該電荷輸送層の表面が該電子写真感光体の表面である電子写真感光体と、中間転写ベルトと、中間転写ベルトのクリーニング機構と、該電子写真感光体のクリーニング機構とが一体のユニットに配置されたプロセスカートリッジであって、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤で顕在化し得られた画像を中間転写ベルトに転写する一次転写手段、及び、該中間転写ベルトに転写された画像を更に転写材に転写する二次転写手段を有する画像形成装置本体と着脱自在に構成された中間転写ベルト−電子写真感光体一体のプロセスカートリッジにおいて、
    該中間転写ベルトのクリーニング機構が、該中間転写ベルトに残留した現像剤を一次転写時と逆の極性に帯電させ、中間転写ベルト上から一次転写と同時に電子写真感光体に戻す機構であり、
    該電子写真感光体の電荷輸送層の表面から1μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが232N/mm2以上254N/mm2以下で弾性変形率が35%以上であり
    該電子写真感光体の電荷輸送層の表面から5μmの押し込み深さにおけるユニバーサル硬度HUが262N/mm2以上で弾性変形率が30%以上である
    ことを特徴するプロセスカートリッジ。
  6. 前記画像形成装置本体は、現像手段として、弾性ローラ上にトナー層を形成し、該弾性ローラ前記電子写真感光体を相互に回転させながら該トナー層を前記電子写真感光体の表面に接触させ、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を該トナー層のトナーで現像することによってトナー像を形成する手段を有し
    該トナーは乾式1成分トナーであり、
    ロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて該トナーの円相当個数平均径が2〜10μmであり、かつ、該トナーの平均円形度が0.950〜0.995であり、かつ、該トナーの円形度標準偏差が0.040未満である請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
  7. 前記電子写真感光体の電荷輸送層の結着樹脂が重量平均分子量50000以上200000以下の熱可塑性樹脂である請求項5又は6に記載のプロセスカートリッジ。
  8. 前記トナーが懸濁重合法を用いて製造されたトナーである請求項5〜7のいずれか記載のプロセスカートリッジ。
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