JP3791781B2 - 車両インジェクターのニードル変位推定方法及びニードル変位推定システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高速直接噴射式ディーゼル機関の一構成要素である車両インジェクターであるコモンレールインジェクターのニードル変位を推定するシステムに係り、特に、コモンレールインジェクターのソレノイド電圧と測定された電流を用いてニードルの変位を推定するコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のディーゼル燃料噴射装置は、噴射圧力を得るためにカム駆動装置を使用しており、その特徴は速度の増加と共に噴射圧力が増加し、これにより噴射燃料量が増加することである。しかし、このようなカム駆動装置は実際には噴射圧力が非常に低い場合にだけ用いられるという短所がある。
【0003】
一方、カム駆動方式とは異なって、高速直接噴射式ディーゼルエンジン(HSDI ; High Speed Direction Injection)は、間接噴射式に比べて燃料が節約されパワーが集中できるという長所があって、商用車はもちろん乗用車への適用が加速化している。このような高速直接噴射式ディーゼルエンジンの噴射系で用いられるコモンレール噴射装置は、噴射圧力の発生と噴射とが完全に別個の過程となる。このように圧力発生と噴射とを分離するためには、高圧を維持できる高圧アキュムレーターやレールが必要となる。このようなコモンレール噴射システムでは、従来のノズルホルダーの位置に、ソレノイドが付着されたノズルが取り付けられ、高圧はラジアルピストンポンプによって生成されるが、エンジン回転数と独立して一定の範囲内で自由に回転速度を調整できる。
【0004】
このようなコモンレール噴射システムは、エンジン設計時に燃料の圧力発生と噴射とを分離して設計及び装着することができるため、燃焼及び噴射過程の設計が自由であるという長所がある。
【0005】
一方、コモンレールインジェクターシステムで用いられるインジェクターは高速高圧のソレノイドバルブを使用し、ソレノイドの電気的な力を利用して噴射時期と噴射期間及び噴射率などを調節する。これらの精密制御は有害ガスの排出低減はもちろん、エンジンの効率向上にも大きく寄与し、この過程で、ニードルバルブ変位の情報に対する信頼性が保証されれば、正確な噴射時期と噴射期間及び噴射率などを決定することができる。
【0006】
従来はこのようなニードルバルブ変位を測定するために渦電流式変位センサーを利用した。渦電流式センサーを利用する測定方法は、ニードル変位による磁場内でのコイルの変位を一定な電気信号に変換させ、この電気信号を利用してニードルの変位を推定する方法である。
【0007】
その他にも、光繊維を利用して対象物体に光を伝送し、反射光を受け入れる原理を利用して距離、つまり変位を測定する光学式センサーと超音波を利用した変位測定方法、及び接触式変位測定方法などが挙げられるが、これらは全てセンサーに利用してニードル変位を測定する点が共通点である。
【0008】
エンジン制御のためには、エンジンのいろいろな状態変数に対する情報を必要とするので、各状態変数と関連した物理量を測定できるセンサーが必要である。しかし、コモンレールインジェクターの駆動において、既に生産されている車両に高価なニードルバルブ変位センサーを装着して測定するのには限界があり、多数のセンサーを使用しなければならないため、高価なセンサー購入費を要するという短所がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような従来の技術の問題点を解決するために提供されたものであって、車両インジェクターであるコモンレールインジェクターのニードル変位を測定するための各種センサーを使用しなくても、ソレノイド電圧と測定された電流とでニードルの変位を推定できるコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムを提供することが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために本発明は、下端部に噴射口を有する中空状に形成され、噴射口を通じて高圧の燃料が噴射される本体と、本体の中空内中間部に形成され、コモンレールからの燃料が入口オリフィスを介して注入される圧力制御室と、圧力制御室内に上下移動自在に配置された制御ピストンと、本体の中空内部に配置されて制御ピストンに連接され、上下に移動して噴射口を開閉するニードルと、ニードルの周囲に設けられ、ニードルを噴射口方向に付勢するニードルスプリングと、圧力制御室の上部に位置するように本体の中空内部に配置されたソレノイドコイルと、ソレノイドコイルと圧力制御室との間に配置され、電子制御部から供給される電力により発生するソレノイドコイルの磁力により移動することによって圧力制御室内の燃料の圧力を制御するアーマチュアと、圧力制御室とアーマチュアとの間に形成され、燃料が流通する出口オリフィスとを備え、前記ソレノイド駆動のアーマチュアによって制御される圧力制御室内の燃料の圧力によりニードルが変位することで燃料を噴射あるいは遮断する車両インジェクターにおいて、前記ソレノイドに供給される電流を測定する段階と、前記測定されたソレノイドの電流を含むアーマチュア算出式によって前記アーマチュア変位及びアーマチュア速度を推定する段階と、前記測定されたソレノイドの電流と前記推定されたアーマチュア変位及び前記アーマチュア速度を状態変数とするニードル算出式を使用して前記ニードルの変位を推定する段階とを備える車両インジェクターのニードル変位推定方法が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、前記燃料を噴射あるいは遮断する車両インジェクターにおいて、前記ソレノイドの電流を測定し、前記アーマチュア変位及びアーマチュア速度を推定する観測機を備え、前記観測機は、前記測定されたソレノイドの電流と前記推定されたアーマチュア変位及びアーマチュア速度の状態変数を求め、前記ニードルの変位を推定する車両インジェクターのニードル変位推定システムが提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムの一実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は一般的なコモンレール噴射装置を備えた高速直接噴射式ディーゼルエンジンの概念図、図2は図1に示されたインジェクターの内部構造を示した断面図、図3は図2に示されたインジェクターの駆動電流とアーマチュア変位によるソレノイド吸引力を測定して作ったグラフ、図4は図2に示されたインジェクターの圧力制御室をモデリングした概念図、図5は本発明の一実施例によるコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムの概念図である。
【0014】
図1に示すように、コモンレールインジェクターシステムは、燃料をエンジンのシリンダーに噴射する多数個の電子制御式インジェクター40と、高圧の燃料を供給するポンプ20と、ポンプ20から出た高圧の燃料を多数個のインジェクター40に誘導するコモンレール30と、インジェクター40のニードルが変位するように電力を供給し、各種センサー1a〜1fから電気的信号を受ける電子制御部(ECU)5とを含む。
【0015】
まず、電子制御式インジェクター40は図2に示すように、その下端部に噴射口58が形成され噴射口を通じて高圧の燃料が噴射される本体49と、本体49の内部に配置され、噴射口58を開閉するように本体49の長さ方向に沿って上下に移動するニードル41と、ニードル41の上部に位置するようにインジェクター40の内部に配置されるソレノイドコイル45と、ソレノイドコイル45とニードル41の間に配置され、電子制御部5から供給される電力により発生するソレノイドコイル45の磁力によって移動しながら燃料の圧力を制御するアーマチュア47とを備える。そして、ニードル41の周囲には、ニードル41を下方に弾性支持するニードルスプリング56が囲んでおり、本体49内部に配置された制御ピストン43とアーマチュア47の間にはオリフィス46が形成されていて、アーマチュア47がオリフィス46を開閉させ、本体49の側面から流入した燃料は、制御ピストン43の上端部とオリフィス46の間に形成された圧力制御室54にまず保存される。
【0016】
したがって、アーマチュア47がオリフィス46を開放すれば、インジェクター40の側面から供給された燃料はインジェクター40の上部方向に排出されるが、アーマチュア47がオリフィス46を閉鎖すれば、燃料は本体49の内部に形成された誘導管42に沿って、ニードル41が位置したインジェクター40内部の噴射口側に排出され、圧力制御室54の圧力が低くなり制御ピストン43が上向き移動することによってニードルが噴射口58を開放し、燃料は本体49の噴射口58を通じて噴射される。
【0017】
このような作動原理を有するコモンレールインジェクターに対する動的モデルについて詳細に説明する。
【0018】
コモンレール燃料噴射システムでの燃料噴射過程の動力学は非常に複雑であるが、インジェクター自体だけに限定し、次の(1)〜(4)の仮定によりインジェクターのモデルを誘導した。
【0019】
(1)コモンレール燃料噴射システムでのレールの圧力は、電子制御システムによって閉ループ制御が遂行されるので、供給圧力の脈動現象を無視することができる。
(2)縮圧室(圧力制御室)の圧力は供給圧力と同一である。
(3)リターン圧力は大気圧と同一である。
(4)圧力制御室内の燃料は圧縮性である。
【0020】
【0021】
【数1】
【0022】
【0023】
【数2】
【0024】
一方、アーマチュア47には、ソレノイドコイル45による磁気力とスプリング56の弾性力及び燃料の圧力差による力が主に作用する。このようなアーマチュア47の変位に対する支配方程式は下記の数式(数3)のようである。
【0025】
【数3】
【0026】
【数4】
【0027】
そして、図4に示すように、単純化した圧力制御室54のモデルに連続方程式を適用すれば、下記の数式(数5)のように圧力制御室54の圧力に対する微分方程式を誘導することができる。
【0028】
【数5】
【0029】
一方、圧力制御室54から出口オリフィス46を通過した燃料は、アーマチュア47を経て燃料タンク10に戻り、この時、アーマチュア47を収容しているアーマチュアチャンバー52には、圧力制御室54から流出した燃料によってある程度の圧力が形成される。この圧力を大気圧と仮定してニードル変位観測機100を設計するとアーマチュア変位と圧力制御室の圧力の間の相互関係が無視されるため、アーマチュア変位からニードル変位を推定するのが不可能になる。したがって、アーマチュアチャンバー52の圧力も圧力制御室54と同様な方法でインジェクター駆動モデルを適用すれば、下記の数式(数6)の通りに表現される。
【0030】
【数6】
【0031】
そして、制御ピストン43とニードル41の変位は下記の数式(数7)の通りに表現され、制御ピストン43とニードル41は、圧力制御室54と縮圧室48との圧力差によって燃料噴射を遂行する役割を果たすが、ここにはスプリング力と圧力差による力が主に作用する。
【0032】
【数7】
【0033】
このようなインジェクターモデルのうちで、状態変数を推定するためにソレノイド電流とアーマチュア変位及びアーマチュア速度の三つの状態変数だけを考慮したアーマチュア変位観測機を設計し、この値を利用してニードル変位を観測する。
【0034】
ここで観測機100とは、図5に示すように、制御システムの出力を利用して状態変数を推定する数学的アルゴリズムであり、本発明では下記の数式(数8)のように非線形システムのモデリング誤差を考慮できるスライディング観測機である。
【0035】
前述した数式(数1)の7個の状態変数と数式(数2)乃至数式(数7)を比較すると、下記の数式(数8)の通りに示すことができる。
【0036】
【数8】
【0037】
このようなインジェクターモデルの状態変数は、アーマチュア変位観測機の設計に用いられるアーマチュアモデル状態方程式によって下記の数式(数9)の通りに示すことができる。
【0038】
【数9】
【0039】
一方、観測機は制御システムの出力を利用して状態変数を推定する数学的アルゴリズムであって、センサーを使わない制御に多く利用され、線形システムに適用可能なルエンバガー観測機を基盤として、インジェクターの噴射過程のような非線形システムの状態変数推定のための多くの研究が進められており、その中でモデリング誤差を考慮できるスライディング観測機が非線形システムの状態変数推定に多く利用されている。
【0040】
上記の数式(数9)の形態で表現されるアーマチュアモデルに対するアーマチュア変位観測機としては、下記の数式(数10)ような形態のスライディング観測機を使用する。
【0041】
【数10】
【0042】
【0043】
【0044】
上記の数式(数10)によって、誤差動力学は下記の数式(数11)の通りに示すことができる。
【0045】
【数11】
【0046】
【0047】
【数12】
【数13】
【0048】
【0049】
【数14】
【0050】
【数15】
【0051】
【0052】
【数16】
【0053】
このような結果から設計されたニードル変位推定機の形態は下記の数式(数17)の通りである。
【0054】
ニードル変位は、インジェクターモデルを利用し観測機によって推定された電流とアーマチュア変位から推定される。
【0055】
【数17】
【0056】
以上のように説明したコモンレールインジェクターのニードル変位推定機の性能確認実験の結果を図6乃至図9に示した。
【0057】
図6と図7は、レール圧力変化によるニードル変位の推定結果を示す。図6に示された推定値と実測値の実験条件での噴射期間は2msecであり、コモンレールの圧力は300barであり、図7の実験条件での噴射期間は2msecであり、コモンレールの圧力は900barである。図8と図9は、インジェクター駆動期間の変化によるニードル変位の推定結果を示す。図8の実験条件での噴射期間は1msecであり、コモンレールの圧力は500barであり、図8の実験条件での噴射期間は3msecであり、コモンレールの圧力は500barである。
【0058】
図6乃至図9に示すグラフ上での点線は本発明のコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムによって推定された状態を示し、実線は実際に測定された結果値を示す。
【0059】
図6乃至図9に示すように、実測されたニードル変位(実線部)は、アーマチュア電流とアーマチュア変位及びアーマチュア速度の三つの状態変数の推定値を利用して推定されたニードル変位(点線部)と非常に似ていることが分かる。
【0060】
【発明の効果】
前述したように、本発明の車両インジェクターであるコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムは、ディーゼル機関のコモンレールインジェクターのニードルの変位を測定するために高価な変位センサーを設置しなくてもインジェクターニードルの変位を推定できるという長所がある。
【0061】
以上で本発明の車両インジェクターであるコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムを添付図面と共に説明したが、これは本発明の一つの実施の形態を例として説明しただけであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なコモンレール噴射装置を備えた高速直接噴射式ディーゼルエンジンの概念図である。
【図2】図1に示されたインジェクターの内部構造を示した断面図である。
【図3】図2に示されたインジェクターの駆動電流とアーマチュア変位によるソレノイドの吸引力を測定して示したグラフである。
【図4】図2に示されたインジェクターの圧力制御室をモデリングした概念図である。
【図5】本発明の一実施例によるコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムの概念図である。
【図6】2msecの噴射期間と300barのレール圧力の条件で、本発明によるコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムによって推定されたニードル変位と実測されたニードル変位とを比較するグラフである。
【図7】2msecの噴射期間と900barのレール圧力の条件で、本発明によるコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムによって推定されたニードル変位と実測されたニードル変位とを比較するグラフである。
【図8】1msecの噴射期間と500barのレール圧力の条件で、本発明によるコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムによって推定されたニードル変位と実測されたニードル変位とを比較するグラフである。
【図9】3msecの噴射期間と500barのレール圧力の条件で、本発明によるコモンレールインジェクターのニードル変位推定システムによって推定されたニードル変位と実測されたニードル変位とを比較するグラフである。
【符号の説明】
1a〜1f センサー
5 電子制御部(ECU)
10 燃料タンク
20 ポンプ
30 コモンレール
40 インジェクター
41 ニードル
42 誘導管
43 制御ピストン
45 ソレノイド
46 オリフィス
47 アーマチュア
48 縮圧室
49 本体
52 アーマチュアチャンバー
54 圧力制御室
56 ニードルスプリング
58 噴射口
100 観測機
Claims (5)
- 下端部に噴射口を有する中空状に形成され、噴射口を通じて高圧の燃料が噴射される本体と、本体の中空内中間部に形成され、コモンレールからの燃料が入口オリフィスを介して注入される圧力制御室と、圧力制御室内に上下移動自在に配置された制御ピストンと、本体の中空内部に配置されて制御ピストンに連接され、上下に移動して噴射口を開閉するニードルと、ニードルの周囲に設けられ、ニードルを噴射口方向に付勢するニードルスプリングと、圧力制御室の上部に位置するように本体の中空内部に配置されたソレノイドコイルと、ソレノイドコイルと圧力制御室との間に配置され、電子制御部から供給される電力により発生するソレノイドコイルの磁力により移動することによって圧力制御室内の燃料の圧力を制御するアーマチュアと、圧力制御室とアーマチュアとの間に形成され、燃料が流通する出口オリフィスとを備え、前記ソレノイド駆動のアーマチュアによって制御される圧力制御室内の燃料の圧力によりニードルが変位することで燃料を噴射あるいは遮断する車両インジェクターのニードル変位推定方法において、
前記ソレノイドに供給される電流を測定する段階と、
前記測定されたソレノイドの電流を含むアーマチュア算出式によって前記アーマチュア変位及びアーマチュア速度を推定する段階と、
前記測定されたソレノイドの電流と前記推定されたアーマチュア変位及び前記アーマチュア速度を状態変数とするニードル算出式を使用して前記ニードルの変位を推定する段階とを備えることを特徴とする車両インジェクターのニードル変位推定方法。 - 前記ニードル算出式は下記の式で表わされ、前記ニードルの変位を推定する段階において、測定された前記ソレノイドの電流と前記アーマチュア変位及び前記アーマチュア速度を利用して該ニードル算出式の通りにニードル変位状態変数で計算する段階を含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の車両インジェクターのニードル変位推定方法。
(ここで、x4はアーマチュアチャンバー圧力、x5は圧力制御室の圧力、x6はニードル変位、x7はニードル速度、Rはソレノイド抵抗、Eは逆起電力、Lはインダクタンス、A0は出口オリフィス面積、kaはアーマチュアスプリング常数、xafはアーマチュアスプリングの自由長さ、xa0はアーマチュアスプリングの初期設定長さ、βfaはアーマチュアチャンバー内の燃料の体積弾性係数、Va0はアーマチュアチャンバー初期体積、Aaはアーマチュアチャンバーの射影面積、Cd0は出口オリフィス流量係数、A0aはアーマチュアチャンバーから回収ラインまでの燃料回収経路面積、Preturnはリターン圧力、βfは圧力制御室内の燃料の体積弾性係数、Vc0は圧力制御室の初期体積、Apは制御ピストン射影面積、Aiは入口オリフィス面積、Cdiは入口オリフィス流量係数、Prailはコモンレール圧力、xpfはピストンスプリング自由長さ、xp0はピストンスプリングの初期設定長さ、Anはニードル射影面積、Asはニードルバルブシート面積、maはアーマチュア質量、mpはピストン質量、mnはニードル質量、ρは燃料密度、kpはスプリング常数、x 1 はソレノイド電流、x 2 はアーマチュア変位、x 3 はアーマチュア速度である。なお、EとLは、x 1 とx 2 の関数でx 1 とx 2 がわかれば求めることができる。yはシステムの出力で、ここではソレノイド電流に相当する。状態変数xと入力u(uはここではソレノイド電圧に相当する)を有するシステムの出力yは、一般式としてy=h(x,u)で表現される。ここではシステムの出力yがソレノイド電流x 1 に相当するので、y=x 1 となる。) - 下端部に噴射口を有する中空状に形成され、噴射口を通じて高圧の燃料が噴射される本体と、本体の中空内中間部に形成され、コモンレールからの燃料が入口オリフィスを介して注入される圧力制御室と、圧力制御室内に上下移動自在に配置された制御ピストンと、本体の中空内部に配置されて制御ピストンに連接され、上下に移動して噴射口を開閉するニードルと、ニードルの周囲に設けられ、ニードルを噴射口方向に付勢するニードルスプリングと、圧力制御室の上部に位置するように本体の中空内部に配置されたソレノイドコイルと、ソレノイドコイルと圧力制御室との間に配置され、電子制御部から供給される電力により発生するソレノイドコイルの磁力により移動することによって圧力制御室内の燃料の圧力を制御するアーマチュアと、圧力制御室とアーマチュアとの間に形成され、燃料が流通する出口オリフィスとを備え、前記ソレノイド駆動のアーマチュアによって制御される圧力制御室内の燃料の圧力によりニードルが変位することで燃料を噴射あるいは遮断する車両インジェクターのニードル変位推定システムにおいて、
前記ソレノイドの電流を測定し、前記アーマチュア変位及びアーマチュア速度を推定する観測機を備え、
前記観測機は、
下記の上側の式によって前記測定されたソレノイドの電流と前記推定されたアーマチュア変位及びアーマチュア速度の状態変数を求め、
下記の下側の式を利用して前記ニードルの変位を推定することを特徴とする車両インジェクターのニードル変位推定システム。
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