JP3791668B2 - 車両前部の構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフロントフェンダーを備えた車両前部の構造に関し、特に、フェンダー本体とボンネットの間に衝撃緩衝用間隙を設け、この衝撃緩衝用間隙に、略上方から作用する衝撃荷重に対してエネルギー吸収可能に変位する衝撃緩衝用間隙部材を設けた構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フロントフェンダーを備えた車両前部の構造において、フロントフェンダーに略上方から作用する衝撃荷重を緩衝しエネルギーを吸収するように構成した種々の構造が提案されている。
【0003】
例えば、特開平11−180350号公報の図1に示す構造では、フロントフェンダーのフェンダー本体が、ボンネットとほぼ連続する外形を有するフェンダーアウタパネルと、このフェンダーアウタパネルのボンネット側端部にヘミング加工を施して連結されたフェンダーインナパネルを有する。フェンダーインナパネルは、前記ヘミング加工された部分からフェンダーアウタパネルに沿ってボンネットと反対側へ延び、そこから下方へ屈曲して鉛直に延びる縦壁を形成し、その縦壁の下端部からボンネット側へ屈曲して水平に延びる水平部を形成し、その水平部のボンネット側端部付近がエプロンメンバーに連結されている。
【0004】
この車両前部の構造では、フェンダーに略上方から作用する衝撃荷重に対して、フェンダーアウタパネルとフェンダーインナパネルのうち縦壁よりもボンネット側に張り出したオーバーハング部と、フェンダーインナパネルの水平部のうち縦壁とエプロンメンバーの間の部分とが下方へ変位してエネルギーを吸収する。
【0005】
また、特開平11−180350号公報の図9に示す構造では、フロントフェンダーのフェンダーパネルの頂部付近が、外側の緩やかな傾斜部と内側(ボンネット側)の縦壁部により断面鋭角状に形成され、この縦壁部が合成樹脂製のフランジ部材を介してエプロンメンバーに連結されている。フェンダーに略上方から作用する衝撃荷重に対して、フェンダーパネルの頂部付近が下方へ変位し、その変位を介してフランジ部材が下方へ変位して破断しエネルギーを吸収する。
【0006】
一方、フロントフェンダーのフェンダー本体の頂部付近を全体的に湾曲状に形成し、前記衝撃荷重に対して下方へ変位させ易くしてエネルギー吸収性を高めることが考えられる。但し、フェンダー本体とボンネットの間の車両表面側の隙間がかなり大きくなって見栄えが悪くなるため、この隙間を塞ぐようにフェンダー本体に隙間閉鎖部材を固定することが考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平11−180350号公報の図1に示す構造では、フロントフェンダーのフェンダーアウタパネルとフェンダーインナパネルの一部で前記オーバーハング部を形成しなければならないし、フェンダーインナパネルに縦壁部と水平部を形成しなければならないため、フロントフェンダーの構造が複雑になり製作コスト的に不利になる。尚、フェンダーアウタパネルとフェンダーインナパネルを構成する材料の微妙な板厚、高さ、幅等により、エネルギー吸収特性が影響して変化するので、このエネルギー吸収特性を良好な特性に設定することも難しい。
【0008】
特開平11−180350号公報の図9の構造では、略上方からの衝撃荷重に対して、フェンダー本体の頂部付近が断面鋭角状に形成されているため下方へ変位しにくく、それ故、フランジ部材も下方へ変位して破断しにくくなり、エネルギー吸収性を高めることが難しいという虞がある。しかも、フランジ部材が破断すると、そのフランジ部材を介して連結されていたフェンダー本体とエプロンメンバーが連結解除されるため、エネルギー吸収性が急激に低下してエネルギー吸特性曲線が不連続的になる虞があるため望ましくない。
【0009】
また、前記公報を含む従来の車両前部の構造では、フロントフェンダーの表面に鋼板製のアウタパネルが臨んでいるため、このフロントフェンダーに衝突した障害物の衝撃を緩和するのにも限度がある。
【0010】
一方、フロントフェンダーのフェンダー本体の頂部付近を全体的に湾曲状に形成した場合、フェンダー本体とボンネットの間の車両表面側のかなり大きな隙間を塞ぐために、フェンダー本体に隙間閉鎖部材を固定することになるが、この隙間閉鎖部材はエネルギー吸収性の向上に殆ど寄与しない。そして、フェンダー本体の頂部付近を湾曲状に形成しただけでは、十分なエネルギー吸収効果の向上を達成できず、その他に何らかの対策が必要であると考えられる。
【0011】
本発明の目的は、車両前部の構造において、フロントフェンダーを比較的簡単な構造にして、フェンダーの略上方から作用する衝撃荷重に対して、エネルギー吸収効果を高めること、安定したエネルギー吸収特性を達成すること、フェンダーに衝突した障害物に対する衝撃を軽減して安全性を高めること、等である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の車両前部の構造は、フロントフェンダーを備えた車両前部の構造であって、前記フロントフェンダーのフェンダー本体とボンネットの間に車両の略前後方向に長い衝撃緩衝用間隙を設け、この衝撃緩衝用間隙に、フェンダー本体とボンネットの外形形状とほぼ連続する外形を有する衝撃緩衝用間隙部材であって、略上方から作用する衝撃荷重に対してエネルギー吸収可能に変位する衝撃緩衝用間隙部材を設け、前記衝撃緩衝用間隙部材の車両前後方向から視た縦断面形状をフ字形に形成し、前記フェンダー本体の頂部付近の車両前後方向から視た縦断面形状をヘ字形に形成し、そのヘ字形状のボンネット側斜面に衝撃緩衝用間隙部材の下壁部を固定すると共に衝撃緩衝用間隙部材の上壁部を前記衝撃緩衝用間隙を塞ぐように配設したことを特徴とするものである。
【0013】
フロントフェンダーのフェンダー本体とボンネットの間に車両の略前後方向に長い衝撃緩衝用間隙が設けられ、この衝撃緩衝用間隙に衝撃緩衝用間隙部材が設けられている。衝撃緩衝用間隙部材はフェンダー本体とボンネットの外形形状とほぼ連続する外形を有し、それ故、衝撃緩衝用間隙部材の一部を車両表面側に露出させて衝撃緩衝用間隙を塞いて見栄えをよくすることができる。この衝撃緩衝用間隙部材に略上方から衝撃荷重が作用すると、その衝撃荷重に対して衝撃緩衝用間隙部材が衝撃緩衝用間隙において下方へ変位してエネルギーを吸収する。
【0014】
衝撃緩衝用間隙部材を車両表面側に露出させることができるので、この衝撃緩衝用間隙部材に衝突した障害物に対する衝撃をより一層緩和することができる。フェンダー本体の頂部付近を前記衝撃荷重により変位し易い例えば断面鈍角状に形成して、衝撃緩衝用間隙部材により衝撃緩衝用間隙を塞ぐことができる。フェンダー本体をフロントフレームに直接連結できるため、この連結が解除されてエネルギー吸収性が急激に低下することもない。
【0015】
衝撃緩衝用間隙部材の車両前後方向から視た縦断面形状をフ字形に形成したので、衝撃緩衝用間隙部材に作用する衝撃荷重に対して、フ字形の衝撃緩衝用間隙部材の主に角部を変形させてエネルギーを確実に吸収できる。
フェンダー本体の頂部付近の車両前後方向から視た縦断面形状をヘ字形に形成し、そのヘ字形状のボンネット側斜面に衝撃緩衝用間隙部材の下壁部を固定すると共に衝撃緩衝用間隙部材の上壁部を衝撃緩衝用間隙を塞ぐように配設したので、この衝撃緩衝用間隙部材の上壁部とフェンダー本体とボンネットとをほぼ連続する外形形状とし、略上方からの衝撃荷重に対して衝撃緩衝用間隙部材を下方に確実に変位させてエネルギー吸収でき、しかも、フェンダー本体も前記衝撃荷重に対して下方へ変位し易い形状になるため、エネルギー吸収性を高めることができる。
このように、フロントフェンダーを比較的簡単な構造にして、フェンダーの略上方から作用する衝撃荷重に対して、エネルギー吸収効果を高めると共に、安定したエネルギー吸収特性を達成し、フェンダーに衝突した障害物に対する衝撃を確実に軽減して安全性を高めることが可能となる。
【0016】
請求項2の車両前部の構造は、請求項1の発明において、前記衝撃緩衝用間隙部材を合成樹脂材料で構成したことを特徴とするものである。略上方から作用する衝撃荷重に対してエネルギー吸収可能に変位する衝撃緩衝用間隙部材の機能を確実に達成することができる。
【0017】
【0018】
【0019】
請求項3の車両前部の構造は、請求項2の発明において、前記衝撃緩衝用間隙部材の上壁部がボンネット側程高くなるように構成したことを特徴とするものである。フェンダー本体の頂部よりも高い位置、つまり障害物が車両に衝突した際に打撃し易い位置に衝撃緩衝用間隙部材を設けることができ、障害物に対する安全性を確実に高めることができる。
【0020】
請求項4の車両前部の構造は、請求項3の発明において、前記衝撃緩衝用間隙部材の上壁部のうちボンネット側端部から下方へ伸びる立リブを、衝撃緩衝用間隙部材のほぼ全長に亙って設けたことを特徴とするものである。衝撃緩衝用間隙部材の長さ方向に対する曲げ強度を高めて、通常時の剛性を確保できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態は、フロントフェンダーを備えた自動車の車両前部の構造に本発明を適用した場合の一例である。
【0022】
図1に示すように、自動車Cの車両前部には、左右1対のフロントフェンダー1が設けられ、これらフロントフェンダー1の間にボンネット2が開閉可能に設けられている。1対のフロントフェンダー1は左右対称構造であるので、右側のフロントフェンダー1について説明する。
【0023】
図2、図3に示すように、フロントフェンダー1は、車両の略前後方向に長いフェンダー本体5と衝撃緩衝用間隙部材6とを備え、フェンダー本体5とボンネット2の間に、車両の略前後方向に長い衝撃緩衝用間隙3が設けられ、この衝撃緩衝用間隙3に、フェンダー本体5とボンネット2の外形形状とほぼ連続する外形を有する衝撃緩衝用間隙部材6が設けられている。
【0024】
フェンダー本体5の頂部5a付近は外傾斜部10と内傾斜部11とを一体形成して構成され、フェンダー本体5の頂部5a付近の車両前後方向から視た縦断面形状が、頂部5aで約120度屈曲するヘ字形に形成されている。外傾斜部10は外側に緩やかに膨むように傾斜し、内傾斜部11は略直線状に又はフェンダー本体5の内側へ穏やかに凹むように傾斜し、この内傾斜部11に衝撃緩衝用間隙部材6が取付けられている。
【0025】
内傾斜部11部の下端部にボンネット2側(車幅方向内側)に水平に張出す水平連結部12が一体形成され、この水平連結部12が車両前後方向に長いホイールエプロンレインフォースメント8の上壁部に複数のボルト9aとナット9bにより連結されている。尚、図示していないが、外傾斜部10と一体の車体アウタパネルは車体フレームに連結されている。
【0026】
内傾斜部11に衝撃緩衝用間隙部材6を取付けるために、内傾斜部11の約2/3高さ位置部分に、複数(例えば、5つ)の取付孔25aが衝撃緩衝用間隙部材6の長さ方向に適当間隔おきに形成されている。
【0027】
ボンネット2はボンネットパネル15とボンネットパネル15の裏面に連結されたボンネットレインフォースメント16を有し、ボンネット2の後端部が回動自在に車体フレームに支持されてボンネット2を開閉でき、ボンネット2を閉めた状態で前記衝撃緩衝用間隙3が形成される。この状態で、ボンネット2はその後端部と前端部を介して車体フレームにガタツキなく支持され、ボンネット2の左右両端部分は車体フレームに支持されない状態となる。
【0028】
衝撃緩衝用間隙部材6は下壁部20と上壁部21とを一体形成した合成樹脂材料(例えば、ポリプロピレンや硬質ウレタン等)で構成され、衝撃緩衝用間隙部材6の車両前後方向から視た縦断面形状が、角部6aで約60度屈曲するフ字形に形成されている。下壁部20が内傾斜部11のボンネット側斜面11aの上部に当接して固定されて、上壁部21が衝撃緩衝用間隙3を塞ぐように配設され、この上壁部21はフェンダー本体5の外傾斜部10と略連続するように延びてボンネット2側程高くなるように傾斜した状態となる。
【0029】
下壁部20を内傾斜部11に固定する為に、下壁部20には内傾斜部11の複数の取付孔25aに対応する複数の取付孔25bが形成され、内傾斜部11の複数の取付孔25aに下壁部20の複数の取付孔25bを一致させた状態で、各一致した取付孔25a,25bにクリップ25が圧入状に挿入されている。
【0030】
上記車両前部の構造の作用・効果について説明する。図4に示すように、フロントフェンダー1の衝撃緩衝用間隙部材6とボンネット2の境界付近に障害物29が略上側から衝突した場合を想定する。先ず、衝撃荷重(外的荷重)が衝撃緩衝用間隙部材6に入力され、その衝撃荷重に対して衝撃緩衝用間隙部材6が衝撃緩衝用間隙3において主に角部6aを変形させて下方へ変位してエネルギーを吸収することができる。尚、前記角部6aは比較的軽い衝撃荷重によっても変形するようになっている。
【0031】
更に、衝撃荷重は衝撃緩衝用間隙部材6を介してフェンダー本体5にも入力され、衝撃緩衝用間隙部材6が変位すると共に、その衝撃荷重に対してフェンダー本体5が変形して下方へ変位しエネルギーを吸収することができる。尚、衝撃荷重はボンネット2の端部に入力され、その衝撃荷重に対してボンネット2の端部も変形して下方へ変位しエネルギーを吸収する。
【0032】
衝撃緩衝用間隙部材6の上壁部21を車両表面側に露出させることができるので、この衝撃緩衝用間隙部材6に衝突した障害物29に対する衝撃をより一層緩和することができる。フェンダー本体5の頂部5a付近を前記衝撃荷重により変位し易い断面ヘ字形に形成して、上壁部21により衝撃緩衝用間隙3を塞いで見栄えをよくすることができる。フェンダー本体5をホイールエプロンレインフォースメント8に直接連結できるため、この連結が解除されてエネルギー吸収性も急激に低下しない。
【0033】
このように、フロントフェンダー1を比較的簡単な構造にして、フェンダー1の略上方から作用する衝撃荷重に対して、エネルギー吸収効果を高めると共に、安定したエネルギー吸収特性を達成し、フェンダー1に衝突した障害物29に対する衝撃を確実に軽減して安全性を高めることができる。
【0034】
衝撃緩衝用間隙部材6を合成樹脂材料で構成したので、略上方から作用する衝撃荷重に対してエネルギー吸収可能に変位する衝撃緩衝用間隙部材6の機能を確実に達成でき、衝撃緩衝用間隙部材6の車両前後方向から視た縦断面形状をフ字形に形成したので、前記衝撃荷重に対して、フ字形の衝撃緩衝用間隙部材6の主に角部6aを変形させてエネルギーを確実に吸収することができる。
【0035】
フェンダー本体5の頂部5a付近の車両前後方向から視た縦断面形状をヘ字形に形成し、そのヘ字形状のボンネット側斜面11aに衝撃緩衝用間隙部材6の下壁部20を固定すると共に上壁部21を前記衝撃緩衝用間隙3を塞ぐように配設したので、この上壁部21とフェンダー本体5とボンネット2とをほぼ連続する外形形状とし、略上方からの衝撃荷重に対して衝撃緩衝用間隙部材6を下方に確実に変位させてエネルギー吸収することができる。
【0036】
しかも、フェンダー本体5も前記衝撃荷重に対して下方へ変位し易い形状になるため、エネルギー吸収性を高めることができる。衝撃緩衝用間隙部材6の上壁部21がボンネット2側程高くなるように構成したので、フェンダー本体5の頂部5aよりも高い位置、つまり障害物29が車両に衝突した際に打撃し易い位置に衝撃緩衝用間隙部材6を設けることができ、障害物29に対する安全性を確実に高めることができる。
【0037】
次に、前記実施形態の変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同じものには同一符号を付して説明を省略する。
1〕図5、図6に示すように、このフロントフェンダー1Aの衝撃緩衝用間隙部材6Aでは、上壁部21のうちボンネット2側端部から下方へ伸びる立リブ30が、衝撃緩衝用間隙部材6Aのほぼ全長に亙って設けられている。それ故、衝撃緩衝用間隙部材6Aの長さ方向に対する曲げ強度を高めて、通常時の剛性を確保することができる。
【0038】
2〕図7、図8に示すように、このフロントフェンダー1Bの衝撃緩衝用間隙部材6Bでは、下壁部20と上壁部21を連結して適度に補強する複数の板状リブ35が設けられている。これらリブ35は、衝撃緩衝用間隙部材6Bの長さ方向と直交状に配設され、衝撃緩衝用間隙部材6Bの長さ方向に適当間隔おきに設けられている。それ故、衝撃緩衝用間隙部材6Bの長さ方向に対する曲げ強度を高めて、通常時の剛性を確保することができる。また、リブ35の厚さや数等を変更して、エネルギー吸収特性を比較的簡単に調整して設定できる。
【0039】
3〕フェンダー本体と衝撃緩衝用間隙部材の形状については前記実施形態の形状に限定されるものでない。
4〕衝撃緩衝用間隙部材をボンネット2に取付けることも可能である。
5〕その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記変更形態以外の種々の変更を付加した形態で実施することが可能である。
【0040】
【発明の効果】
請求項1の車両前部の構造によれば、フロントフェンダーのフェンダー本体とボンネットの間に車両の略前後方向に長い衝撃緩衝用間隙を設け、この衝撃緩衝用間隙に、フェンダー本体とボンネットの外形形状とほぼ連続する外形を有する衝撃緩衝用間隙部材を設け、この衝撃緩衝用間隙部材に略上方から衝撃荷重が作用すると、その衝撃荷重に対して衝撃緩衝用間隙部材が衝撃緩衝用間隙において下方へ変位してエネルギーを吸収することができる。
【0041】
衝撃緩衝用間隙部材を車両表面側に露出させることができるので、衝撃緩衝用間隙部材に衝突した障害物に対する衝撃をより一層緩和でき、フェンダー本体の頂部付近を前記衝撃荷重により変位し易い例えば断面鈍角状に形成して、衝撃緩衝用間隙部材により衝撃緩衝用間隙を塞ぐことができ、フェンダー本体をフロントフレームに直接連結できるため、この連結が解除されてエネルギー吸収性も急激に低下しない。つまり、フロントフェンダーを比較的簡単な構造にし、フェンダーの略上方から作用する衝撃荷重に対して、エネルギー吸収効果を高めると共に、安定したエネルギー吸収特性を達成し、フェンダーに衝突した障害物に対する衝撃を確実に軽減して安全性を高めることができる。
また、衝撃緩衝用間隙部材の車両前後方向から視た縦断面形状をフ字形に形成したので、衝撃緩衝用間隙部材に作用する衝撃荷重に対して、フ字形の衝撃緩衝用間隙部材の主に角部を変形させてエネルギーを確実に吸収することができる。
また、フェンダー本体の頂部付近の車両前後方向から視た縦断面形状をヘ字形に形成し、そのヘ字形状のボンネット側斜面に衝撃緩衝用間隙部材の下壁部を固定すると共に衝撃緩衝用間隙部材の上壁部を前記衝撃緩衝用間隙を塞ぐように配設したので、この衝撃緩衝用間隙部材の上壁部とフェンダー本体とボンネットとをほぼ連続する外形形状とし、略上方からの衝撃荷重に対して衝撃緩衝用間隙部材を下方に確実に変位させてエネルギー吸収でき、しかも、フェンダー本体も前記衝撃荷重に対して下方へ変位し易い形状になるため、エネルギー吸収性を高めることができる。
【0042】
請求項2の車両前部の構造によれば、衝撃緩衝用間隙部材を合成樹脂材料で構成したので、略上方から作用する衝撃荷重に対してエネルギー吸収可能に変位する衝撃緩衝用間隙部材の機能を確実に達成することができる。
【0043】
【0044】
【0045】
請求項3の車両前部の構造によれば、衝撃緩衝用間隙部材の上壁部がボンネット側程高くなるように構成したので、フェンダー本体の頂部よりも高い位置、つまり障害物が車両に衝突した際に打撃し易い位置に衝撃緩衝用間隙部材を設けることができ、障害物に対する安全性を確実に高めることができる。
【0046】
請求項4の車両前部の構造によれば、衝撃緩衝用間隙部材の上壁部のうちボンネット側端部から下方へ伸びる立リブを、衝撃緩衝用間隙部材のほぼ全長に亙って設けたので、衝撃緩衝用間隙部材の長さ方向に対する曲げ強度を高めて、通常時の剛性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車の平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】フェンダー本体と衝撃緩衝用間隙部材の分離状態の側面図である。
【図4】障害物が衝突した状態の図2相当図である。
【図5】第1の変更形態に係る図2相当図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】第2の変更形態に係る図2相当図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【符号の説明】
C 自動車
1,1A,1B フロントフェンダー
2 ボンネット
3 衝撃緩衝用間隙
5 フェンダー本体
5a 頂部
6,6A,6B 衝撃緩衝用間隙部材
11a ボンネット側斜面
20 下壁部
21 上壁部
30 立リブ
Claims (4)
- フロントフェンダーを備えた車両前部の構造であって、
前記フロントフェンダーのフェンダー本体とボンネットの間に車両の略前後方向に長い衝撃緩衝用間隙を設け、この衝撃緩衝用間隙に、フェンダー本体とボンネットの外形形状とほぼ連続する外形を有する衝撃緩衝用間隙部材であって、略上方から作用する衝撃荷重に対してエネルギー吸収可能に変位する衝撃緩衝用間隙部材を設け、
前記衝撃緩衝用間隙部材の車両前後方向から視た縦断面形状をフ字形に形成し、
前記フェンダー本体の頂部付近の車両前後方向から視た縦断面形状をヘ字形に形成し、そのヘ字形状のボンネット側斜面に衝撃緩衝用間隙部材の下壁部を固定すると共に衝撃緩衝用間隙部材の上壁部を前記衝撃緩衝用間隙を塞ぐように配設した、
ことを特徴とする車両前部の構造。 - 前記衝撃緩衝用間隙部材を合成樹脂材料で構成したことを特徴とする請求項1に記載の車両前部の構造。
- 前記衝撃緩衝用間隙部材の上壁部がボンネット側程高くなるように構成したことを特徴とする請求項2に記載の車両前部の構造。
- 前記衝撃緩衝用間隙部材の上壁部のうちボンネット側端部から下方へ伸びる立リブを、衝撃緩衝用間隙部材のほぼ全長に亙って設けたことを特徴とする請求項3に記載の車両前部の構造。
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