JP3791604B2 - 電子レンジ調理用冷凍食品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子レンジ調理用冷凍食品に関する。更に詳しくは、本発明は、食品素材が透けて見える透明感のある衣つき食品が電子レンジ調理により簡便に得られる冷凍食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
中華料理には澱粉を含有する皮を使用した蒸し餃子があり、蒸すと皮が半透明になり、中の具材が透けて見える。また、和菓子においても餡が澱粉からなる半透明の皮に包まれたものがある。このように澱粉は十分な水分を加えて加熱されると透明感がでる食品原料であることが知られている。
澱粉を含有する皮を有する加熱済みのシュウマイ、餃子などの冷凍食品も販売されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
澱粉を含有する衣のついた食品は、通常、澱粉を水に溶いたものを食品素材につけ、蒸気で蒸すか、湯煎による調理がされる。澱粉が衣になるためには十分な水分が必要なため、澱粉の透明感のある衣は蒸さなければならないものであった。
本発明は、蒸すといった手間をかけずに、電子レンジ加熱による加熱調理で、食品素材が透けて見える透明感のある衣つき食品が得られる、澱粉を含有する衣つきの食品素材を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、糊化澱粉を主成分とする外粉をつけた食品素材からなる電子レンジ調理用冷凍食品を要旨とする。
【0005】
食品素材は未加熱食品が好ましく、特に未加熱水産品が適しており、その場合、本発明は、糊化澱粉を主成分とする外粉をつけた未加熱食品素材、好ましくは未加熱水産品素材からなる電子レンジ調理用冷凍食品である。
【0006】
糊化澱粉が架橋澱粉糊化物であり、その場合、本発明は、架橋澱粉糊化物を主成分とする外粉をつけた食品素材、好ましくは未加熱食品素材、最も好ましくは未加熱水産品素材からなる電子レンジ調理用冷凍食品である。
【0007】
食品素材に糊化澱粉を主成分とする外粉をつけた後、水をくぐらせてから凍結したものであり、その場合、本発明は、糊化澱粉、好ましくは架橋澱粉糊化物を主成分とする外粉をつけた後、水をくぐらせてから凍結した食品素材、好ましくは未加熱食品素材、最も好ましくは未加熱水産品素材からなる電子レンジ調理用冷凍食品である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の衣付けの対象となる食品素材は、適度な水分を含有する素材であれば、魚介類、畜肉類、海草類、野菜、その他加工食品等、種類は問わない。
本発明において衣付けは糊化澱粉を主成分とする外粉をつけることによる。糊化澱粉は粉の状態で食品素材にまぶしつけられるので、加熱により衣となるためには適度な水分が必要となる。通常の食品が含有する程度の水分があれば、電子レンジで食品が加熱された時に発生する水蒸気により糊化澱粉は衣となる。食品素材自体の電子レンジ加熱における適性からも水分を50%以上含有している食品が好ましい。
食品素材としては、エビ、カキ、イカ、タコ、鮭の切り身、カレイ、スケソウダラ、ホキ等の白身魚の切り身などの水産品、サトイモ、さつまいも、ジャガイモ等の芋類、にんじん、大根などの根菜類、レンコン、ピーマンなどの野菜類、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉などの肉類、豆腐、湯葉などの豆腐製品、あるいは、ピーマンの肉詰めのような素材を組み合わせた商品等が例示される。
エビのような色に特徴のある素材に本発明の衣をつけると、外観の美しさに優れた商品となる。水産物や肉類を使用する場合は、漬込み等の前処理をしたものを使用するのが好ましく、野菜類で硬いものは下茹でしたものを使用すると短時間調理に適する。
食品素材の大きさは、通常のフライ食品と同程度の大きさであり、100g/個以下が好ましい。それ以上の大きさになると、電子レンジでの加熱時間が長くなり、本発明のメリットが減ずることとなる。
また、特に衣の透明度を上げたい場合、あるいは、冷凍中の乾燥を防ぐためには、水あるいは調味液からなるグレーズを外粉の上に付着させることが好ましい。グレーズは糊化澱粉の外粉をまぶした後、水等にくぐらせるか、スプレーで噴霧するなどしてつけることができる。
衣率(製品の重量のうちで衣が占める割合)が20%程度以下の製品を製造する場合はグレーズ無しでも問題ないが、それ以上の場合にはグレーズがないと完全に糊化しきれずに粉っぽさが残るおそれがあり、グレーズが必要である。
【0009】
糊化澱粉はα化澱粉とも呼ばれるものであり、通常の澱粉をα化してから乾燥したものであるため、水分を加えると糊化する。したがって、電子レンジ加熱により短時間で適度な衣に仕上がる。糊化澱粉の澱粉はリン酸、アジピン酸などで架橋した架橋澱粉が好ましい。架橋していない澱粉では加熱時間が長くなると、澱粉の粘稠性が下がり、具材の表面から流れ落ちてしまうことがある。原料澱粉はコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉などいずれの澱粉でもよい。製品として要求される食感、透明感などによって選択することができる。また、外粉として付着し易く、付着量を管理し易いメッシュサイズは、0.5mm篩上の残留物40%程度の粒子サイズが好ましい。
製品に必要とされる透明感、食感によって糊化澱粉に他の粉類を混合して用いても差し支えない。他の粉類としては、小麦粉、通常の澱粉、植物蛋白などが例示される。また、乾燥卵白など鶏卵由来蛋白質、ホエー蛋白質、乳蛋白質、焼成カルシウム、ガム等の増粘剤は外粉の粘着性等の物性を改良するために添加することができる。
【0010】
糊化澱粉は食品素材に直接つけてもよいが、ある程度のボリューム感のある衣に仕上る場合は、打ち粉、バッターを付けた上に外粉として付けるのが好ましい。透明感を強く出したい場合は、打ち粉、バッターともに澱粉にする方がよいが、小麦粉など通常、打ち粉、バッターに用いるものも使用できる。
【0011】
以下に、本願発明の製造手順の1例を示す。
解凍むきエビ → 打ち粉つけ(製品重量の3〜5%、打ち粉配合=小麦粉50%、澱粉38%、乾燥卵白11%、焼成Ca1%) → バッターつけ(製品重量の3〜20%、バッター配合=水52%、澱粉40%、調味料類8%) → 外粉つけ(製品重量の3〜20%、糊化澱粉100%) → (グレーズつけ)(製品重量の3〜10%) → IQF凍結 → 製品
【0012】
【作用】
本発明の電子レンジ調理用冷凍食品は、糊化された澱粉を主成分とした外粉を使用したことにより、電子レンジ調理により、簡単に短時間で透明感のある澱粉の衣つき食品に調理できる。
糊化澱粉を主成分とする外粉を使用したことにより、蒸し器で蒸すなどの手間をかけずとも、電子レンジで加熱により簡便に、透明感のある澱粉の衣つき食品を供することができる。透明感のある澱粉の衣つきの素材そのものの色や外観が見える食品を短時間で供する事が可能となった。
糊化澱粉を使用することにより、電子レンジでの加熱時間を短縮することができるため、加熱しすぎが好ましくない食品素材にも適用することができるようになり、特に水産物などに適する。
【0013】
【実施例】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0014】
実施例1
食品素材としてエビを利用した例を示す。
生えび(サイズ41/50)200gに打ち粉(小麦粉)10g、バッター液(小麦粉:水:調味料等=52:40:8)30gを付着させた後、糊化澱粉〔セレスタージャパン(株)製、シースターパルプテックス12930〕30gを付着させた。グレーズをつけるために同品を冷水中にくぐらせ約15gの水を吸着させた後、急速凍結によりIQF凍結とした。
また、比較例として糊化澱粉の代わりに加工していないコーンスターチを使用したもの製造したが、糊化澱粉は水分に接すると糊状になるのに対し糊化していないコーンスターチは糊状にはならないので、実施例と同じ打ち粉、バッターを用いたが、コーンスターチは8gしか付着させることはできず、また、グレーズとして水にくぐらせたが水は2gしか付着しなかった。
【0015】
実施例1と比較例で製造した製品をクッキングシートを敷いた皿に載せ、ラップをした後加熱した。実施例1と比較例のエビを2尾ずつ、加熱条件は電子レンジ(東芝 ER−CS 3 500W)で 2分間加熱した。
結果を表1に示した。
【0016】
【表1】
Figure 0003791604
【0017】
比較例では、加熱時間の不足の可能性があるかもしれないので、さらに継続して電子レンジで4分間加熱したが粉が白く表面に残った部分は糊化されず、むしろその部分が乾燥してしまった。
【0018】
上記したように糊化していない澱粉は糊化澱粉と比較して、水分の吸着が少なく粘度が低いため、付着できる量に限りがあり、加熱しても食品素材やグレーズの水分量では全体が均一に糊化された衣にはならなかった。
【0019】
実施例2
ジャガイモ、サツマイモ、鶏肉、野菜を配合したコロッケ様のパテ(水分72±2%)32gに糊化澱粉を10gまぶし付け、凍結した。
電子レンジで実施例1同様2分間加熱したところ、透き通った衣が出来上がり、その段階でパテの中心温度も90℃とほどよい喫食状態となっていた。
【0020】
【発明の効果】
糊化澱粉を主成分とする外粉を使用したことにより、蒸し器で蒸すなどの手間をかけずとも、電子レンジでより簡便に、食品素材が透けて見える透明感のある澱粉の衣つき食品を供することができる。透明感のある澱粉の衣つきの素材そのものの色や外観が見える食品を短時間で供する事が可能となった。
糊化澱粉を使用することにより、電子レンジでの加熱時間を短縮することができるため、加熱しすぎが好ましくない食品素材にも適用することができるようになり、特に水産物などに適する。

Claims (5)

  1. 糊化澱粉を主成分とする外粉をつけた食品素材を、少なくとも糊化澱粉を主成分とする外粉は未加熱のままで凍結した冷凍食品であって、電子レンジ調理により半透明な衣を有する食品となる、電子レンジ調理用冷凍食品。
  2. 食品素材が未加熱食品素材である請求項1の冷凍食品。
  3. 食品素材が未加熱水産品素材である請求項1の冷凍食品。
  4. 糊化澱粉が架橋澱粉糊化物である請求項1、2または3の冷凍食品。
  5. 食品素材に糊化澱粉を主成分とする外粉をつけた後、水をくぐらせてから凍結したものである請求項1ないし4いずれかの冷凍食品。
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