JP3791596B2 - 熱式流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体が通流していないときの消費電力を抑えることのできる熱式流量計に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
熱式流量計を構成するマイクロフローセンサは、例えば図4に示すようにシリコン基台B上に設けた発熱抵抗体からなるヒータ素子Rhを間にして、流体の通流方向Fに測温抵抗体からなる一対の温度センサRu,Rdを設けた素子構造を有する。そして熱式流量計は、上記ヒータ素子Rhから発せられる熱の拡散度合い(温度分布)が前記流体の通流によって変化することを利用し、前記温度センサRu,Rdの熱による抵抗値変化から前記流体の流量Qを検出する如く構成される。
【0003】
具体的にはヒータ素子Rhから発せられた熱が流体の流量Qに応じて下流側の温度センサRdに加わることで、該温度センサRdの熱による抵抗値の変化が上流側の温度センサRuよりも大きいこと利用して上記流量Qを計測するものとなっている。尚、図中Rrは、前記ヒータ素子Rhから離れた位置に設けられた測温抵抗体からなる温度センサであって、周囲温度の計測に用いられる。
【0004】
図5は上述したマイクロフローセンサを用いた熱式流量計の概略構成を示している。即ち、ヒータ素子Rhの駆動回路は、該ヒータ素子Rhと周囲温度計測用の温度センサRr、および一対の固定抵抗R1,R2を用いてブリッジ回路1を形成し、所定の電源から供給される電圧VccをトランジスタQを介して前記ブリッジ回路1に印加すると共に、該ブリッジ回路1のブリッジ出力電圧を差動増幅器2にて求め、そのブリッジ出力電圧がゼロ(0)となるように前記トランジスタQを帰還制御して前記ブリッジ回路1に加えるヒータ駆動電圧を調整するように構成される。このように構成されたヒータ駆動回路により、前記ヒータ素子Rhの発熱温度が、その周囲温度よりも常に一定温度差だけ高くなるように制御される。
【0005】
一方、前記一対の温度センサRu,Rdの熱による抵抗値変化から前記マイクロフローセンサに沿って通流する流体の流量Qを検出する流量検出回路は、上記一対の温度センサRu,Rdと一対の固定抵抗Rx,Ryを用いて流量計測用のブリッジ回路3を形成し、温度センサRu,Rdの抵抗値の変化に応じたブリッジ出力電圧を差動増幅器4を介して検出するように構成される。そして前記ヒータ駆動回路によりヒータ素子Rhの発熱量を一定化した条件下において、差動増幅器4を介して検出されるブリッジ出力電圧から前記マイクロフローセンサに沿って通流する流体の流量Qを求めるものとなっている。
【0006】
この流量Qの算出は、例えば上記ブリッジ出力電圧(センサ出力)を演算処理装置(CPU)に取り込むことによって行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこの種の熱式流量計を家庭用ガスメータとして用いた場合、その省電力化を図ることが重要な課題となる。そこで前記ヒータ素子Rhを所定の時間間隔毎に通電し、そのときの流量Qをサンプリングして検出することでヒータ素子Rhの通電に要する電力を低減することが考えられている。
【0008】
また特開平10−82670号公報には、流量変化が大きいときには流量Qの計測周期(サンプリング周期)を短くし、流量変化が小さいときには流量Qの計測周期を長くすることでヒータ素子Rhの通電回数を減らし、これによってその省電力化を図ることが提唱されている。しかしながらこのようにしてヒータ素子Rhの通電時間間隔(流量の計測周期)を可変しても、ヒータ素子Rhの消費電力を低減するには限界がある。
【0009】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、流量計測の精度に悪影響を与えることなしに、ヒータ素子Rhでの消費電力を大幅に低減してその省電力化を図ることのできる熱式流量計を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するべく本発明に係る熱式流量計は、例えば家庭用ガスメータとして用いるような場合、流量センサに流体が通流していない期間が相当あることに着目したもので、ヒータ素子を所定の時間間隔毎に通電して流量計測を行うに際し、流体が通流していないときのヒータ素子の通電時間間隔を長く設定し、これによって省電力化を図るようにしたものである。
【0011】
即ち、本発明に係る熱式流量計は、
ヒータ素子と、このヒータ素子を間にして流体の通流方向にそれぞれ設けられた第1および第2の温度センサとを備えた流量センサと、
所定の時間間隔毎に前記ヒータ素子を通電加熱すると共に、該ヒータ素子の通電加熱時に前記第1および第2の温度センサによりそれぞれ検出される温度の差から前記流量センサを通流する流体の流量を求める流量検出手段とを備え、
特に前記所定の時間間隔毎に上記流量検出手段にて求められる流量がゼロでないときの回数から所定の単位時間内おける流体の通流頻度をそれぞれ求める計数手段と、
この計数手段にて求められた前記所定の単位時間内における流体の通流頻度に応じて前記流量センサに流体が通流していないときの前記ヒータ素子の通電時間間隔を可変設定する時間間隔設定手段と
を備えることを特徴としている。
【0012】
好ましくは前記時間間隔設定手段は、前記流量センサに流体が通流していないとき(ガス未使用時)の前記ヒータ素子の通電時間間隔を、前記流量センサに流体が通流しているとき(ガス使用時)の前記ヒータ素子の通電時間間隔(基本サンプリング周期)よりも長い時間幅の範囲において可変設定するように構成される。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記時間間隔設定手段は、前記所定の単位時間内において所定のサンプリング周期毎に前記流量検出手段により検出される流量がゼロでないときの回数が予め設定した設定回数よりも多いときには流体が通流していないときの前記ヒータ素子の通電時間間隔を短く設定し、上記計測回数が上記設定回数よりも少ないときには流体が通流していないときの前記ヒータ素子の通電時間間隔を長く設定する時間間隔変更手段として実現される。
【0014】
この際、流量検出手段においては、前記ヒータ素子の通電時間間隔の制御に連動してその検出流量値を次回の流量検出時まで保持することが望ましい。また前記所定の単位時間を、例えば1日を複数の時間帯に区分して設定した場合、この時間帯に応じて予め前記流量検出手段による流量検出の時間間隔を個別に設定するようにしても良い。
【0015】
また前記時間間隔設定手段は、複数の時間帯毎に前記流量検出手段により検出される流量がゼロでないときの回数を学習値として記憶する共に、前記流量検出手段により検出される流量がゼロのとき、現在の時間帯と同じ時間帯における過去の流量がゼロでないときの回数に応じて前記ヒータ素子の通電時間間隔を設定するように構成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る熱式流量計について、家庭用ガスメータとして用いる場合を例に説明する。
図1はこの実施形態に係る熱式流量計の要部概略構成図で、10は図4に示したようにヒータ素子Rhを間にして流体の通流方向Fに一対の温度センサRu,Rdを設けた素子構造を有するマイクロフローメータである。また図中11は図5に示したようにヒータ素子Rhと周囲温度計測用の温度センサRr、および一対の固定抵抗R1,R2を用いてブリッジ回路1を形成して、上記ヒータ素子Rhの発熱温度がその周囲温度よりも常に一定温度差だけ高くなるように駆動するヒータ駆動回路である。更に図中12は、図5に示したように一対の温度センサRu,Rdと一対の固定抵抗Rx,Ryを用いて流量計測用のブリッジ回路3を形成し、温度センサRu,Rdの抵抗値の変化に応じたブリッジ出力電圧を、前記温度センサRu,Rdによりそれぞれ検出される温度の差に相当するセンサ出力Voutとして検出する検出回路である。
【0017】
このようなセンサ出力を入力するCPU(演算処理回路)20は、基本的には前記ヒータ駆動回路11を所定の時間間隔毎に作動させて前記ヒータ素子Rhを発熱駆動するサンプリング手段21と、このサンプリング手段21により駆動されて前記ヒータ素子Rhの発熱駆動に同期して前記検出回路12からのセンサ出力Voutを取り込み、該センサ出力Voutに相当する流体の流量Qを求める流量算出手段22を備える。この際、マイクロフローセンサ10に印加する駆動電源を前記サンプリング手段21により制御し、マイクロフローセンサ10への通電自体を制御することも勿論可能である。
【0018】
即ち、CPU20は、基本的には図2に示すようにヒータ素子Rhを所定の周期T毎に通電して発熱駆動し、このヒータ素子Rhの発熱駆動に同期して前記センサ出力Voutをサンプリング入力する。そして前記流量算出手段22にてサンプリングしたセンサ出力Voutに相当する流量Qを求め、その流量値を次のサンプリングタイミングまで保持することで前記マイクロフローセンサ10を通流する流体(ガス)の流量を連続的に計測するものとなっている。尚、上記サンプリング周期Tは、サンプリングによる計測誤差を実質的に無視し得る基本的な時間間隔として、例えば1秒程度に設定される。
【0019】
このようにしてマイクロフローセンサ10を所定の周期でサンプリング駆動して流量計測を行う機能を備えたCPU20において、この実施形態が特徴とするところは、図1に示すように上述した如く計測される流量Qに応じてマイクロフローセンサを通流する流体の所定の単位時間における通流頻度を計測する手段としての使用回数積算手段(計数手段)23と、この使用回数積算手段23にて求められた通流頻度に応じて流量センサに流体が通流していないとき(ガス未使用時)の前記ヒータ素子の通電時間間隔を可変設定するサンプリング間隔設定手段(時間間隔設定手段)24とを備えている点にある。更にこれらの使用回数積算手段23およびサンプリング間隔設定手段24は、24時間タイマ25の管理の下で後述するように所定の単位時間を規定する時間帯毎に、その作動が制御されるようになっている。
【0020】
尚、CPU20は、例えばEEPROMからなるメモリ30を備えている。このメモリ30は、前記流量算出手段22における流量Qの算出に用いる為の流体(ガス)の流量Qとセンサ出力Voutとの関係を示す流量変換テーブル(図示せず)を記憶すると共に、前記使用回数積算手段23により求められる所定の時間帯毎の流体の通流頻度の情報を記憶する使用回数テーブル31を記憶したものである。
【0021】
ここで前記使用回数積算手段23について説明すると、この使用回数積算手段23は、前述した所定の単位時間内において前記流量算出手段22が流量計測を実行する都度、その流量Qがゼロであるか否かを判定している。そして流量Qがゼロでない場合にはマイクロフローセンサ10を流体(ガス)が通流している、つまりガスが使用されている状態であると判断し、この状態をガスの使用状態検出回数として累積している。そして上記所定の単位時間内における全サンプリング回数に対する上記使用状態検出回数を流体の通流頻度として求めている。より簡単には、上記使用状態検出回数自体を前記所定の単位時間内におけるガスの使用回数と看做して、その使用状況を監視している。このようにして求められる回数(使用状態検出回数)が、その計測時間帯毎に前記メモリ30における使用回数テーブル31に記憶され、その後の前記サンプリング間隔設定手段24によるサンプリング間隔の可変設定の制御に用いられる。
【0022】
一方、前記サンプリング間隔設定手段24は、前記流量算出手段22にて求められる流体の流量Qがゼロであるとき、つまりマイクロフローセンサ10にガスが流れていないとき、前記サンプリング手段21によるヒータ素子Rhの通電時間間隔(サンプリング間隔)を、マイクロフローセンサ10に流体が通流しているとき(ガス使用時)の前記ヒータ素子Rhの通電時間間隔(基本サンプリング周期)Tよりも長く設定する共に、前記使用回数積算手段23にて求められるガスの使用回数(使用状態検出回数)に従って上記ヒータ素子Rhの通電時間間隔(サンプリング間隔)を可変設定する役割を担う。
【0023】
即ち、サンプリング間隔設定手段24は、ガスの未使用時におけるマイクロフローセンサ10のサンプリング駆動周期(ヒータ素子Rhの通電駆動間隔)を長く設定すると共に、ガスの使用頻度(回数)に応じて、その間隔を可変するものとなっている。特にガスの使用頻度(回数)が所定の回数(設定回数)よりも多くなった場合には、ヒータ素子Rhの通電駆動間隔を短くし、逆にガスの使用頻度(回数)が所定の回数(設定回数)よりも少なくなった場合には、ヒータ素子Rhの通電駆動間隔を長くすることで、その通電駆動間隔(サンプリング間隔)を可変している。
【0024】
このような通電駆動間隔(サンプリング間隔)の可変設定は、前記24時間タイマ25の管理の下で前述した時間帯毎にそれぞれ実行される。より詳しくは前述した時間帯毎に求められて前記使用回数テーブル31に記憶されたガスの使用頻度(回数)に従い、該当する時間帯における過去のガスの使用頻度(回数)に従ってヒータ素子Rhの通電駆動間隔(サンプリング間隔)を設定するものとなっている。このようなヒータ素子Rhの通電駆動間隔(サンプリング間隔)の可変設定は、例えば1秒、2秒、5秒、10秒等として予め設定されている複数種の通電時間間隔の中から、その1つを選択することによってなされる。
【0025】
図3は上述したヒータ素子Rhの通電駆動間隔(サンプリング間隔)を可変設定する上での、CPU20における概略的な処理手順の一例を示している。この処理手順について説明すると、先ずマイクロフローセンサ10の駆動に伴い、該マイクロフローセンサ10から検出されるセンサ出力Voutに従ってそのときの流量Qを計測する[ステップS1]。そして計測した流量Qがゼロ(0)であるか否かを調べることでガス使用中であるか否かを判定する[ステップS2]。
【0026】
そしてガス使用中である場合には、前記使用回数積算手段23において現在の時間帯におけるガスの使用回数をインクリメントし[ステップS3]、サンプリング間隔を、前述したサンプリングによる計測誤差を実質的に無視し得る基本的な時間間隔である1秒として設定する[ステップS4]。そして設定したサンプリング間隔に従って前記マイクロフローセンサ10を次に駆動するタイミングを管理し、所定時間後にマイクロフローセンサ10が駆動されたならば、ステップS1からの処理手順を繰り返し実行する。
【0027】
この際、ガスが継続的に使用されている場合には、次の計測タイミングにおいてもガス使用中であると判定されるので、これによってその使用回数が累積される。
これに対して次の計測タイミングにおいて流量Qがゼロである場合には、ガスの未使用状態であると判定される[ステップS2]。この場合には、ガスの使用停止から一定時間が経過したか否かが判定され[ステップS5]、一定時間経過前である場合には、再度、前記サンプリング間隔を1秒に設定する[ステップS6]。この処理は、ガスの使用停止後、直ぐにマイクロフローセンサ10の駆動条件を変更しない為の処置であり、上記一定時間は、例えば1分程度に設定される。この処理によってガスの使用停止した後、直ぐにガスを使用するような場合の検出遅れが防止される。
【0028】
一方、ガスの使用停止から一定時間が経過している場合には[ステップS5]、次に前記使用回数テーブル31を参照して現在の時間帯における過去の使用回数が求められる。尚、上記時間帯は、例えば1日を2時間単位に区分する等して設定される。そして使用回数テーブル31から求めた過去の同じ時間帯における使用回数が、例えば[5]を越えるか[ステップS8]、[4]または[5]であるか[ステップS9]、或いは[1]〜[3]であるか[ステップS10]をそれぞれ判定する。
【0029】
そして過去の同じ時間帯における使用回数が[5]を越える場合には[ステップS8]、サンプリング間隔(ヒータ素子Rhの通電駆動間隔)を、ガスの使用時と同じ1秒に設定する[ステップS11]。また使用回数が[4]または[5]である場合には[ステップS9]、前記サンプリング間隔(ヒータ素子Rhの通電駆動間隔)を2秒に設定する[ステップS12]。更に使用回数が[4]または[5]である場合には[ステップS9]、前記サンプリング間隔を2秒に設定する[ステップS12]。使用回数が[1]〜[3]である場合には[ステップS10]、前記サンプリング間隔を5秒に設定し[ステップS13]、いずれにも該当しない場合、つまり使用回数が[0]の場合には、前記サンプリング間隔を10秒に設定する[ステップS14]。
【0030】
即ち、流量Qがゼロであることが検出されたならば、過去の同じ時間帯の実績データ(使用回数)に従って、ヒータ素子Rhの通電時間間隔(サンプリング間隔)を可変設定する。このようにしてヒータ素子Rhの通電時間間隔(サンプリング間隔)を可変設定すれば、ガスの使用回数を計測する単位時間を規定する時間帯の最初の時点においてガスの未使用状態が検出されても、その時点でのガスの使用回数の累積値に拘わることなく、過去の同じ時間帯におけるガスの使用状況に応じてガス未使用時におけるヒータ素子Rhの通電時間間隔を長く設定することができる。つまり時間帯毎のガスの使用状況を学習しながら、適切な時間間隔でヒータ素子Rhを駆動することが可能となる。
【0031】
かくしてこのようにしてサンプリング間隔を可変設定し、これによってヒータ素子Rhの通電駆動間隔を可変するようにした熱式流量計によれば、ガスの未使用状態が検出されたとき、ヒータ素子Rhを通電駆動する時間間隔を長く設定することができるので、ヒータ素子Rhに通電駆動に要する電力を大幅に削減することができる。またガスの未使用時に長く設定されるヒータ素子Rhを通電駆動間隔が、過去の使用状況に応じて可変設定され、ガスの使用開始が予想される場合には、上記通電時間間隔が比較的短く設定されるので、流量計測の開始遅れを十分に少なくすることができる。従ってその計測精度を損なう虞が殆どない等の効果が奏せられる。
【0032】
ちなみに上述したサンプリング間隔の制御によれば、例えばガスの使用頻度の最も高い時間帯、次に使用頻度の高い時間帯、また殆どガスを使用することのない時間帯、その他の時間帯に分けて、ガス未使用時におけるヒータ素子Rhの通電時間間隔(サンプリング間隔)を個別に設定することが可能となる。従って、例えば次表に例示するように、各時間帯におけるガスの使用状況に応じサンプリング間隔を設定し、深夜におけるヒータ素子Rhの通電駆動回数を減らしてマイクロフローセンサ10の省電力化を図ることが可能となる。
【0033】
【表1】
Figure 0003791596
【0034】
特に上述したようにしてヒータ素子Rhの通電駆動回数を制御する場合、これに連動して温度センサRu,Rdへの通電も制御すれば、即ち、マイクロフローセンサ10自体の駆動を制御するようにすれば、更なる省電力化を図ることが可能となる。また前述したようにして時間帯毎にガスの使用状況を調べてマイクロフローセンサ10の通電駆動回数を制御するに際して、その時間帯に応じてマイクロフローセンサ10の通電駆動の頻度(サンプリング間隔)を可変するようにしても良い。具体的には特定の時間帯におけるガスの使用回数のみならず、その使用時間に応じてそのサンプリング回数を可変設定するようにしても良い。このような制御を併用すれば、例えば深夜におけるサンプリング間隔を1分単位と長く設定することも可能となるので、更にその省電力化を図り得る。
【0035】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば流体の通流頻度を求めるに際しては、1分以上継続してガスを使用しているとき、これを1回の使用として検出(計数)するようにしたり、ガスの使用回数そのものを検出(計数)するようにしても良い。但し、この場合には、1時間に亘って連続してガスを使用した場合と、1分間に亘って1回だけガスを使用した場合との区別ができなくなる虞がある。しかしこのような状況が連続して毎日続くことは希なので、時間帯毎にその使用回数を学習し、平均的な使用回数を求めるようにすれば、その使用頻度に応じたサンプリング間隔の制御を効果的に行うことが可能となる。また時間帯の区分についても1時間単位とすることも可能である。
【0036】
更にはガス未使用時におけるサンプリング間隔を、更に大きな幅に亘って可変設定することも勿論可能である。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、流量がゼロのときのヒータ素子の通電時間間隔を十分に長く設定することができるので、その分、ヒータ素子の発熱駆動に要する電力を少なくすることができ、その省電力化を図り得る。しかも流体の通流頻度に応じてヒータ素子の発熱駆動間隔を可変設定するので、流体の通流が開始した際のヒータの発熱駆動の遅れを十分に短くすることができ、その計測精度を殆ど損なうことがない等の実用上多大なる効果が奏せられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱式流量計の要部概略構成図。
【図2】図1に示す熱式流量計の基本動作を示すタイミング図。
【図3】図1に示す熱式流量計における概略的な処理動作の一例を示す図。
【図4】マイクロフローセンサの概略構成図。
【図5】従来の一般的なヒータ駆動回路と流量検出回路の構成例を示す図。
【符号の説明】
Rh ヒータ素子
Ru 温度センサ(上流側)
Rd 温度センサ(下流側)
Rr 温度センサ(周囲温度計測用)
1 ブリッジ回路(ヒータ駆動用)
2 差動増幅器
3 ブリッジ回路(流量計測用)
4 差動増幅器
10 マイクロフローセンサ
11 ヒータ駆動回路
12 検出回路
20 CPU
21 サンプリング手段
22 流量検出手段
23 使用回数積算手段
24 サンプリング間隔設定手段
25 24時間タイマ
30 メモリ
31 使用回数テーブル

Claims (7)

  1. ヒータ素子と、このヒータ素子を間にして流体の通流方向にそれぞれ設けられた第1および第2の温度センサとを備えた流量センサと、
    所定の時間間隔毎に前記ヒータ素子を通電加熱すると共に、該ヒータ素子の通電加熱時に前記第1および第2の温度センサによりそれぞれ検出される温度の差から前記流量センサを通流する流体の流量を求める流量検出手段と、
    所定の単位時間内において上記流量検出手段にて求められる流量がゼロでないときの回数を上記各単位時間内における流体の通流頻度としてそれぞれ求める計数手段と、
    この計数手段にて求められた前記所定の単位時間内における流体の通流頻度に応じて前記流量センサに流体が通流していないときの前記ヒータ素子の通電時間間隔を可変設定する時間間隔設定手段と
    を具備したことを特徴とする熱式流量計。
  2. 前記時間間隔設定手段は、前記流量センサに流体が通流していないときの前記ヒータ素子の通電時間間隔を、前記流量センサに流体が通流しているときの前記ヒータ素子の通電時間間隔よりも長い時間幅の範囲において可変設定するものである請求項1に記載の熱式流量計。
  3. 前記時間間隔設定手段は、前記計数手段により求められた流量がゼロでないときの計測回数が予め設定した設定回数よりも多いときには流体が通流していないときにおける前記ヒータ素子の通電時間間隔を短く変更し、上記計測回数が上記設定回数よりも少ないときには流体が通流していないときにおける前記ヒータ素子の通電時間間隔を長く変更する時間間隔変更手段とからなる請求項2に記載の熱式流量計。
  4. 前記流量検出手段は、検出流量値を次回の流量検出時まで保持するものである請求項1に記載の熱式流量計。
  5. 前記所定の単位時間は、1日を複数の時間帯に区分して設定されるものである請求項1に記載の熱式流量計。
  6. 前記時間間隔設定手段は、区分設定された時間帯毎に予め前記流量検出手段による流量検出の時間間隔を個別に設定するものである請求項に記載の熱式流量計。
  7. 前記時間間隔設定手段は、複数の時間帯毎に前記流量検出手段により検出される流量がゼロでないときの回数を記憶する共に、前記流量検出手段により検出される流量がゼロのとき、現在の時間帯と同じ時間帯における過去の計測回数に応じて前記ヒータ素子の通電時間間隔を設定するものである請求項1に記載の熱式流量計。
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