JP4440420B2 - 流量計測方法及び装置並びに電子式流量メータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガスのような流体の流量を計測する流量計測方法及び装置、並びに、該方法及び装置によって計測した流体の流量を積算し表示する電子式流量メータに係わり、特に、流路中の流体の流速に応じた物理量を間欠的に計測し、該計測した物理量に基づき流量を計測する流量計測方法及び装置並びに電子式流量メータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の流量計測方法及び装置として、熱式センサを使用した熱式流量計測装置などがある。熱式流量計測装置は、ガス流路内を加熱するヒータと、ガス流路の上下流方向にそれぞれ設けられた温度センサとから流量センサを構成し、ヒータの発する熱の上下流方向への伝達が流速の大きさによって変化することを利用して、ヒータの上下流に設けた温度センサにより間欠的に検知した温度差からなる物理量によって流速を間接的に測定するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、流体として燃料ガスを計量する電子式ガスメータを通じて供給するガスを消費する燃焼器のなかには、使用中に供給ガス圧に圧力変動を生じさせるものがある。例えば、GHP(ガスヒートポンプ)の場合、その使用によってガス圧に約15mmH2Oの変動を10〜20Hzの周波数で生じさせる。このようなGHPはガス流路に脈流を生じさせる脈流発生源となり、集合住宅などにおいて特定の消費宅に設置され使用されていると、GHPの生じさせる圧力変動が生じることにより、電子式ガスメータ内のガス流路内に瞬間的なガスの流れが生じるため、ある流量に相当する時間差を計測してしまうようになる。これをガス消費に伴うガス流量と誤認し、通過流量として積算し積算流流量を求めてしまうことがあると、積算値が実際のガス使用量よりも大きくなってしまい、計量器としては致命的な信頼性の上の問題となる。
【0004】
すなわち、ガスが全く消費されていない状態で、図9(a)に示すよう圧力変動が電子式ガスメータに生じると、この圧力変動の影響によりガス流路中のガスが上流方向及び下流方向に移動するため通過流量は図9(b)に示すような10〜20Hzの脈流が生じる。これに対応して間欠的な計測が行われたとすると、図9(c)に示すような通過流量が求められるようになり、タイミングaで計測された通過流量Taが積算されてしまう。
【0005】
また、ガスを消費している消費宅の電子式ガスメータの上流側において上述したGHPの生じさせる圧力が変動すると、その消費宅の電子式ガスメータのガス流路内の通過流量が図9(b)に示すように増減が繰り返されることとなる。そして、このような実際の通過流量に対して増減を繰り返すような通過流量が電子式ガスメータにより求められてしまうと、近年のように、ガス漏洩検知機能とそれに連動したガス漏洩警報機能やガス供給遮断機能といった保安機能が電子式ガスメータに搭載されている場合に、次のような問題が生じる。
【0006】
すなわち、実際にはガス漏洩判定レベルを越えていないにも拘わらず、計測のタイミングの関係からガス漏洩判定レベルを上回る通過流量が電子式ガスメータにより求められて、ガスの漏洩警報や供給遮断が誤って実行されたり、反対に、実際にはガス漏洩判定レベルを越えているにも拘わらず、計測のタイミングの関係からガス漏洩判定レベルを下回る通過流量が電子式ガスメータにより求められて、ガスの漏洩警報や供給遮断の実行が遅れてしまうという問題が生じる。
【0007】
そこで、上述した問題を解決する流量計測装置を組み込んだ電子式ガスメータとして、特開平9−15006号公報に開示されたガス流量計がある。このガス流量計は、図10に示すように所定期間T1ごとに間欠間隔T2でn1回サンプリングした得た流速に応じた流速アナログ信号のデジタル値の物理量の平均値を求め、求めた平均値に基づきガスの流量を計測する。以上のように、n1回計測されたガス流量の平均値を取ることにより、脈流によりガス流量が増減しても増減が相殺され正確な通過流量を計測することができる。しかしながら、上記特開平9−15006号公報のガス流量計は、流量計測精度は向上するが、平均値を求めるためにn1回の連続サンプリングを行っているため、サンプリング回数が多くなり大きな電力消費をともなうという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、流量計測精度の低下を招くことなく、より一層の消費電力の低減を図れる流量計測方法及び装置を提供することを課題とする。
【0009】
本発明はまた、消費電力の低減を図っても、通過流量の誤差を低減して流体使用量を正確に積算表示できるようにした電子式流量メータを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、流路中の流体の流速に応じて変化する物理量を脈流の最大周期より長い不等間隔毎に所定回数計測し、該所定回数計測した物理量の平均値を算出し、該算出した平均値に基づき前記流路中の流体の流量を計測する流量計測方法において、前記物理量の計測は、一定間隔毎に定められたタイミングを当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲において前記脈流の最大周期より小さい時間t×予め定めた互いに異なる値だけ前後にそれぞれずらして前記所定回数行われることを特徴とする流量計測方法に存する。
【0011】
請求項2記載の発明は、流路中の流体の流速に応じて変化する物理量を脈流の最大周期より長い不等間隔毎に所定回数計測し、該所定回数計測した物理量の平均値を算出し、該算出した平均値に基づき前記流路中の流量を計測する流量計測方法において、前記物理量の計測は、一定間隔毎に定められたタイミングを当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲において前記脈流の最大周期より小さい時間t×乱数mだけ前後にそれぞれずらして前記所定回数行われることを特徴とする流量計測方法に存する。
【0012】
請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、流路中の流体の流速に応じて変化する物理量を脈流の最大周期より長い不当間隔毎に所定回数計測する計測手段100を備え、該所定回数計測した物理量の平均値に基づき演算して前記流路中の流体の流量を計測する流量計測装置において、前記計測手段による物理量の計測は、一定間隔毎に定められたタイミングを当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲において前記脈流の最大周期より小さい時間t×予め定めた互いに異なる値だけ前後にそれぞれずらして前記所定回数行われることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0013】
請求項4記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、流路中の流体の流速に応じて変化する物理量を脈流の最大周期より長い不当間隔毎に所定回数計測する計測手段100を備え、該所定回数計測した物理量の平均値に基づき演算して前記流路中の流体の流量を計測する流量計測装置において、前記計測手段による物理量の計測は、一定間隔毎に定められたタイミングを当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲において前記脈流の最大周期より小さい時間t×乱数mだけ前後にそれぞれずらして前記所定回数行われることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0014】
請求項1〜4記載の発明によれば、脈流の最大周期より長い不等間隔ごとに物理量計測を行うので、脈流が発生しても物理量の計測間隔と脈流の周期とが同期することがなくなり、脈流の最大周期よりも大きい不等間隔で物理量計測を行っても例えば脈流の最大値を繰り返し計測する、すなわち脈流の1周期の内、同じタイミングばかりを繰り返し計測するといったことがなくなるため、所定期間内で所定回数計測した物理量の平均値に基づき流路中の流量を求めれば、脈流による流量の増減が打ち消しあい、正確な流量を計測することができる。
【0015】
また、請求項1記載の発明によれば、計測が、一定間隔ごとに定められたタイミングを、当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲内において脈流の最大周期より小さい時間t×予め定めた互いに異なる値だけ前後にそれぞれずらして行われるので、特に、一定間隔と同期する周期の脈流が発生しているとき、その脈流により増減する流量変動の山部分と谷部分とを確実に計測することができる。
【0016】
また、請求項2記載の発明によれば、計測が、一定間隔ごとに定められたタイミングを、当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲内において脈流の最大周期より小さい時間t×乱数mだけ前後にそれぞれずらして行われるので、特に、一定間隔と同期する周期の脈流が発生しているとき、その脈流により増減する流量変動の山部分と谷部分とを確実に計測することができる。しかも、ランダムにずらすことができ、物理量の計測が行われない時間をねらった流体の盗用行為の発生を未然防止することができる。
【0017】
また、請求項3記載の発明によれば、計測が、一定間隔ごとに定められたタイミングを、当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲内において脈流の最大周期より小さい時間t×予め定めた互いに異なる値だけ前後にそれぞれずらして行われるので、特に、一定間隔と同期する周期の脈流が発生しているとき、その脈流により増減する流量変動の山部分と谷部分とを確実に計測することができる。
【0018】
また、請求項4記載の発明によれば、計測が、一定間隔ごとに定められたタイミングを、当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲内において脈流の最大周期より小さい時間t×乱数mだけ前後にそれぞれずらして行われるので、特に、一定間隔と同期する周期の脈流が発生しているとき、その脈流により増減する流量変動の山部分と谷部分とを確実に計測することができる。しかも、ランダムにずらすことができ、物理量の計測が行われない時間をねらった流体の盗用行為の発生を未然防止することができる。
【0019】
請求項5記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項3又は4に記載の流量計測装置と、前記流量計測装置によって計測した流体の流量を積算する流量積算手段5aと、該流量積算手段によって積算した積算流量を表示する表示手段7と、を備えることを特徴とする電子式流量メータに存する。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、流量積算手段5aが請求項2〜5何れか記載の流量計測装置によって計測した流体の流量を積算し、表示手段7が流量積算手段5aによって積算した積算流量を表示するので、流量計測精度の低下を招くことなく、より一層の消費電力の低減を図れる流量計測装置により計測した正確な通過流量を積算し、表示することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は本発明の流量計測方法を実施した流量計測装置を組み込んで構成した電子式流量メータを示している。この電子式流量メータは、本発明の実施形態において、流体として燃料ガスを計量するため、電子式ガスメータという。図示の電子式ガスメータは熱式として構成されており、流体であるガスを流すガスメータ中の流路としてのガス流路に配設され、ガスの流速に応じた信号を出力するマイクロフローセンサ1を有する。
【0033】
このマイクロフローセンサ1は、図3に示すように、図3中断面で示すガス流路10の内壁に配設されており、半導体基台11と、この半導体基台11上に形成された不図示の薄膜層と、この薄膜層上に形成された温度に応じた熱起電力を発生するサーモパイル等の温度センサ12、13及び加熱用のヒータ抵抗器14とを備えており、ガス流路10内を流れるガスの流れ方向Dの上流側から温度センサ12、ヒータ抵抗器14、温度センサ13の順に、流れ方向Dに沿って等間隔で配列されている。
【0034】
上述したヒータ抵抗器14は、図2に示すように、スイッチ2を介して電源3と接続されている。電源3は図4に示すようにバッテリ31及び定電圧回路33を有しており、バッテリ31からの電力の電圧を定電圧回路33により所定の定電圧として出力するように構成され、スイッチ2はマイクロコンピュータ(以下、μCOM)5からの制御信号S1の出力に応じてオンして、ヒータ抵抗器14に電源3からの所定の定電圧を印加する。すなわち、ヒータ抵抗器14は、μCOM5からの制御信号S1に応じて出力される駆動パルスにより通電され加熱する。また、温度センサ12、13としてサーモパイルを使用したとき、それぞれ熱起電力は、図4に等価回路図で示すように、非反転増幅回路15、16を介して非反転増幅された後、差動増幅器17により互いの差に応じた信号が出力される。
【0035】
上述した構成のマイクロフローセンサ1の原理について以下説明する。ヒータ抵抗器14は、μCOM5からの制御信号S1の出力と同時に駆動パルスにより通電され、所定時間の加熱が行われる。この結果、ガス流路10にガスが流れていないときは、ヒータ抵抗器14付近の気体に熱が伝わり、該ヒータ抵抗器14付近の上流側、下流側の温度分布は対象分布になる。つまり、温度センサ12、13の温度が等しい温度に上昇するため温度センサ12、13の熱起電力はほぼ等しくなり差動増幅器17からの出力はほぼ0となる。
【0036】
今、ヒータ抵抗器14が通電している間、図3のガスの流れ方向Dにガスが流れると上流側は冷却され降温する。一方、下流側はガスの流れを媒体してヒータ抵抗器14から熱伝導が促進され昇温する。この結果、ヒータ抵抗器14の上流側にある温度センサ12はガスにより降温されるため熱起電力が増加し、一方下流側にある温度センサ13はガスにより降温されるため熱起電力が減少する。流速が増加すると、これに伴って上述した降温分と昇温分も増加するので、温度センサ12、13の熱起電力の差である差動増幅器17からの出力は流速に応じた出力となる。そして、このガスの流速に応じたマイクロフローセンサ1の差動増幅器17からの信号はアンプ6により増幅された後、μCOM5に供給される。
【0037】
また、μCOM5は、図2に示すように、プログラムに従って各種の処理を行う中央処理ユニット(CPU)5a、CPU5aが行う処理のプログラムなどを格納した読み出し専用のメモリであるROM5b、CPU5aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ格納エリアなどを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM5c及び、マイクロフローセンサ1からの信号をアンプ6で増幅したガス流路10内に流れるガスの流速に応じたアナログの増幅信号をサンプリングしてデジタル値に変換するA/D変換器5dなどを内蔵し、これらがバスラインによって相互接続されている。
【0038】
μCOM5内のCPU5aは、間欠的に制御信号S1を出力してマイクロフローセンサ1を構成するヒータ抵抗器14を駆動パルスにより通電させ、該通電に応じて出力されるガスの流速に応じたアンプ6からのアナログの増幅信号をA/D変換器5dによってサンプリングし、増幅信号をデジタル値に変換することにより、ガスの流速に応じて変化する物理量の計測する計測処理を行う。以上のことから明らかなようにマイクロフローセンサ1とCPU5aとは計測手段100を構成する。
【0039】
そして、CPU14aはさらに、計測処理の他に、上記計測処理により10回サンプリングした増幅信号のデジタル値の平均値を演算する平均値演算処理、演算した平均値とガス流路10の断面積と10回のサンプリングにかかる所定期間とを乗じて通過流量を演算する通過流量演算処理、通過流量を積算して積算流量を求める積算流量処理(=流量積算手段としての働き)、この流量積算処理によって求めた流量積算値を表示器7(=表示手段)に表示させる表示処理を行う。
【0040】
ここで計測処理による計測のタイミングを図5(a)を参照にして以下説明する。なお、図中XはA/D変換器5dによる増幅信号のサンプリングのタイミングを示し、図中t=50msecである。同図に示すように計測処理は、1s→1s+t→1s−2t→…1s−8t→1s+4tごとの等間隔でない不等間隔で所定期間10s内で10回の計測を繰り返し行っている。また、上記不等間隔1s、1s+t、1s−2t、…1s−8t、1s+4tは、それぞれが脈流の最大周期100msecより長い値に設定されている。
【0041】
以上のように不等間隔のタイミングで計測処理を行うと、脈流が発生しても計測処理のタイミングと脈流の周期が同期することがなくなり、脈流の最大周期100msecよりも大きい不等間隔で計測処理を行っても例えば脈流の最大値を繰り返し計測する、すなわち脈流の1周期の内、同じタイミングばかりを繰り返し計測するといったことがなくなるため、10回サンプリングした増幅信号のデジタル値の平均値に基づきガス流路中の流量を求めれば、脈流よる流量の増減が打ち消し合い、正確な流量を計測することができる。
【0042】
さらに、上記計測処理のタイミングは詳しくは図6に示すように、計測処理のタイミングは、一定間隔1sごとに定められた図中↑のタイミングを、当該タイミングから斜線で示す脈流の最大周期100msec前後した範囲内においてそれぞれズレ時間±t、±2t、±3t又は±4tずらして行われている。以上のように不等間隔を定めると上述した効果に加えて、特に一定間隔1sと同期する周期の脈流が発生しているとき、図7に示すように、例えば脈流の最大値からズレ時間±t、±2t、±3t、±4tずらした点の流量変動を計測することができる。すなわち、その脈流により増減する流量変動の1周期分を満遍なく計測することができ、10回サンプリングした増幅信号のデジタル値を平均すれば、脈流による流量変動の増減を完全に相殺することができるため、特に一定間隔1sと同期する周期の脈流が発生しているとき場合においては、より一層流量計測精度を高めることができる。
【0043】
また、上述した図5(a)の計測処理のタイミングを示すタイムパターンデータはROM5b(=タイムパターンデータ記憶手段)内に記憶され、このROM5b内に記憶したタイムパターンデータに応じてヒータ抵抗器14の駆動及び、増幅信号のサンプリングの計測処理を行うことにより、不等間隔をランダムに決定するシフトレジスタ等から構成されるランダムパルス発生器等を設ける必要がなく、構成を簡単にすることができる。また、μCOM5で不等間隔をランダムに決定する必要も無いため、μCOM5内のCPU5aの処理手順を簡単にすることができる。
【0044】
上記概略で説明した流量計測装置を組み込んだ電子式ガスメータの動作の詳細を図8に示すCPU5aの処理手順を示すフローチャートを参照して以下説明する。なお、上述した図5(a)のタイムパターンデータに示されている10個の不等間隔1s、1s+t、1s−2t、…1s−8t、1s+4tは、その最小不等間隔1s−8tがROM5b内に形成された最小不等間隔エリアTminに格納され、10個の不等間隔1s、1s+t、1s−2t、…1s−8t、1s+4tから最小不等間隔1s−8tを差し引いた値がそれぞれROM5b内に形成された計測待ち時間エリアn1〜n10に格納されている。
すなわち、
計測待ち時間n1← 1s−(1s−8t)=8t
計測待ち時間n2← (1s+t)−(1t−8t)=9t
…
計測待ち時間n9← (1s−8t)−(1s−8t)=0
計測待ち時間n10←(1s+4t)−(1s−8t)=12tとなる。
【0045】
さて、CPU5aは例えば電池電源の投入によって動作を開始し、図示しない初期ステップにおいて、μCOM5内のRAM5cに形成した各種のエリアの初期設定を行ってからその最初のステップS1に進む。ステップS1においては、最小不等間隔カウントエリアt1をインクリメントする。次に、ステップS2に進んで、ステップS1においてインクリメントされた最小不等間隔カウントエリアt1が最小不等間隔エリアTminに格納されている最小不等間隔1s−8tと等しいか否か、すなわちスタート又は後述するステップS12、17を経由してステップS1へ戻ってから最小不等間隔1s−8tが経過したか否か判定する。スタートから最小不等間隔1s−8tが経過していなければステップS2の判定がNOとなり、再びステップS1での最小不等間隔カウントエリアt1のインクリメントが繰り返される。そして、最小不等間隔カウントエリアt1のインクリメントが繰り返された結果、最小不等間隔カウントエリアt1=最小不等間隔1s−8tとなると、ステップS2の判定がYESとなってステップS3に進む。
【0046】
ステップS3において最小不等間隔カウントエリアt1を0にリセットして引き続くステップSP4に進み計測回数カウントエリアNのカウント値に応じた計測待ち時間を取り込む。不図示の初期設定で計測回数カウントエリアNは1にセットしてあるため、スタートから最小不等間隔1s−8t経過した後、ステップS4に進むと、N=1に応じた計測待ち時間エリアn1が取り込まれる。その後、ステップS5に進んで計測待ち時間がカウントされる計測待ちカウントエリアt2がステップS4で取り込んだ計測待ち時間を越えているか否か、すなわち最小不等間隔1s−8t経過してからステップS4で取り込んだ計測待ち時間が経過したか否かを判定する。計測待ち時間が経過していなければステップS5の判定がNOとなってステップS6に進み、計測待ち時間カウントエリアt2をインクリメントした後、ステップS5に再び戻る。ステップS6で計測待ち時間カウントエリアt2をインクリメントした結果、最小不等間隔1s−8t経過後からさらに計測待ち時間経過すると、ステップS5の判定がNOとなり引き続くステップS7へ進む。
【0047】
ステップS7において計測待ち時間カウントエリアt2を0にリセットして引き続くステップS8に進み、マイクロフローセンサ1に対して制御信号S1を出力する。この制御信号S1の出力に応じてスイッチ2がオンしてヒータ抵抗器14が駆動パルスにより通電され、加熱される結果、マイクロフローセンサ1の出力端子19にはガスの流速に応じた信号が出力される。
【0048】
その後、CPU5aは引き続きステップS9に進み、上記マイクロフローセンサ1からのガスの流速に応じた信号をアンプ6により増幅したアナログの増幅信号をA/D変換器5dにより1回サンプリングし、サンプリングしたデジタル値をRAM5c内のデジタル値エリアに格納し、次のステップS10において、制御信号S1の出力を停止することによりマイクロフローセンサ1のヒータ抵抗器14の通電を停止する。その後ステップS11に進み、計測回数カウントエリアNをインクリメントした後、ステップS12に進む。
【0049】
ステップS12においては、計測カウントエリアNが10となったか否か、すなわちステップS8〜9による計測処理が10回行われたか否かを判定する。計測処理が10回行われていない内は、ステップS12の判定がNOとなり再びステップS1へ戻る。計測処理が10回行われていれば、ステップS12の判定がYESとなってステップS13に進み計測カウントエリアNが0にリセットされる。
【0050】
そして、その後のステップS14で10回計測してデジタル値エリアに格納したデジタル値の平均値を演算する平均値演算処理を行い、ステップS15でステップS14で演算した平均値と、ガス流路10の断面積と、所定期間10sとを乗ずることにより所定期間10sに流れる通過流量Qtを計測する通過流量計測処理を行う。引き続くステップS16で積算流量エリアQにステップS15で求めた通過流量Qtを加算した後、ステップS17で積算流量エリアQの内容を表示器7に表示させる表示処理を行った後、再びステップS1へ戻る。以上のように不等間隔のタイミングで計測処理を行えば、電子式ガスメータは通過流量の誤差を低減してガス使用量を正確に積算表示することができる。
【0051】
なお、上述した実施例では、図5(a)に示すようなタイムパターンデータで計測処理を行っていたが例えば、図5(b)に示すようなタイムパターンデータでもよく、一定間隔1sごとに定めたタイミングを、当該タイミングから脈流の最大周期100msec前後する範囲内でずらすという条件で有ればどんなタイミングでも良い。
【0052】
また、上記実施例では、ズレ時間を±t、±2t、±3t、±4tとして予め定めていたが例えば、図5(c)に示すようにmを乱数としてランダムに選択することにより、一定間隔1sごとに定めたタイミングをランダムにずらしても良い。なお、ズレ時間mtを一定間隔1sごとに定められたタイミングから脈流の最大周期100msec前後した範囲内に収めるためmは0〜20の乱数(すなわち、100msec=m*5msec(=t)よりm=20)とする。このように、ランダムにずらすことにより、物理量計測が行われない時間をねらったガスの盗用行為の発生を未然防止することができるので、不正なガスの使用を行うことを防止することができる。
【0053】
また、上述した実施例では、不等間隔をタイムパターンデータとして予め定めていたが、例えば、不等間隔をランダムパルス発生器等などによりランダムに定めるようにしても、脈流と計測のタイミングとが同期することなく、10回サンプリングしたデジタル値の平均値をとれば変動分が相殺することができる。そして、上述したズレ時間をランダムに定めたものと同様に物理量計測が行われない時間をねらったガスの盗用行為の発生をも未然に防止することもができる。
【0054】
さらに、上述した実施例では、増幅信号を10回サンプリングするごとにそのデジタル値の単純平均値を求めていたが、例えば10回サンプリングしたデジタル値の移動平均値を求めるようにしても良い。
【0055】
また、10回サンプリングして得たデジタル値の最小値と最大値とを取り除いた平均値を算出すれば、所定回数のサンプリングで得た流速に応じたデジタル値の内、極端に大きいデジタル値や、極端に小さいデジタル値が計測されても除かれるためより正確な流量の増減の平均値をとることができるので、より一層流量計測精度を高めることができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜4記載の発明によれば、脈流が発生しても物理量の計測間隔と脈流の周期とが同期することがなくなり、脈流の最大周期よりも大きい不等間隔で物理量計測を行っても例えば脈流の最大値を繰り返し計測する、すなわち脈流の1周期の内、同じタイミングばかりを繰り返し計測するといったことがなくなるため、所定期間内で所定回数計測した物理量の平均値に基づき流路中の流量を求めれば、脈流による流量の増減が打ち消しあい、正確な流量を計測することができるので、流量計測精度の低下を招くことなく通過流量の計測間隔を極端に長くでき、より一層の消費電力の低減を図れる流量計測方法及び装置を得ることができる。
【0058】
請求項1又は3記載の発明によれば、特に、一定間隔と同期する周期の脈流が発生しているとき、その脈流により増減する流量変動の山部分と谷部分とを確実に計測することができるので、特に、一定間隔と同期する周期の脈流が発生しているとき、その脈流により増減する流量変動の山部分と谷部分とを確実に計測することができる流量計測方法及び、装置を得ることができる。
【0059】
請求項2又は4記載の発明によれば、特に、一定間隔と同期する周期の脈流が発生しているとき、その脈流により増減する流量変動の山部分と谷部分とを確実に計測することができる。しかも、ランダムにずらして行うことにより、物理量の計測が行われない時間をねらった流体の盗用行為の発生を未然防止することができるので、不正な流体の使用を行うことを防止することができる流量計測方法及び、装置を得ることができる。
【0061】
請求項5記載の発明によれば、流量計測精度の低下を招くことなく、より一層の消費電力の低減を図れる流量計測装置により計測した正確な通過流量を積算し、表示することができるので、通過流量の誤差を低減してガス使用量を正確に積算表示できるようにした電子式流量メータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流量計測装置及び電子式流量メータの基本構成図を示すブロック図である。
【図2】本発明の流量計測方法を実施した流量計測装置を組み込んだ電子式流量メータの一実施の形態を示す図である。
【図3】図2のマイクロフローセンサの詳細を示す図である。
【図4】図2のマイクロフローセンサの詳細を示す回路図である。
【図5】図1のCPUが行う計測処理のタイミングを示すタイムチャートである。
【図6】図5の計測処理のタイミングの詳細を説明するためのタイムチャートである。
【図7】図5の計測処理のタイミングと脈流との関係を示すタイムチャートである。
【図8】図2のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】従来の流量計測装置及び電子式流量メータの問題点を説明するための図である。
【図10】従来の計測のタイミングを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
100 計測手段
5b タイムパターンデータ記憶手段(ROM)
5a 流量積算手段(CPU)
7 表示手段(表示器)
Claims (5)
- 流路中の流体の流速に応じて変化する物理量を脈流の最大周期より長い不等間隔毎に所定回数計測し、該所定回数計測した物理量の平均値を算出し、該算出した平均値に基づき前記流路中の流体の流量を計測する流量計測方法において、
前記物理量の計測は、一定間隔毎に定められたタイミングを当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲において前記脈流の最大周期より小さい時間t×予め定めた互いに異なる値だけ前後にそれぞれずらして前記所定回数行われる
ことを特徴とする流量計測方法。 - 流路中の流体の流速に応じて変化する物理量を脈流の最大周期より長い不等間隔毎に所定回数計測し、該所定回数計測した物理量の平均値を算出し、該算出した平均値に基づき前記流路中の流量を計測する流量計測方法において、
前記物理量の計測は、一定間隔毎に定められたタイミングを当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲において前記脈流の最大周期より小さい時間t×乱数mだけ前後にそれぞれずらして前記所定回数行われる
ことを特徴とする流量計測方法。 - 流路中の流体の流速に応じて変化する物理量を脈流の最大周期より長い不当間隔毎に所定回数計測する計測手段を備え、該所定回数計測した物理量の平均値に基づき演算して前記流路中の流体の流量を計測する流量計測装置において、
前記計測手段による物理量の計測は、一定間隔毎に定められたタイミングを当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲において前記脈流の最大周期より小さい時間t×予め定めた互いに異なる値だけ前後にそれぞれずらして前記所定回数行われる
ことを特徴とする流量計測装置。 - 流路中の流体の流速に応じて変化する物理量を脈流の最大周期より長い不当間隔毎に所定回数計測する計測手段を備え、該所定回数計測した物理量の平均値に基づき演算して前記流路中の流体の流量を計測する流量計測装置において、
前記計測手段による物理量の計測は、一定間隔毎に定められたタイミングを当該タイミングから脈流の最大周期前後した範囲において前記脈流の最大周期より小さい時間t×乱数mだけ前後にそれぞれずらして前記所定回数行われる
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項3又は4に記載の流量計測装置と、
前記流量計測装置によって計測した流体の流量を積算する流量積算手段と、
該流量積算手段によって積算した積算流量を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする電子式流量メータ。
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