JP3644750B2 - 最小流量検出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道管等の流体通路を流れる流体の流量等を流体通路に配置した流量計を用いて計測し、当該計測値に基づき当該流体通路を流れる流体の最小流量を検出する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流量計、例えば、電子式水道メータは、水道管の途中に介挿して使用される。一般的な水道メータでは、水道水の流れる通路内に通路方向に向けて軸流式の羽根車を配置し、この羽根車の回転を磁気抵抗素子等を利用した非接触型のセンサで検出し、このセンサ検出値に基づき、流水量、流水速度、流水方向等の情報を計測、表示するようになっている。
【0003】
このような流量計は、液晶等から構成される表示部を備えており、計測した流量積算値等がここに表示されるようになっている。また、測定値に基づき、水道管に漏れが発生しているか否かの異常も検出可能となっている。漏れ検出方法としては、一定の時間幅の区間毎に、予め設定されている設定流量よりも測定された最小流量値が大きいか否かを判別し、1区間内において最小流量が設定流量を越えたままの場合には、水道管に漏れが発生しているものと判断する方法が一般的である。設定流量は、水道管の管径、流量計の測定誤差等に基づき設定される微小流量値である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に採用されている漏れ検出方法では、或る時点において水道管等に漏れが発生しているか否かの表示は行なわれるが、漏れが発生し始めた時点からの漏れ量の累計(積算値)を正確に算出することができない。このために、実際のところどの位の量の水等の流体が漏れ出てしまったのかを知ることができないので不便である。
【0005】
本発明の課題は、この点に鑑みてなされてものであり、流体の漏れ量を従来の方法に比べてより正確に算出することのできる最小流量検出方法を提案することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、水道管等の流体通路を流れる流体の流量を計測し、計測値に基づき当該流体通路を流れる流体の最小流量を検出する最小流量検出方法において、次のようにして、最小流量の積算値(累計値)を算出するようにしている。
【0007】
まず、予め定めた時間幅ΔTの第1の区間において、時間幅Δtの周期で流体流量を繰り返し計測し、計測した流体流量の最小値を予め設定されている設定流量A0と比較し、計測した流体流量の最小値が予め設定されている設定流量A0と同一あるいはそれ未満の値である時には前記流体通路が正常状態であると判別して、当該第1の区間における最小流量の積算値Q1を零に設定する。逆に、計測した流体流量の最小値が前記設定流量A0を越える値の時には、前記流体通路が正常状態ではないと判別して、測定された流体流量の最小値を最小流量Aminとして採用し、当該最小流量Amin前記時間幅ΔTを乗算して最小流量の積算値Q1を算出する。
【0008】
次に、前記第1の区間に連続する時間幅ΔTの第2の区間において、時間幅Δtの周期で流体流量を繰り返し計測し、計測した流体流量の最小値を予め設定されている設定流量A0と比較する。前記第1の区間において正常状態であると判別されている場合には、計測した流体流量の最小値が前記設定流量A0と同一あるいはそれ未満の値である時には正常状態が継続しているものと判別して、当該第2の区間における最小流量の積算値Q2を零に設定する。逆に、計測した流体流量の最小値が前記設定流量A0を越える値である時には、測定された流体流量の最小値を最小流量Aminとして採用し、当該最小流量Aminに前記時間幅ΔTを乗算して最小流量の積算値Q2を算出し、当該積算値Q2と前記積算値Q1を加算して総積算値ΣQを求める。
【0009】
これに対して、前記第1の区間において正常状態では無いと判別されている場合には、計測した流体流量の最小値が前記設定流量A0と同一あるいはそれ未満の値になった時には前記流体通路が正常状態に戻ったものと判別し、前記第1の区間での前記最小流量Aminに、当該第2の区間の開始時点から流体流量の最小値が前記設定流量A0以下になった時点までの時間幅を乗算して、最小流量の積載値Q2を算出し、当該積算値Q2と前記積算値Q1を加算して総積算値ΣQを求める。また、測定した流体流量の最小値が当該第2の区間の終了時点まで前記設定流量A0を越えたままである時には、当該第2の区間で測定された流体流量の最小値を前記最小流量Aminとして採用し、当該最小流量Aminに時間幅ΔTを乗算して最小流量の積算値Q2を算出し、当該積算値Q2と前記積算値Q1を加算して総積算値ΣQを求める。
【0010】
この後は、上記の第2の区間にける動作を後続する区間において繰り返し実行する。
【0011】
本発明の最小流量検出方法においては、水道管などが正常状態にあると判別されている間は、最小流量の総積算値は零である。
【0012】
しかるに、計測された流体流量が設定流量を越えた場合には、水道管等の流体管に異常、例えば、漏れが発生したものと判断して、測定された流体流量の最小値に基づき、当該区間における最小流量の積算値が算出される。すなわち、漏れ量の総計が算出される。この積算値は、各区間毎に合計されて総積算値、即ち、漏れ量の合計値が算出される。
【0013】
さらに、或る区間の途中において、水道管等の管が正常状態に復帰した場合、即ち、漏れ状態から正常状態に戻った場合には、当該区間におけるその時点までの最小流量の積算値が算出され、これが、それまでの最小流量の積算値に加算される。したがって、このような場合においても、それまでの最小流量の総積算値が算出される。
【0014】
このように、本発明の方法によれば、常に、水道管等の管を流れる流体の最小流量の積算値を正確に算出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1には、本発明を適用可能な電子式水道メータを示してある。水道メータ1は水道管に介挿入されて使用され、水道水の通路を区画形成しているメータケース2と、このメータケース2の内部に区画形成した円筒状の計量室3と、この計量室3の内において水道水の流れる方向に向けて回転自在に取付けれらた羽根車4を備えている。羽根車4の先端には一対の磁石5が取付けられている。これらの磁石5の上方には、制御部6が配置されている。この制御部6は、メータケースカバー2aとカバー2cによって区画形成された区画室内に配置されている。制御部6は、磁石5の回転を非接触状態で検出する磁気抵抗素子からなるセンサ7と、このセンサ7の出力に基づき各種の演算処理を行う制御回路10(図2参照)と、演算結果を出力表示する液晶表示器8(図2参照)を備えている。さらには、駆動電源であるリチウム電池9を備えている。
【0017】
図2に示すように、制御部6において計測された情報は、信号線群21を介して、離れた位置に配置されている遠隔表示器22の側に伝送される。遠隔表示器22も液晶表示部等の表示部分を備えており、この表示部分には、例えば、8桁の積算値表示領域と、複数に区画された楕円形のパイロット表示領域を備えている。後述する漏れ検出時には、このパイロット表示領域を利用してその旨の警告表示を行なうことができる。また、漏れ量の積算値は積算値表示領域に表示することができる。
【0018】
本例の制御回路10は、例えば1チップマイクロコンピュータを中心に構成されており、各種の演算処理を行なうCPU11と、制御プログラム等が格納されているROM12と、演算処理のためのデータ等を一時的に保持するためのレジスタ群を備えたRAM13を備えている。前述したセンサ7からの検出信号は、入力ポート14を介して制御回路10に供給される。また、制御回路10は、表示制御回路15を介して液晶表示器8を駆動して、流量積算値等の表示を行なわせる。さらに、出力ポート16および信号線群22を介して、計測データ、演算データを、遠隔表示器22の側に送出する。
【0019】
次に、図3には、本例の水道メータ1による漏れ検出動作の概略フローチャートを示してある。この動作を実現するための制御プログラムは上記のROM12に予め格納されている。
【0020】
本例の水道メータ1においても、一般的に使用されている水道メータと同様に、流量がΔtの時間間隔で周期的に測定される。例えば、6分間隔で測定される。また、漏れの判別は、予め定めた時間幅ΔT、例えば1時間毎に行なわれる。さらには、水道メータ1が設置される水道管の管径、平均使用量、水道メータ自体の測定誤差等に基づき、水漏れが発生しているとは認定できない微小流量が、設定流量A0として予め設定されている。
【0021】
水道メータ1は、ステップST1、ST2に示すように、Δt(6分間)毎に周期的に流量の計測を行なう。
【0022】
ステップST3においては各時点tiで計測した水量A(ti)をRAM13の予め設定されている記憶領域内に記憶保持する。これと共に、ステップST4において、計測した水量A(ti)が、予め設定されている設定水量A0を越えたか否かを判別する。
【0023】
越えていない場合にはステップST21に移行して、「0」の値に初期設定されているフラグFに「1」を立てる。次に、ステップST22において、前回の区間におけるフラグF(前回)が「1」であるか否かを判別し、「1」である場合にはステップST7に移行し、「0」である場合には、ステップST23においてフラグFに「1」が立った時点tk(k=1、2、3・・・)を記憶する。この後に、ステップST8に移行する。
【0024】
これに対して、計測水量A(ti)が設定水量A0を越えている場合には、ステップST5において当該計測水量が、それまでに計測した水量の最小水量であるか否かを判別する。当該計測水量が最小水量である場合には、ステップST6においてこの値を最小水量A(min)として記憶保持する。
【0025】
次に、ステップST7において、漏れ判別のための1区間であるΔTの時間が経過したことが判別されると、例えば、1時間が経過したことが判別されると、ステップST8において、水漏れが発生しているか否かの判別を行なう。すなわち、フラグFiに「1」が立っていれば水漏れは発生していない状態(正常状態)であると判別し、そうでない場合には水漏れが発生していると判別する。
【0026】
水漏れが発生していると判別した場合には、ステップST9に移行して、1区間の間で計測された水量の最小値A(min)と時間幅ΔTを乗算することにより、1区間の間における水漏れ量の積算値Qi(i=1、2・・・)を算出すると共に、それを記憶する。次に、ステップST10において、それまでの各区間において算出した水漏れ量の積算値の総計ΣQiを求めると共にこれを記憶する。
【0027】
上記のステップST8において水漏れが発生していないと判別された場合には、ステップST31に移行して、前回の区間におけるフラグF(i−1)の状態を判別し、それが「0」である場合には、すなわち、前回の区間においても水漏れが発生していた場合には、ステップST32に進み、当該区間において、水漏れの発生が無くなった時点tkまでの間の水漏れ量をQiとして算出して記憶する。ここで、この水漏れ量Qiの算出に当たっては、当該区間における最小流量A(min)は設定されていないので、前回の区画において設定された最小流量値を用いて水漏れ量の算出を行なう。この後は、ステップST10に進み、それまでの各区間において算出した水漏れ量の積算値の総計ΣQiを求めると共にこれを記憶する。
【0028】
しかるに、前記の区間におけるフラグF(i−1)の状態が「1」である場合には、前回の区間から今回の区間に渡って継続して水漏れの発生は無いものと判断して、ステップST31からステップST33に進み、今回の区間での水漏れ量Qiを零に設定して、これを記憶保持する。次に、ステップST10に進み、それまでの各区間において算出した水漏れ量の積算値の総計ΣQiを求めると共にこれを記憶する。
【0029】
次に、図4には測定水量の推移の例を示してある。このグラフにおいては、流量測定の時点をti(i=1ないし10)として示してある。時点t10は、漏れが発生しているか否かを判別するための一区間ΔT(1時間)の時間経過の時点Ti(i=1、2・・・)に一致する時点となっている。このグラフに示す場合には、区間1において、計測水量が設定流量Aを越えた値のままであるので、フラグF1は「0」のままに保持され、最小流量A(min)は値A1に設定される(図3のステップST6)。したがって、この区間1では、水漏れが発生している旨の判別が出される。また、この区間1での水漏れ量Q1は、値A1に区間幅である1時間を乗算した値となる(図3のステップST9)。
【0030】
次に、区間2においては、最小流量が値A2に切り換わる。この区間2においても水漏れが発生している旨の判別が出される。また、水漏れ量は、値A2の区間幅である1時間を乗算した値として算出される。
【0031】
一方、次の区間3では、途中の時点tkで水量が設定水量Aを下回る。この結果、フラグF3には「1」が立つ(図3のステップST21)。この場合、前回の区間2では、フラグF2が「0」であるので、当該時点tkが記憶される(図3のステップST23)。この区間3では、水漏れの発生が止み、正常な状態となった旨の判別がなされる(図3のステップST8)。また、水漏れ量Q3としては、時点tkまでの水漏れ量が、前回の区間2における最小流量値A2と、区間3における時点tkまでの時間幅とを乗算することにより算出される(図3のステップST32)。この算出された値が前回までの各算出値の総和(Q1+Q2)に加算される(図3のステップST10)。図4の斜線部分は各区間での水漏れ量の算出値を示すものである。
【0032】
以上のように、本例の水道メータの水漏れ検出方法によれば、水道管の水漏れの有無の検出を適切に行なうことができる。また、各区間毎の水漏れ量の合計を正確に算出することができる。これに合わせて、区間の途中で水漏れが止んだ場合おいても、その途中までの水漏れ量の算出も行なうことができる。したがって、水漏れ量を実情に則して適切に算出することができる。
【0033】
なお、上記の水漏れの判別、水漏れ量の算出動作は、一例を示すものであり、本発明を当該動作に限定するものではない。また、上記の例は、本発明を水道メータによる水漏れ検出に適用したものである。この代わりに、他の液体、あるいは気体の流体通路における液漏れ、あるいはガス漏れの検出のために、本発明を適用することもできる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の最小流量検出方法によれば、水道管等の管を流れる流体の最小流量の積算値を常に正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な電子式水道メータの機械的構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の水道メータの制御系を示す概略ブロック図である。
【図3】図1の水道メータによる水漏れ検出動作を示す概略フローチャートである。
【図4】図1の水道メータによる水漏れ検出動作を説明するための水量の推移の例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電子式水道メータ
3 計量室
6 制御部
7 センサ
8 表示部
10 制御回路
11 CPU
12 ROM
13 RAM
A0 設定流量
A(min) 最小流量
Qi 区間iでの最小流量の積算値
ΣQi 区間iの終了時点での最小流量の積算値の総和
ti 流量計測時点
Δt 流量計測時点
ΔT 漏れ判別間隔

Claims (1)

  1. 水道管等の流体通路を流れる流体の流量を計測し、計測値に基づき当該流体通路を流れる流体の最小流量を検出する最小流量検出方法において、
    (A)予め定めた時間幅(ΔT)の第1の区間において、時間幅(Δt)の周期で流体流量を繰り返し計測し、計測した流体流量の最小値を予め設定されている設定流量(A0)と比較し、
    a1)計測した流体流量の最小値が予め設定されている設定流量(A0)と同一あるいはそれ未満の値である時には前記流体通路が正常状態であると判別して、当該第1の区間における最小流量の積算値(Q1)を零に設定し、
    a2)計測した流体流量の最小値が前記設定流量(A0)を越える値の時には、前記流体通路が正常状態ではないと判別して、測定された流体流量の最小値を最小流量(Amin)として採用し、当該最小流量(Amin)に前記時間幅(ΔT)を乗算して最小流量の積算値(Q1)を算出し、
    (B)前記第1の区間に連続する時間幅ΔTの第2の区間において、時間幅Δtの周期で流体流量を繰り返し計測し、計測した流体流量の最小値を予め設定されている設定流量A0と比較し、
    b1)前記第1の区間において正常状態であると判別されている場合には、
    b11)計測した流体流量の最小値が前記設定流量(A0)と同一あるいはそれ未満の値である時には正常状態が継続しているものと判別して、当該第2の区間における最小流量の積算値Q2を零に設定し、
    b12)計測した流体流量の最小値が前記設定流量(A0)を越える値時には、測定された流体流量の最小値を最小流量(Amin)として採用し、当該最小流量(Amin)前記時間幅(ΔT)を乗算して最小流量の積算値(Q2)を算出し、当該積算値(Q2)を総積算値(ΣQ)として採用し、
    b2)前記第1の区間において正常状態ではないと判別されている場合には、
    b21)計測した流体流量の最小値が前記設定流量(A0)と同一あるいはそれ未満の値になった時には前記流体通路が正常状態に戻ったものと判別し、前記第1の区間での前記最小流量(Amin)に、当該第2の区間の開始時点から流体流量の最小値が前記設定流量(A0)以下になった時点までの時間幅を乗算して、最小流量の積載値(Q2)を算出し、当該積算値(Q2)と前記積算値(Q1)を加算して総積算値(ΣQ)を求め、
    b22)測定した流体流量の最小値が当該第2の区間の終了時点まで前記設定流量(A0)を越えたままである時には、当該第2の区間で測定された流体流量の最小値を前記最小流量(Amin)として採用し、当該最小流量(Amin)に時間幅(ΔT)を乗算して最小流量の積算値(Q2)を算出し、当該積算値(Q2)と前記積算値(Q1)を加算して総積算値(ΣQ)を求め、
    (C)以後、前記第2の区間における動作を、後続する各区間において繰り返し実行することを特徴とする最小流量検出方法。
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