JP3791240B2 - 電子写真装置および電子写真の画像処理方法、並びに記録媒体 - Google Patents
電子写真装置および電子写真の画像処理方法、並びに記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置および電子写真の画像処理方法、並びに記録媒体に関し、特に、複数のドットから形成される網点により階調を表現する電子写真装置において、ハーフトーン処理を行う際、参照されるガンマ(γ)テーブルのデータ量を小さくすることができるようにした電子写真装置および電子写真の画像処理方法、並びに記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)のトナーを利用して、カラー画像の再生を行う電子写真システムの一例を示している。
【0003】
パーソナルコンピュータ(PC)1において、オペレータは、予めインストールされているアプリケーションプログラム11(例えば、ワードプロセッサ、図形ツール等)を用いて、文字データや図形データを生成する。アプリケーションプログラム11により生成されたデータは、パーソナルコンピュータ1に予めインストールされているプリンタ2用のドライバ12に供給される。ドライバ12は、供給されたデータを画素毎のRGB(8ビット×3=24ビット)の階調データからなる画像データに変換する。この画像データは、ケーブル3を介してプリンタ2に供給される。プリンタ2は、コントローラ21とエンジン22から構成されており、供給された画像データに基づいてカラー画像を再生する。
【0004】
コントローラ21は、色変換部31、ハーフトーン処理部32およびパルス幅変調(PWM(Pulse Width Modulation))部33から構成されている。色変換部31は、供給された各画素毎のRGBの階調データを、RGBと補色関係にあるCMYKの階調データD1に変換する。CMYKの階調データD1は、それぞれ8ビットずつで構成され、最大で256階調を有している。色変換部31から出力されるCMYKの階調データD1は、ハーフトーン処理部32に供給される。
【0005】
図2は、ハーフトーン処理部32の構成例を示している。図2に示すように、ハーフトーン処理部32は、ページメモリ51、スクリーン処理部52およびスクリーンテーブルメモリ53から構成されている。ページメモリ51には、色変換部31から供給されたCMYKの階調データD1が格納される。スクリーンテーブルメモリ53には、スクリーンテーブル(ガンマテーブル)が予め格納されている。このスクリーンテーブルは、各画素毎に階調データと画像再生情報であるレーザの駆動パルス幅データとの対応を有する。
【0006】
スクリーン処理部52は、ページメモリ51に格納されている各画素毎の階調データD1を読み出し、読み出した画素に対応するスクリーンテーブルを選択する。スクリーン処理部52は、選択したスクリーンテーブルを参照して、階調データに対応する駆動パルス幅データD2を読み出し、読み出した駆動パルス幅データD2をパルス幅変調部33に供給する。パルス幅変調部33は、供給された駆動パルス幅データD2に基づいて、エンジン22内のレーザダイオード(LD)42を駆動するためのパルス幅変調信号D3を生成し、生成したパルス幅変調信号D3をエンジン22に供給する。
【0007】
エンジン22は、レーザドライバ41、レーザダイオード(LD)42、感光ドラム(図示せず)、転写ドラム(図示せず)等から構成されている。レーザドライバ41は、供給されたパルス幅変調信号D3に基づいて、画像描画用のレーザダイオード42を駆動する。レーザダイオード42により発光されたレーザビームは、図示せぬ感光ドラムの所定の領域に照射され、感光ドラム上に所定の表面電位を有する潜像を形成する。感光ドラム上に形成された潜像に、帯電したトナーが付着し、図示せぬ転写ドラムを介してトナーが印刷用紙に転写される。これにより、カラー画像が再生される。
【0008】
次に、エンジン22で再生される画像を構成するスクリーンについて、図3を参照して説明する。図3は、一例として3×3(縦×横)の画素から構成されるスクリーン(またはセル)61を示している。画素1乃至画素9の各画素内の所定の領域には、パルス幅変調信号D3に基づいて、トナーが付着された領域(図中斜線部分)であるドットが形成される。複数のドットにより網点62が形成され、この網点の大きさにより、中間調(ハーフトーン)の階調が表現される。このように、網点の大きさにより濃淡画像の中間階調を再現する手法は、ディザ法(Dither Method)と呼ばれ、広く利用されている。スクリーン61においては、ドット1乃至ドット5が、それぞれ画素1乃至画素5内に形成されており、これらのドット1乃至5により網点62が形成されている。
【0009】
次に、上記スクリーン61上で表現される濃度(階調)について、図4を参照して説明する。図4(A)に示すように、スクリーン61は、例えば9画素から構成されており、0(0/9)乃至1(9/9)の濃度を表現することができる。ここで、濃度0は最低濃度とされ、濃度1は最大濃度とされる。スクリーン61上で表現される濃度は、パルス幅変調部33において生成されるパルス幅変調信号D3に基づいている。
【0010】
例えば、スクリーン61上で濃度1/9を表現させる場合、パルス幅変調部33は、それぞれ3つの画素を有する3行の走査ラインに対して、図4(B)に示すようなパルス幅変調信号を出力する。この場合、パルス幅変調信号は画素1の位置でH(High)レベルになる。濃度0/9乃至1/9を表現させる場合、パルス幅変調部33は、画素1内でパルス幅変調信号のパルス幅を濃度に対応して変化させる。スクリーン61上で濃度2/9を表現させる場合、パルス幅変調部33は、3行の走査ラインに対して、図4(C)に示すようなパルス幅変調信号を出力する。即ち、パルス幅変調信号は、画素1および画素2の位置でHレベルになる。スクリーン61上で濃度4/9を表現させる場合、パルス幅変調部33は、3行の走査ラインに対して、図4(D)に示すようなパルス幅変調信号を出力する。即ち、パルス幅変調信号は、画素1、画素2、画素3および画素4の位置でHレベルになる。上記以外の濃度を表現させる場合も同様に、パルス幅変調部33は、所定の走査ラインに対して、濃度(最大256階調)に対応するパルス幅のパルス幅変調信号を出力する。
【0011】
上述したように、スクリーン61上の各画素に対して、パルス幅変調信号のパルス幅を変化させることにより、1画素あたり256階調まで表現することができる。しかしながら、エンジン22において、1画素あたり形成されるドットの面積の種類は、トナーの粒径等の理由で、実際には20程度であるので、256階調表現することができない。但し、スクリーン61上で表現できる階調数は、1画素あたり20階調とすると、9画素で180(20×9)階調となる。
【0012】
次に、コントローラ21の処理動作について、図5を参照して具体的に説明する。先ず、画素1の階調データの処理について、以下に説明する。スクリーン処理部52は、ページメモリ51に格納されている画素1の階調データ“42”を読み出し(図5(A))、画素1に対応したスクリーンテーブル(ガンマテーブル)を選択する(図5(B))。スクリーン処理部52は、選択したスクリーンテーブルを参照して、階調データ“42”に対応する駆動パルス幅データ“255”を読み出し(図5(C))、読み出した駆動パルス幅データ“255”をパルス幅変調部33に供給する。パルス幅変調部33は、供給された駆動パルス幅データ“255”に基づいてパルス幅変調信号D3を生成し(図5(D))、生成したパルス幅変調信号D3をエンジン22内のレーザドライバ41に供給する。
【0013】
画素2の階調データの処理の場合は、スクリーン処理部52は、ページメモリ51に格納されている画素2の階調データ“41”を読み出し(図5(A))、画素2に対応したスクリーンテーブル(ガンマテーブル)を選択する(図5(B))。スクリーン処理部52は、選択したスクリーンテーブルを参照して、階調データ“41”に対応する駆動パルス幅データ“120”を読み出し(図5(C))、読み出した駆動パルス幅データ“120”をパルス幅変調部33に供給する。パルス幅変調部33は、供給された駆動パルス幅データ“120”に基づいてパルス幅変調信号D3を生成し(図5(D))、生成したパルス幅変調信号D3をエンジン22内のレーザドライバ41に供給する。
【0014】
画素3乃至画素9の各画素の階調データの処理については、上述の画素1および画素2と同様の処理が行われるので、説明は省略する。但し、図5の例では、画素3乃至画素9の各画素に対応するパルス幅変調信号は全て0となっている。
【0015】
次に、図5(B)に示したスクリーンテーブル(ガンマテーブル)の入出力特性の一例を図6に示す。図6(A)は画素1に関するスクリーンテーブルの入出力特性の一例を、図6(B)は画素2に関するスクリーンテーブルの入出力特性の一例を、図6(C)は画素9に関するスクリーンテーブルの入出力特性の一例を示している。横軸は画素の階調データ(入力)を、縦軸は駆動パルス幅データ(出力)を表している。
【0016】
画素1に対応するスクリーンテーブルの入出力特性は、図6(A)に示すように、画素の階調データが小さい領域で駆動パルス幅データが256階調まで急激に立ち上がっている。一方、画素2に対応するスクリーンテーブルの入出力特性は、図6(B)に示すように、画素の階調データに対して緩やかに立ち上がっている。画素9に対応するスクリーンテーブルの入出力特性は、図6(C)に示すように、画素の階調データが大きい領域で駆動パルス幅データが256階調まで急激に立ち上がっている。そして、入力の画素階調データは256の階調を有し、出力の駆動パルス幅データもそれぞれ8ビットで構成されて、256の分解能を有する。その結果、スクリーンテーブルメモリ53は、(256階調×8ビット)×9画素分のメモリ容量を必要とする。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スクリーン(セル)61のサイズは、実際には多くの画素を有し、その結果、スクリーンテーブルメモリ53は、256階調×8ビットからなる1画素分の容量のデータを画素数分だけ格納する必要があり、スクリーンテーブルメモリ53の容量が非常に大きくなるという課題があった。
【0018】
また、スクリーンテーブルメモリ53は、通常、高速のSRAM(Static Random Access Memory)で構成され、かかるメモリ容量の増大は、コストの上昇を招くという課題があった。
【0019】
そこで、本発明の目的は、画質を劣化させることなく、スクリーンテーブルメモリの容量を小さくした電子写真装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子写真装置は、スクリーンを構成する複数の画素の各画素に付着するドットから形成される網点により階調を表現して画像を再生する電子写真装置であって、 各々特性が異なる複数個の、画素の入力階調値と画像再生情報とを対応付けた変換テーブルを記憶する手段、前記スクリーンを構成する前記複数の画素の各々に対応する変換テーブルを前記複数個の前記変換テーブルから選択する手段、画素の入力階調値に対し、前記画素に対応する前記記変換テーブルを参照して、画像再生情報を出力する手段、を持つハーフトーン処理部を有し、前記各々特性が異なる複数個の前記変換テーブルは、各々、前記入力階調値のデータ変化に対して前記画像再生情報が変化する領域の、前記入力階調値のデータと画像再生情報との対応で構成される、ことを特徴とする。
【0022】
上記本発明によれば、再生画像の画質を劣化させることなく、スクリーンテーブル(変換テーブル)メモリの容量をより小さくすることができる。
【0023】
本発明の画像処理方法は、スクリーンを構成する複数の画素の各画素に付着するドットから形成される網点により階調を表現して画像を再生する電子写真の画像処理方法であって、各々特性が異なる複数個の、画素の入力階調値と画像再生情報とを対応付けた変換テーブルを記憶する手段から、前記スクリーンを構成する前記複数の画素の各々に対応する変換テーブルを前記複数個の前記変換テーブルから選択するステップ、画素の入力階調値に対し、前記画素に対応する前記記変換テーブルを参照して、画像再生情報を出力するステップ、を持つハーフトーン処理ステップを有し、前記各々特性が異なる複数個の前記変換テーブルは、各々、前記入力階調値のデータ変化に対して前記画像再生情報が変化する領域の、前記入力階調値のデータと画像再生情報の対応で構成される、ことを特徴とする。
【0024】
本発明の記録媒体は、スクリーンを構成する複数の画素の各画素に付着するドットから形成される網点により階調を表現して画像を再生する電子写真の画像処理手順をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体であって、前記画像処理手順は、各々特性が異なる複数個の、画素の入力階調値と画像再生情報とを対応付けた変換テーブルを記憶する手段から、前記スクリーンを構成する前記複数の画素の各々に対応する変換テーブルを前記複数個の前記変換テーブルから選択するステップ、画素の入力階調値に対し、前記画素に対応する前記記変換テーブルを参照して、画像再生情報を出力するステップ、を持つハーフトーン処理ステップを有し、前記各々特性が異なる複数個の前記変換テーブルは、各々、前記入力階調値のデータ変化に対して前記画像再生情報が変化する領域の、前記入力階調値のデータと画像再生情報の対応で構成される、ことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0028】
図7は、変換テーブルであるスクリーンテーブル(ガンマテーブル)の入出力特性の一例を示している。横軸は画素の階調データ(入力)を、縦軸は画像再生情報である駆動パルス幅データ(出力)を表している。図7の例は、スクリーン61を構成する9つの画素に対応するガンマテーブル(の入出力特性)γ1乃至γ9を示している。ガンマテーブルγ1では、画素の階調データが小さい領域で駆動パルス幅データは急激に立ち上がり、その後、最大駆動パルス幅“255”まで比較的緩やかに立ち上がっている。従来のガンマテーブルγ1は、出力の駆動パルス幅データが最大値の“255”に達した後の入力階調データが高い領域では、出力のほとんどが最大値“255”になっているにもかかわらず、入力の階調データの0乃至255の全階調領域に対応する駆動パルス幅データを記憶している。
【0029】
ガンマテーブルγ2およびγ3では、画素の階調データに対して駆動パルス幅データは比較的緩やかに立ち上がっている。従来のガンマテーブルγ2およびγ3は、入力階調データが低い領域または高い領域で、出力駆動パルス幅データのほとんどが最小値“0” または最大値“255”となっているにもかかわらず、入力階調データの0乃至255の全階調領域に対応する駆動パルス幅データを記憶している。
【0030】
ガンマテーブルγ9では、画素の階調データが大きい領域で駆動パルス幅データは最大値“255”まで急激に立ち上がっている。従来のガンマテーブルγ9は、入力階調データが低い領域では、駆動パルス幅データのほとんどが最小値“0”となっているにもかかわらず、入力階調データの0乃至255の全階調領域に対応する駆動パルス幅データを記憶している。
【0031】
上述したように、ガンマテーブルγ1乃至γ9は、入力階調データの全階調のうち、ある限られた範囲内だけで出力の駆動パルス幅データが0乃至255に変化し、それ以外の範囲では駆動パルス幅データが最小値“0”または最大値“255”である。即ち、ガンマテーブルγ1乃至γ9において、駆動パルス幅データのほとんどが最小値“0” または最大値“255”になっているにもかかわらず、入力階調データの全階調領域に対して駆動パルス幅データを記憶することは、スクリーンテーブルメモリ53の容量を増大させることにつながる。
【0032】
図7に示したスクリーンテーブルの入出力特性の例は、例えば、スクリーン(セル)の濃度(階調値)がゼロに近い領域(γ1)では出力値を急激に立ち上げて、確実にトナーが付着できるようにし、比較的濃度が低い領域(γ2,γ3)では階調の変化が人間の目にはっきりと認識できるので、出力値を比較的緩やかに立ち上げている。そして、濃度が高い領域(γ9)では階調の変化が人間の目にほとんど認識できないので、出力値を急激に立ち上げている。このように、スクリーンテーブルを利用したハーフトーン処理では、画素毎に異なる入出力特性のガンマテーブルを設けることが必要であり、そうすることにより、人間の目に理想的な濃度変化を与えることができる。
【0033】
図8は、本発明を適用した各画素毎のスクリーンテーブル(変換テーブル)とその入出力特性の一例を示している。図8(A)は画素1に関するスクリーンテーブルTB1とその入出力特性γ1の一例を、図8(B)は画素2に関するスクリーンテーブルTB2とその入出力特性γ2の一例を、図8(C)は画素9に関するスクリーンテーブルTB9とその入出力特性γ9の一例を示している。入出力特性の横軸は画素の階調データ(入力)を、縦軸は画像再生情報である駆動パルス幅データ(出力)を表している。
【0034】
図8(A)に示すように、画素1のスクリーンテーブルでは、階調データ“0”乃至“42”に対応する駆動パルス幅データは変化するので記憶する必要があるが、階調データ“43”乃至“255”に対応する駆動パルス幅データは“255”で一定であるため、この“43”乃至“255”の領域では入力階調データに対応する出力の駆動パルス幅データを全て記憶する必要がない。従って、ここでは、駆動パルス幅データが変化する領域の入力階調データの最小階調値“0”、最大階調値“42”、および階調データ“0”乃至“42”に対応する駆動パルス幅データのみを記憶する。即ち、図8(A)の実線の部分のみがスクリーンテーブルTB1として記憶される。
【0035】
図8(B)に示すように、画素2のスクリーンテーブルでは、階調データ“0”乃至“29”に対応する駆動パルス幅データは“0”で一定であるため、この“0”乃至“29”の領域では入力階調データに対応する出力の駆動パルス幅データを全て記憶する必要がない。また、階調データ“30”乃至“50”に対応する駆動パルス幅データは変化するので記憶する必要があるが、階調データ“51”乃至“255”に対応する駆動パルス幅データは“255”で一定であるため、この“51”乃至“255”の領域では入力階調データに対応する出力の駆動パルス幅データを全て記憶する必要がない。従って、ここでは、出力が変化する領域の最小階調値“30”、最大階調値“50”、および階調データ“30”乃至“50”に対応する駆動パルス幅データのみを記憶する。即ち、図8(B)の実線の部分のみがスクリーンテーブルTB2として記憶される。
【0036】
図8(C)に示すように、画素9のスクリーンテーブルでは、階調データ“0”乃至“244”に対応する駆動パルス幅データは“0”で一定であるため、この領域は全て記憶する必要がないが、階調データ“245”乃至“255”に対応する駆動パルス幅データは変化するので記憶する必要がある。従って、ここでは、出力が変化する領域の最小階調値“245”、最大階調値“255”、および階調データ“245”乃至“255”に対応する駆動パルス幅データのみを記憶する。即ち、図8(C)の実線の部分のみがスクリーンテーブルTB9として記憶される。
【0037】
上記したように、記憶させる駆動パルス幅データを減らすことにより、スクリーンテーブルメモリ53の容量をより小さくすることが可能となる。また、スクリーンテーブルの変化する領域(変化分)は、図8(A)に示すように、ガンマテーブルγ1が緩やかに立ち上がる場合、長くなり、図8(C)に示すように、ガンマテーブルγ9が急激に立ち上がる場合、短くなる。即ち、画素毎に最低必要なテーブル長がメモリ容量として確保されれば良い。
【0038】
本発明を適用した電子写真システムの一実施の形態の構成は、図1および図2と同じである。本実施の形態においても、ページメモリ51には、供給されたCMYKの階調データが格納される。同様に、スクリーンテーブルメモリ53には、各画素毎に階調データと駆動パルス幅データ(画像再生情報)の対応関係を示すスクリーンテーブル(ガンマテーブル)が予め格納されている。但し、本実施の形態では、スクリーンテーブルメモリ53には、駆動パルス幅データが変化する領域での最小階調値、最大階調値、およびそれらの間の領域の画像再生情報(駆動パルス幅データ)を記憶させる。それにより、前述の通り、スクリーンテーブルのデータ量を減らすことができる。
【0039】
図9は、コントローラ21の処理動作を説明するためのフローチャートである。図10は、コントローラ21の処理を具体的に説明するためのものである。図10(A)はページメモリ51に格納されている階調データD1の一例を、図10(B)はスクリーンテーブル53の一例を、図10(C)はスクリーン処理部52が出力するデータD2の一例を、図10(D)はパルス幅変調部33が出力するデータD3の一例を示している。
【0040】
次に、コントローラ21の処理動作について、図9のフローチャートおよび図10を参照して説明する。先ず、ステップS1において、パーソナルコンピュータ1はケーブル3を介してRGBの階調データを色変換部31へ供給する。
【0041】
ステップS2において、色変換部31は、供給されたRGBの階調データをCMYKの階調データに変換し、CMYKの階調データをページメモリ51に記憶させる。
【0042】
スクリーン処理部52は、ステップS3において、ページメモリ51に記憶されている画素毎の階調データを読み出し(図10(A)参照)、ステップS4において、読み出した画素に対応するスクリーンテーブル(ガンマテーブル)を選択する(図10(B)参照)。
【0043】
ステップS5において、スクリーン処理部52は、読み出した画素の階調データと、選択したスクリーンテーブルの最小階調値とを比較する。
【0044】
ステップS6において、画素の階調データが最小階調値以下であると判定された場合、ステップS7に進み、スクリーン処理部52は駆動パルス幅データとして“0”を生成する(例えば、図10(C)の画素3乃至画素9を参照)。ステップS6において、画素の階調データが最小階調値以下でない(最小階調値よりも大きい)と判定された場合、ステップS8に進む。
【0045】
ステップS8において、スクリーン処理部52は、画素の階調データと最大階調値とを比較する。そして、画素の階調データが最大階調値以上であると判定された場合、ステップS9に進み、スクリーン処理部52は駆動パルス幅データとして“255”を生成する(例えば、図10(C)の画素1を参照)。ステップS8において、画素の階調データが最大階調値以上でない(最大階調値よりも小さい)と判定された場合、ステップS10に進み、スクリーン処理部52は、スクリーンテーブル53を参照し、対応する駆動パルス幅データを読み出す(例えば、図10(C)の画素2を参照)。
【0046】
ステップS11において、スクリーン処理部52は、生成または読み出した駆動パルス幅データをパルス幅変調部33へ供給する。パルス幅変調部33は、供給された駆動パルス幅データに基づいてパルス幅変調信号D3を生成し(図10(D)参照)、生成したパルス幅変調信号D3をレーザドライバ41に供給し、処理動作は終了される。
【0047】
図11は、スクリーンテーブルメモリ53の第2の実施の形態の構成を示している。図11の例では、スクリーンテーブルメモリ53は、画素1乃至画素9の各画素の出力が変化する領域の最小階調値および最大階調値を記憶するとともに、各画素に共通の変化テーブルTB11を有している。この変化テーブルTB11は、階調データに対して駆動パルス幅データ(画像再生情報)が変化する領域のデータを共有化して記憶したもので、画素1乃至画素9に対して固定長とされる。また、駆動パルス幅データは8ビットで構成される。第1の実施の形態の構成では、各画素毎にスクリーンテーブルを設けていたが、第2の実施の形態の構成では、複数の画素に対して共通の変化テーブルを設けることにより、スクリーンテーブルメモリ53の容量を更に小さくすることが可能となる。但し、この例では、図7に示した如き、画素毎に異なる入出力特性を持たせるためには、共通の変化テーブルTB11と画素毎の最小階調値、最大階調値をもとに所定の変換演算が必要になる。
【0048】
図12は、スクリーンテーブルメモリ53の第3の実施の形態の構成を示している。図12の例は、図11に示した第2の実施の形態の構成から共通の変化テーブルTB11を省略し、各画素での出力変化領域の最小階調値と最大階調値だけからなる構成となっている。これにより、スクリーンテーブルメモリ53の容量を更に小さくすることが可能となる。階調データおよびそれに対応する駆動パルス幅データの変化分のデータは、例えば、図13に示すように、最小階調値および最大階調値と、それらに対応する駆動パルス幅データから直線補間近似により求められる。かかる演算によれば、少なくとも画素毎に異なる傾きの入出力特性を有するスクリーンテーブルを実現することができる。
【0049】
図14は、スクリーンテーブルメモリ53の第4の実施の形態の構成を示している。図14の例は、記憶させる駆動パルス幅データを減らすために、画素の階調データ“0”(または最小階調値)に“X0”を対応させ、画素の階調データ“255”(または最大階調値)に“X7”を対応させて、それらの間を所定の間隔で7等分し、とびとびの(間欠的な)8つの階調データとそれに対応する駆動パルス幅データを記憶させるようにしたものである。記憶されている8つの階調データ以外の入力階調データに対応する駆動パルス幅データは、補間近似により求める。
【0050】
即ち、入力階調データに隣接する両側の階調値X0乃至X7に対応する駆動パルス幅データY0乃至Y7を読み出し、その2つの駆動パルス幅データから補間演算により、入力階調データに対応する駆動パルス幅データを求める。このとき、偶数番目の階調値に対応する駆動パルス幅データと奇数番目の階調値に対応する駆動パルス幅データが必要になるが、スクリーン処理部52が、偶数番目のデータと奇数番目のデータを同時に読み出すことができるように、図14の例では、偶数番目の階調値とそれに対応する駆動パルス幅データから構成される偶数テーブルTB20と、奇数番目の階調値とそれに対応する駆動パルス幅データから構成される奇数テーブルTB21を設けている。また、偶数テーブルTB20および奇数テーブルTB21における駆動パルス幅データY0乃至Y7は、それぞれ8ビットで構成されている。
【0051】
図15は、図14に示したスクリーンテーブル(偶数テーブルTB20および奇数テーブルTB21)の入出力特性の一例を示している。図15の入出力特性において、記憶されているデータ以外のデータは、前述した通り、補間近似により求める。例えば、階調データ“X2”と“X3”の中間の入力階調データ“X23”に対応する駆動パルス幅データ“Y23”は、直線補間によれば、次の(1)式で演算される。
【0052】
Y23=Y2+{(Y3−Y2)×(X23−X2)}/(X3−X2)…(1)
スクリーン処理部52は、上記(1)式を演算する場合に必要な駆動パルス幅データ“Y2”および“Y3”を、それぞれ、偶数テーブルTB20および奇数テーブルTB21から同時に読み出すことができる。これにより、メモリの読み出し時間を短くして、ハーフトーン処理の時間を短くすることが可能となる。尚、図15における直線補間近似は、スクリーンテーブルの入出力特性の立ち上がりが急激な領域ほど精度が良くなる。
【0053】
また、階調データX0乃至X7のそれぞれの間隔をdとすれば、階調データX0乃至X7のそれぞれの値は記憶させる必要がなくなるため、スクリーンテーブルメモリ53の容量を更に減らすことができる。例えば、“X2”,“X3”は、次の(2)、(3)式により求められる。
【0054】
X2=INT(X23/d)×d…(2)
X3=X2+d…(3)
ここで、INTは括弧内の少数点以下を切り捨てて、整数化することを表している。
【0055】
さらに、階調データX0乃至X7のそれぞれの間隔を2のべき乗(X3−X2=2n)とすれば、バイナリデータを演算する演算回路において、(1)、(2)式の割り算がシフト操作のみで行えるため、演算時間を短くすることが可能となる。
【0056】
図16は、電子写真システムの他の実施の形態の構成を示すブロック図である。図16の電子写真システムは、図1に示した電子写真システムのプリンタ2側の色変換機能とハーフトーン処理機能を、パーソナルコンピュータ81内のドライバ92に取り込み、実現したものである。ドライバ92は、パーソナルコンピュータ81に予めインストールされるコンピュータプログラムである。アプリケーションプログラム91、色変換部112、ハーフトーン処理部113、パルス幅変調部121、レーザドライバ131、およびレーザダイオード132のそれぞれの機能は、上記実施の形態例におけるアプリケーションプログラム11、色変換部31、ハーフトーン処理部32、パルス幅変調部33、レーザドライバ41、およびレーザダイオード42と同一である。
【0057】
図16のシステム例では、パーソナルコンピュータ81側にインストールされるドライバ92により、色変換処理とハーフトーン処理とが行われる。図1のシステム例では、色変換処理とハーフトーン処理とは、プリンタ2内のコントローラ21で行っていたが、図16のシステム例では、パーソナルコンピュータ81側で行う。プリンタ82の低価格化が要求される場合、コントローラ101の能力を下げて、パーソナルコンピュータ81にインストールされるドライバプログラムにより色変換処理とハーフトーン処理とを実現することが有効である。ドライバ92によりハーフトーン処理が実現される場合、上記ハーフトーン処理手順をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記録媒体が、パーソナルコンピュータ81に内蔵される。
【0058】
尚、上記処理を実行するコンピュータプログラムをユーザに提供する記録媒体には、磁気ディスク、CD-ROMなどの情報記録媒体の他、インターネット、ディジタル衛星などのネットワークによる伝送媒体も含まれる。
【0059】
また、本実施の形態において、補間演算は直線補間に限定されないで、例えば、近傍の値より2次近似曲線または3次近似曲線を求めて、補間演算しても良い。
【0060】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、スクリーンテーブルのデータ量を少なくするようにしたので、スクリーンテーブルメモリの容量をより小さくすることが可能となる。従って、スクリーンテーブルメモリのコストをより低く抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1のハーフトーン処理部32の構成例を示す図である。
【図3】スクリーン61を説明するための図である。
【図4】スクリーン61とパルス幅変調信号の関係を説明するための図である。
【図5】コントローラ21における処理を具体的に説明するための図である。
【図6】図5(B)のスクリーンテーブルの入出力特性の一例を示す図である。
【図7】スクリーンテーブルの入出力特性の一例を示す図である。
【図8】本発明を適用したスクリーンテーブルとその入出力特性の一例を示す図である。
【図9】コントローラ21の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】コントローラ21における処理を具体的に説明するための図である。
【図11】スクリーンテーブルメモリ53の第2の実施の形態の構成を示す図である。
【図12】スクリーンテーブルメモリ53の第3の実施の形態の構成を示す図である。
【図13】中間データを算出するための手法を説明するための図である。
【図14】スクリーンテーブルメモリ53の第4の実施の形態の構成を示す図である。
【図15】中間データを算出するための手法を説明するための図である。
【図16】電子写真システムの他の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 パーソナルコンピュータ
2 プリンタ
21 コントローラ
22 エンジン
31 色変換部
32 ハーフトーン処理部
33 パルス幅変調部
41 レーザドライバ
42 レーザダイオード
51 ページメモリ
52 スクリーン処理部
53 スクリーンテーブルメモリ(変換テーブル)
Claims (6)
- スクリーンを構成する複数の画素の各画素に付着するドットから形成される網点により階調を表現して画像を再生する電子写真装置であって、
各々特性が異なる複数個の、画素の入力階調値と画像再生情報とを対応付けた変換テーブルを記憶する手段、
前記スクリーンを構成する前記複数の画素の各々に対応する変換テーブルを前記複数個の前記変換テーブルから選択する手段、
画素の入力階調値に対し、前記画素に対応する前記記変換テーブルを参照して、画像再生情報を出力する手段、を持つハーフトーン処理部を有し、
前記各々特性が異なる複数個の前記変換テーブルは、各々、前記入力階調値のデータ変化に対して前記画像再生情報が変化する領域の、前記入力階調値のデータと画像再生情報との対応で構成される、ことを特徴とする電子写真装置。 - 前記変換テーブルは、前記入力階調値のデータの変化に対して前記画像再生情報が変化する領域の最小階調値および最大階調値を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置。
- 前記変換テーブルは、更に前記最小階調値と前記最大階調値の間の前記入力階調値のデータに対応する画像再生情報を有することを特徴とする請求項2に記載の電子写真装置。
- 前記変換テーブルは、前記最小階調値と前記最大階調値の間の前記入力階調値のデータに対応する画像再生情報を複数の画素で共通に設けることを特徴とする請求項2に記載の電子写真装置。
- スクリーンを構成する複数の画素の各画素に付着するドットから形成される網点により階調を表現して画像を再生する電子写真の画像処理方法であって、
各々特性が異なる複数個の、画素の入力階調値と画像再生情報とを対応付けた変換テーブルを記憶する手段から、前記スクリーンを構成する前記複数の画素の各々に対応する変換テーブルを前記複数個の前記変換テーブルから選択するステップ、
画素の入力階調値に対し、前記画素に対応する前記記変換テーブルを参照して、画像再生情報を出力するステップ、を持つハーフトーン処理ステップを有し、
前記各々特性が異なる複数個の前記変換テーブルは、各々、前記入力階調値のデータ変化に対して前記画像再生情報が変化する領域の、前記入力階調値のデータと画像再生情報の対応で構成される、ことを特徴とする電子写真装置の画像処理方法。 - スクリーンを構成する複数の画素の各画素に付着するドットから形成される網点により階調を表現して画像を再生する電子写真の画像処理手順をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体であって、
前記画像処理手順は、
各々特性が異なる複数個の、画素の入力階調値と画像再生情報とを対応付けた変換テーブルを記憶する手段から、前記スクリーンを構成する前記複数の画素の各々に対応する変換テーブルを前記複数個の前記変換テーブルから選択するステップ、
画素の入力階調値に対し、前記画素に対応する前記記変換テーブルを参照して、画像再生情報を出力するステップ、を持つハーフトーン処理ステップを有し、
前記各々特性が異なる複数個の前記変換テーブルは、各々、前記入力階調値のデータ変化に対して前記画像再生情報が変化する領域の、前記入力階調値のデータと画像再生情報の対応で構成される、ことを特徴とする画像処理プログラムを記録した記録媒体。
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