本発明では、エッジ領域の画像データに対してエッジ補正を行う場合に、中間調処理後の画像データの階調数を、エッジ補正を行わない場合の中間調処理後の画像データの階調数未満とするように中間調処理を行い、中間調処理後の画像データにおける空き階調を用いてエッジ補正を行う。尚本実施形態における中間調処理後の画像データの階調数とは、中間調処理における量子化数である。
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
本実施形態の画像形成装置100は、例えばパーソナルコンピュータ(以下、PC)200とネットワーク等を介して接続されており、PC200から送信された画像データを印刷する。
本実施形態の画像形成装置100は、外部インターフェイス(I/F)装置110、CPU(Central Processing Unit)120、画像処理装置130、主記憶装置140、補助記憶装置150、プロッタ制御装置160、プロッタ装置170、ドライバ装置180を有する。
CPU120は、画像形成装置100の全体制御を行う。主記憶装置140は、CPU120が画像形成装置100の制御を行う際に、例えばプログラムや中間処理データを一時的に記憶するためなどに使用される揮発性メモリである。補助記憶装置150は、例えばCPU120が画像形成装置100の制御を行う際のプログラム等が格納されるメモリである。
画像処理装置130は、画像形成装置100に入力された画像データをプロッタ装置170へ渡すCMYKの画像データへ変換する。本実施形態では、CMYK各色の1ページ分の画像データが主記憶装置140に記憶されても良い。画像処理装置130の詳細は後述する。
プロッタ制御装置160は、主記憶装置140に記憶されたCMYKの画像データを受け取り、レーザダイオード(以下、LD)の露光量に相当する信号(以下、LD書き込み値と呼ぶ。)に変換し、プロッタ装置170に送る。本実施形態のプロッタ制御装置160は、例えば画像形成装置100が複数ラインの露光を同時に行うマルチビーム書き込み方式の構成である場合には、ビーム数と同数のラインデータを同時に処理してプロッタ装置170へ送る。
プロッタ装置170は、LD書き込み値に基づいたLDによる露光を行い、その後、現像、転写、定着を行って、出力用紙上に画像を形成する。
外部I/F装置110は、イーサネット(登録商標)や無線LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続され、画像形成装置100と、PC200等の外部装置との通信を可能とする。ドライバ装置180は、例えば記録媒体190に格納されたプログラムを画像形成装置100へインストールする。
本実施形態の画像処理プログラムは、画像形成装置100を動作させるプログラムの一部である。この画像処理プログラムは、例えば画像形成装置100で読み取り可能な記録媒体190に格納されており、ドライバ装置180により記録媒体190から読み込まれて補助記憶装置150に格納されても良い。尚本実施形態の画像形成装置100は、図示しないスキャナ装置とスキャナ制御装置とを有する構成であっても良い。
記録媒体190には、磁気記録媒体、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記録媒体には、HDD(Hard Disk Drive)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)などがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。また、光磁気記録媒体には、MO(Magneto − Optical disk)などがある。画像処理プログラムを流通させる場合には、例えば画像処理プログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型の記録媒体190を販売することが考えられる。
画像処理プログラムを実行する画像形成装置100は、例えばドライバ装置180が画像処理プログラムを記録した記録媒体190から画像処理プログラムを読み出す。CPU120は、読み出された画像処理プログラムを主記憶装置140若しくは補助記憶装置150に格納する。
そして画像形成装置100は、自己の記憶装置である主記憶装置140若しくは補助記憶装置140から画像処理プログラムを読み取り、画像処理プログラムに従った処理を実行する。
次に図2を参照して本実施形態の画像処理装置130の機能構成を説明する。図2は、第一の実施形態の画像処理装置の機能構成を説明する図である。
本実施形態の画像処理装置130は、色変換部131、γ補正部132、エッジ検出部133、ディザ処理部134、エッジ補正部135を有する。
本実施形態の色変換部131は、入力されたRGBの画像データを、ルックアップテーブル(LUT,Look Up Table)等を用いてプロッタ装置170の色再現特性に合わせたCMYK各色8bitの画像データに変換する。γ補正部132は、出力画像の階調特性を調整するためにCMYK色毎に一次元のLUT変換を行う。エッジ検出部133は、色変換部131による色変換後のCMYKの画像データに対して、後述する方法によりエッジ領域か否かを画素毎に判定する。
ディザ処理部134は、CMYK各色の8bitの画像データを所定の階調数の画像データに変換する中間調処理(以下、ディザ処理)を行う。エッジ補正部135は、ディザ処理部133によるディザ処理後のCMYKの画像データのうち、エッジ検出部133でエッジ領域と判定された画素に対して画素値の補正を行う。本実施形態では、ディザ処理部134の処理とエッジ補正部135の処理とに特徴を有する。ディザ処理部134とエッジ補正部135の処理の詳細は後述する。
以下に図3を参照して本実施形態のエッジ検出部133によるエッジ検出について説明する。図3は、エッジ検出部によるエッジ検出を説明する図である。
本実施形態のエッジ検出部133は、図3の(a)〜(d)に示す4つの5×5画素のエッジ検出フィルタを用いて行う。エッジ検出部133は、色変換後のCMYKの画像データから、エッジ検出フィルタにより各画素のエッジ量を算出する。ここで、エッジ量をedge_i(iはCMYKの何れか)とすると、edge_iが所定閾値以上のとき、その画素をエッジ領域と判定する。この5×5画素のエッジ検出フィルタでは、エッジ境界から2画素幅のエッジを検出する。尚エッジの検出方法はこのエッジ検出フィルタを用いる方法に限らず、パターンマッチングによる方法など、他の公知の方法を用いることが可能である。
次に本実施形態のディザ処理部134とエッジ補正部135の詳細について説明する。
本実施形態のディザ処理部134とエッジ補正部135は、画像形成装置100における画像データの出力モードに基づき、エッジ補正を行う。
図4は、第一の実施形態のディザ処理部の機能構成を説明する図である。本実施形態のディザ処理部134は、画像データの出力モードに基づき、画像データを設定された階調数とするディザ処理を行う。具体的には本実施形態のディザ処理部134は、エッジ補正を行うと判断された場合、画像データの階調数を、エッジ補正を行わないと判断された場合の階調数未満となるように、ディザ処理を行う。
本実施形態のディザ処理部134は、モード判別部1341、階調数割当部1342、割当値記憶部1343、処理実行部1344を有する。
モード判別部1341は、画像データの出力モードを判別し、エッジ補正を行うか否かを判断する。階調数割当部1342は、割当値記憶部1343に記憶されたディザ処理における画像データの階調数を設定する。階調数割当部1342の詳細は後述する。割当値記憶部1343は、階調数の値が格納されている。本実施形態の割当値記憶部1343に格納された階調数の値は、ディザ処理後の画像データの階調数の値である。処理実行部1344は、階調数割当部1342により設定された階調数となるように画像データに対してディザ処理を実行する。
本実施形態では、階調数割当部1342は、モード判別部1341によりエッジ補正無しと判断された場合、処理実行部1344に対して出力ビット数と対応する階調数を設定する。
階調数とは、黒値と白値との間が何段階の中間色で表現されるかを示す値である。出力ビット数とは、階調数分の色を表現するのに必要なビット数のことであり、ディザ処理部134の仕様により決められる。例えば出力ビット数が2ビットの場合、2ビットにより表現可能な階調数の値は4である。よってこの場合階調数割当部1342は、処理実行部1344に対して階調数4を設定する。処理実行部1344は、設定に基づきディザ処理後の画像データを4階調の画像データとする。
また階調数割当部1342は、モード判別部1341によりエッジ補正有りと判断された場合、エッジ補正無しと判断された場合の階調数未満となるように、処理実行部1344に、階調数を設定する。例えば出力ビット数が2ビットの場合に、エッジ補正有りと判断された場合、本実施形態の階調数割当部1342は、処理実行部1344に対して階調数を4未満に設定する。設定される階調数は、予め割当値記憶部1343に記憶されている。
以下に図5を参照して本実施形態において割当値記憶部1343に設定された階調数について説明する。図5は、割当値記憶部に設定された階調数を説明する図である。
本実施形態の割当値記憶部1343には、画像データの出力モードと、処理実行部1344に設定される階調数とが対応付けられたテーブル50が格納されている。
本実施形態の画像形成装置100は、出力モードとして、例えば写真文書モードと一般文書モードとを有する。写真文書モードは、例えば画像データが写真である場合に最適な画質で印刷するモードである。画像形成装置100は、写真文書モードが選択されると、画像データを階調性の良い高品質な画像を出力する。一般文書モードは、例えば画像データが文字や線画等である場合に最適な画質で印刷するモードである。また画像形成装置100は、一般文書モードが選択されると、トナーを飛散させにいように少ないトナー消費量で画像を出力する。
尚本実施形態の出力モードは、印刷実行時にPC200のプリンタドライバで設定するものである。PC200において出力モードが設定されると、出力モードに関する設定情報が印刷データの一部として画像データと共に画像形成装置100へ送信される。
図5に示すテーブル50では、出力ビット数は2bitである。よって写真文書モードに対して、出力ビット数に対応した階調数の値4が対応付けられている。また一般文書モードに対して、深度に対応した階調数未満の階調数の値3が対応付けられている。
よってモード判別部1341が、出力モードを写真文書モードと判別した場合、処理実行部1344はディザ処理後の画像データの階調数が出力ビット数と対応する階調数(4値)となるようにディザ処理を行う。またモード判別部1341が出力モードを一般文書モードと判別した場合、処理実行部1344はディザ処理後の画像データの階調数が出力ビット数と対応する階調数未満の階調数(3値)となるようにディザ処理を行う。
次に図6を参照して本実施形態のディザ処理部134の処理について説明する。図6は、第一の実施例のディザ処理部の処理を説明するフローチャートである。図6では、テーブル50を用いた場合の処理を説明する。
本実施形態のディザ処理部134は、γ補正部132から画像データが出力されると、モード判別部1341により画像データの出力モードを判別する(ステップS61)。尚出力モードは、CPU120により画像データに付加された出力モードに関する設定情報から判定される。この判定結果は、画像処理装置130の各処理部へ供給される。
ステップS61においてモード判別部1341は、出力モードに基づきエッジ補正を行うか否かを判断する(ステップS62)。ステップS62において、モード判別部1341は、出力モードが写真文書モードであった場合はエッジ補正無しとし、ステップS63へ進む、また出力モードが一般文書モードであった場合はエッジ補正有りとし、ステップS64へ進む。
ステップS62においてエッジ補正無しと判断されると、階調数割当部1342は、階調数記憶部1343に格納されたテーブル50を参照し、出力モードと対応した階調数4を処理実行部1344に設定し(ステップS63)、ステップS65へ進む。
ステップS62においてエッジ補正有りと判断されると、階調数割当部1342は、は、階調数記憶部1343に格納されたテーブル50を参照し、出力モードと対応した階調数3を処理実行部1344に設定し(ステップS64)、ステップS65へ進む。
続いてディザ処理部134は、処理実行部1344により、設定された階調数に従ってディザ処理を行う(ステップS65)。
以下に図7、図8を参照して階調数割当部1342による階調数の割り当てを説明する。図7は、第一の実施形態の階調数割当部の処理を説明する第一の図であり、図8は、第一の実施形態の階調数の割り当てを説明する第二の図である。
図7は、処理実行部1344に出力ビット数に対応した階調数4が設定された場合を示している。図7では、4値に対応する画素値を00b、01b、10b、11bとした。各画素値はドットの大きさを示しており、00bはドットなし、01bは1/3ドット、10bは2/3ドット、11bはフルドットを意味する。すなわち画素値01bは画素値11bに対して1/3の大きさのドットであり、画素値10bは画素値11bに対して2/3の大きさのドットとなる。この画素値は、LD書き込み値と対応する値である。
本実施形態では、プロッタ制御装置160が画素値をLD書き込み値に変換し、プロッタ装置170へ出力する。プロッタ装置170は、LD書き込み値に基づいたレーザビームによる露光を行い、その後、現像、転写、定着を行って、出力用紙上に画像を形成する。プロッタ制御装置160の処理の詳細は後述する。
図8は、処理実行部1344に出力ビット数に対応した階調数未満の階調数3が設定された場合を示している。図8では、3値に対応する画素値を00b、01b、11bとした。各画素値はドットの大きさを示しており、00bはドットなし、01bは1/2ドット、11bはフルドットを意味する。画素値01bは画素値11bに対して1/2の大きさのドットとなる。
すなわち図8では、出力ビット数に対応した階調数に対して、未使用の空き階調Lが生じる。空き階Lは、画像データの表現に使用されていない階調を示す。
本実施形態では、エッジ補正無しと判断された場合に設定される階調数をN(Nは自然数)とし、エッジ補正有りと判断された場合に設定される階調数をM(Mは自然数)とした場合、N−Mで表される。
本実施形態では、この空き階調Lを用いてエッジ補正を行う。この構成により、画像データの容量を増加させずにエッジ補正を行うことができる。よって主記憶装置140の容量を増加させる必要がなく、主記憶装置140の容量増加に係るコストアップも防ぐことができる。
以下に本実施形態のエッジ補正部135について説明する。図9は、第一の実施形態のエッジ補正部の機能構成を説明する図である。
本実施形態のエッジ補正部135は、補正有無判断部1351、領域判定部1352、画素値割当部1353、画素値記憶部1354、補正部1355を有する。
補正有無判断部1351は、ディザ処理部134から入力された画像データが、エッジ補正の対象となる画像データであるか否かを判断する。尚補正有無判断部1351は、CPU120から供給される出力モードの判定結果に基づきエッジ補正の有無を判定しても良い。
領域判定部1352は、画像データの各画素がエッジ検出部133により検出されたエッジ領域に含まれるか否かを判定する。尚本実施形態のエッジ検出部133は、検出したエッジ領域を示す信号をエッジ補正部135へ出力するものとした。領域判定部1352は、この信号に基づき、各画素がエッジ領域に含まれるか否かを判定する。
画素値割当部1353は、ディザ処理部134から出力された画像データにおける空き階調Lに、画素値記憶部1354に記憶された補正用画素値を割り当てる。画素値記憶部1354は、空き階調Lに割り当てる補正用画素値が記憶されている。尚本実施形態では、画素値記憶部1354に補正用画素値が予め格納されていても良い。
補正部1355は、画像データのエッジ補正を行う。具体的には補正部1355は、エッジ領域に含まれると判定され、且つフルドットの画素に対し、画素値を補正用画素値に置き換える。
以下に図10を参照して画素値割当部1353の処理を説明する。図10は、第一の実施形態の画素値割当部の処理を説明する図である。
図10では、2ビット4値の画像データを3値の画像データとなるようディザ処理を行い、空き階調Lに補正用画素値を割り当てた場合を示している。本実施形態では、空き階調Lに割り当てられた補正用画素値を用いてエッジ補正を行う。本実施形態では、補正用画素値は、ドットサイズがフルドットよりも小さくなるように設定されていることが好ましい。
以下に図11を参照して補正部1355によるエッジ補正を説明する。図11は、第一の実施形態のエッジ補正を説明するフローチャートである。
本実施形態のエッジ補正部135において、補正有無判断部1351は、エッジ補正を行うか否かを判断する(ステップS1101)。ステップS1101においてエッジ補正無しと判断された場合、エッジ補正部135は画像データをそのまま出力し、処理を終了する。
ステップS1101においてエッジ補正有りと判断されると、領域判定部1352は、画像データの画素毎に、エッジ領域に含まれるか否かを判断する(ステップS1102)。ステップS1102において、該当画素がエッジ領域に含まれない場合、エッジ補正部135は処理を終了する。ステップS1102においてエッジ領域に含まれる場合、補正部1355は、該当画素の画素値がフルドットを示す画素値であるか否かを判断する(ステップS1103)。ステップS1103において、該当画素の画素値がフルドットを示す値でない場合、エッジ補正部135は処理を終了する。
ステップS1103において該当画素の画素値がフルドットを示す値である場合、補正部1355は、該当画素の画素値を空き階調Lに割り当てられた補正用画素値に置き換える(ステップS1104)。具体的には補正部1355は、ステップS1103において該当画素の画素値が11bであった場合に、この画素値を空き階調Lに割り当てられた補正用画素値10bに置き換える。
以上のように本実施形態では、エッジ補正部135は、エッジ領域に含まれるフルドットの画素について、該当画素のドットが小さくなるように画素値を補正用画素値へ置き換える補正を行う。よってエッジ補正部135から出力される画像データは、補正用画素値に対応したエッジ補正ドットを含む4値の画像データとなる。
エッジ補正部135から出力される画像データの画素毎の画素値は、プロッタ制御装置160によりLD書き込み値に変換されてプロッタ装置170へ出力される。
以下に本実施形態のプロッタ制御装置160における画素値の変換について説明する。本実施形態のプロッタ制御装置160は、画素値とLD書き込み値とを対応させた変換テーブルを参照し、画素値をLD書き込み値へ変換する。
図12は、第一の実施形態の変換テーブルの一例を示す図である。図12(A)はエッジ補正を行わない場合に用いられる変換テーブル121を示し、図12(B)はエッジ補正を行った場合に用いられる変換テーブル122を示す。尚図12の例では、LD書き込み値を6ビット(0〜63)の信号とした。
本実施形態において、変換テーブル121、122は、例えばプロッタ制御装置160の有する図示しない記憶装置に記憶されていても良い。また変換テーブル121、122は、主記憶装置140又は補助記憶装置150に記憶されていても良い。
図12(A)に示す変換テーブル121では、2ビットで4値の画素値に、LD書き込み値の6ビット(0〜63)を均等に4分割した4段階の値を対応させている。
具体的には、フルドットを示す画素値11bに対応するLD書き込み値を63とした。この場合2/3ドットを示す画素値10bに対応するLD書き込み値は、フルドットのLD書き込み値63の2/3の値である42に設定した。また1/3ドットを示す画素値01bに対応するLD書き込み値は、フルドットのLD書き込み値63の1/3の値である21に設定した。またドットOFFを示す画素値00bに対して書き込みを行わないため、LD書き込み値は0とした。
プロッタ制御装置160は、エッジ補正が行われていない場合には、変換テーブル121を参照し、画素値をLD書き込み値に変換してプロッタ装置170へ渡す。プロッタ装置170は、入力されたLD書き込み値に応じてLDを露光させ、画像データの書き込みを行う。
尚各画素値に対応するLD書き込み値は、図12に示す例に限定されない。本実施形態のLD書き込み値は、形成されるドットの大きさを考慮し後述する実験的に決められた値であっても良い。
図12(B)に示す変換テーブル122では、2ビットで3値の画素値と、3値の画素値に対応するLD書き込み値とが記憶されている。また変換テーブル122には、補正用画素値と、この補正用画素値に対応するLD書き込み値が含まれる。
変換テーブル122では、フルドットを示す画素値11bに対応するLD書き込み値を63とし、1/2ドットを示す画素値01bに対応するLD書き込み値をフルドットのLD書き込み値63のほぼ1/2の値である32に設定した。またドットOFFを示す画素値00bに対して書き込みを行わないため、LD書き込み値は0とした。そして補正用画素値を示す10bに対応するLD書き込み値を50とした。
変換テーブル122においても、画素値に対応するLD書き込み値は、形成されるドットの大きさを考慮し実験的に決められた値であっても良い。
具体的には、フルドット、2/3ドットなどについては、例えば拡大鏡等を用いた目視により、記録紙等に形成されたドットの大きさを確認する実験を行い、この実験結果により各ドットのLD書き込み値を決めても良い。またエッジ補正ドットについては、所定幅の線画に付着した単位面積当たりのトナー量と、十分大きなサイズのパッチ画像に付着した単位面積当たりのトナー量を測定する実験を行い、そのトナー量がほぼ同等になるようにエッジ補正ドットのLD書き込み値を決めても良い。
以下に図13、図14を参照してLD書き込み値による画像の書き込みについて説明する。図13は、LDによる露光を概念的に示した図である。
プロッタ装置170におけるLDの露光量は、プロッタ制御装置160から出力されるLD書き込み値に従う。図13では、LDの露光量は、LDを点灯させる制御信号のパルス幅変により制御される。例えば図13では、各画素が(LD書き込み値)/63の幅で露光される。例えばLD書き込み値が0のとき、LDは点灯しないため露光されず、LD書き込み値63のとき、LDは1画素幅に相当するパルス幅の制御信号により点灯される。またLD書き込み値32のとき、LDは1画素幅のほぼ1/2に相当するパルス幅の制御信号により点灯される。
このように本実施形態のプロッタ装置170のLDの露光量は、LD書き込み値に応じたパルス幅の制御信号によりLD書き込み値に対応した量となる。
図14は、第一の実施形態のLD書き込み値の例を示す図である。図14では、8画素幅の線画に対するLD書き込み値を示しており、図14(A)はエッジ補正無しの場合、図14(B)はエッジ補正有りの場合を示している。
図14(A)では、8画素幅の全てでLD書き込み値がフルドットに対応する63となる。図14(B)では、両端の2画素がエッジ領域として検出された場合である。両端の2画素がエッジ領域に含まれ、且つ画素値がフルドットである場合、この2画素の画素値は、エッジ補正部135により補正画素値に置き換えられている。変換テーブル122によれば、補正用画素値に対応するLD書き込み値は50である。
よって図14(B)に示すように、エッジ領域である両端の2画素は、フルドットの画素値に対応したLD書き込み値による露光量よりも露光量が小さくなり、エッジ領域にトナーが過度に付着することを防止することができる。
尚本実施形態では、エッジ補正無しと判断された場合には、ディザ処理部134の出力ビット数に対応した階調値となるように画像データにディザ処理を施すものとして説明したが、これに限定されない。本実施形態のディザ処理部134は、エッジ補正有りと判断された場合のディザ処理後の画像データの階調数が、エッジ補正無しと判断された場合のディザ処理後の画像データの階調数未満となれば良い。具体的には例えばディザ処理部134の出力ビット数が2ビットであった場合に、エッジ補正無しと判断された場合に処理実行部1344に設定される階調数は3であっても良い。この場合エッジ補正有りと判断された場合に処理実行部1344に設定される階調数は3未満の値とすれば、空き階調Lが発生し、この空き階調Lを用いてエッジ補正を行うことができる。
また本実施形態では、画素値に対応するLD書き込み値を変更可能であっても良い。例えば変換テーブル122における補正用画素値に対応したLD書き込み値は、画像形成装置100の経年劣化に基づき変更されても良い。具体的には例えば、画像形成装置100の主記憶装置140等に初期の工場出荷時の日時等を記憶しておき、所定の年数が経過したら、変換テーブル122の補正用画素値に対応したLD書き込み値を変更するようにしても良い。この場合、主記憶装置140等に補正用画素値に対応したLD書き込み値の候補が複数記憶されており、候補から画像形成装置100の装置状態に応じて変更後のLD書き込み値が選択されても良い。
また本実施形態では、例えばユーザがLD書き込み値を選択しても良い。この場合画像形成装置100は、主記憶装置140等に記憶された複数のLD書き込み値の候補を操作パル等に表示させ、ユーザに選択された値を変換テーブル122の補正用画素値に対応するLD書き込み値として格納しても良い。
以上に説明したように、本実施形態では、ディザ処理後の空き階調に補正用画素値を割り当て、エッジ領域に含まれる画素であり且つフルドットを示す画素値を有する画素について、画素値を補正用画素値に置き換える。言い換えれば、本実施形態は、画像データの出力モードに応じて、画像データを表現するある階調にディザ処理後の画像データを表現する画素値又はエッジ補正に用いられる画素値の何れか一方を割り当てるものである。
本実施形態では、この構成により、画像データの容量を増やすことなくエッジ補正を行うことができ、簡素な構成でエッジ部分のトナー付着量を制御することができる。
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、エッジ領域において2段階の補正を行う点が第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
本実施形態では、エッジ領域をエッジ領域1とエッジ領域2とに分けて検出し、それぞれのエッジ領域に対応したエッジ補正を行う。
図15は、第二の実施形態のエッジ領域の検出を説明する図である。本実施形態のエッジ検出部133において算出されるエッジ量edge_iは、検出対象の画素がエッジ境界Sから1画素目に位置するときの方が、エッジ境界Sから2画素目に位置するときよりも大きい値となる。
したがって本実施形態では、エッジ検出部133において、エッジ境界Sから1画素目か否かを判定するための閾値th1と、エッジ境界から2画素目であるか否かを判定するための閾値th2とを設定した。尚閾値th1>閾値th2である。
本実施形態のエッジ検出部133は、エッジ量edge_iが閾値th1以上の画素を、エッジ境界Sに近いエッジ領域1内の画素と判断する。またエッジ検出部133は、エッジ量edge_iが閾値th1未満且つ閾値th2以上の画素を、エッジ境界Sから1画素分離れたエッジ領域2内の画素と判断する。
図16は、第二の実施形態の階調数割当部の処理を説明する図である。
本実施形態のディザ処理部134では、モード判定部1341により出力モードが一般文書モードであると判定された場合、階調割当部1342は階調数を3値として処理実行部1344へ設定する。すなわち本実施形態では、1段階の空き階調L1が生じる。尚図16では、3値に対応する画素値を00b、01b、11bとした。各画素値はドットの大きさを示しており、00bはドットなし、01bはフルドットに対して1/2の大きさの1/2ドット、11bはフルドットである。
本実施形態のエッジ補正部135は、空き階調L1に1値の補正用画素値を割り当て、この補正用画素値を用いてエッジ補正を行う。また本実施形態では、1/2ドットに対応する画素値を補正用画素値として用いる。具体的には本実施形態では、空き階調L1に割り当てられた補正用画素値をエッジ領域2における補正用画素値とし、1/2ドットに対応する画素値をエッジ領域1における補正用画素値として用いることで、エッジ領域において2段階の補正を行う。
図17は、第二の実施形態の画素値割当部の処理を説明する図である。図17では、ディザ処理部134において階調数3が設定された際の空き階調L1に、補正用画素値が割り当てられた場合を示している。本実施形態では、空き階調L1にエッジ補正ドット1に対応する画素値10bが割り当てられている。
本実施形態において、エッジ補正ドット1に対応する画素値10bは、エッジ領域2に対応する補正用画素値である。また本実施形態では、1/2ドットに対応した画素値01bはエッジ領域1のエッジ補正に用いる画素値である。
エッジ領域2に対応する補正用画素値は、エッジ領域1に対応する補正用画素値(1/2ドットに対応した画素値)に比べてLDの露光量を大きくするように設定されていることが好ましい。また空き階調L1に割り当てられる補正用画素値は、画素値記憶部1354に記憶されていることが好ましい。
以下に図18を参照して本実施形態のエッジ補正を説明する。図18は、第二の実施形態のエッジ補正を説明するフローチャートである。
ステップS1801の処理は、図11のステップS1101の処理と同様であるから説明を省略する。
続いて領域判定部1352は、画像データの画素毎に、エッジ領域1に含まれるか否かを判断する(ステップS1802)。ステップS1802においてエッジ領域1に含まれないと判断された場合、領域判定部1352は、判定対象の画素がエッジ領域2に含まれるか否かを判断する(ステップS1803)。
ステップS1803において、判定対象の画素がエッジ領域2に含まれない場合、エッジ補正部135は処理を終了する。
ステップS1802において判定対象の画素がエッジ領域1に含まれる場合、該当画素の画素値がフルドットを示す画素値であるか否かを判断する(ステップS1804)。ステップS1804において、該当画素の画素値がフルドットを示す値でない場合、エッジ補正部135は処理を終了する。ステップS1804において該当画素の画素値がフルドットを示す値である場合、補正部1355は、該当画素の画素値をエッジ領域1に対応する補正用画素値に置き換える(ステップS1805)。エッジ領域1に対応する補正用画素値とは、1/2ドットに対応した画素値である。
また補正部1335は、ステップS1803において判定対象の画素がエッジ領域2に含まれる場合、該当画素の画素値がフルドットを示す画素値であるか否かを判断する(ステップS1806)。ステップS1806において、該当画素の画素値がフルドットを示す値でない場合、エッジ補正部135は処理を終了する。ステップS1806において該当画素の画素値がフルドットを示す値である場合、補正部1355は、該当画素の画素値を画素値記憶部1354に記憶されたエッジ領域2に対応する補正用画素値に置き換える(ステップS1807)。
具体的には、本実施形態の補正部1335は、エッジ領域1に含まれる画素の画素値が11bである場合、この画素値を01bに置き換える。また本実施形態の補正部1335は、エッジ領域2に含まれる画素の画素値が11bである場合、この画素値を10bに置き換える。
このように本実施形態では、エッジ領域内で2段階の補正を行うことができる。
次に本実施形態のプロッタ制御装置160及びプロッタ装置170について説明する。図19は、第二の実施形態の変換テーブルの一例を示す図である。図19(A)はエッジ補正を行わない場合に用いられる変換テーブル191を示し、図19(B)はエッジ補正を行った場合に用いられる変換テーブル192を示す。
図19(A)に示す変換テーブル191では、2ビットで3値の画素値に、LD書き込み値の6ビット(0〜63)を3段階の値を対応させている。
図19(B)に示す変換テーブル192では、2ビットで4値の画素値に対応するLD書き込み値と記憶されている。この4値の画素値のうち、1値は補正用画素値である。またディザ処理後の階調数である3値のうち、1値は補正用画素値にも使用される。変換テーブル192では、フルドットを示す画素値11bに対応するLD書き込み値を63とし、エッジ領域1に対応した補正用画素値でもある1/2ドットを示す画素値01bに対応するLD書き込み値を32とした。またドットOFFを示す画素値00bに対して書き込みを行わないため、LD書き込み値は0とした。そしてエッジ領域2に対応した補正用画素値を示す01bのLD書き込み値を50とした。
図20は、第二の実施形態のLD書き込み値の例を示す図である。図20では、8画素幅の線画に対するLD書き込み値を示しており、図20(A)はエッジ補正無しの場合、図20(B)はエッジ補正有りの場合を示している。
図20(A)では、8画素幅の全てでLD書き込み値がフルドットに対応する63となる。図20(B)では、両端(エッジ境界)の1画素目の画素がエッジ領域1として検出され、両端から2画素目の画素がエッジ領域2として検出された場合である。
図20では、エッジ領域1の画素では、LD書き込み値は32であり、LDからの露光量はフルドットを形成するときの露光量のほぼ半分となる。またエッジ領域2の画素では、LD書き込み値は50であり、LDからの露光量はエッジ領域1の画素の露光量より大きくフルドットを形成するときの露光量より小さくなる。
よって本実施形態では、図20(B)に示すように、エッジ領域1とエッジ領域2とで2段階の補正を行うことができる。
以上に説明したように、エッジ領域において段階的なエッジ補正を行うことができ、簡素な構成でエッジ部分のトナー付着量をより高精度に制御することができる。
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、エッジ領域において2段階の補正を行う際のディザ処理後の空き階調数のみが第二の実施形態と相違する。よって以下の第三の実施形態の説明では、第二の実施形態と同様の機能構成を有するものには第二の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
本実施形態のディザ処理部134では、モード判定部1341により出力モードが一般文書モードであると判定された場合、階調割当部1342は階調数を2値として処理実行部1344へ設定する。すなわち本実施形態では、2段階の空き階調L1、L2が生じる。
図21は、第三の実施形態の階調数割当部の処理を説明する図である。
図21では、2値に対応する画素値を00b、11bとした。各画素値はドットの大きさを示しており、00bはドットなし、11bはフルドットである。
図22は、第三の実施形態の画素値割当部の処理を説明する図である。図22では、ディザ処理部134において階調数2が設定された際の空き階調L1、L2に補正用画素値が割り当てられた場合を示している。本実施形態では、空き階調L1にエッジ補正ドット1に対応する画素値が割り当てられており、空き階調L2にエッジ補正ドット2に対応する画素値が割り当てられており
本実施形態において、エッジ補正ドット1に対応する画素値は、エッジ領域2に対応する補正用画素値である。エッジ補正ドット2に対応する画素値は、エッジ領域1に対応する補正用画素値である。エッジ補正ドット2に対応する画素値は、エッジ補正ドット1に対応する画素値に比べてLDの露光量を大きくするように設定されていることが好ましい。また空き階調L1、L2に割り当てられる補正用画素値は、画素値記憶部1354に記憶されていることが好ましい。
図23は、第三の実施形態の変換テーブルの一例を示す図である。図23(A)はエッジ補正を行わない場合に用いられる変換テーブル231を示し、図23(B)はエッジ補正を行った場合に用いられる変換テーブル232を示す。
図23(A)に示す変換テーブル231では、2ビットで2値の画素値に、LD書き込み値の6ビット(0〜63)を2段階の値を対応させている。
図23(B)に示す変換テーブル232では、2ビットで4値の画素値に対応するLD書き込み値と記憶されている。この4値の画素値のうち、2値は補正用画素値である。変換テーブル232では、フルドットを示す画素値11bに対応するLD書き込み値を63とし、ドットOFFを示す画素値00bに対して書き込みを行わないため、LD書き込み値は0とした。そしてエッジ領域2に対応した補正用画素値を示す10bのLD書き込み値を50とし、エッジ領域1に対応した補正用画素値を画素値01bに対応するLD書き込み値32とした。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。