JP3985437B2 - 電子写真の画像形成装置及びその画像形成プログラム製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のドット画像からなる網点によってハーフトーン処理を行う電子写真の画像形成装置及びその画像形成プログラム製品に関し、特に、画素領域内の所望の位置に所望の面積の仮想ドットを形成することで画質を向上させることができる新規な画像形成装置及びその画像形成プログラム製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラープリンタやカラーコピー等で広く用いられているカラー電子写真装置は、感光体を露光して形成した潜像を、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)のトナーにより現像し、そのトナー像を紙などの支持体上に転写して、カラー画像を最終画像として再生する。感光体上の潜像の形成にレーザービームを利用するレーザービームプリンタは、レーザービームが走査される主走査方向と、支持体が送られる副走査方向とに沿って配置される画素領域毎に、レーザービームの駆動を制御して潜像を形成する。それらの中で特に、レーザービームを駆動するパルスの幅を変調するタイプのものでは、レーザービームの照射領域を画素領域内において種々変更することができ、単位面積当たりの画素数が少ない場合でも、より高解像度で且つより高い階調のカラー画像を再現することを可能にする。
【0003】
この様なパルス幅変調タイプのレーザービームプリンタにおいて、濃淡画像の階調再現の一手法として、多値ディザ法(Multi-level Dithering Method)を用いた網点ハーフトーニング法がある。この多値ディザ法によれば、入力信号である色毎の階調データに対して、画素領域内の仮想ドットのサイズと位置を決定付ける画像再生情報が記述された、ルックアップテーブルと称される変換テーブルを参照し、それぞれの画素領域内における仮想ドットの位置とサイズを決定する。このサイズとして、0と最大サイズの間の複数のレベルを設定することにより、各画素における出力が「多値」化される。
【0004】
ここでいう「仮想ドット」とは、最終画像上にトナーによるドット画像を形成すべく、レーザービームが駆動されて走査されている領域で定義され、その主走査方向の大きさはレーザービームが駆動されている時間とビームの走査速度の積であり、副走査方向の大きさは、画素領域の副走査方向の大きさに等しい。以下に示す理由により、仮想ドットは最終画像上の「ドット画像」とは形状が異なるため、ここでは区別して表記する。各画素領域の仮想ドット内ではレーザービームが駆動され、感光体上にレーザービームの照射領域が形成される。この照射領域は、レーザービームのサイズや駆動時の立上り立下り特性があるために、仮想ドットよりにじみ広がった形状となる。レーザービームの照射領域は、感光体上の潜像領域となり、トナーにより現像され、紙などの支持体上に転写され、最終画像上のドット画像を形成する。これらの過程の中でも、トナーが散るなどするために、ドット画像の形状は仮想ドットからさらに変化したものとなる。このように、ドット画像は仮想ドットから変化したものだが、この変化は電子写真プロセスで決定付けられているために、仮想ドットを制御することでドット画像を制御することができる。
【0005】
そして網点ハーフトーニング法では、単一の画素内のドット画像、あるいは複数の隣接する画素に亘るドット画像の塊からなる網点を形成し、その網点の大きさにより濃淡画像の階調を再現する。つまり、各画素の階調データの濃淡値が濃くなるに従い、仮想ドットが発生して、最終画像上での網点の成長核が生成され、更に階調データの濃淡値が濃くなると、仮想ドットの数及び面積が増大して、網点のサイズが次第に大きくなる。従って、この入力階調データの濃淡値の増大に対応した網点の成長方法は、網点の中心部(成長核近傍)の画素では仮想ドットの面積の成長が早く、網点の周辺の画素(成長核から離れた画素)では仮想ドット面積の成長が遅い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電子写真装置により形成される画像を高画質にするためには、画素領域内のドット画像の成長方法を最適化することが要請される。例えば多くの電子写真装置では、低い階調レベルでは各孤立した網点の面積を増大させ、中間の階調レベルでは隣接する網点をつなぎ合わせてスクリーン角方向に沿ったラインを形成し、その面積を増大させる成長方法が、高画質につながることが知られている。その理由の一つは、前述したように電子写真装置ではレーザービームなど光を用いて潜像を形成するため、網点潜像の周辺では潜像がぼやけており、そこに周囲の温度や湿度に依存する帯電特性を持つトナーを付着させることで現像を行うため、網点の周囲における現像の再現性が悪いので、従って、できるだけ網点をつなぎ合わせたラインにすることで網点の周囲長が短くなり、現像の再現性を高めることができるからである。従って、ラインにすることができない低い階調レベルでは離間した各網点の面積を増大させ、中間の階調レベル以上では、スクリーン角方向に配列された網点をつないでライン状にしてそのラインの面積を増大させることが行われる。
【0007】
そのような網点の成長方法を採用する場合、画素領域内に形成する仮想ドットは、階調レベルに応じてその面積を変えるだけでなく、階調レベルに応じてその位置(現像位置)を変えることも必要になる。
【0008】
しかしながら、従来の画像形成方法では、この画素領域内の仮想ドット面積に対応するレーザ駆動用パルス幅を変えることしか考慮されておらず、画素領域内の仮想ドット位置を変えることは考慮されていない。従って、上記の様な入力階調レベルに応じて、画素領域内の仮想ドットの位置を変化させることは行われていない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、画素領域内の仮想ドットの位置を制御してより高い画質の画像を形成することができる電子写真の画像形成方法及びその画像形成装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の別の目的は、入力階調レベルから仮想ドットを決定する画像再生情報への変換テーブルの容量を増大させることなく、画素領域内の仮想ドットの位置を柔軟に制御することができる電子写真の画像形成方法及びその画像形成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、それぞれ画素領域内に形成される複数のドット画像の集合からなる網点により、濃淡の階調を表現して画像を再生する電子写真の画像形成装置において、前記画像の濃淡の階調データと画像再生データとの対応を有する変換テーブルを参照して、前記画素毎に画像再生データを生成するハーフトーン処理部を有する。そして、前記変換テーブルは、階調データと画像再生データとの対応を有するルックアップテーブル群と、画像の所定領域の複数画素に対応付けられ参照すべき前記ルックアップテーブルを示すパターンマトリクスとを有し、前記ルックアップテーブルの画像再生データは、前記ドット画像に対応する仮想ドットの面積データと位置データとを有することを特徴とする。
【0012】
より好ましい実施の形態例では、少なくとも一つのルックアップテーブルの画像再生データは、階調レベルに応じて前記位置データが異なることを特徴とする。より好ましい実施例では、仮想ドットの位置データは、仮想ドットが階調レベルに応じて画素領域の左側か右側かの情報を示す。或いは、仮想ドットの位置データは、仮想ドットが階調レベルに応じて画素領域内のどの位置(左右だけでなく中間的な位置)にあるかの情報を示す。
【0013】
第1の側面による発明によれば、濃淡の階調レベルに応じて、仮想ドットの位置を所望の位置に変化させることができるので、高画質の画像を生成することができる。
【0014】
本発明の第2の側面では、それぞれ画素領域内に形成される複数のドット画像の集合からなる網点により、濃淡の階調を表現して画像を再生する電子写真の画像形成装置において、前記画像の濃淡の階調データと画像再生データとの対応を有する変換テーブルを参照して、前記画素毎に画像再生データを生成するハーフトーン処理部を有する。そして、前記変換テーブルは、階調データと、前記ドット画像に対応する仮想ドットの面積データを含む第1の画像再生データとの対応を有する第1のルックアップテーブル群と、階調データと、仮想ドットの位置データを含む第2の画像再生データとの対応を有する第2のルックアップテーブル群と、画像の所定領域の複数画素に対応付けられ参照すべき前記第1のルックアップテーブル及び前記第2のルックアップテーブルを示すパターンマトリクスとを有する。そして、前記第1及び第2のルックアップテーブルの数がパターンマトリクスの要素数より少ないことを特徴とする。
【0015】
上記の第2の側面による発明では、パターンマトリクスの全ての要素に対応する第1のルックアップテーブル群から、類似する仮想ドットの面積データを有する複数のテーブルをまとめて、本来必要とするテーブル数よりも少ないテーブル数にし、同様に、第2のルックアップテーブル群から、類似する仮想ドットの位置データを有する複数のテーブルをまとめて、本来必要とするテーブル数よりも少ないテーブル数にすることができ、従って、変換テーブルの総データ量を減らすことができる。従って、変換テーブルを構成するメモリ容量を増やすことなく、階調レベルに応じて変化する仮想ドットの位置データを変換テーブル内に持たせることができ、高画質の画像を生成することができる。
【0016】
上記の第1及び第2の側面によれば、ドット画像の塊からなる網点の成長を、階調レベルが低い領域ではそれぞれの網点を離間して成長させ、より高い領域ではスクリーン角方向の網点をつないだライン状に成長させることが簡単にできる。
【0017】
本発明の第3の側面では、それぞれ画素領域内に形成される複数のドット画像の集合からなる網点により、濃淡の階調を表現して画像を再生する電子写真の画像形成装置において、前記画像の濃淡の階調データと画像再生データとの対応を有する変換テーブルを参照して、前記画素毎に画像再生データを生成するハーフトーン処理部を有する。そして、前記変換テーブルは、階調データと画像再生データとの対応を有するルックアップテーブル群と、画像の所定領域の複数画素に対応付けられ参照すべき前記ルックアップテーブルを示すパターンマトリクスとを有し、当該パターンマトリクスは、参照すべきルックアップテーブルに加えて前記ドット画像に対応する仮想ドットの位置データを有することを特徴とする。
【0018】
第3の側面によれば、パターンマトリクスに参照すべきルックアップテーブルと仮想ドットの位置データを有するので、画素毎の位置情報をハーフトーン処理部の変換テーブルに含ませることができ、高画質の画像を再生することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
図1は、本実施の形態例における網点の例を示す図である。この例では、例えば600dpiのピッチで配置される画素領域D1〜D6内に、図中黒い領域で示された仮想ドットを形成することで、ドット画像の塊からなる一つの網点SPを生成する。この網点SPの形成を、画像再生データに基づいてパルス幅変調されたレーザビームを利用するタイプの、レーザービームプリンタの場合で説明する。
【0021】
画素領域D1では、領域内の右側の約1/4の領域に仮想ドットが存在し、それに対応する領域でレーザービームが照射される。レーザービームは、例えば画素領域の縦方向の直径を有し、図1中の横方向(主走査方向)に走査しながら、所望の領域に照射される。従って、画素領域D1の場合は、レーザビームを駆動する駆動パルスは、画素領域の右側の約1/4の領域に対応するタイミング(位置)と幅になる。タイミングを制御することで仮想ドットの位置を制御することができ、パルス幅を制御することで仮想ドットの面積を制御することができる。
【0022】
画素領域D2は、画素領域D1に隣接し、画素領域の左側の約1/10の領域に仮想ドットがある。それにより、隣接する画素領域D1の仮想ドットと結合して、所定幅の仮想ドットが実現される。さらに画素領域D3では、画素領域内全域に仮想ドットがある。また、それに隣接する画素領域D4には、左側約2/3の領域に仮想ドットがある。それにより、画素領域D3とD4の仮想ドットは結合した太い仮想ドットとなる。更に、同様にして、画素領域D5には右側に約半分の仮想ドットがあり、画素領域D6には左側の約1/4に仮想ドットがある。
【0023】
このような仮想ドットに基づきレーザービームが照射され、現像、転写を経て、ドット画像が形成される。図1に示された網点SPの場合、画素領域D1、D2に形成されるドット画像は、画素領域D5、D6に形成されるドット画像よりも細く、それぞれ隣接する画素領域D1、D2、画素領域D3、D4、及び画素領域D5、D6に形成されるドット画像は、いずれも各領域内で左側にずれている。その結果、画素領域D1~D6に形成される網点SPの重心位置(網点の中心)は、図中Xにより示される通り、画素領域D3〜D6の中心位置よりも少し左上の位置になる。また、画素領域D2内の仮想ドットを左側に位置させ、画素領域D5内の仮想ドットを右側に位置させることで、最終画像上の網点SPは、スクリーン角方向の上下に発生する網点とは離間する。従って、この画素領域D2、D5内の仮想ドットの位置を例えば中央、若しくは左側にずらすことで、上下に発生する網点と接続し、スクリーン角方向のラインが形成される。
【0024】
前述したように、ドット画像の形状は、図中黒く示された仮想ドットとは完全には一致せず、従って、それらの塊で構成される網点SPの形状は、図中破線で示した形状になる。或いは、上に述べたように仮想ドットの位置を画素領域内でずらすことで、隣接する網点と接続されたライン状の形状になる。従って、仮想ドットの位置を濃淡の階調レベルに応じて変化させることで、互いに離間した網点や互いに接続したライン状の網点を自在に形成することができる。
【0025】
図2は、本実施の形態例が適用される網点の成長方法の一例を示す図である。図2では、横方向に網点形状(図中(1))とそれに対応する仮想ドット(図中(2))が示され、縦方向に(A)低階調レベル、(B)中階調レベル、(C)高階調レベルが示されている。
【0026】
前述した通り、(A)濃淡の階調レベルが低い領域では、網点の中心領域の画素領域に仮想ドットが形成される。その結果、比較的小さい円形の網点SP1,SP2が離間して形成される。その場合、右側の網点SP2に対応する仮想ドットは、画素領域Daにて右側寄りに画素領域全体の1/3程度の領域になる。また、画素領域Db,Dcには仮想ドットは発生しない。
【0027】
(B)濃淡の階調レベルが中間の領域では、上記低階調レベルで発生した網点SP1,SP2を、面積を増大させると共にスクリーン角に沿った斜め方向に延びた楕円形状の網点SP3,SP4に成長させる。その為に、画素領域Daでは、低階調レベルで右側に仮想ドットが形成されていたのに対して、中階調レベルでは左側に位置を変更させている。これにより、網点SP4の形状を斜め楕円形状にすることができる。
【0028】
更に、(C)濃淡の階調レベルが高い領域では、上記中階調レベルで楕円形状だった網点SP3,SP4を、面積を増大させると共にスクリーン角方向につなぎ合わせて、ライン状に成長させる。その為に、画素領域Dc内は全て仮想ドット領域とし、画素領域Dbでは、中階調レベルで左側に仮想ドットが形成されていたのに対して、高階調レベルでは右側に位置を変更させている。これにより、2つの網点SP3,SP4をつなぎ合わせることができる。
【0029】
図2に示したように、階調レベルに応じて位置が異なるような仮想ドットの形成を行うことで、網点を、低階調レベルでは離間して成長させ、中階調レベルから高階調レベルではつなぎあわせて、ライン状に成長させることができる。従って、トナー付着を伴う現像を安定化させて、高画質の画像の形成を行うことができる。
【0030】
図3は、本実施の形態例の画像形成装置を有する電子写真印刷システムの概略構成図である。この例では、ホストコンピュータ50において、RGBそれぞれの階調データ(各8ビットで合計24ビット)からなる画像データ56が生成され、ページプリンタなどの電子写真装置60に与えられる。ページプリンタなどの電子写真装置60は、供給された画像データ56をもとにカラー画像を再現する。電子写真装置60内には、画像処理を行ってエンジンにレーザの駆動パルス69を供給するコントローラ62と、その駆動パルス69に従って画像の再生を行うエンジン70とを有する。
【0031】
ホストコンピュータ50において、ワードプロセッサや図形ツールなどのアプリケーションプログラム52により、文字データ、図形データ及びビットマップデータ等が生成される。これらのアプリケーションプログラム52により生成されたそれぞれのデータは、ホストコンピュータ50内にインストールされている電子写真装置用のドライバ80のラスタライズ機能54により、ラスタライズされ、画素毎のRGB各色の階調データからなる画像データ56に変換される。ここの例では、画像データ56は、RGBそれぞれ8ビット、256階調のデータで構成され、合計で24ビットのデータになっている。
【0032】
電子写真装置60内にも、図示しないマイクロプロセッサが内蔵され、そのマイクロプロセッサとインストールされている制御プログラムにより、色変換部64、ハーフトーン処理部66及びパルス幅変調部68等を含むコントローラ62が構成される。また、エンジン70は、例えばレーザドライバ72が、駆動データ69に基づいて、画像描画用のレーザダイオード74を駆動する。エンジン70には、感光ドラムや転写ベルト等とその駆動部が含まれるが、図3では省略されている。
【0033】
コントローラ62内の色変換部64は、供給された各画素毎のRGB階調データ56を、トナーの色であるCMYKの階調データ10に変換する。CMYKの階調データ10は、CMYKの各色プレーンについて画素毎の各色8ビットずつの階調データであり、最大で256階調を有する。ハーフトーン処理部66は、各色のプレーン毎に、画素に対応した階調データ10を供給される。
【0034】
ハーフトーン処理部66は、画素毎の階調データ10に対して、予め作成された階調データと画像再生情報との対応を有する変換テーブルを参照して、各画素に対する画像再生データ30を生成する。このハーフトーン処理部66は、前述の多値ディザ法を利用して、中間階調を表現する画像再生データ30を生成する画像形成装置である。図示しない変換テーブルは次の通りである。
【0035】
図4は、第1の実施の形態例における画像形成装置の変換テーブルの例を示す図である。この変換テーブルは、前述の通り、電子写真装置内のコントローラ内に設けられたハーフトーン処理部66内のメモリに格納される。図4(A)の画像データは、画素毎の各色の濃淡の階調データを有する。
【0036】
かかる画像データに対して、図4(B)のパターンマトリクスと図4(C)のルックアップテーブル群を有する変換テーブルが対応付けられる。パターンマトリクスは、この例では12×12のマトリクスからなり、パターンマトリクスの参照番号i(i=1〜144)に対するルックアップテーブルが、図4(C)のルックアップテーブル群内に格納される。そして、パターンマトリクスが、画像データの所定の画素に対応付けられる。例えば画像データの画素Pに対するパターンマトリクスの参照番号が27とすると、その画素Pは、ルックアップテーブル群内の参照番号27に対応するルックアップテーブルにより、その階調データに対する画像再生情報が決定される。すなわち、参照番号27に対応するルックアップテーブルを参照して、入力レベルである画像データの階調データに対する出力値である画像再生情報が読み出される。
【0037】
ルックアップテーブル群(C)中の各ルックアップテーブルは、入力レベル0〜255に対して、画像再生情報として、画素領域内に形成される仮想ドットの面積データPWと位置データPPとを有する。面積データPWは、ルックアップテーブル内に0〜255で示され、位置データはルックアップテーブル内に図中省略してPPで示される。位置データPPは、例えば、主走査方向に沿ってドット内のどの位置から仮想ドットが形成されるかを示すデータであり、具体的にはレーザ駆動パルスを画素領域中で右に寄せるか左に寄せるかを示すデータである。また、面積データPWは、例えば仮想ドットの幅を示すデータであり、具体的にはレーザ駆動パルスのパルス幅の画素領域幅に対する割合を8ビット(0〜255)に正規化したデータである。
【0038】
従って、画像処理装置であるハーフトーン処理部66は、ルックアップテーブルを参照して入力階調データに対応する面積データと位置データからなる画像再生情報(画像再生データ)30を出力する。この画像再生データ30に従って、パルス幅変調部68が画素領域内の仮想ドットに対応する駆動パルス69を生成し、エンジン70にレーザビームの主走査のタイミングと同期して駆動パルス69を出力する。
【0039】
図4に示した変換テーブルによれば、入力階調データの0〜255の各レベルに対しそれぞれに位置データPPと面積データPWが用意されるので、各画素領域内に形成する仮想ドットの位置と面積を、入力階調レベルに応じて自在に設定することができる。従って、図2に示したように、入力階調レベルに応じて、仮想ドットを右側に形成したり、左側に形成したり、所望の位置に形成したりすることが可能になる。
【0040】
図5は、入力階調レベルと出力の画像再生データの面積データPWとの関係を示す特性グラフの例である。この特性グラフは、入力階調データの0〜255の入力レベルに対して、どの程度の面積で画素領域にレーザービームを照射すべきかの面積データからなる出力をプロットしたものである。出力0は駆動パルス幅が0、出力255は駆動パルス幅が画素領域幅全幅に対応する。図中、特性グラフjは、入力レベルが低い段階で大きな値をとる面積データの例である。パターンマトリクス内で比較的低い階調レベルに対して成長する要素が参照するルックアップテーブルの面積データは、このような特性を持つ。特性グラフmは、入力レベルにほぼ比例する出力レベルを有する例であり、パターンマトリクス内で比較的中間の階調レベルに対して成長する要素が参照するルックアップテーブルに対応する。そして、特性グラフpは、入力レベルが低い段階では成長せず、入力レベルが比較的高い階調になって初めて成長する要素が参照するルックアップテーブルに対応する。
【0041】
図6は、入力階調レベルと出力の画像再生データの位置データPPとの対応関係を示すルックアップテーブルの特性グラフの例である。位置データPPが1ビットの場合、ルックアップテーブルの位置データPPは、図6(A)に示される通り、入力階調レベルに対して、画素領域の左側か(データ「1」)画素領域の右側か(データ「0」)のいずれかを示すデータになる。また、位置データPPが複数ビット、例えば6ビットの場合、ルックアップテーブルの位置データPPは、図6(B)に示される通り、入力階調レベルに対して、画素領域内の64種類の位置を示すデータになる。従って、画素領域内の仮想ドットの位置を、図示される通り順次変化させることができる。
【0042】
そして、図4の例では、12行×12列のパターンマトリクスに144種類のルックアップテーブルを対応付けているので、図5、図6に示した面積データ、位置データの特性も、それぞれ144種類ある。
【0043】
図7は、第2の実施の形態例におけるインデックス方式の変換テーブル例を示す図である。図4に示した第1の実施の形態例では、変換テーブルは、12×12のパターンマトリクスに対して、144種類のルックアップテーブルを有する。しかしながら、より高い画質の画像を形成するためには、より要素数が多いパターンマトリクスを利用することが要求される。パターンマトリクスを大きくすることで、スクリーン角を任意の角度に設定することができるなどの様々なメリットが見込まれるからである。
【0044】
その場合、パターンマトリクスの要素全てに対して1対1にルックアップテーブルを設定すると、ハーフトーン処理部66が有する変換テーブルのメモリ容量を膨大にする必要がある。通常、変換テーブルは、高速参照可能な高速半導体メモリ、例えばスタティックRAM(SRAM)が利用される。そのような大容量の高速半導体メモリは、コストダウンの弊害になる。
【0045】
そこで、第2の実施の形態例では、変換テーブルのデータ量を減らしながら、しかし、入力階調毎に異なる面積データと位置データを設定できるようにする。その為に、図7に示される通り、第2の実施の形態例では、インデックス方式の変換テーブルを利用する。
【0046】
インデックス方式の変換テーブルは、ルックアップテーブル群を、図7(C-1)に示される、階調データと仮想ドットの面積データとの対応を有する面積ルックアップテーブル群(第1のルックアップテーブル群)と、図7(C-2)に示される、階調データと仮想ドットの位置データとの対応を有する位置ルックアップテーブル群(第2のルックアップテーブル群)とに分ける。そして、変換テーブルは、更に、再生画像の所定領域の複数画素に対応付けられるパターンマトリクス(B)に加えて、参照すべき面積ルックアップテーブル及び位置ルックアップテーブルを示す面積及び位置インデックステーブル(D-1)(D-2)をそれぞれ有する。
【0047】
そして、面積ルックアップテーブル群(C1)中のルックアップテーブルの数は、パターンマトリクスの要素数144よりも少ない数にまとめられている。つまり、図5に示した144種類の特性をそれぞれに持つ面積ルックアップテーブル群のうち、類似する特性のルックアップテーブルをまとめて、全体のテーブル数を少なくしている。同様に、位置ルックアップテーブルの数も、パターンマトリクスの要素数144よりも少ない数にまとめられている。つまり、図6に示した特性を持つ位置データのルックアップテーブルのうち、類似する特性のルックアップテーブルをまとめて、全体のテーブル数を少なくしている。図7の例では、面積ルックアップテーブルは36種類、位置ルックアップテーブルは15種類になっている。
【0048】
従って、例えば、パターンマトリクス(B)内の要素27と36についてのルックアップテーブルは、面積インデックステーブル(D-1)を参照すると、同じ面積ルックアップテーブル17を示している。従って、要素27と36とは、同じ特性で仮想ドットの面積が設定される。一方、要素27と36とは、位置インデックステーブル(D-2)を参照すると、異なる位置ルックアップテーブル15,7を示している。しかし、要素1と2に対しては、面積インデックステーブル(D−1)を参照すると別々の面積ルックアップテーブルを示しているが、位置インデックステーブル(D-2)を参照すると、同じ位置ルックアップテーブル1を示している。
【0049】
このように、第2の実施の形態例では、ルックアップテーブルを面積ルックアップテーブルと位置ルックアップテーブルに分けて、パターンマトリクスとインデックステーブルを利用して、画素毎に参照すべきルックアップテーブルを、面積ルックアップテーブル数と位置ルックアップテーブル数の組み合わせにしている。つまり、要素27と36に対応する画素では、同じ面積ルックアップテーブルであっても異なる位置ルックアップテーブルを利用することになる。また、要素1と2に対応する画素では、同じ位置ルックアップテーブルであっても異なる面積ルックアップテーブルを利用することになる。従って、実質的に使用可能なルックアップテーブルは、位置及び面積ルックアップテーブルの組合せによって構成され、その種類は最大でそれぞれのテーブル数の乗算値にすることができる。
【0050】
図7において、面積インデックステーブル(D-1)と位置インデックステーブル(D-2)とを合体して、パターンマトリクス(B)の1〜144の要素について、面積及び位置ルックアップテーブルの組み合わせを示すようにしても良い。
【0051】
図8は、第2の実施の形態例におけるインデックス方式の変換テーブルの別の例を示す図である。この例では、図7のパターンマトリクスとインデックステーブルとを合体して表示したものである。つまり、面積パターンマトリクス(B-1)は、144個の要素に対して、面積ルックアップテーブル群(C-1)中のどのテーブルを参照すべきかの参照番号を有する。更に、位置パターンマトリクス(B-2)も、144個の要素に対して、位置ルックアップテーブル群(C-2)中どのテーブルを参照すべきかの参照番号を有する。図8の例でも、図7と同様に、同じ面積ルックアップテーブル27を参照する2つの要素に対して、異なる位置ルックアップテーブル15,7が参照される。また、同じ位置ルックアップテーブル1を参照する2つの要素に対して、異なる面積ルックアップテーブル1,2が参照される。
【0052】
図9は、インデックス方式のパターンマトリクスの具体例を示す図である。この例は、12×12のマトリクスの要素に対して参照すべきルックアップテーブルの番号を有する。つまり、図8の面積パターンマトリクス又は位置パターンマトリクスの例に該当する。図9に示される通り、144個の要素中の、複数の要素D1,1、D1,4、D2,7、D3,10、D7,12、D10,11にルックアップテーブル1が対応づけられる。
【0053】
図10は、成長した網点の例を示す図である。図9のパターンマトリクスが面積パターンマトリクスと仮定した場合の網点の例であり、要素D1,1、D1,4、D2,7、D3,10、D7,12、D10,11に対応する画素では同一の面積ルックアップテーブル1が対応付けられるので、同じ面積の仮想ドット(黒い部分)が形成されていることが示される。
【0054】
図11は、第3の実施の形態例における変換テーブル例を示す図である。この例では、パターンマトリクス(B)内に、対応する面積ルックアップテーブル番号と、仮想ドットの位置データPPとが格納される。従って、ルックアップテーブルとしては、。複数の面積ルックアップテーブルからなる面積ルックアップテーブル群(C)のみが設けられる。従って、第3の実施の形態例の変換テーブルの場合は、要素D1,1では、面積ルックアップテーブル1を参照し、但し、位置データはパターンマトリクス内の固定的なデータPPを使用するのみである。位置データPPはパターンマトリクスの各要素毎に独立に設定される。
【0055】
図12は、電子写真印刷システムの別の構成図である。このシステム構成例は、図3に示したシステム構成例の変形例である。図12のシステムでは、ホストコンピュータ50にインストールされているドライバ80が、ラスタライズ機能54、色変換機能64及びハーフトーン処理機能66とを有する。これらの各機能64,66は、図3に示した同じ引用番号の処理部と同等の機能を持つ。そして、ハーフトーン処理機能により生成された各色毎の画像再生データ(パルス幅データ及びパルス位置データ)30が、ページプリンタなどの電子写真装置60内に設けられたコントローラ62のパルス幅変調部68に供給され、所望の駆動データ(又は駆動パルス)69に変換され、エンジン70に与えられる。
【0056】
図12のシステム例では、ホストコンピュータ側にインストールされるドライバ80により、色変換処理とハーフトーン処理とが行われる。図3の例では、色変換処理とハーフトーン処理とは、電子写真装置内のコントローラで行っていたが、図12の例ではホストコンピュータ50側で行う。電子写真装置60の低価格化が要求される場合は、コントローラ62の能力を下げて価格を抑えることが要求される。その場合は、ホストコンピュータにインストールされるドライバプログラムにより、図3のコントローラが行っていた機能の一部である色変換処理とハーフトーン処理とを代わりに実現することが有効である。ドライバ80にてハーフトーン処理が実現される場合、上記したハーフトーン処理手順をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記憶媒体が、ホストコンピュータ50内に内蔵される。
【0057】
以上の実施の形態例において、ハーフトーン処理部の変換テーブルに、仮想ドットの面積に対応するパルス幅データのルックアップテーブルと、仮想ドットの位置に対応するパルス位置データのルックアップテーブルとをそれぞれ持つことにより、階調データに応じて任意の位置に任意の面積の表示ドットを形成することができる。従って、それを利用することで、ドット画像の塊で形成される網点を濃淡の階調レベルに応じて任意の形状、位置に形成することができる。
【0058】
例えば、図2に示したように、濃淡度が低い階調レベルでは丸い網点を成長させ、濃淡度が中から高い階調レベルではライン状に成長させることができ、高画質の画像を再生することができる。あるいは、網点の中心位置を仮想ドットの位置と面積により任意の位置にすることで、複数の網点の位置により画定されるスクリーン角を任意の角度にすることができ、モアレ模様の少ない高画質の画像を再生することも可能になる。
【0059】
以上、本発明についてレーザービームを利用したカラーの電子写真画像形成装置を例に取り述べてきたが、パルス幅の変調方向を副走査方向とし、「右」「左」といった位置を画像領域内での「上」「下」と読みかえることで、本発明はそのまま、LEDラインヘッドを利用した電子写真画像形成装置に適用可能である。また、本発明はモノクロの電子写真装置に適用することも可能で、画像形成にかかわる駆動系の送りむらや、環境変動、製造ばらつきなどの影響を軽減しつつ、高い階調再現能力と解像能力を両立した、高い品質の画像出力を得ることができることは言うまでもない。
【0060】
以上、本発明の保護範囲は、上記の実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物にまで及ぶものである。
【0061】
【発明の効果】
以上、本発明の画像形成装置及び方法によれば、濃淡度の階調レベルに応じて任意の位置に任意の面積の仮想ドットを画素領域内に形成することができる画像再生データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態例における網点の例を示す図である。
【図2】本実施の形態例が適用される網点の成長方法の一例を示す図である。
【図3】本実施の形態例の画像形成装置を有する電子写真印刷システムの概略構成図である。
【図4】第1の実施の形態例における画像形成装置の変換テーブルの例を示す図である。
【図5】入力階調レベルと出力の画像再生データの面積データとの関係を示すルックアップテーブルの例である。
【図6】入力階調レベルと出力の画像再生データの位置データとの関係を示すルックアップテーブルの例である。
【図7】第2の実施の形態例におけるインデックス方式の変換テーブル例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態例におけるインデックス方式の変換テーブルの別の例を示す図である。
【図9】インデックス方式のパターンマトリクスの具体例を示す図である。
【図10】成長した網点の例を示す図である。
【図11】第3の実施の形態例における変換テーブル例を示す図である。
【図12】電子写真印刷システムの別の構成図である。
【符号の説明】
60 電子写真装置
62 コントローラ
66 ハーフトーン処理部、画像形成装置
D 画素またはパターンマトリクスの要素
SP 網点
Claims (1)
- それぞれ画素内に形成される複数のドット画像の集合からなる網点により、濃淡の階調を表現して画像を再生する電子写真の画像形成装置において、
前記画像の濃淡の階調データと画像再生データとの対応を有する変換テーブルを参照して、前記画素毎に画像再生データを生成するハーフトーン処理部を有し、
前記変換テーブルは、前記階調データと画像再生データとの対応を有する複数のルックアップテーブルと、前記画像の所定領域の複数画素に対応付けられ参照すべき前記ルックアップテーブルを示すパターンマトリクスとを有し、当該パターンマトリクスは、参照すべきルックアップテーブルに加えて前記ドット画像に対応する仮想ドットの位置データを有することを特徴とすることを特徴とする画像形成装置。
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