JP3790864B2 - 研削・摩擦型精米機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投入口から供給された玄米を精白部において研削精米、摩擦精米を連続して行って精白し、糠を分離して白米を排出口から排出する精米工程を一工程で行うワンパス型の精米機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の精米機は、研削型と摩擦型があり、目的に合わせてそれらを組み合わせて使用している。炊飯して主食として食べる精米(白米)を高品質に仕上げるには、玄米をまず研削型精米機に通して表面を削り、次に摩擦型精米機で白米に仕上げる方法が一般的に採られている。これら研削型精米機及び摩擦型精米機は別々に作られており、それぞれ別々のモータにより駆動されている。従って、2台の精米機が必要であり、たとえ2台の精米機を1つの筐体に組み込んだとしても、駆動するモータは2台必要であり、部品点数が多くなり価格が高いものとなっている。また、研削型精米機の研削ロールは金剛砂を使用しているため製造上の制約が多く、精密な加工ができず、形も限定されていた。
【0003】
一方、同軸上に研削,摩擦の2つのロールを設けた提案(例えば特公平5−43420号公報、特開平11−267529号公報など)されているが、2つのロールに掛ける圧力の配分が難しく、実用化されていない。また、精白部の出口に設けられている加圧板によって過大な圧力が加えられた場合、研削ロール部を通過する穀粒にも過大な圧力が掛かり、この部分で固まって詰まってしまう現象が発生している。さらに、投入口からの穀粒の供給量が多すぎた場合にも研削ロール部を通過する穀粒に過大な圧力が掛かり、同様な問題が発生している。
【0004】
また、特開平9−173876号公報に、軸状に形成された精穀ロール10に、周面に沿った螺旋突条10aを形成すると共に、この精穀ロール10の周面の全体に、金属メッキ層を用いた電着によって、ダイヤモンド、サファイア、ジルコニア系セラミックス等の超硬砥粒aを固着する。そして、上記精穀ロール10を精穀筒25の内部で回転駆動し、螺旋突条10aにより穀粒を軸方向に搬送すると共に、搬送される穀粒の表面を砥粒aにより研削するようにした精穀機が提案されている。この精穀機においては、精穀ロール10が発熱するので、冷却手段としての給水装置31を設けるなど構造が複雑で大形となり、部品点数が多くなって価格が高いものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情にかんがみなされたもので、投入口から供給された玄米を精白部において精白し、糠を分離して白米を排出口から排出する精米工程を一工程で行うワンパス型の精米機であって、研削と摩擦の両精米機能を1本の軸上に構成し、この軸を1台のモータにより回転駆動するようにして構造を簡単にし、部品点数を少なくすることで価格の低廉化を図りながらも品質の高い精米作業を実施できるようにし、上記各問題点を解決するようにした研削・摩擦型精米機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、以下の構成を特徴としている。
A.投入口から供給された玄米を精白部において精白し、糠を分離して白米を排出口から排出する精米工程を一工程で行うワンパス型の精米機において、前記精白部には、投入口側から順に研削用スクリュー、研削ロール、摩擦用スクリュー、摩擦ロールを1本の回転軸上に連設し、該回転軸を1台のモータにより回転駆動すると共に、前記研削ロールの外周面に、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を多数固設し、さらに、前記研削用スクリューの送穀能力が前記摩擦用スクリューの送穀能力より低くなるように設定した。
B.前記研削用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙を、前記摩擦用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙より広くした。
C.投入口から供給された玄米を精白部において精白し、糠を分離して白米を排出口から排出する精米工程を一工程で行うワンパス型の精米機において、前記精白部には、投入口側から順に研削用スクリュー、研削ロール、摩擦用スクリュー、摩擦ロールを1本の回転軸上に連設し、該回転軸を1台のモータにより回転駆動すると共に、前記研削ロールの外周面に、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を多数固設し、さらに、前記研削用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙を、前記研削用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙を、前記摩擦用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙より広くした。
【0007】
【作用】
本願発明は上記A.〜.の構成により、次のような作用をする。
1.研削用スクリュー、研削ロール、摩擦用スクリュー、摩擦ロールを連設した回転軸を1台のモータにより回転駆動させ、投入口から供給された玄米を研削用スクリューにより研削ロールに送り、玄米の表面部分を研削する。次いで玄米は摩擦用スクリューにより摩擦ロールに送られ、外側の搗精網との間を移動しながら摩擦作用で糠が除去され、白米となって排出口から排出される。
2.研削用スクリューの送穀能力が摩擦用スクリューの送穀能力より低いことで、研削ロール部分を通過する穀粒は送穀能力の高い摩擦用スクリューで摩擦ロール側に送られるため、研削ロール部の穀粒に掛かる圧力が小さくなる。
3.研削用スクリューの外周と外筒内周面との間隙が、摩擦用スクリューの外周と外筒内周面との間隙より広いことから、摩擦用スクリューの送穀量以上の穀粒が供給されて研削ロール部の穀粒に掛かる圧力が高くなると、研削用スクリューで送られた穀粒は外筒内周面に沿って戻るため、研削ロール部分を通過する穀粒に掛かる圧力が低く押さえられる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明による研削・摩型精米機1の側断面図、図2は研削ロールの半断面図、図3は研削ロールの部分断面図、図4は研削ロールの他の実施例の斜視図である。
【0009】
図1において、本発明による研削・摩擦型精米機1は、ケーシング2内においてホッパー3から玄米投入口4を介して供給された玄米を、精白部5において精白し、糠を搗精網12、吸引ダクト25、糠排出ファン26により分離して白米を排出筒16から排出する精米工程を一工程で行うワンパス型の精米機である。
【0010】
精白部5には、縦方向に長く設けられた精白部外筒5aの上部に駆動回転軸6を縦方向に軸支し、この駆動回転軸6の軸支位置下方の同軸上に、投入口4側から順にそれぞれ精白用隙間7をあけて、研削用スクリュー8、研削ロール9、摩擦用スクリュー10、摩擦ロール11を連設している。ここで、スクリューのピッチ、凸条の深さ、外径の大きさを変えるなどして研削用スクリュー8の送穀能力が摩擦用スクリュー10の送穀能力より低くなるように設定されている。精白用隙間7の摩擦用スクリュー10と対応する中間部分から下方部分は絞り部7aが形成されている。従って、研削用スクリュー8の外周とその外筒5aの内周面との間隙は、摩擦用スクリュー10の外周とその外筒5aの内周面との間隙より広くなっている。そして、回転回転軸6を後述するように1台のモータ22により一方向に回転駆動するようにしている。
【0011】
摩擦ロール11の外周には搗精網12が設けられ、、摩擦ロール11と搗精網12との間に摩擦搗精室13を形成している。摩擦ロール11の下方は精米出口14となっており、この精米出口14の外側に加圧板15が上下調節可能に設けられている。この加圧板15を含む精米出口14の外周部には、白米排出筒16の基部が取付けられている。前記ホッパー3の下部には通路を開閉するスライド式のシャッタ17が設けられ、その下方に流量制御弁19を開閉調節する流量調整ノブ18が設けられている。前記加圧板15は鍵型をしたリンクアーム20の上端部に取付けられており、このリンクアーム20は加圧板調整ノブ21により上下(精米出口14の圧力)調節が行われる。
【0012】
前記精白部5の仕切り板に取付けられたモータ支持板23には、複数のモータ取付けボルト23aを介してモータ22が移動調節可能に支持されている。このモータ22の出力軸22aと前記駆動回転軸6の上端部との間にベルト伝動系24が設けられ、モータ22から駆動回転軸6に回転動力が伝達される。前記搗精網12の外側には糠吸引ダクト25の基端部が取付けられ、その先端側は糠排出ファン26に接続されている。
【0013】
前記研削ロール9は、図2及び図3に示すように、その外周面に螺旋9aを形成して搬送能力を持たせており、この螺旋9aの外周面に、多数の工業用ダイヤモンド(チップ)28のような超硬質砥粒を、金属を機械加工した表面に金属メッキ層27を施して固設している。
【0014】
また、前記研削ロール9に代えて、図4に示すような他の研削ロール29にしてもよいものである。この研削ロール29は、その外周部に、駆動回転軸6と平行な凸条突起29a,29aを直径対向位置に形成し、該凸条突起29aを形成した研削ロール29の外周面に多数の工業用ダイヤモンド(チップ)28のような超硬質砥粒を、研削ロール9と同様の手段で固設している。
【0015】
このような構成の研削・摩擦型精米機1においては、モータ22を駆動するとベルト伝動系24を介して駆動回転軸6が一方向に回転し、精白部5の研削用スクリュー8、研削ロール9、摩擦用スクリュー10、摩擦ロール11は同一回転数で同一方向に回転する。そして、ホッパー3−投入口4から供給された玄米を研削用スクリュー8により研削ロール9に送り、玄米の表面部分を研削する。次いで玄米は摩擦用スクリュー10により摩擦ロール11に送られ、外側の搗精網12との間の摩擦搗精室13を移動しながら摩擦作用で糠が除去され、白米となって精米出口14から排出される。摩擦搗精室13で発生した糠は、搗精網12のスリットを通って外側に出、糠吸引ダクト25から糠排出ファン26により吸引されて機外に排出される。
【0016】
研削用スクリュー8の送穀能力が摩擦用スクリュー10の送穀能力より低いので、研削ロール9部分を通過する穀粒は送穀能力の高い摩擦用スクリュー10で摩擦ロール11側に送られるため、研削ロール9部の穀粒に掛かる圧力を小さくすることができる。また、研削用スクリュー8の外周と外筒5aの内周面との間隙7が、摩擦用スクリュー10の外周と外筒5aの内周面との隙間より絞り部7a部分だけ広いことから、摩擦用スクリュー10の送穀量以上の穀粒が供給されて研削ロール9部の穀粒に掛かる圧力が高くなると、研削用スクリュー8で送られた穀粒は外筒5a内周面に沿って戻るため、研削ロール9部分を通過する穀粒に掛かる圧力を低く押さえることができる。
【0017】
研削ロール9部を通過する穀粒は周面に形成された螺旋9a条により出口側に向かって粗密な状態で送られながら、表面が軽く研削される。また、粗密な穀類移送状態が作られることから、研削ロール9部を通過するのに必要な穀粒に掛かる抵抗は減少し、スムーズに摩擦用スクリュー10位置に送られる。さらに、投入口4に過大な量の穀粒が供給された場合でも、研削ロール9部を通過する抵抗が少ないため、スムーズに移動して穀粒が固まって精白用隙間7内に詰まるようなことがない。
【0018】
研削ロール29部を通過する穀粒は、研削ロール29部の回転によって凸条突起29aにより集められ、凸条突起29aを乗り越えながら出口側に向かって粗密な状態で送られ、表面が軽く研削される。また、粗密な穀類移送状態が作られることから、研削ロール29部を通過するのに必要な穀粒に掛かる抵抗は減少し、スムーズに摩擦用スクリュー10位置に送ることができる。従って、穀粒が固まって精白用隙間7内に詰まることがない。
【0019】
なお、上記実施例の研削・摩擦型精米機1は、ケーシング2内において精白部5の駆動回転軸6、研削用スクリュー8、研削ロール9、摩擦用スクリュー10、摩擦ロール11等を縦(上下)方向に順に配設しているが、これを横(左右)方向に順に配設するか、あるいは研削用スクリュー8、研削ロール9、摩擦用スクリュー10、摩擦ロール11の上下の順序を逆にして配設し、穀粒を下から供給して上から排出するようにしても、同様に実施できるものである。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の研削・摩型精米機は、請求項1〜の構成により次の効果を奏する。
【0021】
精白部に研削用スクリュー、研削ロール、摩擦用スクリュー、摩擦ロールを順に1本の回転軸上に連設し、該回転軸を1台のモータにより回転駆動するので、モータ1個で研削、摩擦の両機能を持った精米機が構成でき、安価に生産することができる。そして、小型化が可能となり、設置面積を小さくすることができる。また、研削ロールの外周面に、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を多数固設しているので、精密な加工が可能となり所望の研削ロールを製作することができる。
【0022】
研削用スクリューの送穀能力が摩擦用スクリューの送穀能力より低いことで、研削ロールを通過する穀粒は送穀能力の高い摩擦用スクリューで摩擦ロール側に送られるため、研削ロールに過大な圧力が掛からない。このため、研削性能が安定し、モータに不要な負荷が掛からない。また、穀粒が固まって通路に詰まってしまう現象を防止することができる。
【0023】
研削用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙を、摩擦用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙より広くしたので、摩擦用スクリューで送穀する量以上の穀粒は研削用スクリューから送られないで戻ってしまうことから、研削ロールには過大な圧力が掛からない。このため、穀粒が固まって通路に詰まってしまう現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による研削・摩型精米機の側断面図である。
【図2】同研削ロールの半断面図である。
【図3】同研削ロールの部分断面図である。
【図4】同研削ロールの他の実施例の斜視図である。
【符号の説明】
1 研削・摩擦型精米機
2 ケーシング
3 ホッパー
4 玄米投入口
5 精白部 5a 精白部外筒
6 駆動回転軸
7 精白用隙間 7a 絞り部
8 研削用スクリュー
9 研削ロール 9a 螺旋
10 摩擦用スクリュー
11 摩擦ロール
12 搗精網
13 摩擦搗精室
14 精米出口
15 加圧板
16 白米排出筒
17 スライド式シャッタ
18 流量調整ノブ
19 流量制御弁
20 リンクアーム
21 加圧板調整ノブ
22 モータ 22a 出力軸
23 モータ支持板 23a モータ取付けボルト
24 ベルト伝動系
25 糠吸引ダクト
26 糠排出ファン
27 金属メッキ層
28 工業用ダイヤモンド(チップ)
29 他の研削ロール 29a 凸条突起

Claims (3)

  1. 投入口から供給された玄米を精白部において精白し、糠を分離して白米を排出口から排出する精米工程を一工程で行うワンパス型の精米機において、
    前記精白部には、投入口側から順に研削用スクリュー、研削ロール、摩擦用スクリュー、摩擦ロールを1本の回転軸上に連設し、該回転軸を1台のモータにより回転駆動すると共に、前記研削ロールの外周面に、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を多数固設し、さらに、前記研削用スクリューの送穀能力が前記摩擦用スクリューの送穀能力より低くなるように設定したことを特徴とする研削・摩擦型精米機。
  2. 前記研削用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙を、前記摩擦用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙より広くしたことを特徴とする請求項1記載の研削・摩擦型精米機。
  3. 投入口から供給された玄米を精白部において精白し、糠を分離して白米を排出口から排出する精米工程を一工程で行うワンパス型の精米機において、
    前記精白部には、投入口側から順に研削用スクリュー、研削ロール、摩擦用スクリュー、摩擦ロールを1本の回転軸上に連設し、該回転軸を1台のモータにより回転駆動すると共に、前記研削ロールの外周面に、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を多数固設し、さらに、前記研削用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙を、前記摩擦用スクリューの外周とその外筒の内周面との間隙より広くしたことを特徴とする研削・摩擦型精米機。
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