JP3790567B2 - 徐放剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無晶型水溶性生理活性物質含有マイクロカプセルおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭57−118512に記載された水溶性薬物の徐放性マイクロカプセル型製剤の製造法では、コアセルベーション相分離法によってマイクロカプセル化するが、この方法では、(1)水溶性薬物は外水相へ漏出し薬物のトラップ率が低下し、高含有量のマイクロカプセルを得るのが難しい、また(2)得られるマイクロカプセルは多孔質で初期放出が大きい、という欠点がある。ジャーナル・オブ・ファーマシュウティカル・サイエンス(Jounal of Pharmaceutical Science)、1986年、75巻、750〜755頁には、シスプラチンの微細化乾燥粉末(micronized dry powder)をポリ(dl−ラクチド)溶液に分散するs/o/w型乳化物によるマイクロスフェアーの製造法が記載されているが、無晶型のシスプラチンの記載はなく、しかも長期の徐放性を達成していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
水溶性薬物の取りこみ率が高く、かつ初期放出の少ない徐放性マイクロカプセルの製造法の開発が期待されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、無晶型水溶性生理活性物質と高分子重合物とを含んでなるマイクロカプセルが生理活性物質の取りこみ率が高く、初期放出が少ないことを見出した。これに基づいてさらに鋭意研究した結果、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、無晶型水溶性生理活性物質と高分子重合物とを含んでなるマイクロカプセルを提供するものである。
また、本発明は、無晶型水溶性生理活性物質を高分子重合物の有機溶媒溶液に分散させた分散液を水相に分散させてs/o/w型乳化物をつくり、水中乾燥に付すことにより得られるマイクロカプセルをも提供する。
さらに、本発明は、無晶型水溶性生理活性物質を高分子重合物の有機溶媒溶液に分散させた分散液を水相に分散させてs/o/w型乳化物をつくり、水中乾燥に付すことを特徴とするマイクロカプセルの製造法をも提供する。
【0006】
本明細書においてアミノ酸、ペプチド、保護基等に関し、略号で表示する場合、アイユパック−アイユービー・コミッション・オン・バイオケミカル・ノメンクレーチャー(IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature)による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に関し光学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
本明細書中、マイクロカプセルとは、マイクロスフェア、マイクロカプセル、マイクロパーティクル、ナノパーティクル、ナノスフェア、ナノカプセルの総称を意味する。
本明細書中、s/o/w型乳化物とは、固/油/水型(水中油中固相型)乳化物を意味する。s相は固相を意味するが、微粒子およびゲル化した水相をも包含する意である。
本発明では、水溶性生理活性物質を高含量に含有しながら、かつ初期放出の少ない徐放性マイクロカプセルとすることが可能である。
【0007】
本発明で用いる無晶型生理活性物質は水溶性である。該生理活性物質が水溶性であるとは、水100mlに対する溶解度が20℃で一般に約1g以上、好ましくは約3g以上、さらに好ましくは約5g以上であることを意味する。好ましくは、該生理活性物質は水易溶性である。該生理活性物質が水易溶性であるとは、水100mlに対する溶解度が20℃で約5g以上、好ましくは約10g以上であることを意味する。
【0008】
該無晶型水溶性生理活性物質は、これらの性質を有する限り特に限定されないが、好ましくは酸性または中性物質である。
該生理活性物質としては、例えば、生理活性を有するペプチド系化合物、その他の抗生物質、抗真菌剤、抗高脂血症剤、循環器官用剤、抗血小板薬(血小板凝集抑制剤)、抗腫瘍剤、解熱剤、鎮痛剤、消炎剤、鎮咳去たん剤、鎮静剤、筋弛緩剤、抗てんかん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、抗凝血剤、止血剤、抗結核剤、ホルモン剤、麻薬拮抗剤、骨吸収抑制剤、血管新生阻害剤などが挙げられる。
このうち、特にペプチド系化合物が好ましい。該ペプチド系化合物としては、2個以上のアミノ酸によって構成される例えばタンパク質やポリペプチドおよびこれらの誘導体またはペプチド様構造を有する化合物が挙げられる。なかでも分子量約200〜20000のものが好ましい。本発明では特に、比較的長期の投与が必要とされるものに有用である。
【0009】
該ペプチド系化合物としては、例えば黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)作用を有する物質、例えばLH−RHまたはこれと同様の作用を有する誘導体(LH−RHアナログ)であって、例えば式(I)
【化2】
(Pyr)Glu−R1−Trp−Ser−R2−R3−R4−Arg−Pro−R5 (I)
[式中、R1はHis、Tyr、Trpまたはp−NH2−Phe、R2はTyrまたはPhe、R3はGlyまたはD型のアミノ酸残基、R4はLeu、IleまたはNle、R5はGly−NH−R6またはNH−R6(式中R6はHまたは水酸基を有していてもよい低級アルキル基を示す)を示す。]で表わされる化合物またはその塩が挙げられる[米国特許第3,853,837、同第4,008,209、同第3,972,859、英国特許第1,423,083、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America)第78巻、第6509〜6512頁(1981年)参照]。
【0010】
上記式(I)において、R3で示されるD型のアミノ酸残基としては、例えば炭素数が2〜9のα−D−アミノ酸(例、D−Leu、Ile、Nle Val、Nval、Abu、Phe、Phg、Ser、Thr、Met、Ala、Trp、α−Aibu)などが挙げられ、それらはペプチド合成で通常用いられる保護基(例、t−ブチル、t−ブトキシ、t−ブトキシカルボニルなど)を有していてもよい。R6で示される低級アルキル基としては、例えば炭素数1〜6のアルキル基、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどが挙げられる。
勿論、上記式(I)で表されるペプチドの酸塩、金属錯体化合物も式(I)で表されるペプチドと同様に使用しうる。
上記式(I)で表されるポリペプチドのうち、R1がHis、R2がTyr、R3がD−Leu、R4がLeu、R5がNHCH2−CH3であるペプチドが好ましい。
他のLH−RHアナログとしては、ナファレリン:(pyro)Glu-His-Trp-Ser-Tyr-D-Ala(2-ナフチル)-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2、ゴセレリン:(pyro)Glu-His-Trp-Ser-Tyr-D-Ser(t-Bu)Leu-Arg-Pro-セミカルバジド、ヒストレリン:(pyro)Glu-His-Trp-Ser-Tyr-[1-(フェニルメチル)-D-His]-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5またはそれらの塩が挙げられる。
【0011】
また、これらの他に上記ペプチド系化合物としては、LH−RH拮抗物質(米国特許第4,086,219号、同第4,124,577号、同第4,253,997号、同第4,317,815号参照)が挙げられる。具体的には、例えば、N−(2S−テトラハイドロフロリル)Gly−3−(2−ナフチル)−D−アラニル−(4−クロロ)−D−Phe−3−(3−ピリジル)−D−Ala−L−Ser−N−メチル−L-Tyr−(N−ε−ニコチニル)−D−Lys−L−Leu−(N−ε−イソプロピル)−L−Lys−L−Pro−D−Ala・NH2が挙げられる。
【0012】
さらに、上記ペプチド系化合物としてはGPIIb/IIIa拮抗物質、例えばGPIIb/IIIa拮抗作用を有する蛇毒ペプチド(例、バルブリン(barbourin))、あるいはArg−Gly−Asp配列を有するペプチド、例えばArg−Gly−Asp−Ser、(Arg−Gly−Asp−Ser)テトラマー、Gly−Arg−Gly−Asp−Ser−Pro、シクロ−S,S−[Ac−Cys(Nα−メチル)Arg−Gly−D−Asn−ペニシラミン]−NH2(SK&F−106760)、さらにGPIIb/IIIa拮抗作用と同様の活性を有する化合物、例えば(S)−4−[(4−アミジノベンゾイル)グリシル]−3−メトキシ−カルボニルメチル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−2酢酸・塩酸塩、2−S−(n−ブチルスルホニルアミノ)−3−[4−(N−ピペリジン−4−イル)ブチルオキシフェニル]−プロピオン酸・HCl(MK−383)、L−Tyr−N−(ブチルスルホニル)−O-[4−(4−ピペリジニル)ブチル]モノハイドロクロライド(L−700462)、エチル[4−[[4−(アミノイミノメチル)フェニル]アミノ]−1,4−ジオキシブチル]アミノ−4−ペンチノエート(SC−56484)、[1−[N−(p−アミジノフェニル)−L−Tyr]−4−ピペリジニル]酢酸(Ro−44−9883)、サイクリック[D−2−アミノブチリル−N−2−メチル−L−Arg−Gly−L−Asp−3−アミノメチル−安息香酸]メタンスルフォン酸塩(DMP728)などが挙げられる。
さらに該ペプチド系化合物としては、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸塩酸塩、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−アミジノベンゾイルアミノ)プロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸塩酸塩が挙げられる。
また、さらに上記ペプチド系化合物としては、例えばインスリン、ソマトスタチン、ソマトスタチン誘導体であって、例えば式(II):
【0013】
【化3】
Figure 0003790567
【0014】
[式中、YはD−Ala、D−SerまたはD−Val、ZはAsnまたはAlaを示す]で表されるポリペプチドまたはそれらの塩(米国特許第4,087,390号、同第4,093,574号、同第4,100,117号、同第4,253,998号参照)]、成長ホルモン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)、甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)、その塩、およびその誘導体であって、例えば式(III)
【0015】
【化4】
Figure 0003790567
【0016】
[式中、X'は4,5または6員複素環基(例、γ−ブチロラクトン−γ−カルボニル、L−ピログルタミル、L−N−(2−オキソピペリジン−6−イル−カルボニル))を、Y'はイミダゾール−4−イルまたは4−ヒドロキシフェニルを、Z'はCH2またはSを、R1',R2'は同一または異なって水素もしくはC1-8アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル)を、R3'は水素または置換基を有していてもよいアラルキル基を示す]で表される化合物またはそれらの塩(特開昭50−121273号、特開昭52−116465号公報参照)]、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、副甲状腺ホルモン(PTH)、その誘導体であって、式(VIII):R1''−Val−Ser−Glu−Leu−R2''−His−Asn−R3''−R4''−R5''−His−Leu−Asn−Ser−R6''−R7''−Arg−R8''−Glu−R9''−Leu−R10''−R11'−R12''−Leu−Gln−Asp−Val−His−Asn−R13''[式中、R1''はSerまたはAib、R2''はMetまたは天然型の脂溶性アミノ酸(例、Leu、Val、Trp)、R3''はLeu、Ser、Lysまたは芳香族アミノ酸(例、Tyr、Trp、Phe)、R4''はGlyまたはD−アミノ酸(例、D−Gly、D−Ala)、R5''はLysまたはLeu、R6''はMetまたは天然型の脂溶性アミノ酸(例、Leu、Val、Trp)、R7''はGluまたは塩基性アミノ酸(例、Lys、Arg)、R8''はValまたは塩基性アミノ酸(例、Lys、Arg)、R9''はTrpまたは2−(1,3−ジチオラン−2−イル)Trp、R10''はArgまたはHis、R11''はLysまたはHis、R12''はLys、GlnまたはLeu、R13''はPheまたはPhe−NH2を示す]で表されるペプチドまたはそれらの塩(特開平5−32696号、同第4−247034号、ヨーロッパ特許公開第510662号、同第477885号、同第539491号公報参照)、ヒト型PTHのN末端(1→34位)のペプチドフラグメント(hPTH(1→34)と略す)(ジー・ダブリュー・トレギアー(G.W.Tregear)ら、エンドクリノロジー(Endocrinology),93 1349−1353(1973))、バソプレシン、バソプレシン誘導体[例、デスモプレシン(日本内分泌学会雑誌、第54巻、第5号、第676〜691頁(1978))参照]、オキシトシン、カルシトニン、カルシトニンと同様な作用を有する誘導体であって、式(IV):
【0017】
【化5】
Figure 0003790567
【0018】
[式中、X''は2−アミノスベリン酸]で表される化合物またはその塩[エンドクリノロジー(Endocrinology)1992,131/6(2885−2890)]、グルカゴン、ガストリン、セクレチン、パンクレオザイミン、コレシストキニン、アンジオテンシン、ヒト胎盤ラクトーゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、エンケファリン、エンケファリン誘導体であって、例えば式(V):
【0019】
【化6】
Figure 0003790567
【0020】
[式中、R1'''とR3'''は水素または炭素数1から6のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、R2'''は水素またはD−α−アミノ酸(例、D−Ala、D−Ile)、R4'''は水素または炭素数1から8の置換されていてもよい脂肪族アシル基(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル)を示す]で表されるペプチドまたはそれらの塩(米国特許第4,277,394号、ヨーロッパ特許出願公開第31567号公報参照)]、エンドルフィン、キョウトルフィン、インターフェロン(α型、β型、γ型)、インターロイキン(I、II、III、VI、XIなど)、タフトシン、サイモポイエチン、サイモスチムリン、胸腺液性因子(THF)、血中胸腺因子(FTS)およびその誘導体であって、例えば式(VI):
PGlu−X'''−Lys−Ser−Gln−Y'''−Z'''−Ser−Asn−OH (VI)
[式中、X'''はL−またはD−Ala、Y'''およびZ'''は各々Glyまたは炭素数3から9のD−アミノ酸(例、D−Gly、D−Ala、D−Leu)を示す]で表されるペプチドまたはそれらの塩(米国特許第4,229,438号参照)]、およびその他の胸腺因子[例、サイモシンα1およびβ4、サイミックファクターXなど(医学のあゆみ、第125巻、第10号、835−843頁(1983年))]、腫瘍壊死因子(TNF)、コロニー誘発因子(CSF)、モチリン、デイノルフィン、ボムベシン、ニュウロテンシン、セルレイン、ブラディキニン、ウロキナーゼ、アスパラギナーゼ、カリクレイン、サブスタンスP、神経成長因子、血液凝固因子の第VIII因子、第IX因子、塩酸リゾチーム、ポリミキシンB、コリスチン、グラミシジン、バシトラシン、タンパク合成刺激ペプチド(英国特許8232082号)、胃酸分泌抑制ポリペプチド(GIP)、バソアクティブ・インティスティナル・ポリペプチド[vasoactive intestinal polypeptide(VIP)]、プレートレット−ディライブド・グロース・ファクター[platelet-derived growth factor(PDGF)]、成長ホルモン分泌因子(GRF、ソマトクリニン)、ボーン・モルファジェネティック・プロテイン[bone morphagenetic protein(BMP)]、上皮成長因子(EGF)、エリスロポエチンなどのポリペプチドが挙げられる。
またエンドセリン拮抗物質であって、例えばシクロ−[D−α−アスパルチル−3−[(4−フェニルピペラジン−1−イル)カルボニル]−L−アラニル−L−α−アスパルチル−D−2−(2−チエニル)グリシル−L−ロイシル−D−トリプトフィル]−ナトリウム塩などのペプチドまたはそれらの塩、さらにそれらの誘導体などが挙げられる。
【0021】
上記抗生物質としては、例えばゲンタマイシン、ジベカシン、カネンドマイシン、リピドマイシン、トブラマイシン、アミカシン、フラジオマイシン、シソマイシン、塩酸テトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、塩酸ドキシサイクリン、アンピシリン、ピペラシリン、チカルシリン、セファロチン、セファロリジン、セフォチアム、セフォキシチン、セフスロジン、セフメノキシム、セフメタゾール、セファゾリン、セフォタキシム、セフォペラゾン、セフチゾキシム、モキソラクタム、チエナマイシン、スルファゼシン、アズスレオナムなどが挙げられる。
【0022】
上記抗真菌剤としては、例えば、2−[(1,2)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−(1−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル]−4−[4−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)フェニル]−3(2,4)−1,2,4−トリアゾロンなどが挙げられる。
上記抗高脂血症剤としては、例えば、プラバスタチン、シンバスタチンなどが挙げられる。
上記循環器官用剤としては、例えば、塩酸デラプリルなどが挙げられる。
【0023】
上記抗血小板薬としては、例えば、チクロピジン、シロスタゾール、アルプロスタジル、リマプロスト、ジピリダモール、アイコサペンタエートエチル、ベラプロスト、オザグレル、アスピリンなどが挙げられる。
上記抗腫瘍剤としては、例えば塩酸ブレオマイシン、メソトレキセート、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、塩酸ダウノルビシン、アドリアマイシン、ネオカルチノスタチン、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、テトラヒドロフリル−5−フルオロウラシル、クレスチン、ピシバニール、レンチナン、レバミゾール、ベスタチン、アジメキソン、グリチルリチン、ポリI:C、ポリA:U、ポリICLCなどが挙げられる。
【0024】
上記の解熱、鎮痛、消炎剤としては、例えばサリチル酸ナトリウム、スルピリン、フルフェナム酸ナトリウム、ジクロフェナックナトリウム、インドメタシンナトリウム、塩酸モルヒネ、塩酸ペチジン、酒石酸レボルファノール、オキシモルフォンなどが挙げられる。
上記鎮咳去たん剤としては、例えば塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸ノスカピン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸アロクラマイド、塩酸クロフェジアノール、塩酸ピコペリダミン、クロペラスチン、塩酸プロトキロール、塩酸イソプロテレノール、硫酸サルブタモール、硫酸テルブタリンなどが挙げられる。
上記鎮静剤としては、例えば塩酸クロルプロマジン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、硫酸アトロピン、臭化メチルスコポラミンなどが挙げられる。上記筋弛緩剤としては、メタンスルホン酸プリジノール、塩化ツボクラリン、臭化パンクロニウムなどが挙げられる。
【0025】
上記抗てんかん剤としては、例えばフェニトインナトリウム、エトサクシミド、アセタゾラミドナトリウム、塩酸クロルジアゼポキシドなどが挙げられる。
上記抗潰瘍剤としては、例えばメトクロプロミド、塩酸ヒスチジンなどが挙げられる。
上記抗うつ剤としては、例えばイミプラミン、クロミプラミン、ノキシプチリン、硫酸フェネルジンなどが挙げられる。
上記抗アレルギー剤としては、例えば塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリペレナミン、塩酸メトジラジン、塩酸クレミゾール、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸メトキシフェナミンなどが挙げられる。
上記強心剤としては、例えばトランスバイオキソカンファー、テオフィロール、アミノフィリン、塩酸エチレフリンなどが挙げられる。
上記不整脈治療剤としては、例えば塩酸プロプラノール、塩酸アルプレノロール、塩酸ブフェトロール、塩酸オキシプレノロールなどが挙げられる。
【0026】
上記血管拡張剤としては、例えば塩酸オキシフェドリン、塩酸ジルチアゼム、塩酸トラゾリン、ヘキソベンジン、硫酸バメタンなどが挙げられる。
上記降圧利尿剤としては、例えばヘキサメトニウムブロミド、ペントリニウム、塩酸メカミルアミン、塩酸エカラジン、塩酸クロニジンなどが挙げられる。
上記糖尿病治療剤としては、例えばグリミジンンナトリウム、グリピザイド、塩酸フェンフォルミン、塩酸ブフォルミン、メトフォルミンなどが挙げられる。
上記抗凝血剤としては、例えばヘパリンナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記止血剤としては、例えばトロンボプラスチン、トロンビン、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、アセトメナフトン、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、アドレノクロムモノアミノグアニジンメタンスルホン酸塩などが挙げられる。
【0027】
上記抗結核剤としては、例えばイソニアジド、エタンブトール、パラアミノサリチル酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記ホルモン剤としては、例えばコハク酸プレドニゾロン、リン酸ナトリウムプレドニゾロン、デキサメタゾン硫酸ナトリウム、ベタメタゾンリン酸ナトリウム、リン酸ヘキセストロール、酢酸ヘキセストロール、メチマゾールなどが挙げられる。
上記麻薬拮抗剤としては、例えば酒石酸レバロルファン、塩酸ナロルフィン、塩酸ナロキソンなどが挙げられる。
【0028】
上記骨吸収抑制剤としては、例えば(硫黄含有アルキル)アミノメチレンビスフォスフォン酸、あるいは4−フェノキシブチルアミノメチレン−1,1−ビスフォスフォネート・2ナトリウム塩などが挙げられる。
上記血管新生抑制剤としては、例えば血管新生抑制ステロイド[サイエンス(Science)第221巻、719頁(1983年)参照]、フマギリン(ヨーロッパ特許公開第325,119号公報参照)、フマギロール誘導体[例、O−モノクロロアセチルカルバモイルフマギロール、O−ジクロロアセチルカルバモイルフマギロールなど(ヨーロッパ特許公開第357,061号、同第359,036号、同第386,667号、同第415,294号公報参照)]などが挙げられる。
【0029】
生理活性物質はそれ自身であっても、その塩であってもよい。例えば、生理活性物質がアミノ基等の塩基性基を有する場合は、炭酸、塩酸、硫酸、硝酸等との塩であってもよく、生理活性物質がカルボン酸基等の酸性基を有する場合は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類との塩であってもよい。
【0030】
上記水溶性生理活性物質の使用量は、生理活性物質の種類、所望の薬理効果および効果の持続期間などにより異なるが、高分子重合物の有機溶媒溶液中の濃度として、約0.001%ないし90%(W/W)、より好ましくは約0.01%ないし80%(W/W)、特に好ましくは約0.01%ないし70%(W/W)から選ばれる。
【0031】
該無晶型水溶性生理活性物質は微粒子状にて使用される。微粒子の平均粒径は一般に約1nmないし約10μm、好ましくは約1nmないし約1μmである。
【0032】
本発明で用いる高分子重合物は、水に難溶または不溶で生体適合性のある高分子重合物である。その例としては生体内分解型として、ポリ脂肪酸エステル(例、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ乳酸カプロラクトンなど)、ポリ−α−シアノアクリル酸エステル、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸、ポリアルキレンオキサレート(例、ポリトリメチレンオキサレート、ポリテトラメチレンオキサレートなど)、ポリオルソエステル、ポリオルソカーボネート、あるいはその他のポリカーボネート(例、ポリエチレンカーボネート、ポリエチレンプロピレンカーボネートなど)、ポリアミノ酸(例、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタミン酸、ポリ−L−アラニン、ポリ−γ−メチル−L−グルタミン酸など)、ヒアルロン酸エステルなどが挙げられる。さらに、生体適合性を有するその他の高分子重合物として、ポリスチレン、ポリメタアクリル酸、アクリル酸とメタアクリル酸との共重合物、ポリアミノ酸、デキストランステアレート、エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、無水マレイン酸系共重合物、エチレンビニールアセテート系共重合物、ポリビニールアセテート、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
これらの高分子重合物は1種でもよく、また2種以上の共重合物、あるいは単なる混合物でもよく、またその塩でもよい。
【0033】
これらの高分子重合物の中で、特に、注射剤として用いる場合は生体内分解性高分子重合物が好ましい。該生体内分解性高分子重合物の生体内分解性は例えば乳酸・グリコール酸共重合物(PLGA)の場合、PLGAから分解した水溶性低分子量断片のPLGAに対する割合(w/w%)で定義され、一般に、皮下または筋内投与後の1年間で10%以上、好ましくは、皮下または筋内投与後の3カ月間で80%以上である。該生体内分解性高分子重合物は好ましくはポリエステルである。該生体内分解性高分子重合物の好ましい具体例としては、例えばヒドロキシカルボン酸の重合物または共重合物あるいはそれらの混合物などが挙げられる。
該ヒドロキシカルボン酸としては特に限定されないが、一般式(VII)
【化7】
Figure 0003790567
[式中、Rは水素またはアルキル基を示す。]で表わされるヒドロキシカルボン酸が好ましい具体例として挙げられる。
上記式中、Rで示されるアルキル基としては、例えば炭素数1から8の直鎖あるいは分枝状のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等)が好ましい。これらの中で、炭素数1から3の直鎖あるいは分枝状のアルキル基が特に好ましい。
【0034】
上記ヒドロキシカルボン酸の好ましい具体例としては、例えばグリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸(例、2−ヒドロキシ酪酸)、2'−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシカプリル酸などが挙げられる。このうち特に、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸が好ましい。さらに、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸が特に好ましい。これらのヒドロキシカルボン酸において、D−体、L−体およびD,L−体が存在するものは、そのいずれを用いてもよいが、D,L−体が好ましい。
該共重合物の共重合の形式は、ランダム、ブロック、グラフトの何れでもよい。これらのグリコール酸共重合物においては、生体内での分解が比較的速やかで単独で用いた場合の放出期間が1ケ月以内のものが好ましい。特に、乳酸・グリコール酸共重合物またはヒドロキシ酪酸・グリコール酸共重合物が好ましい。
本発明に使用される高分子重合物は、一般的な合成法(例えば、特開昭61−28521号公報参照)で問題なく合成できる。
【0035】
本発明に使用されるこれらの高分子重合物の平均分子量は約2000ないし約800000のものが好ましく、より好ましくは約5000ないし約200000の範囲から選定される。
上記の高分子重合物として乳酸・グリコール酸共重合物を用いる場合、乳酸/グリコール酸のモル比は好ましくは約100/0ないし25/75、より好ましくは約100/0ないし50/50である。乳酸・グリコール酸共重合物の重量平均分子量は好ましくは約5000ないし約30000、より好ましくは約5000から20000である。
上記の高分子重合物としてヒドロキシ酪酸・グリコール酸共重合物(例、2−ヒドロキシ酪酸・グリコール酸共重合物)を用いる場合、ヒドロキシ酪酸/グリコール酸のモル比は好ましくは約100/0ないし25/75、より好ましくは約100/0ないし50/50である。特に、2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸のモル比は好ましくは約60/40ないし約30/70である。ヒドロキシ酪酸・グリコール酸共重合物の重量平均分子量は好ましくは約5000ないし約25000、より好ましくは約5000から20000である。
上記高分子重合物として酪酸・グリコール酸共重合物を用いる場合、酪酸/グリコール酸のモル比は好ましくは約100/0ないし25/75である。
【0036】
上記高分子重合物として例えばポリ乳酸(A)とグリコール酸・2−ヒドロキシ酪酸共重合物(B)との混合物を用いる場合、(A)/(B)で表わされる混合比が約10/90から約90/10(重量比)の範囲で使用される。好ましくは約25/75から約75/25(重量比)の範囲である。
ポリ乳酸の重量平均分子量は約5000から約30000のものが好ましい。さらに約6000から約20000のものが特に好ましい。
【0037】
なお、本明細書における分子量とは、ポリスチレンを基準物質としてゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の分子量をいう。測定は、GPCカラムKF804L×2(昭和電工製)を使用、移動相としてクロロホルムを用いた。
該高分子重合物の多分散性は重量平均分子量/数平均分子量として定義され、一般に1ないし3.5、好ましくは1.5ないし2.5である。
これら高分子重合物の使用する量は、生理活性物質の薬理活性の強さと、該物質の放出の速度および期間などによって決まり、例えば生理活性物質に対して約0.2ないし10000倍(重量比)、好ましくは約1ないし1000倍(重量比)の量をマイクロカプセル基剤として用いるのがよい。
油相中の高分子重合物の濃度は、約0.5ないし90%(W/W)、さらに好ましくは約2ないし60%(W/W)から選ばれる。
【0038】
さらに、マイクロカプセルからの水溶性薬物の初期放出を抑制する目的で、この高分子重合物の有機溶媒溶液に塩基性物質や油脂類を添加することも有効である。塩基性物質として、例えば、L−アルギニン、N−メチルグルタミン、L−リシンのような塩基性アミノ酸等が挙げられる。このうちL−アルギニンまたはN−メチルグルタミンが好ましい。油脂類として、例えば、ビタミンE、中鎖脂肪酸類(ミグリオール類)、コレステロール、リン脂質類等が挙げられる。高分子重合物の有機溶媒溶液中の塩基性物質の濃度は、約0.01%ないし20%(W/W)、好ましくは約0.1%ないし5%(W/W)、より好ましくは約0.1%ないし3%(W/W)である。高分子重合物の有機溶媒溶液中の油脂類の濃度は、約0.01%ないし30%(W/W)、好ましくは約0.1%ないし20%(W/W)、より好ましくは約0.2%ないし10%(W/W)である。
【0039】
本発明においては、水相に浸透圧調節剤を含有させることが好ましい。該浸透圧調節剤としては、水溶液とした場合、浸透圧を示すものであればいかなる物質であってもよい。
該浸透圧調節剤の具体例としては、例えば水溶性の多価アルコール類、水溶性の一価アルコール類、水溶性の無機物(例、無機塩)、水溶性の単糖類、二糖類、オリゴ糖および多糖類あるいはそれらの誘導体、水溶性の有機酸またはその塩、水溶性のアミノ酸、水溶性のペプチド、タンパク質あるいはそれらの誘導体などが挙げられる。これらのうち水溶性の多価アルコール類、水溶性の無機物、水溶性の単糖類、二糖類、オリゴ糖および多糖類あるいはそれらの誘導体、水溶性の有機酸またはその塩が好ましい。さらに、塩類、水溶性の多価アルコール類および水溶性の無機物が特に好ましい。
【0040】
上記水溶性の無機塩としては、例えば塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ金属、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のハロゲン化アルカリ土類金属、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等のアルカリ金属硫酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等のアルカリ土類金属硫酸塩、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩類などが挙げられる。このうち、塩化ナトリウムが好ましい。
【0041】
上記水溶性の多価アルコール類としては、例えばグリセリン等の二価アルコール類、アラビトール、キシリトール、アドニトール等の五価アルコール類、マンニトール、ソルビトール等の六価アルコール類などが挙げられる。これらのうち六価のアルコール類が好ましい。
上記水溶性の一価アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらのうちエタノールが好ましい。
上記水溶性の単糖類としては、例えばアラビノース、キシロース、リボース、2−デオキシリボース等の五炭糖類、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、マンノース、ソルボース、ラムノース、フコース等の六炭糖類が挙げられる。これらのうち六炭糖類が好ましい。
上記水溶性の二糖類としては、例えば麦芽糖、セロビオース、α−トレハロース、乳糖、ショ糖などが挙げられる。これらのうち乳糖およびショ糖が好ましい。
【0042】
上記水溶性のオリゴ糖としては、例えばマルトトリオース、ラフィノース糖の三糖類、スタキオース等の四糖類などが挙げられる。これらのうち三糖類が好ましい。
上記水溶性の多糖類としては、例えばセルロース、デンプン、グリコーゲン等のグルカン類、ペクチン酸等のガラクツロナン類、アルギン酸等のマンヌロナン類、イヌリン、レバン等のフルクタン類、キチン等のN−アセチルグリコサミン重合体類、イネワラのキシラン等のキシラン類、マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン等のジヘテログルカン類などが挙げられる。これらのうちグルカン類、ジヘテログルカン類が好ましい。
上記水溶性の単糖類、二糖類、オリゴ糖および多糖類の誘導体としては、例えばグルコサミン、ガラクトサミン、グルクロン酸、ガラクツロン酸などが挙げられる。
【0043】
上記水溶性の有機酸またはその塩としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、これらのアルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩等)などが挙げられる。
上記水溶性のアミノ酸としては、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン等の中性アミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。またこれらの水溶性アミノ酸の酸(例、塩酸、硫酸、リン酸等)またはアルカリ(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属等)との塩を用いてもよい。
水溶性のペプチド、タンパク質あるいはそれらの誘導体としては、例えばカゼイン、グロブリン、プロラミン、アルブミン、ゼラチン、プロタミン、ヒストンなどが挙げられる。
【0044】
浸透圧調節剤は単独で使用しても、1種以上を混合して使用してもよい。これらの浸透圧調節剤の外水相中での濃度は、浸透圧調節剤が非イオン性物質の場合、約0.001%ないし60%(W/W)で、好ましくは約0.01ないし40%(W/W)、より好ましくは約0.05ないし30%(W/W)である。また、浸透圧調節剤がイオン性物質の場合、上記の濃度を全体のイオン価で除した濃度が用いられる。浸透圧調節剤の添加濃度は、溶解度以下である必要はなく、一部が分散状態であってもよい。
【0045】
本発明のマイクロカプセルは、例えば以下に示すs/o/w型水中乾燥法により製造することができる。
まず、無晶型水溶性生理活性物質を高分子重合物の水不溶性有機溶媒溶液に分散させ、得られた分散液をよく混合してs/o型乳化物を得る。該乳化物中、生理活性物質は高分子重合物溶液中に実質的に均一に分散している。
水溶性生理活性物質はそれ自身が無晶型であればそのまま用いることができるし、結晶型であっても無晶型とした後で用いることができる。好ましくは、無晶型水溶性生理活性物質は、水溶性生理活性物質の水溶液、好ましくは希薄水溶液から凍結乾燥法、噴霧乾燥法のような急速乾燥法により得られる。上記のとおり、該無晶型水溶性生理活性物質は好ましくは微粒子状にて使用され、生理活性物質の平均粒径は一般に約1nmないし約10μm、好ましくは約1nmないし約1μmである。生理活性物質が微粒子状で入手できる場合はそのまま使用することができるが、そうでない場合は常法(例、ジェットミル法、アトマイザー法またはボールミル法)により微粒子化した後使用する。
上記水不溶性溶媒としては、該高分子重合物を溶解し、水に不溶性のものであればいかなるものでもよい。該水不溶性溶媒の具体例としては、例えばハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロヘキサン、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、エステル類(例、酢酸エチル等)、エーテル類(例、エチルエーテル等)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン等)、炭化水素類(例、n−ペンタン、n−ヘキサン等)などが挙げられる。
上記s/o型乳化物の乳化操作は、公知の分散法が用いられる。該分散法としては、例えば、断続振とう法、プロペラ型撹拌機あるいはタービン型撹拌機などのミキサーによる方法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射法などが挙げられる。この場合、所望により水不溶性溶媒と共に水溶性溶媒を用いることも有効である。該水溶性溶媒は、水溶性を有し、上記水不溶性溶媒と混合し得るものであればいかなるものでもよい。該水溶性溶媒の具体例としては、例えばアルコール類(例、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等)、アセトン、アセトニトリルなどが挙げられる。該s/o型乳化物では、該生理活性物質をより細かく微粒化して分散させることが好ましく、微粒子の粒径は通常約1nmないし約10μm、好ましくは約1nmないし約1μmである。
【0046】
次いで、このようにして製造されたs/o型乳化物を、水相中で水中乾燥法に付す。好ましくは、該水相中に上記濃度の浸透圧調節剤を含有させて行う。すなわち、該油相をさらに浸透圧調節剤を含有した第2相目の水相中に加え、s/o/w型乳化物を形成させた後、油相中の溶媒を除去させ、マイクロカプセルを製造する。
【0047】
s/o/w型水中乾燥法における外水相に乳化剤を加えてもよい。その例としては、一般に安定なo/w型乳化物を形成するものであればいずれでもよい。さらに具体的には、例えばアニオン界面活性剤(例、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、非イオン性界面活性剤(例、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル[例、ツイーン(Tween)60、ツイーン80(アトラスパウダー社)など]、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体[例、HCO−60、HCO−50(日光ケミカルズ)など]あるいはポリビニールピロリドン、ポリビニールアルコール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチンなどが挙げられ、これらの中の1種類か、あるいはいくつかを組み合わせて使用してもよい。使用の際の濃度は約0.01%から20%(W/W)の範囲から適宜選定でき、より好ましくは約0.05%から10%(W/W)の範囲で用いられる。
【0048】
油相中の溶媒の除去は、通常用いられる方法が採用される。該方法としては、プロペラ型撹拌機、あるいはマグネチックスターラーなどで撹拌しながら徐々に減圧して行うか、ロータリーエバポレーターなどを用いて、真空度を調節しながら除去する。この場合、高分子重合物の固化がある程度進行し、内層から生理活性物質の放出による損失が減少した時点で、溶媒の除去をより完全にする目的で、s/o/w型乳化物を徐々に加温して行うと所要時間を短縮することができる。また、温度以外の方法で増粘化および固化を行う場合は、単にs/o/w型乳化物を撹拌下放置するか、加温するか、窒素ガスなどを吹き付けるかすることなどによって除去してもよい。この溶媒の除去過程は生理活性物質の放出をコントロールするマイクロカプセルの表面構造を大きく左右する重要な過程である。例えば、除去の速度を速く行うことによって、表面に多くの細孔を生じ、またより大きな細孔となり、生理活性物質の放出速度を高める。
【0049】
このようにして得られたマイクロカプセルは遠心分離あるいは濾過して分取した後、マイクロカプセルの表面に付着している遊離の水溶性生理活性物質、該生理活性物質の保持物質などを、蒸留水で数回繰り返し洗浄し、必要であれば加温し減圧下でマイクロカプセル中の水分の除去およびマイクロカプセル剤中の溶媒の除去をより完全に行う。
上記で得られたマイクロカプセルは、必要であれば軽く粉砕した後、篩過して、大きすぎるマイクロカプセル部分を除去する。マイクロカプセルの粒子径は、徐放性の程度により懸濁剤として使用する場合には、その分散性、通針性を満足させる範囲であればよく、例えば、平均径として約0.5〜400μmの範囲が挙げられ、より好ましくは約2〜200μmの範囲にあることが望まれる。
【0050】
本発明方法により製造されたマイクロカプセルは、そのまま筋肉内、皮下、血管、臓器、あるいは関節腔、腫瘍などの病巣に容易に注射剤および埋め込み剤として投与することができる。また、種々の製剤に成型して投与することもでき、そのような製剤を製造する際の原料物質としても使用され得る。
上記製剤としては、注射剤、経口投与製剤(例、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤)、経鼻投与製剤、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤)などが挙げられる。
例えば、本発明のマイクロカプセルを注射剤とするには、本発明のマイクロカプセルを分散剤(例、ツイーン(Tween)80、HCO 60(日光ケミカルズ製)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベジールアルコール、クロロブタノールなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖など)などと共に水性懸濁剤に、あるいはオリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロピレングリコールなどに分散して油性懸濁剤に成形され、徐放性注射剤とする。
【0051】
さらに、上記のマイクロカプセルの徐放性注射剤は、懸濁剤として、上記の組成以外に、賦形剤(例、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、ブドウ糖など)を加えて、再分散した後、凍結乾燥もしくは噴霧乾燥して固型化し、用時に、注射用蒸留水あるいは適当な分散剤を加えると、より安定した徐放性注射剤が得られる。
【0052】
本発明のマイクロカプセルを例えば錠剤にするには、一般に公知の製法に準じて行うことができる。例えば賦形剤(例、乳糖、結晶セルロース、白糖、トウモロコシデンプン等のデンプン類など)、崩壊剤(例、トウモロコシデンプン等のデンプン類、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、結晶セルロース、アラビアゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000など)などを添加して圧縮成形する。
【0053】
本発明のマイクロカプセルを例えば経鼻投与製剤にするには、固状、半固状または液状のものに成形され、いずれも一般に用いられる製法で行うことができる。例えば、上記固状のものとしては、該マイクロカプセルをそのまま、あるいは賦形剤(例、グルコース、マンニトール、デンプン、微結晶セルロースなど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合物など)などを添加、混合して粉状の組成物とする。上記液状のものとしては、注射剤の場合とほとんど同様で、油性あるいは水性懸濁剤とする。半固状の場合は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状のものがよい。また、これらはいずれも、pH調節剤(例、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)などを加えてもよい。
【0054】
本発明のマイクロカプセルを坐剤とするには、油性または水性の固状、半固状あるいは液状のものを自体公知の方法で製造しうる。上記組成物に用いる油性基剤としては、マイクロカプセルを溶解しないものであればよく、例えば高級脂肪酸のグリセリド[例、カカオ脂、ワイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社)など]、中級脂肪酸[例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社)など]、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。
【0055】
本発明のマイクロカプセルは一定した薬物量を長期にわたって放出するため、低毒性で一定した薬効が得られ、安全で効能の高い徐放剤として期待される。例えば、GPIIb/IIIa拮抗物質の場合、副作用として出血傾向が懸念されるが、本発明のマイクロカプセルの使用により非毒性・薬効濃度を長期にわたって維持できる。したがって、本発明のマイクロカプセルは、生理活性物質の薬効に応じて、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒトなどの哺乳動物における循環器系疾患[例、血栓症、一過性脳虚血発作、脳血栓症(急性期)、慢性動脈閉塞症、四肢動脈血栓症、肺血栓塞栓症、心筋梗塞、脳梗塞、高血圧、高脂血症]、潰瘍、喘息、細菌または真菌感染症、腫瘍、炎症性疾患、てんかん、うつ病、アレルギー性疾患、不整脈、糖尿病、結核、骨粗鬆症などの種々の疾患の治療に安全に用いることができる。とりわけ循環器系疾患、特に血栓症、一過性脳虚血発作、脳血栓症(急性期)、慢性動脈閉塞症、四肢動脈血栓症、肺血栓塞栓症、心筋梗塞あるいは脳梗塞、およびこれら梗塞再開通後の維持療法などに有利に用いられる。
【0056】
本発明の徐放性製剤の投与量は、主薬である水溶性薬物の種類と含量、剤形、薬物放出の持続時間、投与対象動物(例、マウス、ラット、ウマ、ウシ、人等の温血哺乳動物)、投与目的により種々異なるが、該主薬の有効量であればよい。例えば、成人(体重50kg)に1回当たりの投与量として、マイクロカプセルの適量が約1mgないし10g。好ましくは約10mgないし2gの範囲から、適宜選択することができる。なお、上記注射剤として投与する場合の懸濁溶液の容量は、約0.1ないし5ml、好ましくは約0.5ないし3mlの範囲から適宜選ぶことができる。
このようにして、通常の1回投与量より多い有効量の水溶性生理活性物質および生体適合性のある高分子重合物よりなり、長期間にわたって生理活性物質を持続的に放出させることができるマイクロカプセルとして調製された医薬組成物が得られる。
【0057】
本発明のマイクロカプセルは、例えば次の特徴を有する。
(1)コアセルベーション相分離法等の従来の製造法よりも、マイクロカプセル中に水溶性薬物を効率よく取り込ませることができる。
(2)マイクロカプセル投与後の薬物の初期放出量を少なくできる。
(3)薬物高含有量のマイクロカプセルを用いることにより、製剤としての総投与量を少なくすることができるため、例えば皮下投与部位における疼痛や局所刺激性を緩和できる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例および試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。実施例中で用いる%は特記しない限り重量/重量%である。
【0059】
実施例1
A法: 凍結乾燥で得た無晶型の抗血小板薬(S)−4−[(4−アミジノベンゾイル)グリシル]−3−メトキシ−カルボニルメチル−2−オキソピペラジン−1−酢酸(以下、化合物Aと称することがある)450mgを乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、ポリスチレン換算平均分子量10500)4.05gのジクロロメタン4ml溶液に分散し、ポリトロン(キネマチカ(Kinematica、スイス)製のホモジナイザー)で微粒化した後、2.7(w/v)%の塩化ナトリウムを含有する0.2(w/v)%PVA(ポリビニールアルコール)水溶液800ml中でホモジナイザーを使用してs/o/w型エマルションとした。この後、通常のプロペラ撹拌機で3時間ゆっくり撹拌し、マイクロカプセルからジクロロメタンの揮散と共に固化するのを待って遠心分離機で捕集し、同時に精製水で水洗した。捕集されたマイクロカプセルは、一昼夜凍結乾燥することによって粉末として得られた。
B法: 結晶型の化合物A 450mgを上記の乳酸・グリコール酸共重合体4.05gのジクロロメタン4ml溶液に分散し、ポリトロンで微粒化した後、2.7(w/v)%の塩化ナトリウムを含有する0.2(w/v)%PVA水溶液800ml中でホモジナイザーを使用してs/o/w型エマルションとした。この後、同上の方法でマイクロカプセル粉末を得た。
表1に両方法で得られたマイクロカプセルの特性を示す。
無晶型の化合物Aを用いることにより薬物のトラップ率を向上させることが可能となった。
【表1】
Figure 0003790567
【0060】
実施例2
凍結乾燥で得た無晶型の化合物A 450mgを予めL−アルギニン90mgを溶解した乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、ポリスチレン換算平均分子量10500)3.96gのジクロロメタン4ml溶液に分散し、ポリトロンで微粒化した後、2.7(w/v)%の塩化ナトリウムを含有する0.2(w/v)%PVA水溶液800ml中でホモジナイザーを使用してs/o/w型エマルションとした。この後、通常のプロペラ撹拌機で3時間ゆっくり撹拌し、マイクロカプセルからジクロロメタンの揮散と共に固化するのを待って遠心分離機で捕集し、同時に精製水で水洗した。捕集されたマイクロカプセルは、一昼夜凍結乾燥することによって粉末として得られた。
表2に本方法で得られたマイクロカプセルの特性を示す。
本方法により薬物のトラップ率を向上させることが可能となった。
【表2】
Figure 0003790567
【0061】
実施例3
凍結乾燥で得た無晶型の化合物A 450mgを予めL−アルギニン90mgを溶解した乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、ポリスチレン換算平均分子量8400)3.96gのジクロロメタン4ml溶液に分散し、ポリトロンで微粒化した後、2.7(w/v)%の塩化ナトリウムを含有する0.2(w/v)%PVA水溶液800ml中でホモジナイザーを使用してs/o/w型エマルションとした。この後、通常のプロペラ撹拌機で3時間ゆっくり撹拌し、マイクロカプセルからジクロロメタンの揮散と共に固化するのを待って遠心分離機で捕集し、同時に精製水で水洗した。捕集されたマイクロカプセルは、一昼夜凍結乾燥することによって粉末として得られた。本発明のs/o/w法により得られたマイクロカプセルでは薬物のトラップ率は98%であった。
【0062】
実施例4
噴霧乾燥で得た無晶型の化合物A 150mgを予めL−アルギニン90mgを溶解した乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=50/50、ポリスチレン換算平均分子量8000)4.26gのジクロロメタン4ml溶液に分散し、ポリトロンで微粒化した後、0.9(w/v)%の塩化ナトリウムを含有する0.2(w/v)%PVA水溶液800ml中でホモジナイザーを使用してs/o/w型エマルションとした。この後、通常のプロペラ撹拌機で3時間ゆっくり撹拌し、マイクロカプセルからジクロロメタンの揮散と共に固化するのを待って遠心分離機で捕集し、同時に精製水で水洗した。捕集されたマイクロカプセルは、マンニトールと共に一昼夜凍結乾燥することによって粉末として得られた。
【0063】
実施例5
凍結乾燥した化合物A 300mgをヒドロキシ酪酸/グリコール酸共重合体(ヒドロキシ酪酸/グリコール酸=50/50、ポリスチレン換算平均分子量12000)4.2gのジクロロメタン4ml溶液に分散し、ポリトロンで微粒化した後、1.8(w/v)%の塩化ナトリウムを含有する0.2(w/v)%PVA水溶液1000ml中でホモジナイザーを使用してs/o/w型エマルションとした。この後、通常のプロペラ撹拌機で3時間ゆっくり撹拌し、マイクロカプセルからジクロロメタンの揮散と共に固化するのを待って遠心分離機で捕集し、同時に精製水で水洗した。捕集されたマイクロカプセルは、マンニトールと共に一昼夜凍結乾燥することによって粉末として得られた。
【0064】
実施例6
凍結乾燥で得た無晶型のエンドセリン拮抗物質シクロ−[D−α−アスパルチル−3−[(4−フェニルピペラジン−1−イル)カルボニル]−L−アラニル−L−α−アスパルチル−D−2−(2−チエニル)グリシル−L−ロイシル−D−トリプトフィル]−ナトリウム塩および結晶型の該エンドセリン拮抗物質を、それぞれ実施例1に記載の方法に供し、マイクロカプセルを調製した。
本方法で得られたマイクロカプセルについては、無晶型の薬物を用いた場合にほぼ100%のトラップ率が得られた。
【0065】
実施例7
凍結乾燥で得た無晶型の抗血小板薬4−(4−アミジノベンゾイルグリシル)−2−オキソピペラジン−1,3−2酢酸・塩酸塩および結晶型の該抗血小板薬を、それぞれ実施例1に記載の方法に供し、マイクロカプセルを調製した。
表3に本方法で得られたマイクロカプセルの特性を示す。
本方法で得られたマイクロカプセルについては、無晶型の薬物を用いた場合に結晶型の薬物を用いた場合の約1.5倍のトラップ率が得られた。
【表3】
Figure 0003790567
【0066】
実施例8
凍結乾燥で得た無晶型のGPIIb/IIIa拮抗作用ペプチド(Arg−Gly−Asp−Ser)テトラマー200mgを、予めL−アルギニン100mgを溶解した乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=90/10、ポリスチレン換算平均分子量12000)3.7gのジクロロメタン4ml溶液に分散した。ポリトロンで微粒化後、15℃に冷却した2.7(w/v)%の塩化ナトリウムを含有する0.5(w/v)%PVA水溶液800ml中でホモジナイザーを使用してs/o/w型エマルションとした。通常のプロペラ撹拌機で3時間緩徐に撹拌し、ジクロロメタンの揮散と共にマイクロカプセルが固化するのを待って遠心分離機により捕集し、同時に精製水で水洗した。捕集されたマイクロカプセルは、マンニトールと共に一昼夜凍結乾燥することにより粉末として得られた。
【0067】
実施例9
凍結乾燥で得た無晶型の抗生物質セフォキシチン・ナトリウム150mgを、予めN−メチルグルカミン150mgを溶解したヒドロキシ酪酸・グリコール酸共重合体(ヒドロキシ酪酸/グリコール酸=75/25、ポリスチレン換算平均分子量14000)4.7gのジクロロメタン4ml溶液に分散した。ポリトロンで微粒化後、15℃に冷却した15(w/v)%マンニトールを含有する0.2(w/v)%PVA水溶液800ml中でホモジナイザーを使用してs/o/w型エマルションとした。通常のプロペラ撹拌機で3時間緩徐に撹拌し、ジクロロメタンの揮散と共にマイクロカプセルが固化するのを待って遠心分離機により捕集し、同時に精製水で水洗した。捕集されたマイクロカプセルは、マンニトールと共に一昼夜凍結乾燥することにより粉末として得られた。
【0068】
実施例10
凍結乾燥で得た無晶型の骨吸収抑制物質4−フェノキシブチルアミノメチレン−1,1−ビスフォスフォネート・2ナトリウム塩200mgを、予めL−アルギニン100mgを溶解した乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=90/10、ポリスチレン換算平均分子量8400)3.7gのジクロロメタン4ml溶液に分散した。ポリトロンで微粒化後、15℃に冷却した10(w/v)%のマンニトールを含有する0.1(w/v)%PVA水溶液800ml中でホモジナイザーを使用してs/o/w型エマルションとした。通常のプロペラ撹拌機で3時間緩徐に撹拌し、ジクロロメタンの揮散と共にマイクロカプセルが固化するのを待って遠心分離機により捕集し、同時に精製水で水洗した。捕集されたマイクロカプセルは、一昼夜凍結乾燥することにより粉末として得られた。
【0069】
試験例1
上記実施例2のs/o/w法により得られたマイクロカプセルをSDラット(雄性、約300g)に20mg/kgで皮下投与した後の血漿中濃度推移を図1に示す。
投与後3週間にわたり有効血中濃度(20〜100ng/ml)を維持した。
【0070】
【発明の効果】
本発明において、凍結乾燥した水溶性薬物を高分子重合物溶液に分散・微粒化することにより、高含有量で初期放出の少ない徐放性マイクロカプセルを得ることができる。さらにこのマイクロカプセルを使用することにより、例えば抗血小板薬等の薬物の多量の初期放出によって引き起こされる長時間の出血などの副作用を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 化合物A含有マイクロカプセルをラットに皮下投与(20mg/kg)した後の血漿中濃度推移を示すグラフである。縦軸は化合物Aの血漿中濃度(ng/ml)を示し、横軸は投与後の時間(日)を示す。

Claims (1)

  1. 結晶型水溶性生理活性物質を無晶型とした後、該無晶型水溶性生理活性物質を高分子重合物の有機溶媒溶液に分散させた分散液を水相に分散させてs/o/w型乳化物をつくり、水中乾燥に付すことを特徴とするマイクロカプセルの製造法。
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