JP3205884B2 - 凝集防止剤をコーティングした徐放性微粒子製剤 - Google Patents
凝集防止剤をコーティングした徐放性微粒子製剤Info
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Description
ーティングされた薬物含有高分子重合物微粒子製剤(以
下単に微粒子製剤と称することもある。)およびその製
造法に関する。
は、種々の剤型が提唱されている。例えば、特開昭57
−118512号公報には、鉱物油、植物油などのコア
セルベーション剤を用いた相分離法によるマイクロカプ
セル化が開示されているが、このような方法で得られた
マイクロカプセルは、製造の過程で粒子同士が粘着し易
いという欠点を有する上に、多量の溶媒を使用するため
にスケールアップが困難である。また、特開昭60−1
00516号公報に記載されている従来技術に依って三
相乳化物を形成し、水中乾燥法によってマイクロカプセ
ル化する方法では、水溶性薬物は外水相へ漏出し薬物の
トラップ率が低下し、高含有量のマイクロカプセルが得
られ難いこと、また水溶性・脂溶性いずれの薬物の場合
にも水中乾燥に長期間を要する上に、粉末化のためには
凍結乾燥工程が必須であるという欠点を有し、得られた
マイクロカプセルは一般に初期放出量が多く、さらにス
ケールアップによる影響を受け易く、大量処理が困難で
ある。一方、ジャーナル・オブ・ファルマシー・アンド
・フマルマコロジー(J. Pharm. Pharmacol. )198
8年,第40巻,754〜757頁には1つのノズルで
スプレードライして微粒子化する方法も報告されている
が、微粒子同士の凝集やスプレードライヤー装置(噴霧
乾燥器)への付着が多いという問題がある。
本発明者らは、水溶性あるいは脂溶性薬物の徐放性製剤
を開発するため、鋭意研究したところ、薬物と高分子
重合物を含む溶液、水溶性薬物を含む水溶液を内相と
し高分子重合物を含む溶液を外相とするW/O型乳化物
または高分子重合物を含む溶液に薬物微細粒子を懸濁
させたS/O型懸濁物をスプレードライヤーの一方のノ
ズル(二流体ノズル,多流体ノズルまたは圧力ノズルま
たは2液噴霧用の構造にした回転ディスク)から微粒化
・噴霧し、もう一方のノズルから凝集防止剤溶液を噴霧
することによって、薬物の微粒子製剤中へのトラップ率
が高く、初期放出量の少ない、優れた性質を有する微粒
子製剤を効率よく連続的に、しかも短時間に大量に得る
ことができることを見い出し、これに基づいてさらに鋭
意研究した結果、本発明を完成した。本発明は、(1)凝
集防止剤で膜状にコーティングされた薬物含有高分子重
合物微粒子製剤、および(2)薬物を含む高分子重合物溶
液と、凝集防止剤の水溶液とをそれぞれ別のノズルを用
いて噴霧乾燥器中で噴霧・接触させることを特徴とす
る、凝集防止剤で膜状にコーティングされた薬物含有高
分子重合物微粒子製剤の製造方法に関する。本発明によ
れば、薬物と高分子重合物を含む溶液あるいは乳懸濁液
を、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥することによ
って、有機溶媒と共に水も瞬時に揮発させることによっ
て、薬物を損失することなく、適切で強固な構造の微粒
子製剤を製造することが可能で、薬物の初期放出量を水
中乾燥法によるものよりも少なく抑えることが可能とな
る。さらに、同時にもう一方のノズルから凝集防止剤溶
液を噴霧することによって、微粒子製剤表面を凝集防止
剤でコーティングし、微粒子製剤同士の凝集や微粒子の
スプレードライヤー装置への付着を顕著に防止し、流動
性に優れた粉末微粒子を凍結乾燥工程なしに短時間で得
ることが可能となる。
人体に投与できる、室温(約15〜25℃)で固体の非
付着性の物質が用いられる。具体的な例としてマンニト
ール,ソルビトール,ラクトース,ブドウ糖,ショ糖あ
るいはデンプン類(例、トウモロコシデンプン,バレイ
ショデンプンなど)などの水溶性糖類、アミノ酸類
(例、グリシン,フェニル,アラニンなど)、蛋白質
(例、ゼラチン,フィブリン,コラーゲン,アルブミン
など)、水溶性セルロース類(例、結晶セルロース,カ
ルボキシメチルセルロースなどあるいはこれらの塩な
ど)などが挙げられ、これらの中の1種類かいくつかを
組み合わせ使用してもよい。これらの中で水溶性糖類が
有利に用いられる。特にマンニトールが好ましい。上記
凝集防止剤の高分子重合物に対する配合比は、凝集防止
効果の認められる範囲であればよい。具体的には、高分
子重合物1に対し重量比で約0.1ないし約100倍、
より好ましくは約0.1 ないし50倍から選ばれる。さ
らに好ましくは約0.2〜10倍が選ばれる。
限定されないが、生理活性を有するポリペプチド、その
他の抗生物質,抗腫瘍剤,解熱剤,鎮痛剤,消炎剤,鎮
咳去たん剤,鎮静剤,筋弛緩剤,抗てんかん剤,抗潰瘍
剤,抗うつ剤,抗アレルギー剤,強心剤,不整脈治療
剤,血管拡張剤,降圧利尿剤,糖尿病治療剤,抗凝血
剤,止血剤,抗結核剤,ホルモン剤,麻薬拮抗剤,骨吸
収抑制剤,血管新生抑制剤などが挙げられる。本発明で
用いられる生理活性を有するペプチドとしては、2個以
上のアミノ酸を含んでいるもので、分子量約200ない
し80000のものが好ましい。該ペプチドの具体例と
しては、たとえば黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH
−RH),これと同様の作用を有する誘導体であって、
式(I) (Pyr)Glu−R1−Trp−Ser−R2−R3−R4−Arg−Pro−R5 (I) 〔R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2−Pheを、R
2はTyrまたはPheを、R3はGlyまたはD型のアミノ酸
残基を、R4はLue,IleまたはNleを、R5はGly−N
H−R6(R6はHまたは水酸基を有しまたは有しない低
級アルキル基)またはNH−R6(R6は前記と同意義)
をそれぞれ示す。〕で表わされるポリペプチドまたはそ
の塩が挙げられる〔米国特許第3,853,837,同第
4,008,209,同第3,972,859,英国特許第
1,423,083,プロシーディ ングス・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proceedi
ngs of the National Academy of Sciences of the Uni
ted States of America)第78巻 第6509〜65
12頁(1981年)参照〕。
のアミノ酸残基としては、たとえば炭素数が9までのα
−D−アミノ酸(例、Lue,Ile,Nle,Val,NVa
l,Abu,Phe,Phg,Ser,Tyr,Met,Ala,Tr
p,α−Aibu)などがあげられ、それらは適宜保護基
(例、t−ブチル,t−ブトキシ,t−ブトキシカルボ
ニルなど)を有していてもよい。勿論ペプチド(I)の
酸塩,金属錯体化合物もペプ チド(I)と同様に使用す
ることができる。式(I)で表わされるペプチドにおけ
るアミノ酸,ペプチド,保護基等に関し、略記で表示す
る場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemi
cal Nomenclature による略号あるいは当該分野におけ
る慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に関し光
学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL体を
示すものとする。なお、本明細書においては、上記
(I)式においてR1=His,R2=Tyr,R3=D−Le
u,R4=Leu,R5=NHCH2−CH3であるペプチド
の酢酸塩を「TAP−144」と称する。また、該ペプ
チドの酢酸塩の一般名はリュープロレリン(leuproreli
n)である。他のLH−RH誘導体としては、ナファレ
リン;(pyro)Glu−His−Trp−Ser−Tyr−(3−
naphtyl)−D−Ala−Leu−Arg−Pro−GluNH2,
ゴセレリン;(pyro)Glu−His−Trp−Ser−Tyr−
o−tert−butyl−D−Ser−Leu−Arg−Pro−semic
arbazide 又はそれらの塩が挙げられる。また、該ペプ
チドとしては、LH−RH拮抗物質(米国特許第408
6219号,同第4124577号,同第425399
7号,同第4317815号,同第329526号,同
第368702号参照)が挙げられる。
しては、たとえばインスリン,ソマトスタチン,ソマト
スタチン誘導体(米国特許第4087390号,同第4
093574号,同第4100117号,同第4253
998号参照),成長ホルモン,プロラクチン,副腎皮
質刺激ホルモン(ACTH),メラノサイト刺激ホルモ
ン(MSH),甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)
その塩およびその誘導体(特開昭50−121273
号,特開昭52−116465号公報参照),甲状腺刺
激ホルモン(TSH),黄体形成ホルモン(LH),卵
胞刺激ホルモン(FSH),バソプレシン,バソプレシ
ン誘導体{デスモプレシン〔日本内分泌学会雑誌,第5
4巻 第5号第676〜691頁(1978)〕参
照},オキシトシン,カルシトニン,副甲状腺ホルモ
ン,グルカゴン,ガストリン,セクレチン,パンクレオ
ザイミン,コレシストキニン,アンジオテンシン,ヒト
胎盤ラクトーゲン,ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HC
G),エンケファリン,エンケファリン誘導体〔米国特
許第4277394号,ヨーロッパ特許出願公開第31
567号公報参照〕等のオリゴペプチドおよびエンドル
フィン,キョウトルフィン,インターフェロン(α型,
β型,γ型),インターロイキン(IからXI),タフト
シン,サイモポイエチン,サイモシン,サイモスチムリ
ン,胸腺液性因子(THF),血中胸腺因子(FTS)
およびその誘導体(米国特許第4229438号参
照),およびその他の胸腺因子〔医学のあゆみ,第12
5巻,第10号,835−843頁(1983年)〕,
腫瘍壊死因子(TNF),コロニー誘発因子(CS
F),モチリン,デイノルフィン,ボムベシン,ニュウ
ロテンシン,セルレイン,ブラディキニン,ウロキナー
ゼ,アスパラギナーゼ,カリクレイン,サブスタンス
P,神経成長因子,血液凝固因子の第VIII因子,第IX因
子,塩化リゾチーム,ポリミキシンB,コリスチン,グ
ラミシジン,バシトラシン,タンパク合成刺激ペプチド
(英国特許第8232082号),胃酸分泌抑制ポリペ
プチド(GIP),バソアクティブ・インティスティナ
ル・ポリペプチド 〔vasoactiveintestinal polypeptid
e(VIP)〕,プレートレット−ディライブド・グロ
ース・ファクター〔platelet−derived growth facto
r(PDGF)〕,成長ホルモン分泌因子(GRF,ソ
マトクリニン),ボーン・モルファジェネティック・プ
ロテイン〔bone morphagenetic protein(BMP)〕,
上皮成長因子(EGF),エリスロポエチン(EPD)
などのポリペプチドが挙げられる。
オマイシン,メソトレキセート,アクチノマイシンD,
マイトマイシンC,硫酸ビンブラスチン,硫酸ビンクリ
スチン,塩酸ダウノルビシン,アドリアマイシン,ネオ
カルチノスタチン,シトシンアラビノシド,フルオロウ
ラシル,テトラヒドロフリル−5−フルオロウラシル,
ピシバニール,レンチナン,レバミゾール,ベスタチ
ン,アジメキソン,グリチルリチン,ポリI:C,ポリ
A:U,ポリICLC,シスプラチンなどが挙げられ
る。
イシン,ジベカシン,カネンドマイシン,リビドマイシ
ン,トブラマイシン,アミカシン,フラジオマイシン,
シソマイシン,テトラサイクリン,オキシテトラサイク
リン,ロリテトラサイクリン,ドキシサイクリン,アン
ピシリン,ピペラシリン,チカルシリン,セファロチ
ン,セファロリジン,セフォチアム,セフスロジン,セ
フメノキシム,セフメタゾール,セファゾリン,セファ
タキシム,セフォペラゾン,セフチゾキシム,モキソラ
クタム,チエナマイシン,スルファゼシン,アズスレオ
ナムまたはそれらの塩などが挙げられる。
えばサリチル酸,スルピリン,フルフェナム酸,ジクロ
フェナック,インドメタシン,モルヒネ,ペチジン,酒
石酸レボルファノール,オキシモルフォンなどが、鎮咳
去たん剤としては、たとえばエフェドリン,メチルエフ
ェドリン,ノスカピン,コデイン,ジヒドロコデイン,
アロクラマイド,クロルフェジアノール,ピコペリダミ
ン,クロペラスチン,プロトキロール,イソプロテレノ
ール,サルブタモール,テレブタリンまたはその塩など
が、鎮静剤としては、たとえばクロルプロマジン,プロ
クロルペラジン,トリフロペラジン,アトロピン,スコ
ポラミンまたはその塩などが、筋弛緩剤としては、たと
えばプリジノール,ツボクラリン,パンクロニウムなど
が、抗てんかん剤としては、たとえばフェニトイン,エ
トサクシミド,アセタゾラミド,クロルジアゼポキシド
などが、抗潰瘍剤としては、たとえばメトクロプロミ
ド,ヒスチジンなどが、抗うつ剤としては、たとえばイ
ミプラミン,クロミプラミン,ノキシプチリン,フェネ
ルジンなどが、抗アレルギー剤としては、たとえばジフ
ェンヒドラミン,クロルフェニラミン,トリペレナミ
ン,メトジラジン,クレミゾール,ジフェニルピラリ
ン,メトキシフェナミンなどが、強心剤としては、たと
えばトランスパイオキソカンファー,テレフィロール,
アミノフィリン,エチレフリンなどが、不整脈治療剤と
しては、たとえばプロプラノール,アルプレノロール,
ブフェトロールオキシプレノロールなどが、血管拡張剤
としては、たとえばオキシフェドリン,ジルチアゼム,
トラゾリン,ヘキソベンジン,バメタンなどが、降圧利
尿剤としては、たとえばヘキサメトニウムブロミド,ペ
ントリニウム,メカミルアミン,エカラジン,クロニジ
ンなどが、糖尿病治療剤としては、たとえばグリミジ
ン,グリピザイド,フェンフォルミン,ブフォルミン,
メトフォルミンなどが、抗凝血剤としては、たとえばヘ
パリン,クエン酸などが、止血剤としては、たとえばト
ロンボプラスチン,トロンビン,メナジオン,アセトメ
ナフトン,ε−アミノカプロン酸,トラネキサム酸,カ
ルバゾクロムスルホン酸,アドレノクロムモノアミノグ
アニジンなどが、抗結核剤としては、たとえばイソニア
ジド,エタンブトール,パラアミノサリチル酸などが、
ホルモン剤としては、たとえばプレドニゾロン,プレド
ニゾロン,デキサメタゾン,ベタメタゾン,ヘキセスト
ロール,メチマゾールなどが、麻薬拮抗剤としては、た
とえばレバロルファン,ナロルフィン,ナロキソンまた
はその塩などが、骨吸収抑制剤としては、(硫黄含有ア
ルキル)アミノメチレンビスフォスフォン酸などが、血
管新生抑制剤としては、血管新生抑制ステロイド〔サイ
エンス(Science)第221巻719頁(1983年)
参照〕,フマギリン(ヨーロッパ特許公開第32519
9号公報参照),フマギロール誘導体(ヨーロッパ特許
公開第357061号,同第359036号,同第38
6667号,同第415294号公報参照)などがそれ
ぞれ挙げられる。これらのうち、水溶性の薬物の製剤の
場合に過剰の初期放出が認められることが多いため、本
発明は水溶性の薬物に適用するのがより好ましい。薬物
の水溶性は、水とn−オクタノールとの油水分配率で定
義され、n−オクタノール/水溶解度の比が1以下の薬
物への適用が好ましく、0.1以下の薬物への適用がよ
り好ましい。
鮫島実三郎著,裳華房刊,昭和36年に記載された方法
に従えばよい。すなわち、まず試験管中にn−オクタノ
ールおよびpH5.5の緩衝液(1対1の等量混合物)を
入れる。該緩衝液としてはたとえばゼーレンゼン(Sφe
rensen)緩衝液〔Ergeb. Physiol. 12,393(19
12)〕,クラークルブス(Clark-Lubs)緩衝液〔J. B
act. 2,(1),109,191(1917)〕,マクル
ベイン(Macllvaine)緩衝液〔J. Biol. Chem.49,1
83(1921)〕,ミカエリス(Michaelis)緩衝液
〔Die Wasser-stoffionenkonzentration. p. 186
(1914)〕,コルソフ(Kolthoff)緩衝液〔Bioche
m. Z, 179,410(1926)〕などが挙げられ
る。これに薬物を適宜量投入し、さらに栓をして恒温槽
(25℃)に浸し、しばしば強く振盪する。そして薬物
が両液層間に溶け、平衡に達したと思われる頃、液を静
置あるいは遠心分離し、上下各層より別々にピペットに
て一定量の液をとり出し、これを分析して各層の中にお
ける薬物の濃度を決定し、n−オクタノール層中の薬物
の濃度/水層中の薬物の濃度の比をとれば、油水分配率
となる。薬物はそれ自身であっても、薬理学的に許容さ
れる塩(例えば、薬物がアミノ基等の塩基性基を有する
場合、無機酸、例えば、塩酸,硫酸,硝酸や有機酸、例
えば炭酸,コハク酸等との塩、薬物がカルボキシ基等の
酸性基を有する場合、無機塩基、例えばナトリウム,カ
リウム等のアルカリ金属や有機塩基化合物、例えばトリ
エチルアミン等の有機アミン類、例えばアルギニン等の
塩基性アミノ酸類との塩)であってもよい。上記薬物の
使用量は、薬物の種類、所望の薬理効果および効果の持
続期間などにより異なるが、W/Oエマルジョンとする
場合内水相中の濃度としては、約0.001%ないし約
70%(W/W)、より好ましくは0.01%ないし5
0%(W/W)から選ばれる。
に難溶または不溶で、生体適合性で生体内で分解される
高分子重合物であれば特に限定されない。水に難溶とは
水への溶解度が約3%(W/V)以下であることを意味
する。これら高分子重合物の使用する量は、薬物の薬理
活性の強さと、薬物放出の速度および期間などによって
決まり、たとえば薬物1に対して約0.5ないし100
00倍(重量比)の量で調製されるが、好ましくは約1
ないし100倍(重量比)の量の重合物を用いるのがよ
い。これら高分子重合物は、重量平均分子量が約3,0
00から30,000、好ましくは約5,000から2
5,000、特に好ましくは約5,000から20,00
0のものが用いられる。また、生体内分解性ポリマーの
分散度は約1.2から4.0が、特に約1.5から3.5が
好ましい。さらに好ましくは約1.5から2.5である。
なお、本明細書で用いられる重量平均分子量および分散
度は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し
た値を意味する。
ば脂肪族ポリエステル〔例えばα−ヒドロキシカルボン
酸類(例、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、
2−えヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシ−3−メチル
酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソ
カプロン酸、2−ヒドロキシカプリル酸等)、α−ヒド
ロキシカルボン酸の環状二量体類(例、グリコリド、ラ
クチド等)、ヒドロキシジカルボン酸類(例、リンゴ
酸)、ヒドロキシトリカルボン酸(例、クエン酸)等の
単独重合体(例、乳酸重合体等)または2種以上の共重
合体(例えば、乳酸/グリコール酸共重合体,2−ヒド
ロキシ酪酸/グリコール酸共重合体等)、あるいはこれ
ら単独重合体および/または共重合体の混合物(例、乳
酸重合体と2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸共重合体
との混合物等)〕,ポリ−α−シアノアクリル酸エステ
ル,ポリアルキレンオキサレート(例、ポリトリメチレ
ンオキサレート,ポリテトラメチレンオキサレートな
ど),ポリオルソエステル,ポリオルソカーボネートあ
るいはその他のポリカーボネート(例、ポリエチレンカ
ーボネート,ポリエチレンプロピレンカーボネートな
ど),ポリアミノ酸(例、ポリ−γ−ベンジル−L−グ
ルタミン酸,ポリ−L−アラニン,ポリ−γ−メチル−
L−グルタミン酸など)などが挙げられる。さらに、生
体適合性を有するその他の高分子重合物として、ポリア
クリル酸,ポリメタアクリル酸,アクリル酸とメタアク
リル酸との共重合物,ポリアミノ酸,シリコンポリマ
ー,デキストランステアレート,エチルセルロース,ア
セチルセルロース,無水マレイン酸系共重合物,エチレ
ンビニールアセテート系共重合物,ポリビニールアセテ
ート,ポリビニールアルコール,ポリアクリルアミドな
どが挙げられる。これらの重合物は一種でもよく、また
2種以上の共重合物、あるいは単なる混合物でもよく、
またその塩でもよい。これらの中で脂肪族ポリエステ
ル、ポリ−α−シアノアクリル酸エステルが好ましい。
さらに、脂肪族ポリエステルが特に好ましい。
カルボン酸類、α−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体
類の単独重合体、または2種以上の共重合体、あるいは
これら単独重合体および/または共重合体の混合物が好
ましい。さらに、α−ヒドロキシカルボン酸類の単独重
合体、2種以上の共重合体、あるいはこれら単独重合体
および/または共重合体の混合物が好ましい。また、ポ
リ乳酸、乳酸/グリコール酸共重合体、2−ヒドロキシ
酪酸/グリコール酸の共重合体あるいはこれらの混合物
が特に好ましい。上記α−ヒドロキシ酸類、α−ヒドロ
キシ酸の環状二量体類、ヒドロキシジカルボン酸類、ヒ
ドロキシトリカルボン酸類が分子内に光学活性中心を有
する場合、D−、L−、DL−体のいずれも用いること
ができる。上記脂肪族ポリエステルは、公知の製造法
(例えば、特開昭61−28521号公報参照)で問題
なく製造できる。また、重合の形式は、ランダム、ブロ
ック、グラフトのいずれでもよい。
リコール酸共重合体を用いる場合、その組成比は約10
0/0〜50/50(重量比)が好ましく、2−ヒドロ
キシ酪酸/グリコール酸共重合体を用いる場合、その組
成比は約100/0〜25/75(重量比)が好まし
い。乳酸重合体、乳酸/グリコール酸共重合体、2−ヒ
ドロキシ酪酸/グリコール酸共重合体の重量平均分子量
は、約3,000から約30,000が好ましい。さらに
約5,000から20,000が特に好ましい。上記脂肪
族ポリエステルとして例えば乳酸重合体(A)と2−ヒ
ドロキシ酪酸共重合体/グリコール酸(B)との混合物
を用いる場合、(A)/(B)で表される混合比が約1
0/90から約90/10(重量比)の範囲で使用され
る。好ましくは約25/75から約75/25(重量
比)の範囲である。
0から約30,000が好ましい。さらに約5,000か
ら約20,000が特に好ましい。2−ヒドロキシ酪酸
共重合体/グリコール酸は、その組成が、グリコール酸
が約40から約70モル、残りが2−ヒドロキシ酪酸が
好ましい。グリコール酸/2−ヒドロキシ酪酸共重合体
の重量平均分子量は約5,000から約25,000が好
ましい。さらに約5,000から約20,000が特に好
ましい。
ては、例えばマイクロカプセルなどが挙げられる。凝集
防止剤で膜状にコーティングされた薬物含有高分子重合
物微粒子製剤は、薬物を含む高分子重合物溶液と、凝集
防止剤の水溶液とをそれぞれ別のノズルを用いて噴霧乾
燥器中で噴霧・接触させることによって製造できる。薬
物が水溶性の場合、まず水にこの水溶性薬物を加えて溶
解し、内水相用水溶液とする。また、該水溶液には、水
溶性薬物の安定性あるいは溶解性を保つためのpH調整
剤として、たとえば炭酸,酢酸,シュウ酸,クエン酸,
酒石酸,コハク酸,リン酸またはそれらのナトリウム塩
あるいはカリウム塩,塩酸,水酸化ナトリウムなどを添
加してもよい。また、さらに水溶性薬物の安定化剤とし
て、たとえばアルブミン,ゼラチン,クエン酸,エチレ
ンジアミン四酢酸ナトリウム,デキストリン,亜硫酸水
素ナトリウムなどを、あるいは保存剤として、たとえば
パラオキシ安息香酸エステル類(例、メチルパラベン,
プロピルパラベンなど),ベンジルアルコール,クロロ
ブタノール,チメロサールなどを添加してもよい。
を、高分子重合物を含む溶液(油相)中に加え、ついで
乳化操作を行い、W/O型乳化物をつくる。上記高分子
重合物を含む溶液は、高分子重合物を有機溶媒中に溶解
したものが、用いられる。該有機溶媒としては、沸点が
約120℃以下で、かつ水と混和しにくい性質のもの
で、高分子重合物を溶解するものであればよく、たとえ
ばハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン,クロロ
ホルム,クロロエタン,トリクロロエタン,四塩化炭素
など),脂肪酸エステル(例、酢酸メチル,酢酸エチ
ル,酢酸ブチルなど),エーテル類(例、エチルエーテ
ル,イソプロピルエーテルなど),炭化水素類(例、シ
クロヘキサン,n−ペンタン,n−ヘキサン,石油エー
テル,石油ベンジンなど),芳香族炭化水素類(例、ベ
ンゼン,トルエンなど)などが挙げられる。これらは2
種以上混合して用いてもよい。該乳化操作は、公知の分
散法が用いられる。該分散法としては、たとえば、断続
振とう法,プロペラ型撹拌機あるいはタービン型撹拌機
などのミキサーによる方法,コロイドミル法,ホモジナ
イザー法,超音波照射法などが挙げられる。または、薬
物(水溶性でも脂溶性でもよい)と高分子重合物を有機
溶媒または水と混和する溶媒と水との混液に溶解し、薬
物が不溶の場合には懸濁操作を行い、微細な粒子とした
S/O型懸濁物をつくる。この場合の有機溶媒として
は、前述のもの以外に水と混和し易い性質のものであっ
てもよく、たとえば、アセトン,アセトニトリル,テト
ラヒドロフラン,ジオキサン,ピリジン,アルコール類
(例、メタノール,エタノールなど)などが挙げられ、
これらは2種以上混合して用いても良い。あるいは薬物
と高分子重合物を均一に溶解する上記有機溶媒と水との
適当な比率の混合液を用いても良い。
乳化物あるいはS/O型懸濁物または溶液を、ノズルを
用いてスプレードライヤーの乾燥室内へ噴霧し、極めて
短時間に微粒化液滴内の有機溶媒および水を揮発させ、
粉粒状の微粒子製剤を調製する。ノズルとしては、二液
体ノズル型,圧力ノズル型,回転ディスク型などがあ
る。同時に微粒子製剤の凝集防止を目的として、凝集防
止剤水溶液を別ノズルから噴霧する。すなわち、ノズル
を2つ設置し、一方からはW/O型乳化物またはS/O
型懸濁物または薬物高分子重合物溶液を噴霧し、もう一
方からは凝集防止剤水溶液の適当量を噴霧して、微粒子
製剤表面にコーティングする。ノズルとして、二流体ノ
ズルあるいは圧力ノズルを使用する場合には、スプレー
ドライヤー中央部に2本設置してもよいが、薬物高分子
重合物溶液と凝集防止剤水溶液とをノズル内で混合せず
に別々に噴霧できるように2液噴霧用の構造とした各種
ノズルを用いると良い。
であれば加温し減圧下で微粒子製剤中の水分の除去およ
び微粒子製剤膜中の溶媒の除去をより完全に行なう。微
粒子製剤の粒子径は、徐放性の程度により、懸濁剤とし
て使用する場合には、その分散性,通針性を満足させる
範囲であればよく、たとえば、平均径として約0.5〜
400μmの範囲が挙げられ、より好ましくは約2〜2
00μmの範囲にあることが望まれる。このように、本
発明の方法によれば、水中乾燥法では避けることの出来
ない主薬の損失をすることなく、薬物の微粒子製剤への
取込率をほとんど100%にまで高めることができる。
さらに、油中乾燥法よりも使用する有機溶媒の量は少量
で済むことや、水中乾燥法では溶媒の除去に極めて長時
間を要していたが、その時間を大幅に短縮できることな
どから本発明方法は、工業的生産上極めて有利である。
また、本発明の微粒子製剤は、その表面に膜状に凝集防
止剤がコーティングされるため製造工程中で微粒子製剤
同士の凝集が少なく、球形状のよく整った微粒子製剤を
得ることができること、また、溶媒の除去工程の制御が
容易で、それによって、薬物放出速度を左右する微粒子
製剤の表面構造(たとえば薬物の主な放出経路となる細
孔の数および大きさなど)を調節することが出来ること
など多くの長所を有している。
用いられる。本発明の微粒子製剤は、そのまま細粒剤と
して生体に投与することができるが、また、種々の製剤
に成型して投与することもでき、そのような製剤を製造
する際の原料物質としても使用され得る。上記製剤とし
ては、注射剤、経口投与製剤(例、散剤、顆粒剤、カプ
セル剤、錠剤)、経鼻投与製剤、坐剤(例、直腸坐剤、
膣坐剤)などが挙げられる。これらの製剤中含有させる
薬物の量は、薬物の種類,投与剤型,対象とする疾患な
どにより変化し得るが、通常は、1製剤当たり約0.0
01mgから約5g、好ましくは約0.01mgから約2g
である。例えばTRHその塩およびその誘導体の場合、
通常は、1製剤当たり約0.1mgから約1g、好ましく
は約1mgから約500mg、特に好ましくは約3mgから約
60mgである。これらの製剤は、製剤工程において通常
一般に用いられる自体公知の方法により製造することが
できる。たとえば、本発明方法の微粒子製剤は分散剤
(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社
製、米国),HCO60(日光ケミカルズ製)、カルボ
キシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、
保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベン
ジールアルコール、クロロブタノールなど)、等張化剤
(例、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブ
ドウ糖など)などど共に水性懸濁剤に、あるいはオリー
ブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿実油、コーン油などの
植物油、プロピレングリコールなどに分散して油性懸濁
剤に成形し、注射剤とすることができる。
知の方法に従い、本発明の微粒子製剤をたとえば賦形剤
(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デン
プン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、
アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニ
ールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)
または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウ
ム、ポリエチレングリコール6000など)などを添加
して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、
腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコ
ーティングすることにより経口投与製剤とすることがで
きる。そのコーティング剤としては、例えばヒドロキシ
プロピルメチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロ
キシメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロー
ス,ポリオキシエチレングリコール,ツイーン80,ブ
ルロニックF68,セルロースアセテートフタレート,
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート,ヒド
ロキシメチルセルロースアセテートサクシネート,オイ
ドラギット(ローム社製,西ドイツ,メタアクリル酸・
アクリル酸共重合)および酸化チタン,ベンガラ等の色
素が用いられる。
知の方法に従い、本発明の微粒子製剤を固状、半固状ま
たは液状の経鼻投与剤とすることができる。たとえば、
上記固状のものとしては、該微粒子製剤をそのまま、あ
るいは賦形剤(例、グルコース、マンニトール、デンプ
ン、微結晶セルロースなど)、増粘剤(例、天然ガム
類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体など)などを
添加、混合して粉状の組成物とする。上記液状のものと
しては、注射剤の場合とほとんど同様で、油性あるいは
水性懸濁剤とする。半固状の場合は、水性または油性の
ゲル剤、あるいは軟膏状のものがよい。また、これらは
いずれも、pH調節剤(例、炭酸、リン酸、クエン酸、
塩酸、水酸化ナトリウムなど)、防腐剤(例、パラオキ
シ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザ
ルコニウムなど)などを加えてもよい。
に従い、本発明の微粒子製剤を油性または水性の固状、
半固状あるいは液状の座剤とすることができる。上記組
成物に用いる油性基剤としては、微粒子製剤を溶解しな
いものであればよく、たとえば高級脂肪酸のグリセリド
〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベ
ル社)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイ
ナマイトノーベル社)など〕、あるいは植物油(例、ゴ
マ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、
水性基剤としては、たとえばポリエチレングリコール
類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、た
とえば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合
体、アクリル酸重合体などが挙げられる。
類と含量、剤形、薬物放出の持続期間、投与対象動物
(例、マウス、ラット、ウマ、ウシ、人等の温血哺乳動
物)、投与目的により種々異なるが、該主薬の有効量で
あればよい。たとえば、成人(体重50kg)1人に1回
あたりの投与量として、微粒子製剤の重量が約1mgない
し10g、好ましくは約10mgないし2gの範囲から、
適宜選択することができる。例えばTRHその塩および
その誘導体含有微粒子製剤の場合、成人(体重50kg)
1人に1回あたりの投与量として該微粒子製剤の重量が
約5mgないし5g、好ましくは約30mgないし2g、特に
好ましくは約50mgないし1gの範囲から適宜選択する
ことができる。なお、上記注射剤として投与する場合の
懸濁液の容量は、約0.1ないし5ml、好ましくは約0.
5ないし3mlの範囲から適宜選ぶことができる。
物は公知の方法、例えば特開昭50−17525号,同
56−45920号,同57−118512号,同57
−150609号,同61−28521号,同62−5
4760号公報,ヨーロッパ特許公開第481732号
公報に記載の方法あるいはこれらに準じた方法に従い製
造することができる。
を有する。 (1)種々の投与剤形で薬物の徐放性が得られ、特に注
射剤においては期待される治療を行なうのに、長期間投
与が必要な場合、毎日投与するかわりに、1週間に1
回,一月間に1回,あるいは1年間に1回の注射で、所
望の薬理効果が安定して得られ、従来の徐放性製剤に比
較して、より長期にわたる徐放性が得られる。 (2)本発明の微粒子製剤を注射剤として投与する場合
は、埋込みなどの外科手術が一切不用で、一般の懸濁注
射剤とまったく同様に容易に皮下および筋肉内に投与で
き、再び取り出す必要がない。
の存在する局所などにも直接投与でき、全身での副作用
を軽減し、効率よく長期にわたりその標的器官に薬物を
作用させることができ、作用の増強が期待される。さら
に、加藤らによって提唱されている腎臓癌,肺癌などの
血管栓塞療法〔ランセット(Lancet II),第479〜
480頁,(1979年)〕の際の動脈内投与にも用い
ることが可能である。 (3)主薬の放出が連続的で、ホルモン拮抗剤,レセプ
ター拮抗剤の場合などにおいては、毎日の頻回投与より
も強い薬理効果が得られる。 (4)従来のW/O/W型の三相エマルションをつく
り、これを水中乾燥に付す製造法よりも、微粒子製剤中
に薬物を効率よく取込ませることができ、しかも微細
な、球状の整った微粒子製剤を得ることができる。 (5)水中乾燥法では不可能であった10〜50%の薬
物含量の微粒子製剤を得ることができる。 (6)水中乾燥法よりも溶媒の除去速度が速いため、微
粒子製剤の固化速度が速く、強固な構造の微粒子製剤が
出来るため、投与後の薬物の初期放出量を少なくするこ
とが可能である。 (7)薬物と高分子重合物を含む液だけをスプレードラ
イする方法よりも、微粒子製剤の凝集や付着が著しく少
ない。
験例及び実施例を挙げるが、本発明はこれらの例示のみ
に限定されるものではない。なお、以下において濃度を
表わすパーセント(%)は、重量/容量パーセント(W
/V%)を表わす。
し、乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸
=75/25,ポリスチレン換算平均分子量1200
0)9gを塩化メチレン25mlに溶解した液を加え、小
型ホモジナイザー(ポリトロン,キネマチカ社製,スイ
ス)で乳化してW/O型エマルションを得た。 (1)水中乾燥法(従来法、A法と略記する。) 上記W/O型エマルションを0.5%PVA水溶液50
0ml中でホモジナイザーを使用して(W/O)/W型エ
マルションとした。この後、通常のプロペラ撹拌機で3
時間ゆっくり撹拌し、(W/O)型エマルシヨンが塩化
メチレンの揮散と共に固化するのを待って遠心分離機で
捕集し、同時に精製水で水洗した。捕集されたマイクロ
カプセルは、一昼夜凍結乾燥することによって粉末とし
て得られた。 (2)スプレードライ法(本発明方法,B法と略記す
る。) 上記W/O型エマルションを一方の二流体ノズルで、流
速10ml/min で同時に、もう一方のノズルからは、2
%マンニトール水溶液を流速10ml/min で、スプレー
ドライヤーの乾燥室内へ噴霧して粉末のマイクロカプセ
ルを得た。この時の乾燥室入口温度は100℃,出口温
度50℃で、風量は80kg/hrで実施した。
プセルの諸特性を比較した結果を〔表1〕に示す。
速液体クロマトグラフィー(HPLC,装置:日立 L
−6300型装置,日立製)を用いて測定した。マイク
ロカプセル(50mg)を10mlの塩化メチレンに溶
解し、1/30モル・リン酸緩衝液(pH6.0,20
ml)で抽出し、緩衝液層に抽出された酢酸リュープロ
レリンをHPLCで定量した。検知には紫外吸収検知器
を用い、下記の条件で測定した。 カラム:ライクロソルブ(Lichrosorb)RP・15,長さ2
50mm,直径4mm カラム温度:30℃ 移動層:0.25モル・アセトニトリル(100ml)と
メチルアルコール(150ml)との混液 流速:0.7ml/分 紫外検知器の波長:280nm 薬物取込率は下式により計算した。 薬物取込率(%)=
−80を含む10mlの1/30モル・リン酸緩衝液
(pH7.0)中に懸濁する。この懸濁液を震盪容器を
用い1日震盪する。震盪後、マイクロカプセルを0.8
μmのミリポアフルターでろ取し、マイクロカプセル中
に残った酢酸リュープロレリンを上記1)薬物取込率の
測定方法で述べた方法で定量した。また同様にして、震
盪前のマイクロカプセル中の酢酸リュープロレリンを定
量した。1日での放出率は下式により計算した。1日で
の放出率(%)=
l,株式会社日科器製)に分散した。この分散液を10
0μmまたは280μmアパーチャーチューブを装置し
たマルチライザー〔コールター(Coulter)社製,米国)
により分析し、粒度分布を測定した。その結果、走査電
子顕微鏡で観察したマイクロカプセル表面は、A法によ
るものは非常に小孔が多く、B法によるものは小孔は殆
んど認められず、表面にマンニトールが膜状に均一にコ
ーティングされていた。薬物である酢酸リュープロレリ
ンの取込み率は、B法がA法よりも高かった。放出試験
での1日での薬物放出量(初期放出量)は、B法の方が
少なかった。粒度分布は、B法によるものの方がシャー
プであった。また、製造に要する時間は、A法で約24
時間だったのに対し、B法では約10分間と極めて短時
間であった。このように、総合的に比較してB法はA法
よりも極めて有用なマイクロカプセルの製造法であっ
た。
乳酸グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75
/25,平均分子量16000)9.0gをアセトン3
0mlと水3mlの混合溶媒に均一に溶解し、スプレードラ
イヤー中央にセットした2本の二流体ノズルのうちの一
方から、流速10ml/minで噴霧し、同時にマイクロカ
プセルの凝集防止用として、5%マンニトール水溶液を
もう一方のノズルから噴霧して、粉末のマイクロカプセ
ルを得た。マイクロカプセル中のTRH含量は、9.8
%(取込み率98%)で、pH7.0のM/30リン酸緩
衝液(37℃)中での1日での初期放出率は5%であっ
た。粒度分布は5〜50μm(平均 20μm)であり、
表面に小孔の少ない球形のマイクロカプセルであった。
水300mgに50℃で溶解し、ポリ乳酸(分子量21,
000)3,500mgを塩化メチレン4mlに溶解した液
に加え、ポリトロンで20秒間混合し、W/O型エマル
ションを得た。このW/O型エマルションを二重構造に
した回転ディスク型ノズルの一方(内側)から注入噴霧
し、0.5%ポリビニルアルコール(PVA)含有2%
マンニトール水溶液をもう一方(外側)から同時に注入
噴霧し、スプレードライヤーにて、粉末のマイクロカプ
セルを得る。
ル酸共重合体(2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸=5
0/50,平均分子量10000)9gとを水5mlとア
セトニトリル30mlの混液に溶解し、2液噴霧用の構造
にした二流体ノズル(三流体ノズル)の一番内側から噴
霧し、1%ゼラチン水溶液を内側から二番目に流して、
一番外側には、圧空を流すことによって微粒化噴霧し、
マイクロカプセルを得る。
ースナトリウム(Na−CMC)600mgとを水2mlに
60℃で溶解し、ポリ乳酸(分子量30000)10g
をクロロホルム40mlに溶解した液と混合、撹拌しW/
O型エマルションを得た。このW/O型エマルションを
一方の二流体ノズルから噴霧し、5%乳糖水溶液をもう
一方のノズルから同時に噴霧して、マイクロカプセルを
得る。
ル酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25,平均
分子量10000)4.5gをアセトニトリル15mlに
溶解し、一方の二流体ノズルから噴霧し、もう一方のノ
ズルから5%マンニトール水溶液を同時に噴霧して、マ
イクロカプセルを得た。
薬物の初期放出量の少なく、粒度分布がせまい、粒度の
そろった優れた微粒子製剤である。
Claims (16)
- 【請求項1】水溶性糖類、水溶性アミノ酸類、水溶性蛋
白質および水溶性セルロース類から選ばれる凝集防止剤
で膜状にコーティングされた薬物含有高分子重合物マイ
クロカプセル製剤(高分子重合物は脂肪族ポリエステ
ル、ポリ−α−シアノアクリル酸エステル、ポリアルキ
レンオキサレート、ポリオルソエステル、ポリオルソカ
ーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリエチレン
プロピレンカーボネートまたは(および)ポリアミノ酸
を示す)。 - 【請求項2】高分子重合物が脂肪族ポリエステルである
請求項1記載のマイクロカプセル製剤。 - 【請求項3】脂肪族ポリエステルがα−ヒドロキシカル
ボン酸類、α−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体類、
ヒドロキシジカルボン酸類またはヒドロキシトリカルボ
ン酸類の単独重合体または2種以上の共重合体、あるい
はこれら単独重合体および/または共重合体の混合物で
ある請求項2記載のマイクロカプセル製剤。 - 【請求項4】高分子重合物が乳酸グリコール酸共重合体
である請求項1記載のマイクロカプセル製剤。 - 【請求項5】注射用である請求項1〜4記載のマイクロ
カプセル製剤。 - 【請求項6】凝集防止剤がマンニトール、ソルビトー
ル、ラクトース、ブドウ糖またはショ糖である請求項1
〜5記載のマイクロカプセル製剤。 - 【請求項7】凝集防止剤がマンニトールである請求項1
〜5記載のマイクロカプセル製剤。 - 【請求項8】凝集防止剤の高分子重合物に対する配合比
が、高分子重合物1に対して重量比で約0.1ないし約
100倍である請求項1記載のマイクロカプセル製剤。 - 【請求項9】平均粒子径が約0.5〜400μmである
請求項1記載のマイクロカプセル製剤。 - 【請求項10】徐放性マイクロカプセル製剤である請求
項1記載のマイクロカプセル製剤。 - 【請求項11】薬物を含む高分子重合物溶液と、凝集防
止剤の水溶液とをそれぞれ別のノズルを用いて噴霧乾燥
器中で噴霧・接触させることを特徴とする、凝集防止剤
で膜状にコーティングされた薬物含有高分子重合物微粒
子製剤の製造方法。 - 【請求項12】薬物を含む高分子重合物溶液が、均一溶
液である請求項11記載の製造法。 - 【請求項13】薬物を含む高分子重合物溶液が、薬物を
含む水溶液を内相とし高分子重合物を含む溶液を外相と
するW/O型乳化物である請求項11記載の製造法。 - 【請求項14】薬物を含む高分子重合物溶液が、薬物微
粒子を含むS/O型懸濁物である請求項11記載の製造
法。 - 【請求項15】凝集防止剤が水溶性糖類である請求項1
1記載の製造法。 - 【請求項16】微粒子がマイクロカプセルである請求項
11記載の製造法。
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