JP4733277B2 - 徐放型マイクロカプセルの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、徐放型マイクロカプセルの製造法に関し、更に詳細には、水溶性薬物の持続性製剤として有用な徐放型マイクロカプセルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬活性物質は、ある一定の血中濃度範囲で薬効を発揮するが、その濃度範囲を越えると毒性を示しはじめ、有害作用の危険性が大きくなる。従って、薬剤は、医薬活性物質が上記血中濃度を越えないように投与する必要があり、特に長期に渡り薬物を投与する場合には、有害作用の発現しない薬物血中濃度に制御することが重要となる。
【0003】
ところで、ペプチド性医薬品には、ペプチドの薬理効果の発現機序により、a)薬理効果が体液中有効濃度にあまり依存せず、かつ過剰な薬理効果が生体にとって有害とならないものと、b)体液中有効濃度に依存して薬理効果が現れ、かつ急激な薬理効果の発現や過剰な薬理効果の発現が生体にとって有害であるために定期的に薬用量を調整する必要があるものとが存在する。そして、後者のタイプのペプチド性医薬品では、ペプチドの血中濃度を持続的に一定有効濃度範囲に保つことが極めて重要であるため、持続性製剤とする必要性が高い。
【0004】
医薬品の分野において、持続性製剤を得るための手段は、いくつか知られているが、その一つとして、放出性を制御したマイクロカプセルの利用が挙げられる。一般に、マイクロカプセルの放出性を制御する目的として、旧来から行われていた方法は、加水分解速度を変化させる方法( Biomaterials Vol.5、237−240(1984年))、および水溶性化合物をマイクロカプセルのマトリックス中に添加して、薬物放出の水路を作る方法などがある。
【0005】
しかしながら、前者の方法は、長期放出性を短縮することにつながるし、後者では初期バーストのみを増加させ、0次に近い連続した放出性は期待できないことがある( Chem. Pharm. Bull. Vol. 36 (4) 1502−1507(1988年))。また、後者の場合、初期薬物血中濃度の増加に伴う副作用の発現が危惧される。さらに、PLGAの乳酸/グリコール酸の重合比率を減少させて、この放出停止期を改良する方法(特開昭57−150609号)もあるが、これは重合物の分解速度を高める方法で、当然のことながら放出の持続期間が低下し、長期間の連続的放出には限界がある。
【0006】
このように旧来の方法では、満足のゆく持続性が得られないため、長期間の投与を必要とする薬物のマイクロカプセル化について、種々の剤型が提唱されている。例えば、特開昭57−118512号公報には、鉱物油、植物油などのコアセルベーション剤を用いた相分離法によるマイクロカプセル化が開示されている。また、特開昭60−100516号公報及び特開昭62−201816号公報には、内水相にゼラチン等の増粘物質を添加し、薬物保持率を向上させる水中乾燥法によるマイクロカプセルの調製法が開示されている。これらの方法によると、マイクロカプセル中に薬物を効率よく取り込ませることができ、初期放出の少ない良好なマイクロカプセルが得られるとされている。
【0007】
しかしながら、上記した方法も未だ十分に満足のゆくものとはいいうるものではなかった。例えば、マイクロカプセルに捕集される主薬の含量は仕込み量に対して10%前後であり(特開昭62−201816号公報、実施例)、必ずしも経済的な方法と言い難かった。また、増粘物質としてゼラチン等の抗原性に問題を有する添加物を使用することは、臨床使用上望ましいとはいえなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、増粘物質を使用することなく、主薬含量の高い徐放型マイクロカプセル剤を製造するための方法の提供が求められていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、水溶性薬物を放出制御性物質で一次乳化してW/Oエマルションとし、これを、一定方向に流れる水相に滴下し、二次乳化することで、増粘物質の添加なしに、十分な薬物を取り込んだ徐放型マイクロカプセルが得られることを見出した。また、この方法によれば、原料としての主薬の仕込量に対する最終製剤の歩留まりが飛躍的に向上することも見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、水溶性薬物を内水相に含み、放出制御性物質を含む溶液を外油相とするW/Oエマルションを、一定方向に流れる水相に滴下してW/O/Wエマルションを調製し、このエマルションを固化させることを特徴とする徐放型マイクロカプセルの製造法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明方法を実施するには、まず、水溶性薬物を内水相に含み、放出制御性物質を含む溶液を外油相とするW/Oエマルションを調製することが必要である(一次乳化)。
【0012】
本発明に用いられる水溶性薬物としては、水溶性であれば特に限定されず、生理活性を有するポリペプチド、その他の抗生物質、抗腫瘍剤、解熱剤、鎮痛剤、消炎剤、鎮咳去たん剤、鎮静剤、筋弛緩剤、抗てんかん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、抗凝血剤、止血剤、抗結核剤、ホルモン剤、麻薬拮抗剤などが挙げられる。
【0013】
本発明で用いられる水溶性薬物のうち、生理活性を有するポリペプチドとしては、2個以上のアミノ酸を含んでいるものであり、分子量約200ないし80,000のものが好ましい。このようなポリペプチドの一具体例としては、たとえば黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)や、これと同様の作用を有する誘導体であって、式(I)
(Pyr)Glu−R1−Trp−Ser−
−R2−R3−R4−Arg−Pro−R5 (I)
[R1はHis、Tyr、Trpまたはp−NH2−Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はGlyまたはD型のアミノ酸残基を、R4はLeu、IleまたはNleを、R5はGly−NH−R6(R6は水素原子または水酸基を有してもよい低級アルキル基)またはNH−R6(R6は前記と同じ意味を有する)をそれぞれ示す]
で表わされるポリペプチドまたはその塩が挙げられる[米国特許第3,853,837号、同第4,008,209号、同第3,972,859号、英国特許第1,423,083号、プロシ−ディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)第78巻第6509〜6512頁(1981年)参照]。
【0014】
上記式(I)において、R3で示されるD型のアミノ酸残基としては、たとえば炭素数が9までのα−D−アミノ酸(例、D−Leu、Ile、Nle、Val、Nval、Abu、Phe、Phg、Ser、Tyr、Met、Ala、Trp、α−Aibu)などがあげられ、それらは適宜保護基(例、t−ブチル、t−ブトキシ、t−ブトキシカルボニル、ナフチルなど)を有していてもよい。勿論ペプチド(I)の酸塩、金属錯体化合物もペプチド(I)と同様に使用することができる。
【0015】
上記式(I)の表記において、アミノ酸、ペプチド、保護基等に関し、略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に関し光学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
【0016】
なお、本明細書においては、上記(I)式においてR1=His、R2=Tyr、R3=D−Leu、R4=Leu、R5=NHCH2−CH3であるポリペプチドの一般名はリュープロレリンである。また、このポリペプチドは、LH−RH拮抗物質として挙げられている(米国特許第4,086,219号、同第4,124,577号、同第4,253,997号、同第4,317,815号参照)。
【0017】
また、生理活性を有するポリペプチドの別の例としては、たとえばインスリン、ソマトスタチン、ソマトスタチン誘導体(米国特許第4,087,390号、同第4,093,574号、同第4,100,117号、同第4,253,998号参照)、成長ホルモン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)、甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)その塩およびその誘導体(特開昭50−121273号、特開昭52−116465号公報参照)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、バソプレシン、バソプレシン誘導体[デスモプレシン[日本内分泌学会雑誌、第54巻第5号第676〜691頁(1978)]参照]、オキシトシン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、グルカゴン、ガストリン、セクレチン、パンクレオザイミン、コレシストキニン、アンジオテンシン、ヒト胎盤ラクト−ゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、エンケファリン、エンケファリン誘導体[米国特許第4,277,394号、ヨーロッパ特許出願公開第31567号公報参照]、エンドルフイン、キョウトルフイン、インターフェロン(α型、β型、γ型)、インターロイキン(I、II、III)、タフトシン、サイモポイエチン、サイモシン、サイモスチムリン、胸腺液性因子(THF)、血中胸腺因子(FTS)およびその誘導体(米国特許第4229438号参照)、およびその他の胸腺因子[医学のあゆみ、第125巻、第10号、835−843頁(1983年)]、腫瘍壊死因子(TNF)、コロニー誘発因子(CSF)、モチリン、デイノルフイン、ボムベシン、ニュウロテンシン、セルレイン、ブラデイキニン、ウロキナーゼ、アスパラギナーゼ、カリクレイン、サブスタンスP、神経成長因子、血液凝固因子の第VIII因子、第IX因子、塩化リゾチーム、ポリミキシンB、コリスチン、グラミシジン、バシトラシン、タンパク合成刺激ペプチド(英国特許第8232082号)、胃酸分泌抑制ポリペプチド(GIP)、vasoactive intestinal polypeptide(VIP)、platelet−derived growth factor(PDGF)、成長ホルモン分泌因子(GRF、ソマトクリニン)、bone morphagenetic protein(BMP)、上皮成長因子(EGF)などが挙げられる。
【0018】
また、ペプチド以外の水溶性薬物としては、次のようなものが挙げられる。
【0019】
( 抗 腫 瘍 剤 )
たとえば塩酸ブレオマイシン、メソトレキセート、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、硫酸ビスブラスチン、硫酸ビンクリスチン、塩酸ダウノルビシン、アドリアマイシン、ネオカルチノスタチン、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、テトラヒドロフリル−5−フルオロウラシル、クレスチン、ピシバニール、レンチナン、レバミゾール、ベスタチン、アジメキソン、グリチルリチン、ポリI:C、ポリA:U、ポリICLCなどが挙げられる。
【0020】
( 抗 生 物 質 )
例えばゲンタマイシン、ジベカシン、カネンドマイシン、リビドマイシン、トブラマイシン、アミカシン、フラジオマイシン、シソマイシン、塩酸テトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、塩酸ドキシサイクリン、アンピシリン、ピペラシリン、チカルシリン、セファロチン、セファロリジン、セフォチアム、セフスロジン、セフメノキシム、セフメタゾール、セファゾリン、セフォタキシム、セフォペラゾン、セフチゾキシム、モキソラクタム、チエナマイシン、スルファゼシン、アズスレオナムなどが挙げられる。
【0021】
( 解熱鎮痛消炎剤 )
たとえばサリチル酸ナトリウム、スルピリン、フルフェナム酸ナトリウム、ジクロフェナックナトリウム、インドメタシンナトリウム、塩酸モルヒネ、塩酸ペチジン、酒石酸レボルファノール、オキシモルフォンなどが挙げられる。
【0022】
( 鎮咳去たん剤 )
たとえば塩酸エフエドリン、塩酸メチルエフエドリン、塩酸ノスカピン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸アロクラマイド、塩酸クロフェジアノール、塩酸ピコペリダミン、クロペラスチン、塩酸プロトキロール、塩酸イソプロテレノール、硫酸サルブタモール、硫酸テレブタリンなどが挙げられる。
【0023】
( 鎮 静 剤 )
たとえば塩酸クロルプロマジン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、硫酸アトロピン、臭化メチルスコポラミンなどが挙げられる。
【0024】
( 筋 弛 緩 剤 )
たとえばメタンスルホン酸プリジノール、塩化ツボクラリン、臭化パンクロニウムなどが挙げられる。
【0025】
( 抗てんかん剤 )
たとえばフェニトインナトリウム、エトサクシミド、アセタゾラミドナトリウム、塩酸クロルジアゼポキシドなどが挙げられる。
【0026】
( 抗 潰 瘍 剤 )
たとえばメトクロプロミド、塩酸ヒスチジンなどが挙げられる。
( 抗うつ剤 )
たとえばイミプラミン、クロミプラミン、ノキシプチリン、硫酸フェネルジンなどが挙げられる。
【0027】
( 抗アレルギー剤 )
たとえば塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリペレナミン、塩酸メトジラジン、塩酸クレミゾール、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸メトキシフェナミンなどが挙げられる。
【0028】
( 強 心 剤 )
たとえばトランスパイオキソカンファー、テオフィロール、アミノフィリン、塩酸エチレフリンなどが挙げられる。
【0029】
( 不整脈治療剤 )
たとえば塩酸プロプラノール、塩酸アルプレノロール、塩酸ブフェトロール、塩酸オキシプレノロールなどが挙げられる。
【0030】
( 血管拡張剤 )
たとえば塩酸オキシフェドリン、塩酸ジルチアゼム、塩酸トラゾリン、ヘキソベンジン、硫酸バメタンなどが挙げられる。
【0031】
( 降圧利尿剤 )
たとえばヘキサメトニウムブロミド、ペントリニウム、塩酸メカミルアミン、塩酸エカラジン、塩酸クロニジンなどが挙げられる。
【0032】
( 糖尿病治療剤 )
たとえばグリミジンナトリウム、グリピザイド、塩酸フェンフォルミン、塩酸ブフォルミン、メトフォルミンなどが挙げられる。
【0033】
( 抗 凝 血 剤 )
たとえばヘパリンナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0034】
( 止 血 剤 )
たとえばトロンボプラスチン、トロンビン、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、アセトメナフトン、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、アドレノクロムモノアミノグアニジンメタンスルホン酸塩などが挙げられる。
【0035】
( 抗 結 核 剤 )
たとえばイソニアジド、エタンブトール、パラアミノサリチル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0036】
( ホルモン剤 )
たとえばコハク酸プレドニゾロン、リン酸ナトリウムプレドニゾロン、デキサメタゾン硫酸ナトリウム、ベタメタゾンリン酸ナトリウム、リン酸ヘキセストロール、酢酸ヘキセストロール、メチマゾールなどが挙げられる。
【0037】
( 麻薬拮抗剤 )
たとえば酒石酸レバロルファン、塩酸ナロルフィン、塩酸ナロキソンなどが挙げられる。
【0038】
一方、放出制御性物質としては、生体適合性を有し、水溶性薬物を持続的に放出可能な物質が挙げられる。また、乳化可能で親水基、新油基を有する物質で、ポリマーもしくは低分子量の物質である場合にも製造過程において重合する物質で被膜構造の形成可能な物質が望ましい。これらの例として、ポリ乳酸、あるいは乳酸/グリコール酸比率が100/0〜10/90の乳酸−グリコール酸のコポリマー、ヒアルロン酸もしくはその塩、コンドロイチン硫酸もしくはその塩等のムコ多糖類、界面重合可能なアミノ酸、ポリアスパラギン酸等の合成ポリアミノ酸等が挙げられる。本発明においてはこれらから選ばれる一種ないし二種以上を使用することができる。
【0039】
これらの水溶性薬物と放出制御物質を用いて、W/Oエマルションを調製するには、適当な溶媒に放出制御物質を溶解させた後、これに水溶性薬物を添加して攪拌・分散させ、次いで攪拌しつつこれに水性溶媒を添加し、更に攪拌すればよい。
【0040】
放出制御物質を溶解させるための溶媒は、使用される放出制御物質により相違するが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の溶媒が用いられる。このうち、より好ましい溶媒としては、溶媒1ml当り、放出制御物質を0.1〜5g溶解することができるものが挙げられる。また、水溶性薬物と放出制御物質の有機溶媒に混合される水性溶媒としては、精製水、イオン交換水、注射用水等の水や、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の常温で液体の多価アルコール等が用いられる。
【0041】
上記W/Oエマルションの調製における、水溶性薬物と放出制御物質の配合量割合は、使用する水溶性薬物の種類や放出制御物質の生体内における分解性の程度により影響されるため、最終的には実験的に定めるべきものであるが、一般には、水溶性薬物100重量部に対し、放出制御物質を50から100,000重量部程度とすれば良い。また、W/Oエマルションの調製における有機溶媒と水の使用割合は、有機溶媒100重量部に対し、0.1から100重量部程度とすればよい。
【0042】
更に、放出制御物質を溶解させた有機溶媒に水溶性薬物を添加する場合の攪拌は、2,000から15,000rpm程度で、10秒から5分間程度行えば良く、放出制御物質と水溶性薬物を溶解、分散した有機溶媒と水性溶媒を混合する場合の攪拌は、5,000から15,000rpm程度で、20秒から10分間程度行えば良い。
【0043】
このようにして、内水相に水溶性薬物を含み、外油相に放出制御性物質を含むW/Oエマルションが得られる。
【0044】
かくして得られたW/Oエマルションは、次に水相中に滴下され、W/O/Wエマルションが調製される(二次乳化)。
【0045】
この際に用いられる水相には、必要により乳化安定剤または分散助剤をそれぞれ単独か、若しくは組み合わせて添加することができる。このうち、乳化安定剤としては、ポリソルベート等の界面活性剤、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン等が挙げられ、これらの中の一種もしくは二種以上を組み合わせて使用しても良い。また、分散助剤としては、D−ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール、水溶性多糖類、アミノ糖等が挙げられ、これらの中の一種もしくは二種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0046】
これら乳化安定剤ないしは分散助剤の水相中への添加量は、特に制限されるものではないが、0.01から5W/V%程度とすることが好ましい。
【0047】
本発明においては、W/O/Wエマルションの調製(二次乳化)の際の、W/Oエマルションを滴下する水相が一定方向に流れていることが必要である。このような、一定方向の流れを作るためには、空気加圧式タンク、機械式のポンプ等の装置を用いることができ、水相の流速は、W/Oエマルションの滴下量によって変化するが、20cm/sec〜2,000cm/sec程度、好ましくは、50cm/sec〜1,000cm/sec程度である。
【0048】
なお、二次乳化におけるW/Oエマルションの配合割合は、水相100重量部に対し、0.01から20重量部程度であり、0.1から10重量部程度とすることがより好ましい。
【0049】
かくして得られたW/O/Wエマルションは、必要により乳化安定剤もしくは分散助剤を含有する水相中に、内水相に水溶性薬物を含み、外油相に放出制御性物質を含むW/Oエマルションが懸濁したものである。
【0050】
このW/O/Wエマルションから徐放型マイクロカプセルを得るには、当該エマルションの油相中から溶媒を揮発させて固化させればよい。油相中からの溶媒の揮発は、いわゆる液中乾燥により行うことができ、例えば、気流下の攪拌、減圧下の攪拌等を行えばよい。なお、液中乾燥を促進するために、二次乳化の際、用いられる水相にエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを添加することもできる。
【0051】
また、固化の後必要に応じて洗浄、乾燥させることができる。この洗浄は、遠心分離等により固形化した徐放型マイクロカプセルを分取し、次いで、これを水相中に分散させることにより行われる。なお、ここで使用される水相には、必要により、賦形剤ともなるD−マンニット等の糖アルコールもしくは糖類を加えても良い。
【0052】
このように洗浄された徐放型マイクロカプセルは、例えば、凍結乾燥等の手段で乾燥させれば、固体の徐放型マイクロカプセルとして得ることができる。
【0053】
以上のごとくして得られた徐放型マイクロカプセルは、外層に放出制御物質を含み、内層に水溶性薬物を含むものであるから、水溶性薬物は持続性をもって放出され、徐放効果が期待されるものである。
【0054】
この徐放型マイクロカプセルは、液体中に分散した液状のものであれば、点鼻液、点眼液、坐剤、注射液、液状経口投与剤等とすることができる。特に注射液として使用する場合にはプレフィルドシリンジ剤形とすることが好ましい。
【0055】
また、乾燥し、固形化したものは、そのままでも例えば細粒剤、注射用製剤等として使用することができるが、更に種々の製剤、例えば、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、注射用製剤等を製造する場合の原料として使用することもできるものである。
【0056】
【実施例】
次に実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0057】
実 施 例 1
乳酸・グリコール酸共重合体(3:1、平均分子量15,000/PLGA)400mgをジクロロメタン0.5mLに溶解した液を調製し、これに酢酸リュープロレリン45mgを加え、ポリトロンミキサーで1分間混合し(10,000rpm)、その後注射用水0.05mLを加え、更に2分間混合し(15,000rpm)、W/O型エマルションを得た。
【0058】
これとは別に、注射用水2Lにポリビニルアルコール(PVA)5gを加え、攪拌、溶解してPVA水溶液を調製し、80〜90℃に加熱した。この溶液を加圧タンク(元圧力2.5〜3.0kg/cm2)から一定方向に流出させ、その上から上記のW/O型エマルションを滴下して、W/O/W型エマルションとした。この際のPVA水溶液の流出速度は、約400cm/secであった。
【0059】
この後、W/O/W型エマルションをプロペラ撹拌機で3時間撹拌し、W/O型マイクロカプセルがジクロロメタンの揮散とともに固化するのを待って減圧濾過器で分取し、0.7%D−マンニトール水溶液に再分散させ、篩過し、バイアル24本に均等量充填し、凍結乾燥によって粉末として得られた。
【0060】
酢酸リュープロレリンの仕込量に対する最終的な製剤中の含量は48%であり、マイクロカプセルへの封入率(理論的な主薬:PLGA重量比を1として、出来上がり製剤の主薬およびPLGAを定量し、その主薬:PLGA比を理論値と相対して求める)は82%であった。
【0061】
実 施 例 2
乳酸・グリコール酸共重合体(3:1、平均分子量15,000)400mgをジクロロメタン0.5mLに溶解した液を調製し、この溶液に食用メロン色素500mgを水20mLに溶解した液を加え、ポリトロンミキサーで1分間混合し(10,000rpm)、その後注射用水0.05mLを加え、更に2分間混合して(15,000rpm)、W/O型エマルションを得た。
【0062】
以下、実施例1と同様に処理し、粉末としてマイクロカプセルが得られた。 このマイクロカプセル製剤中の食用メロン色素の含量及びマイクロカプセルへの封入率は実施例1と同様の結果であった。
【0063】
比 較 例 1
乳酸・グリコール酸共重合体(3:1、平均分子量15,000/PLGA)400mgをジクロロメタン0.5mLに溶解した液に、酢酸リュープロレリン45mgを加え、ポリトロンミキサーで1分間混合し(10,000rpm)、その後15.8%ゼラチン水溶液0.05mLを加え、更に2分間混合し(15,000rpm)、W/O型エマルションを得た。
【0064】
これとは別にポリビニルアルコール(PVA)1.25gを注射用水0.5Lに加え、攪拌、溶解してPVA水溶液を調製し、80〜90℃に加熱した。この溶液とW/O型エマルションをポリトロンミキサーで混合、攪拌し、W/O/W型エマルションとした(回転数:15,000rpm、注入速度:0.2mL/3〜4sec)。
【0065】
この後、W/O/W型エマルションをプロペラ撹拌機で3時間撹拌し、W/O型マイクロカプセルがジクロロメタンの揮散とともに固化するのを待ってポアサイズ0.45μmの減圧濾過器で分取し、0.7%D−マンニトール水溶液に再分散させ、篩過し、バイアル24本に均等量充填し、凍結乾燥によって粉末として得られた。
【0066】
酢酸リュープロレリンの仕込量に対する最終的な製剤中の含量は22%であり、マイクロカプセルへの封入率は87%であった。
以 上

Claims (7)

  1. 水溶性薬物を内水相に含み、放出制御性物質を含む溶液を外油相とするW/Oエマルションを、一定方向に流れる水相に滴下してW/O/Wエマルションを調製し、このエマルションを固化させることを特徴とする徐放型マイクロカプセルの製造法。
  2. W/Oエマルションを滴下する水相が、乳化安定剤および/または分散助剤を含有するものである請求項第1項記載の徐放型マイクロカプセルの製造法。
  3. 水溶性薬物が生理活性ペプチドである請求項第1項または第2項記載の徐放型マイクロカプセルの製造法。
  4. 放出制御性物質が、ポリ乳酸、乳酸/グリコール酸のコポリマー、ヒアルロン酸またはその塩、コンドロイチン硫酸またはその塩、ポリアスパラギン酸から選ばれる一種ないし二種以上である請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の徐放型マイクロカプセルの製造法。
  5. 乳化安定剤が、界面活性剤、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースまたはレシチンから選ばれる一種ないし二種以上である請求項第2項ないし第4項の何れかの項記載の徐放型マイクロカプセルの製造法。
  6. 分散助剤が、糖アルコール、水溶性多糖類またはアミノ糖から選ばれる一種ないし二種以上である請求項第2項ないし第5項の何れかの項記載の徐放型マイクロカプセルの製造法。
  7. 一定方向に流れる水相の流速が20cm/sec〜2,000cm/secである請求項第1項ないし第6項の何れかの項記載の徐放型マイクロカプセルの製造法。
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