JP3790270B2 - 翼部を有する船の船首材ダクト - Google Patents
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Description
発明の背景
本発明は流体力学の技術分野に関し、より詳細には帆船のフロー特性を改善するための手段及び方法に関する。特に本発明は、翼部を有する船の船首材ダクトに関し、船のフロー特性を顕著に改善するものである。
先行技術
一般に船の技術においては、船がこうむる摩擦抵抗及び波の抵抗を削減し、よって船が越えて行く高密度の水塊を分けての航行を改善するための努力がなされている。そのため、特に船がこうむる船首波の高さを制限するための技術が確立され、この技術に従って船体の船首部分はバルブ状つまりボール状形状に変形されている。このようにして、船がこうむる波の抵抗を削減する。
しかしながら、船の前面、特に前進し水を分けて船を推進する工程に関与する拡大船首領域は、非常に幅広である。推進抵抗が船の速度の二乗に正比例することを考慮すると、この抵抗を克服するのに必要な動力の増加もまた、正比例する。
この問題を解決し、推進抵抗及び船の前面がこうむる波のエネルギーを削減するために、船首材にダクトを取り付けることが過去に提案されている(E.E. Petromanolakis, 国際特許出願公開第WO 92/22456号)。船がこのダクトを通して水塊に衝突すると、ダクトは船の水線より上方及び下方の高さに延長しているが船の前面全体には延長していないので、船の推進によって生成する波の抵抗が削減されることが期待される。しかしながら、波の抵抗を吸収する作用を示すこのようなダクトでは、ダクト中の流れと船体の前面周囲の海水流との間で僅かな変動は可能であったが、これを顕著に区別することはできなかったため、期待された結果を得ることはできなかった。先行技術における他の試み、例えばフランス特許公開第FR-A-1 017897では、船の推進中に発生する波の抵抗を削減することができなかっただけでなく、船のメインエンジンから動力を供給する必要のある可動部品を含んでいたため、否定的な結果を得ている。船の推進のために必要な動力に関する限り、この結果は否定的である。
さらに、国際特許出願公開第WO-A-82 03055(SEE)は水を船の船首から船尾に搬送するパイプを、回転要素の推進のためにこの点で使用することを提案している。これは全く異なる観点である。さらに、摩擦、乱流等のため、これを実行することができるかどうかは全く不明である。
上述の問題と同じ課題を解決しようと試みた先行技術の他の文献としては、DE-C-931090(Kuckuck)、DE-A-30 45977(M.A.N.AG)、DE-A-3508203(WIESER)、及びFR-A-847445(TISCHENBACH)がある。
これらの特許のほとんどは、いかなる種類の流体力学的区域、特に翼部は開示しておらず、ダクト外部の流れと比して、ダクト内部に規定された通路内に区別された流れを創生することを達成していない。先行技術の文献では、一方では開放端と閉鎖されていない底部を有し、他方では船の水線上方の不十分な高さに延長しているため、この必要な区別された条件を創生していない。特徴的には、DE-C-931090は船体の水線上方のダクトの高さを、ダクトが水線上方に見えるようにすることを明細書中に規定し、図面に示しているが、これはダクトの外側の流れとダクト内部の流れとの分離を確実にすることができない高さである。
提案された船首材ダクトについての実験的研究により、ダクト内部の水流を増加させ、これに対応して船首材ダクト内部の圧力を低下させ、ダクトより下流の流れを低圧化させることについて、最適な結果を達成するためには、翼部の形状及び船首に対するダクトの向きが非常に重要であることが証明された。引用された先行技術の特許の多くは、凹状の内側表面を有する翼部が一例として挙げられているように、不利な翼部形状を有しているか、若しくは連続的に分岐する流れ通路を形成する向きが一例として挙げられているように、ダクト内部に不利な水流条件を創生するようにダクトを配置しているため、有利な結果を提供していない。
よって、本発明の主要な目的は、上記の不利な点及び先行技術の欠点を効果的に回避し、船首材ダクト内部の流れと船首材ダクトの外側の流れの特性が確実に区別されるような形状と向きを有する船首材ダクトを提案して、船首材ダクトと船首前面との間の通路中の水流速度を、この通路の外側の水流速度に比して増加させ、それにより船首材ダクト内部の圧力を低下させ、船首材ダクトより下流の流れを低圧化させることにより、比例的に船の推進に対する抵抗を低下させることにある。このようにして、船の滑りが改良され、その結果速度の増加及び/又は動力消費の低下が達成されると共に、これに対応して燃料消費が削減される。
本発明のさらなる目的は、ダクトの外側表面の周囲の速度及び圧力に対して、ダクト内部の水流速度を増加させ、圧力を低下させる結果を有利にもたらすような配向及び翼部形状を有する、提案された船首材ダクトを提供することにあり、最適なダクトの向き及び翼部形状は、凸状内側表面を有し、船首の各側に流れ通路を形成する翼部のものであり、これはまず収束し、次いで船体の後方方向に分岐する。
以下に本発明の好ましい実施態様を列挙する。
1.対向する船首側面及び船首前面を有する船首を備える船体(1)に使用するための船首材ダクト(2)であって、該船首材ダクトは、船体(1)の船首に載置し、船首前面に近接して且つ上方に、対向する船首側面上に延長するように適合された側壁部分を有し、該船首材ダクト(2)の内側表面と船首との間に水流通路(7)が規定され、前記船首材ダクト(2)は、船首の外側に載置され、船首前面の後方及び前方に延長し、閉鎖された底部端を有し、前記側壁部分は、船体の移動時に水線より上の高さに延長し、船体のいかなる負荷条件下においても、前記水流通路(7)中を流れる水が該水流通路の外側を流れる水と混合することを防止し、前記側壁部分の各々は船体(1)の略長手方向に延長する翼部を含み、前記翼部は船体の対向船首側面上に、前記水流通路(7)の少くとも一つの入口開口を規定する前縁と、前記水流通路(7)の少くとも一つの出口開口を規定する後縁とを有し、前記翼部は凸状内側表面を有し、前記水流通路は収束し、次いで船体の後方方向に分岐し、前記凸状内側表面は、前記船首材ダクト(2)の外側表面周囲を流れる水の速度に対して前記水流通路中を流れる水の速度を増加させ、前記船首材ダクト(2)内の圧力を低下させ、該船首材ダクト(2)より下流の流れを低圧化し、前記船首材ダクトは、翼部を備える垂直に離隔するガイドプレートを含み、該プレートは前記水流通路(7)内に配置され、船体の略長手方向に延長するように適合され、前記水流通路(7)内の層水流を強化し、前記ガイドプレートの翼部は、その前縁が前記水流通路(7)の入口開口に位置し、その後縁が前記水流通路(7)の出口開口に位置するように配向され、前記垂直に離隔するガイドプレートは、前記側壁部分の各々の前記内側表面及び/又は各対応する前記船首側面に載置され、及び/又は該ガイドプレートには前記側壁部分と前記船首側面との間の距離方向に沿って又はこれを横切って溝穴が設けられ、前記水流通路(7)内の水流の垂直方向の連通を可能にすることを特徴とする、船首材ダクト。
2.前記船首材ダクトが、対向船首側面の形状に実質的に沿って形成され、該ダクトの壁部分と前記対向船首側面との間が実質的に等しい距離であることを特徴とする、上記1に記載の船首材ダクト。
3.前記翼部が、対向船首側面に載置するように適合され、翼部の上方端が船体(1)の船首前面の各側に溶接されて閉鎖され、外辺を閉鎖された船首材ダクト(2)を規定することを特徴とする、上記1に記載の船首材ダクト。
4.前記船首材ダクトが、対向船首側面に載置されるように適合された支持要素(4)を含み、該船首材ダクト(2)が船体(1)の各側で頂部が部分的に開放していることを特徴とする、上記1に記載の船首材ダクト。
5.前記船首材ダクトが平坦な外表面を有する、上記1に記載の船首材ダクト。
6.前記船首材ダクトが凹状外表面を有する、上記1に記載の船首材ダクト。
7.前記対向船首側面を適切に幅狭とすることと組み合わせて船体に載置される、上記2に記載の船首材ダクト。
8.上記1から上記7の翼部を備える船の船首材ダクトであって、前記ダクトの船首上の位置、該翼部の外形、船体の水線の上方及び下方の前記ダクトの高さ、流れ後方に沿ったダクトの長さ、船体の対称軸に対するダクトの傾斜、及び船体からのダクトの距離が、船体の形態、船体の係数、及び船体の速度に従って決定される、船首材ダクト。
本発明のこれら全て及び他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明において明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
本発明は、説明的且つ非限定的な発明の実施態様を示す添付図面を参照することにより当業者に明らかとなるであろう。
図1は、推進抵抗低下船首材ダクトを備えていない、バルブ/ボール船首材を有する船の側面図である。
図2は、船の推進の間に形成される流線図を備える、図1の船の船首部分の頂面図である。
図3は、図1の船の本体前方部分の前面図である。
図4は、翼部を有する船首材ダクトを追加的に備えた、バルブ/ボール船首材を有する船の側面図であり、この船首材ダクトは船首形状に略沿っており、頂部で閉鎖され、船体側面に溶接されている。
図5は、図4の船の水線に沿った断面頂面図である。
図6は、図4の船の船体前方部分の正面図である。
図7は、船の推進の間に形成される流線図を備える、図4の船の船体前方部分の断面頂面図である。
図8は、一組の支持要素を介して船体側面に取付けられた翼部の船首材ダクトを追加的に備えた、バルブ/ボール船首材を有する船の側面図である。
図9は、図8の船の水線に沿った断面頂面図である。
図10は、図8の船の船体前方部分の前面図である。
図11は、船首材ダクトが正にステムラインから始まり、船体のラインに略沿っている、バルブ/ボール船首材を有する船の側面図である。
図12は、船首材ダクトの内部に、船首材ダクト中に層流を形成するように長手方向に配置される一組の平行なプレートを設けた船の側面図である。
図13は、図12の船の船体前方部分の断面頂面図である。
図14は、図12の船の船体前方部分の前面図である。
図15は、船首材ダクトが船のステムラインと異なる形状を有する船の船体前方部分の側面斜視図である。
図16は、一般的な船体、バルブ/ボール船首材を有する船体、及び本発明の船首材ダクトを設けた船体の馬力/速度図である。
好ましい実施態様の詳細な説明
添付図面を参照して、本発明の特定の好ましい説明的実施態様を説明する。
まず図1、図2、及び図3には、バルブ/ボール3を有するが、本発明の船首材ダクトを備えていない船体1の側面斜視図、頂面図、及び前面図が示される。特に図2に示されるように、船首前面周囲の流体流線は、船首前面の両側において船首材の前と後とで同じ密度を維持している。図7に概略的説明的に示すように船首前面周囲に本発明の船首材ダクトを設けたことによる効果は、流れ特性の区別、及び特に船首材ダクトの下流の流線5の密度の低下にある。
図4、図5、及び図6には、バルブ/ボール3を有し、本発明の翼部船首材ダクト2を設けた船体1の側面斜視図、頂面図、及び前面図が示される。当然ながら、ダクトはバルブ/ボールを有していない船にも設置することができる。
本発明の船首材ダクト2は、船体1の船首部分の前面の両側面に設けられ、船体の水線の上方及び下方の高さに延長する。船体の水線上方のダクト2の高さは、好ましくはダクトの上方部分が予期される最大波高さ、例えば水線上方5〜6mを越える程度である。いかなる場合においても、提案された船首材ダクトは、船のいかなる負荷状態においても水より上の高さであり、ダクト内の流れがダクト外側の流れから分離されるように延長する。
水線より下では、ダクトは、もしあればバルブ/ボール3に届くことができ、若しくはバルブ/ボール3を覆って内部に隠すこともできる。
ダクト2は、ステムラインの形態つまり外形に略沿っており、底部で閉鎖される。ダクトは流れ方向、つまり船首から船尾へ延長することができ、若しくはその中間位置を占めることもできる。好ましくは、ダクトが船首の前方流れ方向にその長さの約半分突出するように位置が選択される。ダクト2は頂部で一部又は完全に開放又は閉鎖することができ、ダクト内部の流れがダクト外部の流れから完全に分離される条件を常に満たしている。
図4、図5、図6において、ダクトは、船体側面に溶接取付けされた、頂部で閉鎖する収束壁を備えて示され、図8、図9、及び図10においては、頂部が開放し、適切な一組の支持要素4を介して船体側面に取付けられた船首材ダクト2を備える船体が示される。
このような支持要素4を用いる場合、支持要素は好ましくは、両側面が凸状で流れ方向に配置される流体力学的部分を有していなければならないが、若しくはいかなる慣用の形状の管であってもよい。
図4、図5、及び図6に示した頂部が閉鎖したダクトの形状において、及び図8、図9、及び図10に示した、頂部が開放し、支持要素4を介して船体1に取付けられたダクト2の形状において、ダクトは垂直方向の船首概略形状に略沿っていることが示される。しかしながら、ダクトは異なる形状とすることも可能である。よってダクトは船首前面の周囲にいかなる外形で、図15の側面斜視図によって例示されるように、船首前面の垂直方向の概略形状とは異なるいかなる形状においても、配置することができる。
船首材ダクトを設けた船のステムラインは、船が静止位置にある場合に、鉛直に対して平行でも傾斜していてもよい。ダクト2の周囲の入射線もまた傾斜していてもよく、この傾斜はステムラインの傾斜と同様でも異なっていてもよい。図11に説明的に示すように、ダクト2の入射線はステムラインに完全に沿っている。
ダクト2は一般にいかなる船首外形にも使用することができる。一例として、海水の入射線に沿って適切に幅狭とされた船首が好ましい。
本発明において提案された船首材ダクトを設置する場合、ダクト2の内側表面と船首前面との間の流れのために、通路7が形成される。流れ通路7は、船体の各側の水流のために、少くとも一つの入口開口及び少くとも一つの出口開口を含む。本発明のダクト2の特徴は、ダクト壁が船体1の両側に、前述の少くとも一つの入口開口から前述の少くとも一つの出口開口までの流れの長手方向の翼部を有することにある。この翼部は、前述の少くとも一つの流れ入口開口にある前縁と、前述の少くとも一つの流れ出口開口にある後縁とを有する。
翼部ダクト2の凸状側面はダクトの内側表面を構成し、翼の理論によって知られるように、ダクトの外側よりも、より高い流速及びそれに対応するより低い圧力が凸状内側に創生される。ダクトの外面は、平坦であっても僅かに凹状表面であってもよい。従って、本発明のダクト2のこのような部分は、ダクト2の外壁周囲を流れる水塊に比して、通路7中を通過する水塊の速度を増加させる。この流れ速度の差異により、ダクト内に圧力降下が生じ、ダクト2の下流に低圧が生じ、よって船首の周囲に改善された層流が生じ、船首波高が低下し、その結果船体のすべりがよくなる。
図12、図13、及び図14に示すように、提案された翼部ダクトは、改善された層流を生じるために、内側に長手方向に取付けられた一連の突出ガイドプレート6を備えてもよい。ガイドプレート6は好ましくは翼部を有し、その前縁が前述の流れ入口開口に、その後縁が流れ出口開口にくるように配置される。これらのガイドプレートの各々は、ダクトの側壁部分の各内側表面と対応する各船首側面との両方に載置しても、ダクトの側壁部分又は対応する船首側面の一つに載置してもよい。ダクトの側壁部分と船首側面との間の距離に沿って又はこれを横切って溝穴を設けて、連続するガイドプレート間の流れ通路内の水流の垂直方向の連通を可能としてもよい。
同様に一連の突出ガイドプレートをダクトの外表面に設けても良い。
翼係数CD=0.012、CL=1.3の本発明のダクトを用いたモデルで実験を行った。これらの実験から流れ特性に改善が見られた。従って、船について、えい航抵抗は約7.5%減少し、対応して約10%〜12%の馬力の省力が達成された。
上記の実験データの実際の船への修正をフルード(FROUDE)法によって行った。上記の実験は、梯子、プロペラ等を備えていない無装飾の船体モデルで行った。結果を添付の表に示すが、この表において、異なる値の速度について馬力の値を示す。3つのケースを示す:小さなバルブを有するが本発明のダクトを備えていない船体のケース(ケースA)、本発明を先行技術と比較するための、National Technical University of Athensによって特別に設計された改良されたバルブを有する同様の船体のケース(ケースB)、及びケースAと同様に小さいバルブを有する船体に、本発明の船首材ダクトを設置したケース(ケースC)。添付の表中のパーセンテージは、ケースAの小さいバルブを有するが船首材ダクトを備えていない船体と比較した場合の、馬力の相対的な増加(+)又は低下(−)を示す。同じ結果を図16の線図にも示す。
提案された船首材ダクトについて、その船首上の位置、船体の水線より上方及び下方の高さ、流れ方向の長さ、船体の対称軸に対する傾斜、及び船体からの距離は船首の外形、船体係数、及び船体速度によって決定される。
ここで、本発明をいくつかの説明的な実施態様を参照して説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではないことに言及しておく。従って、翼部を有する提案された船首材ダクトの形状、大きさ、寸法、材質、構造、及び組立て部品のいかなる変更、改変も、新たな進歩性を構成しない限り、また先行技術の技術的革新に貢献しない限り、本発明の目的及び範囲に含まれるものと考えられる。
CD=0.012、CL=1.3の特定の翼について前述のモデルにおいてなされた実験の分析から、ダクトの位置、つまり船体の対称軸に対する翼の傾斜を決定するための以下の式が得られ、これらの値は以下の式によって決定される間の範囲内になければならない。
A2−A1=0.0425L±0.005L
式中、添付図面図5に示すように、A1はダクトの内側表面と船首前面との間の最短距離、A2はダクトの後端と船首前面との間の距離であり、A2はダクトの後端の最内方端から測定したものである。A1及びA2のどちらも、同じ水線に沿って測定したものであり、Lは流れ方向における翼部の長さである。結果として、本発明の好ましい実施態様は、海水中の全ての水線は上記の式を満たし、翼部の傾斜は全ての水線上で可能な限り一定に維持されることを示している。当然、上記の式はダクト翼部及びその船首前面からの距離の値の好ましい範囲を規定している。上記より、提案された船首材ダクトの船首前面に対する好ましい向きは、船首材ダクトの内側表面と、船首の両側の船首との間の水流通路はまず収束し、次いで船体の後方方向に分岐することがわかる。
本発明の翼部船首材ダクトの実験的適用は、既に実際の船体、特にロードアイランドで登録されたDANE SEALINE所有のギリシャ船籍のF/B RODOSについて行われている。この実験的適用では非常に満足な結果を得ている。
本発明は流体力学の技術分野に関し、より詳細には帆船のフロー特性を改善するための手段及び方法に関する。特に本発明は、翼部を有する船の船首材ダクトに関し、船のフロー特性を顕著に改善するものである。
先行技術
一般に船の技術においては、船がこうむる摩擦抵抗及び波の抵抗を削減し、よって船が越えて行く高密度の水塊を分けての航行を改善するための努力がなされている。そのため、特に船がこうむる船首波の高さを制限するための技術が確立され、この技術に従って船体の船首部分はバルブ状つまりボール状形状に変形されている。このようにして、船がこうむる波の抵抗を削減する。
しかしながら、船の前面、特に前進し水を分けて船を推進する工程に関与する拡大船首領域は、非常に幅広である。推進抵抗が船の速度の二乗に正比例することを考慮すると、この抵抗を克服するのに必要な動力の増加もまた、正比例する。
この問題を解決し、推進抵抗及び船の前面がこうむる波のエネルギーを削減するために、船首材にダクトを取り付けることが過去に提案されている(E.E. Petromanolakis, 国際特許出願公開第WO 92/22456号)。船がこのダクトを通して水塊に衝突すると、ダクトは船の水線より上方及び下方の高さに延長しているが船の前面全体には延長していないので、船の推進によって生成する波の抵抗が削減されることが期待される。しかしながら、波の抵抗を吸収する作用を示すこのようなダクトでは、ダクト中の流れと船体の前面周囲の海水流との間で僅かな変動は可能であったが、これを顕著に区別することはできなかったため、期待された結果を得ることはできなかった。先行技術における他の試み、例えばフランス特許公開第FR-A-1 017897では、船の推進中に発生する波の抵抗を削減することができなかっただけでなく、船のメインエンジンから動力を供給する必要のある可動部品を含んでいたため、否定的な結果を得ている。船の推進のために必要な動力に関する限り、この結果は否定的である。
さらに、国際特許出願公開第WO-A-82 03055(SEE)は水を船の船首から船尾に搬送するパイプを、回転要素の推進のためにこの点で使用することを提案している。これは全く異なる観点である。さらに、摩擦、乱流等のため、これを実行することができるかどうかは全く不明である。
上述の問題と同じ課題を解決しようと試みた先行技術の他の文献としては、DE-C-931090(Kuckuck)、DE-A-30 45977(M.A.N.AG)、DE-A-3508203(WIESER)、及びFR-A-847445(TISCHENBACH)がある。
これらの特許のほとんどは、いかなる種類の流体力学的区域、特に翼部は開示しておらず、ダクト外部の流れと比して、ダクト内部に規定された通路内に区別された流れを創生することを達成していない。先行技術の文献では、一方では開放端と閉鎖されていない底部を有し、他方では船の水線上方の不十分な高さに延長しているため、この必要な区別された条件を創生していない。特徴的には、DE-C-931090は船体の水線上方のダクトの高さを、ダクトが水線上方に見えるようにすることを明細書中に規定し、図面に示しているが、これはダクトの外側の流れとダクト内部の流れとの分離を確実にすることができない高さである。
提案された船首材ダクトについての実験的研究により、ダクト内部の水流を増加させ、これに対応して船首材ダクト内部の圧力を低下させ、ダクトより下流の流れを低圧化させることについて、最適な結果を達成するためには、翼部の形状及び船首に対するダクトの向きが非常に重要であることが証明された。引用された先行技術の特許の多くは、凹状の内側表面を有する翼部が一例として挙げられているように、不利な翼部形状を有しているか、若しくは連続的に分岐する流れ通路を形成する向きが一例として挙げられているように、ダクト内部に不利な水流条件を創生するようにダクトを配置しているため、有利な結果を提供していない。
よって、本発明の主要な目的は、上記の不利な点及び先行技術の欠点を効果的に回避し、船首材ダクト内部の流れと船首材ダクトの外側の流れの特性が確実に区別されるような形状と向きを有する船首材ダクトを提案して、船首材ダクトと船首前面との間の通路中の水流速度を、この通路の外側の水流速度に比して増加させ、それにより船首材ダクト内部の圧力を低下させ、船首材ダクトより下流の流れを低圧化させることにより、比例的に船の推進に対する抵抗を低下させることにある。このようにして、船の滑りが改良され、その結果速度の増加及び/又は動力消費の低下が達成されると共に、これに対応して燃料消費が削減される。
本発明のさらなる目的は、ダクトの外側表面の周囲の速度及び圧力に対して、ダクト内部の水流速度を増加させ、圧力を低下させる結果を有利にもたらすような配向及び翼部形状を有する、提案された船首材ダクトを提供することにあり、最適なダクトの向き及び翼部形状は、凸状内側表面を有し、船首の各側に流れ通路を形成する翼部のものであり、これはまず収束し、次いで船体の後方方向に分岐する。
以下に本発明の好ましい実施態様を列挙する。
1.対向する船首側面及び船首前面を有する船首を備える船体(1)に使用するための船首材ダクト(2)であって、該船首材ダクトは、船体(1)の船首に載置し、船首前面に近接して且つ上方に、対向する船首側面上に延長するように適合された側壁部分を有し、該船首材ダクト(2)の内側表面と船首との間に水流通路(7)が規定され、前記船首材ダクト(2)は、船首の外側に載置され、船首前面の後方及び前方に延長し、閉鎖された底部端を有し、前記側壁部分は、船体の移動時に水線より上の高さに延長し、船体のいかなる負荷条件下においても、前記水流通路(7)中を流れる水が該水流通路の外側を流れる水と混合することを防止し、前記側壁部分の各々は船体(1)の略長手方向に延長する翼部を含み、前記翼部は船体の対向船首側面上に、前記水流通路(7)の少くとも一つの入口開口を規定する前縁と、前記水流通路(7)の少くとも一つの出口開口を規定する後縁とを有し、前記翼部は凸状内側表面を有し、前記水流通路は収束し、次いで船体の後方方向に分岐し、前記凸状内側表面は、前記船首材ダクト(2)の外側表面周囲を流れる水の速度に対して前記水流通路中を流れる水の速度を増加させ、前記船首材ダクト(2)内の圧力を低下させ、該船首材ダクト(2)より下流の流れを低圧化し、前記船首材ダクトは、翼部を備える垂直に離隔するガイドプレートを含み、該プレートは前記水流通路(7)内に配置され、船体の略長手方向に延長するように適合され、前記水流通路(7)内の層水流を強化し、前記ガイドプレートの翼部は、その前縁が前記水流通路(7)の入口開口に位置し、その後縁が前記水流通路(7)の出口開口に位置するように配向され、前記垂直に離隔するガイドプレートは、前記側壁部分の各々の前記内側表面及び/又は各対応する前記船首側面に載置され、及び/又は該ガイドプレートには前記側壁部分と前記船首側面との間の距離方向に沿って又はこれを横切って溝穴が設けられ、前記水流通路(7)内の水流の垂直方向の連通を可能にすることを特徴とする、船首材ダクト。
2.前記船首材ダクトが、対向船首側面の形状に実質的に沿って形成され、該ダクトの壁部分と前記対向船首側面との間が実質的に等しい距離であることを特徴とする、上記1に記載の船首材ダクト。
3.前記翼部が、対向船首側面に載置するように適合され、翼部の上方端が船体(1)の船首前面の各側に溶接されて閉鎖され、外辺を閉鎖された船首材ダクト(2)を規定することを特徴とする、上記1に記載の船首材ダクト。
4.前記船首材ダクトが、対向船首側面に載置されるように適合された支持要素(4)を含み、該船首材ダクト(2)が船体(1)の各側で頂部が部分的に開放していることを特徴とする、上記1に記載の船首材ダクト。
5.前記船首材ダクトが平坦な外表面を有する、上記1に記載の船首材ダクト。
6.前記船首材ダクトが凹状外表面を有する、上記1に記載の船首材ダクト。
7.前記対向船首側面を適切に幅狭とすることと組み合わせて船体に載置される、上記2に記載の船首材ダクト。
8.上記1から上記7の翼部を備える船の船首材ダクトであって、前記ダクトの船首上の位置、該翼部の外形、船体の水線の上方及び下方の前記ダクトの高さ、流れ後方に沿ったダクトの長さ、船体の対称軸に対するダクトの傾斜、及び船体からのダクトの距離が、船体の形態、船体の係数、及び船体の速度に従って決定される、船首材ダクト。
本発明のこれら全て及び他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明において明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
本発明は、説明的且つ非限定的な発明の実施態様を示す添付図面を参照することにより当業者に明らかとなるであろう。
図1は、推進抵抗低下船首材ダクトを備えていない、バルブ/ボール船首材を有する船の側面図である。
図2は、船の推進の間に形成される流線図を備える、図1の船の船首部分の頂面図である。
図3は、図1の船の本体前方部分の前面図である。
図4は、翼部を有する船首材ダクトを追加的に備えた、バルブ/ボール船首材を有する船の側面図であり、この船首材ダクトは船首形状に略沿っており、頂部で閉鎖され、船体側面に溶接されている。
図5は、図4の船の水線に沿った断面頂面図である。
図6は、図4の船の船体前方部分の正面図である。
図7は、船の推進の間に形成される流線図を備える、図4の船の船体前方部分の断面頂面図である。
図8は、一組の支持要素を介して船体側面に取付けられた翼部の船首材ダクトを追加的に備えた、バルブ/ボール船首材を有する船の側面図である。
図9は、図8の船の水線に沿った断面頂面図である。
図10は、図8の船の船体前方部分の前面図である。
図11は、船首材ダクトが正にステムラインから始まり、船体のラインに略沿っている、バルブ/ボール船首材を有する船の側面図である。
図12は、船首材ダクトの内部に、船首材ダクト中に層流を形成するように長手方向に配置される一組の平行なプレートを設けた船の側面図である。
図13は、図12の船の船体前方部分の断面頂面図である。
図14は、図12の船の船体前方部分の前面図である。
図15は、船首材ダクトが船のステムラインと異なる形状を有する船の船体前方部分の側面斜視図である。
図16は、一般的な船体、バルブ/ボール船首材を有する船体、及び本発明の船首材ダクトを設けた船体の馬力/速度図である。
好ましい実施態様の詳細な説明
添付図面を参照して、本発明の特定の好ましい説明的実施態様を説明する。
まず図1、図2、及び図3には、バルブ/ボール3を有するが、本発明の船首材ダクトを備えていない船体1の側面斜視図、頂面図、及び前面図が示される。特に図2に示されるように、船首前面周囲の流体流線は、船首前面の両側において船首材の前と後とで同じ密度を維持している。図7に概略的説明的に示すように船首前面周囲に本発明の船首材ダクトを設けたことによる効果は、流れ特性の区別、及び特に船首材ダクトの下流の流線5の密度の低下にある。
図4、図5、及び図6には、バルブ/ボール3を有し、本発明の翼部船首材ダクト2を設けた船体1の側面斜視図、頂面図、及び前面図が示される。当然ながら、ダクトはバルブ/ボールを有していない船にも設置することができる。
本発明の船首材ダクト2は、船体1の船首部分の前面の両側面に設けられ、船体の水線の上方及び下方の高さに延長する。船体の水線上方のダクト2の高さは、好ましくはダクトの上方部分が予期される最大波高さ、例えば水線上方5〜6mを越える程度である。いかなる場合においても、提案された船首材ダクトは、船のいかなる負荷状態においても水より上の高さであり、ダクト内の流れがダクト外側の流れから分離されるように延長する。
水線より下では、ダクトは、もしあればバルブ/ボール3に届くことができ、若しくはバルブ/ボール3を覆って内部に隠すこともできる。
ダクト2は、ステムラインの形態つまり外形に略沿っており、底部で閉鎖される。ダクトは流れ方向、つまり船首から船尾へ延長することができ、若しくはその中間位置を占めることもできる。好ましくは、ダクトが船首の前方流れ方向にその長さの約半分突出するように位置が選択される。ダクト2は頂部で一部又は完全に開放又は閉鎖することができ、ダクト内部の流れがダクト外部の流れから完全に分離される条件を常に満たしている。
図4、図5、図6において、ダクトは、船体側面に溶接取付けされた、頂部で閉鎖する収束壁を備えて示され、図8、図9、及び図10においては、頂部が開放し、適切な一組の支持要素4を介して船体側面に取付けられた船首材ダクト2を備える船体が示される。
このような支持要素4を用いる場合、支持要素は好ましくは、両側面が凸状で流れ方向に配置される流体力学的部分を有していなければならないが、若しくはいかなる慣用の形状の管であってもよい。
図4、図5、及び図6に示した頂部が閉鎖したダクトの形状において、及び図8、図9、及び図10に示した、頂部が開放し、支持要素4を介して船体1に取付けられたダクト2の形状において、ダクトは垂直方向の船首概略形状に略沿っていることが示される。しかしながら、ダクトは異なる形状とすることも可能である。よってダクトは船首前面の周囲にいかなる外形で、図15の側面斜視図によって例示されるように、船首前面の垂直方向の概略形状とは異なるいかなる形状においても、配置することができる。
船首材ダクトを設けた船のステムラインは、船が静止位置にある場合に、鉛直に対して平行でも傾斜していてもよい。ダクト2の周囲の入射線もまた傾斜していてもよく、この傾斜はステムラインの傾斜と同様でも異なっていてもよい。図11に説明的に示すように、ダクト2の入射線はステムラインに完全に沿っている。
ダクト2は一般にいかなる船首外形にも使用することができる。一例として、海水の入射線に沿って適切に幅狭とされた船首が好ましい。
本発明において提案された船首材ダクトを設置する場合、ダクト2の内側表面と船首前面との間の流れのために、通路7が形成される。流れ通路7は、船体の各側の水流のために、少くとも一つの入口開口及び少くとも一つの出口開口を含む。本発明のダクト2の特徴は、ダクト壁が船体1の両側に、前述の少くとも一つの入口開口から前述の少くとも一つの出口開口までの流れの長手方向の翼部を有することにある。この翼部は、前述の少くとも一つの流れ入口開口にある前縁と、前述の少くとも一つの流れ出口開口にある後縁とを有する。
翼部ダクト2の凸状側面はダクトの内側表面を構成し、翼の理論によって知られるように、ダクトの外側よりも、より高い流速及びそれに対応するより低い圧力が凸状内側に創生される。ダクトの外面は、平坦であっても僅かに凹状表面であってもよい。従って、本発明のダクト2のこのような部分は、ダクト2の外壁周囲を流れる水塊に比して、通路7中を通過する水塊の速度を増加させる。この流れ速度の差異により、ダクト内に圧力降下が生じ、ダクト2の下流に低圧が生じ、よって船首の周囲に改善された層流が生じ、船首波高が低下し、その結果船体のすべりがよくなる。
図12、図13、及び図14に示すように、提案された翼部ダクトは、改善された層流を生じるために、内側に長手方向に取付けられた一連の突出ガイドプレート6を備えてもよい。ガイドプレート6は好ましくは翼部を有し、その前縁が前述の流れ入口開口に、その後縁が流れ出口開口にくるように配置される。これらのガイドプレートの各々は、ダクトの側壁部分の各内側表面と対応する各船首側面との両方に載置しても、ダクトの側壁部分又は対応する船首側面の一つに載置してもよい。ダクトの側壁部分と船首側面との間の距離に沿って又はこれを横切って溝穴を設けて、連続するガイドプレート間の流れ通路内の水流の垂直方向の連通を可能としてもよい。
同様に一連の突出ガイドプレートをダクトの外表面に設けても良い。
翼係数CD=0.012、CL=1.3の本発明のダクトを用いたモデルで実験を行った。これらの実験から流れ特性に改善が見られた。従って、船について、えい航抵抗は約7.5%減少し、対応して約10%〜12%の馬力の省力が達成された。
上記の実験データの実際の船への修正をフルード(FROUDE)法によって行った。上記の実験は、梯子、プロペラ等を備えていない無装飾の船体モデルで行った。結果を添付の表に示すが、この表において、異なる値の速度について馬力の値を示す。3つのケースを示す:小さなバルブを有するが本発明のダクトを備えていない船体のケース(ケースA)、本発明を先行技術と比較するための、National Technical University of Athensによって特別に設計された改良されたバルブを有する同様の船体のケース(ケースB)、及びケースAと同様に小さいバルブを有する船体に、本発明の船首材ダクトを設置したケース(ケースC)。添付の表中のパーセンテージは、ケースAの小さいバルブを有するが船首材ダクトを備えていない船体と比較した場合の、馬力の相対的な増加(+)又は低下(−)を示す。同じ結果を図16の線図にも示す。
提案された船首材ダクトについて、その船首上の位置、船体の水線より上方及び下方の高さ、流れ方向の長さ、船体の対称軸に対する傾斜、及び船体からの距離は船首の外形、船体係数、及び船体速度によって決定される。
ここで、本発明をいくつかの説明的な実施態様を参照して説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではないことに言及しておく。従って、翼部を有する提案された船首材ダクトの形状、大きさ、寸法、材質、構造、及び組立て部品のいかなる変更、改変も、新たな進歩性を構成しない限り、また先行技術の技術的革新に貢献しない限り、本発明の目的及び範囲に含まれるものと考えられる。
CD=0.012、CL=1.3の特定の翼について前述のモデルにおいてなされた実験の分析から、ダクトの位置、つまり船体の対称軸に対する翼の傾斜を決定するための以下の式が得られ、これらの値は以下の式によって決定される間の範囲内になければならない。
A2−A1=0.0425L±0.005L
式中、添付図面図5に示すように、A1はダクトの内側表面と船首前面との間の最短距離、A2はダクトの後端と船首前面との間の距離であり、A2はダクトの後端の最内方端から測定したものである。A1及びA2のどちらも、同じ水線に沿って測定したものであり、Lは流れ方向における翼部の長さである。結果として、本発明の好ましい実施態様は、海水中の全ての水線は上記の式を満たし、翼部の傾斜は全ての水線上で可能な限り一定に維持されることを示している。当然、上記の式はダクト翼部及びその船首前面からの距離の値の好ましい範囲を規定している。上記より、提案された船首材ダクトの船首前面に対する好ましい向きは、船首材ダクトの内側表面と、船首の両側の船首との間の水流通路はまず収束し、次いで船体の後方方向に分岐することがわかる。
本発明の翼部船首材ダクトの実験的適用は、既に実際の船体、特にロードアイランドで登録されたDANE SEALINE所有のギリシャ船籍のF/B RODOSについて行われている。この実験的適用では非常に満足な結果を得ている。
Claims (1)
- 対向する船首側面及び船首前面を有する船首を備える船体(1)に使用するための船首材ダクト(2)であって、該船首材ダクトは、船体(1)の船首に載置し、船首前面に近接して且つ上方に、対向する船首側面上に延長するように適合された側壁部分を有し、該船首材ダクト(2)の内側表面と船首との間に水流通路(7)が規定され、前記船首材ダクト(2)は、船首の外側に載置され、船首前面の後方及び前方に延長し、閉鎖された底部端を有し、前記側壁部分は、船体の移動時に水線より上の高さに延長し、船体のいかなる負荷条件下においても、前記水流通路(7)中を流れる水が該水流通路の外側を流れる水と混合することを防止し、前記側壁部分の各々は船体(1)の略長手方向に延長する翼部を含み、前記翼部は船体の対向船首側面上に、前記水流通路(7)の少くとも一つの入口開口を規定する前縁と、前記水流通路(7)の少くとも一つの出口開口を規定する後縁とを有し、前記翼部は凸状内側表面を有し、前記水流通路は収束し、次いで船体の後方方向に分岐し、前記凸状内側表面は、前記船首材ダクト(2)の外側表面周囲を流れる水の速度に対して前記水流通路中を流れる水の速度を増加させ、前記船首材ダクト(2)内の圧力を低下させ、該船首材ダクト(2)より下流の流れを低圧化し、前記船首材ダクトは、翼部を備える垂直に離隔するガイドプレートを含み、該プレートは前記水流通路(7)内に配置され、船体の略長手方向に延長するように適合され、前記水流通路(7)内の層水流を強化し、前記ガイドプレートの翼部は、その前縁が前記水流通路(7)の入口開口に位置し、その後縁が前記水流通路(7)の出口開口に位置するように配向され、前記垂直に離隔するガイドプレートは、前記側壁部分の各々の前記内側表面及び/又は各対応する前記船首側面に載置され、及び/又は該ガイドプレートには前記側壁部分と前記船首側面との間の距離方向に沿って又はこれを横切って溝穴が設けられ、前記水流通路(7)内の水流の垂直方向の連通を可能にすることを特徴とする、船首材ダクト。
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