JP3789186B2 - 育苗床 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は育苗床に関する。
【0002】
【従来の技術】
花卉や果菜類などの苗を生育させる目的で、その苗を植え込んだ育苗容器を育苗床に載置することが行われている。この育苗床は、容器内の苗に水分と熱とを供給することで、その生育状態をコントロールできるように構成されている。
【0003】
図5は、従来のこの種の育苗床を例示するものである。ここで1は上端が開口した箱状の木枠であり、地面の上や適当なスタンドの上などに設置される。2はその底板、3、3はその側板である。木枠1の底部には不透水性のシート4が敷かれている。このシート4はフィルム材や不透水発泡ポリスチロールなどによって形成され、その端部5、5が側板3、3を覆うように配置されるとともに、端部5、5の先端6、6は側板3、3の上端を越えた枠外の位置まで設けられている。
【0004】
シート4で覆われた木枠1の内部には、砂7が充填されている。そして砂7の内部には、電熱線8が埋設されている。砂7の表面には、必要に応じて、有孔フィルムやむしろなどによって形成された透水性のカバー9が掛けられており、このカバー9の上に育苗容器10が載置されるように構成されている。この育苗容器10の底部には、容器内へ水を通すための孔が形成されている。
【0005】
このような構成において、育苗を行う際には、木枠1の内部に水を供給して砂7にしみ込ませることで、育苗容器10の底部の孔を介して苗に水の補給が行われる。また電熱線8に電流を流して、水を含んだ砂7を加熱することで、温度制御が行われる。このように水と温度とを調節することで、苗の生育速度などを調節可能である。
【0006】
不透水性のシート4は、砂7に含まれる水分が木枠1を通って外部に流出することを防止する。また温度制御を行うに際し、水を含んだ砂7は畜熱材として機能し、木枠1および不透水性のシート4は熱を外部へ逃がさないための断熱材として機能する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来のものでは、育苗床を形成する場合に、木枠1を作る必要があるのみならず、木枠1の中に砂7を充填して、さらにその砂7の内部の適当な位置に電熱線8を埋設したうえで、砂7の表面を平らにならす必要がある。このため、作業に多大な時間を要するという問題点がある。また単に木枠1の中に砂7を充填しただけでは、育苗床の表層の温度分布が全面で均一にならず、また水分の分布も全面で均一にならないという問題点がある。
【0008】
そこで本発明は、このような問題点を解決して、育苗床を形成するための手間を軽減できるようにし、しかも育苗床の全面での温度分布および水分分布を均一にできるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明は、育苗用の容器を載置するための育苗床が、繊維により形成されて保水性を有する給水マットと、この給水マットを加熱する手段とを有するようにしたものである。
【0010】
このような構成であると、給水マットを敷設したうえで電熱線などの加熱手段を設置するだけで、従来のような砂込め作業を必要とすることなしに、容易に育苗床を形成することが可能となる。また、給水マットは繊維により形成されているため、毛細管現象によって育苗床の全体に均一に水分が行き渡る。また、このように均一に水分が分布することで、この水分にもとづく蓄熱作用によって、育苗床全体の温度分布も均一になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の育苗床の実施の形態を示す。ここで、1は木枠、2はその底板、3、3はその側板、4は不透水性のシートであり、これらは図5に示した従来のものと同じである。
【0012】
木枠1の内部におけるシート4の上には、断熱材としての断熱ブロック15が設置されている。この断熱ブロック15は、発泡ポリスチロールやその他の材料で構成されている。断熱ブロック15の上には加熱手段としての電熱線8が設置され、この電熱線の上には、繊維により形成された保水用の給水マット16が設けられている。加熱手段としては、電熱式の面ヒータなどの他のヒータを用いることも可能である。給水マット16の上面は吸水性および透水性を有した根切りシート17で覆われており、この根切りシート17の上に育苗容器10が載置されている。
【0013】
図2に示すように、根切りシート17の表面の一部分に沿ってかん水チューブ18が配置され、このチューブ18に設けられた孔19より散水が可能なようにされている。木枠1における一部の側板3Aは、他の側板3よりも低く形成されている。そして、シート4のみならず、給水マット16の端部と根切りシート17の端部もが、この側板3Aの上端を越えた枠外の位置まで設けられている。
【0014】
このような構成において、育苗床を形成する際には、木枠1の中に不透水性のシート4を敷き、その上に断熱ブロック15を置き、さらに電熱線8を設置して給水マット16を敷き、最後に根切りシート17を敷いてかん水チューブ18を配置するだけで良い。したがって、従来のように木枠1の中に砂込めを行う場合に比べ、簡単かつ迅速に作業することができる。
【0015】
たとえば、幅2m、長さ10m、木枠の高さ0.3mの育苗床を形成する場合に、図5に示した従来の砂込め式のものでは完成までに約8時間を要するのに対し、図1および図2に示す本発明のものによれば約30分で完成でき、16分の1の時間ですむ。また、従来のような砂込め作業は不要であり、給水マット16などを敷くだけでよいため、労力の軽減を図ることもできる。
【0016】
育苗床が完成したなら、かん水チューブ18より散水することで、その水は給水マット16に保水され、育苗容器10の底部の孔から苗に水の補給が行われる。なお、余分な水は、低く形成された側板3Aをサイホンの原理で越流して、枠外へ排出される。また電熱線8に電流を流すことで、水を含んだ給水マット16が加熱されて蓄熱され、それによって温度制御が行われる。このとき、断熱ブロック15が設けられているために、発生した熱が外部に逃げることが防止される。木枠1およびシート4も、ある程度の断熱効果を発揮する。
【0017】
このとき、給水マット16は繊維によって形成されているため、かん水チューブ18より散水された水は、毛細管現象によってこの給水マット16の全体に均一に行き渡ることができる。また、このように均一に水分が分布することで、この水分にもとづく蓄熱作用によって、育苗床全体の温度分布を均一にすることもできる。
【0018】
根切りシート17は、育苗容器10の底部の孔から出てきた根が給水マット16に絡み付くこととを防止する。したがって、この根切りシート17は、根の貫通や絡み付きを防止可能なシート材によって形成される。また根切りシート17は吸水性および透水性を有するため、給水マット16の水を通過させて根に供給させる役割を果たす。
【0019】
保水のための給水マット16は、単糸繊度が2デニール以上7デニール以下の熱可塑性合成繊維からなるウエブで構成するのが好適である。
また給水マット16は、単糸繊度が2デニール以上7デニール以下の熱可塑性合成繊維からなる第1のウエブで構成される保水層と、単糸繊度が0.5デニール以上7デニール以下の熱可塑性合成繊維からなる第2のウエブで構成される吸水拡散層とが積層された構成であって、保水率が100g/m2 以上、バイレック法で測定された吸水性が10mm/1分以上であるようにするのがさらに好適である。このようにすれば、給水マット16自体の毛細管現象にもとづく水分の吸水拡散作用に加えて、吸水拡散層によるさらなる吸水拡散作用を期待できるため、上述の育苗床の全体にわたる水分分布と温度分布とをいっそう均一にすることができる。
【0020】
これら保水層と吸水拡散層とは、単に積層されただけのものでも構わないし、相互に一体化されたものであっても構わない。一体化する場合には、積層された保水層と吸水拡散層との構成繊維がニードリングにより相互に三次元的に交絡されているようにするのが好適である。図3は、このようにして一体化された給水マット16の構造を模式的に示す。図中、21は保水層、22は吸水拡散層、23はニードリング処理が施された部分である。
【0021】
保水層21のウエブにおいて、熱可塑性合成繊維を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのエステル系、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのアミド系などのポリマーや、これらのブレンド物などが用いられる。また繊維としては、これらのポリマー100%からなる中実あるいは中空構造の他に、二種以上のポリマーが複合したものを用いることもできる。この繊維の複合形態としては、サイドバイサイド型、芯鞘型、中空芯鞘型などを使用できる。また、長繊維、短繊維の何れも使用できる。
【0022】
この保水層に用いる熱可塑性合成繊維の単糸繊度は、2デニール以上7デニール以下の範囲にあることが好適である。
単糸繊度が2デニール未満の場合は、繊維が細すぎるために開繊積層した後のウエブのニードリング工程で繊維が交絡しすぎ、でき上ったニードルパンチウエブは、風合が硬く、密度の大きなものとなる。従って、このような2デニール未満の繊維で得られたニードルパンチウエブを保水層21とした場合は、単糸繊度が小さいため繊維間の空隙が少なく、水を保持する体積が小さくなり、後述の所要の保水性が得られにくくなる。
【0023】
一方、単糸繊度が7デニールを超える場合は、繊維が太すぎるためにニードリング工程で繊維間の交絡が不十分になり、ウエブにした場合に単糸の剥離が起こり、さらに繊維間の空隙が大きすぎて保水しようとしてもすぐ排水され、同様に後述の所要の保水性が得られにくくなる。
【0024】
また、保水層21はニードリングによって構成繊維が三次元的に交絡しているのが好適であるが、そのニードリングの回数は、保水層を21構成するウエブの単糸繊度が上述のように2デニール以上7デニール以下の範囲であるという条件のもとで、50回/cm2 〜150回/cm2 とするのが、三次元的に交絡した形態を得て所要の保水性を達成するために好ましい。なお、本発明の三次元的交絡とはウエブの厚み方向に立体的に繊維が交絡していることをいう。
【0025】
さらに所要の保水性を達成する重要な点として保水層21の厚みがあげられる。厚みが小さいと保水量が低下して苗が枯れることがあり、逆に大きすぎると根腐れが発生する。したがって、保水層21の厚みは1.5mm〜5.0mmの範囲であるのが好ましい。
【0026】
図3に示される構成の給水マット16の保水能力すなわち保水性は、JIS−L−1096 6.26.2に規定される測定法で測定したときの保水率が100g/m2 以上であるのが好適である。すなわち、この保水率は、保持した水を地面15にしみ込ませないために必要であるとともに、育苗容器10の苗に十分な水を供給するために必要なものである。この給水マット16の保水性は、主として保水層21を上述のように構成することで、このように100g/m2 以上とすることができるのである。
【0027】
次に、吸水拡散層22のウエブについて説明する。この吸水拡散層22のウエブを構成する熱可塑性合成繊維の材料およびその形態は、上述の保水層21のウエブを構成する繊維の材料およびその形態と同様とすることができる。また、この吸水拡散層22のウエブは、たとえば上記熱可塑性合成繊維を開繊、積層した後、熱圧接ロールで繊維間を圧接することにより得られる。構成繊維が短繊維の場合は、ニードリングによって繊維を三次元的に交絡させた後に熱圧接ロールで圧接するなどの方法によって得ることができる。
【0028】
この吸水拡散層22のウエブを構成する熱可塑性合成繊維の単糸繊度は、0.5デニール以上7デニール以下の範囲であるのが好適である。単糸繊度が0.5デニール未満の場合は、耐候性や強度の点で問題があり、好ましくない。また単糸繊度が7デニールを超えると、熱圧接後に得られたウエブの単糸繊度が大きいために、その後に保水層21と積層して両者の構成繊維をニードリング工程により相互に三次元的に交絡させる際に、繊維間の交絡が不十分になって層間の耐剥離性が不十分となる傾向がある。
【0029】
吸水拡散層22を有した給水マット16の吸水拡散能力すなわち吸水性は、JIS−L−1096 6.26.1(2)に規定されるバイレック法で測定した値が、10mm/1分以上であることが好適である。10mm/1分未満であると、吸水拡散層22を備えることで給水マット16の表面方向に水を拡散させる吸水拡散作用が不十分になって、この吸水拡散層22により給水マット16の全面にいっそう均一に水を行き渡らせることが困難になる。さらに吸水性を向上させたものが必要なときには、親水性油剤、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどポリエーテル系化合物を配合した油剤をウエブに付着させれば良い。またウエブに吸水性を有する樹脂を付着させるのも好ましい。
【0030】
保水層21と吸水拡散層22とを相互に一体化させる場合には、積層したうえでニードリング処理するのが好適である。このニードリング処理によって、保水層21と吸水拡散層22との耐剥離性が十分なものとなる。この目的のため、ニードリングの回数は、50回/cm2 〜150回/cm2 とするのが好ましい。また、ニードリング処理により、保水層21と吸水拡散層22との構成繊維が相互に三次元的に交絡されることで、これら保水層21と吸水拡散層22との間での十分な水の行き来が確保されることになる。
【0031】
このように、十分な量の水を保持するための保水層21と、水を吸い込んでマットの表面方向に拡散させる吸水拡散層22とが積層されて給水マット16を構成しているため、吸水拡散作用と保水作用とを併せ持つことになり、マット16の全面にいっそう均一に水を行き渡らせたうえで確実に保水することが可能となる。またマット16の全面にわたって均一な保水が可能であることから、その蓄熱作用によって、電熱線18による加熱もマット16の全面にわたっていっそう均一に行われ、温度条件を一様にすることができる。このように苗への給水条件と温度条件とをいっそう均一にすることができることで、複数の容器10の苗を均一に生育させることができる。また吸水マット16は、このように構成されることで、上述のように断熱材としての役割も果たす。
【0032】
次に、根切りシート17について詳細に説明する。この根切りシート17は、単糸繊度が0.5デニール以上7デニール以下の熱可塑性合成繊維からなり、バイレック法で測定された吸水性が50mm以上であり、通気度が200/cc/cm2 /s以下であり、かつ平滑な表面を有する不織布で形成するのが好適である。
【0033】
この根切りシート17を構成する熱可塑性合成繊維の材料は、上述の給水マット16の保水層21や吸水拡散層22のウエブを構成する繊維の材料と同様とすることができる。そして、上記熱可塑性合成繊維を開繊、積層した後のウエブを平滑性を有する熱圧接パターンで熱圧接してなるシートや、このシートに吸水性を有する樹脂を付与したシートや、さらにはカレンダーロールでこれらのシートの繊維間を熱圧接していっそう平滑性を向上させたシートなどとすることで、上述の平滑な表面を有するものとすることができる。そして単糸繊度が上述の0.5デニール以上7デニール以下である場合にのみ、所要の吸水性と通気度とが得られて、給水マット16の水を育苗容器10に供給できるとともに所要の根切り効果を達成できることになる。
【0034】
すなわち、単糸繊度が0.5デニール未満であると、耐候性や強度の点で問題があり、また単糸繊度が7デニールを超えると、熱圧接により得られたシートの繊維間の空隙が大きくなりすぎ、根が侵入して繊維に絡み付くことになって、この根を切らなければ育苗容器10を動かせなくなるという問題が生じる。
【0035】
給水マット16の水を支障なく育苗容器10に供給するためには、上述のようにバイレック法で測定された吸水性が50mm以上であることが好適である。吸水性を向上させるために、吸水拡散層22の場合と同様の親水性油剤をシートに付着させればよい。また根の侵入を防止するための所要の根切り効果を発揮するためには、上述のように通気度が200cc/cm2 /s以下であることが好適である。この根切りシート17の通気度は、根の侵入を防止するための目安となる繊維間の空隙量を表すもので、これを200cc/cm2 /s以下にするためには、熱圧着面積を多くするか、熱圧着ロールの温度や線圧を上げれば良い。あるいは、カレンダーロールで加工する場合には、そのロール温度を高くするか、その線圧を上げれば良い。カレンダーロールで熱圧接されたシートにアクリル系の樹脂を付着させると、さらに吸水性能と根切り性能とを同時に向上させることができる。
【0036】
上述のように通気度で不織布製の根切りシート17の根切り効果を評価することに代えて、そのシートの嵩密度によって根切り効果を評価することもできる。すなわち、不織布製の根切りシート17は、その目付を20g/m2 〜100g/m2 とするのが好ましく、またその厚みを0.10mm〜0.40mmとするのが好ましい。そして、この目付および厚みの範囲内で、不織布の嵩密度を1.5×105 g/m3 以上とすることで、所要の根切り効果を発揮することが可能となる。
【0037】
なお、根切りシート17は、黒色とすることで、太陽光の反射を極力防止して、この反射光による根焼けを防止することができるうえに、黒色の吸熱作用により太陽光を吸収することで、電熱線18の加熱作用を補助する役割を果たす。
【0038】
なお、根切りシート17を、上述の不織布に代えて、有孔フィルムで構成することもできる。この有孔フィルム製の根切りシートによっても、給水マット16の水を育苗容器に供給できるとともに所要の根切り効果を達成することが可能である。
【0039】
根切りシート17は、上述のように育苗床を形成するときに給水マッ16の上に被せることで使用するのが一般的である。しかしながら、製造工場で給水マット16に接合させて、出荷前に一体化させることもできる。接合には、ステッチボンドや熱圧着処理やバインダー樹脂などを利用することができる。
【0040】
なお、根切りシート17を、上述の不織布に代えて、有孔フィルムで構成することもできる。この有孔フィルム製の根切りシートによっても、給水マット16の水を育苗容器に供給できるとともに所要の根切り効果を達成することが可能である。
【0041】
図4は、本発明の他の実施の形態を示す。ここでは、断熱ブロック15が省略されている。この構成は、たとえば、雰囲気温度に比べてあまり高温にならない範囲で加熱する場合などにおいて好適である。
【0042】
本発明によれば、このほかにも、場合によっては不透水性のシート4や根切りシート17を省略することが可能である。また給水マット16や電熱線8などの重ね合わせの順序は、上記に限定されるものではなく、たとえば給水マット16と根切りシート17との間に電熱線8を設置したり、その他の構成を採用したりすることも可能である。
【0043】
また上記においては、木枠1などの収容枠体を使用するものについて説明したが、これを使わずに育苗床を形成することもできる。たとえば、地面に畝状の突起により囲まれた部分を形成して不透水性のシート4を敷いたうえで、その他は上述と同様の構成の育苗床を形成することもできる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、育苗用の容器を載置するための育苗床が、繊維により形成されて保水性を有する給水マットと、この給水マットを加熱する手段とを有するようにしたため、給水マットを敷設したうえで電熱線などの加熱手段を設置するだけで、従来のような砂込め作業を必要とすることなしに、容易に育苗床を形成することができるのみならず、給水マットは繊維により形成されているため、毛細管現象によって育苗床の全体に均一に水分を行き渡らせることができるとともに、このように均一に水分が分布することで、この水分にもとづく蓄熱作用によって、育苗床全体の温度分布も均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の育苗床の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の育苗床の他の断面を示す図である。
【図3】図1の育苗床に使用される給水マットの構成を示す模式図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の育苗床の概略構成を示す断面図である。
【図5】従来の育苗床の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 木枠
8 電熱線
16 給水マット
17 根切りシート
Claims (9)
- 育苗用の容器を載置するための育苗床であって、繊維により形成されて保水性を有する給水マットと、この給水マットを加熱する手段とを有することを特徴とする育苗床。
- 給水マットは、単糸繊度が2デニール以上7デニール以下の熱可塑性合成繊維からなるウエブで構成されていることを特徴とする請求項1記載の育苗床。
- 給水マットは、単糸繊度が2デニール以上7デニール以下の熱可塑性合成繊維からなる第1のウエブで構成される保水層と、単糸繊度が0.5デニール以上7デニール以下の熱可塑性合成繊維からなる第2のウエブで構成される吸水拡散層とが積層された構成であって、保水率が100g/m2 以上、バイレック法で測定された吸水性が10mm/1分以上であることを特徴とする請求項1記載の育苗床。
- 積層された保水層と吸水拡散層との構成繊維がニードリングにより相互に三次元的に交絡されていることを特徴とする請求項3記載の育苗床。
- 給水マットの上に根切りシートが敷かれ、この根切りシートの上に育苗容器を載置可能とされていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の育苗床。
- 加熱手段が電熱手段であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の育苗床。
- 給水マットよりも下側に不透水性のシートが敷かれていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項記載の育苗床。
- 加熱手段よりも下側に断熱材が配置されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項記載の育苗床。
- 木枠などの収容枠体の内部に設置されていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項記載の育苗床。
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