JP3788385B2 - 寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法 - Google Patents
寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3788385B2 JP3788385B2 JP2002114730A JP2002114730A JP3788385B2 JP 3788385 B2 JP3788385 B2 JP 3788385B2 JP 2002114730 A JP2002114730 A JP 2002114730A JP 2002114730 A JP2002114730 A JP 2002114730A JP 3788385 B2 JP3788385 B2 JP 3788385B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- powder
- iron
- alloy
- oxygen
- based sintered
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Details And Applications Of Rotary Liquid Pumps (AREA)
- Gears, Cams (AREA)
- Powder Metallurgy (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、寸法精度、強度および摺動性に優れたオイルポンプギアなどの機械部品の製造に用いる鉄基焼結合金部材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法が進歩し、寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材からなる各種機械部品を精度良く大量に生産できるようになってきた。寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法の一例として、Fe粉末、Cu粉末および黒鉛粉末からなる混合粉末にさらに酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化バナジウム、酸化クロム粉末などの酸化物粉末を0.01〜0.20%添加した混合粉末をプレス成形し、焼結して寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材を製造する方法が提供されている(特開平6−41609号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来のFe粉末、Cu粉末および黒鉛粉末からなる混合粉末にさらに酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化バナジウム、酸化クロム粉末などの酸化物粉末を0.01〜0.20%添加した混合粉末をプレス成形し、焼結する方法で製造した鉄基焼結合金部材は、寸法精度はある程度改善されるものの十分ではなく、さらに強度に関しても未だ十分ではないところから、一段と優れた寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法が求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上述のような観点から、一層寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法を開発すべく研究を行った結果、
(a)従来のFe粉末、黒鉛粉末およびCu粉末を配合し、混合し、成形し、燒結することにより鉄基焼結合金部材を製造する方法は、Fe粉末、黒鉛粉末およびCu粉末から成る混合粉末を焼結すると、焼結中にまずCu粉末が溶解してCu液相となり、このCu液相はFeに対して濡れ性が良いためにFe粉末境界に浸透し、Fe粉末同士の結合を分断させ、そのために焼結体の強度を低下させると共に焼結体を膨張させ、ひいては寸法精度の低下をもたらす、
(b)かかる焼結体の強度を低下させることなく寸法精度を向上させるためには、原料粉末として、Cu粉末に代えてFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%を含むCu合金粉末を使用し、Fe粉末、黒鉛粉末および前記Cu合金粉末を混合し、成形し、焼結すると、Cu液相とFe粉末の濡れ性が悪化し、CuのFe粉末境界への浸透が抑制されるために焼結体の膨張が抑制されて寸法精度が向上し、さらにFe粉末同士の結合強度を低下させることがなく、また、酸素を金属酸化物として添加するよりもCu合金粉末に固溶させた状態で添加すると、鉄基焼結合金部材組織の高Cu濃度部に酸素が濃化して摺動性が向上し、したがって、この方法で得られたCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%を含有し残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材は、寸法精度、強度および摺動性が共に優れる、
(c)さらに原料粉末として用いるCu合金粉末が、Fe:1〜10%、酸素:0.2〜1%の他にさらにMn:0.5〜15%を含むCu合金粉末であると、MnはCu合金粉末に含まれる酸素濃度を高めに維持することができ、焼結中に生じるCu液相の酸素濃度を高めて一層Fe粒子間へのCu液相の浸透を阻害し、Cu液相による焼結体の膨張が抑制されて焼結体の寸法精度がさらに向上し、鉄基焼結合金部材組織のCu濃度の高い部分の酸素濃度を高めて摺動性を向上させる、
(d)さらに原料粉末として用いるCu合金粉末が、Fe:1〜10%、酸素:0.2〜1%の他にさらにZn:0.2〜10%を含むCu合金粉末であると、Znは、Cu合金粉末に含まれる酸素濃度を高めに維持することができるとともにCu液相よりも低温でFe中に拡散し、Fe中のZnはCu液相とFe粒との濡れ製を悪化させるために、Cu液相による焼結体の膨張が抑制されて焼結体の寸法精度がさらに向上し、Cu液相のFe粉末分断による強度低下を防止するとともに、摺動性を改善して耐焼付性を向上する、という研究結果が得られたのである。
【0005】
したがって、この発明は、
(1)原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末である寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法、
(2)原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Mn:0.0025〜1.05%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Mn:0.5〜15%のうちの1種または2種を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末である寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法、
(3)原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Zn:0.001〜0.7%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Zn:0.2〜10%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末である寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法、
(4)原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Mn:0.0025〜1.05%およびZn:0.001〜0.7%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Zn:0.2〜10%およびMn:0.5〜15%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末である寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法、に特徴を有するものである。
【0006】
さらに、AlおよびSi成分はCu合金粉末の酸素濃度を高める作用があるので、AlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.01〜2%を含有したCu合金粉末を原料粉末として使用し、このCu合金粉末をFe粉末および黒鉛粉末とともに配合し、混合し、成形し、焼結することにより、
Cu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材、
Cu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Mn:0.0025〜1.05%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材、
Cu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Zn:0.001〜0.7%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材、
Cu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Mn:0.0025〜1.05%およびZn:0.001〜0.7%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材、をそれぞれ製造することができる。
【0007】
したがって、この発明は、
(5)原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.01〜2%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末である寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法、
(6)原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Mn:0.0025〜1.05%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Mn:0.5〜15%のうちの1種または2種を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.01〜2%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末である寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法、
(7)原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Zn:0.001〜0.7%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Zn:0.2〜10%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.01〜2%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末である寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法、
(8)原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Mn:0.0025〜1.05%およびZn:0.001〜0.7%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Zn:0.2〜10%およびMn:0.5〜15%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.01〜2%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末である寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法、に特徴を有するものである。
【0008】
次ぎに、この発明の寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法で使用する原料粉末としてのCu合金粉末の成分組成を前述のごとく限定した理由を説明する。
Cu合金粉末に含まれるFe:
Fe:1〜10%含有するCu合金粉末を原料粉末として用いることにより、Cu粉末よりもFe粉末に対する濡れ性を悪化させてCu液相による焼結体の膨張を抑制し、もって焼結体の寸法精度を一層向上させる成分であるが、その含有量が1%未満では所望の効果が得られず、一方、10%を超えて含有すると、圧粉成形時の圧縮性が低下するので好ましくない。したがって、Cu合金粉末に含まれるFeは1〜10%に定めた。
Cu合金粉末に含まれる酸素:
Cu合金粉末に含まれる酸素は、高Cu濃度部における酸素を濃化させ、寸法精度、強度および摺動性を向上させるが、その含有量が0.2%未満では高Cu濃度部における酸素を十分に濃化させることができず、一方、1%を越えて含有させると、焼結して得られた鉄基焼結合金部材の強度が低下するようになるので好ましくない。したがって、Cu合金粉末に含まれる酸素量を0.2〜1%に定めた。
【0009】
Cu合金粉末に含まれるMn:
MnはCu合金粉末に含まれる酸素濃度を高めに維持することができ、焼結中に生じるCu液相の酸素濃度を高めて一層Fe粒子間へのCu液相の浸透を阻害し、Cu液相による焼結体の膨張が抑制されて焼結体の寸法精度がさらに向上し、鉄基焼結合金部材組織のCu濃度の高い部分の酸素濃度を高めて摺動性を向上させる作用を有するが、その含有量が0.5%未満では所望の効果が得られず、一方、15%を越えて含有すると鉄基焼結合金部材に含まれるMn含有量が1.05%を越え、靭性が低下するようになるので好ましくない。したがって、Cu合金粉末に含まれるMnは0.5〜15%に定めた。
【0010】
Cu合金粉末に含まれるZn:
Znは、Cu合金粉末に含まれる酸素濃度を高めに維持することができるとともにCu液相よりも低温でFe中に拡散し、Fe中のZnはCu液相とFe粒との濡れ製を悪化させるために、Cu液相による焼結体の膨張が抑制されて焼結体の寸法精度がさらに向上し、Cu液相のFe粉末分断による強度低下を防止するとともに、摺動性を改善して耐焼付性を向上する作用を有するが、その含有量が0.2%未満であると、鉄基焼結合金部材に含まれるZn含有量が0.001未満となって少なくなりすぎるので所望の効果が得られず、一方、10%を越えて含有すると鉄基焼結合金部材に含まれるZn含有量が0.7%を越え、靭性が低下するようになるので好ましくない。したがって、Cu合金粉末に含まれるZnは0.2〜10%に定めた。
【0011】
Cu合金粉末に含まれるAl,Si:
Al,SiはCu合金粉末の酸素濃度を高める効果があるために、必要に応じて添加するが、AlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.01%未満含有しても鉄基焼結合金部材に含まれるAl,Siの含有量が0.001%未満となって所望の効果が得られず、一方、AlおよびSiのうちの1種または2種を合計で2%を越えて含有すると、鉄基焼結合金部材に含まれるAl,Siの含有量が0.14%を越えるようになってかえって強度が低下するので好ましくない。したがって、Cu合金粉末に含まれるAl,Siは0.01〜2%に定めた。
【0012】
従って、この発明の寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材を製造する方法は、原料粉末として前記(1)〜(8)に記載の成分組成を有するCu合金粉末を用意し、さらにFe粉末および黒鉛粉末を用意し、これら原料粉末を所定量配合し、さらに潤滑剤であるステアリン酸亜鉛粉末またはエチレスビスアマイドとともにダブルコーンミキサーで混合し、プレス成形して圧粉体を作製し、圧粉体を窒素を含む水素雰囲気中、温度:1090〜1300℃で焼結することにより製造する。この時の焼結温度は1100〜1260℃が一層好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
原料粉末として、平均粒径:80μmのアトマイズFe粉末、平均粒径:15μmの黒鉛粉末、並びに表1に示される平均粒径および成分組成を有するCu合金粉末A〜U、純Cu粉末およびMnO粉末を用意した。
【0014】
【表1】
【0015】
これら原料粉末を表2〜表3に示される配合組成となるように配合し、さらに金型成形時の潤滑剤であるステアリン酸亜鉛粉末を外掛けで0.8%に当たる量だけ添加して混合し、成形圧力:600MPaでプレス成形して縦:10mm、横:10mm、長さ:50mmの寸法を有する棒状圧粉成形体を作製し、得られた棒状圧粉成形体を温度:1140℃、20分保持の条件でエンドサーミクガス雰囲気焼結することにより棒状試験片を作製し、本発明法1〜17、比較法1〜4および従来法を実施した。
【0016】
本発明法1〜17、比較法1〜4および従来法により作製した棒状試験片の寸法測定を行い、圧粉成形体基準寸法の寸法変化率を求め、その結果を表2〜表3に示すことにより寸法精度を評価した。またシャルピー衝撃試験によりシャルピー衝撃値を求め、その結果を表2〜表3に示した。さらに棒状試験片を機械加工して引張り試験片を作製し、この引張り試験片を用いて引張り強度を測定し、その結果を表2〜表3に示した。
【0017】
さらに、前記棒状試験片を機械加工して得られた縦:5mm、横:3mm、長さ:40mmの寸法を有する摩耗試験片と、外径:45mm、内径:27mmを有するSS330(一般構造用圧延鋼)製リングを用意した。この摩耗試験片を回転数:1500rpm、回転速度:3.5m/秒で回転しているリングに押し付け、押し付け荷重を増加させ、焼き付きが発生した荷重を測定し、その結果を表2〜表3に示した。
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
表2〜表3に示される結果から、本発明法1〜17と従来法を比較すると、本発明法1〜17で作製した試験片は従来法で作製した試験片と比べて寸法変化率が小さいところから寸法精度が優れ、シャルピー衝撃値および引張り強度が高く、さらにリングの摩耗量が少ないところから摺動性に優れていることが分かる。しかし、この発明の範囲から外れている成分組成を有するCu粉末を用いる比較法1〜4は、寸法精度、シャルピー衝撃値、引張り強度、摩耗量のうちの少なくともいずれかが劣ることが分かる。
【0021】
【発明の効果】
上述のように、この発明の製造方法によると、寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材を得ることができ、機械産業の発展に大いに貢献し得るものである。
Claims (9)
- 原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することにより、質量%で(以下、%は質量%を示す)Cu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末であることを特徴とする寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法。 - 原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Mn:0.0025〜1.05%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Mn:0.5〜15%のうちの1種または2種を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末であることを特徴とする寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法。 - 原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Zn:0.001〜0.7%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Zn:0.2〜10%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末であることを特徴とする寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法。 - 原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Mn:0.0025〜1.05%およびZn:0.001〜0.7%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Zn:0.2〜10%およびMn:0.5〜15%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末であることを特徴とする寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法。 - 原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.01〜2%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末であることを特徴とする寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法。 - 原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Mn:0.0025〜1.05%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Mn:0.5〜15%のうちの1種または2種を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.01〜2%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末であることを特徴とする寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法。 - 原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Zn:0.001〜0.7%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Zn:0.2〜10%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.01〜2%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末であることを特徴とする寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法。 - 原料粉末としてFe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することによりCu:0.5〜7%、C:0.1〜0.98%、酸素:0.02〜0.3%、Mn:0.0025〜1.05%およびZn:0.001〜0.7%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.001〜0.14%を含有し、残りがFeおよび不可避不純物からなる組成を有する鉄基焼結合金部材を製造する方法において、
前記原料粉末として配合するCu合金粉末はFe:1〜10%、酸素:0.2〜1%、Zn:0.2〜10%およびMn:0.5〜15%を含有し、さらにAlおよびSiのうちの1種または2種を合計で0.01〜2%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成のCu合金粉末であることを特徴とする寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法。 - 前記Fe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末を配合し、混合し、成形し、焼結することにより鉄基焼結合金部材を製造する方法において、Fe粉末と黒鉛粉末とCu合金粉末の配合割合は、黒鉛粉末:0.1〜1.2%、Cu合金粉末:1〜7%、残部:Fe粉末となる割合で配合することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002114730A JP3788385B2 (ja) | 2002-03-05 | 2002-04-17 | 寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002058314 | 2002-03-05 | ||
JP2002-58314 | 2002-03-05 | ||
JP2002114730A JP3788385B2 (ja) | 2002-03-05 | 2002-04-17 | 寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003328011A JP2003328011A (ja) | 2003-11-19 |
JP3788385B2 true JP3788385B2 (ja) | 2006-06-21 |
Family
ID=29713725
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002114730A Expired - Fee Related JP3788385B2 (ja) | 2002-03-05 | 2002-04-17 | 寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3788385B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004002939A (ja) * | 2002-06-03 | 2004-01-08 | Mitsubishi Materials Corp | 鉄基焼結合金製オイルポンプローター |
JP4121383B2 (ja) * | 2003-01-08 | 2008-07-23 | 三菱マテリアルPmg株式会社 | 寸法精度、強度および摺動特性に優れた鉄基燒結合金およびその製造方法 |
JP2012162771A (ja) * | 2011-02-07 | 2012-08-30 | Oiles Corp | 鉄系焼結摺動部材及びその製造方法 |
-
2002
- 2002-04-17 JP JP2002114730A patent/JP3788385B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003328011A (ja) | 2003-11-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5504278B2 (ja) | 拡散合金化された鉄又は鉄基粉末を製造する方法、拡散合金化粉末、該拡散合金化粉末を含む組成物、及び該組成物から製造した成形され、焼結された部品 | |
JP5308123B2 (ja) | 高強度組成鉄粉とそれを用いた焼結部品 | |
JP4412133B2 (ja) | 粉末冶金用鉄基混合粉 | |
CN100532606C (zh) | 铁基粉末组合物 | |
JP5613049B2 (ja) | 鉄基複合粉末 | |
JPH04320494A (ja) | 自己潤滑性材料及びその製造方法 | |
JP3788385B2 (ja) | 寸法精度、強度および摺動性に優れた鉄基焼結合金部材の製造方法 | |
JP4121383B2 (ja) | 寸法精度、強度および摺動特性に優れた鉄基燒結合金およびその製造方法 | |
JPH07166278A (ja) | 銅系摺動材とその製造方法 | |
JP6528899B2 (ja) | 粉末冶金用混合粉および焼結体の製造方法 | |
JP6077499B2 (ja) | 焼結合金用成形体、耐摩耗性鉄基焼結合金、およびその製造方法 | |
JP3336949B2 (ja) | 鉄基焼結合金製シンクロナイザーリング | |
JPH0751721B2 (ja) | 焼結用低合金鉄粉末 | |
JP3346286B2 (ja) | 鉄基焼結合金製シンクロナイザーリング | |
JP2004232089A (ja) | 鉄基焼結合金製部品の製造方法 | |
JP2004002939A (ja) | 鉄基焼結合金製オイルポンプローター | |
JP4704949B2 (ja) | 鉄基焼結体製造用混合粉末および鉄基焼結体 | |
JPH0247202A (ja) | 耐熱耐摩耗性焼結合金用鋼粉 | |
JP3089139B2 (ja) | 被削性に優れた焼結材料 | |
US20060104848A1 (en) | Method for manufacturing Fe-based sintered alloy member having excellent dimensional accuracy, strength and sliding performance | |
JP3346310B2 (ja) | 高強度鉄基焼結合金 | |
JP3346305B2 (ja) | 高強度鉄基焼結合金 | |
JPH04320495A (ja) | 自己潤滑性複合材料及びその製造方法 | |
JPH11323513A (ja) | 鉄基焼結合金製シンクロナイザーリングおよびその製造方法 | |
JPH073378A (ja) | 被削性に優れた焼結材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040922 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051219 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060125 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20060125 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20060214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060207 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060320 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |