JP3787718B2 - 鞄 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、収納口の閉塞状態をロックできるロック機構を具備する鞄に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、収納部を形成する鞄本体と、前記収納部への物品の出し入れを可能にする開閉自在な収納口と、この収納口の閉塞状態をロックできるロック機構とを具備してなる鞄がある。前記ロック機構としては、鞄本体に設けた係合部と、この係合部に対して係合状態となる係合位置と前記係合部に対して非係合状態となる退避位置との間で移動可能に設けた移動部材とを利用したものがある。より具体的には、係合部として、収納口を形成する開口縁に切り欠き部を形成し、移動部材として、開口縁における前記切り欠き部と対向する位置に前記切り欠き部にスライド移動して係脱する移動部材を設けてなるものがある。
【0003】
【発明が解決しよとする課題】
ところが、この種のロック機構を備えた鞄においては、鞄の携行時に移動部材が衣服等に引掛かることがあったり、また、収納部に物品を出し入れする際には、移動部材を操作すべく一旦取手から手を離したり、台等の上に置いたりする等の必要があり、煩わしいことがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の鞄は、上述の不具合を解消するべくなされたものであり、上壁部と、下壁部と、前壁部と、後壁部と、右壁部と、左壁部からなる収納部を形成する鞄本体と、収納口と、ロック機構とを具備し、前記収納部への物品の出し入れを可能にする為、収納口は上壁部を、上部前壁部に連結した前部上壁部と後壁部の上端部に連結した後部上壁部とから構成して、上部前壁部の屈曲により、前部上壁部が後部上壁部から接離することによって開閉自在とし、前記ロック機構を、鞄本体に設けた係合部に対して係合状態となる係合位置と、前記係合部に対して非係合状態となる退避位置との間で移動可能に設けた移動部材と、この移動部材を移動させ得る、取手に設けた操作部とから構成してなり、前記移動部材が、係合位置に位置するときにおいて収納口を閉塞状態にロックできるようにし、取手の左右の端部の形状をそれぞれ、移動部材の係合位置側の端面と略同一形状にしてあると共に、移動部材の係合位置においては、移動部材の係合位置側の端面と当該取手の左右の端面とが当接するようにしてあり、前記移動部材の係合位置においては、取手の表面と移動部材の上面とが連続して滑らかに動くものとなって、取手と移動部材が形状的一体をなすようにしてある。
【0005】
ここで、「形状的に一体」とは、取手と移動部材とが集合して一つのまとまりある形状を構成することをいう。
【0006】
従って、このようなものであれば、移動部材が係合位置において取手と形状的に一体をなすので、移動部材が衣服等に引掛かり難くなるうえ、操作部を取手に設けてあるので、収納部に物品を出し入れする際、移動部材を操作すべく一旦取手から手を離したり、台等の上に置いたりせずとも、スムーズに収納口の開閉が行えるようになる。
【0007】
また、操作部の操作をよりスムーズに行えるようにするには、操作部を取手の付け根の上面に設けたものが好ましく、この場合において具体的な実施の態様としては、操作部を、取手の付け根の上面に形成した開口部に取手の内部側から嵌り込むロック位置と、前記収納口から側方に退避して取手の付け根の内部に形成した案内孔に嵌り込む解除位置との間で移動可能に設け、前記ロック位置において移動部材を係合位置に位置させ解除位置において移動部材を退避位置に位置させ得るように構成したものを挙げることができる。
【0008】
そして、この場合において、移動部材を係合位置に固定するための具体的な実施の態様としては、操作部が、弾性体により取手の上面側に弾性付勢してあるものであり、この弾性体の弾性復帰力に逆らってロック位置にある操作部を収納口から退避させてから案内孔側にスライド移動させ、解除位置に位置させるものを挙げることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
この実施の形態における鞄たるファイルケース1は、収納部Sを形成する鞄本体2と、前記収納部Sへの物品の出し入れを可能にする開閉自在な収納口3と、この収納口3の閉塞状態をロックできるロック機構4と、鞄本体2に設けた取手11とから構成してある。
【0011】
各部を詳述すると、鞄本体2は、図1に示すように、上壁部5と下壁部6と前壁部7と後壁部8と右壁部9と左壁部10とから収納部Sを形成するものであり、その外形が直方体状をなす。特に、本実施の形態においては、前壁部7を下部前壁部72と上部前壁部71とからなるものとするとともにこれら上部前壁部71と下部前壁部72との間にヒンジとして例えば軟質樹脂製のスリット(図示せず。)を介在させ、上部前壁部71が前後方向に屈曲自在となるようにしてある。また、本実施の形態においては、上壁部5を、上部前壁部71に連結した前部上壁部51と後壁部8の上端部に連結した後部上壁部52とから構成して、上部前壁部71の屈曲により、前部上壁部51が後部上壁部52から接離するものとしてある。
【0012】
収納口3は、上部前壁部71を前後方向に屈曲させて後部上壁部52と前部上壁部51とを離間させることにより収納部Sを上方に開放するものである。より具体的には、この収納口3は、後部上壁部52の前側の側縁部と、前部上壁部51の後側の側縁部と、左右壁部9、10の前側の側縁部における上端部と、上部前壁部71の左右両端部から後方に延びる舌片部71aの後側の側縁部とから囲まれて形成される。尚、本実施の形態においては、前記各舌片部71aには、左右壁部9、10の内面に取り付けたピン31に沿わせたスライド溝32が形成してあり、このスライド溝32の内側面における中間位置に設けた微小突起状の掛け止め部(図示せず)を前記ピン31に掛け止めることにより上部前壁部71を所定の屈曲角度で固定したり、収納物品の大きさに合わせて屈曲角度を選択したりできるようにしてある。尚、この掛け止め部は複数設てもよいし、一方のスライド溝32にのみ設けてもよい。
【0013】
ロック機構4は、鞄本体2に設けた係合部41に対して係合状態となる係合位置Pと、前記係合部41に対して非係合状態となる退避位置Qとの間で左右にスライド移動可能に設けた移動部材42と、取手11に設けた操作部43と、この操作部43を当該操作部43の操作によって移動部材42を移動させ得るものとする伝達機構44とから構成してなる。特に、本実施の形態においては、取手11の左右側部にそれぞれロック機構4を設けてある。
【0014】
係合部41は、図4〜図6に示すように、前部上壁部51の側縁部に設けた、退避位置Q側に突出する突出片である。特に、本実施の形態においては、収納口3の閉塞状態において、後部上壁部52の前側の側縁部に設けた凹部91に嵌り込む凸部92を前部上壁部51の後側の側縁部に形成し、この凸部92に係合部41を形成してある。尚、本実施の形態においては、前部上壁部51及び左右舌片部71aをそれぞれプラスチック製の薄板状の壁部本体27と、この壁部本体27の外側に取り付けた硬質樹脂製の補強部28とからなるものとして、この補強部28に凸部92を形成してある。
【0015】
移動部材42は、後部上壁部52の前側の側縁部に設けたものであり、より具体的には、図6に示すように、係合位置Pにおいてその下端部に形成してある断面コ字型の掛け止め部42aが係合部41を挟み込み、退避位置Qにおいて掛け止め部が係合部41から退避するようにしてある。尚、本実施の形態においては、後部上壁部52と左右壁部9とを、プラスチック製の薄板状の壁部本体25と、この壁部本体25の外側に取り付けた硬質樹脂製の補強部26とからなるものとしてあり、この補強部26の上面に移動部材42のスライド移動を案内する案内レールRを形成し、この案内レールRに移動部材42の下端部を係り合わせてある。また、符号42eは、後述する案内孔13に係り合わさって、案内レールRとともに移動部材42のスライド移動を案内する役割を果たす案内部材である。
【0016】
操作部43は、図2及び図3に示すように、取手11の付け根の上面に形成した開口部12に取手11の内部側から嵌り込むロック位置Mと、開口部12から移動部材42における退避位置Q側に移動して取手11の内部に形成した案内孔13に嵌り込む解除位置Nとの間でスライド移動可能に設けてあり、前記ロック位置Mにおいて移動部材42を係合位置Pに位置させ、解除位置Nにおいて移動部材42を退避位置Qに位置させるものである。特に、本実施の形態においては、操作部43は、円板状のものであり、その上面には当該操作部43を指等で解除位置Nにスライド移動させるべく、解除位置N側に向かって若干上り傾斜の押圧面部43aを形成してある。また、前記開口部12の形状は操作部43の平面視形状に略一致させてあり、ロック位置Mにおいては操作部43の上面と取手11の表面とが滑らかに連続して続くようにしてある。尚、本実施の形態においては、開口部12は、概略円形状としてある。
【0017】
伝達機構44は、図2及び図3に示すように、操作部43と移動部材42との間に介在する弾性変形性を有する一対の屈曲部材44aと、開口部12の底面に形成した傾斜面44bとを利用してなる。
【0018】
各屈曲部材44aは、移動部材42から下方に垂下する垂下部44cと、この垂下部44cの下端部から係合位置P側に斜め上方に延び、その先端部において操作部43と連結してある延出部44dとからなり、前記延出部44dの先端が上下に移動するように弾性変形するものである。より具体的には、この屈曲部材44aは、延出部44dに下方向への押圧力が作用すると当該押圧力に反発した弾性復帰力が生じるものであり、移動部材42を取手11の付け根の上面側に弾性付勢する弾性体としての役割を果たす。尚、本実施の形態においては、操作部43と屈曲部材44aと移動部材42とを一体成形してある。
【0019】
傾斜面44bは、操作部43におけるロック位置M側から退避位置Q側に向かって下り傾斜するもので、操作部43のロック位置Mと退避位置Qとの間でのスライド移動を案内する役割を果たす。
【0020】
取手11は、移動部材42が係合位置Pに位置する時において当該移動部材42の係合位置P側の端面と当該取手11の左右の端面とが当接するように、後部上壁部52の補強板52に設けたものである。特に本実施の形態においては、取手11の左右の端面の形状をそれぞれ、移動部材42の係合位置P側の端面と略同一形状にしてある。より具体的には、移動部材42の係合位置P側の端面は、それ自体が係合位置P側に下り傾斜するとともにその形状を下方に開口する断面コ字形としてある。一方、取手11の左右の端面は、それ自体が移動部材42側に上り傾斜するとともにその形状が下方に開口する断面コ字形としてある。
【0021】
以上にように構成してあるファイルケース1において、収納口3の閉塞状態のロックを解除するには、図2に示すように、ロック位置Mにある操作部43を指等により押圧する。すると、操作部43が、屈曲部材44aの弾性復帰力に逆らって開口部12から退避して傾斜面44bに沿って解除位置N側にスライド移動し、図3に示すように、案内孔13に嵌まり込むこととなる。これにより、係合位置Pにあった移動部材42が退避位置Qに位置して、移動部材42と係合部41とが非係合状態となり、上部前壁部71を前方に屈曲させて収納部Sを上方に開放することが可能となる。尚、この退避位置Qにおいて指を離した場合、屈曲部材44aには弾性復帰力が作用しているため、操作部43が案内孔13を形成する取手11の内壁面に当接することとなり、操作部43を解除位置Nに固定すること、換言すれば、移動部材42を退避位置Qに固定することが可能となる。
【0022】
一方、収納口3の閉塞状態をロックするには、移動部材42を指等により係合位置Pに移動させる。これにより、操作部43は、案内孔13から退避して傾斜面44bをロック位置M側にスライド移動し、開口部12に嵌まり込みロック位置Mに位置することとなる。なお、このロック位置Mにおいては、図2に示すように、開口部12の開口縁と操作部43の周縁とが当接した状態となるので、操作部43に下方向の押圧力が作用しない限り、操作部43をロック位置Mに換言すれば移動部材42を係合位置Pに保持することが可能となる。そして、移動部材42の係合位置Pにおいては、移動部材42の係合位置P側の端部と取手11の左右端部とが当接することとなる。
【0023】
従って、このようなファイルケース1であれば、移動部材42の係合位置Pにおいては移動部材42の係合位置P側の端部と取手11の左右端部とが当接して、取手11の表面と移動部材42の上面とが連続して滑らかに続くものとなって取手11と移動部材42とが形状的に一体をなすので、移動部材42が衣服等に引掛かり難くなる。また、操作部43を取手11の付け根に設けてあるので、収納部Sに書類等の物品を出し入れする際、移動部材42を操作すべく一旦取手11から手を離したり、台等の上に置いたりせずとも、収納口3の開閉がスムーズに行えるようになる。
【0024】
また、取手11は、収納口3の開閉においてそれ自体は移動しない後部上壁部52に設けてあるので、収納口3の開閉を良好なものとすることができる。
【0025】
更に言えば、本実施の形態におけるファイルケース1は、上部前壁部71が屈曲して収納口3を開放するいわゆる片開きのものであるので、後壁部8を下にして当該ファイルケース1を台や膝に置いた状態においての収納口3の開閉をも良好にできるようになる。
【0026】
尚、本実施の形態は、上述の図示例に限られるものではない。例えば、操作部を解除位置に位置させた際に指を離せば、自動的に操作部がロック位置に戻るようにしてもよい。また、ロック機構を、取手の一方の付け根側にのみ設けたものとしてもよい。さらに、弾性体として、圧縮ばねを用いてもよい。加えて、屈曲部材は本実施の形態のように一対とするのに限られない。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の鞄によれば、移動部材が係合位置において取手と形状的に一体をなすので、移動部材が衣服等に引掛かり難くなるうえ、操作部を取手に設けてあるので、収納部に物品を出し入れする際、移動部材を操作すべく一旦取手から手を離したり、台等の上に置いたりせずに、スムーズに収納口の開閉が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるファイルケースを示す斜視図。
【図2】同実施の形態におけるファイルケースのロック機構を示すA-A線端面図。
【図3】同実施の形態におけるファイルケースのロック機構を示すA-A線端面図。
【図4】同実施の形態におけるファイルケースのロック機構を示す平面図。
【図5】同実施の形態におけるファイルケースのロック機構を示す平面図。
【図6】同実施の形態におけるファイルケースのロック機構を示すB-B線端面図。
【符号の説明】
1 ファイルケース(鞄)
2 鞄本体
3 収納口
4 ロック機構
11 取手
12 開口部
13 案内孔
41 係合部
42 移動部材
43 操作部
44a 屈曲部材(弾性体)
M ロック位置
N 解除位置
P 係合位置
Q 退避位置
S 収納部

Claims (3)

  1. 上壁部と、下壁部と、前壁部と、後壁部と、右壁部と、左壁部からなる収納部を形成する鞄本体と、収納口と、ロック機構とを具備し、前記収納部への物品の出し入れを可能にする為、収納口は上壁部を、上部前壁部に連結した前部上壁部と後壁部の上端部に連結した後部上壁部とから構成して、上部前壁部の屈曲により、前部上壁部が後部上壁部から接離することによって開閉自在とし、前記ロック機構を、鞄本体に設けた係合部に対して係合状態となる係合位置と、前記係合部に対して非係合状態となる退避位置との間で移動可能に設けた移動部材と、この移動部材を移動させ得る、取手に設けた操作部とから構成してなり、前記移動部材が、係合位置に位置するときにおいて収納口を閉塞状態にロックできるようにし、取手の左右の端部の形状をそれぞれ、移動部材の係合位置側の端面と略同一形状にしてあると共に、移動部材の係合位置においては、移動部材の係合位置側の端面と当該取手の左右の端面とが当接するようにしてあり、前記移動部材の係合位置においては、取手の表面と移動部材の上面とが連続して滑らかに動くものとなって、取手と移動部材が形状的一体をなすようにしたことを特徴とする鞄。
  2. 操作部を、取手の付け根の上面に形成した開口部に取手の内部側から嵌り込むロック位置と、前記収納口から側方に退避して取手の付け根の内部に形成した案内孔に嵌り込む解除位置との間で移動可能に設け、前記ロック位置において移動部材を係合位置に位置させ解除位置において移動部材を退避位置に位置させ得るように構成してある請求項1記載の鞄。
  3. 操作部が、弾性体により取手の上面側に弾性付勢してあるものであり、この弾性体の弾性復帰力に逆らってロック位置にある操作部を収納口から退避させてから案内孔側にスライド移動させ、解除位置に位置させるものであることを特徴とする請求項2記載の鞄。
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