JP3787453B2 - コンクリート製部材の連結構造及び連結方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、PC鋼棒を用いて複数のコンクリート製部材を連結する構造及び方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、カルバート(下水用暗渠)等のコンクリート構造物を施工するために、複数のコンクリート製部材の内部にそれぞれPC鋼棒を設けるとともに、これらのPC鋼棒の端部を連結して緊張力(プレストレス力)を導入したものが知られている。
この構造の従来例は、第1及び第2のコンクリート製部材の内部にそれぞれ第1及び第2のPC鋼棒を予め設けておき、これらの第1及び第2のコンクリート製部材を並べて配置し、第1及び第2のPC鋼棒の互いに対向する一端部同士をカプラで連結し、第1のPC鋼棒の他端部をナットで固定し、この状態で第2のPC鋼棒の他端部からPC鋼棒全体に緊張力を導入し、その後、第2のPC鋼棒の他端部をナットで締め付けるものである。
【0003】
PC鋼棒に緊張力を導入するため、従来では、センターホールタイプの油圧ジャッキが利用されている。
この油圧ジャッキは、中心に1本のPC鋼棒が挿通できるための大きなセンターホールが形成された本体と、PC鋼棒の端部周面を保持して引っ張る引張機構とを備えた構成である。
【0004】
前述の従来例では、第1のPC鋼棒の他端部にナットを取り付け、かつ、第2のPC鋼棒の他端部からセンターホールタイプの油圧ジャッキを用いて緊張力を導入するため、第1及び第2のPC鋼棒の他端部側には大きな作業スペースが必要とされる。
そのため、これらのPC鋼棒の他端部はコンクリート製部材の端面から突出するように露出されている。
このコンクリート製部材の端面に他のコンクリート製部材が接して設けられる場合には、コンクリート製部材の第1及び第2のPC鋼棒の他端部近傍に作業空間を確保するための大きな窪みが形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来例では、1本のPC鋼棒(第2のPC鋼棒)を引っ張って緊張力を導入するため、その緊張力を導入するための手段は、PC鋼棒の端部周面を確実に保持できるセンターホールタイプの油圧ジャッキでなければならない。
この油圧ジャッキは、PC鋼棒を中心に位置させるためのセンターホールが本体中心部に形成され、この本体が引張機構によってPC鋼棒の端部周面を引っ張る際に耐えられる強度を有するために必然的に大きな構造となる。
そのため、第1及び第2のPC鋼棒の他端部側には大きな作業スペースが必要とされ、この作業スペースを取れない場合には、緊張力の導入作業が困難となるという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、連結されたPC鋼棒の端部からではなく連結部により、小さな作業スペースでPC鋼棒に緊張力を導入することができるコンクリート製部材の連結構造及び連結方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明は、第1及び第2のコンクリート製部材にそれぞれ設けられた第1及び第2のPC鋼棒の少なくとも一方を複数本とし、かつ、これらの一方に予め緊張力を導入しておき、これらの第1及び第2のPC鋼棒の互いに近接する端部を連結梁で連結し、この連結梁を介してPC鋼棒に緊張力を導入するようにして前記目的を達成しようとするものである。
【0008】
具体的には、本発明のコンクリート製部材の連結構造は、第1のコンクリート製部材に第1のPC鋼棒を取り付け、第2のコンクリート製部材に第2のPC鋼棒を取り付け、これらの第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒との端部同士を互いに連結して複数のコンクリート製部材を連結する構造であって、いずれか一方に予め緊張力が導入され前記第1のコンクリート製部材の内部に一端部が設けられた前記第1のPC鋼棒と前記第2のコンクリート製部材の内部に一端部が設けられた前記第2のPC鋼棒とを、その軸線が平行となるように連結梁を介して互いに連結し、この連結梁に形成された挿通孔に前記第2のPC鋼棒を挿通し、前記第1のコンクリート製部材に形成された連結作業用スペースにおいて前記連結梁と前記第2のPC鋼棒の他端部及び前記第1のPC鋼棒の他端部とを連結し、前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の少なくとも一方を複数本から構成し、前記連結作業用スペースは前記連結梁と前記第2のコンクリート製部材との間に前記連結梁を前記第2のコンクリート製部材から離隔させて前記第2のPC鋼棒を引っ張る油圧機器を設置するスペースを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のコンクリート製部材の連結方法は、第1のコンクリート製部材に第1のPC鋼棒を取り付け、この第1のPC鋼棒の軸線と軸線がそれぞれ平行となるように第2のPC鋼棒を第2のコンクリート製部材に取り付け、前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の少なくとも一方を複数本から構成し、前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の一方に予め緊張力を導入しておき、これらの第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒との端部同士を連結梁を介して互いに連結し、その後、この連結梁を介して前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の一方を前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の他方に向けて引っ張るとともに、前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の他方と前記連結梁とを連結し直すことを特徴とする。
【0010】
この発明では、第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒の片側、例えば、第1のPC鋼棒に予め緊張力を導入しておかなければならない。
この発明によれば、例えば、連結梁と第2のコンクリート製部材との間に所定の圧力機器、例えば、単動シリンダタイプの油圧ジャッキを配置し、この油圧ジャッキを作動することで連結梁を介して第2のPC鋼棒に予め第1のPC鋼棒に与えた緊張力に等しいかあるいはそれより大きな緊張力を与える。これにより、連結梁と第1のPC鋼棒の端部との間が緩むことになれば、この緩んだ部分を連結し直す。
【0011】
すると、第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒とには、それぞれ第1のPC鋼棒に導入した緊張力と同等あるいはそれ以上の緊張力が導入されることになり、その結果、大きな緊張力で第1及び第2のコンクリート製部材を連結することができる。
連結作業が終了したら、油圧ジャッキを除荷することにより、第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒とを力学的な連続体とすることができる。
そのため、PC鋼棒に緊張力を導入するにあたり、油圧機器でPC鋼棒の端部を直接保持するものではないので、大きな構造の油圧機器を使用する必要がなく、作業スペースも従来に比べて小さくても十分である。
【0012】
さらに、本発明の連結構造では、前記第1のPC鋼棒と前記第2のPC鋼棒とは、それぞれ複数本設けられ、これらの第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒とは仮想軸線を中心として互いに所定角度離れて均等に配置された構成でもよい。
この構成では、第1のPC鋼棒及び第2のPC鋼棒ともに複数本とされるため、1本のPC鋼棒自体が細くても、PC鋼棒全体として大きな緊張力を導入することができる。そのため、第1及び第2のコンクリート製部材の連結強度を大きなものにできる。しかも、第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒とは仮想軸線を中心として互いに所定角度離れて均等に配置されているので、第1のコンクリート製部材と第2のコンクリート製部材との連結力を均等にして安定した連結状態を確保することができる。
【0013】
また、前記第1のPC鋼棒と前記連結梁とは第1のナット部材を介して連結され、前記第2のPC鋼棒と前記連結梁とは第2のナット部材を介して連結された構成でもよい。
この構成では、第1及び第2のPC鋼棒の端部に形成されたボルト部にナット部材を螺合することで連結梁とPC鋼棒との連結が行われる。
連結梁を介して第2のPC鋼棒に予め第1のPC鋼棒に与えた緊張力に等しいかあるいはそれより大きな緊張力を与え、連結梁と第1のPC鋼棒に設けられたナット部材との間にできた隙間をナット部材をねじ込むことで0とする。
そのため、軽微な緊張力(プレストレス力)であれば、油圧ジャッキを使用せず、第2のPC鋼棒の端部のナット部材をスパナ等でねじ込んで第2のPC鋼棒に緊張力を導入し、第1のPC鋼棒を予め緊張することに用いたナット部材が自由に回転することを確認することをもって緊張力管理とすることも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は一実施形態の全体構成を示す断面図であり、図2は図1のII-II線に沿った矢視断面図である。
これらの図において、本実施形態は、それぞれ分割型ボックスカルバートを構成する第1のコンクリート製部11と第2のコンクリート部材12とを連結する構造である。
【0015】
第1のコンクリート製部材11は、ボックスカルバートの上部を構成するものであり、天井面部11Aの端部から垂直に鉛直部11Bが形成された構造である。鉛直部11Bの下部には、直方体状の連結作業用スペース11Cが形成されている。
第2のコンクリート製部材12は、ボックスカルバートの下部を構成するものであり、底板面部12Aの端部から垂直に鉛直部12Bが切り立って形成された構造である。鉛直部12Bの上端面は第1のコンクリート製部材11の鉛直部11Bの下端面と接合されている。
【0016】
第1のコンクリート製部材11の鉛直部11Bには第1のPC鋼棒21が上下に延びて1本取り付けられており、この第1のPC鋼棒21は、その上端部に形成されたボルト部21Aにナット31が螺合され、その下端部に形成されたボルト部21Bの下端から所定寸法離れた位置にナット31が螺合されている。
第1のPC鋼棒21の上端部には支圧用アンカープレート32がナット31に隣接して設けられている。
第1のPC鋼棒21の下端部に螺合されたナット31は連結作業用スペース11Cに露出して設けられており、このナット31と連結作業用スペース11Cの上端面との間には支圧用アンカープレート32が介装されている。
【0017】
第2のコンクリート製部材12の鉛直部12Bには第2のPC鋼棒22が2本取り付けられており、これらの第2のPC鋼棒22は、それぞれ軸線が第1のPC鋼棒21の軸線と平行となるように上下に延びて配置されている。
これらの第2のPC鋼棒22は、その下端部に形成されたボルト部22Bの下端部にナット31がそれぞれ螺合されており、これらのナット31に隣接して支圧用アンカープレート32がそれぞれ設けられている。
【0018】
連結作業用スペース11Cにおいて、2本の第2のPC鋼棒22の上端部と第1のPC鋼棒21の下端部とは、連結梁4を介して互いに連結されている。
第1のPC鋼棒21と第2のPC鋼棒22との連結構造が図3及び図4にそれぞれ拡大して示されている。
図3は連結構造の詳細を示す断面図、図4は連結構造を分解した状態を示す断面図である。
【0019】
これらの図において、連結梁4は、略直方体状のブロックから形成され、その中心部には段付き円筒状のナット収納スペース4Aが上下に沿って形成され、その両側部には、第2のPC鋼棒22を挿通する鋼棒挿通孔4Bがそれぞれ上下に沿って形成されている。
これらの鋼棒挿通孔4Bと第2のPC鋼棒22との間には連結梁4の取付誤差を吸収するための隙間が形成されている。
【0020】
ナット収納スペース4Aには、第1のナット部材51が第1のPC鋼棒21の軸方向に移動自在かつ周方向に回動自在に設けられている。
この第1のナット部材51は、第1のPC鋼棒21の下端ボルト部21Bと螺合されるナット部51Aと、このナット部51Aと一体に形成された保持部51Bとから構成されている。
保持部51Bは、連結梁4のナット収納スペース4Aからの抜け止めをするために、下端部の径が大きな段付き円筒状に形成されている。
保持部51Bの軸芯にはナット部51Aと螺合された第1のPC鋼棒21の下端部が挿通されるための挿通孔51Cが上下に延びて形成されている。
第2のPC鋼棒22の上端ボルト部22Aには第2のナット部材52が螺合されており、この第2のナット部材52と連結梁4の上面との間にはワッシャ53が介装されている。
【0021】
次に、本実施形態のコンクリート製部材の連結方法を説明する。
まず、工場において、第1のコンクリート製部材11を製造するとともに、第1のコンクリート製部材11に第1のPC鋼棒21を取り付ける。さらに、第2のコンクリート製部材12を製造するとともに、この第2のコンクリート製部材12に第2のPC鋼棒22を取り付ける。
【0022】
第1及び第2のコンクリート製部材11,12を建設現場まで搬送する。
建設現場では、クレーン等の重機を用いて第2のコンクリート製部材12を所定位置に配置し、その後、第2のコンクリート製部材12の上に第1のコンクリート製部材11を設置する。
第2のコンクリート製部材12の上に第1のコンクリート製部材11を設置するにあたり、第1のコンクリート製部材11に形成された連結作業用スペース11Cに第1のPC鋼棒21の下端部と、2本の第2のPC鋼棒22の上端部とがそれぞれ露出することになる。
【0023】
第2のコンクリート製部材12の上に第1のコンクリート製部材11を設置する前に、連結梁4の挿通孔4Bに第2のPC鋼棒22の上端部を挿通し、連結梁4のナット収納スペース4Aに第1のナット部材51を挿入しておく。
なお、工場又は建設現場において、第1のコンクリート製部材11の内部に取り付けられた第1の鋼棒21に緊張力Piを通常の方法で導入しておく。
【0024】
その後、これらの第1のPC鋼棒21の下端部に第1のナット部材51をねじ込むことで、第1のナット部材51のナット部51Aを連結梁4の上端面から上方に露出させ、かつ、連結梁4を第2のコンクリート製部材12の上端面から所定高さに位置させる。さらに、連結梁4と第2のコンクリート製部材12の上端面との間のスペースに油圧機器60を設置する。
この油圧機器60の構造が図5に示されている。
図5において、油圧機器60は、底有短寸円筒状のケーシング61に厚肉円板状のピストン62が進退自在に設けられ、このピストン62とケーシング61の底部との間にカプラ63を介して作動油が供給される単動シリンダタイプの油圧ジャッキである。
【0025】
さらに、第2のPC鋼棒22の上端ボルト部22Aに第2のナット部材52を遊びがないように締め付ける。第2のPC鋼棒22の上端ボルト部22Aに第2のナット部材52を締め付けるにあたり、第2のナット部材52と連結梁4の上面との間にワッシャ53を介装しておく。これにより、連結梁4を介して第1のPC鋼棒21と第2のPC鋼棒22とが互いに連結された状態となる。
この状態において、連結梁4と第2のコンクリート製部材12の上端面との間に挟まれた油圧機器60に作動油を供給すると、ピストン62が前進して連結梁4を上方に押し上げる。この連結梁4を押し上げる力は、前記緊張力Piより大きいPrである。
【0026】
これにより、連結梁4は上方に移動することになり、2本の第2のPC鋼棒22には、第2のナット部材52及びワッシャ53を介して緊張力Prが導入される。
さらに、連結梁4が上方に移動しても第1のナット部材51が所定位置に止まり、第1のナット部材51と連結梁4との間に遊びが生じる。この遊びをなくすため、第1のナット部材51のナット部51Aをスパナ等の工具を用いてねじ込む。
【0027】
第1のPC鋼棒21に予め導入された緊張力Piより大きな緊張力Prが導入されたか否かは第1のPC鋼棒21の下端部に螺合されたナット31が緩んでいるか否かにより判断する。
第1のPC鋼棒21及び第2のPC鋼棒22にぞれぞれ緊張力が導入されたなら、油圧機器60を取り外す。
【0028】
従って、本実施形態では、第1のコンクリート製部材11に第1のPC鋼棒21を取り付け、第2のコンクリート製部材12に2本の第2のPC鋼棒22を取り付け、第1のPC鋼棒21と第2のPC鋼棒22とを、その軸線が平行となるように連結梁4を介して互いに連結し、連結梁4と第2のコンクリート製部材12との間に配置した油圧機器60によって連結梁4を上方に押し上げて第2のPC鋼棒22を引っ張り、その後、第1のPC鋼棒21と連結梁4とを連結し直して第1のPC鋼棒21と第2のPC鋼棒22とにそれぞれ緊張力を導入したから、第1及び第2のPC鋼棒21,22に緊張力を導入するにあたり、鋼棒の周面を把持するタイプのセンターホールタイプの大型の油圧ジャッキではなく、薄型の単動シリンダタイプの油圧ジャッキを利用できる。そのため、第1のコンクリート製部材11及び第2のコンクリート製部材12の連結する作業を行うに当たり、作業スペースを従来に比べて小さくできる。
【0029】
その上、第1のPC鋼棒21と第2のPC鋼棒22との端部同士を連結梁4を介して互いに連結する前に、第1のPC鋼棒21に予め緊張力Piを導入したから、この緊張力Piと同じあるいはそれ以上の力Prで第2のPC鋼棒22を第1のPC鋼棒21に向けて引っ張ることで、第1のPC鋼棒21と第2のPC鋼棒22とには、それぞれ第1のPC鋼棒に導入した緊張力と同じあるいはそれ以上の緊張力が導入されることになる。その結果、大きな緊張力で第1及び第2のコンクリート製部材11,12を連結することができる。
【0030】
しかも、第1のPC鋼棒21の上端部は、第1のコンクリート製部材11の上端面から突出するものではなく、また、第2のPC鋼棒22の下端部は、第2のコンクリート製部材12の下端面から突出するものではないから、これらのコンクリート製部材11,12の上端又は下端に他のコンクリート製部材を連結することができる。
【0031】
また、第1のPC鋼棒21と連結梁4とは第1のナット部材51を介して連結され、第2のPC鋼棒22と連結梁4とは第2のナット部材52を介して連結されたから、軽微な緊張力(プレストレス力)であれば、第2のPC鋼棒22に第2のナット部材52をスパナ等でねじ込んで第2のPC鋼棒22に緊張力を導入し、第1のPC鋼棒21を予め緊張することに用いたナット31が自由に回転することを確認することをもって緊張力管理とすることも可能である。
さらに、第1のPC鋼棒21に予め導入された緊張力Piより大きな緊張力Prが導入されたか否かは第1のPC鋼棒21の下端部に螺合されたナット31が緩んでいるか否かにより判断できるので、緊張力の管理が簡単に行える。
【0032】
さらにまた、第1のナット部材51は、第1のPC鋼棒21の下端部と螺合されるナット部51Aと、このナット部51Aと一体に形成され連結梁4と回動自在かつ軸方向移動自在とされた保持部51Bとから構成されているので、ナット部51Aを通常のナットを用いることができるので、第1のナット部材51の構造を簡単なものにできる。
【0033】
また、保持部51Bは、下端部の径が大きな段付き円筒状に形成されているため、ナット部51Aが第1のPC鋼棒21の下端部に螺合している際に第1のナット部材51が連結梁4から外れることがない。そのため、連結作業を簡単に行うことができる。
さらに、保持部51Bの軸芯にはナット部51Aと螺合された第1のPC鋼棒21の下端部が挿通されるための挿通孔51Cが第1のPC鋼棒21の軸方向に延びて貫通形成されているため、第1のPC鋼棒21のナット31から突出する長さが長くても、第1のナット部材51で第1のPC鋼棒21を保持できる。
【0034】
また、連結梁4に形成された鋼棒挿通孔4Bと第2のPC鋼棒22との間には、所定寸法の隙間が形成されているため、この隙間により、連結梁4の取付誤差を吸収することができる。
さらに、第2のナット部材52と連結梁4の上面との間にはワッシャ53が介装されているため、第2のPC鋼棒22に油圧機器60によって大きな緊張力が導入されても、確実に連結梁4、第1のナット部材51及び第1のPC鋼棒21に伝達することができる。
【0035】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、第1のPC鋼棒21を1本とし、第2のPC鋼棒22を2本としたが、本発明では、第1のPC鋼棒21を第2のPC鋼棒22と同様の本数から構成してもよく、あるいは、前記実施形態とは逆に、第1のPC鋼棒21を複数本とし、第2のPC鋼棒22を1本から構成してもよい。ただし、第1のPC鋼棒21と第2のPC鋼棒22とを、それぞれ複数本設けた場合には、これらの第1のPC鋼棒21と第2のPC鋼棒22とは仮想軸線を中心として互いに等間隔に配置される必要がある。
【0036】
例えば、図6に示される通り、第1のPC鋼棒21と第2のPC鋼棒22とをそれぞれ2本としてもよく、この場合、略短寸円筒状の連結梁41の軸芯を仮想軸線とし、この仮想軸線を中心として2本の第1のPC鋼棒21が互いに等間隔に配置され、2本の第2のPC鋼棒22は第1のPC鋼棒21の配置位置を結ぶ直線と直交する方向において、仮想軸線を中心として互いに等間隔に配置されている。なお、図6では第2のナット部材52及びワッシャ53の図示が省略されている。
【0037】
図6で示される連結構造では、第1のPC鋼棒21及び第2のPC鋼棒22ともに複数本(2本)とされるため、1本のPC鋼棒21,22自体が細くても、PC鋼棒21,22全体として大きな緊張力を導入することができる。そのため、第1及び第2のコンクリート製部材11,12の連結強度を大きなものにできる。しかも、第1のPC鋼棒21と第2のPC鋼棒22とは仮想軸線を中心として互いに所定角度離れて均等に配置されているので、第1のコンクリート製部材11と第2のコンクリート製部材12との連結力を均等にして安定した連結状態を確保することができる。
【0038】
また、本発明では、第1のPC鋼棒21を1本から構成する場合では、第2のPC鋼棒22を3本以上の複数本から構成するものでもよい。
例えば、図7に示される通り、第2のPC鋼棒22を4本から構成してもよい。この場合、第2のPC鋼棒22を第1のPC鋼棒21の配置位置を中心として等間隔に配置するため、厚肉平板状の連結梁42の角部にそれぞれ第2のPC鋼棒22が挿通するための鋼棒挿通孔4Bが形成されている。図7では第2のナット部材52及びワッシャ53の図示が省略されている。
【0039】
さらに、第1のナット部材51を第2のナット部材52と同様に、通常のナットから構成してもよい。第1のナット部材51を通常のナットから構成する場合には、連結梁4の中心部に貫通孔を形成し、この貫通孔に第1のPC鋼棒21の下端部を挿通し、連結梁4の下端面から突出した第1のPC鋼棒21の下端部をナットで螺合する。
【0040】
また、本発明が適用される連結構造は、プレキャストコンクリート製柱と基礎コンクリートとの連結だけではなく、その他、複数のコンクリート製部材を連結する場合に適用することができる。
さらに、上下に配列された第1及び第2のコンクリート製部材11,12を連結するものに限らず、左右あるいは斜め方向に配列された第1及び第2のコンクリート製部材11,12を連結する場合にも本発明を用いることができる。
また、本発明のPC鋼棒はアンボンド型、シースグラウト型、アフターボンド型等にも適用できる。
【0041】
【発明の効果】
このような本発明によれば、第1のコンクリート製部材に第1のPC鋼棒を取り付け、第2のコンクリート製部材に第2のPC鋼棒を取り付け、これらのPC鋼棒の少なくとも一方を複数とし、かつ、いずれか一方に緊張力が導入された第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒とを、その軸線が平行となるように連結梁を介して互いに連結し、この連結梁を介して第1のPC鋼棒又は第2のPC鋼棒を引っ張り、その後、第1のPC鋼棒又は第2のPC鋼棒と連結梁とを連結し直すことで各PC鋼棒に緊張力を導入したから、第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒とは力学的に連続となり、コンクリート製部材が確実に連結される。
この緊張力を導入するにあたり、鋼棒の周面を把持するタイプのセンターホールタイプの大型の油圧ジャッキではなく、薄型の単動シリンダタイプの油圧ジャッキを利用できるので、作業スペースを従来に比べて小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体構成を示す断面図である。
【図2】図1のII-II線に沿った矢視断面図である。
【図3】前記実施形態の連結構造の詳細を示す断面図である。
【図4】前記連結構造を分解した状態を示す断面図である。
【図5】前記実施形態で使用される油圧機器の断面図である。
【図6】本発明の変形例の要部を示す斜視図である。
【図7】本発明の異なる変形例の要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
4,41,42 連結梁
11 第1のコンクリート製部材
11C 連結作業用スペース
12 第2のコンクリート製部材
21 第1のPC鋼棒
22 第2のPC鋼棒
51 第1のナット部材
52 第2のナット部材
60 油圧機器
Claims (4)
- 第1のコンクリート製部材に第1のPC鋼棒を取り付け、第2のコンクリート製部材に第2のPC鋼棒を取り付け、これらの第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒との端部同士を互いに連結して複数のコンクリート製部材を連結する構造であって、いずれか一方に予め緊張力が導入され前記第1のコンクリート製部材の内部に一端部が設けられた前記第1のPC鋼棒と前記第2のコンクリート製部材の内部に一端部が設けられた前記第2のPC鋼棒とを、その軸線が平行となるように連結梁を介して互いに連結し、この連結梁に形成された挿通孔に前記第2のPC鋼棒を挿通し、前記第1のコンクリート製部材に形成された連結作業用スペースにおいて前記連結梁と前記第2のPC鋼棒の他端部及び前記第1のPC鋼棒の他端部とを連結し、前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の少なくとも一方を複数本から構成し、前記連結作業用スペースは前記連結梁と前記第2のコンクリート製部材との間に前記連結梁を前記第2のコンクリート製部材から離隔させて前記第2のPC鋼棒を引っ張る油圧機器を設置するスペースを有することを特徴とするコンクリート製部材の連結構造。
- 請求項1に記載のコンクリート製部材の連結構造において、前記第1のPC鋼棒と前記第2のPC鋼棒とは、それぞれ複数本設けられ、これらの第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒とは仮想軸線を中心として互いに所定角度離れて均等に配置されていることを特徴とするコンクリート製部材の連結構造。
- 請求項1又は2に記載のコンクリート製部材の連結構造において、前記第1のPC鋼棒と前記連結梁とは第1のナット部材を介して連結され、前記第2のPC鋼棒と前記連結梁とは第2のナット部材を介して連結されていることを特徴とするコンクリート製部材の連結構造。
- 第1のコンクリート製部材に第1のPC鋼棒を取り付け、この第1のPC鋼棒の軸線と軸線がそれぞれ平行となるように第2のPC鋼棒を第2のコンクリート製部材に取り付け、前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の少なくとも一方を複数本から構成し、前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の一方に予め緊張力を導入しておき、これらの第1のPC鋼棒と第2のPC鋼棒との端部同士を連結梁を介して互いに連結し、その後、この連結梁を介して前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の一方を前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の他方に向けて引っ張るとともに、前記第1のPC鋼棒及び前記第2のPC鋼棒の他方と前記連結梁とを連結し直すことを特徴とするコンクリート製部材の連結方法。
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