JP3785994B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素ガスを供給する水素タンクと、水素ガスの供給を受けて電力を発生する燃料電池と、を備えた燃料電池システムに関し、特に、燃料電池の温度を所望の温度にすることが可能な燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高圧水素タンクと、燃料電池と、を備えた燃料電池システムを搭載した車両を、例えば、寒冷地において冬場に使用する場合、周囲温度が極めて低い(例えば、0℃未満)ため、燃料電池システムの起動前には、燃料電池内が凍り付いている(例えば、電解質膜などが凍り付いている)恐れがあり、そのままでは、燃料電池を作動させることができない。従って、燃料電池システムの起動時には、燃料電池の温度を常温(例えば、0℃以上)まで上げて、燃料電池内を解凍させた上で、燃料電池を作動させる必要がある。
【0003】
そのため、従来においては、このような場合に、電気ヒータまたは燃焼ヒータを用いて、燃料電池本体または燃料電池内を循環する冷却水を加熱する方法が採られていた。
【0004】
また、従来においては、燃料電池が作動した後においても、燃料電池の温度が適正な温度までなかなか上がらない場合には、上記したのと同様の方法が採られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、電気ヒータを用いる方法では、電気ヒータに電力を供給するために、車両に、大容量のバッテリを搭載する必要があるという問題があった。
【0006】
また、燃焼ヒータを用いる方法では、燃料電池に供給すべき燃料である水素ガスを燃焼ヒータに供給して燃焼させるため、その分の燃料(すなわち、水素ガス)は単に燃焼に利用されるだけであり、燃料電池における電力発生には何ら利用されないことになる。従って、その分の燃料が持つエネルギは、電力発生の観点から見て、損失になってしまうという問題があった。なお、電気ヒータを用いる場合においても、燃料電池によって発生した電力をバッテリに蓄えた上で、その蓄えた電力を電気ヒータに供給して、電気ヒータを加熱させる場合には、同様の問題が発生する。
【0007】
さらにまた、その他の方法として、燃料電池全体を断熱材等でくるんで、燃料電池を保温する方法も考えられるが、かかる方法では、燃料電池の運転終了後、或る程度の時間は燃料電池の温度を適正な温度に保つことができるが、長時間経過すると、何れは周囲温度まで低下してしまうため、この場合においても、起動時には、燃料電池の温度を適正な温度まで上げる必要がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、大容量のバッテリを要することなく、燃料電池の温度を所望の温度にすることができ、しかも、エネルギを効率よく利用することができる燃料電池システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の第1の燃料電池システムは、水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクをさらに備え、
前記燃料電池の温度が第1の基準温度以下である場合には、前記水素タンクから前記水素吸蔵合金タンクに前記水素ガスを供給して、該水素ガスを前記水素吸蔵合金タンクに吸蔵させることにより、該水素吸蔵合金タンクで熱を発生させると共に、前記水素ガスおよび酸化ガスのうち、少なくとも一方のガスを、前記水素吸蔵合金タンクの配置された供給流路を介して前記燃料電池に供給することにより、発生した前記熱を前記ガスによって前記燃料電池に伝達させて、該燃料電池の温度を上昇させることを要旨とする。
【0010】
このように、第1の燃料電池システムでは、燃料電池の温度が第1の基準温度以下である場合に、水素タンクから水素吸蔵合金タンクに水素ガスを供給して、その水素ガスを水素吸蔵合金タンクに吸蔵させる。水素吸蔵合金は、水素ガスを吸蔵すると、発熱反応を生じるため、水素吸蔵合金タンクは熱を発生する。一方、水素ガスおよび酸化ガスのうち、少なくとも一方のガスを、水素吸蔵合金タンクの配置された流路を介して燃料電池に供給する。このとき、水素吸蔵合金タンクで発生した熱を上記流路を介するガスによって燃料電池に伝達させることにより、燃料電池の温度を上昇させる。
【0011】
従って、第1の燃料電池システムによれば、燃料電池の温度が第1の基準温度以下である場合に、燃料電池の温度を所望の温度まで上げることができるので、例えば、冬場のように周囲温度が極めて低く、燃料電池システムの起動前に、燃料電池内が凍り付いている場合でも、起動時に、燃料電池の温度を常温まで上げて、燃料電池内を解凍させた上で、燃料電池を作動させることができる。
【0012】
また、水素吸蔵合金タンクに水素ガスを吸蔵させる際に発生する熱を利用して、燃料電池の温度を上昇させているので、従来において用いられていた電気ヒータや燃焼ヒータが不要となると共に、大容量のバッテリも必要としない。
【0013】
本発明の第2の燃料電池システムは、水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクをさらに備え、
前記燃料電池の温度が第1の基準温度より高く第2の基準温度以下である場合には、前記燃料電池に前記酸化ガスを供給する他、前記水素タンクから前記燃料電池に前記水素ガスを供給し、前記燃料電池において、前記電力の発生に利用すると共に、前記水素タンクから前記水素吸蔵合金タンクにも前記水素ガスを供給して、前記水素吸蔵合金タンクに吸蔵させることにより、該水素吸蔵合金タンクで熱を発生させ、前記燃料電池に供給される前記水素ガスおよび酸化ガスのうち、少なくとも一方のガスを、前記水素吸蔵合金タンクの配置された流路に通すことにより、発生した前記熱を前記ガスによって前記燃料電池に伝達させて、該燃料電池の温度を上昇させることを要旨とする。
【0014】
このように、第2の燃料電池システムでは、第1の基準温度より高く第2の基準温度以下である場合に、酸化ガスを燃料電池に供給する他、水素タンクから水素ガスを、燃料電池に供給すると共に、水素吸蔵合金タンクにも供給する。燃料電池では、供給された水素ガスと酸化ガスを電力の発生に利用する。水素吸蔵合金タンクでは、供給された水素ガスを吸蔵し、熱を発生する。また、燃料電池に供給される水素ガスおよび酸化ガスのうち、少なくとも一方のガスを、水素吸蔵合金タンクの配置された流路に通す。水素吸蔵合金タンクで発生する熱を上記流路を通るガスによって燃料電池に伝達させることにより、燃料電池の温度を上昇させる。
【0015】
従って、第2の燃料電池システムによれば、第1の基準温度より高く第2の基準温度以下である場合に、燃料電池を作動させながら、燃料電池の温度を所望の温度まで上げることができるので、例えば、燃料電池内は凍り付いていないものの、燃料電池の温度がまだ低い場合に、燃料電池自体による発熱と水素吸蔵合金タンクから伝達される熱によって、燃料電池の温度を急速に上げることができる。
【0016】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記燃料電池の温度が第3の基準温度より高い場合には、前記燃料電池から排出された前記水素オフガスおよび酸素オフガスのうち、少なくとも一方のガスを、前記水素吸蔵合金タンクの配置された流路に通して、前記燃料電池の発生する熱を前記ガスによって前記水素吸蔵合金タンクに伝達させることにより、該水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている前記水素ガスを放出させ、放出した該水素ガスを前記燃料電池に供給して、前記電力の発生に利用することが好ましい。
【0017】
このように、燃料電池の温度が第3の基準温度より高い場合に、燃料電池から排出された水素オフガスおよび酸素オフガスのうち、少なくとも一方のガスを、水素吸蔵合金タンクの配置された流路に通して、燃料電池の発生する熱をガスによって水素吸蔵合金タンクに伝達させる。そして、燃料電池の発生する熱を利用して、水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている水素ガスを放出させ、放出した水素ガスを燃料電池に供給して、電力の発生に利用する。
【0018】
従って、燃料電池の温度を上昇させるために利用された水素ガス(すなわち、水素タンクから水素吸蔵合金タンクに供給され、水素吸蔵合金タンクに吸蔵された水素ガス)を、燃料電池に供給して、電力発生に用いることができるので、燃料である水素ガスの持つエネルギを効率よく利用することができる。
【0019】
また、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンクから水素ガスを放出させるために、燃料電池の発生する熱を利用しているため、他のエネルギを必要としない。
【0020】
本発明の第3の燃料電池システムは、水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクをさらに備え、
前記燃料電池の温度が第4の基準温度より高い場合には、前記燃料電池から排出された前記水素オフガスおよび酸素オフガスのうち、少なくとも一方のガスを、前記水素吸蔵合金タンクの配置された流路に通して、前記燃料電池の発生する熱を前記ガスによって前記水素吸蔵合金タンクに伝達させ、該水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている前記水素ガスを放出させることにより、伝達された前記熱を前記水素吸蔵合金タンクで吸収すると共に、放出した前記水素ガスを前記燃料電池に供給して、前記電力の発生に利用することを要旨とする。
【0021】
このように、第3の燃料電池システムでは、燃料電池の温度が第4の基準温度より高い場合に、燃料電池から排出された水素オフガスおよびオフガスのうち、少なくとも一方のガスを、水素吸蔵合金タンクの配置された流路に通して、燃料電池の発生する熱をガスによって水素吸蔵合金タンクに伝達させ、水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている水素ガスを放出させる。そして、伝達された熱を水素吸蔵合金タンクで吸収すると共に、放出した水素ガスを燃料電池に供給して、電力の発生に利用する。
【0022】
従って、第3の燃料電池システムによれば、燃料電池の温度が第4の基準温度より高い場合に、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンクを利用して、燃料電池の温度を所望の温度まで下げることができるので、例えば、夏場のように周囲温度が高い場合でも、燃料電池の温度を定常温度に保つことができる。
【0023】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記水素オフガスは、前記燃料電池に供給される前記水素ガスに合流させることが好ましい。
【0024】
水素オフガスは、燃料電池において、電力の発生に供された後であっても、まだ、水素を含んでいるので、燃料電池に供給される水素ガスに合流させて戻すことによって、水素の有効活用を図ることができる。
【0025】
本発明の第4の燃料電池システムは、水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクを、前記燃料電池の内部および外周部のうち、少なくとも一方に配置し、
前記燃料電池の温度が第1の基準温度以下である場合には、前記水素タンクから前記水素吸蔵合金タンクに前記水素ガスを供給して、該水素ガスを前記水素吸蔵合金タンクに吸蔵させることにより、該水素吸蔵合金タンクで熱を発生させ、発生したその熱を前記燃料電池に伝達させて、該燃料電池の温度を上昇させることを要旨とする。
【0026】
このように、第4の燃料電池システムでは、燃料電池の温度が第1の基準温度以下である場合に、水素タンクから水素吸蔵合金タンクに水素ガスを供給して、その水素ガスを水素吸蔵合金タンクに吸蔵させる。この結果、水素吸蔵合金における発熱反応によって、水素吸蔵合金タンクは熱を発生する。発生した熱を直接、燃料電池に伝達させることにより、燃料電池の温度を上昇させる。
【0027】
従って、第4の燃料電池システムにおいても、前述した第1の燃料電池システムと同様の効果を奏することができる。また、第4の燃料電池システムにおいては、水素吸蔵合金タンクで発生した熱を燃料電池に直接伝達しているため、エネルギの有効利用を図ることができる。
【0028】
本発明の第5の燃料電池システムは、水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクを、前記燃料電池の内部および外周部のうち、少なくとも一方に配置し、
前記燃料電池の温度が第1の基準温度より高く第2の基準温度以下である場合には、前記燃料電池に前記酸化ガスを供給する他、前記水素タンクから前記燃料電池に前記水素ガスを供給し、前記燃料電池において、前記電力の発生に利用すると共に、前記水素タンクから前記水素吸蔵合金タンクにも前記水素ガスを供給して、前記水素吸蔵合金タンクに吸蔵させることにより、該水素吸蔵合金タンクで熱を発生させ、発生したその熱を前記燃料電池に伝達させて、該燃料電池の温度を上昇させること要旨とする。
【0029】
このように、第5の燃料電池システムでは、第1の基準温度より高く第2の基準温度以下である場合に、酸化ガスを燃料電池に供給する他、水素タンクから水素ガスを、燃料電池に供給すると共に、水素吸蔵合金タンクにも供給する。燃料電池では、供給された水素ガスと酸化ガスを電力の発生に利用する。水素吸蔵合金タンクでは、供給された水素ガスを吸蔵し、熱を発生する。そして、発生する熱を直接、燃料電池に伝達させることにより、燃料電池の温度を上昇させる。
【0030】
従って、第5の燃料電池システムにおいても、前述した第2の燃料電池システムと同様の効果を奏する。また、第5の燃料電池システムにおいては、水素吸蔵合金タンクで発生した熱を燃料電池に直接伝達しているため、エネルギの有効利用を図ることができる。
【0031】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記燃料電池の温度が第3の基準温度より高い場合には、前記燃料電池の発生する熱を前記水素吸蔵合金タンクに伝達させることにより、該水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている前記水素ガスを放出させ、放出した該水素ガスを前記燃料電池に供給して、前記電力の発生に利用することが好ましい。
【0032】
このように、燃料電池の温度が第3の基準温度より高い場合に、燃料電池の発生する熱を直接、水素吸蔵合金タンクに伝達させる。そして、燃料電池の発生する熱を利用して、水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている水素ガスを放出させ、放出した水素ガスを燃料電池に供給して、電力の発生に利用する。
【0033】
従って、燃料電池の温度を上昇させるために利用された水素ガスを、燃料電池に供給して、電力発生に用いることができるので、燃料である水素ガスの持つエネルギを効率よく利用することかできる。
【0034】
また、水素吸蔵合金タンクから水素ガスを放出させるために、燃料電池の発生する熱を利用しているため、他のエネルギを必要としない。
【0035】
さらに、燃料電池で発生した熱を水素吸蔵合金タンクに直接伝達しているため、エネルギの有効利用を図ることができる。
【0036】
本発明の第6の燃料電池システムは、水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクを、前記燃料電池の内部および外周部のうち、少なくとも一方に配置し、
前記燃料電池の温度が第4の基準温度より高い場合には、前記燃料電池の発生する熱を前記水素吸蔵合金タンクに伝達させ、該水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている前記水素ガスを放出させることにより、伝達された前記熱を前記水素吸蔵合金タンクで吸収すると共に、放出した前記水素ガスを前記燃料電池に供給して、前記電力の発生に利用することを要旨とする。
【0037】
このように、第6の燃料電池システムでは、燃料電池の温度が第4の基準温度より高い場合に、燃料電池の発生する熱を直接、水素吸蔵合金タンクに伝達させ、水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている水素ガスを放出させる。そして、伝達された熱を水素吸蔵合金タンクで吸収すると共に、放出した水素ガスを燃料電池に供給して、電力の発生に利用する。
【0038】
従って、第6の燃料電池システムにおいても、前述した第3の燃料電池システムと同様の効果を奏する。また、第6の燃料電池システムにおいては、水素吸蔵合金タンクが、燃料電池から直接、熱を奪っているため、効率よく燃料電池を冷却することができる。
【0039】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記水素吸蔵合金タンクは、前記燃料電池のエンドプレート内に配置されていることが好ましい。
【0040】
このように、エンドプレート内に水素吸蔵合金タンクを配置することにより、燃料電池の大きさをあまり変化させることなく、燃料電池内に搭載することができる。
【0041】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記水素吸蔵合金タンクは、前記燃料電池の単セルと共に積層される専用セル内に配置されていることが好ましい。
【0042】
このように、単セルと共に積層される専用セル内に水素吸蔵合金タンクを配置することにより、水素吸蔵合金タンクで発生した熱を燃料電池全体に伝達しやすくなり、燃料電池の温度上昇を早めたり、逆に、燃料電池で発生した熱を水素吸蔵合金タンクによって燃料電池全体から奪いやすくなり、燃料電池の冷却を早めたりすることができる。
【0043】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記水素吸蔵合金タンクが、前記燃料電池内に、単セルを間に挟んで複数配置されている場合は、各水素吸蔵合金タンクに接続される、前記水素ガスの流路となる配管は、それぞれ、一部分が絶縁されていることが好ましい。
【0044】
単セルで発電が行われて、各水素吸蔵合金タンク同士の間で電位差が発生しても、各水素吸蔵合金タンク同士の間が配管を介して電気的につながらないようにすることができる。
【0045】
なお、本発明は、上記した燃料電池システムなどの態様に限ることなく、そのようなシステムに用いられる燃料電池としての態様や、そのようなシステムを搭載した車両としての態様で実現することも可能である。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1の実施例:
A−1.実施例の構成:
A−2.昇温動作および通常動作:
A−3.再生動作:
A−4.冷却動作:
B.第2の実施例:
B−1.実施例の構成:
B−2.昇温動作および通常動作:
B−3.再生動作:
B−4.冷却動作:
C.第3の実施例:
C−1.実施例の構成:
C−2.昇温動作および通常動作:
C−3.再生動作:
C−4.冷却動作:
D.変形例:
D−1.変形例1:
D−2.変形例2:
D−3.変形例3:
D−4.変形例4:
D−5.変形例5:
D−6.変形例6:
D−7.変形例7:
D−8.変形例8:
D−9.変形例9:
【0047】
A.第1の実施例:
A−1.実施例の構成:
図1は本発明の第1の実施例としての燃料電池システムの構成を示す構成図である。
【0048】
本実施例の燃料電池システムは、自動車などの車両に搭載されるものであって、主として、水素ガスを供給する高圧水素タンク100と、水素ガスの供給を受けて電力を発生する燃料電池200と、水素ガスを吸蔵したり、吸蔵した水素ガスを放出したりする水素吸蔵合金タンク300と、を備えている。
【0049】
このうち、高圧水素タンク100は、内部に高圧の水素ガスを充填しており、根本に取り付けられたシャットバルブ10を開くと、およそ20〜35MPaの圧力を有する水素ガスが放出される。
【0050】
燃料電池200は、水素を含んだ水素ガスの供給と、酸素を含んだ酸化ガス(例えば、空気)の供給と、を受けて、水素極と酸素極において、下記に示すような反応式に従って、電気化学反応を起こし、電力を発生させている。
【0051】
即ち、水素極に水素ガスが、酸素極に酸化ガスがそれぞれ供給されると、水素極側では式(1)の反応が、酸素極側では式(2)の反応がそれぞれ起こり、燃料電池全体としては、式(3)の反応が行なわれる。
【0052】
2 → 2H++2e- …(1)
2H++2e-+(1/2)O2 → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
【0053】
このような電気化学反応に供された水素ガスと酸化ガスは、その後、水素オフガス,酸素オフガスとして、それぞれ排出される。
【0054】
燃料電池200を車両の動力源として用いる場合、燃料電池200から発生された電力によって電動機(図示せず)を駆動し、その発生トルクを車軸(図示せず)に伝達して、車両の推進力を得る。
【0055】
また、燃料電池200は、複数の単セルが積層されたスタック構造となっており、1つの単セルは、電解質膜(図示せず)と、それを両側から挟み込む拡散電極(図示せず)である水素極及び酸素極と、さらにそれらを両側から挟み込む2枚のセパレータ(図示せず)と、で構成されている。セパレータの両面には、凹凸が形成されており、挟み込んだ水素極と酸素極との間で、単セル内ガス流路を形成している。このうち、水素極との間で形成される単セル内ガス流路には、前述したごとく供給された水素ガスが、酸素極との間で形成される単セル内ガス流路には、酸化ガスが、それぞれ流れている。
【0056】
水素吸蔵合金タンク300は、後述するガス流路切り換え部600内に配置されている。水素吸蔵合金タンク300は、内部に水素吸蔵合金(図示せず)を有しており、温度が低温になればなるほど、内部の圧力が下がるため、水素吸蔵合金は水素ガスを吸蔵しやすくなり、温度が高温になればなるほど、内部の圧力が上がるため、水素吸蔵合金は吸蔵した水素ガスを放出しやすくなる。水素吸蔵合金は、水素ガスを吸蔵する際、発熱反応を生じ、熱を発生する。逆に、吸蔵した水素ガスを放出する際には、吸熱反応を生じ、熱を吸収する。従って、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスを吸蔵させる際には、後述するように、ガス流路切り換え部600を利用して、水素吸蔵合金タンク300を冷却し、水素吸蔵合金タンク300から吸蔵した水素ガスを放出させる際には、水素吸蔵合金タンク300を加熱するようにする。
【0057】
その他、本実施例の燃料電池システムは、図1に示すように、システム内で水素ガスを流通させるための水素ガス流路と、同じくシステム内で酸化ガスを流通させるための酸化ガス流路と、冷却水を循環させることにより、燃料電池200の温度を制御する熱交換システムと、制御部400と、を備えている。
【0058】
このうち、水素ガス流路は、高圧水素タンク100の放出口から分岐点52を介して燃料電池200の水素ガス供給口に至る本流流路50と、水素吸蔵合金タンク300の供給・放出口と分岐点52とをつなぐ支流流路54と、を備えている。
【0059】
本流流路50には、高圧水素タンク100の放出口と分岐点52との間に、シャットバルブ10と、レギュレータ12と、が配置されており、分岐点52と燃料電池200の水素ガス供給口との間には、レギュレータ14と、シャットバルブ16と、が配置されている。また、支流流路54には、シャットバルブ18と、圧力センサ20と、が配置されている。このうち、圧力センサ20は、主として、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phを検出するセンサである。
【0060】
なお、図1では、燃料電池200から水素オフガスを排出するための水素オフガス排出流路は省略されている。
【0061】
一方、酸化ガス流路は、エアポンプ60から流路切り換え部600を介して燃料電池200の酸化ガス供給口に至る酸化ガス供給流路62と、燃料電池200の酸素オフガス排出口からガス流路切り換え部600を介して酸素オフガス排気口に至る酸素オフガス排出流路64と、を備えている。
【0062】
図2は図1におけるガス流路切り換え部600の内部構成を概略的に示した説明図である。
【0063】
ガス流路切り換え部600は、図2に示すように、内部にA,B,Cの3つの流路を有しており、そのうち、流路Bに水素吸蔵合金タンク300を配置している。また、各流路の切り換えは、3つのダンパ601,602,603をそれぞれa側またはb側に切り換えることによって、行うことができる。
【0064】
図3は図2のガス流路切り換え部600における各ダンパの切り換えに基づく流路の切り換えの様子を示す説明図である。
【0065】
具体的には、図3(a)に示すように、各ダンパ601〜603をそれぞれa側に切り換えた場合には、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガス(すなわち、空気)は、流路Bを通って、燃料電池200の酸化ガス供給口に送られ、また、燃料電池200の酸素オフガス排出口から排出された酸素オフガスは、流路Cを通って、酸素オフガス排気口へ送られる。また、図3(b)に示すように、ダンパ601,602をb側に、ダンパ603をa側にそれぞれ切り換えた場合には、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスは、流路Aを通って、燃料電池200の酸化ガス供給口に送られ、燃料電池200の酸素オフガス排出口から排出された酸素オフガスは、流路Cを通って、酸素オフガス排気口へ送られる。さらに、図3(c)に示すように、各ダンパ601〜603をそれぞれb側に切り換えた場合には、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスは、流路Aを通って、燃料電池200の酸化ガス供給口に送られ、燃料電池200の酸素オフガス排出口から排出された酸素オフガスは、今度は流路Bを通って、酸素オフガス排気口へ送られることになる。
【0066】
また、図1において、熱交換システムは、ウォータポンプ22と、ラジエータ500と、冷却水流路と、で構成されている。このうち、冷却水流路は、燃料電池200とラジエータ500とをつなぐ本流流路70と、ラジエータ500をバイパスするバイパス流路72と、を備えており、不凍の処理を施した冷却水が流れている。
【0067】
本流流路70には、前述したウォータポンプ22の他、水温センサ28と、バイパスバルブ26と、が配置されている。このうち、水温センサ28は、燃料電池200から放出される冷却水の温度Twを検出するセンサである。燃料電池200から放出された直後の冷却水の温度は、燃料電池200の温度とほとんど差がないため、この水温センサ28によって検出される冷却水の温度Twを、燃料電池200の温度と見なすことができる。
【0068】
バイパス流路72の一端は、バイパスバルブ26に接続されている。このバイパスバルブ26は、3つの切り換えモードを持っている。そのうち、第1のモードは、経路αを経路βにつなぐモード(すなわち、冷却水をラジエータ500に流すモード)であり、第2のモードは、経路γを経路βにつなぐモード(すなわち、冷却水をバイパス流路72に流すモード)であり、第3のモードは、経路α,γ何れも経路βにつながないモード(すなわち、冷却水をラジエータ500にもバイパス流路72にも流さないモード)である。
【0069】
また、制御部400は、圧力センサ20および水温センサ28からの検出結果を入力すると共に、各バルブ10〜18,26と、ウォータポンプ22と、エアポンプ60と、ガス流路切り換え部600のダンパ601〜603をそれぞれ制御する。なお、図面を見やすくするために、制御線等は省略されている。
【0070】
なお、本実施例において、高圧水素タンク100は、本発明における水素タンクに、燃料電池200は、本発明における燃料電池に、水素吸蔵合金タンク300は、本発明における水素吸蔵合金タンクに、それぞれ相当している。
【0071】
A−2.昇温動作および通常動作:
それでは、本実施例の燃料電池システムにおける起動時の動作について、図4を用いて説明する。図4は図1の燃料電池システムにおける起動時の動作手順を示すフローチャートである。
【0072】
燃料電池システムの起動前、水素ガス流路の全てのシャットバルブ10,16,18は閉じている。また、酸化ガス流路において、エアポンプ60は停止しており、ガス流路切り換え部600のダンパ601,602はb側に、ダンパ603はa側にそれぞれなっている。冷却水流路のうち、バイパスバルブ26は第2のモードとなっている他、ウォータポンプ22も停止している。また、水素吸蔵合金タンク300は、水素ガスを吸蔵していない空の状態となっている。
【0073】
そこで、燃料電池システムが起動されると、制御部400は、まず、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10を開くと共に、冷却水流路のウォータポンプ22を駆動する(ステップS102)。シャットバルブ10が開くと、高圧水素タンク100からは水素ガスが放出され、その放出された水素ガスは、本流流路50に至る。また、ウォータポンプ22が駆動されると、冷却水が流れ始める。冷却水は、燃料電池200から出た後、本流流路70,バイパス流路72,本流流路70を介して燃料電池200に戻る経路で循環する。冷却水の温度Twが定常温度よりまだ低い場合に、ラジエータ500側に冷却水を回すと、冷却水の温度Twが上がっていかないからである。
【0074】
次に、制御部400は、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第1の基準温度T1以下であるか否かを判定する(ステップS104)。ここで、第1の基準温度T1としては、例えば、氷が溶ける温度である、およそ0℃が設定されている。
【0075】
判定の結果、冷却水の温度が第1の基準温度T1以下である場合には、燃料電池200の温度が低くて、燃料電池200内が凍り付いている恐れがあるので、第1の昇温動作を開始する。
【0076】
すなわち、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ16を閉じて、支流流路54のシャットバルブ18を開くと共に、酸化ガス流路のうち、エアポンプ60を駆動し、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603を全てa側にする。そして、さらに、後述する吸蔵フラグを立てる(ステップS106)。
【0077】
本流流路50のシャットバルブ16を閉じて、支流流路54のシャットバルブ18が開くと、高圧水素タンク100から放出され、本流流路50に至った水素ガスは、矢印h1で示すように、分岐点52から支流流路54を通って、ガス流路切り換え部600内に配置された水素吸蔵合金タンク300に供給される。
【0078】
なお、本流流路50の途中には、1次減圧用のレギュレータ12が設けられており、高圧水素タンク100から放出された高圧(すなわち、およそ20〜35MPa)の水素ガスは、このレギュレータ12を通ることによって、およそ1MPa以下に減圧されて、水素吸蔵合金タンク300に供給される。
【0079】
一方、水素吸蔵合金タンク300は、前述したとおり、水素ガスを吸蔵していない空の状態であり、また、周囲温度が低く、水素吸蔵合金タンク300の温度も低い状態となっているため、水素吸蔵合金タンク300の内部の圧力は非常に低くなっている。
【0080】
従って、水素吸蔵合金タンク300におよそ1MPa以下の水素ガスが供給されると、水素吸蔵合金タンク300の内部の圧力は非常に低いため、その供給された水素ガスは、水素吸蔵合金タンク300内の水素吸蔵合金によって速やかに吸蔵される。こうして、水素吸蔵合金が水素ガスを吸蔵すると、上述したとおり、発熱反応を生じて、熱を発生する。
【0081】
また、酸化ガス流路において、エアポンプ60が駆動され、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603が全てa側になると、図3(a)に示すように、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスは、流路Bを通って、燃料電池200の酸化ガス供給口に送られる。このとき、流路Bには、水素吸蔵合金タンク300が配置されているので、水素吸蔵合金タンク300で発生した熱は、流路Bを通る酸化ガスによって、水素吸蔵合金タンク300から燃料電池200に伝達される。この結果、燃料電池200は、伝達された熱によって加熱されて、温度を上げることになる。
【0082】
なお、このとき、水素ガス流路における本流流路50のシャットバルブ16が閉じており、燃料電池200には、まだ、水素ガスが供給されていないので、燃料電池200に酸化ガスが供給されても、電気化学反応は起こらない。従って、供給された酸化ガスは、そのまま、酸素オフガスとなって燃料電池200の酸素オフガス排出口から排出される。排出された酸素オフガスは、図3(a)に示すように、ガス流路切り換え部600における流路Cを通って、酸素オフガス排気口へ送られる。流路Cには、水素吸蔵合金タンク300が配置されていないので、酸素オフガスはそのままの状態で酸素オフガス排気口から大気中に排気される。
【0083】
以上のようにして、本実施例の燃料電池システムにおいては、起動時に、高圧水素タンク100から放出された水素ガスを水素吸蔵合金タンク300に供給して吸蔵させることにより、水素吸蔵合金タンク300で熱を発生させ、その発生した熱を酸化ガスによって燃料電池200に伝達することにより、燃料電池200の温度を上げることができる。
【0084】
なお、ステップS106では、このようにして、高圧水素タンク100から水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが供給され、水素吸蔵合金タンク300に吸蔵されるため、前述した如く、制御部400は、水素吸蔵合金タンク300が水素ガスを吸蔵したことを示す吸蔵フラグを立てるのである。
【0085】
こうして、ステップS106の処理が完了すると、再び、ステップS104の処理に戻る。
【0086】
次に、ステップS104における判定の結果、冷却水の温度が第1の基準温度T1より高い場合には、燃料電池200内が凍り付いている恐れがないので、制御部400は、冷却水の温度Twが第2の基準温度T2以下であるか否かを判定する(ステップS108)。ここで、第2の基準温度T2はT2>T1であり、第2の基準温度T2としては、例えば、およそ30〜50℃が設定されている。
【0087】
判定の結果、冷却水の温度Twが第2の基準温度T2以下である場合には、燃料電池200内は凍り付いていないので、燃料電池200の作動は可能であるものの、燃料電池200の温度はまだ低く、効率的な運転ができないため、第2の昇温動作を開始する。
【0088】
すなわち、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ16と支流流路54のシャットバルブ18の両方を開くと共に、酸化ガス流路のうち、エアポンプ60を駆動し、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602をa側に切り換える。但し、ダンパ603はa側のままとする。そして、さらに、吸蔵フラグが立っていない場合には、吸蔵フラグを立てる(ステップS110)。
【0089】
本流流路50のシャットバルブ16と、支流流路54のシャットバルブ18が共に開くと、高圧水素タンク100から放出され、本流流路50に至った水素ガスは、矢印h1,矢印h2で示すように、一部がそのまま本流流路50を通って、燃料電池200に供給され、残りが分岐点52から支流流路54を通って、水素吸蔵合金タンク300に供給される。
【0090】
なお、本流流路50の途中には、前述した1次減圧用のレギュレータ12の他に、2次減圧用のレギュレータ14が設けられており、本流流路50をそのまま通る水素ガスは、1次減圧用のレギュレータ12でおよそ1MPa以下に減圧された後、さらに、2次減圧用のレギュレータ14を通ることによって、最終的に、およそ燃料電池への供給圧力にまで減圧されて、燃料電池200に供給される。こうして、高圧水素タンク100から放出された高圧の水素ガスを2段階で減圧することよって、高圧の水素ガスが直接、燃料電池200に供給されないよう、燃料電池200を保護している。
【0091】
また、前述したと同様に、酸化ガス流路において、エアポンプ60が駆動され、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603が全てa側になると、図3(a)に示すように、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスは、流路Bを通って、燃料電池200の酸化ガス供給口に供給される。
【0092】
こうして、燃料電池200に水素ガスと酸化ガスが供給されると、前述したとおり、燃料電池200は、水素極と酸素極において電気化学反応を起こし、電力を発生させる。なお、このとき起きる電気化学反応は、発熱反応であるため、これによって、燃料電池200の温度は上昇する。
【0093】
一方、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが供給されると、前述したとおり、その水素ガスは水素吸蔵合金タンク300内の水素吸蔵合金によって吸蔵され、水素吸蔵合金は、発熱反応を生じて、熱を発生する。発生した熱は、流路Bを通る酸化ガスによって燃料電池200に伝達されて、燃料電池200の温度を上げる。
【0094】
また、燃料電池200において、電気化学反応に供された酸化ガスは、酸素オフガスとなって燃料電池200の酸素オフガス排出口から排出される。排出された酸素オフガスは、図3(a)に示すように、ガス流路切り換え部600における流路Cを通って、酸素オフガス排気口へ送られる。流路Cには、水素吸蔵合金タンク300が配置されていないので、酸素オフガスはそのままの状態で酸素オフガス排気口から大気中に排気される。
【0095】
以上のようにして、本実施例の燃料電池システムにおいては、燃料電池200内は凍り付いていないものの、燃料電池200の温度がまだ低い場合には、燃料電池200を作動させながら、水素吸蔵合金タンク300を利用して燃料電池200の温度を上げることができるので、燃料電池200自体による発熱と相まって、燃料電池200の温度を急速に上げることができる。
【0096】
こうして、ステップS110の処理が完了すると、再び、ステップS104の処理に戻る。
【0097】
一方、ステップS108における判定の結果、冷却水の温度Twが第2の基準温度T2より高い場合には、燃料電池200の温度も十分高く、効率的な運転が可能なため、通常動作を開始する。
【0098】
すなわち、制御部400は、水素ガス流路のうち、支流流路54のシャットバルブ18を閉じて、本流流路50のシャットバルブ16と開くと共に、酸化ガス流路のうち、エアポンプ60を駆動し、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602をb側にし、ダンパ603をa側にする(ステップS112)。
【0099】
支流流路54のシャットバルブ18が閉じて、本流流路50のシャットバルブ16が開くと、高圧水素タンク100から放出され、本流流路50に至った水素ガスは、矢印h2で示すように、そのまま本流流路50を通って、燃料電池200に供給される。
【0100】
また、酸化ガス流路において、エアポンプ60が駆動され、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602がb側となり、ダンパ603がa側になると、図3(b)に示すように、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスは、流路Aを通って、燃料電池200の酸化ガス供給口に送られる。このとき、流路Aには、水素吸蔵合金タンク300が配置されていないので、酸化ガスはそのままの状態で燃料電池200に供給される。
【0101】
このように、燃料電池200に水素ガスと酸化ガスが供給されると、前述したとおり、燃料電池200は、水素極と酸素極において電気化学反応を起こし、電力を発生させる。この電気化学反応は、前述したとおり、発熱反応であるため、燃料電池200の温度は上昇する。
【0102】
また、燃料電池200において、電気化学反応に供された酸化ガスは、酸素オフガスとなって燃料電池200の酸素オフガス排出口から排出される。排出された酸素オフガスは、図3(b)に示すように、ガス流路切り換え部600における流路Cを通って、酸素オフガス排気口へ送られる。流路Cには、水素吸蔵合金タンク300が配置されていないので、酸素オフガスはそのままの状態で酸素オフガス排気口から大気中に排気される。
【0103】
その後、制御部400は、水温センサ28を介して冷却水の温度Twを監視しながら、燃料電池200の温度上昇に伴い、冷却水の温度Twが定常温度まで上昇したら、バイパスバルブ26を第2のモードから第1のモードに切り換える。これにより、冷却水は、燃料電池200から出た後、本流流路70,ラジエータ500,本流流路70を介して燃料電池200に戻る経路で循環する。この結果、燃料電池200によって昇温された冷却水は、ラジエータ500において冷却されるため、冷却水の温度Tw、延いては燃料電池200の温度を定常温度に保つことができる。
【0104】
以上によって、図4に示した一連の起動時の動作を終了する。
【0105】
A−3.再生動作:
次に、本実施例の燃料電池システムにおいて、水素吸蔵合金タンク300に吸蔵された水素ガスを燃料電池200で再利用するための再生動作について、図5を用いて説明する。図5は図1の燃料電池システムにおける再生動作の手順を示すフローチャートである。
【0106】
前述したとおり、通常動作時では、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10,16は開いているが、支流流路54のシャットバルブ18は閉じている。また、酸化ガス流路のうち、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602はb側に、ダンパ603はa側になっている。そして、冷却水流路のうち、バイパスバルブ26は第1または第2のモードとなっている。
【0107】
このような通常動作時において、図5に示す再生動作が開始されると、制御部400は、まず、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが吸蔵されていることを示す吸蔵フラグが立っているか否かを判定する(ステップS202)。判定の結果、吸蔵フラグが立っていなければ、水素吸蔵合金タンク300には水素ガスが吸蔵されておらず、空の状態であるので、そのまま、図5に示す再生動作を終了する。
【0108】
判定の結果、吸蔵フラグが立っていれば、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが吸蔵されているので、図5に示す再生動作を続行する。
【0109】
次に、制御部400は、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3より高いか否かを判定する(ステップS204)。ここで、第3の基準温度T3はT3>T2であり、第3の基準温度T3としては、例えば、およそ50〜80℃が設定されている。
【0110】
判定の結果、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3以下である場合には、その第3の基準温度T3を超えるまで待機する。その後、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3を超えたら、制御部400は、酸化ガス流路のうち、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603を全てb側にする(ステップS206)。
【0111】
酸化ガス流路において、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603が全てb側になると、図3(c)に示すように、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスは、通常動作時と同様に、流路Aを通って、燃料電池200の酸化ガス供給口に送られる。このとき、流路Aには、水素吸蔵合金タンク300が配置されていないので、酸化ガスはそのままの状態で燃料電池200に供給される。
【0112】
供給された酸化ガスは、燃料電池200において電気化学反応に供された後、酸素オフガスとして、燃料電池200の酸素オフガス排出口から排出される。このとき、冷却水の温度Twは第3の基準温度T3を超えており、燃料電池200において、電気化学反応により発生した熱は、この酸素オフガスと共に排出される。
【0113】
排出された酸素オフガスは、図3(c)に示すように、ガス流路切り換え部600における流路Bを通って、酸素オフガス排気口へ送られる。このとき、流路Bには、水素吸蔵合金タンク300が配置されているので、燃料電池200で発生した熱は、流路Bを通る酸素オフガスによって、燃料電池200から水素吸蔵合金タンク300に伝達されるため、水素吸蔵合金タンク300は加熱されて、温度を上げることになる。この結果、水素吸蔵合金タンク300の内部の圧力は高くなる。
【0114】
制御部400は、圧力センサ20からの検出結果を入力し、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になっているか否かを判定する(ステップS208)。ここで、第1の基準圧力P1としては、例えば、およそ0.8〜0.9MPaが設定されている。
【0115】
判定の結果、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1より低い場合には、第1の基準圧力P1以上になるまで待機する。その後、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になったら、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10を閉じて、支流流路54のシャットバルブ18を開く(ステップS210)。
【0116】
これにより、水素吸蔵合金タンク300は、水素吸蔵合金に吸蔵していた水素ガスを放出し、放出された水素ガスは、矢印h3に示すように、支流流路54,分岐点52,本流流路50を通って、燃料電池200に供給される。供給された水素ガスは、燃料電池200において、電力発生のために利用される。
【0117】
その後、制御部400は、圧力センサ20からの検出結果を入力し、それに基づいて、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phがほぼ第1の基準圧力P1となるように調整する(ステップS212)。調整の方法としては、次のような方法が考えられる。
【0118】
1)ガス流路切り換え部600におけるダンパ3をaとbとの間(中間位置も含む)で適宜位置を変化させ、流路Bを通過する酸素オフガスの流量を調整することにより、水素吸蔵合金タンク300の温度を制御して、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phを調整する。
【0119】
2)燃料電池200に供給される冷却水の温度を調整することにより、燃料電池200から排出される酸素オフガスの温度を変化させ、水素吸蔵合金タンク300の温度を制御して、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phを調整する。なお、冷却水の温度を調整する方法としては、バイパスバルブ26が第1のモードである場合には、ラジエータ500に付属しているファン(図示せず)の回転数を変化させることにより、冷却水の温度を調整し、第2のモードである場合には、バイパスバルブ26でラジエータ500へ回る冷却水の流量とバイパス流路72を回る冷却水の流量を調整することにより、冷却水の温度を調整する。
【0120】
その後、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phが低下してきて、上記したような圧力調整を行っても、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1を維持できない場合に(ステップS214)、制御部400は、水素吸蔵合金タンク300が吸蔵していた水素ガスを全て放出してしまい、空の状態になったものと判断する。
【0121】
そして、制御部400は、水素ガス流路のうち、支流流路54のシャットバルブ18を閉じて、本流流路50のシャットバルブ10を開くと共に、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602をb側にし、ダンパ603をa側にする(ステップS216)。そして、水素吸蔵合金タンク300が空になったことを示すために、吸蔵フラグを下ろす(ステップS216)。
【0122】
以上によって、図5に示した一連の再生動作を終了し、通常動作に戻る。
【0123】
本実施例の燃料電池システムによれば、起動時に、燃料電池200の温度を上昇させるために利用された水素ガス(すなわち、高圧水素タンク100から水素吸蔵合金タンク300に供給され、水素吸蔵合金タンク300において吸蔵された水素ガス)を、燃料電池200の運転中に、燃料電池200に供給して、燃料電池200での電力発生に用いることができるので、燃料である水素ガスの持つエネルギを効率よく利用することかできる。
【0124】
また、燃料電池200の運転中に、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンク300を空の状態にすることができるので、運転が終了して、再度、燃料電池システムを起動する場合には、いつでも、上述した昇温動作を開始することができる。
【0125】
さらにまた、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンク300を空の状態にするために、燃料電池200の発生する熱を利用しているため、他のエネルギを必要としない。
【0126】
A−4.冷却動作:
ところで、通常動作では、前述したとおり、冷却水流路のバイパスバルブ26が第1のモードになっていれば、燃料電池200を循環する冷却水はラジエータ500において冷却されるため、燃料電池200の温度は定常温度に保たれているが、このような燃料電池システムを搭載した車両を、例えば、夏場に使用する場合、上記したようなラジエータ500による冷却だけでは、燃料電池200の温度を定常温度に保てない場合がある。
【0127】
そこで、次に、本実施例の燃料電池システムにおいて、水素吸蔵合金タンク300を利用して燃料電池200を冷却するための冷却動作について、図6を用いて説明する。図6は図1の燃料電池システムにおける冷却動作の手順を示すフローチャートである。
【0128】
なお、この冷却動作は、前述した再生動作の代わりに行うものである。また、この冷却動作は、基本的には、再生動作と同様であるので、異なる部分について詳細に説明する。
【0129】
通常動作時において、図6に示す冷却動作が開始されると、制御部400は、まず、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが吸蔵されていることを示す吸蔵フラグが立っているか否かを判定する(ステップS302)。判定の結果、吸蔵フラグが立っていなければ、水素吸蔵合金タンク300は空の状態であって、水素吸蔵合金タンク300を利用した冷却は行えないので、図6に示す冷却動作を終了する。
【0130】
判定の結果、吸蔵フラグが立っていれば、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが吸蔵されているので、図6に示す冷却動作を続行する。
【0131】
次に、制御部400は、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4より高いか否かを判定する(ステップS304)。ここで、第4の基準温度T4はT4>T2であり、第4の基準温度T4としては、例えば、およそ80℃以上が設定されている。
【0132】
判定の結果、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下である場合には、冷却水の温度Twが高くなって、その第4の基準温度T4を超えるまで待機する。その後、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4を超えたら、燃料電池200を冷却するために、制御部400は、酸化ガス流路のうち、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603を全てa側にする(ステップS306)。
【0133】
ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603が全てa側になると、図3(a)に示すように、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスは、水素吸蔵合金タンク300の配置されている流路Bを通って、燃料電池200の酸化ガス供給口に送られる。このとき、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスは比較的暖かいので、その酸化ガスが流路Bを通過することにより、水素吸蔵合金タンク300は暖められて、温度を上げることになる。この結果、水素吸蔵合金タンク300の内部の圧力は高くなる。
【0134】
制御部400は、圧力センサ20からの検出結果を入力し、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になっているか否かを判定する(ステップS308)。
【0135】
判定の結果、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1より低い場合には、第1の基準圧力P1以上になるまで待機する。その後、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になったら、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10を閉じて、支流流路54のシャットバルブ18を開く(ステップS310)。
【0136】
これにより、水素吸蔵合金タンク300は、水素吸蔵合金に吸蔵していた水素ガスを放出し、放出された水素ガスは、矢印h3に示すように、支流流路54,分岐点52,本流流路50を通って、燃料電池200に供給される。供給された水素ガスは、燃料電池200において、電力発生のために利用される。
【0137】
水素吸蔵合金は、水素ガスを放出する際に、吸熱反応を生じ、熱を吸収するため、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスは、ガス流路切り換え部600における流路Bを通過する際に、水素吸蔵合金タンク300により熱を奪われて、その温度は低下する。従って、燃料電池200には、この温度低下した酸化ガスが供給されることになり、燃料電池200の温度は下がる。
【0138】
続いて、制御部400は、再び、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下になったか否かを判定する(ステップS312)。
【0139】
判定の結果、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下になっていない場合には、その第4の基準温度T4以下になるまで、ステップS314,316の処理を繰り返す。
【0140】
なお、ステップS314,S316の処理は、図5に示したステップS212,S214の処理と同様であるので、説明は省略する。
【0141】
その後、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下になったら、制御部400は、水素ガス流路のうち、支流流路54のシャットバルブ18を閉じて、本流流路50のシャットバルブ10を開くと共に、酸化ガス流路のうち、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602をb側にし、ダンパ603をa側にする(ステップS320)。
【0142】
なお、ステップS312〜S316の処理を繰り返す間は、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1を維持しており、水素吸蔵合金タンク300は空の状態になっていないので、ステップS320において、支流流路54のシャットバルブ18が閉じても、水素吸蔵合金タンク300には吸蔵された水素ガスがまだ残っている。
【0143】
従って、水素吸蔵合金タンク300に吸蔵された水素ガスが残っている限り、水素吸蔵合金タンク300を利用して燃料電池200を冷却させることは可能であるので、ステップS304の処理に戻る。
【0144】
こうして、水素ガスを吸蔵している水素吸蔵合金タンク300が空の状態になるまで、上記した処理が繰り返され、空の状態になったら、図5に示したステップS216と同様のステップS318の処理を実行する。
【0145】
以上によって、図6に示した一連の冷却動作を終了し、通常動作に戻る。
【0146】
本実施例の燃料電池システムによれば、燃料電池200の温度が高い場合には、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンク300を利用して、燃料電池200を冷却することにより、燃料電池200の温度を定常温度に保つことができる。
【0147】
B.第2の実施例:
B−1.実施例の構成:
図7は本発明の第2の実施例としての燃料電池システムの構成を示す構成図である。本実施例の燃料電池システムも、自動車などの車両に搭載されるものである。
【0148】
本実施例の燃料電池システムが、前述した第1の実施例の燃料電池システムと構成上、異なる点は、内部に水素吸蔵合金タンク300を有するガス流路切り換え部600が、酸化ガス流路ではなく、図7に示すように、水素ガス流路中に配置されている点である。
【0149】
すなわち、本実施例において、水素ガス流路は、図7に示すように、高圧水素タンク100の放出口から分岐点52,合流点58を介し、さらにガス流路切り換え部600を介して燃料電池200の水素ガス供給口に至る本流流路50と、水素吸蔵合金タンク300の供給・放出口と分岐点52とをつなぐ支流流路54と、燃料電池200の水素オフガス排出口からガス流路切り換え部600を介して本流流路50の合流点58に戻る循環流路56と、を備えている。
【0150】
循環流路56には、ガス流路切り換え部600と合流点58との間に、水素ポンプ57が配置されている。この水素ポンプ57は、燃料電池200から排出された水素オフガスを本流流路50の合流点58に向かって流すことにより、水素ガスを循環させる機能を有している。
【0151】
また、酸化ガス流路は、エアポンプ60から燃料電池200の酸化ガス供給口に至る酸化ガス供給流路62を備えている。
【0152】
なお、図7では、燃料電池200から酸素オフガスを排出するための酸素オフガス排出流路は省略されている。
【0153】
その他の構成は、概ね、前述した第1の実施例と同様であるので、それらについての説明は省略する。また、図7におけるガス流路切り換え部600の内部構成も、図2に示した構成と同様であるので、それについての説明も省略する。
【0154】
図8は図7のガス流路切り換え部600における各ダンパの切り換えに基づく流路の切り換えの様子を示す説明図である。
【0155】
具体的には、図8(a)に示すように、各ダンパ601〜603をそれぞれa側に切り換えた場合には、合流点58から流れてくる水素ガスは、流路Bを通って、燃料電池200の水素ガス供給口に送られ、また、燃料電池200の水素オフガス排出口から排出された水素オフガスは、流路Cを通って、合流点58へ戻される。また、図8(b)に示すように、ダンパ601,602をb側に、ダンパ603をa側にそれぞれ切り換えた場合には、合流点58から流れてくる酸化ガスは、流路Aを通って、燃料電池200の水素ガス供給口に送られ、燃料電池200の水素オフガス排出口から排出された水素オフガスは、流路Cを通って、合流点58へ戻される。さらに、図8(c)に示すように、各ダンパ601〜603をそれぞれb側に切り換えた場合には、合流点58から流れてくる水素ガスは、流路Aを通って、燃料電池200の水素ガス供給口に送られ、燃料電池200の水素オフガス排出口から排出された水素オフガスは、流路Bを通って、合流点58へ戻されることになる。
【0156】
なお、制御部400は、圧力センサ20および水温センサ28からの検出結果を入力すると共に、各バルブ10〜18,26と、ウォータポンプ22と、エアポンプ60と、ガス流路切り換え部600のダンパ601〜603をそれぞれ制御する他、水素ポンプ57も制御する。
【0157】
B−2.昇温動作および通常動作:
それでは、本実施例の燃料電池システムにおける起動時の動作について、図9を用いて説明する。図9は図7の燃料電池システムにおける起動時の動作手順を示すフローチャートである。
【0158】
燃料電池システムの起動前、水素ガス流路の全てのシャットバルブ10,16,18は閉じている他、水素ポンプ57は停止しており、ガス流路切り換え部600のダンパ601,602はb側に、ダンパ603はa側にそれぞれなっている。また、酸化ガス流路において、エアポンプ60は停止している。冷却水流路のうち、バイパスバルブ26は第2のモードとなっている他、ウォータポンプ22も停止している。また、水素吸蔵合金タンク300は、水素ガスを吸蔵していない空の状態となっている。
【0159】
そこで、燃料電池システムが起動されると、制御部400は、まず、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10を開くと共に、冷却水流路のウォータポンプ22を駆動する(ステップS402)。シャットバルブ10が開くと、高圧水素タンク100からは水素ガスが放出され、その放出された水素ガスは、本流流路50に至る。また、ウォータポンプ22が駆動されると、冷却水が流れ始め、燃料電池200から出た後、本流流路70,バイパス流路72,本流流路70を介して燃料電池200に戻る経路で循環する。
【0160】
次に、制御部400は、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第1の基準温度T1以下であるか否かを判定し(ステップS404)、その判定の結果、冷却水の温度が第1の基準温度T1以下である場合には、燃料電池200内が凍り付いている恐れがあるので、第1の昇温動作を開始する。
【0161】
すなわち、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ16と支流流路54のシャットバルブ18の両方を開くと共に、水素ポンプ57を駆動し、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603を全てa側にする。そして、さらに、吸蔵フラグを立てる(ステップS406)。
【0162】
本流流路50のシャットバルブ16と、支流流路54のシャットバルブ18が共に開くと、高圧水素タンク100から放出され、本流流路50に至った水素ガスは、矢印h1,矢印h2で示すように、一部がそのまま本流流路50を通り、合流点58,ガス流路切り換え部600を介して燃料電池200に供給され、残りが分岐点52から支流流路54を通って、ガス流路切り換え部600内に配置された水素吸蔵合金タンク300に供給される。
【0163】
このとき、水素吸蔵合金タンク300は、前述したとおり、水素ガスを吸蔵していない空の状態であり、水素吸蔵合金タンク300の温度も低い状態となっているため、水素吸蔵合金タンク300の内部の圧力は非常に低くなっている。
【0164】
従って、レギュレータ12によって減圧されたおよそ1MPa以下の水素ガスが水素吸蔵合金タンク300に供給されると、その供給された水素ガスは、水素吸蔵合金タンク300内の水素吸蔵合金によって速やかに吸蔵され、水素吸蔵合金は、発熱反応を生じて、熱を発生する。
【0165】
また、水素ポンプ57が駆動され、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603が全てa側になると、図8(a)に示すように、合流点58から流れてきた水素ガスは、流路Bを通って、燃料電池200の水素ガス供給口に送られる。このとき、流路Bには、水素吸蔵合金タンク300が配置されているので、水素吸蔵合金タンク300で発生した熱は、流路Bを通る水素ガスによって、水素吸蔵合金タンク300から燃料電池200に伝達される。この結果、燃料電池200は、伝達された熱によって加熱されて、温度を上げることになる。
【0166】
なお、このとき、酸化ガス流路におけるエアポンプ60が駆動しておらず、燃料電池200には、まだ、酸化ガスが供給されていないので、燃料電池200に水素ガスが供給されても、電気化学反応は起こらない。従って、供給された水素ガスは、そのまま、水素オフガスとなって燃料電池200の水素オフガス排出口から排出される。排出された水素オフガスは、図8(a)に示すように、ガス流路切り換え部600における流路Cを通って、合流点58へ戻される。流路Cには、水素吸蔵合金タンク300が配置されていないので、水素オフガスはそのままの状態で合流点58に戻されて循環する。
【0167】
以上のようにして、本実施例の燃料電池システムにおいては、起動時に、高圧水素タンク100から放出された水素ガスを水素吸蔵合金タンク300に供給して吸蔵させることにより、水素吸蔵合金タンク300で熱を発生させ、その発生した熱を水素ガスによって燃料電池200に伝達することにより、燃料電池200の温度を上げることができる。
【0168】
こうして、ステップS406の処理が完了すると、再び、ステップS404の処理に戻る。
【0169】
次に、ステップS404における判定の結果、冷却水の温度が第1の基準温度T1より高い場合には、制御部400は、冷却水の温度Twが第2の基準温度T2以下であるか否かを判定する(ステップS408)。判定の結果、冷却水の温度Twが第2の基準温度T2以下である場合には、燃料電池200内は凍り付いていないので、燃料電池200の作動は可能であるものの、燃料電池200の温度はまだ低く、効率的な運転ができないため、第2の昇温動作を開始する。
【0170】
すなわち、制御部400は、前述したと同様に、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ16と支流流路54のシャットバルブ18の両方を開き、水素ポンプ57を駆動し、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603を全てa側にする他、酸化ガス流路のうち、エアポンプ60を駆動する。そして、さらに、吸蔵フラグが立っていない場合には、吸蔵フラグを立てる(ステップS410)。
【0171】
本流流路50のシャットバルブ16と、支流流路54のシャットバルブ18が共に開くと、前述したとおり、高圧水素タンク100から放出された水素ガスは、一部がそのまま本流流路50を通り、合流点58,ガス流路切り換え部600を介して燃料電池200に供給され、残りが分岐点52から支流流路54を通って、水素吸蔵合金タンク300に供給される。
【0172】
また、エアポンプ60が駆動されると、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスが燃料電池200に供給される。
【0173】
こうして、燃料電池200に水素ガスと酸化ガスが供給されると、前述したとおり、燃料電池200は、水素極と酸素極において電気化学反応を起こし、電力を発生させる。このとき起きる電気化学反応は、発熱反応であるため、これによって、燃料電池200の温度は上昇する。
【0174】
また、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが供給されると、前述したとおり、その水素ガスは水素吸蔵合金によって吸蔵され、水素吸蔵合金は、発熱反応を生じて、熱を発生する。そして、発生した熱は、ガス流路切り換え部600内の流路Bを通る水素ガスによって燃料電池200に伝達されて、燃料電池200の温度を上げる。
【0175】
また、燃料電池200において、電気化学反応に供された水素ガスは、水素オフガスとなって燃料電池200の水素オフガス排出口から排出される。排出された水素オフガスは、図8(a)に示すように、ガス流路切り換え部600における流路Cを通る。流路Cには、水素吸蔵合金タンク300が配置されていないので、水素オフガスはそのままの状態で合流点58へ戻される。水素オフガスは、燃料電池200において、電気化学反応に供された後であっても、まだ、水素を含んでいるので、合流点58へ戻すことによって、水素の有効活用が図れる。
【0176】
以上のようにして、本実施例の燃料電池システムにおいては、燃料電池200内は凍り付いていないものの、燃料電池200の温度がまだ低い場合には、燃料電池200を作動させながら、水素吸蔵合金タンク300を利用して燃料電池200の温度を上げることができるので、燃料電池200自体による発熱と相まって、燃料電池200の温度を急速に上げることができる。
【0177】
こうして、ステップS410の処理が完了すると、再び、ステップS404の処理に戻る。
【0178】
一方、ステップS408における判定の結果、冷却水の温度Twが第2の基準温度T2より高い場合には、燃料電池200の温度も十分高く、効率的な運転が可能なため、通常動作を開始する。
【0179】
すなわち、制御部400は、水素ガス流路のうち、支流流路54のシャットバルブ18を閉じて、本流流路50のシャットバルブ16と開くと共に、水素ポンプ57を駆動し、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602をb側にし、ダンパ603をa側にする。また、酸化ガス流路のうち、エアポンプ60を駆動する(ステップS412)。
【0180】
支流流路54のシャットバルブ18が閉じて、本流流路50のシャットバルブ16が開くと、高圧水素タンク100から放出され、本流流路50に至った水素ガスは、矢印h2で示すように、そのまま本流流路50を通り、合流点58,ガス流路切り換え部600を介して燃料電池200に供給される。
【0181】
このとき、水素ポンプ57が駆動されると共に、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602がb側となり、ダンパ603がa側となるので、図8(b)に示すように、合流点58から流れてきた水素ガスは、流路Aを通って、燃料電池200の水素ガス供給口に送られることになる。流路Aには、水素吸蔵合金タンク300が配置されていないので、水素ガスはそのままの状態で燃料電池200に供給される。
【0182】
また、エアポンプ60が駆動されると、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスが燃料電池200に供給される。
【0183】
このように、燃料電池200に水素ガスと酸化ガスが供給されると、前述したとおり、燃料電池200は、水素極と酸素極において電気化学反応を起こし、電力を発生させ、その後、通常動作を維持する。
【0184】
また、燃料電池200において、電気化学反応に供された水素ガスは、水素オフガスとなって燃料電池200の水素オフガス排出口から排出され、図8(b)に示すように、ガス流路切り換え部600における流路Cを通る。流路Cには、水素吸蔵合金タンク300が配置されていないので、水素オフガスはそのままの状態で合流点58に戻されて、循環する。
【0185】
以上によって、図9に示した一連の起動時の動作を終了する。
【0186】
B−3.再生動作:
次に、本実施例の燃料電池システムにおいて、水素吸蔵合金タンク300に吸蔵された水素ガスを燃料電池200で再利用するための再生動作について、図10を用いて説明する。図10は図7の燃料電池システムにおける再生動作の手順を示すフローチャートである。
【0187】
前述したとおり、通常動作時では、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10,16は開いているが、支流流路54のシャットバルブ18は閉じている。また、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602はb側に、ダンパ603はa側になっている。
【0188】
このような通常動作時において、図10に示す再生動作が開始されると、制御部400は、まず、吸蔵フラグが立っているか否かを判定し(ステップS502)、その判定の結果、吸蔵フラグが立っていなければ、水素吸蔵合金タンク300には水素ガスが吸蔵されておらず、空の状態であるので、そのまま、図10に示す再生動作を終了する。
【0189】
判定の結果、吸蔵フラグが立っていれば、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが吸蔵されているので、図10に示す再生動作を続行する。
【0190】
次に、制御部400は、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3より高いか否かを判定し(ステップS504)、その判定の結果、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3以下である場合には、その第3の基準温度T3を超えるまで待機する。その後、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3を超えたら、制御部400は、水素ガス流路のうち、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603を全てb側にする(ステップS506)。
【0191】
水素ガス流路において、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603が全てb側になると、図8(c)に示すように、58から流れてきた水素ガスは、通常動作時と同様に、流路Aを通って、燃料電池200の酸化ガス供給口に送られる。このとき、流路Aには、水素吸蔵合金タンク300が配置されていないので、水素ガスはそのままの状態で燃料電池200に供給される。
【0192】
供給された水素ガスは、燃料電池200において電気化学反応に供された後、水素オフガスとして、燃料電池200の水素オフガス排出口から排出される。このとき、冷却水の温度Twは第3の基準温度T3を超えており、燃料電池200において、電気化学反応により発生した熱は、この水素オフガスと共に排出される。
【0193】
排出された水素オフガスは、図8(c)に示すように、ガス流路切り換え部600における流路Bを通って、合流点58に戻される。このとき、流路Bには、水素吸蔵合金タンク300が配置されているので、燃料電池200で発生した熱は、流路Bを通る水素オフガスによって、燃料電池200から水素吸蔵合金タンク300に伝達されるため、水素吸蔵合金タンク300は加熱されて、温度を上げることになる。この結果、水素吸蔵合金タンク300の内部の圧力は高くなる。
【0194】
制御部400は、圧力センサ20からの検出結果を入力し、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になっているか否かを判定する(ステップS508)。
【0195】
判定の結果、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1より低い場合には、第1の基準圧力P1以上になるまで待機し、その後、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になったら、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10を閉じて、支流流路54のシャットバルブ18を開く(ステップ510)。
【0196】
これにより、水素吸蔵合金タンク300は、水素吸蔵合金に吸蔵していた水素ガスを放出し、放出された水素ガスは、矢印h3に示すように、支流流路54,分岐点52,本流流路50,合流点58,ガス流路切り換え部600を通って、燃料電池200に供給される。供給された水素ガスは、燃料電池200において、電力発生のために利用される。
【0197】
それから、制御部400は、圧力センサ20からの検出結果を入力し、それに基づいて、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phがほぼ第1の基準圧力P1となるように調整する(ステップS512)。
【0198】
その後、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phが低下してきて、圧力調整を行っても、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1を維持できない場合に(ステップS514)、制御部400は、水素吸蔵合金タンク300は空の状態になったものと判断し、水素ガス流路のうち、支流流路54のシャットバルブ18を閉じて、本流流路50のシャットバルブ10を開くと共に、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602をb側にし、ダンパ603をa側にする(ステップS516)。そして、水素吸蔵合金タンク300が空になったことを示すために、吸蔵フラグを下ろす(ステップS516)。
【0199】
以上によって、図10に示した一連の再生動作を終了し、通常動作に戻る。
【0200】
本実施例の燃料電池システムによれば、起動時に、燃料電池200の温度を上昇させるために利用された水素ガスを、燃料電池200の運転中に、燃料電池200に供給して、燃料電池200での電力発生に用いることができるので、燃料である水素ガスの持つエネルギを効率よく利用することかできる。
【0201】
また、燃料電池200の運転中に、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンク300を空の状態にすることができるので、運転が終了して、再度、燃料電池システムを起動する場合には、いつでも、上述した昇温動作を開始することができる。
【0202】
さらにまた、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンク300を空の状態にするために、燃料電池200の発生する熱を利用しているため、他のエネルギを必要としない。
【0203】
B−4.冷却動作:
次に、本実施例の燃料電池システムにおいて、水素吸蔵合金タンク300を利用して燃料電池200を冷却するための冷却動作について、図11を用いて説明する。図11は図7の燃料電池システムにおける冷却動作の手順を示すフローチャートである。
【0204】
通常動作時において、図11に示す冷却動作が開始されると、制御部400は、まず、吸蔵フラグが立っているか否かを判定し(ステップS602)、その判定の結果、吸蔵フラグが立っていなければ、水素吸蔵合金タンク300は空の状態であって、水素吸蔵合金タンク300を利用した冷却は行えないので、図11に示す冷却動作を終了する。
【0205】
判定の結果、吸蔵フラグが立っていれば、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが吸蔵されているので、図11に示す冷却動作を続行する。
【0206】
次に、制御部400は、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4より高いか否かを判定し(ステップS604)、その判定の結果、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下である場合には、冷却水の温度Twが高くなって、その第4の基準温度T4を超えるまで待機する。その後、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4を超えたら、燃料電池200を冷却するために、制御部400は、水素ガス流路のうち、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603を全てa側にする(ステップS606)。
【0207】
ガス流路切り換え部600におけるダンパ601〜603が全てa側になると、図8(a)に示すように、合流点58から流れてきた水素ガスは、水素吸蔵合金タンク300の配置されている流路Bを通って、燃料電池200の酸化ガス供給口に送られる。このとき、合流点58から流れてくる水素ガスは、高圧水素タンク100を出発点として長い経路を通ってきているので、その温度は周囲温度と同等になっている。従って、そのような水素ガスが流路Bを通過すると、水素吸蔵合金タンク300は暖められて、温度を上げることになり、水素吸蔵合金タンク300の内部の圧力は高くなる。
【0208】
制御部400は、圧力センサ20からの検出結果を入力し、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になっているか否かを判定する(ステップS608)。
【0209】
判定の結果、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1より低い場合には、第1の基準圧力P1以上になるまで待機し、その後、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になったら、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10を閉じて、支流流路54のシャットバルブ18を開く(ステップS610)。
【0210】
これにより、水素吸蔵合金タンク300は、水素吸蔵合金に吸蔵していた水素ガスを放出し、放出された水素ガスは、矢印h3に示すように、支流流路54,分岐点52,本流流路50,合流点58,ガス流路切り換え部600を通って、燃料電池200に供給される。供給された水素ガスは、燃料電池200において、電力発生のために利用される。
【0211】
水素吸蔵合金は、水素ガスを放出する際に、吸熱反応を生じ、熱を吸収するため、合流点58から流れてきた水素ガスは、ガス流路切り換え部600における流路Bを通過する際に、水素吸蔵合金タンク300により熱を奪われて、その温度は低下する。従って、燃料電池200には、この温度低下した水素ガスが供給されることになり、燃料電池200の温度は下がる。
【0212】
続いて、制御部400は、再び、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下になったか否かを判定する(ステップS612)。
【0213】
判定の結果、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下になっていない場合には、その第4の基準温度T4以下になるまで、ステップS514,516の処理を繰り返す。
【0214】
なお、ステップS614,S616の処理は、図10に示したステップS512,S514の処理と同様であるので、説明は省略する。
【0215】
その後、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下になったら、制御部400は、水素ガス流路のうち、支流流路54のシャットバルブ18を閉じて、本流流路50のシャットバルブ10を開くと共に、ガス流路切り換え部600におけるダンパ601,602をb側にし、ダンパ603をa側にする(ステップS620)。
【0216】
水素吸蔵合金タンク300に吸蔵された水素ガスが残っている限り、水素吸蔵合金タンク300を利用して燃料電池200を冷却させることは可能であるので、ステップS604の処理に戻り、水素ガスを吸蔵している水素吸蔵合金タンク300が空の状態になるまで、上記した処理が繰り返され、空の状態になったら、図10に示したステップS516と同様のステップS618の処理を実行する。
【0217】
以上によって、図11に示した一連の冷却動作を終了し、通常動作に戻る。
【0218】
本実施例の燃料電池システムによれば、燃料電池200の温度が高い場合には、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンク300を利用して、燃料電池200を冷却することにより、燃料電池200の温度を定常温度に保つことができる。
【0219】
C.第3の実施例:
C−1.実施例の構成:
図12は本発明の第3の実施例としての燃料電池システムの構成を示す構成図である。本実施例の燃料電池システムも、自動車などの車両に搭載されるものである。
【0220】
本実施例の燃料電池システムが、前述した第1または第2の実施例の燃料電池システムと構成上、異なる点は、水素吸蔵合金タンク300がガス流路切り換え部600内に配置されているのではなく、図12に示すように、燃料電池200の内部に配置されている点である。
【0221】
すなわち、本実施例においては、水素吸蔵合金タンク300が燃料電池200のエンドプレート202内に取り付けられている。
【0222】
図13は図12における水素吸蔵合金タンク300を備えた燃料電池200のエンドプレート202を示す断面図である。図13において、(a)はエンドプレート202を側方から見た断面を示しており、(b)は正面から見た断面を示している。
【0223】
図13に示すように、水素吸蔵合金タンク300は、エンドプレート202内に埋め込まれており、水素吸蔵合金タンク300の上部は、フィルタ302を介して支流流路54の配管304に接続されている。また、エンドプレート202の上部は、Oリング204を介してエンドプレートカバー206が取り付けられ、そのエンドプレートカバー206はボルト208によって固定されている。さらに、エンドプレート202と配管304とは、溶接部306によって固定されている。
【0224】
一方、図12に示すように、水素ガス流路は、第1の実施例と同様に、水素ガス流路は、高圧水素タンク100の放出口から分岐点52を介して燃料電池200の水素ガス供給口に至る本流流路50と、水素吸蔵合金タンク300の供給・放出口と分岐点52とをつなぐ支流流路54と、を備えており、酸化ガス流路は、第2の実施例と同様に、エアポンプ60から燃料電池200の酸化ガス供給口に至る酸化ガス供給流路62を備えている。
【0225】
なお、図12では、燃料電池200から水素オフガスを排出するための水素オフガス排出流路と、酸素オフガスを排出するための酸素オフガス排出流路は省略されている。
【0226】
その他の構成は、概ね、前述した第1の実施例と同様であるので、それらについての説明は省略する。
【0227】
なお、制御部400は、圧力センサ20および水温センサ28からの検出結果を入力すると共に、各バルブ10〜18,26と、ウォータポンプ22と、エアポンプ60と、を制御する。
【0228】
C−2.昇温動作および通常動作:
それでは、本実施例の燃料電池システムにおける起動時の動作について、図14を用いて説明する。図14は図12の燃料電池システムにおける起動時の動作手順を示すフローチャートである。
【0229】
燃料電池システムの起動前、水素ガス流路の全てのシャットバルブ10,16,18は閉じており、酸化ガス流路において、エアポンプ60は停止している。冷却水流路のうち、バイパスバルブ26は第2のモードとなっている他、ウォータポンプ22も停止している。また、水素吸蔵合金タンク300は、水素ガスを吸蔵していない空の状態となっている。
【0230】
そこで、燃料電池システムが起動されると、制御部400は、まず、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10を開くと共に、冷却水流路のウォータポンプ22を駆動する(ステップS702)。シャットバルブ10が開くと、高圧水素タンク100からは水素ガスが放出され、その放出された水素ガスは、本流流路50に至る。また、ウォータポンプ22が駆動されると、冷却水が流れ始め、燃料電池200から出た後、本流流路70,バイパス流路72,本流流路70を介して燃料電池200に戻る経路で循環する。
【0231】
次に、制御部400は、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第1の基準温度T1以下であるか否かを判定し(ステップS704)、その判定の結果、冷却水の温度が第1の基準温度T1以下である場合には、燃料電池200内が凍り付いている恐れがあるので、第1の昇温動作を開始する。
【0232】
すなわち、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ16を閉じて、支流流路54のシャットバルブ18を開くと共に、吸蔵フラグを立てる(ステップS706)。
【0233】
本流流路50のシャットバルブ16を閉じて、支流流路54のシャットバルブ18が開くと、高圧水素タンク100から放出され、本流流路50に至った水素ガスは、矢印h1で示すように、分岐点52から支流流路54を通って、燃料電池200内に配置された水素吸蔵合金タンク300に供給される。
【0234】
このとき、水素吸蔵合金タンク300は、前述したとおり、水素ガスを吸蔵していない空の状態であり、水素吸蔵合金タンク300の温度も低い状態となっているため、水素吸蔵合金タンク300の内部の圧力は非常に低くなっている。
【0235】
従って、レギュレータ12によって減圧されたおよそ0.8〜1MPaの水素ガスが水素吸蔵合金タンク300に供給されると、その水素ガスは、水素吸蔵合金タンク300内の水素吸蔵合金によって速やかに吸蔵され、水素吸蔵合金は、発熱反応を生じて、熱を発生する。
【0236】
このとき、水素吸蔵合金タンク300は、燃料電池200のエンドプレート202内に取り付けられているので、水素吸蔵合金タンク300で発生した熱は、エンドプレート202から燃料電池200全体に伝達される。この結果、燃料電池200は、伝達された熱によって加熱されて、温度を上げることになる。
【0237】
なお、このとき、水素ガス流路における本流流路50のシャットバルブ16は閉じており、酸化ガス流路におけるエアポンプ60は駆動していないため、燃料電池200には、まだ、水素ガスも酸化ガスも供給されておらず、それ故、電気化学反応は起こらない。
【0238】
以上のようにして、本実施例の燃料電池システムにおいては、起動時に、高圧水素タンク100から放出された水素ガスを燃料電池200内に配置された水素吸蔵合金タンク300に供給して吸蔵させることにより、水素吸蔵合金タンク300で熱を発生させ、その発生した熱を燃料電池200に伝達することにより、燃料電池200の温度を上げることができる。
【0239】
また、水素吸蔵合金タンク300で発生した熱を燃料電池200に直接伝達しているため、エネルギの有効利用を図ることができる。
【0240】
こうして、ステップS706の処理が完了すると、再び、ステップS704の処理に戻る。
【0241】
次に、ステップS704における判定の結果、冷却水の温度が第1の基準温度T1より高い場合には、制御部400は、冷却水の温度Twが第2の基準温度T2以下であるか否かを判定する(ステップS708)。判定の結果、冷却水の温度Twが第2の基準温度T2以下である場合には、燃料電池200内は凍り付いていないので、燃料電池200の作動は可能であるものの、燃料電池200の温度はまだ低く、効率的な運転ができないため、第2の昇温動作を開始する。
【0242】
すなわち、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ16と支流流路54のシャットバルブ18の両方を開くと共に、酸化ガス流路のうち、エアポンプ60を駆動する。そして、さらに、吸蔵フラグが立っていない場合には、吸蔵フラグを立てる(ステップS710)。
【0243】
本流流路50のシャットバルブ16と、支流流路54のシャットバルブ18が共に開くと、高圧水素タンク100から放出され、本流流路50に至った水素ガスは、矢印h1,矢印h2で示すように、一部がそのまま本流流路50を通って、燃料電池200に供給され、残りが分岐点52から支流流路54を通って、燃料電池200内に配置された水素吸蔵合金タンク300に供給される。
【0244】
また、エアポンプ60が駆動されると、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスが燃料電池200に供給される。
【0245】
こうして、燃料電池200に水素ガスと酸化ガスが供給されると、燃料電池200は電気化学反応を起こし、電力を発生させる。このとき起きる電気化学反応は、発熱反応であるため、これによって、燃料電池200の温度は上昇する。
【0246】
また、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが供給されると、前述したとおり、その水素ガスは水素吸蔵合金によって吸蔵され、水素吸蔵合金は、発熱反応を生じて、熱を発生する。そして、発生した熱は、エンドプレート202を介して燃料電池200全体に伝達されて、燃料電池200の温度を上げる。
【0247】
以上のようにして、本実施例の燃料電池システムにおいては、燃料電池200内は凍り付いていないものの、燃料電池200の温度がまだ低い場合には、燃料電池200を作動させながら、水素吸蔵合金タンク300を利用して燃料電池200の温度を上げることができるので、燃料電池200自体による発熱と相まって、燃料電池200の温度を急速に上げることができる。
【0248】
こうして、ステップS710の処理が完了すると、再び、ステップS704の処理に戻る。
【0249】
一方、ステップS708における判定の結果、冷却水の温度Twが第2の基準温度T2より高い場合には、燃料電池200の温度も十分高く、効率的な運転が可能なため、通常動作を開始する。
【0250】
すなわち、制御部400は、水素ガス流路のうち、支流流路54のシャットバルブ18を閉じて、本流流路50のシャットバルブ16と開くと共に、酸化ガス流路のうち、エアポンプ60を駆動する(ステップS712)。
【0251】
支流流路54のシャットバルブ18が閉じて、本流流路50のシャットバルブ16が開くと、高圧水素タンク100から放出され、本流流路50に至った水素ガスは、矢印h2で示すように、そのまま本流流路50を通って、燃料電池200に供給される。
【0252】
また、エアポンプ60が駆動されると、エアポンプ60から取り入れられた酸化ガスが燃料電池200に供給される。
【0253】
このように、燃料電池200に水素ガスと酸化ガスが供給されると、燃料電池200は、電気化学反応を起こし、電力を発生させ、その後、通常動作を維持する。
【0254】
以上によって、図14に示した一連の起動時の動作を終了する。
【0255】
C−3.再生動作:
次に、本実施例の燃料電池システムにおいて、水素吸蔵合金タンク300に吸蔵された水素ガスを燃料電池200で再利用するための再生動作について、図15を用いて説明する。図15は図12の燃料電池システムにおける再生動作の手順を示すフローチャートである。
【0256】
前述したとおり、通常動作時では、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10,16は開いているが、支流流路54のシャットバルブ18は閉じている。
【0257】
このような通常動作時において、図15に示す再生動作が開始されると、制御部400は、まず、吸蔵フラグが立っているか否かを判定し(ステップS802)、その判定の結果、吸蔵フラグが立っていなければ、水素吸蔵合金タンク300には水素ガスが吸蔵されておらず、空の状態であるので、そのまま、図15に示す再生動作を終了する。
【0258】
判定の結果、吸蔵フラグが立っていれば、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが吸蔵されているので、図15に示す再生動作を続行する。
【0259】
次に、制御部400は、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3より高いか否かを判定すると共に、圧力センサ20からの検出結果を入力し、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になっているか否かを判定する(ステップS804)。判定の結果、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3以下である場合には、その第3の基準温度T3を超えるまで待機する。また、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3を超えても、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1より低い場合には、第1の基準圧力P1以上になるまで待機する。
【0260】
このとき、燃料電池200で発生した熱は、エンドプレート202を介して水素吸蔵合金タンク300に伝達されるため、水素吸蔵合金タンク300は加熱されて、温度を上げることになる。この結果、水素吸蔵合金タンク300の内部の圧力は高くなる。
【0261】
その後、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3を超えると共に、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になったら、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10を閉じて、支流流路54のシャットバルブ18を開く(ステップ806)。
【0262】
これにより、水素吸蔵合金タンク300は、水素吸蔵合金に吸蔵していた水素ガスを放出し、放出された水素ガスは、矢印h3に示すように、支流流路54,分岐点52,本流流路50を通って、燃料電池200に供給される。供給された水素ガスは、燃料電池200において、電力発生のために利用される。
【0263】
それから、制御部400は、圧力センサ20からの検出結果を入力し、それに基づいて、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phがほぼ第1の基準圧力P1となるように調整する(ステップS808)。
【0264】
その後、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phが低下してきて、圧力調整を行っても、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1を維持できない場合に(ステップS810)、制御部400は、水素吸蔵合金タンク300は空の状態になったものと判断し、水素ガス流路のうち、支流流路54のシャットバルブ18を閉じて、本流流路50のシャットバルブ10を開き、吸蔵フラグを下ろす(ステップS812)。
【0265】
以上によって、図15に示した一連の再生動作を終了し、通常動作に戻る。
【0266】
本実施例の燃料電池システムによれば、起動時に、燃料電池200の温度を上昇させるために利用された水素ガスを、燃料電池200の運転中に、燃料電池200に供給して、燃料電池200での電力発生に用いることができるので、燃料である水素ガスの持つエネルギを効率よく利用することかできる。
【0267】
また、燃料電池200の運転中に、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンク300を空の状態にすることができるので、運転が終了して、再度、燃料電池システムを起動する場合には、いつでも、上述した昇温動作を開始することができる。
【0268】
さらにまた、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンク300を空の状態にするために、燃料電池200の発生する熱を利用しているため、他のエネルギを必要としない。
【0269】
また、燃料電池200で発生した熱を水素吸蔵合金タンク300に直接伝達しているため、エネルギの有効利用を図ることができる。
【0270】
C−4.冷却動作:
次に、本実施例の燃料電池システムにおいて、水素吸蔵合金タンク300を利用して燃料電池200を冷却するための冷却動作について、図16を用いて説明する。図16は図12の燃料電池システムにおける冷却動作の手順を示すフローチャートである。
【0271】
通常動作時において、図16に示す冷却動作が開始されると、制御部400は、まず、吸蔵フラグが立っているか否かを判定し(ステップS902)、その判定の結果、吸蔵フラグが立っていなければ、水素吸蔵合金タンク300は空の状態であって、水素吸蔵合金タンク300を利用した冷却は行えないので、図16に示す冷却動作を終了する。
【0272】
判定の結果、吸蔵フラグが立っていれば、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスが吸蔵されているので、図16に示す冷却動作を続行する。
【0273】
次に、制御部400は、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3より高いか否かを判定すると共に、圧力センサ20からの検出結果を入力し、水素吸蔵合金タンク300から放出される水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になっているか否かを判定する(ステップS904)。
【0274】
このとき、燃料電池200で発生した熱は、エンドプレート202を介して水素吸蔵合金タンク300に伝達されるため、水素吸蔵合金タンク300は加熱されて、温度を上げることになる。この結果、水素吸蔵合金タンク300の内部の圧力は高くなる。
【0275】
そして、冷却水の温度Twが第3の基準温度T3を超えると共に、水素ガスの圧力Phが第1の基準圧力P1以上になったら、制御部400は、水素ガス流路のうち、本流流路50のシャットバルブ10を閉じて、支流流路54のシャットバルブ18を開く(ステップ906)。
【0276】
これにより、水素吸蔵合金タンク300は、水素吸蔵合金に吸蔵していた水素ガスを放出し、放出された水素ガスは、矢印h3に示すように、支流流路54,分岐点52,本流流路50を通って、燃料電池200に供給される。供給された水素ガスは、燃料電池200において、電力発生のために利用される。
【0277】
水素吸蔵合金は、水素ガスを放出する際に、吸熱反応を生じ、熱を吸収するため、燃料電池200は、水素吸蔵合金タンク300によって熱を奪われて、温度が低下していく。
【0278】
制御部400は、再び、水温センサ28からの検出結果を入力し、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下になったか否かを判定する(ステップS908)。判定の結果、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下になっていない場合には、その第4の基準温度T4以下になるまで、ステップS910,912の処理を繰り返す。
【0279】
なお、ステップS910,S912の処理は、図18に示したステップS808,S810の処理と同様であるので、説明は省略する。
【0280】
その後、冷却水の温度Twが第4の基準温度T4以下になったら、制御部400は、水素ガス流路のうち、支流流路54のシャットバルブ18を閉じて、本流流路50のシャットバルブ10を開く(ステップS916)。
【0281】
水素吸蔵合金タンク300に吸蔵された水素ガスが残っている限り、水素吸蔵合金タンク300を利用して燃料電池200を冷却させることは可能であるので、ステップS904の処理に戻り、水素ガスを吸蔵している水素吸蔵合金タンク300が空の状態になるまで、上記した処理が繰り返され、空の状態になったら、図15に示したステップS812と同様のステップS914の処理を実行する。
【0282】
以上によって、図15に示した一連の冷却動作を終了し、通常動作に戻る。
【0283】
本実施例の燃料電池システムによれば、燃料電池200の温度が高い場合には、水素ガスの吸蔵された水素吸蔵合金タンク300を利用して、燃料電池200を冷却することにより、燃料電池200の温度を定常温度に保つことができる。また、水素吸蔵合金タンク300は、燃料電池200から直接、熱を奪っているため、効率よく燃料電池200を冷却することができる。
【0284】
D.変形例:
なお、本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0285】
D−1.変形例1:
上記した第1の実施例においては、水素吸蔵合金タンク300を有するガス流路切り換え部600を酸化ガス流路中に配置し、第2の実施例においては、水素ガス流路中に配置していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ガス流路切り換え部600を、水素ガス流路の本流流路50と、酸素ガス流路の酸素オフガス排出流路64と、の組み合わせで配置するようにしても良いし、あるいは、水素ガス流路の循環流路56と、酸素ガス流路の酸化ガス供給流路62と、の組み合わせで配置するようにしても良い。
【0286】
D−2.変形例2:
上記した第1および第2の実施例において、ガス流路切り換え部600は、ダンパ601〜603によって、酸化ガスおよび酸素オフガスや、水素ガスおよび水素オフガスが流れる流路を切り換えることにより、水素吸蔵合金タンク300の配置されている流路に、これらのガスを流すようにしている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、酸化ガスおよび酸素オフガスや、水素ガスおよび水素オフガスが流れる流路は切り換えることなく、固定とし、水素吸蔵合金タンク300の方を移動させるようにしても良い。
【0287】
具体的には、第1の実施例の場合を例に採ると、酸化ガスが流れる流路Xと酸素オフガスが流れる流路Yをそれぞれ固定すると共に、水素吸蔵合金タンク300を移動させ、流路X内の位置に配置したり、流路Y内の位置に配置したり、流路X,Y以外の位置に配置したすることによって、ガス流路切り換え部600と同様の機能を果たすことができる。
【0288】
D−3.変形例3:
上記した第3の実施例では、水素吸蔵合金タンク300を燃料電池200のエンドプレート202内に配置するようにしたが、単セル間にMH(メタル・ハイドライド;水素吸蔵合金)セルを挟み、そのMHセルの中に水素吸蔵合金タンク300を配置するようにしても良い。
【0289】
図17は単セル間にMHセルを挟んで成る燃料電池200を示す説明図である。この変形例では、図17に示すように、単セル210、2つ毎に、1つのMHセル310が配置されている。
【0290】
なお、図17では、燃料電池200に水素ガスや酸化ガスを供給するための供給流路や、燃料電池200から水素オフガスや酸素オフガスを排出するための排出流路は省略されている。このことは、後述する図20,図21および図23においても同様である。
【0291】
図18は図17における水素吸蔵合金タンク300を備えたMHセル310を示す断面図である。図18において、(a)はMHセル310を側方から見た断面を示しており、(b)は正面から見た断面を示している。
【0292】
図18に示すように、水素吸蔵合金タンク300は、MHセル310内に嵌め込まれており、水素吸蔵合金タンク300の上部は、フィルタ302を介して支流流路54の配管304に接続されている。また、MHセル310の側面の片側は、MHセルカバー312が取り付けられ、そのMHセルカバー312は溶接部314によって固定されている。
【0293】
なお、このように、単セル210間にMHセル310を配置した場合、単セル210で発電が行われると、MHセル310同士の間には、電位差が発生する。配管304は通常、金属でできているため、MHセル310同士が電気的につながらないようにするために、この変形例では、図17に示すように、配管304の途中に絶縁部316を設けている。
【0294】
図19は図17における絶縁部316の構成を説明するための説明図である。図19において、(a)は燃料電池200における単セル210、MHセル310および絶縁部316の断面を示しており、(b)は(a)におけるX部を拡大して示している。なお、(a)では、単セル210、1つ毎に、1つのMHセル310が配置されているように描いてある。
【0295】
図19(b)に示すように、絶縁部316では、金属から成る配管304は、2つに切れており、その間を、例えば、ゴム系の絶縁材などで構成された絶縁パイプ318でつないでいる。そして、絶縁パイプ318が304から外れないように、絶縁パイプ318の両端をバンド320でそれぞれ固定している。
【0296】
このようにして、配管304の間を絶縁パイプ318でつなぐことによって、MHセル310同士の間が電気的につながらないようにしている。
【0297】
D−4.変形例4:
上記した第3の実施例では、水素吸蔵合金タンク300を燃料電池200の一方のエンドプレート202内のみに配置するようにしたが、他方のエンドプレート内にも配置するようにしても良い。
【0298】
図20は水素吸蔵合金タンク300を燃料電池200の両方のエンドプレート202内に配置した変形例を示す説明図である。
【0299】
図20に示すように、この変形例では、一方のエンドプレート202内だけでなく、他方のエンドプレート202’内にも水素吸蔵合金タンク300を配置している。
【0300】
このように、両方のエンドプレート202,202’に水素吸蔵合金タンク300を配置した場合、各単セル210で発電が行われると、変形例2の場合と同様に、エンドプレート202とエンドプレート202’との間に、電位差が発生する。従って、この変形例においても、エンドプレート202,202’同士が電気的につながらないようにするために、図20に示すように、配管304の途中に絶縁部316を設けている。
【0301】
D−5.変形例5:
上記した変形例2では、各MHセル310から、それぞれ、燃料電池200の外部に配管304が出ており、各MHセル310は、その外部に出た配管304を介して支流流路54に接続されていた。しかし、各MHセル310から燃料電池200の外部に配管304を出すことなく、燃料電池200の内部を貫くマニホールドを利用して、支流流路54に接続するようにして良い。
【0302】
図21は各MHセル31をマニホールドを利用して支流流路54に接続するようにした変形例を示す説明図である。この変形例では、図21に示すように、各MHセル310は、燃料電池200を貫くマニホールド322によって支流流路54につながっている。
【0303】
図22は図21におけるマニホールド322を備えたMHセル310および単セル210を示す断面図である。図22において、(a)はMHセル310を側方から見た断面を示しており、(b)は正面から見た断面を示しており、(c)は単セル210を側方から見た断面を示している。
【0304】
図22(a),(b)に示すように、MHセル310の上部には、マニホールド322の一部となる通過孔326が開いており、水素吸蔵合金タンク300は、フィルタ302,導管324を介して、この通過孔326に接続されている。また、単セル210の上部にも、図22(c)に示すように、マニホールド322の一部となる通過孔212が設けられている。
【0305】
従って、MHセル310,単セル210を図21に示したように積層すると、通過孔326,212同士がつながって、燃料電池200を貫くマニホールド322が形成される。
【0306】
なお、この変形例においても、単セル210間にMHセル310を配置しているため、単セル210で発電が行われると、MHセル310同士の間には、電位差が発生する。しかしながら、この変形例では、MHセル310同士が直接つながるようなことはなく、常に、単セル210を介してつながっているので、変形例2で用いたような絶縁部316を設ける必要はない。
【0307】
D−6.変形例6:
上記した第3の実施例では、水素吸蔵合金タンク300を燃料電池200の内部に配置するようにしたが、燃料電池200の外周部に配置するようにしても良い。
【0308】
図23は水素吸蔵合金タンク300を外周部に配置して成る燃料電池200を示す説明図である。この変形例では、図23に示すように、燃料電池200の上面と底面に水素吸蔵合金タンク300がそれぞれ配置されている。
【0309】
各水素吸蔵合金タンク300は、それぞれ、燃料電池200との電気的なつながりを断つために絶縁シート328を介して、燃料電池200に密着している。
【0310】
このような構成においても、水素吸蔵合金タンク300と燃料電池200との間では、絶縁シート328を介するものの、実質的に直接、熱のやり取りを行うことができ、水素吸蔵合金タンク300を燃料電池200の内部に配置した場合と、同様の機能を有することになる。
【0311】
なお、水素吸蔵合金タンク300は、燃料電池200の外周部に配置されていれば良く、上面,底面だけでなく、正面,背面,側面の何れに配置されていても良い。
【0312】
D−7.変形例7:
上記した第1〜第3の実施例においては、燃料電池システムの起動時に、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスを吸蔵した場合、燃料電池200の運転中に、再生動作によって、水素吸蔵合金タンク300を空の状態にしてから、運転が終了するようにしている。しかしながら、水素吸蔵合金タンク300に水素ガスを吸蔵した場合であっても、水素吸蔵合金タンク300に、さらに水素ガスを吸蔵する余裕が十分ある場合には、水素吸蔵合金タンク300を空の状態にすることなく、運転を終了するようにしても良い。この場合においても、再度、燃料電池システムを起動する際に、いつでも、上述した昇温動作を開始することができる。
【0313】
D−8.変形例8:
また、上記した第1〜第3の実施例においては、通常動作に移行した後は、昇温動作に戻ることはなかったが、通常動作を行っている際でも、燃料電池200の温度が低下するような場合には、昇温動作に戻るようにしても良い。
【0314】
D−9.変形例9:
上記した第1〜第3の実施例をそれぞれ組み合わせて用いるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての燃料電池システムの構成を示す構成図である。
【図2】図1におけるガス流路切り換え部600の内部構成を概略的に示した説明図である。
【図3】図2のガス流路切り換え部600における各ダンパの切り換えに基づく流路の切り換えの様子を示す説明図である。
【図4】図1の燃料電池システムにおける起動時の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の燃料電池システムにおける再生動作の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の燃料電池システムにおける冷却動作の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施例としての燃料電池システムの構成を示す構成図である。
【図8】は図7のガス流路切り換え部600における各ダンパの切り換えに基づく流路の切り換えの様子を示す説明図である。
【図9】図7の燃料電池システムにおける起動時の動作手順を示すフローチャートである。
【図10】図7の燃料電池システムにおける再生動作の手順を示すフローチャートである。
【図11】図7の燃料電池システムにおける冷却動作の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施例としての燃料電池システムの構成を示す構成図である。
【図13】図12における水素吸蔵合金タンク300を備えた燃料電池200のエンドプレート202を示す断面図である。
【図14】図12の燃料電池システムにおける起動時の動作手順を示すフローチャートである。
【図15】図12の燃料電池システムにおける再生動作の手順を示すフローチャートである。
【図16】図12の燃料電池システムにおける冷却動作の手順を示すフローチャートである。
【図17】単セル間にMHセルを挟んで成る燃料電池200を示す説明図である。
【図18】図17における水素吸蔵合金タンク300を備えたMHセル310を示す断面図である。
【図19】図17における絶縁部316の構成を説明するための説明図である。
【図20】水素吸蔵合金タンク300を燃料電池200の両方のエンドプレート202内に配置した変形例を示す説明図である。
【図21】各MHセル31をマニホールドを利用して支流流路54に接続するようにした変形例を示す説明図である。
【図22】図21におけるマニホールド322を備えたMHセル310および単セル210を示す断面図である。
【図23】水素吸蔵合金タンク300を外周部に配置して成る燃料電池200を示す説明図である。
【符号の説明】
10…シャットバルブ
12…レギュレータ
14…レギュレータ
16…シャットバルブ
18…シャットバルブ
20…圧力センサ
22…ウォータポンプ
26…バイパスバルブ
28…水温センサ
31…MHセル
50…本流流路
52…分岐点
54…支流流路
56…循環流路
57…水素ポンプ
58…合流点
60…エアポンプ
62…酸化ガス供給流路
64…酸素オフガス排出流路
70…本流流路
72…バイパス流路
100…高圧水素タンク
200…津燃料電池
202,202’…エンドプレート
204…Oリング
206…エンドプレートカバー
208…ボルト
210…単セル
212…通過孔
300…水素吸蔵合金タンク
302…フィルタ
304…配管
306…溶接部
310…MHセル
312…MHセルカバー
314…溶接部
316…絶縁部
318…絶縁パイプ
320…バンド
322…マニホールド
324…導管
326…通過孔
328…絶縁シート
400…制御部
500…ラジエータ
600…ガス流路切り換え部
601,602,603…ダンパ
800…水素吸蔵合金タンク
A…流路
B…流路
C…流路
P1…第1の基準圧力
Ph…圧力
T1…第1の基準温度
T2…第2の基準温度
T3…第3の基準温度
T4…第4の基準温度
Tw…温度
X…流路
Y…流路
α…経路
β…経路
γ…経路

Claims (12)

  1. 水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
    水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクをさらに備え、
    前記燃料電池の温度が第1の基準温度以下である場合には、前記水素タンクから前記水素吸蔵合金タンクに前記水素ガスを供給して、該水素ガスを前記水素吸蔵合金タンクに吸蔵させることにより、該水素吸蔵合金タンクで熱を発生させると共に、前記水素ガスおよび酸化ガスのうち、少なくとも一方のガスを、前記水素吸蔵合金タンクの配置された流路を介して前記燃料電池に供給することにより、発生した前記熱を前記ガスによって前記燃料電池に伝達させて、該燃料電池の温度を上昇させることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
    水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクをさらに備え、
    前記燃料電池の温度が第1の基準温度より高く第2の基準温度以下である場合には、前記燃料電池に前記酸化ガスを供給する他、前記水素タンクから前記燃料電池に前記水素ガスを供給し、前記燃料電池において、前記電力の発生に利用すると共に、前記水素タンクから前記水素吸蔵合金タンクにも前記水素ガスを供給して、前記水素吸蔵合金タンクに吸蔵させることにより、該水素吸蔵合金タンクで熱を発生させ、前記燃料電池に供給される前記水素ガスおよび酸化ガスのうち、少なくとも一方のガスを、前記水素吸蔵合金タンクの配置された流路に通すことにより、発生した前記熱を前記ガスによって前記燃料電池に伝達させて、該燃料電池の温度を上昇させることを特徴とする燃料電池システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池の温度が第3の基準温度より高い場合には、前記燃料電池から排出された前記水素オフガスおよび酸素オフガスのうち、少なくとも一方のガスを、前記水素吸蔵合金タンクの配置された流路に通して、前記燃料電池の発生する熱を前記ガスによって前記水素吸蔵合金タンクに伝達させることにより、該水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている前記水素ガスを放出させ、放出した該水素ガスを前記燃料電池に供給して、前記電力の発生に利用することを特徴とする燃料電池システム。
  4. 水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
    水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクをさらに備え、
    前記燃料電池の温度が第4の基準温度より高い場合には、前記燃料電池から排出された前記水素オフガスおよび酸素オフガスのうち、少なくとも一方のガスを、前記水素吸蔵合金タンクの配置された流路に通して、前記燃料電池の発生する熱を前記ガスによって前記水素吸蔵合金タンクに伝達させ、該水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている前記水素ガスを放出させることにより、伝達された前記熱を前記水素吸蔵合金タンクで吸収すると共に、放出した前記水素ガスを前記燃料電池に供給して、前記電力の発生に利用することを特徴とする燃料電池システム。
  5. 請求項1ないし請求項4のうちの任意の1つに記載の燃料電池システムにおいて、
    前記水素オフガスを、前記燃料電池に供給される前記水素ガスに合流させることを特徴とする燃料電池システム。
  6. 水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
    水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクを、前記燃料電池の内部および外周部のうち、少なくとも一方に配置し、
    前記燃料電池の温度が第1の基準温度以下である場合には、前記水素タンクから前記水素吸蔵合金タンクに前記水素ガスを供給して、該水素ガスを前記水素吸蔵合金タンクに吸蔵させることにより、該水素吸蔵合金タンクで熱を発生させ、発生したその熱を前記燃料電池に伝達させて、該燃料電池の温度を上昇させることを特徴とする燃料電池システム。
  7. 水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
    水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクを、前記燃料電池の内部および外周部のうち、少なくとも一方に配置し、
    前記燃料電池の温度が第1の基準温度より高く第2の基準温度以下である場合には、前記燃料電池に前記酸化ガスを供給する他、前記水素タンクから前記燃料電池に前記水素ガスを供給し、前記燃料電池において、前記電力の発生に利用すると共に、前記水素タンクから前記水素吸蔵合金タンクにも前記水素ガスを供給して、前記水素吸蔵合金タンクに吸蔵させることにより、該水素吸蔵合金タンクで熱を発生させ、発生したその熱を前記燃料電池に伝達させて、該燃料電池の温度を上昇させることを特徴とする燃料電池システム。
  8. 請求項6または請求項7に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池の温度が第3の基準温度より高い場合には、前記燃料電池の発生する熱を前記水素吸蔵合金タンクに伝達させることにより、該水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている前記水素ガスを放出させ、放出した該水素ガスを前記燃料電池に供給して、前記電力の発生に利用することを特徴とする燃料電池システム。
  9. 水素ガスを供給する水素タンクと、前記水素ガスおよび酸化ガスの供給を受けて電力を発生すると共に、電力の発生に供された前記水素ガスおよび酸化ガスを水素オフガスおよび酸素オフガスとして排出する燃料電池と、を備えた燃料電池システムであって、
    水素吸蔵合金を有し、前記水素タンクから前記水素ガスの供給を受けて該水素ガスを前記水素吸蔵合金で吸蔵したり、該水素吸蔵合金の吸蔵した前記水素ガスを放出して前記燃料電池に供給したりすることが可能な水素吸蔵合金タンクを、前記燃料電池の内部および外周部のうち、少なくとも一方に配置し、
    前記燃料電池の温度が第4の基準温度より高い場合には、前記燃料電池の発生する熱を前記水素吸蔵合金タンクに伝達させ、該水素吸蔵合金タンクに吸蔵されている前記水素ガスを放出させることにより、伝達された前記熱を前記水素吸蔵合金タンクで吸収すると共に、放出した前記水素ガスを前記燃料電池に供給して、前記電力の発生に利用することを特徴とする燃料電池システム。
  10. 請求項6ないし請求項9のうちの任意の1つに記載の燃料電池システムにおいて、
    前記水素吸蔵合金タンクは、前記燃料電池のエンドプレート内に配置されていることを特徴する燃料電池システム。
  11. 請求項6ないし請求項9のうちの任意の1つに記載の燃料電池システムにおいて、
    前記水素吸蔵合金タンクは、前記燃料電池の単セルと共に積層される専用セル内に配置されていることを特徴する燃料電池システム。
  12. 請求項6ないし請求項11のうちの任意の1つに記載の燃料電池システムにおいて、
    前記水素吸蔵合金タンクが、前記燃料電池内に、単セルを間に挟んで複数配置されている場合は、各水素吸蔵合金タンクに接続される、前記水素ガスの流路となる配管は、それぞれ、一部分が絶縁されていることを特徴する燃料電池システム。
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