以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
≪原理≫
まず、本発明により燃料電池を暖機する原理を説明する。図1は、暖機原理を説明する模式図である。図2は、一例としてのMH(Metal Hydride:水素吸蔵合金)タンクの内部温度−圧力(内圧)特性図である。図3は、MHタンクに印加される水素の圧力によりMHタンクの内部温度が変化する様子をプロットしたタイムチャートである。尚、図2の摂氏温度の表示は、1000/T(K)による温度表示(アーレニウスプロットによる温度表示)を解りやすくするための目安的なものである。
図1の符号1は燃料電池であり、暖機の対象となる。符号2は水素を高圧(例えば、約35MPa)で貯蔵する高圧水素タンクであり、耐圧気密構造を有する。符号3は水素吸蔵合金を内蔵するMHタンクであり、耐圧気密構造を有する。このMHタンク3は高圧水素タンク2から水素の供給を受ける。尚、MHタンク3は、暖機前の内圧が約0.1MPa(常圧)であり、水素を吸蔵可能な状態にある。
燃料電池1の起動時、高圧水素タンク2からMHタンク3に水素を供給する。すると、MHタンク3の内圧が上昇する。同時に、MHタンク3が内蔵する水素吸蔵合金が水素を吸蔵して熱が発生し、MHタンク3の内部温度が上昇する。この際のMHタンク3の内圧と内部温度の関係は、図2の内部温度−圧力特性図にしたがう。また、図3に示すように、MHタンク3へ貯蔵させる水素の圧力を1MPaにすると、MHタンク3の内部温度は58℃前後になる。また、MHタンク3へ貯蔵させる水素の圧力を3MPaにすると、内部温度は75℃前後になる。
発生した熱は、MHタンク3から燃料電池1に適当な伝熱手段により伝達され、燃料電池1が暖機される。燃料電池1への熱の伝達は、伝導や輻射、対流等により行うことができる。また、直接加熱でも間接加熱でも熱を伝達することができる。
尚、MHタンク3の内部温度は、図3に示すように圧力を印加すると急激に上昇して最高温度を記録し、その後の温度上昇はなく略一定の温度を維持する(温度を維持している間も水素吸蔵合金は水素を連続的に吸蔵する)。また、水素吸蔵合金は、ボリューム全体(マス全体)として発熱する。このことから、MHタンク3を、いわば水素吸蔵熱式ヒータ(MHヒータ)と考えれば、このMHヒータは、燃焼式ヒータや電気式ヒータと異なり、加熱時のオーバーシュートがなく、しかも、極めて短時間に最高温度に到達する特性を有するといえる。したがって、MHヒータは、取り扱いが極めて容易であると共に迅速な暖機を行うことができる。また、図2および図3から容易に解るように、印加する圧力により、温度を制御することができる。したがって、この点からも取り扱いが極めて容易である。尚、発生する熱量は、MHタンク3が内蔵する水素吸蔵合金の種類および量に比例する。
ちなみに、図2は、(BCC(Body Centered Cubic)系)の水素吸蔵合金の温度−圧力特性を示すものでもある。(BCC系の水素吸蔵合金の場合、MHタンク3の内圧が3MPaになると水素吸蔵合金100g当り約2.4g(約1.2mol)の水素を吸蔵する。また、発熱量は約15kJ/g水素、つまりBCC系の水素吸蔵合金が1gの水素を吸蔵すると15kJの熱が発生する。水素吸蔵合金としては、例えば以下のものを使用することができる。
AB2型合金(ラーベス相合金); TiCr2、(Zr,Ti)(Ni,Mn,V,Fe)2・・
AB5型合金; LaNi5、MnNi5・・
BCC系合金; Ti−V−Cr、Ti
尚、水素吸蔵合金は、水素の吸蔵/放出を可逆的に行うことができる。このため、水素吸蔵合金に吸蔵された水素は、燃料電池1の燃料として使用することができる。水素吸蔵合金は、水素を放出すると再度の水素吸蔵が行えるようになる。もちろん、再度の水素吸蔵の際にも熱が発生する。
次に、本発明の燃料電池システムを燃料電池電気自動車(以下「車両」という)に適用した実施形態を説明する。
≪実施形態≫
<実施形態の構成>
以下に述べる実施形態では、水素吸蔵合金に水素を吸蔵させる際に発生する熱で燃料電池を暖機しつつ、燃料電池に水素を供給して発電を行う構成を採っている。図4は、実施形態の燃料電池システムが搭載される車両の一部透視側面図である。図5は、実施形態の燃料電池システムのブロック構成図である。
まず、車両を説明する。図4に示す車両Vは、FCボックスFCBが乗員席の床下に搭載されている。FCボックスFCBの中には、燃料電池10(図5参照)が収納されている。また、走行モータMが車両Vの前部に搭載されている。また、高圧水素タンク21およびMHタンク31が車両Vの後輪の上方に横置きで搭載されている。尚、MHタンク31が発生した熱は、図示しない燃料電池10の1次冷却系配管内を流れる冷却液により、燃料電池10を暖機する。また、燃料電池10は、高圧水素タンク21およびMHタンク31と図示しない水素供給ラインにより接続されている。
また、燃料電池10は、空気供給配管により空気圧縮機と接続されている(図示外)。そして、燃料電池10は、空気中の酸素と水素とを電気化学的に反応させて発電する。発電した電力は走行モータMに供給され、車両Vを走行させる。ちなみに、ここでの燃料電池10は、固体高分子型であるPEM型の燃料電池であり、電解膜を挟んでアノード極およびカソード極等から構成される膜電極構造体(MEA)をセパレータで更に挟み込んだ単セルを、例えば300枚程度積層した積層構造を有している(以上図示外)。尚、PEMとは、Proton Exchange Membraneの略であり、MEAとは、Membrane Electrode Assemblyの略である。
次に、図5を参照して、燃料電池システムF1を説明する。実施形態の燃料電池システムF1は、燃料電池10、水素供給系20、暖機系30、空気供給系40、電力消費系50および制御装置(緊急時再生手段を含む)60等から構成される。
燃料電池10は、前記説明した通りPEM型の燃料電池であり、燃料ガスたる水素と酸化剤ガスたる空気が供給されることにより発電する。燃料電池10が発電した電力は、VCU(Voltage Control Unite)51を介して取り出される。VCU51は、リミッタ機能を持った電圧調整器であり、燃料電池10から取り出す電流を制限する。VCU51を介して取り出された電流は、走行モータM(図4参照)や補機等の負荷52に供給される。尚、VCU51による取出し電流量は、図示しないスロットルペダルの踏込み量θthや補機消費電力等に基づいて設定される。
水素供給系20は、燃料電池10に燃料ガスたる水素を供給する役割を担っている。そのため、燃料電池10の上流側には、高圧水素タンク21の他、第1遮断弁(遮断弁)22、1次レギュレータ23、2次レギュレータ24、第2遮断弁25、エジェクタ26が設置されている。また、燃料電池10の下流側には、パージ弁27が設置されている。燃料電池10までの機器は、燃料配管(水素供給ライン)29a〜29fで接続されており、高圧水素タンク21からの水素は、第1遮断弁22、1次レギュレータ23、2次レギュレータ24、第2遮断弁25、エジェクタ26を介して、燃料電池10(アノード極)に供給される。また、燃料電池10(アノード極)から排出されたガス(以下、排出水素と記す)は、燃料配管29gを介してエジェクタ26に戻り、燃料電池10に再び導入(再循環)される。また、長時間にわたる再循環により不純物濃度が高くなった排出水素は、燃料配管29hおよびパージ弁27を介して、水素供給系20の外部に排出される。
高圧水素タンク21は、カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)等を素材とする軽量タンクであり、耐圧性および気密性が確保されている。高圧水素タンク21は、例えば35MPaの最高圧力で水素が充填されている。本実施形態では、高圧水素タンク21がいわば燃料タンクの役割も担う。
第1遮断弁22は、電磁作動のON−OFF弁である。第1遮断弁22は、制御装置60からの信号に基づいて開閉し、閉鎖状態で高圧水素タンク21から供給される水素の流通を遮断する一方、開放状態で高圧水素タンク21からの水素を下流側に供給する。
1次レギュレータ23は、高圧水素タンク21から供給される水素を減圧すると同時に第1の所定圧(例えば、1MPa:以下、第1調整圧PH1と記す)に調整する減圧弁である。また、2次レギュレータ24は、1次レギュレータ23で減圧された水素を更に減圧すると同時に第2の所定圧(例えば、0〜0.5MPa:以下、第2調整圧PH2と記す)に調整する減圧弁である。2次レギュレータ24は、カソード極の入口圧力PCをパイロット圧としており(図5参照)、MEAに作用する応力すなわちアノード極とカソード極との極間差圧を小さくするように作動する。尚、第1調整圧PH1および第2調整圧PH2は、それぞれ対応する圧力センサPH1,PH2により検出され、これらの検出信号が制御装置60に送信される。
第2遮断弁25は、電磁作動のON−OFF弁である。第2遮断弁25は、制御装置60からの信号に基づいて開閉し、閉鎖状態で燃料電池10への水素の流通をエジェクタ26の上流側で遮断する。
エジェクタ26は、2次レギュレータ24からの水素を燃料電池10のアノード極に供給する。また、アノード極に向かう水素の流れを利用して、燃料ガスとして使用された後のガス、つまり燃料電池10のアノード極から排出された排出水素を吸引して再循環させる水素循環ポンプとしての役割を担う。尚、排出水素を再循環させることで、燃料電池システムの燃費が向上する。
パージ弁27は、電磁作動のON−OFF弁である。パージ弁27は、制御装置60からの信号に基づいて開閉し、閉鎖状態で排出水素をエジェクタ26に向かわせる一方、開放状態で排出水素を系外に排出する。
水素供給系20において、燃料電池10のアノード極の圧力(アノード極入口の圧力)PAが圧力センサPAにより検出される一方、カソード極の圧力(カソード極入口の圧力)PCが圧力センサPCにより検出され、これら検出信号が制御装置60に送信される。
暖機系30は、MHタンク31で発生した熱を燃料電池10に供給して燃料電池10を暖機する役割を担う。暖機系30は、MHタンク31の他、第3遮断弁32、3方電磁弁33、循環ポンプ35、水素配管36a,36b、電気ヒータ(加熱手段)37、補助ポンプ38、および冷却液配管39a〜39hから構成される。尚、本実施形態の暖機系30は、燃料電池10の1次冷却系C1を利用する構成となっている。1次冷却系C1では、発電により燃料電池10が発生した熱も暖機系30を介して系外に放出され、燃料電池10が冷却(所定温度に保持)される。
暖機系30は、水素が通流する系(暖機水素系)と、燃料電池10の冷却液が通流する系(暖機冷却液系)と、MHタンク31を加熱する系(再生加熱系)とを有している。暖機水素系は、MHタンク31、第3遮断弁32、および水素配管36a,36bから構成される。一方、暖機冷却液系は、MHタンク31(後記するジャケット部分)、3方電磁弁33、循環ポンプ35、燃料電池10、燃料電池10の1次冷却系C1の熱交換器HEおよびサーモスタット弁TV等、並びにこれらを接続する冷却液配管39a〜39hから構成される。また、再生加熱系は、電気ヒータ37、および補助ポンプ38から構成される。尚、符号C2は2次冷却系である。以下、暖機系30を構成する主要な機器を説明する。
MHタンク31は、樹脂製のタンクよりも耐熱性があり熱伝導率もよいアルミニウム合金を材質とした耐圧気密タンクであり、その内部には水素吸蔵合金が充填されている。MHタンク31は、例えば3〜5MPaの最高圧力で水素を吸蔵することができる。また、MHタンク31の外側は水冷ジャケットで覆われており、ジャケット内を燃料電池10の冷却液が通流する。したがって、水素吸蔵合金が水素を吸蔵する際に発生する熱は、燃料電池10の冷却液に伝達され、この冷却液が燃料電池10を循環することにより燃料電池10の暖機が行われる。ちなみに、水素吸蔵合金の充填量(MHタンク31の内容積に比例)は、暖機に要する熱量に基づいて設定される。
第3遮断弁32は、電磁作動のON−OFF弁である。第3遮断弁32は、制御装置60からの信号に基づいて開閉し、閉鎖状態で、1次レギュレータ23の下流側の燃料配管29cとMHタンク31との間での水素の流れを遮断する一方、開放状態で、燃料配管29cとMHタンク31との間での水素の流れを許容する。第3遮断弁32は、通常は閉鎖状態であるが、MHタンク31に水素を供給して熱を発生する際とMHタンク31から水素を放出させる際(水素吸蔵合金を再生する際)とに開放状態になる。
3方電磁弁33は、電磁作動の流路切換弁である。3方電磁弁33は、制御装置60からの信号に基づいて作動し、冷却液配管39bと冷却液配管39cとを連通させる第1ポジションと、冷却液配管39h(バイパス配管)と冷却液配管39cとを連通させる第2ポジションとをとる。3方電磁弁33が第1ポジションである場合、冷却液は、燃料電池10から冷却液配管39aを介してMHタンク31に流入した後、冷却液配管39b,39cを介して循環ポンプ35に流入する。また、3方電磁弁33が第2ポジションである場合、冷却液は、燃料電池10から冷却液配管39a,39h,39cを介して循環ポンプ35に流入し、MHタンク31をバイパスすることになる。
循環ポンプ35は、燃料電池10の1次冷却系C1の冷却液を循環させるポンプの役割を担う。この循環ポンプ35により、冷却液は、MHタンク31(ジャケット部分)、循環ポンプ35、サーモスタット弁TV(熱交換器HE)、燃料電池10の順に循環する。尚、冷却液は、純水にエチレングリコール等、氷点(凍結温度)を下げる物質を添加したものである。
再生加熱系を構成する電気ヒータ37は、図示しない電気二重層キャパシタや二次電池(ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等)を電源としており、制御装置60からの信号に基づいて起動(発熱)し、熱媒体(本実施形態では、1次冷却系C1の冷却液)を介してMHタンク31を加熱する。電気ヒータ37は、燃料電池10の暖機途中(MHタンク31への水素導入中)等にイグニッションスイッチがOFFされた場合にも、MHタンク31からの水素の放出(水素吸蔵合金の再生)を可能とする手段である。
補助ポンプ38は、電気ヒータ37と同様に電気二重層キャパシタや二次電池を電源としており、制御装置60からの信号に基づいて起動し、MHタンク31と電気ヒータ37との間で冷却液を循環させる。
暖機系30における冷却液の2箇所の液温TIN,TOUTは、温度センサTIN(MHタンク31の入口側),TOUT(MHタンク31の出口側)により検出され、これらの検出信号が制御装置60に送信される。また、MHタンク31の内圧PMHは、圧力センサPMHにより検出され、この検出信号が制御装置60に送信される。
暖機系30は、MHタンク31で発生した熱を奪って燃料電池10を暖機する他、後記する再生時には、燃料電池10で発生した熱をMHタンク31に与えて水素吸蔵合金が吸蔵した水素の放出を促す役割を担う。水素吸蔵合金は、水素を放出すると吸熱して温度が下がり、水素の放出を行えなくなるからである。尚、再生時には、冷却液がMHタンク31により冷却されるため、燃料電池10の1次冷却系C1,2次冷却系C2の負荷が低減される。つまり、再生時には、燃料電池10の冷却性能(能力)が向上する。
空気供給系40は、燃料電池10に酸化剤ガスたる空気を供給する役割を担う。このため、空気圧縮機41を有する。空気圧縮機41は、モータにより駆動されるスーパーチャージャ等であり、制御装置60からの信号によりモータの回転速度が制御される。ちなみに、モータの回転速度を速くすると、燃料電池10のカソード極に供給される空気の量が多くなる。尚、燃料電池10に供給される空気は、図示しない加湿器により加湿される。また、燃料電池10から排出されたオフガスは、加湿器を通流して燃料電池10に供給される空気を加湿した後、系外に放出される。
電力消費系50は、前記説明した通りVCU51および負荷(車両駆動用モータや灯火類等)52等から構成される。
制御装置60は、スロットルペダルの踏込み量θthや各種圧力P、各種温度T、補機消費電力量等に基づいて燃料電池10の目標発電量を設定する役割を担う。また、制御装置60は、目標発電量に基づいて燃料電池10に供給する空気の量(空気圧縮機41のモータ回転速度)を設定する役割を担う。また、制御装置60は、目標発電量(水素消費量に比例)およびMHタンク31の内圧PMに基づいて、MHタンク31から燃料電池10に供給する水素の量を設定する役割を担う。尚、制御装置60は、燃料電池10の状態(運転温度等)に基づいて目標発電量に制限を加え、燃料電池10からの取出し電流量を設定する役割を担う。VCU51はこの取出し電流量に基づいて燃料電池10から電流を取り出す。
<始動時制御>
次に、図6のフローチャートを参照して、本実施形態における燃料電池の始動時制御の手順を詳細に説明する(図5を適宜参照)。
運転者により車両V(図4参照)のイグニッションスイッチ(図示せず)がON状態にされると、制御装置60は、図6に示す始動時制御を実行する。制御装置60は、先ずステップS1で燃料電池システムF1のシステムチェックを行い、システムに異常があると判定した場合(No)にはステップS2の異常時処理へ移行する。ステップS1で異常がないと判定した場合(Yes)、制御装置60は、ステップS3で燃料電池10の温度TFCが暖機要求温度T1(例えば、0℃)より低いか否かを判定し、この判定がNoであればステップS4で通常時始動制御に移行する。尚、燃料電池10の温度TFCは、暖機系30における冷却液の液温TINとしてもよいし、燃料電池10の装置温度を温度センサで検出してその検出結果を用いるようにしてもよい。
燃料電池10の温度TFCが暖機要求温度T1より低く、ステップS3の判定がYesになった場合、制御装置60は、ステップS5で、第1遮断弁22および第3遮断弁32を開放し、第2遮断弁25を閉鎖し、更にインストルメントパネル等に設置された暖機警告灯(図示せず)を点灯させる。
これにより、第1遮断弁22、1次レギュレータ23、第3遮断弁32を介して、高圧水素タンク21からMHタンク31に水素(暖機用の水素)が供給される。すると、MHタンク31の内圧が高まり、水素吸蔵合金が水素を吸蔵して発熱する。この発熱は急激に起こり、直ちにMHタンク31の内部温度が上昇するが、前記した通り温度がオーバーシュートすることはない(図3参照)。また、運転者は、暖機警告灯の点灯により、燃料電池10が暖機中であることを認識できる。尚、この段階では、第2遮断弁25が閉じられているため、燃料電池10に水素は供給されない。
次に、制御装置60は、ステップS6で、3方電磁弁33を第1ポジションにするとともに、燃料電池10の1次冷却系C1の冷却液循環ポンプを兼ねる暖機系30の循環ポンプ35を起動する。これにより、燃料電池10には、MHタンク31で発生した熱が冷却液を介して供給され、燃料電池10の温度が速やかに上昇し始める。
次に、制御装置60は、ステップS7で、MHタンク31の入口側の液温TIN(すなわち、燃料電池10の下流側の液温)が運転開始温度T2(例えば、30℃)を超えたか否かを判定し、この判定がNoである間は制御インターバル毎にステップS7の判定を繰り返す。
MHタンク31の入口側の液温TINが運転開始温度T2を超え、ステップS7の判定がYesになると、制御装置60は、ステップS8で、第2遮断弁25の開放と空気圧縮機41の起動とを行う。これにより、燃料電池10は、アノード極に水素が供給される一方でカソード極に空気が供給されて運転(発電)を開始する。この際、2次レギュレータ24は、カソード極の入口圧力PCをパイロット圧とするため、燃料電池10に空気圧縮機41の吐出圧に応じた圧力(例えば、0.5MPa)に調整された水素を供給する。尚、燃料電池10の目標発電量は、スロットルペダルの踏込み量θth(すなわち、車両Vの走行(走行用モータの運転)に消費される電力)の他、空気圧縮機41のモータや循環ポンプ35等の補機類の駆動に消費される電力に相当する量となる。そして、目標発電量が増加するに従い、燃料電池10に供給する空気の量(空気圧縮機41のモータ回転速度)が増大する。
次に、制御装置60は、ステップS9で、第3遮断弁32を閉鎖してMHタンク31と水素配管36aとの連通を遮断する。これにより、MHタンク31への水素の供給が断たれ、水素吸蔵合金による水素の吸蔵が停止する。尚、燃料電池10の温度は、水素吸蔵合金による水素の吸蔵が停止した後、MHタンク31との熱交換や運転に伴う自己発熱によって所定の温度(例えば、80℃)まで上昇を続ける。また、MHタンク31の温度は、水素吸蔵合金の水素の吸蔵に伴う発熱が停止した後、燃料電池10の冷却液温と平衡することになる。
次に、制御装置60は、ステップS10で、MHタンク31の内圧PMHが第1調整圧PH1を超えたか否か、あるいは、MHタンク31の入口側の液温TIN(すなわち、燃料電池10の温度)が再生開始温度T3(例えば、50℃)を超えたか否かを判定し、これらの判定が共にNoである間は制御インターバル毎にステップS10の判定を繰り返す。
MHタンク31の内圧PMHが第1調整圧PH1を超えて、あるいは、MHタンク31の入口側の液温TINが再生開始温度T3を超えて、ステップS10の判定がYesになると、制御装置60は、ステップS11で第3遮断弁32を開放する。ここで、ステップS10における再生開始温度T3は、MHタンク31の内圧PMHが第1調整圧PH1を超えるであろう温度に設定してある。
すると、MHタンク31からは水素吸蔵合金が吸蔵していた水素が放出され、この水素が、水素配管36b,36aを介して燃料配管29cに流入する。燃料配管29cに流入した水素は、高圧水素タンク21からの水素とともに、2次レギュレータ24や第2遮断弁25、エジェクタ26を介し、燃料電池10に流入して消費される。尚、水素吸蔵合金は、水素を放出する(再生する)際に熱を吸収する(吸熱反応を起こす)が、冷却液を介して燃料電池10の運転による熱が供給されるため、燃料電池10の運転中は再生が継続される。
つまり、燃料電池の暖機時には、第1の圧力に減圧された高圧水素を水素吸蔵合金タンクに導入させ、水素吸蔵合金の水素吸蔵熱によって燃料電池の暖機を行い、水素吸蔵合金の再生時には、燃料電池の運転(発電)に伴って発生する熱によって水素吸蔵合金タンクを加熱することで、水素吸蔵合金タンク内の圧力を第1の圧力より高い圧力まで上昇させて水素を放出させる。このように、水素吸蔵合金タンク内の圧力を燃料電池の暖機時には第1調整圧PH1とし、水素吸蔵合金の再生時には第1調整圧PH1より高い圧力となるまで加熱することで水素配管を共有でき、簡易な構成の燃料電池システムを提供できるのである。
第3遮断弁32を開放した後、制御装置60は、ステップS12で、MHタンク31の入口側の液温TINと出口側の液温TOUTとの差が所定の再生終了閾値TrEND(例えば、1℃)より小さいか否かを判定し、この判定が共にNoである間は制御インターバル毎にステップS12の判定を繰り返す。MHタンク31内では、水素吸蔵合金の吸熱反応により燃料電池10からの冷却水の熱が奪われる。ところが、再生が進行して水素の放出が行われなくなると吸熱反応が止み、MHタンク31の入口側の液温TINと出口側の液温TOUTとの差がなくなってくる。
再生が終了してステップS12の判定がYesとなると、制御装置60は、ステップS13で、第3遮断弁32を閉鎖するとともに前記の暖機警告灯を消灯して始動時制御を終了する。
次に、図7のタイムチャートを参照して、実施形態の燃料電池システムF1の始動時制御における動作を説明する(図5を適宜参照)。図7は、燃料電池システムF1の起動時における制御タイムチャートである。
車両V(図4参照)の停止時において、第1遮断弁22、第2遮断弁25および第3遮断弁32は閉鎖状態にある。また、循環ポンプ35は停止している。燃料電池10の冷却液温は暖機を開始する所定温度である0℃以下である。また、MHタンク31の内圧はほぼ0kPa(ゲージ圧)である。もちろん、燃料電池10は発電を行っていない。
この状態から車両V(図4参照)のイグニッションスイッチがON状態となる。これにより図6に示す制御が実行され、システム異常がなくかつ冷却液温が0℃以下の場合は燃料電池10の暖機へ移行する(System Check Clear)。
すると、図6に示す始動時制御が実行され、第1遮断弁22および第3遮断弁32が開いて開放状態になると同時に、循環ポンプ35が起動する。これにより、MHタンク31に水素が供給され、MHタンク31の内部温度と内圧とが上昇する。また、冷却液温が上昇し、昇温した冷却液が暖機系30(1次冷却系C1)を循環することにより、MHタンク31で発生した熱が燃料電池10を暖機する。尚、図7のタイムチャートでは、この時点(System Check Clear時点)での発電は行わない。つまり、空気圧縮機41は起動していない。
ちなみに、MHタンク31に水素が供給されると、MHタンク31の温度は直ぐに最高温度に達し、その後は、一定の温度を維持する。また、MHタンク31の内圧は、しばらくすると高い圧力で一定になる。この間も暖機は継続される。
図7のタイムチャートでは、暖機完了と同時に第1遮断弁22を開放して燃料電池10による発電を開始し(Stack発電開始)、同時に第3遮断弁32を閉じて閉鎖状態にする。この際、前述した電気二重層キャパシタや二次電池を利用して空気圧縮機41等、必要な補機を起動する。すると、水素と酸素が燃料電池10に供給される。そして、燃料電池10の電圧〔解放電圧〕が上昇した時点で、VCU51を介して空気圧縮機41等へ負荷電流を取り出す。そして、冷却液温が再生開始温度である50℃に達すると、第3遮断弁32を再び開放して水素吸蔵合金から水素を放出させ始める。
このように、実施形態によれば、水素吸蔵合金が水素を吸蔵する際に発生する熱を利用して燃料電池10を確実に暖機することができるとともに、暖機後に水素吸蔵合金が吸蔵した水素を放出させて燃料ガスとして発電に供することができる。また、水素吸蔵合金に水素を放出させることにより、次回も低温時の暖機を行うことができる。また、暖機しつつ発電を行うので燃料電池10も自己発熱し、暖機が迅速に行われる。また、高圧水素タンク21から水素をMHタンク31に供給するため、高圧水素タンク21に水素を充填すれば暖機用の水素も充填されることになり、暖機専用の水素タンクを設ける必要がなくなる。
ここで、MHタンク31の温度は、水素貯蔵合金の温度−圧力特性(MHタンク31の内部温度−圧力特性図;図2参照)に従う。また、水素吸蔵合金の種類及び印加される水素の圧力が同一であれば、熱の発生量は水素吸蔵合金の量に比例する。よって、水素吸蔵合金の種類、MHタンク31に印加される水素の圧力及び水素吸蔵合金の量をパラメータとして、MHタンク31(いわば水素吸蔵熱式ヒータ(MHヒータ))の特性を自由に設定することができる。一方、吸蔵した水素を放出する際は、その放出量や吸熱量を水素吸蔵合金の種類、圧力、温度をパラメータとして自由に放出量を制御することができる。
ところで、MHタンク31では、その内圧を無制限に高くしても、水素吸蔵合金の吸蔵量(水素の貯蔵量)は余り増えないが、耐圧性を高めるべくMHタンク31の肉厚を厚くしなければならなくなる。この場合、MHタンク31の内部で発生した熱が取り出し難くなると同時に、MHタンク31の重量も増えてしまう。また、水素吸蔵合金が吸蔵した水素を放出する場合についていえば、肉厚が厚くなるとMHタンク31の内部に熱を供給しづらくなる。これらの点から、MHタンク31の内圧(貯蔵圧)が1〜5MPa(あるいは、1〜3MPa)であれば、効率的に水素を吸蔵することができ、MHタンク31の肉厚も必要以上に厚くしないで済み、伝熱の点からも重量の点からも好ましい。
<緊急時再生制御>
次に、燃料電池10の暖機途中あるいは水素吸蔵合金の再生途中に、運転者がイグニッションスイッチをOFF状態にした場合に水素吸蔵合金を再生する制御の手順を述べる。
制御装置60は、前記の始動時制御と並行して、図8にそのフローチャートを示す緊急時再生制御を実行する。この制御は、いわゆる割り込み制御であり、イグニッションスイッチが暖機途中(始動時制御のステップS5〜ステップS9)あるいは再生途中(始動時制御のステップS11あるいはステップS12)にOFF状態にされることによって開始される。
制御装置60は、緊急時再生制御を開始すると、先ず、図8のステップS21で、現時点が始動時制御のステップS5〜ステップS9のいずれかを処理中であるか否かを判定する。そして、この判定がNoであれば、制御装置60は、次にステップS22で、現在が始動時制御のステップS11あるいはステップS11を処理中であるか否かを判定する。そして、この判定もNoであれば、制御装置60は、イグニッションスイッチが暖機開始前あるいは再生終了後にOFF状態になったと判定し、ステップS23で通常時運転停止制御に移行する。
運転者がイグニッションスイッチをON状態にした後、走行開始前に車両Vの運転を中止してイグニッションスイッチをOFF状態にする、あるいは、ごく短時間走行した後にイグニッションスイッチをOFF状態にすると、ステップS21あるいはステップS22の判定がYesになる。
制御装置60は、ステップS21の判定がYesになると、ステップS24で、先ず始動時制御におけるステップS9までの処理を継続して実行し、燃料電池10の運転開始とMHタンク31への水素の導入停止とを行う。
次に、制御装置60は、ステップS25で、3方電磁弁33を第2ポジションとする一方、電気ヒータ37と補助ポンプ38とを起動する。これにより、燃料電池10からの冷却液は、冷却液配管39a,39h,39cを介して循環ポンプ35に流れる(バイパスされる)ことになり、燃料電池10とMHタンク31との間の熱交換が停止される。そして、電気ヒータ37により加熱された冷却液は、補助ポンプ38によりMHタンク31に流入することにより、MHタンク31の温度を上昇させる。ここで、燃料電池10とMHタンク31との間の熱交換を停止させる理由は、電気ヒータ37により1次冷却系C1の冷却液全体を加熱することによる電気エネルギーの消費増大や再生に要する時間の増大を防止することにある。
次に、制御装置60は、ステップS26で、第1遮断弁22を閉鎖し、高圧水素タンク21から水素供給ラインへの水素の供給を停止させる。これにより、燃料電池システムF1では、高圧水素タンク21からの新たな水素供給が無い状態で、燃料電池10が低負荷運転(空気圧縮機41のモータや循環ポンプ35等の電力をまかなう運転)を続けることになる。その結果、1次レギュレータ23の下流側の燃料配管29cを含めて水素供給ラインの圧力が急速に低下する。
次に、制御装置60は、ステップS27で、MHタンク31の内圧PMHが緊急時再生開始圧力PL(例えば、0.3MPa)を超えたか否か、あるいは、MHタンク31の出口側の液温Toutが緊急時再生開始温度T4(例えば、30℃)を超えたか否かを判定し、この判定がNoである間は制御インターバル毎にステップS27の判定を繰り返す。尚、緊急時再生開始温度T4は、水素吸蔵合金の放出プラトー圧が緊急時再生開始圧力PLとなる温度である。
電気ヒータ37の加熱によりMHタンク31の内圧PMHが緊急時再生開始圧力PLを超えて、あるいは、MHタンク31の出口側の液温Toutが緊急時再生開始温度T4を超えて、ステップS27の判定がYesになると、制御装置60は、ステップS28で第3遮断弁32を開放する。
これにより、MHタンク31からは水素吸蔵合金が吸蔵していた水素が放出され、この水素が、水素配管36b,36aを介して燃料配管29cに流入する。燃料配管29cに流入した水素は、2次レギュレータ24や第2遮断弁25、エジェクタ26を介し、燃料電池10に流入して消費される。尚、水素吸蔵合金は、水素を放出する際に熱を吸収するが、冷却液を介して電気ヒータ37からMHタンク31に熱が供給されるため、水素の放出(水素吸蔵合金の再生)が継続される。
次に、制御装置60は、ステップS29で、MHタンク31の出口側の液温Toutが緊急時再生終了温度T5(例えば、40℃)を超えたか否かを判定し、この判定がNoである間は制御インターバル毎にステップS29の判定を繰り返す。緊急時再生終了温度T5は、水素吸蔵合金が緊急時再生開始圧力PLの下で水素の放出を終了する温度である。
MHタンク31の出口側の液温Toutが緊急時再生終了温度T5を超え、ステップS29の判定がYesになると、制御装置60は、ステップS30で、先ず燃料電池10の運転を停止する。次に、制御装置60は、ステップS31で、3方電磁弁33を第1ポジションとする一方、電気ヒータ37と補助ポンプ38とを停止する。次に、制御装置60は、ステップS32で、第3遮断弁32を閉鎖するとともに前記の暖機警告灯を消灯して緊急時再生制御を終了する。
一方、前記のステップS22の判定がYesになった場合、制御装置60は、ステップS33で始動時制御におけるステップS13までの処理を継続して実行した後、ステップS34で燃料電池10の運転を停止して緊急時再生制御を終了する。この場合、燃料電池10の温度が十分に高いため、電気ヒータ37による加熱を行うことなく、MHタンク31内の水素吸蔵合金を再生することができるためである。
次に、図9のタイムチャートを参照して、実施形態の燃料電池システムF1の緊急時再生制御における動作(ステップS25以降)を説明する(図5を適宜参照)。図9は、燃料電池システムF1の緊急時再生制御における制御タイムチャートである。
燃料電池10の暖機途中に、運転者がイグニッションスイッチをOFF状態にすると、制御装置60は、始動時制御におけるステップS9までの処理を継続して実行する。ステップS9までの処理を終えた時点で、燃料電池10は運転中であり、MHタンク31内の水素吸蔵合金は水素の吸蔵を終えている。
この状態から、ステップS26の緊急時再生制御が開始されると、電気ヒータ37により加熱された冷却液がMHタンク31に流入し、MHタンク31の内部温度と内圧とが上昇を始める。また、第1遮断弁22が閉鎖されることにより、燃料電池10が低負荷運転となり、1次冷却系C1の冷却液温が低下する。
MHタンク31の内圧PMHが緊急時再生開始圧力PLを超えると(あるいは、MHタンク31の出口側の液温Toutが緊急時再生開始温度T4を超えると)、第3遮断弁32が開放され、水素吸蔵合金が再生(水素の放出)を開始する。そして、水素吸蔵合金は、吸蔵していた水素の放出を終えると、電気ヒータ37から供給される熱を吸収しなくなる。
これにより、MHタンク31の内部温度が緊急時再生終了温度T5を超えて上昇し、燃料電池10の運転停止や、電気ヒータ37および補助ポンプ38の停止、第3遮断弁32の閉鎖等が行われて、緊急時再生制御が終了する。これにより、冷却液温やMHタンク31の内部温度は外気温まで低下する。
このように、本実施形態では、燃料電池10の暖機途中あるいは水素吸蔵合金の再生途中に、イグニッションスイッチがOFF状態にされても、水素吸蔵合金の再生が行われることになり、次回の暖機の際の発熱量が確実に確保できるようになる。
尚、本発明は前記した実施形態に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。例えば、実施形態では、PEM型の燃料電池10を例にして説明したが、PEM型に限定されることはない。また、燃料電池電気自動車を例に説明したが、船舶や定置発電装置用の燃料電池システム等に本発明を適用することができる。また、実施形態では、暖機を燃料電池10の冷却液を加熱することで行うようにしたが、燃料ガスおよび/または空気を加温し、これを熱媒体として暖機を行う構成としてもよいし、水素吸蔵合金が水素を吸蔵する際に発生する熱をFCボックスFCB(図4参照)の中に導き、FCボックスFCBを暖機することにより燃料電池10の暖機を行うようにしてもよい。また、MHタンク31を車両Vの後部に搭載する構成としたが、FCボックスFCB内に搭載する構成としてもよい。また、燃料ガスおよび/または空気を加温し、これを熱媒体として暖機する構成としてもよい。また、水素配管を複数組設け、水素供給ラインからMHタンク31に水素を導入する経路と、MHタンク31から前記水素供給ラインに水素を放出させる経路とを分けるようにしてもよい。
また、実施形態では、緊急時再生制御において、緊急時再生手段が電気ヒータ37を用いてMHタンク31を加熱するようにしたが、例えば、MHタンク31内の水素を、水素供給ラインで低圧となる部位や、水素供給ライン以外(例えば、大気)に放出するようにしてもよい。また、電気ヒータ37は、冷却液以外の熱媒体を介して燃料電池10を加熱するようにしてもよいし、MHタンク31内に埋設するようにしてもよい。また、緊急時再生制御における燃料電池10とMHタンク31間の冷却液流路の切換えを3方電磁弁以外の切換手段により行うようにしてもよいし、冷却液流路の切換えを行わないようにしてもよい。また、実施形態では、緊急時再生制御時に、電気ヒータ37によるMHタンク31の加熱と、第1遮断弁22の閉鎖による高圧水素タンク21から水素供給ラインへの水素の供給停止とを行うようにしたが、いずれか一方のみを行うようにしてもよい。また、水素供給ラインや水素配管、冷却液配管における圧力センサや温度センサの設置部位は、始動時制御や緊急時再生制御の具体的方法に応じて適宜変更あるいは追加等を行ってもよい。また、始動時制御や緊急時再生制御における圧力や温度の判定閾値は、水素吸蔵合金の特性等に応じたものであり、実施形態での例示に限られず適宜設定可能である。