JP3785889B2 - 分電盤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路遮断器を差込接続する分電盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の分電盤としては、特開平11−69530号公報に見られるものがある。この従来例の分電盤では回路遮断器を斜め方向から導電バーに差込んでいるので差込力を低減することができるという特徴がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来例の分電盤は回路遮断器を差し込む際の差込力低減という点では利点があるものの、回路遮断器を斜め方向からも導電バーに差込んでいるため、受け刃が変形する恐れがあった。この場合、導電バーとの差込接続力が弱くなり、発熱を引き起こす恐れがある。
【0004】
本発明は、かかる事由に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、回路遮断器の受け刃が変形しにくく、もって導電バーを差込接続したときの発熱を抑えることができる分電盤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、上下方向に並設した複数の導電バーと、これらの導電バーを支持するバー取付部材と、一方側に導電バーの両端長手方向に対して短手の幅方向から差込接続する受け刃を配設するとともに他方側に引掛部を形成して導電バーの幅方向の少なくとも一方側に並設される複数の回路遮断器と、これらの回路遮断器の引掛部を引掛ける被引掛部を有して回路遮断器を取着するべースと、を備えた分電盤において、 前記バー取付部材又は最上段の導電バーに回路遮断器の一方側上面に臨む係止部を有した係止部材を取着するとともに前記回路遮断器の一方側上面に受け刃に導電バーを差し込んだ状態で係止部に係止されて受け刃が導電バーから外れる方向の移動を防止する被係止部を設け、前記引掛部及び被引掛部は、導電バーを受け刃に差し込む直線方向に回路遮断器を移動させたときに係合して回路遮断器が上側にずれる方向の移動を防止する位置に形成されたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、、前記引掛部及び被引掛部は、回路遮断器を導電バー方向に移動させて前記被係止部が係止部に係止される以前に係合し合う位置に形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、前記被引掛部を回路遮断器の側面の下部に側方と下端とが開口した凹所内で前記係合時の回路遮断器の移動方向とは反対方向に凹ませた横凹部により形成し前記引掛部を前記ベース上に突設された逆L状の突起の水平片で形成し、該水平片の向きを前記係合時の回路遮断器の移動方向とは反対方向としていることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明では、請求項1乃至請求項3の何れかの発明において、前記引掛部及び被引掛部に、受け刃を導電バーに完全に接続したときに嵌合する凹凸嵌合部を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明では、請求項1乃至請求項4の何れかの発明において、前記べースの各回路遮断器における一方側に、各回路遮断器の側面を挟む位置決め突起を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明では、請求項1乃至請求項5の何れかの発明において、前記係止部材に各回路遮断器側に各々突出する弾性突出片を設け、該弾性突出片に前記係止部を形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明では、請求項6の発明において、前記係止部材に、弾性突出片の基端を連設させた回動支点部に基端が連設されて弾性突出片とは反対側に延出する操作片を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明では、請求項7の発明において、前記係止部材に、操作片に連設され、係止部材の係止部に回路遮断器の被係止部が係止された状態で、回路遮断器の一方側端面に当接する押出し片を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明では、請求項7又は請求項8の発明において、前記操作片に、押圧する治具の先端の位置決め部を形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明では、請求項1乃至請求項9の何れかの発明において、前記被係止部は、係止部に当接する最先端側から徐々に上方へ突出する傾斜状に形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明では、請求項1乃至請求項10の何れかの発明において、前記係止部材は、回路遮断器の並設方向において隣接する他の係止部材と互いに連結する連結部を両側部に形成していることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施形態により説明する。
(実施形態1)
図2、図3は本実施形態の分電盤1の例を示し、図1に分電盤1に配設される固定ベース7上に回路遮断器2を配設した状態の要部を示す。
【0017】
本例の分電盤1は、箱状のボディ10とこのボディ10の開口部に開閉自在に取り付けられるカバー11とで構成され、図3に示すようにボディ10の底部には主幹回路遮断器3及び複数の分岐回路遮断器である回路遮断器2を配設し、これら回路遮断器3、2の操作ハンドルHはカバー11の窓孔より外部に露出される。
【0018】
回路遮断器2は図3において、ボディ10内の片側において、上下2列に配設され、各列には6台が並設される。これらの上下2列間には上記の3つの導電バー31〜33が回路遮断器2の並設方向に延長するように配置される。
【0019】
図4は回路遮断器2,3をボディ10の底部に取り付けるための取付部を示しており、この取付部は、両側縁が図4、図5において上方向に折り曲げられた2枚の鉄板からなり、ボディ10の底部に図3において上下に間隔をあけて横方方に並行配設される基台4,4と、これら基台4,4間に橋絡するように配設される鉄板製の取付ベース5と、基台4,4間の間隙に対応するように凹ませた取付ベース5の中央凹部5B内に配設される樹脂製の導電バー用取付ベース6と、この取付ベース6の上と基台4上に被るように夫々配置された取付ベース5の側片5Aとに渡るように配設される回路遮断器固定用の樹脂製の固定ベース7と、基台4,4の一端部に側端部が固定されて側方に配置される鉄板製の主幹回路遮断器用固定ベース8とから成る。
【0020】
更に詳細に説明すると、基台4は図3に示すように一端に設けた長孔9を挿通した固定ねじ12によりボディ10の底部に固定される。
【0021】
取付ベース5は図5に示すように中央部をボディ10方向に凹ませ、この中央凹部5Bの両側より側方に延長した各側片5Aを基台4の両側の折り曲げ片4Aの端面上に載せ、各側片5Aに設けた挿通孔14を介して固定ねじ15を基台4側のねじ孔16に締結することで両側の基台4,4間に橋絡するように固定され、中央凹部5Bは基台4,4間に嵌まることになる。
【0022】
取付ベース6は上記中央凹部5B内に配置されるもので、底部には中央凹部5Bに穿設した丸孔17群に嵌まる円筒部18群を突出させてあって、円筒部18を丸孔17に嵌めることで位置決めされる。そして中央凹部5Bの両端開口より突出する部位の上側の中央には夫々中性極Nの導電バー31を支持するための支持ポスト13を一体突設してある。
【0023】
導電バー31は両端部に形成した取付片31aに穿設した挿通孔31bを介して固定ねじ37を支持ポスト13の上端部の凹部34に収納固定されるナット38に締結することで両端の支持ポスト13,13間に橋絡配置される。
【0024】
また両端の支持ポスト13,13間を結ぶ中央部の両側の平面部がL1,L2の電圧極の導電バー32.33を配置する配置部位となり、これらの配置部位の側方の上面には固定ベース7を支持するピン19を所定間隔で両端方向に一体立設してある。
【0025】
また両端の支持ポスト13,13間には導電バー32,33から一体に延長形成された脚片20,21からなる後述する回路遮断器接続部の内高い位置にある脚片21の支持用リブ22と、脚片20,21の基部28を沿わせるリブ23とを突設してある。
【0026】
導電バー32,33は固定ベース7,7が配設される前に、取付ベース6上の夫々の配置部位に配置固定される。
【0027】
導電バー32,33は同一形状に形成されており、対称配置されるようになっているもので、両端には固定ねじ24を挿通する挿通孔25が設けられ、固定ねじ24を挿通孔25を介して、取付ベース6の凹部26内に配置されるナット27に締結することで固持されるようになっている。
【0028】
導電バー32,33は配置されたときに内側となる側縁より回路遮断器2の配列個数に対応するように一定間隔で基部28を折り曲げにより立ち上がらせ、この基部28の上端の片側からはさらに外側方向に向けて脚片20を水平延長形成し、またこの脚片20に隣接する当該基部28の上端には水平片が内側方向に向くように逆L状に折り曲げた延長片を形成してある。そして上記脚片20とこの延長片の水平片たる脚片21が夫々回路遮断器2の一端側に設けた後述する電圧極用端子接続部に差し込み接続される回路遮断器接続部を構成する。
【0029】
固定ベース7は導電バー32,33を取付ベース6に配設した後に取付ベース6と取付ベース5の側片5A上に渡るよう配設される。この際固定ベース7の裏面より4カ所突出係止している係止爪29を側片5Aに形成している係止孔30に挿入係止して固定ベース7は固定される。
【0030】
この固定ベース7の上面には図11に示すように回路遮断器2の器体の両側面を挟み込むようにして位置決めをする位置決め突起35と、上記端子接続部を設けた一端部とは反対側の器体の他端部の両側面の下部に側方と下端とが開口した逆L状の凹所36に該凹所36の下面開口より挿入され、回路遮断器2の移動により水平片により構成される引掛部39を凹所36の横凹部により形成される被引掛部53に挿入して引掛部39の下面に形成した凹み嵌合部39aに被引掛部53の底部に形成した凸嵌合部53aを嵌合して引掛係止する逆L状の突起54とを配列する回路遮断器2数に対応して一体に突設してある。
【0031】
固定ベース8は基台4,4の一端部に一側部より突出させた固定片40を固定ねじ61で基台4,4の端部に固定し、他側部より突出させた固定片40’を固定ねじ61’でボディ10底部に固定することでボディ10内に配設され、その上面には主幹回路遮断器3を螺子固定する。
【0032】
主幹回路遮断器3の負荷側端子はL1、L2の電圧極及び中性極Nの導電バー44、45及び46を介して各導電バー32,33及び31に接続される。この接続は主幹回路遮断器3側の各導電バー32,33、31の端部に各導電バー44、45,46の端部を重ねて固定ねじ24,24,37により固定されることで行われる。
【0033】
また支持ポスト13,13間に橋絡配設された導電バー31の上面には、両側に配置される回路遮断器2の上面に臨む弾性突出片47を有した係止部材48(図6,図7参照)を取着してある。
【0034】
この係止部材48は合成樹脂成形品からなり、両側の夫々3台の回路遮断器2に対応するもので、導電バー31には2組配置されるようになっており、各係止部材48は図6に示すように下面両側に導電バー31の上面に載置する支持台49を一体に係止するとともに、支持台49間には導電バー31に穿設してある丸孔56に圧入される円柱状突起50を下面に2つ所定間隔で一体突設し、各支持台49と隣接する突起50間,そして両突起50,50間には夫々揺動自在に一端が連結片により支持された弾性突出片47を両側に3つずつ一体形成しある。そして、導電バー31に取り付けられた時に、夫々の弾性突出片47の先端部が正規位置に配置される回路遮断器2の内側位置の上面に臨むように突出するようになっており、夫々の先端部両側には回路遮断器2の内側位置の上面に並設した2つの突起状の被係止部57に係止する係止部58を側方に突出形成してある。
【0035】
回路遮断器2は以上のように構成される取付部がボディ10の底部上に配設された状態において固定ベース7上に固定配設されるのである。
【0036】
ここで本実施形態に用いられる回路遮断器2は内部に2極の開閉機構部を内蔵するもので、図8に示すように器体の一端部側に上、中、下の三段に導電バーの回路遮断器接続部が挿入される導電バー差し込み口41,42,43を開口しており、上段の導電バー差し込み口41の高さ位置は固定ベース7に配設したときに丁度最上段の導電バー31の高さ位置に対応し、また中段の導電バー差し込み口42は導電バー32或いは33の脚片21の高さ位置に対応し、更に下段の導電バー差し込み口43は、導電バー32或いは33の脚片20の高さ位置に対応している。
【0037】
そして本例では上段の導電バー差し込み口41内には図1に示すように中性極Nの導電バー33側縁からなる回路遮断器接続部を差し込み接続する端子接続部たる受け刃51を配置し、中段及び下段の何れかの導電バー差し込み口42、43の一方にL1或いはL2の電圧極の導電バー32,33の回路遮断器接続部21或いは20を差し込む受け刃52を配設し、他方を受け刃が配設されていない収納部としている。
【0038】
電圧極に対応する受け刃52は導電バー差し込み口42或いは43の何れかの位置へ器体側面に図1に示すように露出したスライドレバー60を上又は下へ移動させることで移動させることできるようになっており、上下二列に配列される回路遮断器2群において、負荷バランスをとるように接続するL1及びL2の電圧極を容易に選択できるようになっている。
【0039】
而して回路遮断器2を固定ベース7に配設固定するに当たっては、回路遮断器2を配設したい位置の固定ベース7上の一対の突起35,35間に導電バー差し込み口側の一端部の器体下部を嵌めるとともに、他端部側の器体両側側面の凹所36の下部開口より突起54を凹所36内に嵌めて固定ベース7上に図9に示すように載置する。この時係止部材48の対応する弾性突出片47の先端部が回路遮断器2の上面に臨む。
【0040】
この状態で回路遮断器2を導電バー配置位置方向に図10に示すように直線移動させると、導電バー差し込み口41に中性極Nの導電バー31の側縁たる回路遮断器接続部が挿入されて受け刃51の開口に臨み、また中段の導電バー差し込み口42にはL1或いはL2の電圧極の導電バー31或いは32の脚片21が挿入され、さらに下段の導電バー差し込み口43にはL2或いはL1の電圧極の導電バー32或いは31の脚片20が挿入されることになり、図において導電バー差し込み口43内に配置されている受け刃52に脚片20が臨むことになる。
【0041】
一方回路遮断器2の直線移動に伴って係止部材48の対応する弾性突出片47の係止部58下面の傾斜面58aが回路遮断器2の上面に形成した被係止部57の傾斜面57aに図示するように当接する。
【0042】
この状態からさらに回路遮断器2を移動させると弾性突出片47の弾性変形を伴いながら係止部58の傾斜面58aが被係止部57の傾斜面57a上をスライドしながら乗り上げて、やがて被係止部57を乗り越えることになり、弾性突出片47が弾性で元に戻る。従って回路遮断器2の被係止部57が係止部58に係止されることになる。これにより回路遮断器2が外側方向(受け刃から導電バーが引き抜かれる方向)へ移動するのを規制する。一方凹所36に下方から嵌まった突起54に設けられた引掛部39は回路遮断器2の移動に伴って被引掛部53内に挿入され、やがて引掛部39の下面に設けた嵌合凹部39aが被引掛部53の下面に設けた嵌合凸部53aに図1に示すように凹凸嵌合することになる。
この凹凸嵌合時に所謂クリック感が作業者に与えられ、回路遮断器2が定位置、つまり受け刃51,52に導電バー31、32或いは33の回路遮断器接続部が完全に差し込まれた位置に移動したことを作業者に分からしめ、結果受け刃51,52に対する回路遮断器接続部の差し込み量のばらつきを抑えることができるのである。そして被引掛部53と引掛部39との凹凸嵌合により、回路遮断器2の上方向、つまり固定ベース7の面に対して垂直方向への移動を規制する。また引掛部39及び突起54は凹所36及び被引掛部53内に納まるため、隣接配置する回路遮断器2との間の隙間を少なくすることができる。
【0043】
このようにして簡単に回路遮断器2を分電盤内の固定ベース上に取り付け且つ電気的に接続することができることになる。
【0044】
図1或いは図11に示すように固定ベース7上に配設した回路遮断器2を取り外す場合には、上記の係止部材48の弾性突出片47の基端に連設された操作片62を図12に示すようにドライバ63で下方に押し、弾性突出片47の基端が連結された連結片を回動支点部とし、弾性突出片47を該回動支点部を中心として回動させてその先端部を上方へ移動させ、先端部の係止部58を回路遮断器2の被係止部57から離脱させる。これにより回路遮断器2を引外し方向へ移動させることが可能となり、この状態で回路遮断器2を引外し方向へ直線移動させれば、被引掛部53と引掛部39の凹凸嵌合が外れ、凹所36の下面開口位置上方へ引掛部39が移動するまで回路遮断器2を移動させ、その後上方へ持ち上がれば回路遮断器2を取り外すことができることになる。
【0045】
尚本実施形態では、導電バー31に係止部材48を取り付けているが、バー取付部材である支持ポスト13などに取り付けるようにしても良い。
(実施形態2)
本実施形態の特徴となる部位を図13〜図17に示す。
【0046】
本実施形態の基本的な構成は上記実施形態1と同じであるので、実施形態1の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、また特徴部分以外の構成は実施形態1の図面を参照してここでは説明を省略する。
【0047】
次に本実施形態の特徴となる構成について詳説する。
【0048】
まず本実施形態の係止部材48には、操作片62の裏面に連設され、係止部材48の係止部58に回路遮断器2の被係止部57が係止された状態で、回路遮断器2の一方側端面に当接する押出し片64を設けてある。また前記操作片62の表面先端部には、押圧するドライバーなど治具の先端を入れることで該治具の位置決めを行う穴状の位置決め部65を形成しており、治具で操作片62を押圧する際に、治具先端を位置決め部65に嵌めた状態とすることで、治具の先端が外れ難くなり回路遮断器2の取り外しが容易となる。
【0049】
また係止部材48は隣接する他の係止部材48と連結する連結部として、回路遮断器2の並設方向に対応する両端に設けた支持台49,49の一方の端面にあり継ぎ用のあり溝66を、他方の端面にあり溝66に対応するあり67を形成しており、隣接する係止部材48、48同士の連結を、一方の係止部材48のあり溝66に他方の係止部材48のあり67を嵌合することで行い、この連結により係止部材48を強固に取着する。
【0050】
而して本実施形態では、実施形態1と同様な方法で図16に示すように固定ベース7上に取り付けた状態の回路遮断器2を取り外す場合、ドライバのような治具先端を位置決め部65に嵌めた状態で、操作片62の先端部を下向きに実施形態1の場合と同様に押圧する。この押圧により弾性突出片47の基端が連結された連結片を回動支点部とし、該回動支点部を中心として弾性突出片47を回動させてその先端部を上方へ移動させ、先端部の係止部58を回路遮断器2の被係止部57から図17に示すように離脱させる。この操作時に押出し片64の先端部が図示するように回路遮断器2の側端面に当接して回路遮断器2を取り外す方向力、つまり抜ける力を蓄積し、そのまま操作片62を押圧して係止部58から被係止部57が外れると蓄積された力で回路遮断器2を取り外し方向、つまり図において右方向に押し動かし、被引掛部53と引掛部39の凹凸嵌合を外させる。この状態で凹所36の下面開口位置上方へ引掛部39が移動するまで回路遮断器2を移動させ、その後上方へ持ち上がれば回路遮断器2を取り外すことができることになる。
【0051】
【発明の効果】
請求項1の発明は、上下方向に並設した複数の導電バーと、これらの導電バーを支持するバー取付部材と、一方側に導電バーの両端長手方向に対して短手の幅方向から差込接続する受け刃を配設するとともに他方側に引掛部を形成して導電バーの幅方向の少なくとも一方側に並設される複数の回路遮断器と、これらの回路遮断器の引掛部を引掛ける被引掛部を有して回路遮断器を取着するべースと、を備えた分電盤において、 前記バー取付部材又は最上段の導電バーに回路遮断器の一方側上面に臨む係止部を有した係止部材を取着するとともに前記回路遮断器の一方側上面に受け刃に導電バーを差し込んだ状態で係止部に係止されて受け刃が導電バーから外れる方向の移動を防止する被係止部を設け、前記引掛部及び被引掛部は、導電バーを受け刃に差し込む直線方向に回路遮断器を移動させたときに係合して回路遮断器が上側にずれる方向の移動を防止する位置に形成されているので、回路遮断器を導電バーに対して直線的に移動させることのみによって受け刃を導電バーに接続でき、受け刃と導電バーとの位置すれによる受け刃の変形が防止し易くなる。また、回路遮断器のべースヘの取り付けは、回路遮断器を直線的に移動させることによって行えるので、回路遮断器をベースに取着する作業が容易になるという効果がある。
【0052】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記引掛部及び被引掛部は、回路遮断器を導電バー方向に移動させて前記被係止部が係止部に係止される以前に係合し合う位置に形成されているので、回路遮断器の受け刃を絶対斜め方向から導電バーに接続できなくなり、完全に受け刃の変形を防止できる。
【0053】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記被引掛部を回路遮断器の側面の下部に側方と下端とが開口した凹所内で前記係合時の回路遮断器の移動方向とは反対方向に凹ませた横凹部により形成し前記引掛部を前記ベース上に突設された逆L状の突起の水平片で形成し、該水平片の向きを前記係合時の回路遮断器の移動方向とは反対方向としているので、各回路遮断器の幅方向の位置合せが容易にでき、もって各回路遮断器の受け刃に導電バーを精度良く接続でき、また隣合う回路遮断器同士の隙間を少なくすることができる。
【0054】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れかの発明において、前記引掛部及び被引掛部に、受け刃を導電バーに完全に接続したときに嵌合する凹凸嵌合部を設けたので、凹凸嵌合部が互いに嵌合すれば、受け刃が導電バーに完全に接続された状態と容易に分かり、受け刃の差込量のばらつきを抑えることができる。
【0055】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4の何れかの発明において、前記べースの各回路遮断器における一方側に、各回路遮断器の側面を挟む位置決め突起を設けたので、各回路遮断器の一方側の側面を位置決め突起に合わせて回路遮断器を導電バー方向に移動させれば、更に各回路遮断器の受け刃に導電バーを精度良く接続できる。
【0056】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れかの発明において、前記係止部材に各回路遮断器側に各々突出する弾性突出片を設け、該弾性突出片に前記係止部を形成したので、各回路遮断器を導電バー方向に移動させると、各回路遮断器の被保止部が係止部に当接し、これによって弾性突出片が上方向に変形し、被保止部が係止部を超えたときに弾性突出片が元の位置に戻って被保止部が係止部に係止されることとなり、そのため、回路遮断器を係止部材に係止させる作業が容易になる。また、この弾性突出片は各回路遮断器毎に形成されているので、弾性を取り易くすることができ、各回路遮断器を取着する作業が容易になる。
【0057】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記係止部材に、弾性突出片の基端を連設させた回動支点部に基端が連設されて弾性突出片とは反対側に延出する操作片を設けたので、操作片を抑圧すれば回動支点部を中心に弾性突出片が上方向に変形し、係止部と被保止部との係止状態を解除することができ、回路遮断器を係止部材から外す作業が容易となる。
【0058】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記係止部材に、操作片に連設され、係止部材の係止部に回路遮断器の被係止部が係止された状態で、回路遮断器の一方側端面に当接する押出し片を設けたので、操作片を押圧していくと、押出し片が回路遮断器の一方側端面に当接して回路遮断器を取り外す方向の力を蓄積し、そのまま操作片を押圧して係止部から被係止部が外れると蓄積された力で回路遮断器を簡単に取り外しことができ、そのため回路遮断器の取り外し作業が容易となる。
【0059】
請求項9の発明は、請求項7又は請求項8の発明において、前記操作片に、押圧する治具の先端の位置決め部を形成したので、操作片を治具で押圧操作するときに治具の先端が外れにくくなり、回路遮断器の取り外し作業が容易となる。
【0060】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9の何れかの発明において、前記被係止部が、係止部に当接する最先端側から徐々に上方へ突出する傾斜状に形成されているので、係止部に被保止部を係止し易くなり、もって回路遮断器を取り付ける作業が容易になる。
【0061】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10の何れかの発明において、前記係止部材が、回路遮断器の並設方向において隣接する他の係止部材と互いに連結する連結部を両側部に形成しているので、並設された隣り合う係止部材を連結することができ、係止部材を強固に取着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の回路遮断器の配設状態を示す要部の一部省略且つ破断せる側面図である。
【図2】同上の正面図である。
【図3】同上のカバーを外した状態の正面図である。
【図4】同上の取付部の分解斜視図である。
【図5】同上の取付部の要部の分解斜視図である。
【図6】同上の係止部材と導電バーとの関係を示す分解斜視図である。
【図7】同上の係止部材と回路遮断器との関係を示す分解斜視図である。
【図8】同上の導電バー群と回路遮断器の関係を示す分解斜視図である。
【図9】同上の回路遮断器の配設説明用の一部省略且つ破断せる側面図である。
【図10】同上の回路遮断器の配設説明用の一部省略且つ破断せる側面図である。
【図11】同上の固定ベースと回路遮断器との配設関係を示す斜視図である。
【図12】同上の回路遮断器の取り外し説明用の一部省略且つ破断せる側面図である。
【図13】本発明の実施形態2に用いる係止部材と導電バーとの関係を示す分解斜視図である。
【図14】同上の係止部材と回路遮断器との関係を示す分解斜視図である。
【図15】同上の取付部の分解斜視図である。
【図16】同上の回路遮断器の配設状態を示す要部の一部省略且つ破断せる側面図である。
【図17】同上の回路遮断器の取り外し説明用の一部省略且つ破断せる側面図である。
【符号の説明】
2 回路遮断器
7 固定ベース
35 位置決め突起
36 凹所
39 引掛部
39a 嵌合凹部
53 被係止部
53a 嵌合凸部
54 突起

Claims (11)

  1. 上下方向に並設した複数の導電バーと、これらの導電バーを支持するバー取付部材と、一方側に導電バーの両端長手方向に対して短手の幅方向から差込接続する受け刃を配設するとともに他方側に引掛部を形成して導電バーの幅方向の少なくとも一方側に並設される複数の回路遮断器と、これらの回路遮断器の引掛部を引掛ける被引掛部を有して回路遮断器を取着するべースと、を備えた分電盤において、前記バー取付部材又は最上段の導電バーに回路遮断器の一方側上面に臨む係止部を有した係止部材を取着するとともに前記回路遮断器の一方側上面に受け刃に導電バーを差し込んだ状態で係止部に係止されて受け刃が導電バーから外れる方向の移動を防止する被係止部を設け、前記引掛部及び被引掛部は、導電バーを受け刃に差し込む直線方向に回路遮断器を移動させたときに係合して回路遮断器が上側にずれる方向の移動を防止する位置に形成されたことを特徴とする分電盤。
  2. 前記引掛部及び被引掛部は、回路遮断器を導電バー方向に移動させて前記被係止部が係止部に係止される以前に係合し合う位置に形成されたことを特徴とする請求項1記載の分電盤。
  3. 前記被引掛部を回路遮断器の側面の下部に側方と下端とが開口した凹所内で前記係合時の回路遮断器の移動方向とは反対方向に凹ませた横凹部により形成し前記引掛部を前記ベース上に突設された逆L状の突起の水平片で形成し、該水平片の向きを前記係合時の回路遮断器の移動方向とは反対方向としていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の分電盤。
  4. 前記引掛部及び被引掛部に、受け刃を導電バーに完全に接続したときに嵌合する凹凸嵌合部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか記載の分電盤。
  5. 前記べースの各回路遮断器における一方側に、各回路遮断器の側面を挟む位置決め突起を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか記載の分電盤。
  6. 前記係止部材に各回路遮断器側に各々突出する弾性突出片を設け、該弾性突出片に前記係止部を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか記載の分電盤。
  7. 前記係止部材に、弾性突出片の基端を連設させた回動支点部に基端が連設されて弾性突出片とは反対側に延出する操作片を設けたことを特徴とする請求項6記載の分電盤。
  8. 前記係止部材に、操作片に連設され、係止部材の係止部に回路遮断器の被係止部が係止された状態で、回路遮断器の一方側端面に当接する押出し片を設けたことを特徴とする請求項7記載の分電盤。
  9. 前記操作片に、押圧する治具の先端の位置決め部を形成したことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の分電盤。
  10. 前記被係止部は、係止部に当接する最先端側から徐々に上方へ突出する傾斜状に形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか記載の分電盤。
  11. 前記係止部材は、回路遮断器の並設方向において隣接する他の係止部材と互いに連結する連結部を両側部に形成していることを特徴とする請求項1乃至請求項10記載の何れか記載の分電盤。
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