JP3785843B2 - 密封装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流体等の漏れを防ぐ密封装置に関するものであり、例えば、相対的に回転する部材間を密封する密封装置として適用され、特に、小径部で使用されるVリングとして有効に適用される密封装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の密封装置としては、たとえば、図3に示したものがある。
【0003】
図3に示した密封装置は、特に、小径部で有効に使用されるVリング10であり、概略、本体部11とリップ部12とから構成される。
【0004】
このVリング10は、軸20に装着させて、リップ部12を相手部材に摺動自在に配置させることで、流体等の漏れを防ぐために使用していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、密封装置(Vリング10)を軸20に装着させる際に下記のような問題が生じていた。
【0006】
以下、密封装置の装着作業について、図4を参照して説明する。図4は密封装置の装着作業の説明図である。
【0007】
まず、(A)に示したように、Vリング10を軸20に嵌める。
【0008】
そして、(B)に示したように、挿入治具30によってVリング10を軸20に沿って、所定位置((C)に示した位置)まで挿入して装着が完了する。
【0009】
ここで、図に示したように、挿入治具30でVリング10を押し込む際には、挿入治具30をリップ部12に押し当てながら挿入させることになる。
【0010】
したがって、(C)に示したように、リップ部12が花びら状に反り返ってしまい、装着完了後も元に戻らなくなってしまうことがあった。
【0011】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、装着作業における装着状態の不具合を解消する信頼性に優れた密封装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、軸と、該軸が挿入される軸孔を有する部材との間を密封する密封装置であって、前記部材に密着するシールリップを備えると共に、挿入治具により該シールリップが押されることで、前記軸に沿って挿入されて装着された状態で使用される密封装置において、前記シールリップが前記挿入治具により押されて変形する際に、該シールリップにおける挿入治具により押される側とは反対側の面に当接することで、該シールリップの所定量以上の変形を規制する突起部を備えたことを特徴とする。
【0013】
したがって、突起部を備えたことで、シールリップが所定量以上に変形することはないので、シールリップが軸への挿入方向に反り返ってしまうことはない。
【0016】
前記突起部の先端はシールリップの根元よりもシールリップの先端側へ突出した位置にあるとよい。
【0017】
したがって、シールリップが、その根元の位置よりも挿入方向側へ反り返ってしまうことはない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
図1および図2を参照して、本発明の実施の形態に係る密封装置について説明する。
【0020】
図1は本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成一部破断断面図であり、図2は本発明の実施の形態に係る密封装置の使用状態を示す概略構成図である。
【0021】
本発明の実施の形態に係る密封装置は、例えば、図2に示したように、軸5の外周に装着され、この軸5と、軸5が挿入される軸孔を有する相手部材6との間を密封して、大気側Aからダストが内部側Oに侵入するのを防止したり、あるいは内部側Oからグリース等の流体が大気側Aに漏れるのを防ぐために用いられるものである。
【0022】
次に、図1を参照して、本発明の実施の形態に係る密封装置の構成等について、より詳しく説明する。
【0023】
図1に示した密封装置は、特に、小径部で有効に使用されるVリング1であり、概略、本体部2と、リップ部(シールリップ)3とから構成される。
【0024】
そして、本体部2のリップ部3側への対向面部には、変形量規制手段を構成するストッパとしての突起部4が形成されている。
【0025】
以上のような構成によって、密封装置(Vリング1)を軸へ装着する際には、挿入治具によって、リップ部3を押し込むように装着することになるが、上述のようにリップ部3の軸への挿入方向側に、突起部4が配置されているため、リップ部3は突起部4に当接する位置までしか変形することができず、その変形量が規制される。
【0026】
したがって、リップ部3が軸への挿入方向に反り返ってしまうことはない。
【0027】
突起部4について、より具体的な例を説明する。
【0028】
図1に示すように、リップ部3の先端からリップ部3の根元部A点までの距離をYとし、リップ部3の先端から突起部4の先端までの距離Xとした場合に、
Y>X
となるように、突起部4を設ける。
【0029】
すなわち、突起部4の先端がリップ部3の根元部A点よりも、密封装置1の軸への挿入方向とは反対側へ突出するようにする。
【0030】
したがって、密封装置1の軸への挿入時に、リップ部3が図中F方向に力を受けた場合でも、突起部4によって規制されるので、少なくとも、根元部A点を越えてしまうことはなく、反り返ってしまうことはない。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の密封装置は、突起部を備えたことによって、密封装置を軸に沿って挿入する際に、シールリップが所定量以上に変形することはないので、シールリップが軸への挿入方向に反り返ってしまうことはなく、装着作業における不具合が解消され、信頼性が向上する。
【0033】
突起部の先端はシールリップの根元よりもシールリップの先端側へ突出した位置にあるようにすることで、シールリップが、その根元の位置よりも挿入方向側へ反り返ってしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成一部破断断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る密封装置の使用状態を示す概略構成図である。
【図3】従来技術に係る密封装置の概略構成断面図である。
【図4】従来技術に係る密封装置の装着作業の説明図である。
【符号の説明】
1 Vリング
2 本体部
3 リップ部
4 突起部
5 軸
6 相手部材

Claims (2)

  1. 軸と、該軸が挿入される軸孔を有する部材との間を密封する密封装置であって、
    前記部材に密着するシールリップを備えると共に、
    挿入治具により該シールリップが押されることで、前記軸に沿って挿入されて装着された状態で使用される密封装置において、
    前記シールリップが前記挿入治具により押されて変形する際に、該シールリップにおける挿入治具により押される側とは反対側の面に当接することで、該シールリップの所定量以上の変形を規制する突起部を備えたことを特徴とする密封装置。
  2. 前記突起部の先端はシールリップの根元よりもシールリップの先端側へ突出した位置にあることを特徴とする請求項に記載の密封装置。
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