JP3785202B2 - エッジ・マッピングを用いたデジタル・イメージ拡大方法 - Google Patents

エッジ・マッピングを用いたデジタル・イメージ拡大方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一般に、デジタル・イメージの拡大に関するものであり、とりわけ、エッジ・マップを利用したデジタル・イメージの拡大に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタル・イメージの増殖には、イメージを拡大する方法の改良がぜひとも必要である。従来の拡大プロセスでは、もとのピクセルに追加ピクセルが追加される。次に、隣接ピクセル間の距離が、もとのデジタル・イメージの場合と同じに保たれるように、イメージ・サイズが拡大される。
【0003】
追加ピクセルの追加には、さまざまな方法が利用可能である。ある方法では、単純にピクセルを複製する、すなわち、既存の全てのピクセルのまわりにいくつかのピクセルを追加して、同じレベルのピクセル・ブロックを形成するだけである。図1には、拡大前のイメージが示され、図2には、こうした方法による拡大後のイメージが示されている。イメージを構成する、約0.5mm幅の小さな正方形をなす、不快なピクセル・ブロック、及び、花弁のエッジのようなぎざぎざのエッジが観測される。
【0004】
別の方法では、隣接するもとのピクセルのレベルを補間することによって、追加ピクセルを生成する。図3には、こうした双一次式補間方法によって形成された拡大イメージが示されている。この方法によれば、不快なピクセル・ブロック及びぎざぎざのエッジが大幅に除去される。しかし、もとのイメージのくっきりとしたエッジが、平均化の影響でぼやけることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上から明らかなように、本発明の目的は、くっきりとしたエッジを保つ、デジタル・イメージの拡大方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、そのくっきりとしたエッジをほぼ保ちながら、デジタル・イメージを拡大する方法が得られる。先行技術の場合、小さい、不快なピクセル・ブロックが生じ、もとのデジタル・イメージのエッジが、ぎざぎざになったり、そのくっきりとしたエッジがぼやけたりする傾向がある。
【0007】
デジタル・イメージは、多くのもとのピクセルを有している。各ピクセルは、レベルを有し、ピクセル位置には、解像度がある。本発明の望ましい実施例の場合、デジタル・イメージからエッジ・マップが作成される。もとのピクセル間の位置における1つ以上のピクセル・レベルの生成を容易にするため、デジタル・イメージに、多数の境界を備えたエッジ・マップが投影される。追加ピクセルを生成するプロセスにおいて、エッジ・マップによって設定される境界と交差しないようにして、1つ以上のもとのピクセルのレベルに操作が施される。追加ピクセルの生成後、ピクセル位置の解像度が、もとのピクセルと同じになるように、全ピクセル間の距離が拡大される。こうして、デジタル・イメージが拡大される。
【0008】
もう1つの望ましい実施例の場合、エッジ・マップの作成前に、もとのイメージが、もとのピクセルの離隔距離を比例するように拡大して、拡大イメージのサイズまで拡大される。その後、エッジ・マップを作成し、拡大イメージに投影して、追加ピクセルが生成される。生成ステップ後、ピクセル位置の解像度は、もとのピクセルと同じになる。
【0009】
エッジ・マップによって、拡大イメージは、もとのイメージとほぼ同じようにくっきりとしたものになる。
【0010】
本発明の他の態様及び利点については、添付の図面に関連して検討すれば、本発明の原理を例示した下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0011】
【実施例】
図4には、多数のもとのピクセルを備えたデジタル・イメージを拡大するための、望ましい方法の1つ100が示されている。ピクセルは、例えば、300ドット/インチまたはピクセル/インチといった、所定の解像度を備えるように配列される。各ピクセルは、そのピクセルの輝度を表すレベルを有している。連続したトーン・イメージの場合、輝度レベルは、0〜255の範囲で変動する可能性がある。ハーフトーン・イメージのような、不連続トーン・イメージの場合、拡大前に、連続トーン・イメージに変換されるが、このプロセスについては、この詳細な説明においてさらに後述するものとする。
【0012】
イメージのうち、くっきりとしたエッジを備える領域は、レベル変化が大きい領域である。望ましい実施例100における最初のステップは、イメージを解析して、レベル変化の大きい全ての位置を見つけ出す(102)ことである。これは、視覚によって、または、解析によって、実施可能である。
【0013】
視覚によって、輝度変化の急激な全ての領域を識別することが可能である。しかし、これは、退屈な仕事である。
【0014】
図5には、レベル変化の大きい位置を見つけ出すための、望ましい解析方法の1つ(200)が示されている。各ピクセルは、その大きさがピクセルのレベルであるインパルス関数によって、表される(202)。次に、単独でピークをなす連続関数が選択される(204)。例えば、これは、第2標準偏差がもとのピクセル3つ分の幅に及ぶ、正規化ガウス関数とすることが可能である。イメージが2次元の場合、選択関数は、2次元表面を有する。選択された連続関数は、2回微分される(206)。該関数がガウス関数の場合、2回目の微分は、ガウスのラプラシアンとして既知のところである。微分ステップの結果には、全てのインパルス関数に関してたたみ込みが施され(208)、その出力を空間的に重畳することによって、たたみ込み結果が得られる。たたみ込み結果から、ほぼゼロ値を備える全ての位置が見つけ出される(212)。拡大前のイメージにおける全てのくっきりとしたエッジ位置が、たたみ込み結果のほぼゼロ値を備えた位置に対応する。
【0015】
図6には、ほぼゼロ値を備える位置を見つけ出す、すなわち、たたみ込み結果から「零交叉」を見つけ出すための望ましい方法の1つ(250)が示されている。「零交叉」を選択する方法は、わずかである。たたみ込み結果を解析的に解くことによって、ゼロを有する全ての位置を見つけ出すことが可能である。この計算は、極めて面倒なものになる可能性がある。もう1つの望ましい方法は、図7と組み合わせて、図6に示されている、選択位置におけるたたみ込み結果を解くことである。
【0016】
イメージをN倍に拡大することが望まれ、隣接するもとのピクセル間の最短距離がDであると仮定する。図7に示すこの例の場合、解像度が300ドット/インチのイメージに関して、Nが2であり、Dが3.3ミルである。ほぼゼロ値の位置を見つけ出すにあたって(250)、まず、もとのピクセルからオフセットした位置に、隣接する一時的ピクセル間の最短距離がD/Nになるように、一時的ピクセルが形成される(252)。図7において、×字は、300ドット/インチにおけるもとのピクセルの位置を表し、円は、一時的ピクセルを表し、エッジと表示されたラインは、大幅なレベル変化を生じる理論的位置を表している。図7における隣接する円間の最短距離は、D/Nすなわち1.67ミルであり、これによって、600ドット/インチの解像度が得られる。円は、×字との間にオフセットがある。オフセット量は、X方向及びY方向の両方においてD/(2N)であり、Nは2である。
【0017】
たたみ込み結果が、一時的ピクセルにおいて評価される(254)。隣接する一時的ピクセルのレベルを比較して(256)、そのレベルによって符号が変化する、隣接する一時的ピクセル対が選択される(258)。例えば、円272と274のレベル間、及び、円274と276のレベル間において、符号の変化が生じるものとする。本出願の場合、符号の変化には、ゼロから正値または負値への変化が含まれる。
【0018】
全ての選択対から、そのレベルがよりゼロに近い方の、一時的ピクセルの位置が選択される(262)。もう1度図7を参照すると、対274及び276の場合、一時的ピクセル276の位置が選択される。
【0019】
方法250を図8と組み合わせて、別の案として利用することにより、ほぼゼロ値を有する位置を見つけ出す、すなわち、たたみ込み結果から「零交叉」を見つけ出すことが可能になる。この案によれば、必要な計算量が減少し、2を超える偶数拡大率に特に適している。まず、その位置が円で示されている一時的ピクセルを形成するだけでなく(252)、その位置が三角形で示されている目標ピクセルも形成される。一時的ピクセルの位置は、解像度がもとの解像度の2倍であり、その中には、もとのピクセルから変位したものもある。目標ピクセルの位置は、解像度がもとの解像度の4倍であり、X方向とY方向の両方において、一時的ピクセルからD/(2N)だけ変位している(Nは、図8に示す例の場合4)。一時的ピクセルにおいて、もう1度、レベルが評価され(254)、隣接する一時的ピクセルと比較され(256)、そのレベルの符号変化が生じるピクセル対が選択される(258)。
【0020】
選択された全ての一時的ピクセル対から、隣接する目標ピクセルの位置が選択される。選択プロセスは、次の通りである:X方向に沿って選択された、あるY座標の一時的ピクセル対の場合、より小さいY座標の目標ピクセル対について検討され、Y方向に沿って選択された、あるX座標の一時的ピクセル対の場合、より大きいX座標の目標ピクセル対について検討される。目標ピクセルを検討する場合、一時的ピクセルの一方により近い目標ピクセルの位置が選択されるが、この一時的ピクセルのレベルは、もう一方の一時的ピクセルよりもゼロに近い。一時的ピクセルが、両方とも、同じレベルの場合、目標ピクセルのいずれか任意の1つが選択される。この案によれば、図7に示す案に比べて、必要な計算量が減少する。
【0021】
例えば、もとのピクセル280及び284の近くに、一時的ピクセル281、282、及び、283と、目標ピクセル286、288が形成されている。一時的ピクセル282のレベルの符号は、異なり、ピクセル283のレベルは、よりゼロに近い。目標ピクセル288のほうが、物理的に、一時的ピクセル283により近いので、目標ピクセル288が選択される。
【0022】
図9には、レベル変化の大きい位置を見つけ出すための、もう1つの望ましい実施例が示されている。各ピクセルは、再度、その大きさがそのピクセルのレベルであるインパルス関数によって表される(302)。次に、やはり、前述の実施例200において取り上げられた前記ガウス関数のような、一つの頂点を持つ連続関数が選択される(304)。選択された関数には、全てのインパルス関数に関してたたみ込みが施され(306)、出力を互いに重畳することによって、たたみ込み結果が得られる。
【0023】
たたみ込み結果を2回微分することによって(310)、微分結果が得られる。微分ステップの後、微分結果から、値がほぼゼロの全ての位置が見つけ出される(312)。くっきりとしたエッジ位置は、全て、ほぼゼロの値を有している。
【0024】
やはり、図6の方法を図7または図8と組み合わせて利用することにより、微分結果から、ほぼゼロの値すなわち「零交叉」を有する位置が見つけ出される。主たる違いは、ステップ254である。たたみ込み結果を評価する代わりに、微分結果が評価される。
【0025】
どのシステムであれ、ノイズのために、実施例200のたたみ込みステップ、または、実施例300の微分ステップによって、くっきりとしたエッジ領域ではない、ほぼゼロの値を示す位置が生じる可能性がある。従って、見つけ出した位置にはしきい値処理を施すことが望ましい(214または314)。しきい値処理(214または314)は、見つけ出した位置の中に、局所的レベル分散があらかじめ選択された値未満のものがあれば、その見つけ出した位置を除去することを意味する。局所的分散の計算は、見つけ出した位置におけるレベルの勾配または変化を求めることによって可能になる。勾配が、あるあらかじめ選択された値未満の場合には、その見つけ出した位置は、取り除かれる。零交叉であると感知される位置が多くなるのは歓迎すべきことであるので、あらかじめ選択される値は、小さくするのが望ましい。一方、零交叉が見つからないのは、望ましくない。一例として、あらかじめ選択される値は、0.03である。
【0026】
もう1度図4を参照する。レベル変化の大きい位置を見つけ出した(102)後、その位置を接続して(104)、エッジ・マップの境界を形成するのが望ましい。望ましい実施例の1つでは、見つけ出した任意の2つの位置間における距離が、隣接する2つのもとのピクセル間における最短距離の1.414倍(すなわち、2の平方根)以下であれば、その位置を接続して、境界が形成される。300ドット/インチのデジタル・イメージの場合、最短距離は、3.3ミルであり、3.3ミルの1.414倍は、4.7ミルに等しい。図10には、図1に示すもとのイメージに対する上述のプロセスによって形成される、2次元エッジ・マップの例が示されている。該マップは、所望の拡大イメージのサイズまで拡大される。
【0027】
エッジ・マップの形成後、エッジ・マップは、デジタル・イメージに投影される(106)。次に、エッジ・マップによって設定された境界と交差しないように、もとのピクセルを操作して、もとのピクセル間の位置に多数の追加ピクセルが生成される(108)。形成される追加ピクセルの数は、所望の拡大率によって決まる。ある次元においてM倍の拡大率、別の次元においてN倍の拡大率が所望の場合、イメージのピクセル数をM×Nに増加させることが必要になるが、これは、適合する位置に追加数のピクセルを形成することを意味する。
【0028】
2つの異なる例を用いて、追加ピクセルの生成方法を示すことにする。その両方とも、1つ以上のもとのピクセルのレベル補間に依存している。
【0029】
図11A〜Dには、偶数の拡大率に特に適した第1の例が示されている。例えば、379及び383といった×字は、もとのピクセルの位置を表している。例えば、385のような三角形は、追加ピクセルの位置を表している。追加ピクセル385のレベルを計算する場合、もとのピクセル377、379、381のレベルが補間されるが、もとのピクセル383は、エッジ・マップにおける境界エッジ1との交差を伴うので、該ピクセルのレベルは利用されない。
【0030】
追加ピクセルにおけるレベルを求めるため、多くの方法が利用可能である。方法の1つでは、当業者には周知の双一次式補間が用いられるが、これについては、これ以上の説明は行わない。図11B〜Dには、エッジ・マップを利用して、追加ピクセルにおけるレベルを求めるための望ましい方法のいくつかが示されている。
【0031】
図11Bには、3つのもとのピクセル377、379、及び、381におけるレベルに基づいて、追加ピクセル385におけるレベルを求める例が示されている。まず、377及び381におけるレベルの平均レベルが求められる。これによって、仮想ピクセル384のレベルが得られる。次に、384及び379におけるレベルに基づいて、補間を行うことによって、もう1つの仮想ピクセル382のレベルが得られる。仮想ピクセル382は、もとのピクセル383の位置に配置される。ピクセル377、379、381、及び、382のレベルから、双一次式補間を利用して、追加ピクセル385のレベルが計算される。上記計算は、距離に基づく比例を利用したものであり、本書では、これ以上の説明を加えない。
【0032】
図11Cには、2つのもとのピクセル387に基づいて、追加ピクセル392のレベルを求める例が示されている。2つの状況、すなわち、もとのピクセルに隣接する1つの境界だけしか関係しない第1の状況、及び、2つの境界によって囲まれたもとのピクセルが関係する第2の状況について、説明を行う。エッジ2だけしか関係せず、エッジ3は関係しない、第1の状況の場合、望ましい方法の1つでは、もとのピクセルの近傍のものに基づいて補間を行う。仮想ピクセル390における値が、もとのピクセル381及び383のレベルから補間され、一方、仮想ピクセル391における値は、もとのピクセル389及び387のレベルから補間される。エッジ2及びエッジ3の両方が関係する、第2の状況の場合、望ましい方法の1つは、もとのピクセル383及び387におけるレベル値を、それぞれ、仮想ピクセル390及び391にコピーすることである。仮想ピクセル390及び391の位置は、それぞれ、もとのピクセル388及び386の位置である。ピクセル383、390、387、及び、391から、双一次式補間を利用して、追加ピクセル392のレベルが計算される。
【0033】
図11Dには、もとのピクセルの1つ381に基づいて、追加ピクセル394におけるレベルを求める例が示されている。方法の1つでは、それぞれ、もとのピクセル383、396、及び、398の位置である、仮想ピクセル393、395、及び、397の位置に、もとのピクセル381のレベルを複写することである。ピクセル381、393、395、及び、397のレベルから、双一次式補間を利用して、追加ピクセル394のレベルが計算される。
【0034】
上述の計算は、双一次式補間に基づくものであるが、他のより高次の補間案といった、他の補間技法を用いることも可能である。
【0035】
図11Eには、特に、基数の拡大率に適した、追加ピクセルにおけるレベルを求める第2の例が示されている。この例と最初の例との主たる相違は、追加ピクセルの一部が、もとのピクセル位置に配置されることである。追加ピクセルのレベルを生成する方法は、図11B〜Dにおいて解説の方法と同様にすることが可能である。
【0036】
もう1つの例では、拡大イメージを改善するためのステップが追加される。イメージのレベルが大幅に変化する実際の境界が、求められた境界からわずかな距離しか離れていないものと仮定する。求められた境界に近接したいくつかの追加ピクセルのレベルは、そのすぐ近接したピクセルとは全く異なる値を備えている可能性がある。これは、もとのイメージを測定する検出器のブレ効果のためである。こうした異常は、図12Aに示す方法450と図12Bに示すグラフィカル表現を組み合わせることによって、補正することが可能である。まず、ウインドウ475のサイズが、選択される(452)。一例として、2×2のもとのピクセルにわたるサイズがある。次に、求められた境界に近い全ての追加ピクセルにおいて、ウインドウのセンタリングが行われる(454)。例えば、追加ピクセル477においてウインドウ475のセンタリングが行われる。ウインドウ475のセンタリングを行うと、ウインドウ内における追加ピクセルの境界側に位置する、もとのピクセルの平均レベルが計算される(456)。例えば、もとのピクセル479、481、及び、483の平均レベルが計算される。平均レベルと追加ピクセルのレベルとの差が、あらかじめ設定された値を超える場合、追加ピクセルのレベルが平均値に置換される。実施例の1つでは、あらかじめ設定される値は、もとのピクセルのレベルの標準的な偏差値の1つである。このプロセスは、境界に近接した全てのピクセルについて実施される。追加ピクセルが、2つの境界によって仕切られている場合、ウインドウ内において、追加ピクセル側に位置し、2つの境界内に含まれるのは、平均化されたもとのピクセルだけである。
【0037】
全ての追加ピクセルの形成後、ピクセル位置の解像度が、もとのピクセルと同じになるように、ピクセル間の距離が拡大される(112)。例えば、図11Aのデジタル・イメージにおける×字は、全て、解像度が300ピクセル/インチである。追加ピクセルの形成後、三角形の解像度は、600ピクセル/インチになる。従って、イメージ・サイズの拡大は、追加ピクセルの位置の解像度が、300ピクセル/インチに戻るように、追加ピクセル間の距離を拡大することによって実施される。これは、各次元においてイメージを2倍に拡大することを意味するものである。
【0038】
図13には、上述の方法に基づいて拡大されたデジタル・イメージが示されている。この拡大イメージでは、エッジ・マップのおかげで、図3のイメージに比べると、例えば、図3の右側のオフ・ホワイトの百合の雄しべ、または、花の間の隙間といった部分が、より鮮明になっている。
【0039】
上記解説の場合、ピクセル間の距離は最後に拡大される。図14には、ピクセル間の距離が最初に拡大される、修正された望ましい実施例498が示されている。まず、もとのデジタル・イメージの拡大(490)が、もとのピクセル間の距離を比例して拡大することによって実施される。次に、上述の望ましい方法の1つによって、エッジ・マップが作成される(492)。上述の方法によって、作成されたエッジ・マップを拡大イメージに投影することにより(494)、追加ピクセルが生成される(496)。追加ピクセルの生成ステップが済むと、ピクセル位置の解像度は、もとのピクセルと同じになり、デジタル・イメージが拡大される。
【0040】
もう1つの望ましい実施例の場合、図13のイメージが、図15に示すフィードバック法によってさらに改善される(500)。このフィードバック法の場合、もとのデジタル・イメージを複写して(502)、複写イメージが形成される。次に、複写イメージがR倍に拡大される(504)。この拡大プロセスは、上述のエッジ・マップ法に基づくものとすることもできるし、あるいは、他の手段に基づくものとすることも可能である。しかし、拡大プロセスは、図2に示すイメージを生成するピクセル複製プロセスではないことが望ましい。次に、拡大イメージは、R分の1に縮小される(506)。
【0041】
この縮小プロセスは、平均化に基づくものである。一定数のピクセルが、全て、そのレベルが、該一定数のピクセルの平均レベルである1つのピクセルに置換される。図16には、1/2の縮小に関する平均化プロセスの2次元実施例が示されている。4つのピクセル毎に、1つのピクセルに置換される。例えば、拡大イメージ570におけるピクセル550、552、554、及び、556が、縮小イメージ572におけるピクセル558に置換される。ピクセル558のレベルは、拡大イメージ570における4つのピクセルのレベルの平均値に等しい。ピクセル558の位置は、ピクセル550、552、554、及び、556の中心である。縮小ステップは、拡大ステップの逆ではないことが望ましい。換言すれば、拡大ステップは、ピクセル複製プロセスではないことが望ましい。
【0042】
次に、全てのピクセルにおいて、縮小されたイメージともとのデジタル・イメージとの差が計算される(508)。これは、ピクセル間比較法である。求められた差に基づいて、複写イメージが修正される(512)。この修正ステップには、計算ステップ508から求められたそのピクセルの差の選択された倍数によって、複写イメージの全てのピクセルを修正することが含まれる。図17には、修正ステップの例が示されている。もとのイメージのピクセル600は、グレイ・レベルが200である。該ピクセルは、縮小イメージにおける対応する位置のピクセル602と比較される。ピクセル602のグレイ・レベルは、240である。その差は、40である。この差の値の倍数を利用して、複写イメージにおける対応するピクセル604に修正が加えられる。倍数が大きすぎると、「振動」が生じる可能性がある。倍数が小さすぎると、満足のゆく結果を得るまでに長時間を要する可能性がある。倍数値は、実験によって求めることが可能である。3つのピクセル600、602、及び、603が、全て、上述のピクセル間操作の場合、ほぼ同じ位置にあることにも留意されたい。
【0043】
複写イメージの修正後、計算ステップ508において求めた差がチェックされる。求めた差の絶対値の平均が、あらかじめ選択された値を超えると、複写イメージをR倍に拡大するステップ504から反復される(514)。このあらかじめ選択される値は、所望の確度によって決まる。差の絶対値の利用に限定されるわけではない。差の平方根のような、他の値を利用することも可能である。とにかく、求めた差が、あらかじめ選択された値未満の場合、フィードバック・プロセスは停止し(516)、拡大された複写イメージが、拡大の最終結果になる。
【0044】
図18には、あらかじめ選択される値を2.5にセットし、倍数値を1にセットして、図13に示すイメージにこのフィードバック法を適用する例が示されている。倍数値は、0〜2とするのが望ましい。フィードバック法の後で形成される拡大イメージは、レベルの一貫性が大幅に向上する。また、もとのイメージにおける多数の細部が、拡大イメージにおいて維持される。例えば、図13の花と図18の花の花弁の脈を比較されたい。
【0045】
このフィードバック・プロセスは、2次元だけにしか適用できないわけではない。該プロセスは、1次元または3次元イメージのような他の次元を備えたイメージの拡大にも等しく適用可能である。その違いは、平均化されるピクセルの一定数である。R倍の1次元拡大の場合、一定数はRである。R倍の3次元拡大の場合には、R*R*Rである。上記望ましい実施例では、全ての次元に関して等しい拡大率の説明が行われている。他の望ましい実施例の場合、次元が異なれば、拡大率も異なる。換言すれば、例えば、2次元拡大がR*Nの場合、RはNに等しくない。
【0046】
本発明は、連続トーン・イメージだけにしか適用できないわけではない。本発明は、ハーフトーン・イメージのような不連続トーン・イメージにも適用可能である。例えば、ハーフトーン・イメージの場合、まず、逆ハーフトーン処理技法に基づいて、イメージが連続トーンに変更される。次に、イメージが上述のように拡大される。拡大プロセスが済むと、イメージにハーフトーン処理を加えて、ハーフトーン・イメージを形成する。逆ハーフトーン処理及びハーフトーン処理技法は、当該技術の通常の技術者には明らかであり、本開示においてこれ以上の解説は行わない。
【0047】
以上から明らかなように、エッジ・マップによって、拡大イメージのくっきりとした特徴が維持されるので、フィードバック方法によって、拡大イメージの質がさらに向上することになる。本発明は、解説を終えたばかりの分野以外の多くの分野に適用可能である。例えば、本発明は、ホログラフィック・イメージのような、3次元イメージにも適用可能であり、その場合、エッジ・マップは、単なるラインではなく、表面になる。もう1つの例では、本発明がカラー・イメージに適用される。単色イメージの場合、各ピクセルのレベルは、そのピクセルの輝度である。カラー・イメージの場合、各ピクセルのレベルは、赤、緑、及び、青といった原色の輝度によって識別可能であり、本発明は、各カラーに個々に適用され、その後、3原色の結果を各ピクセル毎に組み合わせて、カラー・イメージが再生される。カラー・イメージの別の望ましい実施例では、各ピクセルにおける視感としてピクセルのレベルを識別する。従って、本発明は、上述のように、視感値に適用される。
【0048】
本発明は、1次元イメージに適用することが可能である。その場合、イメージは、音声信号のような、1次元波形または信号である。別の適用分野としては、ビデオがある。その場合、フレーム毎に、2次元イメージが拡大され、時間である第3の次元だけがそのまま残される。
【0049】
本発明の他の実施例については、本明細書、すなわち、本書に開示の本発明の実施例を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。明細及び実施例は、単なる例示とみなされることを意図したものであり、本発明の真の範囲及び精神は、付属の請求項によって示される。
【0050】
以上、本発明の実施例について詳述したが、以下、本発明を各実施態様毎に列挙する。
(1). それぞれ、レベルを有し、その位置の解像度がある、複数のもとのピクセルによって、デジタル・イメージを拡大するための方法において、
前記デジタル・イメージから複数の境界を備えたエッジ・マップを作成するステップと、
前記デジタル・イメージと同じピクセル、及び、同じ数のピクセルを備えたイメージに、エッジ・マップを投影するステップと、
前記エッジ・マップによって設定された境界と交差しないようにして、1つ以上のもとのピクセルのレベルに操作を加えることにより、もとのピクセル間の位置に1つ以上の追加ピクセルを発生し、
これによって、ピクセルの総数が、前記もとのピクセルの数及び拡大率と関連づけられるようにするステップ
を有する拡大方法。
(2). 前記投影ステップに、前記もとのイメージへの投影が含まれ、
前記追加ピクセルの発生後、ピクセル間の距離を拡大し、ピクセルの位置の解像度が、もとのピクセルと同じになるようにするステップ
を有することを特徴とする(1)に記載の拡大方法。
(3). 前記エッジ・マップの作成前に、前記もとのピクセルの離隔距離を比例するように拡大することによって、前記もとのイメージを前記拡大イメージのサイズまで拡大するステップを有し、
前記投影ステップに、前記拡大イメージへの投影が含まれることと、
前記追加ピクセルの発生後、ピクセルの位置の解像度が、もとのピクセルと同じになる
ことを特徴とする(1)に記載の拡大方法。
(4). 前記エッジ・マップの作成ステップにおいて、
前記デジタル・イメージを解析して、前記レベルが大幅に変化する近傍の位置を見つけ出すステップと、
前記見つけ出した任意の2つの位置間における距離が、2つの隣接するもとのピクセル間の最短距離以下である場合、その2つの位置を接続して、エッジを形成するステップ
を有することを特徴とする(2)に記載の拡大方法。
(5). 前記解析ステップにおいて、
その大きさがその対応するピクセルのレベルに等しいインパルス関数によって、各ピクセルを表すステップと、
一つの頂点を持つ連続関数を選択するステップと、
前記選択した関数を2回微分するステップと、
前記インパルス関数に関して微分した関数のたたみ込みを行うステップと、
前記たたみ込みステップによってほぼゼロが生じる位置を見つけ出すステップを有することを特徴とする(4)に記載の拡大方法。
(6). 前記解析ステップにおいて、
その大きさがその対応するピクセルのレベルに等しいインパルス関数によって、各ピクセルを表すステップと、
一つの頂点を持つ連続関数を選択するステップと、
前記インパルス関数に関して選択された関数のたたみ込みを行うステップと、
前記たたみ込みの結果を2回微分するステップと、
前記微分ステップによってほぼゼロが生じる位置を見つけ出すステップ
を有することを特徴とする(4)に記載の拡大方法。
(7). 前記見つけ出すステップにおいて、
見つけ出した位置のうち、その局所的レベル分散があらかじめ選択された値を下回るものを除去する、しきい値処理ステップ
を有することを特徴とする(5)または(6)に記載の拡大方法。
(8). 一時的ピクセルを形成するステップと、
前記たたみ込みステップの結果から一時的ピクセルのレベルを評価するステップと、
隣接する前記一時的ピクセルのレベルを比較するステップと、
前記レベルによって符号が変化する、隣接する一時的ピクセル対を選択するステップと、
全ての選択対から、前記レベルがよりゼロに近い、一時的ピクセルに基づく位置を選択するステップ
を有することを特徴とする(5)に記載の拡大方法。
(9). 前記見つけ出すステップにおいて、
前記一時的ピクセルを形成するステップと、
前記微分ステップの結果から一時的ピクセルのレベルを評価するステップと、
隣接する前記一時的ピクセルのレベルを比較するステップと、
前記レベルによって符号が変化する、隣接する一時的ピクセル対を選択するステップと、
全ての選択対から、前記レベルがよりゼロに近い、一時的ピクセルに基づく位置を選択するステップ
を有することを特徴とする(6)に記載の拡大方法。
(10). 前記追加ピクセル発生ステップにおいて、
1つ以上のもとのピクセルのレベルを補間し、もとのピクセルにすぐ近接した1つ以上の追加ピクセルのレベルを作り出すステップ
を有することを特徴とする(2)または(3)に記載の拡大方法。
(11). 前記追加ピクセルの発生ステップにおいて、
ウインドウ・サイズを選択するステップを有し、
前記境界にすぐ近接した全ての追加ピクセルに関して、
前記追加ピクセルに対してウインドウのセンタリングを行うステップと、
前記ウインドウ内にあって、追加ピクセルの境界側に位置する、もとのピクセルの平均レベルを計算するステップと、
前記追加ピクセルのレベルが、平均レベルから所定の値を超えて異なる場合、追加ピクセルのレベルを平均レベルに置換するステップ
を有することを特徴とする(2)または(3)に記載の拡大方法。
(12). 前記イメージがハーフトーン・イメージであり、
(1)に記載の方法を実施する前に、前記イメージに逆ハーフトーン処理を施して、連続したイメージを形成するステップと、
(1)に記載の方法を実施した後、結果生じたイメージにハーフトーン処理を施して、ハーフトーン・イメージを形成するステップ
を有することを特徴とする(1)に記載の拡大方法。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明を用いると、デジタル・イメージを拡大させてもエッジをくっきりとさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】拡大前のイメージを示す図である。
【図2】先行技術のピクセル複製技法によって拡大されたイメージを示す図である。
【図3】先行技術の双一次式補間技法によって拡大されたイメージを示す図である。
【図4】本発明によるデジタル・イメージの望ましい拡大方法の1つを示す図である。
【図5】レベル変化の大きい位置を見つけ出す望ましい方法の1つを示す図である。
【図6】零交叉の位置を見つけ出す望ましい方法の1つを示す図である。
【図7】本発明の場合のもとのピクセルと一時的ピクセルに関する境界を示す図である。
【図8】本発明の場合のもとのピクセル、一時的ピクセル、及び、目標ピクセルに関する境界を示す図である。
【図9】レベル変化の大きい位置を見つけ出すもう1つの望ましい方法を示す図である。
【図10】本発明のエッジ・マップの例を示す図である。
【図11A】本発明による補間法の2つの例を示す図である。
【図11B】本発明による補間法の2つの例を示す図である。
【図11C】本発明による補間法の2つの例を示す図である。
【図11D】本発明による補間法の2つの例を示す図である。
【図11E】本発明による補間法の2つの例を示す図である。
【図12A】境界に隣接する異常の補正方法を示す図である。
【図12B】境界に隣接する異常の補正方法を示す図である。
【図13】エッジ・マップを利用して形成された拡大イメージを示す図である。
【図14】本発明によるデジタル・イメージのもう1つの望ましい拡大方法である。
【図15】本発明によるフィードバック法を示す図である。
【図16】先行技術による平均化プロセスの2次元例を示す図である。
【図17】本発明による修正ステップの例を示す図である。
【図18】フィードバック法によって形成された拡大イメージを示す図である。
【符号の説明】
276、281、282、283:一時的ピクセル
280、284:もとのピクセル
286、288:目標ピクセル
377、379、381、383、387、389、396:もとのピクセル
382、384、390、393、395、397:仮想ピクセル
385、392、394、:追加ピクセル
475:ウインドウ
477:追加ピクセル
479、481、483:もとのピクセル
570:拡大イメージ
572:縮小イメージ

Claims (9)

  1. 拡大されたイメージを形成するように、複数のもとのピクセルを備えた、デジタル・イメージを拡大するための方法であって、各ピクセルは、ピクセルの強度を示すレベルを有し、ピクセルは、解像度を規定する位置に配置されており、
    前記デジタル・イメージを解析し、レベルが大幅に変化する近傍の位置を見つけ出し、見つけ出した位置を接続してエッジを形成することによって、複数の境界を備えたエッジ・マップを作成するステップと、
    前記デジタル・イメージに、エッジ・マップを投影するステップと、
    もとのピクセル間の位置に1つ以上の追加ピクセルを発生するステップであって、前記エッジ・マップによって設定された境界をその間に含まない、1つ以上のもとのピクセルのレベルを使用して補間を行うことにより、追加ピクセルのレベルを決めるステップと、を有し、これによって、追加ピクセルの総数が、前記もとのピクセルの数及び拡大率と関連づけられるようにする方法であって、
    複写イメージを形成するようにデジタル・イメージを複写するステップと、
    補間プロセスによって、追加ピクセルに基づいて、Rは少なくとも 1 であるとして、複写イメージをR倍に拡大するステップと、
    Rによって大きさの定まる一定数のピクセルを、当該一定数のピクセルのレベルの平均値のレベルを有する 1 ピクセルに置き換えることによって、拡大イメージをR分の 1 に縮小するステップと、
    もとの各ピクセルの位置において、縮小イメージとデジタル・イメージとの差を計算するステップと、
    計算するステップから得られた差の、当該ピクセルに対して計算された差の選択された倍数によって、複写イメージの各ピクセルを修正するステップと、
    計算するステップから得られた差が予め選択された値よりも大きければ、拡大するステップから繰り返すステップと、をさらに含み、
    計算するステップから得られた差が予め選択された値以下であれば、拡大複製イメージは、所望の拡大イメージである、方法。
  2. デジタル・イメージが 1 次元で拡大・縮小され、当該一定数がRである請求項 1 に記載の拡大方法。
  3. デジタル・イメージが2次元で拡大・縮小され、当該一定数がR×Rである請求項 1 に記載の拡大方法。
  4. デジタル・イメージが3次元で拡大・縮小され、当該一定数がR×R×Rである請求項 1 に記載の拡大方法。
  5. 修正するステップが、計算するステップから当該ピクセルにおいて得られた差の選択された係数によって、複写イメージの各ピクセルを修正することを含む請求項1から3のいずれかに記載の拡大方法。
  6. イメージが単色である請求項1に記載の拡大方法。
  7. イメージがカラーである請求項1に記載の拡大方法。
  8. イメージが連続トーン・イメージである請求項1に記載の拡大方法。
  9. 前記イメージがハーフトーン・イメージであり、請求項1に記載の方法を実施する前に、前記イメージに逆ハーフトーン処理を施して、連続したイメージを形成するステップと、請求項1に記載の方法を実施した後、結果生じたイメージにハーフトーン処理を施して、ハーフトーン・イメージを形成するステップを有する請求項1に記載の拡大方法。
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