JP3784747B2 - 蒸発燃料処理系の漏れ診断装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンク内で発生する蒸発燃焼を処理する蒸発燃料処理系に関し、より詳しくは、その蒸発燃料処理系の漏れの有無を診断する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料タンク内で発生する蒸発燃料を処理する蒸発燃料処理系は、一般に、蒸発燃料の吸着材(活性炭等)を内蔵したキャニスタを備え、このキャニスタが燃料タンクに第1通路を介して接続されると共に、第2通路を介して内燃機関の吸気系(吸気管)に接続されている。キャニスタは、その内部を大気側に連通させる通気口を備え、この通気口は開閉弁(所謂ベントシャット弁)により開閉可能とされている。また、第2通路には制御弁(所謂パージ制御弁)が設けられている。このように構成された蒸発燃料処理系では、燃料タンク内で発生した蒸発燃料をキャニスタ内の吸着材で一時的に吸着・保持し、その吸着した蒸発燃料を適宜、内燃機関の吸気系に供給して該内燃機関で燃焼させるようにしている。
【0003】
この種の蒸発燃料処理系では、外部(大気側)への蒸発燃料の漏れの有無を診断する必用がある。そして、その診断手法としては、例えば、特開平11−336626号公報に見られるように、内燃機関の運転停止後、前記ベントシャット弁及びパージ制御弁を閉弁させた状態、すなわち蒸発燃料処理系を閉空間にした状態で、蒸発燃料処理系内の圧力と大気圧との差圧の推移を検出し、その差圧の変動量に基づいて漏れの有無を診断するものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関の運転停止後、蒸発燃料処理系を閉空間にした状態での該蒸発燃料処理系内の圧力変化は、漏れの有無だけでなく、外気温の影響を受け易い。従って、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断の信頼性を確保するためには、外気温の影響を適正に排除することが必要となり、そのためには、外気温を適正に把握することが必要となる。この場合、自動車やハイブリッド車等の車両では、通常、内燃機関の運転制御等のために内燃機関の吸入空気の温度を検出する吸気温度センサがエンジンルーム内で内燃機関の吸気系に備えられている。従って、その吸気温度センサの検出温度を外気温として把握することが考えられる。しかるに、吸気温度センサの検出温度は、内燃機関の運転中は該内燃機関やエアコン装置等から発する熱の影響を受ける。また、車両の停車中や、渋滞による低速走行時等には日射の影響を受ける。このため、吸気温度センサの検出温度は、実際の外気温と一致しない場合が多く、吸気温度センサの検出温度をそのまま用いても、外気温を適正に把握することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、このような背景に鑑み、外気温の影響を適正に排除し、蒸発燃料処理系の漏れの診断の信頼性を確保することができる蒸発燃料処理系の漏れ診断装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の蒸発燃料処理系の漏れ診断装置は、燃料タンクと、大気に連通する通気口を有すると共に前記燃料タンク内で発生する蒸発燃料を吸着する吸着材を有するキャニスタと、該キャニスタと前記燃料タンクとを接続する第1通路と、前記キャニスタと内燃機関の吸気系とを接続する第2通路と、前記キャニスタの通気口を開閉可能な第1弁と、前記第2通路を開閉可能な第2弁とを備えた蒸発燃料処理系において、前記内燃機関の運転停止後、前記第1弁及び第2弁を閉弁して前記蒸発燃料処理系を閉空間にした状態で、該蒸発燃料処理系内の圧力を検出し、その検出圧力に基づいて該蒸発燃料処理系の漏れの有無を診断する診断装置である。
【0007】
そして、本発明の第1の態様は、前記の目的を達成するために、前記内燃機関に吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出手段と、前記内燃機関の機関温度を検出する機関温度検出手段と、前記内燃機関の運転中に前記車両の外気温の推定値を求める外気温推定手段と、該外気温推定手段が求めた外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かにより前記内燃機関の運転停止後における前記蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可又は禁止する漏れ診断可否決定手段とを備え、前記外気温推定手段は、前記内燃機関の始動前の停止状態が第1所定時間以上継続した場合での前記内燃機関の始動後、第2所定時間が経過するまでの始動直後期間において、前記機関温度検出手段による検出温度の最小値と前記吸気温度検出手段による検出温度の最小値とのうちの小さい方を外気温推定値として得ることを特徴とするものである。
【0008】
かかる本発明の第1の態様によれば、内燃機関の始動前の停止状態が第1所定時間以上継続した場合での内燃機関の始動後、第2所定時間が経過するまでの始動直後期間において、機関温度検出手段による検出温度の最小値と前記吸気温度検出手段による検出温度の最小値とのうちの小さい方を外気温推定値として得るので、この始動直後期間における外気温推定値の信頼性が確保される。すなわち、内燃機関の始動前の停止状態が第1所定時間以上、継続しておれば、基本的には、内燃機関の始動時には、機関温度(機関温度検出手段による検出温度)及び吸気温度(吸気温度検出手段による検出温度)のうちの少なくとも一方は実際の外気温とほぼ同等になっていると考えられる。この場合、車両に直射日光が当たるような環境下では、吸気温度は実際の外気温度よりも高くなっている場合があるものの、機関温度は一般には実際の外気温に近い温度になっている。また、内燃機関の始動直後は、吸気温度検出手段の周辺の温度は未ださほど高くないので、内燃機関の始動により外気が内燃機関の吸気系に流れることで、吸気温度検出手段による吸気温度は、少なくとも一時的には、実際の外気温に近づくと考えられる。従って、上記のように始動直後期間における外気温推定値を得ることにより、その外気温推定値の信頼性を確保することができる。そして、この外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かによって、内燃機関の運転停止後における蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可又は禁止することにより、外気温の影響を適正に排除し、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断の信頼性を確保することができる。
【0009】
また、本発明の蒸発燃料処理系の漏れ診断装置の第2の態様は、前記内燃機関に吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出手段と、前記内燃機関を搭載した車両の速度を検出する車両速度検出手段と、前記内燃機関の負荷を検出する機関負荷検出手段と、前記内燃機関の運転中に前記車両の外気温の推定値を求める外気温推定手段と、該外気温推定手段が求めた外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かにより前記内燃機関の運転停止後における前記蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可又は禁止する漏れ診断可否決定手段とを備え、前記外気温推定手段は、前記車両速度検出手段による検出速度と前記機関負荷検出手段による検出負荷とが所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した場合に、前記吸入空気温度検出手段による検出温度との偏差が所定のオフセット値に応答遅れを有して追従する値をなまし処理により求め、その求めた値を外気温推定値として得ることを特徴とするものである。
【0010】
すなわち、本願発明者等の知見によれば、車両の速度と、内燃機関の負荷(より詳しくは内燃機関の単位時間当たりの燃料供給量もしくは吸入空気量の状態)とがある所定の条件(車速・負荷条件)を満たす場合には、それらの車両の速度及び内燃機関の負荷が一定に維持される定常状態において、吸気温度(前記吸気温度検出手段による検出温度)は、実際の外気温とほぼ一定の偏差を有する値に収束する。つまり、吸気温度と実際の外気温との間の相関性がほぼ一定のものとなる。また、車両の速度や内燃機関の負荷が変化したとき、吸気温度は、実際の外気温と所定の偏差を有する値に向かって、応答遅れ(基本的には一次遅れ)を伴って追従する。そこで、本発明の第2の態様では、前記のように車両の検出速度と内燃機関の検出負荷とが所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した場合に、吸入空気温度検出手段による検出温度との偏差が所定のオフセット値に応答遅れを有して追従する値をなまし処理により求め、その求めた値を外気温推定値として得る。これにより、車両の速度と内燃機関の負荷とが所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した場合における外気温推定値の信頼性を確保することができる。そして、この外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かによって内燃機関の運転停止後における蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可又は禁止することにより、外気温の影響を排除して、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断の信頼性を確保することができる。
【0011】
尚、本発明の第1及び第2の態様において、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可するか禁止するかを規定する前記外気温推定値に係わる所定の外気温条件は、該外気温推定値が所定の範囲内にあるか否かの条件を含むことが好ましい。すなわち、外気温推定値(ひいては実際の外気温)が低過ぎると、凍結による前記第1弁もしくは第2弁の動作不良を生じたり、キャニスタの通気口が雪でふさがれたりして、蒸発燃料処理系内の圧力に基づく漏れの有無の診断を正常に行うことができない虞れがある。また、外気温推定値(ひいては実際の外気温)が高過ぎると、蒸発燃料処理系内の圧力が外気温の影響を大きく受けるため、蒸発燃料処理系内の圧力に基づく漏れの有無の診断の信頼性を確保することが困難である。従って、外気温推定値が所定範囲内にある場合には、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可し、所定範囲内に無い場合には、漏れの有無の診断を禁止することが好適である。
【0012】
前記した本発明の第1の態様及び第2の態様は、複合的に備えることがより好ましい。この場合には、本発明の第1の態様において、前記内燃機関を搭載した車両の速度を検出する車両速度検出手段と、前記内燃機関の負荷を検出する機関負荷検出手段とを備える。そして、前記外気温推定手段は、前記始動直後期間の経過後は、前記車速検出手段による検出速度と前記機関負荷検出手段による検出負荷とが所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した場合に、前記吸入空気温度検出手段による検出温度との偏差が所定のオフセット値に応答遅れを有して追従する値をなまし処理により求め、その求めた値を外気温推定値として得るようにすればよい。
【0013】
このように本発明の第1の態様と第2の態様とを複合的に備えることで、内燃機関の始動後、信頼性の高い外気温推定値を得ることができる機会が増える。また、内燃機関の始動後、車両が移動して、外気温が内燃機関の始動直後と異なるものとなったとしても、前記なまし処理による外気温推定値によって、外気温を適正に把握することができる。ひいては、外気温の影響を排除して、蒸発燃料処理系の漏れを適正に診断し得る機会が増え、その診断を適正な頻度で実行することができる。
【0014】
尚、前記オフセット値は、車両速度検出手段による検出速度に応じて設定することが好ましい。より詳しくは、車両の速度が大きい程、定常状態における吸気温度と実際の外気温との偏差が小さくなるので、車両速度検出手段による検出速度が大きい程、オフセット値は小さくなるように設定することが好ましい。また、前記なまし処理におけるなまし係数(前記応答遅れの度合いを規定する係数)は、負荷検出手段による内燃機関の検出負荷に応じて設定することが好ましい。より詳しくは、内燃機関の負荷が大きい程、吸気系の空気速度が速まり、車両の速度や内燃機関の負荷の変化に伴う吸気温度の変化が速まるので、機関負荷検出手段による検出負荷が大きい程、なまし係数は大きくなるように設定することが好ましい。
【0015】
上述のようになまし処理により外気温推定値を求める本発明では、前記所定の車速・負荷条件は、少なくとも前記検出速度及び前記検出負荷がそれぞれ所定値以上であるという条件を含むことが好ましい。すなわち、車両の速度が小さ過ぎると、内燃機関の発熱や、エアコン装置の発熱の影響が大きくなって、吸気温度検出手段による検出温度と実際の外気温との一定的な相関性が顕れにくくなる。また、内燃機関の負荷が小さ過ぎると、内燃機関の吸気系を流れる空気の流速が小さくなって、吸気温度検出手段による検出温度が不安定になりやすい。従って、前記検出速度及び検出負荷がそれぞれ所定値以上であるときに、前記なまし処理により外気温推定値を求めることで、該外気温推定値の信頼性を高めることができる。
【0016】
また、前記第1の態様及び第2の態様を複合させた本発明では、前記外気温推定手段は、前記始動直後期間の経過後、前記検出速度及び検出負荷が前記所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続するまでは、前記始動直後期間で求めた外気温推定値を前記始動直後期間の経過後における外気温推定値として保持することが好ましい。また、前記外気温推定手段は、前記始動直後期間の経過後、前記検出速度及び検出負荷が前記所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した後、該所定の車速・負荷条件が満たされなくなったときには、再び、該所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続するまで、前記所定の車速・負荷条件が満たされたくなった時点以前で最後に求めた外気温推定値を、該所定の車速・負荷条件が満たされなくなった状態での外気温推定値として保持することが好ましい。
【0017】
このようにすることにより、吸気温度(吸気温度検出手段による検出温度)と、実際の外気温との間の一定的な相関性が十分に保てないような状況で、前記なまし処理により信頼性の低い外気温推定値が求められるような事態を回避することができる。同時に、内燃機関の運転時の大部分の期間にわたって、比較的精度のよい外気温推定値を求めることが可能となる。その結果、内燃機関の始動後、該内燃機関の運転が停止されるタイミングによらずに、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を適正に行い得るか否かを判断する(外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かを判断する)ことができ、ひいては、漏れの有無の診断を実行した場合の診断結果の信頼性を確保することができる。
【0018】
また、本発明では、前記蒸発燃料処理系の漏れの有無を診断するための前記検出圧力に対する判定閾値を、前記外気温推定手段による外気温推定値に応じて設定する手段を備えることが好ましい。
【0019】
これによれば、前記判定閾値を外気温推定値に応じて設定するので、漏れの有無の診断を実行する場合に、外気温が及ぼす影響を確実に補償することができ、その診断結果の信頼性をさらに高めることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1〜図10を参照して説明する。図1は本実施形態の装置の全体構成を示すブロック図である。同図において、1は例えば自動車に車両の推進源として搭載されたエンジン(内燃機関)、2は電子制御ユニット(以下、ECUという)、3は蒸発燃料処理系である。エンジン1は例えば4気筒エンジンである。
【0021】
エンジン1の吸気系を構成する吸気管4は、車両のエンジンルーム(図示せず)に配置されており、その上流端部には、吸気管4に導入される空気(外気)から塵等を除去するエアクリーナ5が装着されている。エアクリーナ5の下流側における吸気管4の途中部には、上流側から順に、吸気温度TAOB(吸気管4内における空気の温度)を検出する吸気温度センサ6(吸気温度検出手段)と、吸気量を調整するスロットル弁7と、吸気管内圧PBA(詳しくは吸気管4内の絶対圧)を検出する吸気管内圧センサ8と、燃料を吸気管4に噴射して空気と混合させる燃料噴射弁9とが設けられている。また、スロットル弁7の配置箇所には、該スロットル弁7の開度THAを検出するスロットル弁開度センサ10が設けられている。上記各センサ6,8,10は、それぞれの検出値を示す電気信号をECU2に出力する。
【0022】
燃焼噴射弁9は、エンジン1の各気筒の吸気バルブ(図示せず)の若干上流側で各気筒毎に設けられている。各燃料噴射弁9は、燃料供給管11を介して燃料タンク12に接続されており、燃料供給管11の途中に設けられた燃料ポンプ13の作動により燃料タンク12から燃料が供給される。そして、各燃料噴射弁9は、その開弁時間(ひいては燃料噴射量)がECU2により制御されるようになっている。
【0023】
また、エンジン1の回転数NE(回転速度)を検出する回転数センサ14と、エンジン1の冷却水温を機関温度として検出する水温センサ15(機関温度検出手段)と、車両のイグニッションスイッチ16と、車両の速度VPを検出する車速センサ17(車両速度検出手段)とが備えられている。回転数センサ14、水温センサ15及び車速センサ17はそれぞれの検出値を示す電気信号をECU2に出力し、イグニッションスイッチ16は、そのON/OFFを示す電気信号をエンジン1の運転/停止を指示する信号としてECU2に出力する。
【0024】
前記蒸発燃料処理系3は、燃料タンク12と、キャニスタ18と、これらを接続する第1通路としてのチャージ通路19と、キャニスタ18を吸気管4に接続する第2通路としてのパージ通路20とを備えている。
【0025】
燃料タンク12には、給油のための給油口21が設けられ、この給油口21には、フィラーキャップ22が着脱自在に取り付けられている。また、燃料タンク12内には、該燃料タンク12内の燃料残量FLVLを検出するフロート式の燃料残量センサ23が収容されている。この燃料残量センサ23は、燃料残量FLVLの検出値を示す電気信号をECU2の出力する。
【0026】
チャージ通路19には、二方向弁24が設けられている。詳細な図示は省略するが、この二方向弁24は、燃料タンク12内の圧力が大気圧より第1所定圧(例えば2.7kPa(20mmHg))以上高いときに開弁する正圧弁と、燃料タンク12内の圧力がキャニスタ18内の圧力よりも第2所定圧(例えば1.3kPa(10mmHg)以上低いときに開弁する負圧弁とから構成されている。また、チャージ通路19には、二方向弁24をバイパスするバイパス通路25が接続されており、このバイパス通路25にはバイパス弁26が設けられている。該バイパス弁26は、通常は閉弁状態とされる電磁開閉弁であり、後述する漏れ診断処理においてECU2の制御により開閉される。
【0027】
さらに、チャージ通路19には、二方向弁24と燃料タンク12との間の箇所での圧力PTANKを検出する圧力センサ27が設けられている。ここで、圧力センサ27が検出する圧力PTANKは、後述する漏れ診断処理において、蒸発燃料処理系3内の圧力としての意味を持つものである。この圧力センサ27は、その検出値を示す電気信号をECU2に出力する。尚、圧力センサ27が検出する圧力PTANK(処理系内圧力PTANKという)は、キャニスタ18及び燃料タンク12内の圧力が安定している定常状態では、燃料タンク12内の圧力に等しくなるが、キャニスタ18又は燃料タンク12内の圧力が変化しているときには、燃料タンク12内の実際の圧力とは異なるものとなる。
【0028】
キャニスタ18は、燃料タンク12内で発生する蒸発燃料を吸着する吸着材としての活性炭(図示せず)を内蔵するものである。このキャニスタ18は、その内部を大気側に連通させるための通気口28を備えており、この通気口28に接続された通気路29を介して大気側に連通可能とされている。通気路29には、第1弁としてのベントシャット弁30が設けられている。このベントシャット弁30は、常開型の電磁開閉弁であり、ECU2により開閉制御される。例えば燃料タンク12への給油やキャニスタ18のパージ処理(キャニスタ18内の活性炭が吸着した蒸発燃料をエンジン1の吸気系に供給する処理)を行うときにはベントシャット弁30は開弁保持され、後述する漏れ診断処理においては開閉される。
【0029】
パージ通路20は、スロットル弁7の下流側(燃料噴射弁9の上流側)で吸気管3に接続されている。そして、パージ通路20の途中部には、第2弁としてのパージ制御弁31が設けられている。このパージ制御弁31は、その開度を、PWM制御により全閉状態から全開状態まで連続的に変更可能な電磁制御弁であり、PWM制御のパルス信号のデューティを調整することによりその開度が制御される。この制御はECU2により行われる。
【0030】
尚、上述のように構成された蒸発燃料処理系3では、燃料タンク12の給油時等に該燃料タンク12内の蒸発燃料が増加し、燃料タンク12内の圧力が上昇すると、前記二方向弁24の正圧弁が開く。これにより燃料タンク12内の蒸発燃料が、燃料タンク12からチャージ通路19を介してキャニスタ18に供給され、該キャニスタ18内の活性炭により吸着される。そして、エンジン1の所定の運転状態で、パージ制御弁31がECU2により所要の開度で開弁側に制御され、キャニスタ18内の活性炭で吸着された蒸発燃料がパージ通路20を介して吸気管4に供給され、エンジン1で燃焼される。
【0031】
ECU2は、図示を省略するCPU、RAM、ROMから構成されるマイクロコンピュータを含めて構成された電子回路ユニットである。そして、ECU2は、前述の吸気温度センサ6等、各センサの出力信号や、あらかじめROMに記憶保持されたプログラム及び設定データに基づいて、前記燃料噴射弁9、パージ制御弁31、バイパス弁26、ベントシャット弁30等、ECU2に接続された各アクチュエータの動作を制御し、これにより、エンジン1の運転制御や蒸発燃料処理系3の動作制御を行なう。
【0032】
ここで、ECU2は、本発明における外気温推定手段、漏れ診断可否決定手段、機関負荷検出手段としての機能を有するものである。これらの機能のうち、機関負荷検出手段としての機能では、ECU2は次のようにエンジン1の負荷(機関負荷)を検出(本実施形態では推定)する。すなわち、エンジン1の負荷は、エンジン1への単位時間当たりの燃料供給量、もしくは単位時間当たりの吸気量により表されるものである。そして、本実施形態では、ECU2は、自身が燃料噴射弁9を制御する際に、エンジン1の回転速度NEに同期して(詳しくは前記回転数センサ14がエンジン1のクランク軸の所定の回転角度毎に発生するパルス信号(TDC信号)に同期して)算出する燃料噴射弁9の基本燃料噴射時間(基本燃料噴射量)Tinに回転数センサ14による回転速度NEの検出値を乗算してなる値Tin×NEをエンジン1の負荷NTIとして求める。この場合、上記基本燃料噴射時間Tinは、例えばエンジン1の回転数NEの検出値と、吸気管内圧センサ8による吸気管内圧PBAの検出値とから、マップ検索等により求められる。このようにして求められる値NTI=Tin×NEは、エンジン1の単位時間当たりの燃料供給量に相当するものとなり、エンジン1の負荷を表すものとなる。
【0033】
尚、エンジン1の吸気量をエアフローセンサ等により直接的に検出するようにした場合には、その検出値により把握される単位時間当たりの吸気量をエンジン1の負荷を表すものとして用いてもよい。
【0034】
また、ECU2の機能のうち、前記外気温推定手段、漏れ診断可否決定手段は、ECU2が実行する後述する処理のアルゴリズムにより構成されるものである。
【0035】
次に、本実施形態の装置の作動を、本発明に関連した事項を中心に説明する。本実施形態では、エンジン1の始動後の運転中において、ECU2は、図2のフローチャートに示す処理を実行し、外気温推定値TAOPを求める処理を実行する。この処理(以下、外気温推定処理という)は、ECU2の外気温推定手段としての機能によるものであり、エンジン1の運転中に、所定のサイクルタイム(処理周期。例えば1sec)で逐次実行される。
【0036】
図2を参照して、ECU2は、まず、STEP1で、エンジン1の始動前の停止状態が所定時間(第1所定時間)以上、継続したか否かをそれぞれ値「0」、「1」で表すフラグF/SOAKの値を判断する。このフラグF/SOAKは、エンジン1の運転停止時もしくはエンジン1の運転中に「1」に初期化され、エンジン1の運転停止後、その停止状態での経過時間が第1所定時間に達したときに「0」に設定される。この場合、この第1所定時間は、基本的には、エンジン1の運転停止後、エンジン1の機関温度(冷却水温TW)がほぼ外気温と同等になるまでに要する時間に設定されており、例えば8時間である。尚、この第1所定時間は、例えばエンジン1の運転停止時に、前記水温センサ15により検出される冷却水温TW等に応じて設定するようにしてもよい。
【0037】
STEP1でF/SOAK=1である場合、すなわち、エンジン1の始動前の停止時間が短くて、該エンジン1の余熱の発生が未だ残っているような状態では、ECU2は、今回のサイクルタイムにおける外気温推定処理を直ちに終了する。従って、実質的な外気温推定処理は、F/SOAK=0の場合、すなわち、エンジン1の始動前の停止時間が十分に長く、エンジン1の余熱の発生が実質的に解消された状態でエンジン1の運転が再開された場合に実行される。
【0038】
STEP1でF/SOAK=0である場合には、ECU2は、STEP2において、エンジン1の始動後の経過時間T1SACRが所定時間TM2(第2所定時間)に達したか否かを判断する。この第2所定時間TM2は、エンジン1の始動直後の状態(始動直後期間)であるか否かを判断するためのものであり、例えば10分〜20分の時間にあらかじめ設定されている。
【0039】
STEP2において始動後経過時間T1SACRが第2所定時間TM2に達していない場合、すなわち、現在タイミングがエンジン1の始動直後期間内のタイミングである場合には、ECU2は、STEP3の処理を実行する。すなわち、前記吸気温度センサ6による吸気温度TAOBの検出値の現在値TAOB(k)と、水温センサ15によるエンジン1の冷却水温TWの検出値の現在値TW(k)と、外気温推定値TAOPの現在値TAOP(k-1)(前回のサイクルタイムで求められた値)とのうちの最小値MIN(TAOB(k),TW(k),TAOP(k-1))が、新たな外気温推定値TAOP(k)として求められる。尚、エンジン1の始動後、最初にSTEP3の処理が実行される前の外気温推定値TAOP(外気温推定値TAOPの初期値TAOP(0))は、STEP3の最初の処理の実行時に必ず吸気温度TAOBの検出値TAOB(1)及び冷却水温TWの検出値TW(1)のいずれか小さい方の値以上の値になるように設定されている。例えば、外気温推定値TAOPの初期値TAOP(0)は、MIN(TAOB(1),TW(1))に設定されている。
【0040】
次いで、ECU2は、STEP4,5の処理を順次実行し、今回のサイクルタイムの処理を終了する。この場合、STEP4の処理では、後述する車速・負荷条件が満たされる状態が所定時間TM3(第3所定時間)以上、継続したか否かを判断するためのカウントダウンタイマTTAODLYの値を該第3所定時間TM3に初期化する。尚、この第3所定時間TM3は、例えば20秒である。
【0041】
また、STEP5の処理では、吸気温度TAOBの検出値の現在値TAOB(k)と外気温推定値TAOPの現在値TAOP(k)との偏差TAOB(k)−TAOP(k)を、後述のなまし処理に係わるオフセット値TAOPOFSTの初期値として求める。
【0042】
尚、始動直後期間(T1SACR<TM2となる期間)では、STEP2〜5の処理が繰り返されることとなるため、カウントダウンタイマTTAODLYの値と、オフセット値TAOPOFSTの値とは、外気温推定処理のサイクルタイム毎に初期化され、また、それらの値は外気温推定値TAOPを求めるためには使用されない。
【0043】
上述のように始動直後期間では、STEP3の処理が繰り返されることで、該始動直後期間内における吸気温度TAOBの検出値の最小値と、冷却水温TWの検出値の最小値とのうちの小さい方の値が外気温推定値TAOPとして求められることとなる。この場合、STEP3の処理は、エンジン1の始動前の停止状態が前記第1所定時間以上継続した後のエンジン1の始動直後の状態で実行される。このため、基本的には、エンジン1の余熱の影響は無いと共に、日射の影響を受けたとしても、前記始動直後期間内の少なくとも一つの時点(基本的には始動直後期間内の初期の期間における時点)では、吸気温度TAOBの検出値と冷却水温TWの検出値とのいずれか一方は、実際の外気温に近い値を採る。また、吸気温度TAOBの検出値と冷却水温TWの検出値とのいずれかがエンジン1の始動後に実際の外気温よりも低い温度になることは基本的には無い。従って、始動直後期間におけるSTEP3の処理によって、信頼性の高い(比較的精度のよい)外気温推定値TAOPを求めることができることとなる。
【0044】
始動直後期間が経過し、STEP2でT1SACR≧TM2になると、ECU2は、次に、STEP6において、前記車速センサ17による車両速度VPの検出値の現在値VP(k)が所定の条件(以下、車速条件という)を満たすか否かを判断する。この車速条件は、車両速度VPの検出値の現在値VP(k)が所定値VPL以上という条件であり、該所定値VPLは本実施形態では例えば40km/hに設定されている。そして、この車速条件が満たされない場合(VP(k)<VPLの場合)には、ECU2は、前述のSTEP4,5の処理を実行し、今回のサイクルタイムにおける外気温推定処理を終了する。従って、この場合には、外気温推定値TAOPの値は更新されず、現在値に保持されることとなる。
【0045】
一方、STEP6で、車速条件が満たされている場合(VP(k)≧VPLの場合)には、ECU2は、自身が前述したように求めるエンジン1の負荷NTIの検出値(算出値)の現在値NTI(k)が所定の負荷条件を満たすか否かをSTEP7,8の処理により判断する。この負荷条件は、本実施形態では、エンジン1の現在の負荷NTI(k)が所定の範囲内にあるという条件である。そして、ECU2は、STEP7において、この負荷条件に係わる負荷NTI(k)の下限値NTILと上限値NTIHとをそれぞれ車両速度の現在値VP(k)に応じて設定する。この設定は例えばあらかじめ定められたデータテーブルに基づいて行われる。この場合、基本的には、車両速度VP(k)が大きくなるほど、下限値NTIL及び上限値NTIHは共により大きな値になるように設定される。
【0046】
そして、ECU2は、エンジン1の負荷の現在値NTI(k)が上記のように設定した下限値NTIL及び上限値NTIHにより定まる範囲内にあるか否か(NTIL≦NTI(k)≦NTIHであるか否か)、すなわち、負荷条件を満たすか否かをSTEP8で判断する。
【0047】
このとき、エンジン1の負荷の現在値NTI(k)が負荷条件を満たさない場合(NTI(k)<NTIL又はNTI(k)>NTIHである場合)には、前記車速条件が満たされなかった場合と同様、ECU2はSTEP4,5の処理を実行して、今回のサイクルタイムにおける外気温推定処理を終了する。従って、この場合には、外気温推定値TAOPの値は更新されず、現在値に保持されることとなる。
【0048】
一方、STEP8で負荷条件が満たされた場合(NTIL≦NTI(k)≦NTIHである場合)には、ECU2は、前記カウントダウンタイマTTAODLYの値が「0」に達したか否か、すなわち、前記車速条件及び負荷条件が満たされる状態(以下、車速・負荷条件成立状態という)が、第3所定時間TM3(20秒)以上継続したか否かをSTPE8で判断する。
【0049】
このとき、車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続しておらず、TTAODLY>0である場合には、ECU2は、STEP5の処理を実行し、今回のサイクルタイムの処理を終了する。従って、この場合には、オフセット値TAOPOFSTの値のみが、吸気温度TAOBの検出値の現在値TAOB(k)と外気温推定値TAOPの現在値TAOP(k)との偏差TAOB(k)−TAOP(k)に初期化される。
【0050】
また、STEP9で、車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続して、TTAODLY≦0になった場合には、ECU2は、以下に説明するSTEP10〜13の処理を実行することにより、新たな外気温推定値TAOP(k)を求め、今回のサイクルタイムの処理を終了する。
【0051】
ここで、STEP10〜13の処理を詳細に説明する前に、前記車速・負荷条件成立状態において吸気温度センサ6が検出する吸気温度TAOBと、実際の外気温との関係について図3を参照して説明しておく。図3のグラフaは、例えば前記車速条件を満たす一定の車両速度(例えば80km/h)で走行しているときに、エンジン1の負荷NTIを高負荷状態から前記負荷条件を満たす負荷に急変(急減)させ、且つ、その急変後の負荷にエンジン1の負荷NTIを継続的に維持した場合における吸気温度センサ6による吸気温度TAOBの検出値の経時的変化の様子を例示するものである。
【0052】
前記車速・負荷条件成立状態において、車両速度VPとエンジン1の負荷NTIとが継続的に一定に維持された状態(以下、車速・負荷定常状態という)では、吸気温度TAOBの検出値は、最終的(定常的)には、実際の外気温と一定的な相関性を有するようになる。具体的には、図3のグラフaで示すように、吸気温度TAOBは、実際の外気温(これは、ここでは一定である)と一定の偏差OFSTOBJ(以下、定常オフセットOFSTOBJという)を有する温度TAOBST(≧実際の外気温)に収束する。尚、定常オフセットOFSTOBJは、車両速度VPに応じたものになり、車両速度VPが大きい程、定常オフセットOFSTOBJは小さくなる。
【0053】
また、図3のグラフaに見られるように、エンジン1の負荷NTIの急変後の過渡期においては、吸気温度TAOBの検出値は、基本的には、実際の外気温と前記定常オフセットOFSTOBJを有する温度TAOBST(以下、定常吸気温度TAOBSTという)に、応答遅れ(一次遅れ)を伴って追従する(収束する)ように変化する。換言すれば、エンジン1の負荷NTIの変化後、吸気温度TAOBの検出値と実際の外気温との偏差は、前記定常オフセットOFSTOBJに応答遅れ(一次遅れ)を伴って追従するように変化する。尚、その応答遅れの度合い(吸気温度TAOBの検出値の定常吸気温度TAOBSTへの収束速度)は、エンジン1の負荷NTIに応じたものとなり、基本的には、負荷NTIが大きい程、吸気温度TAOBの検出値の定常吸気温度TAOBSTへの収束の遅れが小さくなる。
【0054】
そして、上記のような吸気温度TAOBと実際の外気温との相関性は、前記車速・負荷条件成立状態において比較的顕著になる。すなわち、車両速度VPが前記車速条件を満たさず(VP<VPL)、車両速度VPが小さすぎる状態では、吸気温度TAOBの検出値がエンジン1の発熱や、図示しない車両のエアコン装置のON/OFF等の影響を受け易く、実際の外気温との相関性が不鮮明なものとなる。また、エンジン1の負荷NTIが前記負荷条件を満たさず(NTI<NTIL又はNTI>NTH)、エンジン1の負荷NTIが小さすぎる状態では、吸気管4内を吸気温度センサ6に接触しつつ流れる空気の流速が小さいために、吸気温度TAOBの検出値が不安定となって、実際の外気温との相関性が不鮮明になる。さらに、エンジン1の負荷NTIが大きすぎる状態では、吸気温度TAOBの検出値がエアコン装置のON/OFFによる影響を受けやすく、外気温との相関性が不鮮明になる。つまり、前記車速条件及び負荷条件は、吸気温度TAOBの検出値と実際の外気温との前述のような相関性が顕著になるような車両速度VP及びエンジン1の負荷NTIの条件である。
【0055】
吸気温度TAOBの検出値と、実際の外気温との上述のような相関性を考慮し、ECU2は、前記車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続したときには、吸気温度TAOBの検出値との偏差が前記定常オフセットOFSTOBJに応答遅れ(一次遅れ)を伴って追従するような値を所謂なまし処理により求め、その求めた値を外気温推定値TAOPとして得る。
【0056】
さらに詳細には、ECU2は、図2のSTEP10において、まず、前記定常オフセットOFSTOBJ(≧0)を、車両速度VPの検出値の現在値VP(k)と図示しないエアコン装置のON/OFF状態とに応じて設定する。この設定は、エアコン装置がON状態である場合とOFF状態である場合とで各別にあらかじめ定められたデータテーブルに基づいて行われる。この場合、エアコン装置がON、OFFいずれの状態においても、基本的傾向としては、車両速度の検出値VP(k)が大きい程、定常オフセットOFSTOBJは、より小さな値に設定される。そして、例えば、エアコン装置がOFF状態であるときには、VP(k)=80km/hでは、OFSTOBJ=10℃、VP(k)=140km/hでは、OFSTOBJ=1℃というように設定される。また、エアコン装置がON状態であるときには、定常オフセットOFSTOBJは、エアコン装置OFF状態であるときよりも多少、高い温度に設定される。
【0057】
ECU2はさらに、STEP11において、なまし処理における応答遅れの度合いを規定するなまし係数Cx(0<Cx<1)をエンジン1の負荷NTIの現在値NTI(k)に応じてい設定する。この設定は、あらかじめ定められたデータテーブルに基づいて行われ、負荷NTIの現在値NTI(k)が大きい程、なまし係数Cxは、より大きな値に設定される。
【0058】
次いで、ECU2は、STEP12において、次式(1)により表されるなまし処理によって、吸気温度TAOBと実際の外気温との偏差の推定値としてのオフセット値TAOPOFSTを更新する。
【0059】
TAOPOFST(k)=Cx・OFSTOBJ+(1−Cx)・TAOPOFST(k-1)
……(1)
ここで、式(1)の右辺のオフセット値TAOPOFST(k-1)の初期値は、STEP9の判断結果がYESになる直前のサイクルタイムにおいて、STEP5で求められた値である。
【0060】
次いで、ECU2はこのように求めたオフセット値TAOPOFST(k)を、STEP13において、吸気温度の検出値の現在値TAOB(k)から減算することにより、新たな外気温推定値TAOP(k)を求める。これにより、前記車速・負荷条件成立状態が、第3所定時間TM3以上継続している状態では、吸気温度TAOBとの偏差が定常オフセットOFSTOBJに応答遅れ(一次遅れ)を伴って追従するような値が外気温推定値TAOPとして逐次求められることとなる。このように外気温推定値TAOPを求めることにより、車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続している場合に、信頼性の高い外気温推定値TAOPが得られることとなる。
【0061】
尚、図2の外気温推定処理では、前記始動直後期間の経過後、車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続するようになるまでの間は、外気温推定値TAOPの更新は行われないので、始動直後期間で求められた外気温推定値TAOPが保持されることとなる。また、車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続した後に、車速・負荷条件が満たされなくなった場合には、なまし処理による外気温推定値TAOPの更新は中断される。そして、車速・負荷条件成立状態が再び第3所定時間TM3以上継続するようになるまで、外気温推定値TAOPの値が車速・負荷条件が満たされなくなったサイクルタイムの直前のサイクルタイムで求められた外気温推定値TAOPに保持される。これにより、車速・負荷条件が満たされず、吸気温度TAOBの検出値がエンジン1の発熱やエアコン装置のON/OFF等、実際の外気温以外の要因の影響を受け易い状況で、不適正に外気温推定値TAOPを更新してしまうような事態が回避される。その結果、始動直後期間の経過後、車速・負荷条件が満たされないような状況でも、外気温推定値TAOPの信頼性を十分に確保することができる。
【0062】
次に、ECU2の漏れ診断可否決定手段の処理と、漏れ診断の処理とを詳細に説明する前に、本実施形態における漏れ診断の手法の概要を図4を参照して説明しておく。図4はエンジン1の停止状態で実行される蒸発燃料処理系3の漏れ診断を説明するためのタイムチャートである。尚、前記処理系内圧力PTANKは圧力センサ27により実際には絶対圧で検出されるが、図4では大気圧を基準とした差圧で示されている。以下の本明細書の説明では、処理系内圧力PTANKは、大気圧との差圧を意味するものとして用いる。
【0063】
エンジン1の運転停止後、第1大気開放モードが開始される(時刻t1)。該第1大気開放モードは、所定の第1大気開放時間TOTA1(時刻t1〜時刻t2までの時間で例えば120秒)にわたって行われる。この第1大気開放モードでは、バイパス弁26(図4では参照符号BPVで示す)が開弁され、ベントシャット弁30(図4では参照符号VSVで示す)の開弁状態が維持される。これにより、蒸発燃料処理系3が大気に開放され、圧力センサ27が検出する処理系内圧力PTANKは大気圧に等しくなる。尚、パージ制御弁31は、エンジン1の停止時に閉弁され、その閉弁状態が継続的に維持される。
【0064】
第1大気開放モードが終了する時刻t2から第1判定モードが開始される。この第1判定モードでは、ベントシャット弁30が閉弁され、蒸発燃料処理系3が閉空間状態とされる。この状態は所定の第1判定時間TPHASE1(例えば900秒)にわたって維持される。このとき、処理系内圧力PTANKは、基本的にはエンジン1の運転中に暖められた燃料タンク12等の余熱によって上昇する。そして、処理系内圧力PTANKが、例えば破線L1で示すように第1判定閾値PTANK1を越えて上昇したときには、蒸発燃料処理系3の漏れは無いと判定される(時刻t3)。尚、この場合には、漏れの診断は終了し、以後の漏れの診断処理は省略される。
【0065】
また、処理系内圧力PTANKが例えば実線L2で示すように変化し、第1判定時間TPHASE1の期間内に処理系内圧力PTANKが第1判定閾値PTANK1を越えない場合には、第1判定時間TPHASE1内における最大処理系内圧力PTANKMAXが記憶保持される(時刻t4)。
【0066】
第1判定モードが終了する時刻t4から、第2大気開放モードが開始される。該第2大気開放モードは、前記第1大気開放モードと同様、所定の第2大気開放時間TATO2(時刻t4から時刻t5までの時間で、例えば120秒)にわたって行われる。この第2大気開放モードでは、ベントシャット弁30が開弁され、蒸発燃料処理系3が再び大気に開放される。これにより、処理系内圧力PTANKが、再び大気圧に等しくなる。
【0067】
第2大気開放モードが終了する時刻t5から第2判定モードが開始される。この第2判定モードでは、ベントシャット弁30が閉弁されて蒸発燃料処理系3が再び閉空間状態とされる。この状態は所定の第2判定時間TPHASE2(例えば2400秒)にわたって維持される。このとき、処理系内圧力PTANKは、基本的には燃料タンク12等の自然冷却に伴い下降する。そして、処理系内圧力PTANKが、例えば破線L3で示すように下降して、第2判定閾値PTANK2を下回ったときには、蒸発燃料処理系3の漏れは無いと判定される(時刻t6)。尚、このときには、漏れの診断は終了し、以後の漏れの診断処理は省略される。
【0068】
また、処理系内圧力PTANKが例えば実線L4で示すように変化し、第2判定時間TPHASE2の期間内に処理系内圧力PTANKが第2判定閾値PTANK2まで下降しなかった場合には、第2判定時間TPHASE2内における最小処理系内圧力PTANKMINが記憶保持される(時刻t7)。
【0069】
第2判定モードが終了する時刻t7において、バイパス弁26が閉弁されると共に、ベントシャット弁30が開弁される。さらに、先に記憶された最大処理系内圧力PTANKMAXと最小処理系内圧力PTANKMINとの圧力差ΔP(=PTANKMAX−PTANKMIN)が算出され、この圧力差ΔPが第3判定閾値PTANK3と比較される。このとき、ΔP>PTANK3であるときには、蒸発燃料処理系3の漏れは無いと判定される。また、ΔP≦PTANK3であるときには、蒸発燃料処理系3の漏れが有ると判定される。すなわち、漏れが有るときには、前記第1判定モード及び第2判定モードにおいて、処理系内圧力PTANKの大気圧からの変化が小さくなるため、圧力差ΔPが小さなものとなる。従って、ΔP≦PTANK3であるときには、漏れが有ると判定できる。
【0070】
上述のような漏れの診断を行う場合、前記第1判定モード及び第2判定モードにおける処理系内圧力PTANKの変化の形態が、蒸発燃料処理系3の漏れの有無と顕著な相関性を有する必用がある。しかるに、処理系内圧力PTANKは、蒸発燃料処理系3の漏れの有無だけでなく、外気温や燃料タンク12の暖機状態等、種々様々な要因の影響を受け易い。従って、漏れの診断結果の信頼性を十分に確保するためには、適切な条件下で漏れの診断処理を行う必用がある。そのため、本実施形態では、ECU2は、その漏れ診断可否決定手段としての機能によって、エンジン1の運転停止時に、蒸発燃料処理系3の漏れの診断処理を実行するか否かを決定する処理を行う。
【0071】
さらに詳細には、ECU2は、イグニッションスイッチ16がOFFにされると、エンジン1の運転を停止させる処理を実行し、この処理に続いて、図5のフローチャートに示す処理を実行することにより、蒸発燃料処理系3の漏れの診断を実行するか否かを決定する。
【0072】
この処理(以下、漏れ診断可否決定処理という)では、ECU2は、まず、前記フラグF/SOAKの値をSTEP21で判断する。このとき、F/SOAK=1であるときには、前述した通り、今回のエンジン1の停止前の運転中に前記外気温推定処理が実質的に実行されておらず、外気温が判らない状態であるので、ECU2は、漏れ診断を実行するか否かをそれぞれ値「1」、「0」で表すフラグF/EOSTの値をSTEP22で「0」に設定し、漏れ診断の実行を不許可とする。
【0073】
F/SOAK=0である場合には、ECU2は、STEP23において、燃料タンク12の給油中であるか否かを判断する。このとき、給油中である場合には、前記蒸発燃料処理系3を閉空間状態にすることができず、蒸発燃料処理系3の漏れ診断を行うことができないので、ECU2は、前記STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定する。
【0074】
また、給油中で無い場合には、ECU2は、エンジン1の運転停止時の冷却水温TWが所定値(例えば70℃)以上であるか否か、車両が停車状態であるか否か(車両速度VPが「0」であるか否か)をそれぞれSTEP24,25で判断し、これらの条件が満たされない場合には、前記STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定する。すなわち、エンジン1の運転停止時の冷却水温TWが所定値(70℃)よりも低い場合には、燃料タンク12等の暖機が不十分であると考えられえるので漏れの診断を禁止する。また、車両が停車状態で無い場合には、燃料タンク12内の燃料の揺れ等によって処理系内圧力PTANKの変動を生じる虞れがあるので、漏れの診断を禁止する。
【0075】
さらに、ECU2は、STEP24,25の条件が成立している場合には、エンジン1の運転停止時の外気温推定値TA OPが所定範囲内にあるか否か(例えば0℃≦TAOP≦35℃)、燃料タンク12の燃料残量FLVLが所定範囲内にあるか否か(例えば15%≦FLVL≦85%(FLVL=100%は満タン状態を意味する))をそれぞれSTEP26,27で判断する。そして、これらの条件が満たされない場合には、前記STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定する。すなわち、エンジン1の運転停止時の外気温推定値TAOPが低すぎる場合(TAOP<0℃)には、キャニスタ18の通気口28の雪による閉塞、ベントシャット弁30等の凍結による作動不良等の虞れがあるため、漏れの診断を禁止する。また、外気温推定値TAOPが高すぎる場合(TAOP>35℃)には、エンジン1の運転停止後、蒸発燃料処理系3の閉空間状態における処理系内圧力PTANKの変化と蒸発燃料処理系3の漏れの有無との相関性が不鮮明になるので、漏れの診断を禁止する。また、エンジン1の運転停止時の燃料残量FLVLが少なすぎる場合(FLVL<15%)には、蒸発燃料が発生しやすく、それが処理系内圧力PTANKに影響を及ぼしやすいので、漏れ診断を禁止する。また、燃料残量FLVLが多すぎる場合(FLV L>85%)には図示しない過給油防止バルブが作動して、燃料タンク12とチャージ通路19とが分断されてしまうため、漏れ診断を禁止する。
【0076】
さらに、ECU2は、STEP26,27の条件が成立している場合には、STEP28において、エンジン1の停止前の今回の運転時における燃料消費量USEDGASが所定値GASJD以上であるか否かを判断する。そして、USEDGAS<GASJDである場合、すなわち、エンジン1の今回の運転時の燃料消費量が少ない場合には、燃料タンク12等の暖機が不十分であると考えられるので、ECU12は、前記STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定し、漏れの診断を禁止する。ここで、本実施形態では、ECU12は、エンジン1の運転停止時の外気温推定値TAOPと燃料残量FLVLとに応じて上記所定値GASJDを設定するようにしている。この設定は、例えば、図6に示すようなデータテーブルに基づいて行われる。このように、燃料使用量USEDGASと比較する所定値GASJDを外気温推定値TAOPと燃料残量FLVLとに応じて設定するのは、外気温や燃料残量によって、燃料タンク12の暖まりやすさが異なるからである。例えば外気温推定値TAOPが低い程、燃料タンク12は暖まり難いので、所定値GASJDは大きめの値に設定される。また、燃料残量FLVLが多いほど、燃料タンク12は暖まり難いので、所定値GASJDは、大きめの値に設定される。
【0077】
STEP28の条件が成立している場合には、ECU2はさらに、STEP29において、エンジン1の停止前の今回のエンジン1の総運転時間CDCTIMEが所定値TIMJD以上であるか否かを判断する。そして、CDCTIME<TIMJDである場合、すなわち、エンジン1の今回の総運転時間が少ない場合には、燃料タンク12等の暖機が不十分であると考えられるので、ECU12は、前記STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定し、漏れの診断を禁止する。ここで、本実施形態では、ECU12は、エンジン1の運転停止時の外気温推定値TAOPと燃料残量FLVLとに応じて上記所定値TIMJDを設定するようにしている。この設定は、例えば、図7に示すようなデータテーブルに基づいて行われる。このように、総運転時間CDCTIMEと比較する所定値TIMJDを外気温推定値TAOPと燃料残量FLVLとに応じて設定するのは、外気温や燃料残量によって、燃料タンク12の暖まりやすさが異なるからである。例えば外気温推定値TAOPが低い程、燃料タンク12は暖まり難いので、所定値TIMJDは大きめの値に設定される。また、燃料残量FLVLが多いほど、燃料タンク12は暖まり難いので、所定値TIMJDは、大きめの値に設定される。
【0078】
STEP29の条件が成立している場合には、ECU12はさらに、STEP30において、エンジン1の停止前の今回の運転時における車両の走行距離DISTが所定値(例えば2000m)以上であるか否かを判断する。そして、この条件が満たされない場合(DIST<所定値)には、燃料タンク12等の暖機が不十分である虞れがあるので、ECU12は、STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定し、漏れの診断を禁止する。
【0079】
また、STEP30の条件が成立している場合(この場合には、STEP30の前の全ての条件が満たされている)には、ECU2は、STEP31でフラグF/EOSTの値を「1」に設定し、漏れの診断を許可する。さらに、このときECU2は、STEP32において、前記第1〜第3判定閾値PTANK1〜PTANK3の値をエンジン1の運転停止時の外気温推定値TAOP及び燃料残量FLVLに応じて設定する。この設定は、あらかじめ定められたデータテーブルに基づいて行われ、例えば第1判定閾値PTANK1は、大気圧を基準として、図8に示すデータテーブルに基づいて設定される。また、本実施形態では、第2判定閾値PTANK2は、第1判定閾値PTANK1の符号を反転させた値(=−PTANK1)に設定され、第3判定閾値PTANK3は、第1判定閾値PTANK1と同じ値に設定される。この場合、漏れ診断を行う外気温推定値TAOPの条件下(0℃≦TAOP≦35℃)では、蒸発燃料処理系3の閉空間における圧力変化は、基本的には、外気温が高い程、大きくなる傾向がある。また、該圧力変化は、燃料タンク12の燃料残量FLVLが、概ね20〜30%であるときに大きくなる傾向がある。このため、図8のデータテーブルは、このような傾向で設定されている。
【0080】
以上説明した漏れ診断可否決定処理によって、前記第1判定モードや第2判定モードでの処理系内圧力PTANKの変化と、蒸発燃料処理系3の漏れの有無との相関性を十分に確保できるような状態でのみ、漏れ診断が許可され、それ以外の場合(処理系内圧力PTANKの変化が蒸発燃料処理系3の漏れの有無以外の要因の影響を受け易いか、もしくはその虞れがある場合)には、漏れ診断が禁止される。
【0081】
次に、ECU2による漏れ診断の処理について説明する。ECU2は、エンジン1の停止後、前記漏れ診断可否決定処理に続いて、図9及び図10のフローチャートに示すように漏れ診断処理を所定のサイクルタイム(処理周期)で実行する。
【0082】
すなわち、ECU2は、まず、STEP51で、前記漏れ診断可否決定処理で設定されたフラグF/EOSTの値を判断する。このとき、F/EOST=0である場合には、漏れ診断が禁止されているので、ECU2は漏れ診断処理を直ちに終了する。尚、この場合には、以後、次回のエンジン1の運転停止時まで図9及び図10のフローチャートの処理は実行されない。
【0083】
STEP51でF/EOST=1である場合には、ECU2は、エンジン1の運転停止時に起動されるカウントアップタイマTTM1の値(エンジン1の運転停止後の経過時間)が、所定の第1大気開放時間TOTA1(本実施形態では120秒)を越えたか否かをSTEP52で判断する。このとき、TTM1≦TOTA1である場合は、前記図4に示した第1大気開放モードである。この場合には、ECU2は、STEP53でバイパス弁26(BPV)及びベントシャット弁(VSV)30を開弁保持する。さらに、ECU2は、STEP54で、前記第1判定モードの経過時間を計時するカウントアップタイマTTM2の値を「0」に初期化した後、今回のサイクルタイムの処理を終了する。これにより、前記第1大気開放モードの処理が実行されることとなる。
【0084】
STEP52で、TTM1>TOTA1になると(第1大気開放モードの終了)、ECU2は、次に、第1大気開放モードで初期化したカウントアップタイマTTM2の値が所定の第1判定時間TPHASE1(本実施形態では、900秒)を超えたか否かをSTEP55で判断する。このとき、TTM2≦TPHASE1である場合には、前記図4に示した第1判定モードである。そして、この場合には、ECU2は、STEP56でベントシャット弁30を閉弁保持する。さらに、ECU2は、STEP57で、処理系内圧力PTANKの現在値(圧力センサ27による現在の検出値)が、前述のように設定した第1判定閾値PTANK1を越えたか否かを判断する。このとき、PTANK>PTANK1である場合には(図4の破線L1に係わる時刻t3を参照)、処理系内圧力PTANKの増加変化が大きいので、ECU2は、STEP58で蒸発燃料処理系3の漏れが無いと判定し、漏れ診断の処理を終了する。
【0085】
また、STEP57でPTANK≦PTANK1である場合には、ECU2は、前記第2大気開放モードの経過時間を計時するカウントアップタイマTTM3の値をSTEP59で「0」に初期化する。さらに、ECU2は、処理系内圧力PTANKの現在値が、現在、保持している最大処理系内圧力PTANKMAXよりも大きいか否かをSTEP60で判断する。尚、最大処理系内圧力PTANKMAXは、第1判定モードの処理の開始時に、その時の処理系内圧力PTANKに初期化される。
【0086】
STEP60でPTANK>PTANKMAXである場合には、ECU2は、最大処理系内圧力PTANKMAXの値を、STEP61で処理系内圧力PTANKの現在値に更新した後、今回のサイクルタイムの処理を終了する。また、PTANK≦PTANKMAXである場合には、ECU2は、最大処理系内圧力PTANKMAXの値を更新することなく、今回のサイクルタイムの処理を終了する。これにより、第1判定モードにおける処理系内圧力P TANKの最大値が最大処理系内圧力PTANKMAXとして記憶保持されることとなる。以上説明したSTEP56〜61のルーチン処理が、TTM2>TPHASE1になるまで繰り返されることで、第2判定モードの処理が実行される。
【0087】
STEP55でTTM1>TPHASE1になると(第1判定モードの終了)、ECU2は、次に、第1判定モードで初期化したカウントアップタイマTTM3が、所定の第2大気開放時間TATO2(本実施形態では、120秒)を越えたか否かをSTEP62で判断する。このとき、TTM3≦TOTA2である場合は、前記図4に示した第2大気開放モードである。そして、この場合には、ECU2は、STEP63でベントシャット弁30を開弁保持する。さらに、ECU2は、STEP64で、前記第2判定モードの経過時間を計時するカウントアップタイマTTM4の値を「0」に初期化した後、今回のサイクルタイムの処理を終了する。これにより、前記第2大気開放モードの処理が実行されることとなる。
【0088】
STEP63でTTM3>TOTA2になると(第2大気開放モードの終了)、ECU2は、次に、第2大気開放モードで初期化したカウントアップタイマTTM4が、所定の第2判定時間TPHASE2(本実施形態では、2400秒)を越えたか否かをSTEP65で判断する。このとき、TTM4≦TPHASE2である場合は、前記図4に示した第2判定モードである。そして、この場合には、ECU2は、STEP66でベントシャット弁30を閉弁保持する。さらに、ECU2は、STEP67で、処理系内圧力PTANKの現在値(圧力センサ27による現在の検出値)が、前述のように設定した第2判定閾値PTANK2(=−PTANK1)を下回ったか否かを判断する。このとき、PTANK<PTANK2である場合には(図4の破線L3に係わる時刻t6を参照)、処理系内圧力PTANKの減少変化が大きいので、ECU2は、STEP68で蒸発燃料処理系3の漏れが無いと判定し、漏れ診断の処理を終了する。
【0089】
また、STEP67でPTANK≧PTANK2である場合には、ECU2は、処理系内圧力PTANKの現在値が、現在、保持している最小処理系内圧力PTANKMINよりも小さいか否かをSTEP69で判断する。尚、最小処理系内圧力PTANKMINは、第2判定モードの処理の開始時に、その時の処理系内圧力PTANKに初期化される。
【0090】
STEP69でPTANK<PTANKMINである場合には、ECU2は、最小処理系内圧力PTANKMINの値を、STEP70で処理系内圧力PTANKの現在値に更新した後、今回のサイクルタイムの処理を終了する。また、PTANK≧PTANKMINである場合には、ECU2は、最小処理系内圧力PTANKMINの値を更新することなく、今回のサイクルタイムの処理を終了する。これにより、第2判定モードにおける処理系内圧力PTANKの最小値が最小処理系内圧力PTANKMINとして記憶保持されることとなる。以上説明したSTEP66〜70のルーチン処理が、TTM4>TPHASE2になるまで繰り返されることで、第2判定モードの処理が実行される。
【0091】
STEP65でTTM4>TPHASE2になると(第2判定モードの終了)、ECU2は、次に、STEP71で、バイパス弁26を閉弁保持すると共に、ベントシャット弁30を開弁保持する。そして、ECU2は、STEP72で、最大処理系内圧力PTANKMAXと最小処理系内圧力PTANKMINの差圧ΔP(=PTANKMAX−PTANKMIN)を求めた後、STEP73において、この差圧ΔPを前述のように設定した第3判定閾値PTANK3(=PTANK1)と比較する。このとき、ΔP>PTANK3である場合には、ECU2はSTEP74において蒸発燃料処理系3の漏れが無いと判定し、漏れ診断の処理を終了する。また、ΔP≦PTANK3である場合には、ECU2は、STEP75において蒸発燃料処理系3の漏れが有ると判定し、漏れ診断の処理を終了する。尚、漏れが有ると判定した場合には、ECU2は、図示しない報知手段によりその旨を報知する。以上説明した図9及び図10の処理により、前記図4を参照して説明したように蒸発燃料処理系3の漏れの有無の診断が実行されることとなる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態では、特に、エンジン1の運転中に信頼性の高い外気温推定値TAOPが求められ、この外気温推定値TAOPが所要の条件(本実施形態では、0℃≦TAOP≦35℃という条件)を満たす場合にのみエンジン1の運転停止後の漏れ診断が行われる。また、その漏れ診断においては、漏れの有無を判断するための判定閾値PTANK1〜PTANK3がエンジン1の運転停止時の外気温推定値TAOPに応じて設定される。その結果、外気温の影響を排除して、蒸発燃料処理系3の漏れの有無の診断を適正に行うことができ、その診断結果の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の装置構成を示すブロック図。
【図2】実施形態における外気温推定処理を示すフローチャート。
【図3】実施形態における外気温推定処理を説明するためのグラフ。
【図4】実施形態における漏れ診断の手法を説明するためのタイミングチャート。
【図5】実施形態における漏れ診断可否決定処理を示すフローチャート。
【図6】図5のフローチャートの処理で用いるデータテーブルを示す線図。
【図7】図5のフローチャートの処理で用いるデータテーブルを示す線図。
【図8】図5フローチャートの処理で用いるデータテーブルを示す線図。
【図9】実施形態における漏れ診断処理を示すフローチャート。
【図10】実施形態における漏れ診断処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、2…電子制御ユニット(外気温推定手段、機関負荷検出手段、漏れ診断可否決定手段)、3…蒸発燃料処理系、4…吸気管(吸気系)、6…吸気温度センサ(吸気温度検出手段)、12…燃料タンク、15…水温センサ(機関温度検出手段)、17…車速センサ(車両速度検出手段)、18…キャニスタ、19…チャージ通路(第1通路)、20…パージ通路(第2通路)、27…圧力センサ、28…キャニスタの通気口、30…ベントシャット弁(第1弁)、31…パージ制御弁(第2弁)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンク内で発生する蒸発燃焼を処理する蒸発燃料処理系に関し、より詳しくは、その蒸発燃料処理系の漏れの有無を診断する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料タンク内で発生する蒸発燃料を処理する蒸発燃料処理系は、一般に、蒸発燃料の吸着材(活性炭等)を内蔵したキャニスタを備え、このキャニスタが燃料タンクに第1通路を介して接続されると共に、第2通路を介して内燃機関の吸気系(吸気管)に接続されている。キャニスタは、その内部を大気側に連通させる通気口を備え、この通気口は開閉弁(所謂ベントシャット弁)により開閉可能とされている。また、第2通路には制御弁(所謂パージ制御弁)が設けられている。このように構成された蒸発燃料処理系では、燃料タンク内で発生した蒸発燃料をキャニスタ内の吸着材で一時的に吸着・保持し、その吸着した蒸発燃料を適宜、内燃機関の吸気系に供給して該内燃機関で燃焼させるようにしている。
【0003】
この種の蒸発燃料処理系では、外部(大気側)への蒸発燃料の漏れの有無を診断する必用がある。そして、その診断手法としては、例えば、特開平11−336626号公報に見られるように、内燃機関の運転停止後、前記ベントシャット弁及びパージ制御弁を閉弁させた状態、すなわち蒸発燃料処理系を閉空間にした状態で、蒸発燃料処理系内の圧力と大気圧との差圧の推移を検出し、その差圧の変動量に基づいて漏れの有無を診断するものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関の運転停止後、蒸発燃料処理系を閉空間にした状態での該蒸発燃料処理系内の圧力変化は、漏れの有無だけでなく、外気温の影響を受け易い。従って、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断の信頼性を確保するためには、外気温の影響を適正に排除することが必要となり、そのためには、外気温を適正に把握することが必要となる。この場合、自動車やハイブリッド車等の車両では、通常、内燃機関の運転制御等のために内燃機関の吸入空気の温度を検出する吸気温度センサがエンジンルーム内で内燃機関の吸気系に備えられている。従って、その吸気温度センサの検出温度を外気温として把握することが考えられる。しかるに、吸気温度センサの検出温度は、内燃機関の運転中は該内燃機関やエアコン装置等から発する熱の影響を受ける。また、車両の停車中や、渋滞による低速走行時等には日射の影響を受ける。このため、吸気温度センサの検出温度は、実際の外気温と一致しない場合が多く、吸気温度センサの検出温度をそのまま用いても、外気温を適正に把握することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、このような背景に鑑み、外気温の影響を適正に排除し、蒸発燃料処理系の漏れの診断の信頼性を確保することができる蒸発燃料処理系の漏れ診断装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の蒸発燃料処理系の漏れ診断装置は、燃料タンクと、大気に連通する通気口を有すると共に前記燃料タンク内で発生する蒸発燃料を吸着する吸着材を有するキャニスタと、該キャニスタと前記燃料タンクとを接続する第1通路と、前記キャニスタと内燃機関の吸気系とを接続する第2通路と、前記キャニスタの通気口を開閉可能な第1弁と、前記第2通路を開閉可能な第2弁とを備えた蒸発燃料処理系において、前記内燃機関の運転停止後、前記第1弁及び第2弁を閉弁して前記蒸発燃料処理系を閉空間にした状態で、該蒸発燃料処理系内の圧力を検出し、その検出圧力に基づいて該蒸発燃料処理系の漏れの有無を診断する診断装置である。
【0007】
そして、本発明の第1の態様は、前記の目的を達成するために、前記内燃機関に吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出手段と、前記内燃機関の機関温度を検出する機関温度検出手段と、前記内燃機関の運転中に前記車両の外気温の推定値を求める外気温推定手段と、該外気温推定手段が求めた外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かにより前記内燃機関の運転停止後における前記蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可又は禁止する漏れ診断可否決定手段とを備え、前記外気温推定手段は、前記内燃機関の始動前の停止状態が第1所定時間以上継続した場合での前記内燃機関の始動後、第2所定時間が経過するまでの始動直後期間において、前記機関温度検出手段による検出温度の最小値と前記吸気温度検出手段による検出温度の最小値とのうちの小さい方を外気温推定値として得ることを特徴とするものである。
【0008】
かかる本発明の第1の態様によれば、内燃機関の始動前の停止状態が第1所定時間以上継続した場合での内燃機関の始動後、第2所定時間が経過するまでの始動直後期間において、機関温度検出手段による検出温度の最小値と前記吸気温度検出手段による検出温度の最小値とのうちの小さい方を外気温推定値として得るので、この始動直後期間における外気温推定値の信頼性が確保される。すなわち、内燃機関の始動前の停止状態が第1所定時間以上、継続しておれば、基本的には、内燃機関の始動時には、機関温度(機関温度検出手段による検出温度)及び吸気温度(吸気温度検出手段による検出温度)のうちの少なくとも一方は実際の外気温とほぼ同等になっていると考えられる。この場合、車両に直射日光が当たるような環境下では、吸気温度は実際の外気温度よりも高くなっている場合があるものの、機関温度は一般には実際の外気温に近い温度になっている。また、内燃機関の始動直後は、吸気温度検出手段の周辺の温度は未ださほど高くないので、内燃機関の始動により外気が内燃機関の吸気系に流れることで、吸気温度検出手段による吸気温度は、少なくとも一時的には、実際の外気温に近づくと考えられる。従って、上記のように始動直後期間における外気温推定値を得ることにより、その外気温推定値の信頼性を確保することができる。そして、この外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かによって、内燃機関の運転停止後における蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可又は禁止することにより、外気温の影響を適正に排除し、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断の信頼性を確保することができる。
【0009】
また、本発明の蒸発燃料処理系の漏れ診断装置の第2の態様は、前記内燃機関に吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出手段と、前記内燃機関を搭載した車両の速度を検出する車両速度検出手段と、前記内燃機関の負荷を検出する機関負荷検出手段と、前記内燃機関の運転中に前記車両の外気温の推定値を求める外気温推定手段と、該外気温推定手段が求めた外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かにより前記内燃機関の運転停止後における前記蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可又は禁止する漏れ診断可否決定手段とを備え、前記外気温推定手段は、前記車両速度検出手段による検出速度と前記機関負荷検出手段による検出負荷とが所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した場合に、前記吸入空気温度検出手段による検出温度との偏差が所定のオフセット値に応答遅れを有して追従する値をなまし処理により求め、その求めた値を外気温推定値として得ることを特徴とするものである。
【0010】
すなわち、本願発明者等の知見によれば、車両の速度と、内燃機関の負荷(より詳しくは内燃機関の単位時間当たりの燃料供給量もしくは吸入空気量の状態)とがある所定の条件(車速・負荷条件)を満たす場合には、それらの車両の速度及び内燃機関の負荷が一定に維持される定常状態において、吸気温度(前記吸気温度検出手段による検出温度)は、実際の外気温とほぼ一定の偏差を有する値に収束する。つまり、吸気温度と実際の外気温との間の相関性がほぼ一定のものとなる。また、車両の速度や内燃機関の負荷が変化したとき、吸気温度は、実際の外気温と所定の偏差を有する値に向かって、応答遅れ(基本的には一次遅れ)を伴って追従する。そこで、本発明の第2の態様では、前記のように車両の検出速度と内燃機関の検出負荷とが所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した場合に、吸入空気温度検出手段による検出温度との偏差が所定のオフセット値に応答遅れを有して追従する値をなまし処理により求め、その求めた値を外気温推定値として得る。これにより、車両の速度と内燃機関の負荷とが所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した場合における外気温推定値の信頼性を確保することができる。そして、この外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かによって内燃機関の運転停止後における蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可又は禁止することにより、外気温の影響を排除して、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断の信頼性を確保することができる。
【0011】
尚、本発明の第1及び第2の態様において、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可するか禁止するかを規定する前記外気温推定値に係わる所定の外気温条件は、該外気温推定値が所定の範囲内にあるか否かの条件を含むことが好ましい。すなわち、外気温推定値(ひいては実際の外気温)が低過ぎると、凍結による前記第1弁もしくは第2弁の動作不良を生じたり、キャニスタの通気口が雪でふさがれたりして、蒸発燃料処理系内の圧力に基づく漏れの有無の診断を正常に行うことができない虞れがある。また、外気温推定値(ひいては実際の外気温)が高過ぎると、蒸発燃料処理系内の圧力が外気温の影響を大きく受けるため、蒸発燃料処理系内の圧力に基づく漏れの有無の診断の信頼性を確保することが困難である。従って、外気温推定値が所定範囲内にある場合には、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可し、所定範囲内に無い場合には、漏れの有無の診断を禁止することが好適である。
【0012】
前記した本発明の第1の態様及び第2の態様は、複合的に備えることがより好ましい。この場合には、本発明の第1の態様において、前記内燃機関を搭載した車両の速度を検出する車両速度検出手段と、前記内燃機関の負荷を検出する機関負荷検出手段とを備える。そして、前記外気温推定手段は、前記始動直後期間の経過後は、前記車速検出手段による検出速度と前記機関負荷検出手段による検出負荷とが所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した場合に、前記吸入空気温度検出手段による検出温度との偏差が所定のオフセット値に応答遅れを有して追従する値をなまし処理により求め、その求めた値を外気温推定値として得るようにすればよい。
【0013】
このように本発明の第1の態様と第2の態様とを複合的に備えることで、内燃機関の始動後、信頼性の高い外気温推定値を得ることができる機会が増える。また、内燃機関の始動後、車両が移動して、外気温が内燃機関の始動直後と異なるものとなったとしても、前記なまし処理による外気温推定値によって、外気温を適正に把握することができる。ひいては、外気温の影響を排除して、蒸発燃料処理系の漏れを適正に診断し得る機会が増え、その診断を適正な頻度で実行することができる。
【0014】
尚、前記オフセット値は、車両速度検出手段による検出速度に応じて設定することが好ましい。より詳しくは、車両の速度が大きい程、定常状態における吸気温度と実際の外気温との偏差が小さくなるので、車両速度検出手段による検出速度が大きい程、オフセット値は小さくなるように設定することが好ましい。また、前記なまし処理におけるなまし係数(前記応答遅れの度合いを規定する係数)は、負荷検出手段による内燃機関の検出負荷に応じて設定することが好ましい。より詳しくは、内燃機関の負荷が大きい程、吸気系の空気速度が速まり、車両の速度や内燃機関の負荷の変化に伴う吸気温度の変化が速まるので、機関負荷検出手段による検出負荷が大きい程、なまし係数は大きくなるように設定することが好ましい。
【0015】
上述のようになまし処理により外気温推定値を求める本発明では、前記所定の車速・負荷条件は、少なくとも前記検出速度及び前記検出負荷がそれぞれ所定値以上であるという条件を含むことが好ましい。すなわち、車両の速度が小さ過ぎると、内燃機関の発熱や、エアコン装置の発熱の影響が大きくなって、吸気温度検出手段による検出温度と実際の外気温との一定的な相関性が顕れにくくなる。また、内燃機関の負荷が小さ過ぎると、内燃機関の吸気系を流れる空気の流速が小さくなって、吸気温度検出手段による検出温度が不安定になりやすい。従って、前記検出速度及び検出負荷がそれぞれ所定値以上であるときに、前記なまし処理により外気温推定値を求めることで、該外気温推定値の信頼性を高めることができる。
【0016】
また、前記第1の態様及び第2の態様を複合させた本発明では、前記外気温推定手段は、前記始動直後期間の経過後、前記検出速度及び検出負荷が前記所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続するまでは、前記始動直後期間で求めた外気温推定値を前記始動直後期間の経過後における外気温推定値として保持することが好ましい。また、前記外気温推定手段は、前記始動直後期間の経過後、前記検出速度及び検出負荷が前記所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した後、該所定の車速・負荷条件が満たされなくなったときには、再び、該所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続するまで、前記所定の車速・負荷条件が満たされたくなった時点以前で最後に求めた外気温推定値を、該所定の車速・負荷条件が満たされなくなった状態での外気温推定値として保持することが好ましい。
【0017】
このようにすることにより、吸気温度(吸気温度検出手段による検出温度)と、実際の外気温との間の一定的な相関性が十分に保てないような状況で、前記なまし処理により信頼性の低い外気温推定値が求められるような事態を回避することができる。同時に、内燃機関の運転時の大部分の期間にわたって、比較的精度のよい外気温推定値を求めることが可能となる。その結果、内燃機関の始動後、該内燃機関の運転が停止されるタイミングによらずに、蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を適正に行い得るか否かを判断する(外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かを判断する)ことができ、ひいては、漏れの有無の診断を実行した場合の診断結果の信頼性を確保することができる。
【0018】
また、本発明では、前記蒸発燃料処理系の漏れの有無を診断するための前記検出圧力に対する判定閾値を、前記外気温推定手段による外気温推定値に応じて設定する手段を備えることが好ましい。
【0019】
これによれば、前記判定閾値を外気温推定値に応じて設定するので、漏れの有無の診断を実行する場合に、外気温が及ぼす影響を確実に補償することができ、その診断結果の信頼性をさらに高めることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1〜図10を参照して説明する。図1は本実施形態の装置の全体構成を示すブロック図である。同図において、1は例えば自動車に車両の推進源として搭載されたエンジン(内燃機関)、2は電子制御ユニット(以下、ECUという)、3は蒸発燃料処理系である。エンジン1は例えば4気筒エンジンである。
【0021】
エンジン1の吸気系を構成する吸気管4は、車両のエンジンルーム(図示せず)に配置されており、その上流端部には、吸気管4に導入される空気(外気)から塵等を除去するエアクリーナ5が装着されている。エアクリーナ5の下流側における吸気管4の途中部には、上流側から順に、吸気温度TAOB(吸気管4内における空気の温度)を検出する吸気温度センサ6(吸気温度検出手段)と、吸気量を調整するスロットル弁7と、吸気管内圧PBA(詳しくは吸気管4内の絶対圧)を検出する吸気管内圧センサ8と、燃料を吸気管4に噴射して空気と混合させる燃料噴射弁9とが設けられている。また、スロットル弁7の配置箇所には、該スロットル弁7の開度THAを検出するスロットル弁開度センサ10が設けられている。上記各センサ6,8,10は、それぞれの検出値を示す電気信号をECU2に出力する。
【0022】
燃焼噴射弁9は、エンジン1の各気筒の吸気バルブ(図示せず)の若干上流側で各気筒毎に設けられている。各燃料噴射弁9は、燃料供給管11を介して燃料タンク12に接続されており、燃料供給管11の途中に設けられた燃料ポンプ13の作動により燃料タンク12から燃料が供給される。そして、各燃料噴射弁9は、その開弁時間(ひいては燃料噴射量)がECU2により制御されるようになっている。
【0023】
また、エンジン1の回転数NE(回転速度)を検出する回転数センサ14と、エンジン1の冷却水温を機関温度として検出する水温センサ15(機関温度検出手段)と、車両のイグニッションスイッチ16と、車両の速度VPを検出する車速センサ17(車両速度検出手段)とが備えられている。回転数センサ14、水温センサ15及び車速センサ17はそれぞれの検出値を示す電気信号をECU2に出力し、イグニッションスイッチ16は、そのON/OFFを示す電気信号をエンジン1の運転/停止を指示する信号としてECU2に出力する。
【0024】
前記蒸発燃料処理系3は、燃料タンク12と、キャニスタ18と、これらを接続する第1通路としてのチャージ通路19と、キャニスタ18を吸気管4に接続する第2通路としてのパージ通路20とを備えている。
【0025】
燃料タンク12には、給油のための給油口21が設けられ、この給油口21には、フィラーキャップ22が着脱自在に取り付けられている。また、燃料タンク12内には、該燃料タンク12内の燃料残量FLVLを検出するフロート式の燃料残量センサ23が収容されている。この燃料残量センサ23は、燃料残量FLVLの検出値を示す電気信号をECU2の出力する。
【0026】
チャージ通路19には、二方向弁24が設けられている。詳細な図示は省略するが、この二方向弁24は、燃料タンク12内の圧力が大気圧より第1所定圧(例えば2.7kPa(20mmHg))以上高いときに開弁する正圧弁と、燃料タンク12内の圧力がキャニスタ18内の圧力よりも第2所定圧(例えば1.3kPa(10mmHg)以上低いときに開弁する負圧弁とから構成されている。また、チャージ通路19には、二方向弁24をバイパスするバイパス通路25が接続されており、このバイパス通路25にはバイパス弁26が設けられている。該バイパス弁26は、通常は閉弁状態とされる電磁開閉弁であり、後述する漏れ診断処理においてECU2の制御により開閉される。
【0027】
さらに、チャージ通路19には、二方向弁24と燃料タンク12との間の箇所での圧力PTANKを検出する圧力センサ27が設けられている。ここで、圧力センサ27が検出する圧力PTANKは、後述する漏れ診断処理において、蒸発燃料処理系3内の圧力としての意味を持つものである。この圧力センサ27は、その検出値を示す電気信号をECU2に出力する。尚、圧力センサ27が検出する圧力PTANK(処理系内圧力PTANKという)は、キャニスタ18及び燃料タンク12内の圧力が安定している定常状態では、燃料タンク12内の圧力に等しくなるが、キャニスタ18又は燃料タンク12内の圧力が変化しているときには、燃料タンク12内の実際の圧力とは異なるものとなる。
【0028】
キャニスタ18は、燃料タンク12内で発生する蒸発燃料を吸着する吸着材としての活性炭(図示せず)を内蔵するものである。このキャニスタ18は、その内部を大気側に連通させるための通気口28を備えており、この通気口28に接続された通気路29を介して大気側に連通可能とされている。通気路29には、第1弁としてのベントシャット弁30が設けられている。このベントシャット弁30は、常開型の電磁開閉弁であり、ECU2により開閉制御される。例えば燃料タンク12への給油やキャニスタ18のパージ処理(キャニスタ18内の活性炭が吸着した蒸発燃料をエンジン1の吸気系に供給する処理)を行うときにはベントシャット弁30は開弁保持され、後述する漏れ診断処理においては開閉される。
【0029】
パージ通路20は、スロットル弁7の下流側(燃料噴射弁9の上流側)で吸気管3に接続されている。そして、パージ通路20の途中部には、第2弁としてのパージ制御弁31が設けられている。このパージ制御弁31は、その開度を、PWM制御により全閉状態から全開状態まで連続的に変更可能な電磁制御弁であり、PWM制御のパルス信号のデューティを調整することによりその開度が制御される。この制御はECU2により行われる。
【0030】
尚、上述のように構成された蒸発燃料処理系3では、燃料タンク12の給油時等に該燃料タンク12内の蒸発燃料が増加し、燃料タンク12内の圧力が上昇すると、前記二方向弁24の正圧弁が開く。これにより燃料タンク12内の蒸発燃料が、燃料タンク12からチャージ通路19を介してキャニスタ18に供給され、該キャニスタ18内の活性炭により吸着される。そして、エンジン1の所定の運転状態で、パージ制御弁31がECU2により所要の開度で開弁側に制御され、キャニスタ18内の活性炭で吸着された蒸発燃料がパージ通路20を介して吸気管4に供給され、エンジン1で燃焼される。
【0031】
ECU2は、図示を省略するCPU、RAM、ROMから構成されるマイクロコンピュータを含めて構成された電子回路ユニットである。そして、ECU2は、前述の吸気温度センサ6等、各センサの出力信号や、あらかじめROMに記憶保持されたプログラム及び設定データに基づいて、前記燃料噴射弁9、パージ制御弁31、バイパス弁26、ベントシャット弁30等、ECU2に接続された各アクチュエータの動作を制御し、これにより、エンジン1の運転制御や蒸発燃料処理系3の動作制御を行なう。
【0032】
ここで、ECU2は、本発明における外気温推定手段、漏れ診断可否決定手段、機関負荷検出手段としての機能を有するものである。これらの機能のうち、機関負荷検出手段としての機能では、ECU2は次のようにエンジン1の負荷(機関負荷)を検出(本実施形態では推定)する。すなわち、エンジン1の負荷は、エンジン1への単位時間当たりの燃料供給量、もしくは単位時間当たりの吸気量により表されるものである。そして、本実施形態では、ECU2は、自身が燃料噴射弁9を制御する際に、エンジン1の回転速度NEに同期して(詳しくは前記回転数センサ14がエンジン1のクランク軸の所定の回転角度毎に発生するパルス信号(TDC信号)に同期して)算出する燃料噴射弁9の基本燃料噴射時間(基本燃料噴射量)Tinに回転数センサ14による回転速度NEの検出値を乗算してなる値Tin×NEをエンジン1の負荷NTIとして求める。この場合、上記基本燃料噴射時間Tinは、例えばエンジン1の回転数NEの検出値と、吸気管内圧センサ8による吸気管内圧PBAの検出値とから、マップ検索等により求められる。このようにして求められる値NTI=Tin×NEは、エンジン1の単位時間当たりの燃料供給量に相当するものとなり、エンジン1の負荷を表すものとなる。
【0033】
尚、エンジン1の吸気量をエアフローセンサ等により直接的に検出するようにした場合には、その検出値により把握される単位時間当たりの吸気量をエンジン1の負荷を表すものとして用いてもよい。
【0034】
また、ECU2の機能のうち、前記外気温推定手段、漏れ診断可否決定手段は、ECU2が実行する後述する処理のアルゴリズムにより構成されるものである。
【0035】
次に、本実施形態の装置の作動を、本発明に関連した事項を中心に説明する。本実施形態では、エンジン1の始動後の運転中において、ECU2は、図2のフローチャートに示す処理を実行し、外気温推定値TAOPを求める処理を実行する。この処理(以下、外気温推定処理という)は、ECU2の外気温推定手段としての機能によるものであり、エンジン1の運転中に、所定のサイクルタイム(処理周期。例えば1sec)で逐次実行される。
【0036】
図2を参照して、ECU2は、まず、STEP1で、エンジン1の始動前の停止状態が所定時間(第1所定時間)以上、継続したか否かをそれぞれ値「0」、「1」で表すフラグF/SOAKの値を判断する。このフラグF/SOAKは、エンジン1の運転停止時もしくはエンジン1の運転中に「1」に初期化され、エンジン1の運転停止後、その停止状態での経過時間が第1所定時間に達したときに「0」に設定される。この場合、この第1所定時間は、基本的には、エンジン1の運転停止後、エンジン1の機関温度(冷却水温TW)がほぼ外気温と同等になるまでに要する時間に設定されており、例えば8時間である。尚、この第1所定時間は、例えばエンジン1の運転停止時に、前記水温センサ15により検出される冷却水温TW等に応じて設定するようにしてもよい。
【0037】
STEP1でF/SOAK=1である場合、すなわち、エンジン1の始動前の停止時間が短くて、該エンジン1の余熱の発生が未だ残っているような状態では、ECU2は、今回のサイクルタイムにおける外気温推定処理を直ちに終了する。従って、実質的な外気温推定処理は、F/SOAK=0の場合、すなわち、エンジン1の始動前の停止時間が十分に長く、エンジン1の余熱の発生が実質的に解消された状態でエンジン1の運転が再開された場合に実行される。
【0038】
STEP1でF/SOAK=0である場合には、ECU2は、STEP2において、エンジン1の始動後の経過時間T1SACRが所定時間TM2(第2所定時間)に達したか否かを判断する。この第2所定時間TM2は、エンジン1の始動直後の状態(始動直後期間)であるか否かを判断するためのものであり、例えば10分〜20分の時間にあらかじめ設定されている。
【0039】
STEP2において始動後経過時間T1SACRが第2所定時間TM2に達していない場合、すなわち、現在タイミングがエンジン1の始動直後期間内のタイミングである場合には、ECU2は、STEP3の処理を実行する。すなわち、前記吸気温度センサ6による吸気温度TAOBの検出値の現在値TAOB(k)と、水温センサ15によるエンジン1の冷却水温TWの検出値の現在値TW(k)と、外気温推定値TAOPの現在値TAOP(k-1)(前回のサイクルタイムで求められた値)とのうちの最小値MIN(TAOB(k),TW(k),TAOP(k-1))が、新たな外気温推定値TAOP(k)として求められる。尚、エンジン1の始動後、最初にSTEP3の処理が実行される前の外気温推定値TAOP(外気温推定値TAOPの初期値TAOP(0))は、STEP3の最初の処理の実行時に必ず吸気温度TAOBの検出値TAOB(1)及び冷却水温TWの検出値TW(1)のいずれか小さい方の値以上の値になるように設定されている。例えば、外気温推定値TAOPの初期値TAOP(0)は、MIN(TAOB(1),TW(1))に設定されている。
【0040】
次いで、ECU2は、STEP4,5の処理を順次実行し、今回のサイクルタイムの処理を終了する。この場合、STEP4の処理では、後述する車速・負荷条件が満たされる状態が所定時間TM3(第3所定時間)以上、継続したか否かを判断するためのカウントダウンタイマTTAODLYの値を該第3所定時間TM3に初期化する。尚、この第3所定時間TM3は、例えば20秒である。
【0041】
また、STEP5の処理では、吸気温度TAOBの検出値の現在値TAOB(k)と外気温推定値TAOPの現在値TAOP(k)との偏差TAOB(k)−TAOP(k)を、後述のなまし処理に係わるオフセット値TAOPOFSTの初期値として求める。
【0042】
尚、始動直後期間(T1SACR<TM2となる期間)では、STEP2〜5の処理が繰り返されることとなるため、カウントダウンタイマTTAODLYの値と、オフセット値TAOPOFSTの値とは、外気温推定処理のサイクルタイム毎に初期化され、また、それらの値は外気温推定値TAOPを求めるためには使用されない。
【0043】
上述のように始動直後期間では、STEP3の処理が繰り返されることで、該始動直後期間内における吸気温度TAOBの検出値の最小値と、冷却水温TWの検出値の最小値とのうちの小さい方の値が外気温推定値TAOPとして求められることとなる。この場合、STEP3の処理は、エンジン1の始動前の停止状態が前記第1所定時間以上継続した後のエンジン1の始動直後の状態で実行される。このため、基本的には、エンジン1の余熱の影響は無いと共に、日射の影響を受けたとしても、前記始動直後期間内の少なくとも一つの時点(基本的には始動直後期間内の初期の期間における時点)では、吸気温度TAOBの検出値と冷却水温TWの検出値とのいずれか一方は、実際の外気温に近い値を採る。また、吸気温度TAOBの検出値と冷却水温TWの検出値とのいずれかがエンジン1の始動後に実際の外気温よりも低い温度になることは基本的には無い。従って、始動直後期間におけるSTEP3の処理によって、信頼性の高い(比較的精度のよい)外気温推定値TAOPを求めることができることとなる。
【0044】
始動直後期間が経過し、STEP2でT1SACR≧TM2になると、ECU2は、次に、STEP6において、前記車速センサ17による車両速度VPの検出値の現在値VP(k)が所定の条件(以下、車速条件という)を満たすか否かを判断する。この車速条件は、車両速度VPの検出値の現在値VP(k)が所定値VPL以上という条件であり、該所定値VPLは本実施形態では例えば40km/hに設定されている。そして、この車速条件が満たされない場合(VP(k)<VPLの場合)には、ECU2は、前述のSTEP4,5の処理を実行し、今回のサイクルタイムにおける外気温推定処理を終了する。従って、この場合には、外気温推定値TAOPの値は更新されず、現在値に保持されることとなる。
【0045】
一方、STEP6で、車速条件が満たされている場合(VP(k)≧VPLの場合)には、ECU2は、自身が前述したように求めるエンジン1の負荷NTIの検出値(算出値)の現在値NTI(k)が所定の負荷条件を満たすか否かをSTEP7,8の処理により判断する。この負荷条件は、本実施形態では、エンジン1の現在の負荷NTI(k)が所定の範囲内にあるという条件である。そして、ECU2は、STEP7において、この負荷条件に係わる負荷NTI(k)の下限値NTILと上限値NTIHとをそれぞれ車両速度の現在値VP(k)に応じて設定する。この設定は例えばあらかじめ定められたデータテーブルに基づいて行われる。この場合、基本的には、車両速度VP(k)が大きくなるほど、下限値NTIL及び上限値NTIHは共により大きな値になるように設定される。
【0046】
そして、ECU2は、エンジン1の負荷の現在値NTI(k)が上記のように設定した下限値NTIL及び上限値NTIHにより定まる範囲内にあるか否か(NTIL≦NTI(k)≦NTIHであるか否か)、すなわち、負荷条件を満たすか否かをSTEP8で判断する。
【0047】
このとき、エンジン1の負荷の現在値NTI(k)が負荷条件を満たさない場合(NTI(k)<NTIL又はNTI(k)>NTIHである場合)には、前記車速条件が満たされなかった場合と同様、ECU2はSTEP4,5の処理を実行して、今回のサイクルタイムにおける外気温推定処理を終了する。従って、この場合には、外気温推定値TAOPの値は更新されず、現在値に保持されることとなる。
【0048】
一方、STEP8で負荷条件が満たされた場合(NTIL≦NTI(k)≦NTIHである場合)には、ECU2は、前記カウントダウンタイマTTAODLYの値が「0」に達したか否か、すなわち、前記車速条件及び負荷条件が満たされる状態(以下、車速・負荷条件成立状態という)が、第3所定時間TM3(20秒)以上継続したか否かをSTPE8で判断する。
【0049】
このとき、車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続しておらず、TTAODLY>0である場合には、ECU2は、STEP5の処理を実行し、今回のサイクルタイムの処理を終了する。従って、この場合には、オフセット値TAOPOFSTの値のみが、吸気温度TAOBの検出値の現在値TAOB(k)と外気温推定値TAOPの現在値TAOP(k)との偏差TAOB(k)−TAOP(k)に初期化される。
【0050】
また、STEP9で、車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続して、TTAODLY≦0になった場合には、ECU2は、以下に説明するSTEP10〜13の処理を実行することにより、新たな外気温推定値TAOP(k)を求め、今回のサイクルタイムの処理を終了する。
【0051】
ここで、STEP10〜13の処理を詳細に説明する前に、前記車速・負荷条件成立状態において吸気温度センサ6が検出する吸気温度TAOBと、実際の外気温との関係について図3を参照して説明しておく。図3のグラフaは、例えば前記車速条件を満たす一定の車両速度(例えば80km/h)で走行しているときに、エンジン1の負荷NTIを高負荷状態から前記負荷条件を満たす負荷に急変(急減)させ、且つ、その急変後の負荷にエンジン1の負荷NTIを継続的に維持した場合における吸気温度センサ6による吸気温度TAOBの検出値の経時的変化の様子を例示するものである。
【0052】
前記車速・負荷条件成立状態において、車両速度VPとエンジン1の負荷NTIとが継続的に一定に維持された状態(以下、車速・負荷定常状態という)では、吸気温度TAOBの検出値は、最終的(定常的)には、実際の外気温と一定的な相関性を有するようになる。具体的には、図3のグラフaで示すように、吸気温度TAOBは、実際の外気温(これは、ここでは一定である)と一定の偏差OFSTOBJ(以下、定常オフセットOFSTOBJという)を有する温度TAOBST(≧実際の外気温)に収束する。尚、定常オフセットOFSTOBJは、車両速度VPに応じたものになり、車両速度VPが大きい程、定常オフセットOFSTOBJは小さくなる。
【0053】
また、図3のグラフaに見られるように、エンジン1の負荷NTIの急変後の過渡期においては、吸気温度TAOBの検出値は、基本的には、実際の外気温と前記定常オフセットOFSTOBJを有する温度TAOBST(以下、定常吸気温度TAOBSTという)に、応答遅れ(一次遅れ)を伴って追従する(収束する)ように変化する。換言すれば、エンジン1の負荷NTIの変化後、吸気温度TAOBの検出値と実際の外気温との偏差は、前記定常オフセットOFSTOBJに応答遅れ(一次遅れ)を伴って追従するように変化する。尚、その応答遅れの度合い(吸気温度TAOBの検出値の定常吸気温度TAOBSTへの収束速度)は、エンジン1の負荷NTIに応じたものとなり、基本的には、負荷NTIが大きい程、吸気温度TAOBの検出値の定常吸気温度TAOBSTへの収束の遅れが小さくなる。
【0054】
そして、上記のような吸気温度TAOBと実際の外気温との相関性は、前記車速・負荷条件成立状態において比較的顕著になる。すなわち、車両速度VPが前記車速条件を満たさず(VP<VPL)、車両速度VPが小さすぎる状態では、吸気温度TAOBの検出値がエンジン1の発熱や、図示しない車両のエアコン装置のON/OFF等の影響を受け易く、実際の外気温との相関性が不鮮明なものとなる。また、エンジン1の負荷NTIが前記負荷条件を満たさず(NTI<NTIL又はNTI>NTH)、エンジン1の負荷NTIが小さすぎる状態では、吸気管4内を吸気温度センサ6に接触しつつ流れる空気の流速が小さいために、吸気温度TAOBの検出値が不安定となって、実際の外気温との相関性が不鮮明になる。さらに、エンジン1の負荷NTIが大きすぎる状態では、吸気温度TAOBの検出値がエアコン装置のON/OFFによる影響を受けやすく、外気温との相関性が不鮮明になる。つまり、前記車速条件及び負荷条件は、吸気温度TAOBの検出値と実際の外気温との前述のような相関性が顕著になるような車両速度VP及びエンジン1の負荷NTIの条件である。
【0055】
吸気温度TAOBの検出値と、実際の外気温との上述のような相関性を考慮し、ECU2は、前記車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続したときには、吸気温度TAOBの検出値との偏差が前記定常オフセットOFSTOBJに応答遅れ(一次遅れ)を伴って追従するような値を所謂なまし処理により求め、その求めた値を外気温推定値TAOPとして得る。
【0056】
さらに詳細には、ECU2は、図2のSTEP10において、まず、前記定常オフセットOFSTOBJ(≧0)を、車両速度VPの検出値の現在値VP(k)と図示しないエアコン装置のON/OFF状態とに応じて設定する。この設定は、エアコン装置がON状態である場合とOFF状態である場合とで各別にあらかじめ定められたデータテーブルに基づいて行われる。この場合、エアコン装置がON、OFFいずれの状態においても、基本的傾向としては、車両速度の検出値VP(k)が大きい程、定常オフセットOFSTOBJは、より小さな値に設定される。そして、例えば、エアコン装置がOFF状態であるときには、VP(k)=80km/hでは、OFSTOBJ=10℃、VP(k)=140km/hでは、OFSTOBJ=1℃というように設定される。また、エアコン装置がON状態であるときには、定常オフセットOFSTOBJは、エアコン装置OFF状態であるときよりも多少、高い温度に設定される。
【0057】
ECU2はさらに、STEP11において、なまし処理における応答遅れの度合いを規定するなまし係数Cx(0<Cx<1)をエンジン1の負荷NTIの現在値NTI(k)に応じてい設定する。この設定は、あらかじめ定められたデータテーブルに基づいて行われ、負荷NTIの現在値NTI(k)が大きい程、なまし係数Cxは、より大きな値に設定される。
【0058】
次いで、ECU2は、STEP12において、次式(1)により表されるなまし処理によって、吸気温度TAOBと実際の外気温との偏差の推定値としてのオフセット値TAOPOFSTを更新する。
【0059】
TAOPOFST(k)=Cx・OFSTOBJ+(1−Cx)・TAOPOFST(k-1)
……(1)
ここで、式(1)の右辺のオフセット値TAOPOFST(k-1)の初期値は、STEP9の判断結果がYESになる直前のサイクルタイムにおいて、STEP5で求められた値である。
【0060】
次いで、ECU2はこのように求めたオフセット値TAOPOFST(k)を、STEP13において、吸気温度の検出値の現在値TAOB(k)から減算することにより、新たな外気温推定値TAOP(k)を求める。これにより、前記車速・負荷条件成立状態が、第3所定時間TM3以上継続している状態では、吸気温度TAOBとの偏差が定常オフセットOFSTOBJに応答遅れ(一次遅れ)を伴って追従するような値が外気温推定値TAOPとして逐次求められることとなる。このように外気温推定値TAOPを求めることにより、車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続している場合に、信頼性の高い外気温推定値TAOPが得られることとなる。
【0061】
尚、図2の外気温推定処理では、前記始動直後期間の経過後、車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続するようになるまでの間は、外気温推定値TAOPの更新は行われないので、始動直後期間で求められた外気温推定値TAOPが保持されることとなる。また、車速・負荷条件成立状態が第3所定時間TM3以上継続した後に、車速・負荷条件が満たされなくなった場合には、なまし処理による外気温推定値TAOPの更新は中断される。そして、車速・負荷条件成立状態が再び第3所定時間TM3以上継続するようになるまで、外気温推定値TAOPの値が車速・負荷条件が満たされなくなったサイクルタイムの直前のサイクルタイムで求められた外気温推定値TAOPに保持される。これにより、車速・負荷条件が満たされず、吸気温度TAOBの検出値がエンジン1の発熱やエアコン装置のON/OFF等、実際の外気温以外の要因の影響を受け易い状況で、不適正に外気温推定値TAOPを更新してしまうような事態が回避される。その結果、始動直後期間の経過後、車速・負荷条件が満たされないような状況でも、外気温推定値TAOPの信頼性を十分に確保することができる。
【0062】
次に、ECU2の漏れ診断可否決定手段の処理と、漏れ診断の処理とを詳細に説明する前に、本実施形態における漏れ診断の手法の概要を図4を参照して説明しておく。図4はエンジン1の停止状態で実行される蒸発燃料処理系3の漏れ診断を説明するためのタイムチャートである。尚、前記処理系内圧力PTANKは圧力センサ27により実際には絶対圧で検出されるが、図4では大気圧を基準とした差圧で示されている。以下の本明細書の説明では、処理系内圧力PTANKは、大気圧との差圧を意味するものとして用いる。
【0063】
エンジン1の運転停止後、第1大気開放モードが開始される(時刻t1)。該第1大気開放モードは、所定の第1大気開放時間TOTA1(時刻t1〜時刻t2までの時間で例えば120秒)にわたって行われる。この第1大気開放モードでは、バイパス弁26(図4では参照符号BPVで示す)が開弁され、ベントシャット弁30(図4では参照符号VSVで示す)の開弁状態が維持される。これにより、蒸発燃料処理系3が大気に開放され、圧力センサ27が検出する処理系内圧力PTANKは大気圧に等しくなる。尚、パージ制御弁31は、エンジン1の停止時に閉弁され、その閉弁状態が継続的に維持される。
【0064】
第1大気開放モードが終了する時刻t2から第1判定モードが開始される。この第1判定モードでは、ベントシャット弁30が閉弁され、蒸発燃料処理系3が閉空間状態とされる。この状態は所定の第1判定時間TPHASE1(例えば900秒)にわたって維持される。このとき、処理系内圧力PTANKは、基本的にはエンジン1の運転中に暖められた燃料タンク12等の余熱によって上昇する。そして、処理系内圧力PTANKが、例えば破線L1で示すように第1判定閾値PTANK1を越えて上昇したときには、蒸発燃料処理系3の漏れは無いと判定される(時刻t3)。尚、この場合には、漏れの診断は終了し、以後の漏れの診断処理は省略される。
【0065】
また、処理系内圧力PTANKが例えば実線L2で示すように変化し、第1判定時間TPHASE1の期間内に処理系内圧力PTANKが第1判定閾値PTANK1を越えない場合には、第1判定時間TPHASE1内における最大処理系内圧力PTANKMAXが記憶保持される(時刻t4)。
【0066】
第1判定モードが終了する時刻t4から、第2大気開放モードが開始される。該第2大気開放モードは、前記第1大気開放モードと同様、所定の第2大気開放時間TATO2(時刻t4から時刻t5までの時間で、例えば120秒)にわたって行われる。この第2大気開放モードでは、ベントシャット弁30が開弁され、蒸発燃料処理系3が再び大気に開放される。これにより、処理系内圧力PTANKが、再び大気圧に等しくなる。
【0067】
第2大気開放モードが終了する時刻t5から第2判定モードが開始される。この第2判定モードでは、ベントシャット弁30が閉弁されて蒸発燃料処理系3が再び閉空間状態とされる。この状態は所定の第2判定時間TPHASE2(例えば2400秒)にわたって維持される。このとき、処理系内圧力PTANKは、基本的には燃料タンク12等の自然冷却に伴い下降する。そして、処理系内圧力PTANKが、例えば破線L3で示すように下降して、第2判定閾値PTANK2を下回ったときには、蒸発燃料処理系3の漏れは無いと判定される(時刻t6)。尚、このときには、漏れの診断は終了し、以後の漏れの診断処理は省略される。
【0068】
また、処理系内圧力PTANKが例えば実線L4で示すように変化し、第2判定時間TPHASE2の期間内に処理系内圧力PTANKが第2判定閾値PTANK2まで下降しなかった場合には、第2判定時間TPHASE2内における最小処理系内圧力PTANKMINが記憶保持される(時刻t7)。
【0069】
第2判定モードが終了する時刻t7において、バイパス弁26が閉弁されると共に、ベントシャット弁30が開弁される。さらに、先に記憶された最大処理系内圧力PTANKMAXと最小処理系内圧力PTANKMINとの圧力差ΔP(=PTANKMAX−PTANKMIN)が算出され、この圧力差ΔPが第3判定閾値PTANK3と比較される。このとき、ΔP>PTANK3であるときには、蒸発燃料処理系3の漏れは無いと判定される。また、ΔP≦PTANK3であるときには、蒸発燃料処理系3の漏れが有ると判定される。すなわち、漏れが有るときには、前記第1判定モード及び第2判定モードにおいて、処理系内圧力PTANKの大気圧からの変化が小さくなるため、圧力差ΔPが小さなものとなる。従って、ΔP≦PTANK3であるときには、漏れが有ると判定できる。
【0070】
上述のような漏れの診断を行う場合、前記第1判定モード及び第2判定モードにおける処理系内圧力PTANKの変化の形態が、蒸発燃料処理系3の漏れの有無と顕著な相関性を有する必用がある。しかるに、処理系内圧力PTANKは、蒸発燃料処理系3の漏れの有無だけでなく、外気温や燃料タンク12の暖機状態等、種々様々な要因の影響を受け易い。従って、漏れの診断結果の信頼性を十分に確保するためには、適切な条件下で漏れの診断処理を行う必用がある。そのため、本実施形態では、ECU2は、その漏れ診断可否決定手段としての機能によって、エンジン1の運転停止時に、蒸発燃料処理系3の漏れの診断処理を実行するか否かを決定する処理を行う。
【0071】
さらに詳細には、ECU2は、イグニッションスイッチ16がOFFにされると、エンジン1の運転を停止させる処理を実行し、この処理に続いて、図5のフローチャートに示す処理を実行することにより、蒸発燃料処理系3の漏れの診断を実行するか否かを決定する。
【0072】
この処理(以下、漏れ診断可否決定処理という)では、ECU2は、まず、前記フラグF/SOAKの値をSTEP21で判断する。このとき、F/SOAK=1であるときには、前述した通り、今回のエンジン1の停止前の運転中に前記外気温推定処理が実質的に実行されておらず、外気温が判らない状態であるので、ECU2は、漏れ診断を実行するか否かをそれぞれ値「1」、「0」で表すフラグF/EOSTの値をSTEP22で「0」に設定し、漏れ診断の実行を不許可とする。
【0073】
F/SOAK=0である場合には、ECU2は、STEP23において、燃料タンク12の給油中であるか否かを判断する。このとき、給油中である場合には、前記蒸発燃料処理系3を閉空間状態にすることができず、蒸発燃料処理系3の漏れ診断を行うことができないので、ECU2は、前記STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定する。
【0074】
また、給油中で無い場合には、ECU2は、エンジン1の運転停止時の冷却水温TWが所定値(例えば70℃)以上であるか否か、車両が停車状態であるか否か(車両速度VPが「0」であるか否か)をそれぞれSTEP24,25で判断し、これらの条件が満たされない場合には、前記STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定する。すなわち、エンジン1の運転停止時の冷却水温TWが所定値(70℃)よりも低い場合には、燃料タンク12等の暖機が不十分であると考えられえるので漏れの診断を禁止する。また、車両が停車状態で無い場合には、燃料タンク12内の燃料の揺れ等によって処理系内圧力PTANKの変動を生じる虞れがあるので、漏れの診断を禁止する。
【0075】
さらに、ECU2は、STEP24,25の条件が成立している場合には、エンジン1の運転停止時の外気温推定値TA OPが所定範囲内にあるか否か(例えば0℃≦TAOP≦35℃)、燃料タンク12の燃料残量FLVLが所定範囲内にあるか否か(例えば15%≦FLVL≦85%(FLVL=100%は満タン状態を意味する))をそれぞれSTEP26,27で判断する。そして、これらの条件が満たされない場合には、前記STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定する。すなわち、エンジン1の運転停止時の外気温推定値TAOPが低すぎる場合(TAOP<0℃)には、キャニスタ18の通気口28の雪による閉塞、ベントシャット弁30等の凍結による作動不良等の虞れがあるため、漏れの診断を禁止する。また、外気温推定値TAOPが高すぎる場合(TAOP>35℃)には、エンジン1の運転停止後、蒸発燃料処理系3の閉空間状態における処理系内圧力PTANKの変化と蒸発燃料処理系3の漏れの有無との相関性が不鮮明になるので、漏れの診断を禁止する。また、エンジン1の運転停止時の燃料残量FLVLが少なすぎる場合(FLVL<15%)には、蒸発燃料が発生しやすく、それが処理系内圧力PTANKに影響を及ぼしやすいので、漏れ診断を禁止する。また、燃料残量FLVLが多すぎる場合(FLV L>85%)には図示しない過給油防止バルブが作動して、燃料タンク12とチャージ通路19とが分断されてしまうため、漏れ診断を禁止する。
【0076】
さらに、ECU2は、STEP26,27の条件が成立している場合には、STEP28において、エンジン1の停止前の今回の運転時における燃料消費量USEDGASが所定値GASJD以上であるか否かを判断する。そして、USEDGAS<GASJDである場合、すなわち、エンジン1の今回の運転時の燃料消費量が少ない場合には、燃料タンク12等の暖機が不十分であると考えられるので、ECU12は、前記STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定し、漏れの診断を禁止する。ここで、本実施形態では、ECU12は、エンジン1の運転停止時の外気温推定値TAOPと燃料残量FLVLとに応じて上記所定値GASJDを設定するようにしている。この設定は、例えば、図6に示すようなデータテーブルに基づいて行われる。このように、燃料使用量USEDGASと比較する所定値GASJDを外気温推定値TAOPと燃料残量FLVLとに応じて設定するのは、外気温や燃料残量によって、燃料タンク12の暖まりやすさが異なるからである。例えば外気温推定値TAOPが低い程、燃料タンク12は暖まり難いので、所定値GASJDは大きめの値に設定される。また、燃料残量FLVLが多いほど、燃料タンク12は暖まり難いので、所定値GASJDは、大きめの値に設定される。
【0077】
STEP28の条件が成立している場合には、ECU2はさらに、STEP29において、エンジン1の停止前の今回のエンジン1の総運転時間CDCTIMEが所定値TIMJD以上であるか否かを判断する。そして、CDCTIME<TIMJDである場合、すなわち、エンジン1の今回の総運転時間が少ない場合には、燃料タンク12等の暖機が不十分であると考えられるので、ECU12は、前記STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定し、漏れの診断を禁止する。ここで、本実施形態では、ECU12は、エンジン1の運転停止時の外気温推定値TAOPと燃料残量FLVLとに応じて上記所定値TIMJDを設定するようにしている。この設定は、例えば、図7に示すようなデータテーブルに基づいて行われる。このように、総運転時間CDCTIMEと比較する所定値TIMJDを外気温推定値TAOPと燃料残量FLVLとに応じて設定するのは、外気温や燃料残量によって、燃料タンク12の暖まりやすさが異なるからである。例えば外気温推定値TAOPが低い程、燃料タンク12は暖まり難いので、所定値TIMJDは大きめの値に設定される。また、燃料残量FLVLが多いほど、燃料タンク12は暖まり難いので、所定値TIMJDは、大きめの値に設定される。
【0078】
STEP29の条件が成立している場合には、ECU12はさらに、STEP30において、エンジン1の停止前の今回の運転時における車両の走行距離DISTが所定値(例えば2000m)以上であるか否かを判断する。そして、この条件が満たされない場合(DIST<所定値)には、燃料タンク12等の暖機が不十分である虞れがあるので、ECU12は、STEP22でフラグF/EOSTの値を「0」に設定し、漏れの診断を禁止する。
【0079】
また、STEP30の条件が成立している場合(この場合には、STEP30の前の全ての条件が満たされている)には、ECU2は、STEP31でフラグF/EOSTの値を「1」に設定し、漏れの診断を許可する。さらに、このときECU2は、STEP32において、前記第1〜第3判定閾値PTANK1〜PTANK3の値をエンジン1の運転停止時の外気温推定値TAOP及び燃料残量FLVLに応じて設定する。この設定は、あらかじめ定められたデータテーブルに基づいて行われ、例えば第1判定閾値PTANK1は、大気圧を基準として、図8に示すデータテーブルに基づいて設定される。また、本実施形態では、第2判定閾値PTANK2は、第1判定閾値PTANK1の符号を反転させた値(=−PTANK1)に設定され、第3判定閾値PTANK3は、第1判定閾値PTANK1と同じ値に設定される。この場合、漏れ診断を行う外気温推定値TAOPの条件下(0℃≦TAOP≦35℃)では、蒸発燃料処理系3の閉空間における圧力変化は、基本的には、外気温が高い程、大きくなる傾向がある。また、該圧力変化は、燃料タンク12の燃料残量FLVLが、概ね20〜30%であるときに大きくなる傾向がある。このため、図8のデータテーブルは、このような傾向で設定されている。
【0080】
以上説明した漏れ診断可否決定処理によって、前記第1判定モードや第2判定モードでの処理系内圧力PTANKの変化と、蒸発燃料処理系3の漏れの有無との相関性を十分に確保できるような状態でのみ、漏れ診断が許可され、それ以外の場合(処理系内圧力PTANKの変化が蒸発燃料処理系3の漏れの有無以外の要因の影響を受け易いか、もしくはその虞れがある場合)には、漏れ診断が禁止される。
【0081】
次に、ECU2による漏れ診断の処理について説明する。ECU2は、エンジン1の停止後、前記漏れ診断可否決定処理に続いて、図9及び図10のフローチャートに示すように漏れ診断処理を所定のサイクルタイム(処理周期)で実行する。
【0082】
すなわち、ECU2は、まず、STEP51で、前記漏れ診断可否決定処理で設定されたフラグF/EOSTの値を判断する。このとき、F/EOST=0である場合には、漏れ診断が禁止されているので、ECU2は漏れ診断処理を直ちに終了する。尚、この場合には、以後、次回のエンジン1の運転停止時まで図9及び図10のフローチャートの処理は実行されない。
【0083】
STEP51でF/EOST=1である場合には、ECU2は、エンジン1の運転停止時に起動されるカウントアップタイマTTM1の値(エンジン1の運転停止後の経過時間)が、所定の第1大気開放時間TOTA1(本実施形態では120秒)を越えたか否かをSTEP52で判断する。このとき、TTM1≦TOTA1である場合は、前記図4に示した第1大気開放モードである。この場合には、ECU2は、STEP53でバイパス弁26(BPV)及びベントシャット弁(VSV)30を開弁保持する。さらに、ECU2は、STEP54で、前記第1判定モードの経過時間を計時するカウントアップタイマTTM2の値を「0」に初期化した後、今回のサイクルタイムの処理を終了する。これにより、前記第1大気開放モードの処理が実行されることとなる。
【0084】
STEP52で、TTM1>TOTA1になると(第1大気開放モードの終了)、ECU2は、次に、第1大気開放モードで初期化したカウントアップタイマTTM2の値が所定の第1判定時間TPHASE1(本実施形態では、900秒)を超えたか否かをSTEP55で判断する。このとき、TTM2≦TPHASE1である場合には、前記図4に示した第1判定モードである。そして、この場合には、ECU2は、STEP56でベントシャット弁30を閉弁保持する。さらに、ECU2は、STEP57で、処理系内圧力PTANKの現在値(圧力センサ27による現在の検出値)が、前述のように設定した第1判定閾値PTANK1を越えたか否かを判断する。このとき、PTANK>PTANK1である場合には(図4の破線L1に係わる時刻t3を参照)、処理系内圧力PTANKの増加変化が大きいので、ECU2は、STEP58で蒸発燃料処理系3の漏れが無いと判定し、漏れ診断の処理を終了する。
【0085】
また、STEP57でPTANK≦PTANK1である場合には、ECU2は、前記第2大気開放モードの経過時間を計時するカウントアップタイマTTM3の値をSTEP59で「0」に初期化する。さらに、ECU2は、処理系内圧力PTANKの現在値が、現在、保持している最大処理系内圧力PTANKMAXよりも大きいか否かをSTEP60で判断する。尚、最大処理系内圧力PTANKMAXは、第1判定モードの処理の開始時に、その時の処理系内圧力PTANKに初期化される。
【0086】
STEP60でPTANK>PTANKMAXである場合には、ECU2は、最大処理系内圧力PTANKMAXの値を、STEP61で処理系内圧力PTANKの現在値に更新した後、今回のサイクルタイムの処理を終了する。また、PTANK≦PTANKMAXである場合には、ECU2は、最大処理系内圧力PTANKMAXの値を更新することなく、今回のサイクルタイムの処理を終了する。これにより、第1判定モードにおける処理系内圧力P TANKの最大値が最大処理系内圧力PTANKMAXとして記憶保持されることとなる。以上説明したSTEP56〜61のルーチン処理が、TTM2>TPHASE1になるまで繰り返されることで、第2判定モードの処理が実行される。
【0087】
STEP55でTTM1>TPHASE1になると(第1判定モードの終了)、ECU2は、次に、第1判定モードで初期化したカウントアップタイマTTM3が、所定の第2大気開放時間TATO2(本実施形態では、120秒)を越えたか否かをSTEP62で判断する。このとき、TTM3≦TOTA2である場合は、前記図4に示した第2大気開放モードである。そして、この場合には、ECU2は、STEP63でベントシャット弁30を開弁保持する。さらに、ECU2は、STEP64で、前記第2判定モードの経過時間を計時するカウントアップタイマTTM4の値を「0」に初期化した後、今回のサイクルタイムの処理を終了する。これにより、前記第2大気開放モードの処理が実行されることとなる。
【0088】
STEP63でTTM3>TOTA2になると(第2大気開放モードの終了)、ECU2は、次に、第2大気開放モードで初期化したカウントアップタイマTTM4が、所定の第2判定時間TPHASE2(本実施形態では、2400秒)を越えたか否かをSTEP65で判断する。このとき、TTM4≦TPHASE2である場合は、前記図4に示した第2判定モードである。そして、この場合には、ECU2は、STEP66でベントシャット弁30を閉弁保持する。さらに、ECU2は、STEP67で、処理系内圧力PTANKの現在値(圧力センサ27による現在の検出値)が、前述のように設定した第2判定閾値PTANK2(=−PTANK1)を下回ったか否かを判断する。このとき、PTANK<PTANK2である場合には(図4の破線L3に係わる時刻t6を参照)、処理系内圧力PTANKの減少変化が大きいので、ECU2は、STEP68で蒸発燃料処理系3の漏れが無いと判定し、漏れ診断の処理を終了する。
【0089】
また、STEP67でPTANK≧PTANK2である場合には、ECU2は、処理系内圧力PTANKの現在値が、現在、保持している最小処理系内圧力PTANKMINよりも小さいか否かをSTEP69で判断する。尚、最小処理系内圧力PTANKMINは、第2判定モードの処理の開始時に、その時の処理系内圧力PTANKに初期化される。
【0090】
STEP69でPTANK<PTANKMINである場合には、ECU2は、最小処理系内圧力PTANKMINの値を、STEP70で処理系内圧力PTANKの現在値に更新した後、今回のサイクルタイムの処理を終了する。また、PTANK≧PTANKMINである場合には、ECU2は、最小処理系内圧力PTANKMINの値を更新することなく、今回のサイクルタイムの処理を終了する。これにより、第2判定モードにおける処理系内圧力PTANKの最小値が最小処理系内圧力PTANKMINとして記憶保持されることとなる。以上説明したSTEP66〜70のルーチン処理が、TTM4>TPHASE2になるまで繰り返されることで、第2判定モードの処理が実行される。
【0091】
STEP65でTTM4>TPHASE2になると(第2判定モードの終了)、ECU2は、次に、STEP71で、バイパス弁26を閉弁保持すると共に、ベントシャット弁30を開弁保持する。そして、ECU2は、STEP72で、最大処理系内圧力PTANKMAXと最小処理系内圧力PTANKMINの差圧ΔP(=PTANKMAX−PTANKMIN)を求めた後、STEP73において、この差圧ΔPを前述のように設定した第3判定閾値PTANK3(=PTANK1)と比較する。このとき、ΔP>PTANK3である場合には、ECU2はSTEP74において蒸発燃料処理系3の漏れが無いと判定し、漏れ診断の処理を終了する。また、ΔP≦PTANK3である場合には、ECU2は、STEP75において蒸発燃料処理系3の漏れが有ると判定し、漏れ診断の処理を終了する。尚、漏れが有ると判定した場合には、ECU2は、図示しない報知手段によりその旨を報知する。以上説明した図9及び図10の処理により、前記図4を参照して説明したように蒸発燃料処理系3の漏れの有無の診断が実行されることとなる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態では、特に、エンジン1の運転中に信頼性の高い外気温推定値TAOPが求められ、この外気温推定値TAOPが所要の条件(本実施形態では、0℃≦TAOP≦35℃という条件)を満たす場合にのみエンジン1の運転停止後の漏れ診断が行われる。また、その漏れ診断においては、漏れの有無を判断するための判定閾値PTANK1〜PTANK3がエンジン1の運転停止時の外気温推定値TAOPに応じて設定される。その結果、外気温の影響を排除して、蒸発燃料処理系3の漏れの有無の診断を適正に行うことができ、その診断結果の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の装置構成を示すブロック図。
【図2】実施形態における外気温推定処理を示すフローチャート。
【図3】実施形態における外気温推定処理を説明するためのグラフ。
【図4】実施形態における漏れ診断の手法を説明するためのタイミングチャート。
【図5】実施形態における漏れ診断可否決定処理を示すフローチャート。
【図6】図5のフローチャートの処理で用いるデータテーブルを示す線図。
【図7】図5のフローチャートの処理で用いるデータテーブルを示す線図。
【図8】図5フローチャートの処理で用いるデータテーブルを示す線図。
【図9】実施形態における漏れ診断処理を示すフローチャート。
【図10】実施形態における漏れ診断処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、2…電子制御ユニット(外気温推定手段、機関負荷検出手段、漏れ診断可否決定手段)、3…蒸発燃料処理系、4…吸気管(吸気系)、6…吸気温度センサ(吸気温度検出手段)、12…燃料タンク、15…水温センサ(機関温度検出手段)、17…車速センサ(車両速度検出手段)、18…キャニスタ、19…チャージ通路(第1通路)、20…パージ通路(第2通路)、27…圧力センサ、28…キャニスタの通気口、30…ベントシャット弁(第1弁)、31…パージ制御弁(第2弁)。
Claims (7)
- 燃料タンクと、大気に連通する通気口を有すると共に前記燃料タンク内で発生する蒸発燃料を吸着する吸着材を有するキャニスタと、該キャニスタと前記燃料タンクとを接続する第1通路と、前記キャニスタと内燃機関の吸気系とを接続する第2通路と、前記キャニスタの通気口を開閉可能な第1弁と、前記第2通路を開閉可能な第2弁とを備えた蒸発燃料処理系において、前記内燃機関の運転停止後、前記第1弁及び第2弁を閉弁して前記蒸発燃料処理系を閉空間にした状態で、該蒸発燃料処理系内の圧力を検出し、その検出圧力に基づいて該蒸発燃料処理系の漏れの有無を診断する診断装置であって、
前記内燃機関に吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出手段と、前記内燃機関の機関温度を検出する機関温度検出手段と、前記内燃機関の運転中に前記車両の外気温の推定値を求める外気温推定手段と、該外気温推定手段が求めた外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かにより前記内燃機関の運転停止後における前記蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可又は禁止する漏れ診断可否決定手段とを備え、
前記外気温推定手段は、前記内燃機関の始動前の停止状態が第1所定時間以上継続した場合での前記内燃機関の始動後、第2所定時間が経過するまでの始動直後期間において、前記機関温度検出手段による検出温度の最小値と前記吸気温度検出手段による検出温度の最小値とのうちの小さい方を外気温推定値として得ることを特徴とする蒸発燃料処理系の漏れ診断装置。 - 燃料タンクと、大気に連通する通気口を有すると共に前記燃料タンク内で発生する蒸発燃料を吸着する吸着材を有するキャニスタと、該キャニスタと前記燃料タンクとを接続する第1通路と、前記キャニスタと内燃機関の吸気系とを接続する第2通路と、前記キャニスタの通気口を開閉可能な第1弁と、前記第2通路を開閉可能な第2弁とを備えた蒸発燃料処理系において、前記内燃機関の運転停止後、前記第1弁及び第2弁を閉弁して前記蒸発燃料処理系を閉空間にした状態で、該蒸発燃料処理系内の圧力を検出し、その検出圧力に基づいて該蒸発燃料処理系の漏れの有無を診断する診断装置であって、
前記内燃機関に吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出手段と、前記内燃機関を搭載した車両の速度を検出する車両速度検出手段と、前記内燃機関の負荷を検出する機関負荷検出手段と、前記内燃機関の運転中に前記車両の外気温の推定値を求める外気温推定手段と、該外気温推定手段が求めた外気温推定値が所定の外気温条件を満たすか否かにより前記内燃機関の運転停止後における前記蒸発燃料処理系の漏れの有無の診断を許可又は禁止する漏れ診断可否決定手段とを備え、
前記外気温推定手段は、前記車両速度検出手段による検出速度と前記機関負荷検出手段による検出負荷とが所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した場合に、前記吸入空気温度検出手段による検出温度との偏差が所定のオフセット値に応答遅れを有して追従する値をなまし処理により求め、その求めた値を外気温推定値として得ることを特徴とする蒸発燃料処理系の漏れ診断装置。 - 前記内燃機関を搭載した車両の速度を検出する車両速度検出手段と、前記内燃機関の負荷を検出する機関負荷検出手段とを備え、
前記外気温推定手段は、前記始動直後期間の経過後は、前記車速検出手段による検出速度と前記機関負荷検出手段による検出負荷とが所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した場合に、前記吸入空気温度検出手段による検出温度との偏差が所定のオフセット値に応答遅れを有して追従する値をなまし処理により求め、その求めた値を外気温推定値として得ることを特徴とする請求項1記載の蒸発燃料処理系の漏れ診断装置。 - 前記外気温推定手段は、前記始動直後期間の経過後、前記検出速度及び検出負荷が前記所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続するまでは、前記始動直後期間で求めた外気温推定値を前記始動直後期間の経過後における外気温推定値として保持することを特徴とする請求項3記載の蒸発燃料処理系の漏れ診断装置。
- 前記外気温推定手段は、前記始動直後期間の経過後、前記検出速度及び検出負荷が前記所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続した後、該所定の車速・負荷条件が満たされなくなったときには、再び、該所定の車速・負荷条件を満たす状態が第3所定時間以上、継続するまで、前記所定の車速・負荷条件が満たされたくなった時点以前で最後に求めた外気温推定値を、該所定の車速・負荷条件が満たされなくなった状態での外気温推定値として保持することを特徴とする請求項3又は4記載の蒸発燃料処理系の漏れ診断装置。
- 前記所定の車速・負荷条件は、少なくとも前記検出速度及び前記検出負荷がそれぞれ所定値以上であるという条件を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の蒸発燃料処理系の漏れ診断装置。
- 前記蒸発燃料処理系の漏れの有無を診断するための前記検出圧力に対する判定閾値を、前記外気温推定手段による外気温推定値に応じて設定する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蒸発燃料処理系の漏れ診断装置。
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