JP3784568B2 - 成形機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機やダイカストマシン等の成形機に係り、特に、マシン(成形機)の運転条件の設定などを表示画面と対話式に行うための表示・入力装置にかかわる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
射出成形機などの成形機においては、電源系や制御回路系などを内蔵した下部フレーム部材の上側のベース盤上に、成形機の正面に向かって立ったオペレータから見て、右側に射出系メカニズムを配置し、左側に型開閉系メカニズムを配置している。そして、従来の成形機においては、上記ベース盤上の略中央の手前側に、CRTディスプレイ装置などの表示装置を埋設して配置すると共に、この表示装置の近傍にキーボード装置を配置した構成をとるのが、一般的であった。
【0003】
上記表示装置は、オペレータに指示に応じて、各種の運転設定用画像、各種の運転実測データ画像、各種の統計データ画像等々が表示可能となっており、オペレータは、表示装置上に表示された運転設定用画像と対話式に、運転条件の設定や変更を行ったり、あるいは、運転実測データ画像を適宜に切り替えてマシンの運転状況を監視したりすることが、可能となっており、近時のコンピュータ制御の成形機においては、上記の表示装置およびキーボード装置は欠くことのできない必須の構成要素となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、近時のコンピュータ制御の成形機においては、各種モード画像を表示可能な表示装置、および、表示装置の表示画像を見て各種のデータ入力や指示入力を行うためのキーボード装置は、マシンに付設しなければならない必要不可欠な装置であるが、マシンの小型化が進むと、射出系メカニズムや型開閉系メカニズムを載置する前記したベース盤上に、表示装置およびキーボード装置の配置スペースを割くことがきわめて困難になってくる。このため、超小型画面の表示装置とキー数の限られた小さなキーボード装置を、ベース盤上に配置することも考えられるが、こうすると表示画像の視認性・識別性が劣化し、キー入力操作にも不都合をもたらす上、マシンの小型化に伴いベース盤の高さが低くなるので、オペレータは上半身を折り曲げて表示画像の認識やキー操作を行わなければならず、姿勢が窮屈で、人間工学的に見ても好ましいものでなくなる。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、射出系メカニズムや型開閉系メカニズムを載置するベース盤上に、表示装置およびキーボード装置の配置スペースを割くことができないマシンにおいても、必要十分な大きさの表示画面をもつ表示装置と、必要十分なキー数をもつキーボード装置とを、オペレータが立ち姿勢で無理なく表示画像を視認し、かつ、立ち姿勢で無理なくキー操作できるように配置することにある。また、本発明の目的とするところは、表示装置およびキーボード装置が必要に応じて待避位置をとり、ベース盤上のメカニズムの視認性を損なわず、かつ、メカニズムの点検・修理の妨げとならないように、できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した目的を達成するため、成形機の上部構造物の正面側に、フラット型表示装置とキーボード装置とが縦に連なるように一体化された表示・入力装置を、所定角度だけ旋回可能であるように設置した成形機において、
前記表示・入力装置は、成形機の正面に向かって立ったオペレータから見て、固定ダイプレートの手前側の上部から水平右横方向に突出した回転支持部に、所定角度だけ旋回可能であるように保持されて、前記固定ダイプレートの右側の空間において、上下方向に旋回可能であるよう配置されると共に、操作好適位置と待避位置とを選択的にとり得るようにされ、
前記表示・入力装置が前記操作好適位置をとった際には、前記フラット型表示装置が略垂直状態をとると共に、前記フラット型表示装置が上側に位置して、前記キーボード装置が下側に位置し、
前記表示・入力装置が前記待避位置をとった際には、前記キーボード装置が略水平状態をとり、前記フラット型表示装置が前記キーボード装置よりも奥方側に位置するように、構成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1〜図6は本発明の1実施形態の射出成形機に係り、図1は射出成形機の正面図、図2は射出制御形機の平面図、図3は図1の要部拡大図、図4は表示・入力装置の側面図、図5は表示・入力装置の回転保持機構の断平面図、図6は表示・入力装置の回転保持機構の要部断側面図である。
【0008】
図1、2、3において、1は電源系や制御回路系などを内蔵したマシン(射出成形機)の下部フレーム部材で、この下部フレーム部材1の構成要素であるフレーム部材の上側のベース盤2上には、マシンの正面に立ったオペレータから見て、右側に射出系メカニズム3が搭載され、左側に型開閉系メカニズム4が搭載されており、型開閉系メカニズム4の大部分は、開閉可能な安全扉6をもつカバー枠体5によって覆われている。7は型開閉系メカニズム4の構成要素である固定ダイプレートで、マシンの略中央部に位置しており、この固定ダイプレート7の正面側(手前側)の側面には、オペレータがマシンの動作を手動操作するための各種スイッチをもつ操作盤8が設けられている。
【0009】
9は表示・入力装置で、必要十分な大きさの表示画面をもつ液晶ディスプレイよりなるフラット型表示装置10と、必要十分なキー数をもつ薄型のキーボード装置11とからなっており、フラット型表示装置10とキーボード装置11とが縦に連なるように一体化されている。そして、表示・入力装置9は、マシンの正面に向かって立ったオペレータから見て、固定ダイプレート7の手前側(正面側)の上部から水平右横方向に突出した後記する回転支持部によって、所定角度だけ旋回可能であるように保持されていて、固定ダイプレート7の右側の空間において、上下方向に旋回可能であるよう構成されている。
【0010】
すなわち、表示・入力装置9は、図1、2、3、および図4において実線で示す操作好適位置と、図4において2点鎖線で示す待避位置とを、選択的にとり得るようになっている。
【0011】
そして、表示・入力装置9が操作好適位置をとった際には、フラット型表示装置10が上側に位置し、キーボード装置11が下側に位置すると共に、フラット型表示装置10はその表示面をオペレータ側に向けた垂直状態をとり、キーボード装置11はその下部が手前側に持ち上がった傾斜状態をとるように、フラット型表示装置10とキーボード装置11とは所定角度をもって一体化されている。
【0012】
このような操作好適位置を表示・入力装置9がとったときには、オペレータの目の前に表示・入力装置9が位置することになり、オペレータが立ち姿勢で、無理なく表示画像を視認することができるようになっている。また、フラット型表示装置10の下側に位置するキーボード装置11は、オペレータが立ち姿勢で簡単に操作できる位置にあり、しかも、操作性の良いように傾斜をもたせているので、立ち姿勢で無理なくキー操作を行えるようになっている。さらに、前記した操作盤8が表示・入力装置9と隣接しているので、より一層操作性がよくなり、使い勝手が向上する。
【0013】
一方、表示・入力装置9が待避位置をとった際には、キーボード装置11はそのキー面を上向きにした水平状態をとって、固定ダイプレート7の最上部と略同等高さで、固定ダイプレート7の右横の空間に位置し、フラット型表示装置10はキーボード装置11よりも奥方側に位置するようになっている。
【0014】
このような待避位置を表示・入力装置9がとったときには、固定ダイプレート7の樹脂注入部や加熱シリンダ先端の様子を、オペレータが観察することを全く妨げず、また、射出ユニットを点検・修理等で旋回動作させる際の作業性を損なうことがないように、することができる。すなわち、表示・入力装置9が待避位置をとると、ベース盤2上のメカニズムの視認性を損なわず、かつ、メカニズムの点検・修理の妨げとならないように、配慮されている。
【0015】
図5は、表示・入力装置9を所定量上下に旋回(回動)可能に保持する回転支持機構の断平面図である。
【0016】
同図において、21は、固定ダイプレート7の手前側(正面側)の上部から水平右横方向に突出した支持体で、固定ダイプレート7に埋設されて固定ダイプレート7にネジ止めによって固着された第1の支持部22と、この第1の支持部22にその基部をネジ止めによって固着された円筒状の第2の支持部23とからなっている。24は、表示・入力装置9の背面に設けられた表示・入力装置9の基部で、この基部24に保持枠25がネジ止めによって固着され、この保持枠25に円筒状の被回転支持部26がその基部をネジ止めによって固着されている。
【0017】
そして、被回転支持部26は第2の支持部23に挿入されて所定角度だけ回転可能であるように保持されており、これによって、被回転支持部26と一体に連結された表示・入力装置9が、所定角度だけ上下に旋回(回動)であるように保持されるようになっている。なお、第2の支持部23の内周面と被回転支持部26の外周面との間には、ブッシュ27(例えば、個体潤滑剤を含ませたブッシュ)およびOリング28が介在されており、被回転支持部26が回転する際に適度の摩擦抵抗力を与えるように構成されている。
【0018】
29は、被回転支持部26(表示・入力装置9)の回転位置を保持する位置決め用のハンドル体で、そのネジ部29aが第2の支持部23のネジ穴に螺合されていて、ネジ部29aの先端が被回転支持部26の外周面に当接可能とされている。したがって、ハンドル体29を回転操作して、ネジ部29aの先端を被回転支持部26の外周面に押し付けることによって、被回転支持部26(表示・入力装置9)は回転不能な状態におかれ、ハンドル体29を回転操作して、ネジ部29aの先端を被回転支持部26の外周面から離間させることによって、被回転支持部26は回転可能な状態におかれるようになっている。
【0019】
図6は、第2の支持部23と被回転支持部26との関係を示す図5のA−A線に沿った断側面図である。同図において、26aは、被回転支持部26に形成した回転範囲規制用の弧状の溝穴で、この溝穴26a内に、第2の支持部23に取り付けた回転規制部材30(例えば、ネジ体等)が位置しており、これによって、被回転支持部26は、第2の支持部23に対して所定角度θ(ここでは、θ=60°)だけ回転可能であるように、その回動範囲を規制されている。そして、回転規制部材30が溝穴26aの一方端に当接した際には、表示・入力装置9は前記した操作好適位置をとり、回転規制部材30が溝穴26aの他方端に当接した際には、表示・入力装置9は前記した待避位置をとるようになっている。
【0020】
なお、本実施形態においては、表示・入力装置9は操作好適位置と待避位置との間の任意の回転位置において、前記ハンドル体29によって位置決め可能ともなっている。
【0021】
以上本発明を図示した実施形態によって説明したが、当業者には本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、例えば、表示・入力装置9の操作好適位置や待避位置は1つの回転位置ではなく、所定の回動角範囲内の任意の回転位置であってもよい。また、表示・入力装置9の位置決めには、バネで押圧された球体と複数の位置決め穴で構成される公知の節度機構(デテント機構)を用いるようにしてもよい。また、表示・入力装置9のフラット型表示装置10とキーボード装置11とは、互いに相対回転可能であるように一体に結合したものであってもよい。さらに、固定ダイプレート7に回転保持機構を介して保持された表示・入力装置9に、パージ行程において樹脂の飛散を防止するためのパージカバーを、巻き取り可能な形で付設するようにしてもよい。さらにまた、表示・入力装置9は固定ダイプレート7以外にも、ベース盤2上の他の構造物(例えば、マシンの上部構造物である、型開閉系メカニズム4の前記カバー枠体5、あるいは、射出系メカニズム3の加熱シリンダの保持ブロックや射出駆動部の保持ブロック)の上部にも取り付け可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、射出系メカニズムや型開閉系メカニズムを載置するベース盤上に、表示装置およびキーボード装置の配置スペースを割くことができないマシンにおいても、必要十分な大きさの表示画面をもつ表示装置と、必要十分なキー数をもつキーボード装置とを、オペレータが立ち姿勢で無理なく表示画像を視認し、かつ、立ち姿勢で無理なくキー操作できるように、配置することができる。また、表示装置およびキーボード装置が必要に応じて待避位置をとり、これによって、ベース盤上のメカニズムの視認性を損なわず、かつ、メカニズムの点検・修理の妨げとならないように、することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態に係る射出成形機の正面図である。
【図2】本発明の1実施形態に係る射出成形機の平面図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】本発明の1実施形態に係る射出成形機における、表示・入力装置の側面図である。
【図5】本発明の1実施形態に係る射出成形機における、表示・入力装置の回転保持機構の断平面図である。
【図6】本発明の1実施形態に係る射出成形機における、表示・入力装置の回転保持機構の要部断側面図である。
【符号の説明】
1 下部フレーム部材
2 ベース盤
3 射出系メカニズム
4 型開閉系メカニズム
7 固定ダイプレート
8 操作盤
9 表示・入力装置
10 フラット型表示装置
11 キーボード装置
Claims (3)
- 成形機の上部構造物の正面側に、フラット型表示装置とキーボード装置とが縦に連なるように一体化された表示・入力装置を、所定角度だけ旋回可能であるように設置した成形機において、
前記表示・入力装置は、成形機の正面に向かって立ったオペレータから見て、固定ダイプレートの手前側の上部から水平右横方向に突出した回転支持部に、所定角度だけ旋回可能であるように保持されて、前記固定ダイプレートの右側の空間において、上下方向に旋回可能であるよう配置されると共に、操作好適位置と待避位置とを選択的にとり得るようにされ、
前記表示・入力装置が前記操作好適位置をとった際には、前記フラット型表示装置が略垂直状態をとると共に、前記フラット型表示装置が上側に位置して、前記キーボード装置が下側に位置し、
前記表示・入力装置が前記待避位置をとった際には、前記キーボード装置が略水平状態をとり、前記フラット型表示装置が前記キーボード装置よりも奥方側に位置するようにしたことを特徴とする成形機。 - 請求項1に記載の成形機において、
成形機の正面に向かって立ったオペレータから見て、前記固定ダイプレートの手前側面には、成形機の動作を手動操作するための操作盤が配設されたことを特徴とする成形機。 - 請求項1に記載の成形機において、
前記表示・入力装置が前記操作好適位置をとって前記フラット型表示装置が略垂直状態をとった際には、前記キーボード装置はその下部が手前側に持ち上がった傾斜状態をとるように、前記フラット型表示装置と前記キーボード装置とは所定角度をもって一体化されていることを特徴とする成形機。
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