JP3784372B2 - トラス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用構成材を上下に並列させて接続してなるトラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のトラスは、構成材(上弦材、下弦材、斜材等)を接合プレートを介して溶接等で接合していた。しかし、トラスの溶接には各部材の位置決め工程、仮溶接工程、本溶接工程など、多くの工程を必要とし、しかも専門の溶接技術者が必要であるうえ、溶接には非常に時間がかかるという問題点があった。
また、溶接作業を伴わないものとして無溶接トラスが提案されている(例えば特許文献1など)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2544284号(段落番号0010〜0011,図1〜4)
【0004】
特許文献1は各ラチス材(斜材や束材)の両端を、上弦材及び下弦材の表裏両面に各々当てがった対面する接合プレート間に介在させ、前記両面の接合プレートを前記弦材及びラチス材のフランジに各々にボルト接合するものであり、溶接を行わないことにより大幅な省力化を図るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1では、各弦材を接合プレートを介してボルト接合するため、専用の接合プレートが必要となるという問題があった。また、溶接ほどの手間ではないにしても、弦材同士や上弦・下弦材とラチス材とを直接ボルト接合せずに両面の接合プレートを介して接続するため、ボルト止め作業に際して少なくとも3つ部材をずれ動かないように保持した状態で作業することになり、手間がかかるという問題点もあった。
そこで、本発明では上記問題点に鑑み、より部材点数が少なく費用を低く抑えることができ、さらには接続作業が容易なトラスを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、少なくとも上フランジ又は下フランジと、立ち上がり部を備える建築用構成材を上下に並列させて接続して形成されるトラスであって、建築用構成材は、少なくとも隙間を介して対向する第1立ち上がり部と第2立ち上がり部とからなる立ち上がり部を有し、第1立ち上がり部及び/又は第2立ち上がり部の上端から延出する上フランジ、または第1立ち上がり部及び/又は第2立ち上がり部の下端から延出する下フランジの何れか若しくは両方からなり、該建築用構成材を上下に配列してそれぞれ上弦材、下弦材とし、下弦材としての建築用構成材は、天井材等の内装材を受支する屋内側フランジを有し、上弦材の隙間にウェブ材の上端を、下弦材の隙間にウェブ材の下端を挿入して接続することを特徴とするトラスに関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明における建築用構成材(以下、単に構成材という)4は、上弦材、下弦材として用いるものであって、図1〜4等の実施例に用いた構成材4Aのように一枚の金属板を成形・加工した一部材からなる構成でも良いし、後述するようなそれぞれ別々に成形・加工された別部材(2,3)を、ビス、ボルト・ナット等の固定具による接続、溶接、かしめ等の各種一体化手段により一体化したものでも良く、前述のように少なくとも上フランジ42又は下フランジ43と、立ち上がり部41を備える構成である。尚、図面上には符号4は付記していないが、本発明における構成材を総称的に指す説明にて用いる。ウェブ材5についても同様である。また、構成材4を天地逆に用いる場合、構成材4’というように符号に「’」を付記した。
尚、トラスは三角形を基本単位とした所要の強度を得られるようにフレーム状の部材を組んだ骨組みであり、所要の強度が得られれば一部分のフレームを省略しても良い。また、通常は三角形が基本単位であるが、四角形、台形などの場合もある。
【0008】
図1〜4等の実施例に用いた構成材4Aにて説明すると、構成材4Aは、少なくとも隙間を介して対向する第1立ち上がり部111と第2立ち上がり部121とからなる立ち上がり部41を有し、第1立ち上がり部111及び/又は第2立ち上がり部121の上端から延出する上フランジ42、または第1立ち上がり部111及び/又は第2立ち上がり部121の下端から延出する下フランジ43の何れか若しくは両方からなる構成である。
この構成材4Aは、一部材からなり、立ち上がり部41は、第1立ち上がり部111と第2立ち上がり部121とが隙間を介して対向状に重合(左右に並列)して形成されている。上フランジ42は、第1立ち上がり部111の上端から左右方向の一方側へ延出する第1上フランジ112に第2立ち上がり部121の上端から左右方向の一方側へ延出する第2上フランジ122が被覆するように重合(上下に積層)して形成されている。下フランジ43は、第1立ち上がり部111の下端から左右方向の一方側へ延出する第1下フランジ113と第2立ち上がり部の下端から左右方向の他方側へ延出する第2下フランジ123とが同一平面上に並列して形成されている。
【0009】
尚、前述のように本発明に用いる構成材4は、立ち上がり部41と、上フランジ42又は下フランジ43の何れか一方若しくは両方とからなるので、図1〜4等に用いた構成材4Aなどのように立ち上がり部41と上フランジ42と下フランジ43で形成されるものでも良いし、図14(e)に示す構成材4Tのように立ち上がり部41と下フランジ43のみで形成されるものでも良いし、図13(i)に示す構成材4Kのように立ち上がり部41と上フランジ42のみで形成されるものでも良い。
また、上フランジ42は、図1〜4等に用いた構成材4Aなどのように左右方向の一方側のみに形成されるものでも良いし、図14(f),(g)に示す構成材4U,4Sのように左右方向の両側に形成されるものでも良い。下フランジ43も同様であり、図1〜4等に用いた構成材Aなどのように左右方向の両側に形成されるものでも良いし、図13(j),(k)に示す構成材4L,4Mのように左右方向の何れか一方のみに形成されるものでも良い。
また、図1〜4等にて上弦材として用いられる構成材4Aの記載に応じて立ち上がり部41の上端に形成されるものを上フランジ42、立ち上がり部41の下端に形成されるものを下フランジ43として説明したが、図1〜4等にて下弦材として用いられる構成材4A’では天地逆に用いるので、その場合は前述の説明は実際の位置関係とは一致しない(図面では上側に下フランジ43が、図面下側に上フランジ42が位置する)が、後述する特殊なケースを除いて立ち上がり部41に形成される隙間の開放部側を下フランジ43、閉塞部側を上フランジ42とする。
【0010】
さらに、図示実施例の構成材4Aの立ち上がり部41には、長手方向に沿って適宜間隔で通孔411(開口部)を設け、ウェブ材5を固定する際のビスやボルト等の固定具を容易に固定できるようにした。このような開口部は、後述する受け材6を支持する取付孔としても良いし、建築物としての電気配線、その他の配線・配管などを通すための貫通孔としても良いし、後述する第1構成材部2及び第2構成材部3を一体化させるためのボルト孔、或いは梁等に固定したL型、T型のアングル材を固定するためのボルト孔として用いても良い。また、このような開口部の形状は目的に併せて円形、長方形、楕円形など適宜決定すれば良い。例えばボルト孔としての開口部を長手方向に細長く設ければ、ボルト止めの際に位置決めの微調整が可能となる。
また、開口部は、特に立ち上がり部41を流れ方向に交わる方向に配した場合には、この開口部が空気等の連通路(空気層)となる。さらに開口部を設けることは、構成材4の重量軽減にも貢献する。
【0011】
また、本発明において上弦材、下弦材として上下に並列させて配置した構成材4,4’の隙間に上端及び下端を挿入するウェブ材5は、構成材4,4’を接続する接続材であって、板状でも、棒状(パイプ状)でも良く、傾斜状に配する斜材でも、垂直状に配する垂直材でも良い。即ちトラスは、ウェブ材5として垂直材のみ用い、基本単位が四角形になるものでも良い。また、複数種類を組み合わせて用いても良い。
このウェブ材5の材質は各種金属、FRP等の複合材料等、公知の各種材質が挙げられ、所望の接続強度が得られるものであれば特に限定しない。また、ウェブ材5と構成材4の立ち上がり部41との固着はビス、ボルト・ナット等の固定具による接続を主とするが、溶接、接着剤による接着、かしめ等でも良く、所要の強度が得られれば公知の何れの方法でも良い。
【0012】
図1に用いた斜材5Aは、縦長の板状ウェブ材であって、前記構成材4A,4A’の隙間に挿入する上端及び下端には、予めビス、ボルト・ナット等の固定具を固定するための孔51を穿設しておくようにした。
【0013】
そして、図1に示す実施例では、まず構成材4A,4A’を上下に並列させて配置して上弦材、下弦材とするが、上弦材としての構成材4Aは隙間の開放部側が下方に向くように、下弦材としての構成材A’は隙間の開放部側が上方に向くように配置する。
そして、上弦材として配した構成材4Aの隙間に斜材5Aの上端を挿入して通孔411と孔51との位置を合わせ(連通させ)、ビス、ボルト・ナット等の固定具により接続する。同様に、下弦材として配した構成材4A’の隙間に斜材5Aの下端を挿入して接続する。
尚、本発明における各構成材4,4’の隙間にウェブ材5を挿入する操作は、配置させた構成材4,4’に対してウェブ材5を挿入する場合と、ウェブ材5に対して構成材4,4’を適宜に動かして隙間にウェブ材5の上端及び下端が位置するようにする場合とを含むものである。
【0014】
このように本発明のトラスは、上下に並列させた構成材4,4’の立ち上がり部41,41の隙間に複数のウェブ材5を挿入して接続するので、接合プレートを用いないで接続することができる。
また、こうして接続された構成材4は、上フランジ42及び/又は下フランジ43を有するので、容易に断熱材、遮音材などの機能材や内・外装材等を配置・固定することができる。
【0015】
図2〜4に示す各実施例は、ウェブ材5の他の例を示す。
図2では、2種のウェブ材5、即ち前記斜材5Aと垂直材5Bを組み合わせて狭い間隔で多数配して接続したので、より強度が高いものとなる。
また、図3では、前記斜材5Aよりも幅広で中央に膨出部52を設けた斜材5Cをウェブ材5として用いて接続したので、横方向の耐折り曲げ性の向上が図れるものとなる。
さらに、図4では、パイプ材の端部を潰して成形した斜材5Dをウェブ材5として用いて接続したので、斜材5Dの強度が向上し、変形を防ぐことができ、それを用いたトラスも大きな負荷が加わった場合に変形し難いものとなる。
【0016】
図5,6に示す各実施例は、構成材4B’に、天井材等の壁材を受支するための受け材6を取り付けた。尚、構成材4B’は、通孔411の配設間隔が狭い以外は前記構成材4Aと同様の構成材を天地逆に用いるようにした。また、壁材としてはグラスウール、発泡樹脂等からなるマット状又はボード状等の断熱材、吸音材、防火材、或いは各種素材から構成される化粧材等が挙げられる。
図5,6に示す各実施例では、下弦材として配置した構成材4B’の立ち上がり部41に、より狭い間隔で多数の通孔411を穿設し、該通孔411を受け材6A,6Bの取付孔としても用いた以外は、前記図1のトラスと略同様であるから同一符号を図面に付して説明を省略する。尚、図6は他図に対して6/8スケールで表記した。
図5に用いた受け材6Aは、針金等の線材をL字状に加工したピース材であって、この受け材6Aの複数を通孔411に引っ掛けるように構成材4B’の片側のみに設けたものであり、図6に用いた受け材6Bは、メッシュ状に加工したものであって、隣接する構成材4B’,4B’間に掛け渡すように設けたものである。この場合、受け材6Aには天井材等の壁材(図示せず)の端部が受支され、受け材6Bには天井材等の壁材が全面的に受支されるものとなる。
尚、特に限定するものではないが、天井等の内装材を受支する場合には、受け材6を下弦材として用いる構成材4に取り付け、外装材を受支する場合には、受け材6を上弦材として用いる構成材4に取り付けるようにする。
このように受け材6は、構成材4の左右両側に設けても良いし、一方側にフランジ(上フランジ42)がある場合などには上記受け材6Aのように他方側のみに設けても良い。フランジがある場合でも、上記受け材6Bのように隣接する構成材4B’,4B’間に渡って設けることで内外装材の落下防止を目的として使用しても良い。
【0017】
図7,8に示す各実施例では、下弦材として配置した構成材4C’の立ち上がり部41に通孔411の一部を受け材6C,6Dを取り付けるための矩形状の取付孔412に代えた以外は、前記図1のトラスと略同様であるから同一符号を図面に付して説明を省略する。
図7に用いた受け材6Cは、金属板等の板材をL字状に加工したピース材であって、この受け材6Cの複数を取付孔412に係止するように構成材4C’の片側のみに設けたものであり、図8に用いた受け材6Dは、長尺な板材を加工したものである。
尚、この場合、受け材6C,6Dの取り付けは、先端をく字状に折曲した取付片61を、構成材4C’の立ち上がり部41の下端に形成したスリット413から弾性に抗して挿入し、取付孔412から取付片61の先端を突出させることにより固定した。
このように受け材6を構成材4に取り付けるための手段については特に限定するものではなく、公知のどのような手段を用いても良い。
【0018】
上記図7,8の各実施例のようにスリット(413)を形成することが可能であれば、上弦材に用いる構成材4に対して下弦材として構成材4を天地逆に用いる必要はない。例えば図9に示す実施例は、上弦材と同様に下弦材としても上フランジ42が上方に位置し、下フランジ43が下方に位置するように構成材4Dを用いた。但し、上弦材として用いる構成材4Dと区別するために構成材4D”とする。即ちこの実施例において下弦材として用いる構成材4D”は、立ち上がり部41の上端に、斜材5Aを挿入するための挿入用スリット414を形成した以外は配設方向も上弦材として用いる構成材4Dと同様である。尚、構成材4Dは、通孔411の配設間隔が広い以外は前記構成材4Aと同様である。
この実施例では、下弦材として用いる構成材4D”の下フランジ43が、屋内側の左右に形成されているので、該下フランジ43を天井材等の内装材を受支する屋内側フランジとして用いることができる。
【0019】
図10に示す実施例は、異なる2種の構成材4を上弦材、下弦材として用いたものであって、上弦材としては前記構成材4Aを用い、下弦材としては図14(g)に示す構成材4Sを天地逆に用いるようにした(構成材4S’)。
この実施例では、前記図9の例と同様に下弦材として用いる構成材4S’の屋内側フランジ(上フランジ42)が、屋内側の左右に形成されているので、隣接するトラスの下弦材の屋内側フランジ間に天井材等の内装材を受支することができる。
【0020】
図11に示す屋根構造は、前記図9のトラスを用い、下弦材として用いる構成材4D”の屋内側フランジ(下フランジ43)上にグラスウール、発泡樹脂等の断熱材、各種素材から構成される化粧材(壁材)71を支持させ、上弦材として用いる構成材4Dの下フランジ13上には断熱材72を、上フランジ42上には断熱材からなる下地材73を載置し、その上に断面略H型状の外装材用保持部材74を固定部材741にて固定した。そして、隣接する外装材用保持部材74,74間には、平坦部751の左右側縁に折下げ成形部752,752を備える外装材75(76:バックアップ材)を取り付け(弾性保持させ)、カバー材77を取り付けて略平坦状の屋根面が形成されるように施工した。
尚、上フランジ42上には直接外装材75を取り付けても、図示するように下地材73を介して外装材75を取り付けても良い。また、外装材75は屋根(屋根板)でも壁(外壁板)でも良く、縦葺き、横葺き、折板などが挙げられ、特に限定するものではない。
【0021】
このようなトラスを用いて施工された屋根構造は、壁材71の上面レベルと上弦材としての構成材4Dの上フランジ42レベル(外装構造の下面レベル)の間に大きな空気層が形成されているので、断熱性が高いものとなる。例えば従来の母屋上に外装構造を施工したものでは、垂木等の厚みを超えない範囲の断熱材を配することができるが、本発明では配設するウェブ材5の高さの範囲で調整することができるので、より高い断熱性を容易に得ることができる。
【0022】
図12に示す屋根構造は、前記図3のトラスを用い、メッシュ状に加工した受け材6Eを断面略ハット型状の取付部材62により下弦材として用いる構成材4A’の立ち上がり部41に取り付け、その上に各種素材から構成される天井材81を支持させ、上弦材として用いる構成材4Aの立ち上がり部41にも同様にメッシュ状に加工した受け材6Fを断面略ハット型状の取付部材63により取り付け、その上に断熱材82を支持させ、さらにその上に断熱材83を敷設した。この断熱材83は、一端に下半が切り欠かれた重合部831、他端に上半が切り欠かれた被重合部832が形成され、これら重合部831及び被重合部832を、構成材4Aの上フランジ42を挟むように重合させることにより、断熱材83が途切れることなく(隙間なく)連続するように敷設され、高い断熱性が得られる構造となっている。そして、その上に吊子84を用いて外装材85を固定した。
【0023】
図13は、本発明に用いる構成材4のその他の態様を示すものであり、図13(a)〜(f)に示す構成材4E〜4Hは、それぞれ別々に成形・加工された別部材(第1構成材部2,第2構成材部3)を、ビス、ボルト・ナット等の固定具による接続、溶接、かしめ等の各種一体化手段により一体化したものである。尚、図13は他図に対して6/4スケールで表記した。
図13(a)に示す構成材4Eは、前記図1〜3等に用いた構成材4Aと同一の断面形状を有するが、第2構成材部3の第2上フランジ32の先端で第1構成材部2と線接合して一体化されている。
図13(b)に示す構成材4Fは、第1上フランジ22と第2上フランジ32とが面接合して一体化されている。尚、面接合は、スポット溶接等による部分的な接合も含む。
図13(c)〜(e)に示す構成材4Gは、第1上フランジ22の先端に第2上フランジ32の先端(折返し部)が係合し、図示しないビスやボルト・ナット、或いは溶接等により一体化される。このように第1構成材部2と第2構成材部3の上フランジ22,32は、重合するだけであっても、係止するものでも良く、この場合、別部材2,3の組み合わせ(位置決め)を容易に実施できる。
また、立ち上がり部41の隙間(=ウェブ材5の挿入部を除く部分の隙間)には、補強用部材46としてプレート状(図13(d))、L型(図示せず)、T型(図13(e))などのアングル材を配しても良い。この補強用部材46により、ボルト締めを行う場合に、第1立ち上がり部21や第2立ち上がり部31の変形を防止できる。また、荷重が集中するような部分等、特に強度が必要な部分には、立ち上がり部41の隙間ばかりでなく、上フランジ42及び下フランジ43の上下面にも表面補強用部材47を取り付けるようにしても良い。
図13(f)に示す構成材4Hは、上フランジ42の途中に溝部49形状を付加した。このように溝部49を設けることにより、第1構成材部2と第2構成材部3の一体化の際の位置決めを容易に行うことができる。
【0024】
図13(g)〜(i)に示す構成材4I〜4Kは、一枚の金属板を成形・加工した構成であって、図13(g)の構成材4Iは下フランジ43が第2下フランジ123のみで構成され、図13(h)の構成材4Jは下フランジ43が第1下フランジ113のみで構成され、図13(i)の構成材4Kは下フランジ43が存在しない。
図13(j)〜(l)に示す構成材4L〜4Nは、上記図13(g)〜(i)の構成材4I〜4Kと同一の断面形状を有するものであって、第2構成材部3の第2上フランジ32の先端で第1構成材部2と線接合して一体化されている。そして、図13(j)の構成材4Lは下フランジ43が第2下フランジ33のみで構成され、図13(k)の構成材4Mは下フランジ43が第1下フランジ23のみで構成され、図13(l)の構成材4Nは下フランジ43が存在しない。
上フランジ42についても、第1上フランジ(112又は22)と第2上フランジ(122又は32)を重合して形成するばかりでなく、第1上フランジ22のみ、或いは第2上フランジ32のみで形成しても良い。
【0025】
また、前述の図13(d)に示す構成材4Gでは、立ち上がり部41のウェブ材5の挿入部を除く部分の隙間に、プレート状の補強用部材46を挿入して強度を補強することを説明したが、構成材4を、それぞれ別々に成形・加工された別部材(第1構成材部2,第2構成材部3)を各種一体化手段により一体化して構成する態様においては、この補強用部材46を、隙間形成部材として用いても良い。
例えば図14(a)〜(d)に示す構成材4O〜4Rは、断面L字状又は断面コ字状に成形した第1構成材部2と、断面略Z字状又は断面略L字状に成形した第2構成材部3とを隙間形成部材46を介して組み合わせることにより、それぞれ下段に示すような隙間を形成することができる。即ち前述のウェブ材5の接続に用いる隙間を形成するために、それ以外の部分に適宜隙間形成部材46を配して組み合わせて一体化して構成材としても良い。尚、この場合、特に図14(b),(c)に示す構成材4P,4Qは、隙間の上下両端が開放しているので、例えば上弦材、下弦材として同一の配設方向でスリットなどを形成することなく配設することができる。尚、この構成材4P,4Qでは、隙間の上下両端が開放する特殊なケースであるが、上方に図示したものを上フランジ42、下方に図示したものを下フランジ43とした。図14は他図に対して6/4スケールで表記した。
【0026】
また、構成材4の各部位の構成は、図示実施例に特に限定するものではない。例えば図示実施例では、支持特性及び強度特性を考慮して、立ち上がり部41を鉛直状とし、上フランジ42、並びに下フランジ43を水平状としたが、所定の支持強度を有するものであれば特にこれらに限定されるものではない。
【0027】
以上本発明を図面の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のトラスは、建築用構成材の立ち上がり部の隙間にウェブ材を挿入して上下に配置された建築用構成材を接続するので接続作業が容易で、接合プレートのような特別な部材を必要としないのでコストを低く押さえることができる。
また、上弦材、下弦材として用いる建築用構成材は、上フランジ及び/又は下フランジを有するので、容易に断熱材、遮音材などの機能材や内・外装材等を配置・固定することができる。
【0029】
下弦材としての建築用構成材が、天井材等の内装材を受支する屋内側フランジを有する場合、容易に天井材等の内装材を取り付けることができる。
【0030】
建築用構成材に天井材等の壁材を受支するための受け材を設けた場合、容易に壁材を取り付けることができる。
また、受け材は、建築用構成材の左右両側にフランジがある場合でも、隣接する建築用構成材間に渡って設けることで天井材等の壁材の落下防止材として利用できる。
【0031】
建築用構成材の立ち上がり部に通孔を設けた場合、ウェブ材を固定する際のビスやボルト等の固定具を容易に固定できる。また、受け材を支持する取付孔として、或いは建築物としての電気配線、その他の配線・配管などを通すための貫通孔として用いることもできる。また、特に立ち上がり部を流れ方向に交わる方向に配した場合には、空気等の連通路(空気層)となる。さらに、建築用構成材の重量軽減にも貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明のトラスの一例を示す斜視図、(b)その側断面部、(c)用いたウェブ材の斜視図である。
【図2】本発明のトラスの他の一例を示す斜視図である。
【図3】(a)本発明のトラスの他の一例を示す斜視図、(b)その側断面図である。
【図4】(a)本発明のトラスの他の一例を示す斜視図、(b)その側断面図である。
【図5】本発明のトラスの他の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明のトラスの他の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明のトラスの他の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明のトラスの他の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明のトラスの他の一例を示す斜視図である。
【図10】本発明のトラスの他の一例を示す斜視図である。
【図11】本発明のトラスを屋根構造に用いた一例を示す断面図である。
【図12】本発明のトラスを屋根構造に用いた他の一例を示す断面図である。
【図13】(a)〜(l)本発明に用いる建築用構成材のバリエーションを示す断面図である。
【図14】(a)〜(d)隙間形成部材を介して組み合わせて一体化する本発明に用いる建築用構成材のバリエーションを示す断面図、(e)〜(g)一部材で構成される本発明に用いる建築用構成材のバリエーションを示す断面図である。
【符号の説明】
111 第1立ち上がり部
112 第1上フランジ
113 第1下フランジ
121 第2立ち上がり部
122 第2上フランジ
123 第2下フランジ
2 第1構成材部
21 第1立ち上がり部
22 第1上フランジ
23 第1下フランジ
3 第2構成材部
31 第2立ち上がり部
32 第2上フランジ
33 第2下フランジ
4,4A〜4U (建築用)構成材
41 立ち上がり部
411 通孔
42 上フランジ
43 下フランジ
5 ウェブ材(5A,5C,5D:斜材 5B:垂直材)
51 孔
6A〜6F 受け材
Claims (4)
- 少なくとも上フランジ又は下フランジと、立ち上がり部を備える建築用構成材を上下に並列させて接続して形成されるトラスであって、
建築用構成材は、少なくとも隙間を介して対向する第1立ち上がり部と第2立ち上がり部とからなる立ち上がり部を有し、第1立ち上がり部及び/又は第2立ち上がり部の上端から延出する上フランジ、または第1立ち上がり部及び/又は第2立ち上がり部の下端から延出する下フランジの何れか若しくは両方からなり、
該建築用構成材を上下に配列してそれぞれ上弦材、下弦材とし、下弦材としての建築用構成材は、天井材等の内装材を受支する屋内側フランジを有し、上弦材の隙間にウェブ材の上端を、下弦材の隙間にウェブ材の下端を挿入して接続することを特徴とするトラス。 - 下弦材としての建築用構成材には、内装材を受支するための受け材を取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のトラス。
- 上弦材としての建築用構成材には、外装材を受支するための受け材を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のトラス。
- 建築用構成材の立ち上がり部には、通孔を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のトラス。
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