JP3784316B2 - 蓋部材の開閉治具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、マンホールの蓋若しくは下水道の蓋等の金属製,鋳物製若しくはコンクリート製の重量蓋部材を開口部から容易に開閉させる開閉治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、マンホールの蓋を開閉させるには、先端部にフックを有する棒状の治具により、蓋の係止部にフックを引っかけて作業員が中腰になって引き上げている。また、この蓋が更に重ければ、2人の作業員が協力して引き上げたりしている。
【0003】
更に、マンホールの蓋を引き上げた場合には、周囲の人に開口部が開口されていることを知らせて、該開口部からの落下を防止するために、当該開口部の周囲に、例えば、円錐状のカラーコーンを設置して、開口部の養生をする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マンホールの蓋は、その重さが数十キロと重く、これを多数回、繰り返して開閉させることは、中腰作業で大変な重労働となる。また、床仕上げ完了後に、マンホールの蓋を仮置きする際に、当該床仕上げ材の表面に蓋が擦れてそこに傷が付くおそれがあるので、養生材を敷く手間が掛かる。
更に、マンホールの開口部の周囲にカラーコーンを養生材として設置する手間が掛かる等、という課題がある。本発明に係る蓋部材の開閉治具は、このような課題を解消するために提案されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る蓋部材の開閉治具の上記課題を解決するための要旨は、基台と、該基台に鉛直方向に移動自在に支持される昇降架台と、該昇降架台に係合するとともに蓋部材に係合する蓋開閉用のフック部材と、前記基台と昇降架台との間に介装され前記昇降架台を常に上方向に付勢する弾性手段とから構成されていることである。
【0006】
前記昇降架台には、該昇降架台に設けられた鞘管に着脱自在に嵌合し当該昇降架台の周縁部に立設される保護枠体が設けられ、該保護枠体は、マンホールの開口部の周囲に置かれる養生枠に兼用されるものであること、;更に、前記基台には、移動用の移動手段が設けられていることを含むものである。
【0007】
本発明に係る蓋部材の開閉治具によれば、昇降架台に作業員が乗ることで当該昇降架台を弾性手段に抗して押し下げ、その押し下げられたエネルギーにより、作業員が前記昇降架台から降りた後に、前記弾性手段がフック部材を介して、マンホールの蓋部材を開口部から引き上げて、開口させるものである。このように、昇降架台に作業員が乗る・降りるという簡単な行為で、重いマンホール等の水平配設された蓋部材を鉛直方向で上に引き上げるものである。
【0008】
また、保護枠体は、昇降架台における鞘管に対して着脱自在であり、マンホール等の蓋部材を開口させた後に、鞘管から取り外されて前記マンホール等の開口部の周囲に置かれることで、養生枠となるものである。更に、移動手段により、蓋部材を持ち上げて開口させた後に、この開閉治具を開口部上位置から横に移動させて、蓋部材を床仕上げ材に擦らせることなく、床仕上げ材表面へのキズ付きを防止して移動させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る蓋部材の開閉治具について図面を参照して説明する。
本発明である蓋部材の開閉治具1の構成を説明すると、図1に示すように、基台2と、該基台2に鉛直方向に移動自在に支持される昇降架台3と、該昇降架台3に設けられた蓋開閉用のフック部材4と、前記基台2と昇降架台3との間に介装され前記昇降架台3を常に上方向に付勢する弾性手段5と、から概略構成されている。
【0010】
更に、前記昇降架台3には、該昇降架台3に設けられた鞘管6に着脱自在に嵌合し当該昇降架台3の周囲に立設される保護枠体7が設けられている。該保護枠体7は、マンホールの開口部8の周囲に置かれる養生枠に兼用されるものである。前記基台2には、移動用の移動手段であるキャスター9が4箇所に設けられている。
【0011】
前記各構成部材について更に詳述する。前記基台2は、図2(A)に示すように、例えば、四角形状・多角形状若しくは丸形状の金属製、木製、合成樹脂製の平板体で、その大きさは、マンホールの蓋部材10の直径よりも若干大きい寸法のものである。また、この基台2の下面に設けられたキャスター9は、前記蓋部材10の外側の位置に配置される。
【0012】
前記基台2の上面には支持ボス部2bが設けられ、その支持ボス部2bに、図2(B)に示すように、弾性手段であるコイルバネ5が筒体5aに内包されて嵌装されている。該コイルバネ5は、鉛直方向において伸縮自在な弾性手段であればよいので、コイルバネに限らず、板バネ、エアー式・ガス式、等の公知の伸縮手段でもよい。
【0013】
また、基台2の中心部には、フック部材4を下に装通させるための貫通孔2aが2箇所に、蓋部材10のフック(棒状引掛け部10a、図4(A)参照)の位置に対応させた間隔で穿設されている。
【0014】
前記昇降架台3は、図2(C)に示すように、一例として、前記基台2とほぼ同じ大きさで、四角形状の平板体である。この昇降架台3の中心部には、前記貫通孔2aに対応させた位置に貫通孔3aが穿設されている。前記フック部材4を下に挿通させるためである。
【0015】
この昇降架台3の周縁部に設けられている保護枠体7は、前記昇降架台3に4隅の各箇所に設けられた鞘管6に、図2(D)に示すように、着脱自在にしてその脚部7aが嵌合されている。そして、当該鞘管6から前記保護枠体7を取り外して開口部8の周囲に置くことで、養生枠となる。また、この保護枠体7に作業員が出入りしやすいように、枠体上部の4辺のうち、一辺の枠材7bを、例えば、ヒンジ等の回転・開閉手段により開閉自在にしておくものである。
【0016】
前記フック部材4は、金属製であり、図1と図3乃至図4に示すように、基台2の貫通孔2aと昇降架台3の貫通孔3aとに連通され、その下部には円弧状に曲がったフック部4aが設けられ、棒状本体部4bの途中には、金属製若しくは合成樹脂製の係止部4cが設けられている。この係止部4cは、昇降架台3の貫通孔3aに対して下に挿通しないような大きさになっていればよい。
【0017】
また、当該係止部4cは、棒状本体部4bに所要高さ位置に固定されていても良い。即ち、この係止部4cの固定位置は、図3及び図4(A)に示すように、床11の表面11aから昇降架台3が支持ボス部2bの上端面に当接した状態での該昇降架台3の表面位置までの距離は、設計上において設定できるので、フック部4aから係止部4cまでの長さを予め決めることができるからである。
【0018】
また、前記係止部4cは、上部にボス部を設けて、該ボス部のネジ孔にボルトを横方向から螺着しネジ止めすることで、棒状本体部4bに位置固定される、という構造でもよい。
【0019】
更に、係止部4cを棒状本体部4bに位置固定する他の固定方法として、図4(B)に示すように、前記棒状本体部4bの一部にネジ溝4eを所望範囲に亘って刻設し、係止部4cには前記ネジ溝4eに螺合するネジ部を設けることで、昇降架台3に対する係止位置を、昇降架台3の降下後に、当該係止部4cを下方向へねじ込んで移動させることで、調節できるようにすることもできる。
【0020】
前記フック部材4の上部には、三角形状の廻し部4dが設けられている。これは、昇降架台3が荷重印加により下降した際に、フック部4aを蓋部材10の棒状引掛け部10aに掛けるため、この廻し部4dによってフック部4aを適宜回転させるものである。
【0021】
このようにして形成される蓋部材の開閉治具1を使用する方法について説明する。まず、本発明の蓋部材の開閉治具1を、図1に示すように、床11のマンホールの蓋部材10の上にキャスター9を利用して移動させる。
【0022】
前記移動に際しては、貫通孔2a,3aが、蓋部材10の引掛け部10aの上位置になるように、位置合わせをする。
【0023】
次に、保護枠体7の上部枠材の内、枠部材7bを開けて、一人若しくは二人の作業員が中に入り昇降架台3に乗る。すると、この作業員の重さで、コイルバネ5の付勢力に抗して前記昇降架台3が下降する。そして、昇降架台3の下面が支持ボス部2bの上端面に当接する。これが、図3に示す状態となる。
【0024】
そこで、作業員は、2箇所におけるフック部材4の廻し部4dを、図4(A)に示すように、それぞれ時計方向若しくは反時計方向に回転させて、フック部4aを引掛け部10aに掛ける。このとき、係止部4cは、貫通孔3aの幅よりも大きいので昇降架台3の上面に係合し、当該昇降架台3が上昇すると、フック部材4も同時に上昇する状態となる。
【0025】
また、フック部4aは、貫通孔3aから貫通孔2aへと、上から下に挿通させることができるものであればよいので、この開閉治具1に当初から備わっている必要はなく、この図3に示す、昇降架台3が下降した状態において、フック部材4を取り出して、そのフック部4aを貫通孔2a,3aに挿通させるようにしても良い。
【0026】
その後、前記作業員が前記昇降架台3から降りる。当該作業員の荷重が昇降架台3から開放されたことで、圧縮されて縮んでいたコイルバネ5の弾発力によって、基台2に対して昇降架台3が上に押し上げられる。
【0027】
前記昇降架台3がコイルバネ5によって持ち上げられることで、貫通孔3aにおいて係止部4cが引っかかっているので、フック部材4が昇降架台3とともに上に押し上げられる。
【0028】
それにより、図4(A)に示すように、フック部4aが引掛け部10aを介して、開口部8から蓋部材10を引き上げる。床11の表面11aの位置よりも、蓋部材10の下面の位置が上になる。これにより、持ち上げられた蓋部材10の横移動により、床11の仕上げ材等に擦れて、傷を付けてしまうというおそれが解消される。
【0029】
こうして、蓋部材10が開口部8から持ち上げられて、図5に示す状態になる。この状態で、前記キャスター9により、開口部8からこの蓋部材の開閉治具1を横に移動させ待避させる。
【0030】
その後、前記蓋部材の開閉治具1の保護枠体7を鞘管6から外して、開口させた前記開口部8の周囲に載置する。これが、当該開口部8の養生枠となって、開口部8に人等が落ちないようにされて安全性が確保される。
【0031】
マンホール内の補修工事等が終了したなら、前記保護枠体7を再び鞘管6に嵌合させ、前記開口部8へ当該開閉治具1を移動させ、蓋開け作業とは逆手順で、作業員が昇降架台3に乗り、蓋部材10を開口部8に閉蓋させ、フック部材4のフック部4aを引掛け部10aから外す。その後、前記昇降架台3から作業員が降りることで、コイルバネ5の弾発力により昇降架台3が上昇して、図1に示す初期の状態に戻るものである。その後、該開閉治具1をキャスター9によって他のマンホールへと移動させ、蓋部材の開閉作業に使用するものである。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る蓋部材の開閉治具は、基台と、該基台に鉛直方向に移動自在に支持される昇降架台と、該昇降架台に係合するとともに蓋部材に係合する蓋開閉用のフック部材と、前記基台と昇降架台との間に介装され前記昇降架台を常に上方向に付勢する弾性手段とから構成されているので、作業員が昇降架台に乗り・降りするだけでマンホールの蓋部材を容易に持ち上げることができるようになり、作業員の負担を軽減させると言う優れた効果を奏するものである。
【0033】
前記昇降架台には、該昇降架台に設けられた鞘管に着脱自在に嵌合し当該昇降架台の周縁部に立設される保護枠体が設けられ、該保護枠体は、マンホールの開口部の周囲に置かれる養生枠に兼用されるものであるので、開口部を開口させた後に、その周囲に養生枠を簡単に構築できて手間が掛からないと言う優れた効果を奏するものである。
【0034】
前記基台には、移動用の移動手段が設けられているので、開口部から持ち上げた蓋部材を横方向に容易に移動させることが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蓋部材の開閉治具1の構成と使用状態とを示す説明図である。
【図2】同本発明に係る蓋部材の開閉治具1の基台2を見た平面図(A)、弾性手段の構成を示す一部拡大説明図(B)、蓋部材の開閉治具の平面図(C)、保護枠体7の斜視図(D)である。
【図3】同本発明に係る蓋部材の開閉治具1の昇降架台3に作業員が乗って、該昇降架台3を下降させた状態の使用状態説明図である。
【図4】同本発明に係る蓋部材の開閉治具1における、フック部材4の作用を示す説明図(A)と、係止部4cの構成を説明する一部断面図(B)である。
【図5】同本発明に係る蓋部材の開閉治具1によって、マンホールの蓋部材10を持ち上げた様子を示す使用状態説明図である。
【符号の説明】
1 蓋部材の開閉治具、 2 基台、 2a 貫通孔、
3 昇降架台、 3a 貫通孔、
4 フック部材、 4a フック部、
4b 棒状本体部、 4c 係止部、 4d 廻し部、
4e ネジ溝、 5 弾性手段であるコイルバネ、
5a 筒体、 6 鞘管、 7 保護枠体、
7a 脚部、 7b 枠材、 8 開口部、
9 キャスター、 10 蓋部材、 10a 引掛け部、
11 床。

Claims (3)

  1. 基台と、該基台に鉛直方向に移動自在に支持される昇降架台と、該昇降架台に係合するとともに蓋部材に係合する蓋開閉用のフック部材と、前記基台と昇降架台との間に介装され前記昇降架台を常に上方向に付勢する弾性手段と、から構成されていること、
    を特徴とする蓋部材の開閉治具。
  2. 昇降架台には、該昇降架台に設けられた鞘管に着脱自在に嵌合し当該昇降架台の周縁部に立設される保護枠体が設けられ、該保護枠体は、マンホールの開口部の周囲に置かれる養生枠に兼用されるものであること、
    を特徴とする請求項1に記載の蓋部材の開閉治具。
  3. 基台には、移動用の移動手段が設けられていること、
    を特徴とする請求項1または2に記載の蓋部材の開閉治具。
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