JP3784295B2 - 多色可逆感熱記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は書き換え可能な感熱記録媒体とその使用方法に属するものである。特に、2色以上の発色やフルカラーの可能な多色可逆感熱記録媒体とその使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像の記録消去が可能な可逆感熱記録媒体が注目されている。その代表的なものが、通常無色ないし淡色のロイコ染料と加熱により該ロイコ染料を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆顕色剤からなる可逆感熱記録媒体である。このような記録材料として特開平6−210954号公報、特開平6−171225号公報、特開平7−68933号公報、特開平7−68934号公報等に、良好なコントラストで画像の記録・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持することが可能な可逆顕色剤が報告され、現在実用化されている。
【0003】
この種の記録媒体は、記録には通常サーマルヘッドが用いられるが、その場合、加熱による画像の記録と消去を繰り返すと、表面が加熱されながらこすられるため、記録層表面に傷が発生し、ひどくなると均一な画像が記録できないという不都合が見られていた。これに対し、特開平6−344673号公報、特開平8−156410号公報では、そうした可逆性記録材料の表面に保護層を設け、サーマルヘッドを用いた際の記録層表面の傷を低減させることが提案されている。
【0004】
一方、レーザー等の光を使用し、非接触で記録する方法が報告されている。特開平5−8537号公報では可逆感熱媒体にヒートモード光記録層を設けることで、光照射により記録・消去する方法が報告されている。また、特開2000−15931号公報では可逆感熱記録層を光熱変換層でサンドイッチする方法などが報告されている。
【0005】
この種の記録媒体は単色でカード等の用途において実用化されているが、特に表示媒体として使う場合、多色やフルカラー表示への期待が大きいものがある。公開特許公報によれば、この種の記録媒体を使い2色以上の発色と消去を行う方法が提案されている。
【0006】
特開平6−79970号公報において、発色色調及び消色開始温度の異なる複数種の可逆感熱記録組成物を積層したりするなどして多色を表現する方法が提案されている。また、特開平6−305247号公報では、発色色調が異なりかつ発色体を得るのに必要な発色状態維持最小冷却温度の異なる2種類の可逆感熱記録組成物を、分離・独立して存在させ、2色の記録と消去を行う方法が提案されている。これらの方法では、媒体の製造面や装置の開発面で難しいところがあると考えられる。
【0007】
特開平7−17132号公報では支持体上に異なる色調の可逆感熱記録層をエリアを決めて形成し、多色を表現する方法が提案されている。この方法では表現が制限される。
【0008】
特開2000−25338号公報では、発色が異なる可逆感熱組成物を印刷などにより、規則的に配列させ、その上に近赤外吸収層を設け、レーザー光により各色を発色させ、多色を表現する方法が提案されている。この場合、どの色相も同じレーザーで発色するので、媒体の画素の配置に狂いがあってはならず、狙った色の画素にレーザーを正確に照射する必要があり、記録装置が非常に大がかりになると思われる。
【0009】
また、特開2001−1645号公報では、支持体上にある発色色相の可逆感熱記録層とその上にその記録層を発色させるレーザー光の吸収層の組合せで、断熱層を介し、発色色相とそれに対応するレーザー吸収層の組合せで3種組み合わせて形成した記録媒体を作り、それぞれの吸収波長に相当するレーザー光を照射し、カラー画像を作る方法が提案されている。この方法では下の発色層になるほど、レーザー光は多くの層を通過する必要があり、それらの層にレーザー光が吸収され効率が悪くなる。また、既に発色した層がレーザーを吸収する事で、目的の発色層の発色を妨害したり、既に発色した目的外の色相を薄くするという欠点が考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、通常無色ないし淡色のロイコ染料と加熱により該ロイコ染料を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆顕色剤からなる可逆感熱記録材料を用い、鮮明な2色以上の発色やフルカラーの発色と消去が可能な媒体を提供することをその課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意研究を進めた結果、上述の特開2001−1645号公報を改良することで本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば、ロイコ染料(Rn)と可逆顕色剤と該ロイコ染料に対応する光熱変換材料(Tn)を少なくとも含有する光発色記録体(Mn)を、M1(R1,T1),M2(R2,T2),・・・,Mn(Rn,Tn)の組合せで2以上有し、該M1乃至Mnに含有される各々のロイコ染料の発色色相と光熱変換材料の光熱変換に有効な波長とが異なる2以上の光発色記録体、すなわちM1,M2,・・・,Mn(n≧2)を1ユニットとし、このユニットが支持体上の平面方向において、前後左右等間隔に配置されていることを特徴とする多色可逆記録媒体が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、ロイコ染料(Rn)と可逆顕色剤と該ロイコ染料に対応する光熱変換材料(Tn)からなる光発色記録体(Mn)を、M1(R1,T1),M2(R2,T2),・・・,Mn(Rn,Tn)の組合せで2以上有し、該M1乃至Mnに含有される各々のロイコ染料の発色色相と光熱変換材料の光熱変換に有効な波長とが異なる2以上の光発色記録体、すなわちM1,M2,・・・,Mn(n≧2)を1ユニットとし、該ユニットが支持体上の平面方向において、前後左右等間隔に配置された多色可逆記録層を支持体上に複数有し、ある1層の多色記録層に存在する光発色記録体におけるロイコ染料の発色色相と光熱変換材料の光熱変換に有効な波長とが、他の多色記録層に存在する光発色記録体のものと、すべて異なることを特徴とする多色可逆記録媒体が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、上記の光発色記録体が印刷により支持体上に配置されたことを特徴とする多色可逆記録媒体が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、上記の多色可逆記録媒体が有する光発色記録体を、それぞれの光発色記録体に含まれる光熱変換材料の光熱変換に有効な波長の光を順次照射し、発色させ、多色画像を形成させる方法が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、上記の方法において、複数層の多色光発色可逆記録層の最下層から順次上層に向けて発色させ、多色画像を形成させることを特徴とする方法が提供される
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の多色可逆記録媒体における各光発色記録体は、ロイコ染料と可逆顕色剤からなる感熱発色体と、この感熱発色体を発色させるための吸収波長を持つ光熱変換材料からなる。光熱変換材料は感熱発色体を有効に発色させるため、感熱発色体内部や周辺に存在させる。光熱変換剤を周辺に存在させる方法の例として、球状をした光発色記録体の周りに光熱変換材料含んだ皮膜が包んでいる状態のものや、光発色記録体が層状に存在し、感熱発色体の層の前後に光熱変換剤の層が存在する等の状態のものが考えられる。
【0017】
本発明の光発色記録体に含まれるロイコ染料と光熱変換材料は1:1で対応する。すなわち、ある光発色記録体のロイコ染料は特定の光熱変換材料と存在し、その光熱変換材料の光熱変換に有効な波長の光を照射することで、対応するロイコ染料が発色する。本発明に使用されるロイコ染料は発色色相の異なるものが使用され、光熱変換材料も光熱変換に有効な波長が異なるものが使用される。その結果、特定の波長の光の照射で特定の色相が発色することになる。
【0018】
本発明の多色可逆記録媒体において、ロイコ染料が異なる2種以上の光発色記録体を多色記録層上に形成させるが、各光発色可逆記録体が1個づつ集まったものを1ユニットとし、このユニットを平面的に均一に配置させる。
【0019】
本発明では上記のユニットを印刷方式を利用することにより容易に均一に配置できることを見いだした。すなわち、印刷機を使い、各色相のインキを印刷する要領で、各光発色可逆記録体を印刷し、各光発色可逆記録体のドットがユニットを形成するよう、またそのユニットが均一に配置するように行う。印刷機は特に限定するものではないが、グラビア印刷機、オフセット印刷機、スクリーン印刷機などが考えられ、凸版、平版、凹版、孔版などの方式のすべての印刷機の使用が考えられる。さらに、インクジェットによる方法も考えられる。
【0020】
本発明の多色可逆記録媒体の製造において、多色記録層の上に、この層を保護するため中間層や保護層設けるのが好ましい。これら中間層や保護層は全面に設けるのが好ましいが、部分的に光発色記録体の部分だけ設ける方法も考えられる。多色可逆記録媒体が多色記録層を複数層有する場合、光発色記録体の記録用の熱で別の上下の多色記録層に存在する光発色記録体に影響しない様、その層間を断熱する必要がある。断熱の方法として、塗工層を入れたり、フィルムの層を入れたりすることが考えられる。
【0021】
また、この複合層を発色させる場合、レーザーなど特定の波長を持つ光が適している。照射するレーザーの波長は発色させようとする複合層に存在する光熱変換材料の光吸収が大きいものを選択する。また、そのレーザーで他の光熱変換材料が吸収して目的以外の色相が発色したり、発色したものが消色しないよう、レーザーの波長及び光熱変換材料を選択する必要がある。
【0022】
さらに、本発明での多色記録層を複数有する多色可逆記録媒体を発色させる方法として、既に発色した層が後で発射されたレーザー光を吸収し、目的の色相の発色を妨害することを避けるため、最下層の多色記録層から順次、上層に向かって発色させる。
【0023】
次に、本発明の構成物の詳細について説明する。本発明で用いられるロイコ染料としては、一般的に感圧記録紙や感熱記録紙などに用いられるものに代表されるが、特に限定されず、トリアリール系メタン化合物、キサンテン化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、スピロ系化合物などが考えられる。また、これらの化合物を混合して使用することも考えられる。
【0024】
本発明で用いられる可逆顕色剤としては、例えば、特開平6−210954号公報で提案されているフェノール化合物、特開平11−58963号公報で提案された化合物などが考えられるが、加熱によりロイコ染料に可逆的な色調変化を生じせしめる化合物であれば特に限定されない。
【0025】
本発明に用いられる光熱変換材料光熱変換材料として、特に限定されるものではないが、以下のものが上げられる。例えば白金、金、銀、銅、チタン、シリコン、クロム、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属または半金族があり、これらを蒸着膜などの薄膜を形成して光熱変換する。また、色素系の光熱変換材料としてはアゾ系色素、シアニン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、ポリフィリン系色素、インジゴ系色素、ジチオール金属錯体色素、アズレニウム系色素、キノンイミド系色素、キノンジイミン系色素などがある。さらに、有機顔料なども光熱変換材料として使うことも可能である。3色以上や以上の中で特に好ましいものは、可視領域での吸収が少なく、吸収波長がある領域で明確な吸収を示し、それ以外の領域では光を吸収しない特性のものである。しかし、目的によっては、可視領域で吸収があるものや、ある程度幅が広い波長領域を持ったものも使用は可能である。
【0026】
本記録媒体に非接触の記録手段として、特に限定するものではないが、各種の半導体レーザー、炭酸ガスレーザー、YAGレーザーやキセノンランプなどが考えられる。また、記録したものを消去する方法は、特に限定するものではないが、発色の時に使ったものと同じレーザー光で消去する方法や熱ロールを通したり、熱スタンプや熱風などで媒体全体を温める方法などが考えられる。
【0027】
【実施例】
以下に前記発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例で限定されるものではない。なお、以下に示す部はいずれも重量基準である。
【0028】
(A)黒発色用インクの作成、ロイコ染料として3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを20部、可逆顕色剤としてN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジドを100部、光熱変換材料としてフタロシアニン(商品名、SIR−132、最大吸収波長域1050nm近辺、山本化成製)30部、バインダー樹脂として塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(商品名、VAGH、ユニオンカーバイト社製)50部、溶媒としてトルエン600部を加え、ボールミルで24時間粉砕し、黒発色の光発色記録体用インクを作成した。
【0029】
(B)赤発色用インクの作成、ロイコ染料として3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオランを20部、可逆顕色剤としてN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジドを100部、光熱変換材料としてフタロシアニン(商品名、MIR−369、最大吸収波長域830nm近辺、山本化成製)30部、バインダー樹脂として塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(商品名、VAGH、ユニオンカーバイト社製)50部、溶媒としてトルエン600部を加え、ボールミルで24時間粉砕し、赤発色の光発色記録体用インクを作成した。
【0030】
(C)青発色用インクの作成、ロイコ染料として3、3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドを20部、可逆顕色剤としてN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジドを100部、光熱変換材料としてフタロシアニン(商品名、YKR−4010、最大吸収波長域780nm近辺、山本化成製)30部、バインダー樹脂として塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(商品名、VAGH、ユニオンカーバイト社製)50部、溶媒としてトルエン600部を加え、ボールミルで24時間粉砕し、青発色の光発色記録体用インクを作成した。
(D)緑発色用インクの作成、ロイコ染料として2−アニリノ−6−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)フルオランを20部、可逆顕色剤としてN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジドを100部、光熱変換材料としてフタロシアニン(商品名、MIR−370、最大吸収波長域910nm近辺、山本化成製)30部、バインダー樹脂として塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(商品名、VAGH、ユニオンカーバイト社製)50部、溶媒としてトルエン600部を加え、ボールミルで24時間粉砕し、緑発色の光発色記録体用インクを作成した。
【0031】
(E)保護層インクの作成、アロニックスM8030(東亞合成化学工業製)90部にN−ビニル−2−ピロリドン5部、イルガキュア500(日本チバガイギー社製)5部、ミズカシルP−527(水澤化学製)10部を加え、十分に攪拌し、紫外線硬化性の保護層塗布液を作成した。
【0032】
実施例1
支持体として厚さ100μm白色ポリエステルフィルム上に、印刷機を用いて、(C)で作成した青発色用インキを使用し、乾燥後5μmの厚さになるよう、80μm角の正方形を前後、左右160μmの間隔を開け、等間隔に配列し、黒発色の光発色記録体を形成した。次に、(D)で作成した緑発色用インクを、同じく乾燥後5μmの厚さになるよう、80μm角の正方形を前後、左右160μmの間隔を開けかつ青発色の光発色記録体から40μmの間隔を開け、青発色インキを乗せていないエリアに配列した。(図1参照)さらに、それらの印刷の上に、同じく印刷機により、(E)で作成した保護層インクを使用し乾燥後2μmの厚さになるよう保護層を全面に形成し、多色可逆記録媒体を作成した。
【0033】
この媒体を円筒に巻き付け、レーザー照射装置(波長、780nm、出力450mW)にて、円筒の回転速度を変えることで走査速度を50〜600mm/秒まで変化させ照射し描線した。50〜300mm/秒で青の発色を目視で確認した。この時、緑の発色は認められなかった。次に発色させる緑との混色を作るため、100mm/秒で描線し青の発色部分を作った。
【0034】
次に、青で描線したものを90°角度を変え、再度同じ円筒に巻き付け、レーザー照射装置(波長、910nm、出力450mW)にて、未発色部で走査速度を50〜600mm/秒と変化させ照射し描線した。50〜250mm/秒で緑の発色が確認された。この時青の発色は認められなかった。また、青の発色部を100mm/秒で描線したところ、緑と青の混色が目視で確認された。さらに、これら発色したものを120℃の乾燥器に10分入れ、青、緑の色相とも消去することが確認された。
【0035】
実施例2
支持体として厚さ100μm透明ポリエステルフィルムのおもて面に、印刷機を用いて、(A)で作成した黒発色用インキと(B)で作成した赤発色用インクを使用し、実施例1で行った全く同じパターンで、それぞれ乾燥後5μmの厚さになるよう印刷した。さらに、それらの印刷の上に、同じく印刷機により、(E)で作成した保護層インクを使用し乾燥後2μmの厚さになるよう保護層を全面に形成し、透明な多色可逆媒体を作った。この媒体を記録面を上にし、実施例1にて作成した青と緑の多色可逆記録媒体の記録面に重ね、4色の多色可逆記録媒体を作った。
【0036】
この4色の媒体を円筒に巻き付け、円筒に巻き付け、レーザー照射装置(波長、780nm、出力450mW)にて、円筒の回転速度を変えることで走査速度を50〜600mm/秒まで変化させ照射し描線した。50〜300mm/秒で青の発色が目視で確認された。この時、目的以外の緑、黒、赤の発色は認められなかった。次に100mm/秒で青を発色させ、他の色の発色確認用に作った。
【0037】
次に、再度同じ円筒に巻き付け、レーザー照射装置(波長、910nm、出力450mW)にて、走査速度を50〜600mm/秒と変化させ照射し描線した。未発色部にて50〜250mm/秒で緑の発色を確認した。この時、目的以外の色相の発色は認められなかった。また、次に青の発色部を100mm/秒で描線したところ、緑と青の混色が目視で確認された。さらに、100mm/秒で描線し、緑単色と、緑と青の混色部分を作り、次の発色確認用とした。
【0038】
次に、再度同じ円筒に巻き付け、レーザー照射装置(波長、1050nm、出力600mW)にて、走査速度を50〜600mm/秒と変化させ照射し描線した。未発色部にて50〜300mm/秒で黒の発色を確認した。この時、目的以外の色相の発色は認められなかった。また、次に緑単色部を100mm/秒で描線したところ、黒と緑の重色が確認された。また、次に緑と青の混色部を100mm/秒で描線したところ、この混色と黒の重色が確認された。さらに、100mm/秒で描線し、黒の単色、黒と緑の重色、緑と青の混色と黒の重色部分をそれぞれ作り、次の発色確認用とした。
【0039】
次に、再度同じ円筒に巻き付け、レーザー照射装置(波長、830nm、出力600mW)にて、走査速度を50〜600mm/秒と変化させ照射し描線した。未発色部にて50〜300mm/秒で赤の発色を確認した。この時、目的以外の色相の発色は認められなかった。また、次に100mm/秒で、黒の単色部、黒と緑の重色部、緑と青の混色と黒の重色部を描線したところ、それぞれ、黒と赤の混色、黒と赤の混色と緑の重色、緑と青の混色と黒と赤の混色との重色が確認された。これらの発色したものを120℃の乾燥器に10分入れ、すべての発色が消去することを確認した。
【0040】
実施例3
実施例2において作成した4色の多色可逆記録媒体を円筒に巻き付け、レーザー照射装置(波長、830nm、出力450mW)にて、円筒の回転速度を変えることで走査速度を50〜600mm/秒まで変化させ照射し描線した。50〜300mm/秒で赤の発色が目視で確認された。この時、目的以外の緑、黒、の発色は認められなかった。次に100mm/秒で描線し、赤を発色させ、他の色の発色確認用に作った。
【0041】
次に、再度同じ円筒に巻き付け、レーザー照射装置(波長、1050nm、出力600mW)にて、走査速度を50〜600mm/秒と変化させ照射し描線した。未発色部で50〜300mm/秒で黒の発色を確認した。この時、目的以外の色相の発色は認められなかった。また、次に赤の発色部を100mm/秒で描線したところ、黒と赤の混色が確認された。さらに、100mm/秒で描線し、黒の単色部と黒と赤の混色部を作り、次の発色確認用とした。
【0042】
次に、レーザー照射装置(波長、910nm、出力450mW)にて、走査速度を50〜600mm/秒と変化させ照射し描線した。未発色部にて50〜250mm/秒で緑の発色を確認した。この時、目的以外の色相の発色は認められなかった。次に黒の単色部と黒と赤の混色部を100mm/秒で描線したところ、黒の単色部では緑の発色は認められたが、黒と赤の混色部では緑の発色は認められなかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明は前記の通り、レーザー光の波長を選定し目的の色を発色させるので、鮮明な高画質の発色を得ることが可能である。レーザー光とその波長を有効に吸収する光熱変換材料を組み合わせることで、4色で表現するフルカラーも可能である。
【0044】
多色可逆感熱層を複数層有する多色可逆感熱記録媒体を発色させる場合、最下層から発色させることで、発色部がレーザー光を吸収し、目的の色の発色を妨害するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1でいう多色記録をしめすものである。

Claims (5)

  1. ロイコ染料(Rn)と可逆顕色剤と該ロイコ染料に対応する光熱変換材料(Tn)を少なくとも含有する光発色記録体(Mn)を、M1(R1,T1),M2(R2,T2),・・・,Mn(Rn,Tn)の組合せで2以上有し、該M1乃至Mnに含有される各々のロイコ染料の発色色相と光熱変換材料の光熱変換に有効な波長とが異なる2以上の光発色記録体、すなわちM1,M2,・・・,Mn(n≧2)を1ユニットとし、該ユニットが支持体上の平面方向において、前後左右等間隔に配置されていることを特徴とする多色可逆記録媒体。
  2. ロイコ染料(Rn)と可逆顕色剤と該ロイコ染料に対応する光熱変換材料(Tn)を少なくとも含有する光発色記録体(Mn)を、M1(R1,T1),M2(R2,T2),・・・,Mn(Rn,Tn)の組合せで2以上有し、該M1乃至Mnに含有される各々のロイコ染料の発色色相と光熱変換材料の光熱変換に有効な波長とが異なる2以上の光発色記録体、すなわちM1,M2,・・・,Mn(n≧2)を1ユニットとし、該ユニットが支持体上の平面方向において、前後左右等間隔に配置された多色記録層を支持体上に複数有し、ある1層の多色記録層に存在する光発色記録体におけるロイコ染料の発色色相と光熱変換材料の光熱変換に有効な波長とが、他の多色記録層に存在する光発色記録体のものと、すべて異なることを特徴とする多色可逆記録媒体。
  3. 光発色記録体が印刷により支持体上に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2の多色可逆記録媒体
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の多色可逆記録媒体が有する光発色記録体を、それぞれの該光発色記録体に含まれる光熱変換材料の光熱変換に有効な波長の光を順次照射し、発色させ、多色画像を形成させる方法
  5. 請求項2に記載の多色可逆記録媒体が有する光発色記録体を、それぞれの該光発色記録体に含まれる光熱変換材料の光熱変換に有効な波長の光を順次照射し、発色させ、多色画像を形成させる方法において、複数層の多色記録層の最下層から順次上層に向けて発色させ、多色画像を形成させることを特徴とする方法
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