JP3783864B2 - フィルムスキャナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム保持機構に保持した現像済み写真フィルムに光源からの光線を照射し、その写真フィルムを透過した光線を光学レンズを介して可視光用の光電変換部に導いて画像情報を取り出すと共に、前記光学レンズを通過した光線を赤外光用の光電変換部に導いて前記写真フィルムの欠陥情報を取り出すよう構成されているフィルムスキャナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のように可視光変換系と赤外光変換系とを備えたフィルムスキャナとして、写真フィルムを透過した可視光線をRGB3ラインCCDに導いて画像情報を取り出し、写真フィルムを透過した赤外線をIR用1ラインセンサに導いてゴミや傷情報を取り出すよう構成したものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000‐341473号公報 (段落番号〔0039〕〜〔0050〕、図1、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように可視光変換系と赤外光変換系とを備えたフィルムスキャナは、特許文献1にも記載されるように、可視光変換系で取り出した画像情報を、赤外光変換系で取出した欠陥情報(ゴミや傷の情報)に基づいて欠陥を補間する補正を行い、補正後の画像情報からプリントを行っている。具体的には、特許文献1にも記載されるように、赤外線の濃度情報が閾値を超えるものをゴミや傷による欠陥情報として取り出すものであるため、ゴミや傷の欠陥情報を赤外光用の光電変換部の光電変換面に対して出来るだけ忠実に結像させるよう光学レンズの焦点位置を設定することにより、欠陥情報のコントラストを高め、この欠陥情報の位置を精度高く特定できるものにしている。
【0005】
しかしながら、従来からのフィルムスキャナでは、特許文献1に記載された技術のように単一の赤外光変換系を備えているので、フィルム保持機構に対して適正な向き(表裏を誤らず)に写真フィルムをセットした場合において、写真フィルムの一方の面における欠陥情報の位置を比較的精度高く特定し得るものの、他方の面の欠陥情報の位置を特定する精度が低くなり改善の余地がある。つまり、従来からのフィルムスキャナでは、フィルム保持機構に対して写真フィルムを適正な向きにセットした状態において、可視光用の光電変換部の光電変換面に対して写真フィルムの画像形成面(乳剤面)の画像情報を結像させるよう光学レンズの焦点位置を設定すると共に、赤外光用の光電変換部の光電変換面に対して写真フィルムの一方の面(通常は、画像形成面(乳剤面))の情報を結像させるよう光学レンズの焦点位置を設定している。このような理由から画像形成面における欠陥情報の位置を高精度で特定し得るものの、他方の面の欠陥情報の位置を特定する精度が低下しているのが現状である。
【0006】
特に、フィルム保持機構に対して写真フィルムを誤って裏向き(表裏逆向き)にセットした場合には、可視光用の画像情報は裏向きになるものの画像処理により適正な向きの画像情報に変換できるのであるが、前述したように、赤外光用の光電変換部に対してフィルムベース側の表面の情報が結像することになるので、欠陥情報として重要な画像形成面の欠陥情報の位置を特定する精度が低下する点においても改善の余地がある。
【0007】
これらの不都合は、このフィルムスキャナに使用される光学レンズが、解像度を高めるためF値を小さく設定したものを使用していることを原因に挙げることができる。つまり、F値が小さいレンズでは、被写界深度が浅く、写真フィルムの一方の面の情報を赤外光用の光電変換部の光電変換面に結像させるよう焦点位置のセットした場合には必然的に他方の面からの情報の鮮鋭度が低下するものとなり、写真フィルムの一方の面における欠陥情報の位置を特定する精度を低下させる不都合を招いていたのである。
【0008】
本発明の目的は、フィルム保持機構に対してセットした写真フィルムの欠陥情報を適正に取り出し得るフィルムスキャナを合理的に構成する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るフィルムスキャナの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
フィルム保持機構に保持した現像済み写真フィルムに光源からの光線を照射し、その写真フィルムを透過した光線を光学レンズを介して可視光用の光電変換部に導いて画像情報を取り出すと共に、前記光学レンズを通過した光線を赤外光用の光電変換部に導いて前記写真フィルムの欠陥情報を取り出すよう構成されているフィルムスキャナにおいて、前記赤外光用の光電変換部が、前記フィルム保持機構に予め設定された姿勢で保持された前記写真フィルムの画像形成面からの赤外光情報が結像する位置に配置した第1光電変換手段と、この写真フィルムにおいて前記画像形成面と反対側のベース面からの赤外光情報が結像する位置に配置された第2光電変換手段とを備えて構成されている点にある。
【0010】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、フィルム保持機構に対して写真フィルムを予め設定された姿勢で保持した場合には、写真フィルムの画像形成面(乳剤面)の欠陥情報を第1光電変換手段で取り出し、写真フィルムのベース面の欠陥情報を第2光電変換手段で取り出すものとなり、又、フィルム保持機構に対して予め設定された姿勢と異なる姿勢(例えば、裏向き)で写真フィルムをセットした場合には、写真フィルムの画像形成面(乳剤面)の欠陥情報を第2光電変換手段で取り出し、写真フィルムのベース面の欠陥情報を第1光電変換手段で取り出すものとなる。つまり、赤外光用の光電変換部が単一のものと比較して、フィルム保持機構にセットした写真フィルムの向きが適正であっても不適正(裏向き)であっても、写真フィルムの何れの面に傷やゴミが存在していても、何れの面に存在する欠陥情報の位置を光学レンズを介して2つの光電変換手段の光電変換面に結像させて欠陥情報の位置を精度高く把握し特定できるのである。その結果、フィルム保持機構に対してセットする写真フィルムの向きに拘わりなく欠陥情報の位置を適正に把握して補正を実現するフィルムスキャナが合理的に構成された。特に、本発明によると、写真フィルムの表裏両面における欠陥情報を取り出せるので、写真フィルムを適正にセットした場合においても、表裏両面に存在する欠陥情報に基づいて補正を行って高品質の画像情報を生成し得ると云う効果も奏する。
【0011】
本発明の請求項2に係るフィルムスキャナの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1記載のフィルムスキャナにおいて、前記光源からの光線を前記光学レンズに導く光軸上にダイクロイックミラーと、このダイクロイックミラーを透過した可視光が導かれる前記可視光用の光電変換部とを配置すると共に、前記ダイクロイックミラーで反射した赤外光が導かれる光路にハーフミラーを配置し、このハーフミラーで反射した赤外光が導かれる位置に前記第1光電変換手段を配置し、かつ、ハーフミラーを透過した赤外光が導かれる位置に前記第2光電変換手段を配置する、又は、前記ハーフミラーで反射した赤外光が導かれる位置に前記第2光電変換手段を配置し、かつ、ハーフミラーを透過した赤外光が導かれる位置に前記第1光電変換手段を配置している点にある。
【0012】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、写真フィルムの画像情報は光学レンズから可視光用光電変換部に導かれ、写真フィルムの欠陥情報は光学レンズからダイクロイックミラーで反射され、ハーフミラーから第1光電変換手段と第2光電変換手段との光電変換面に欠陥情報を結像させることが可能となる。その結果、可視光用の画像情報と写真フィルムの表裏両面に欠陥情報とを同時に取り込み得るものとなった。
【0013】
本発明の請求項3に係るフィルムスキャナの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1又は2記載のフィルムスキャナにおいて、前記フィルム保持機構に対し、前記設定された姿勢として前記画像形成面が前記光学レンズの方向に向かう表向きで前記写真フィルムを保持した状態で、この写真フィルムの画像形成面の画像情報が前記光学レンズによって前記可視光用の光電変換部に結像するように前記光学レンズの焦点位置が設定され、前記フィルム保持機構に保持された前記写真フィルムの表裏を判別する表裏判別手段を備えると共に、この表裏判別手段で前記写真フィルムの表裏が前記表向きと逆となる裏向きであることを判別した際には、前記可視光用の光電変換部で取り出した画像情報を鮮明化する処理を行うと共に、この画像情報と、前記赤外光用の光電変換部で取り出した欠陥情報とを裏向きに変換する画像処理手段を備えている点にある。
【0014】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、フィルム保持機構に対して誤って写真フィルムを裏向きにセットした場合には、画像情報処理手段が可視光用の光電変換部で取り出した画像情報の鮮明化を行うと共に、この画像情報と、赤外光用の光電変換部で取り出した欠陥情報とを裏向きに変換する処理を行うので、焦点が外れたことによる不鮮明さを解消すると同時に、適正な向きの画像情報を得る。その結果、光学レンズの合焦作動を行うことなくソフトウエア的な処理で済む画像処理だけで適正な向きの写真プリントを得ることができ、しかも、欠陥情報に基づく補正も可能となった。
【0015】
本発明の請求項4に係るフィルムスキャナの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項3記載のフィルムスキャナにおいて、前記表裏判別手段が、前記写真フィルムの形成されたDXコード情報を光学的に読み取るセンサからの情報からDXコードの配列方向の判別と、前記写真フィルムの幅方向の何れ側にDXコードが存在するかの判別とに基づいて前記写真フィルムの表裏の判別を行うよう処理形態を設定してある点にある。
【0016】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、フィルム保持機構に写真フィルムをセットし、その写真フィルムに形成されたDXコードをセンサで読み取るだけで、表裏判別手段がフィルム保持機構に保持された写真フィルムの表裏の判別を行えるものとなる。その結果、フィルム保持機構に対して誤って写真フィルムを裏向きに保持した場合にも確実に誤りを判別できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、現像済みの写真フィルムFの画像情報を取り込んでプリントに必要な画像処理を実行するオペレートユニットAと、このオペレートユニットAからの画像情報を印画紙Pにプリントして排出する現像処理ユニットBとを備えて写真プリント装置が構成されている。
【0018】
この写真プリント装置はデジタルミニラボと称せられるものであり、前記オペレートユニットAは、テーブル部の上面に備えたフィルムスキャナSで現像済みの写真フィルムFから画像情報をデジタル信号化して取り込んだ後、その画像情報に対してテーブル部の下部に備えた制御装置Cで必要な処理を行い、この処理後の画像情報をテーブル部の上面に備えたディスプレイ1に表示し、このディスプレイ1で確認した画像情報を現像処理ユニットBに伝送する処理を実現するよう構成され、テーブル部には処理に必要な情報を入力するキーボード2とマウス3を備えている。
【0019】
前記現像処理ユニットBは、本体5の上面に備えた一対の印画紙マガジン6に対してロール状に収納された長尺の銀塩式の印画紙Pを本体5の内部に送り込んでプリントサイズに切断した後、露光エンジン7の部位に供給して画像情報の露光を行い、この露光の後、現像処理部8の現像処理槽(図示せず)で現像処理を行い、更に、乾燥処理の後に、本体5の上部に備えた横送りコンベア9の上面に排出し、この横送りコンベア9から送られる印画紙Pをオーダ単位で仕分けてソータ部10のトレイ10Aに回収する処理を実現する。尚、露光エンジン7は、デジタル化された画像情報を印画紙Pに対して露光する性能を有するものであれば良く、レーザビーム式、PLZT方式、蛍光ビーム方式、液晶シャッター方式、DMD方式又はFOCRT等の使用が考えられる。
【0020】
図2に示すように、前記フィルムスキャナSは、写真フィルムFを長手方向に沿って往復搬送自在に保持するフィルムキャリアFC(フィルム保持機構の一例)を備えると共に、このフィルムキャリアFCの下側位置に光源系を配置し、このフィルムキャリアFCの上側位置に光電変換系を配置している。
【0021】
つまり、光源系は、ハロゲンランプで成る光源15からの光線の光量を平均化するミラーボックス16から写真フィルムFに照射するよう構成されている。又、光電変換系は、写真フィルムFを透過した光線が送られる光学レンズ17と、この光学レンズ17からの光線のうち可視光域の光線を透過させ、かつ、赤外光を反射するダイクロイックミラー18と、このダイクロイックミラー18を透過した可視光から画像情報を取り込む3ラインCCD型の可視光センサSv(可視光用の光電変換部の一例)とを光軸Lの上に配置すると共に、ダイクロイックミラー18で反射された赤外光を導く光路上にハーフミラー19を配置し、このハーフミラー19で反射された赤外光から写真フィルムFの画像情報を取り込む1ラインCCD型の第1赤外光センサSr1(赤外光用の光電変換部Srの一例・第1光電変換手段の一例)と、この光路の延長上に赤外光から写真フィルムFの画像情報を取り込む1ラインCCD型の第2赤外光センサSr2(赤外光用の光電変換部Srの一例・第2光電変換手段の一例)とを備えている。
【0022】
このフィルムスキャナSは、図3に示すように写真フィルムFの画像形成面Fa(乳剤面)を上側にセットした(適正にセットした)状態において、その画像形成面Faの画像情報を光学レンズ17から上方に導き、前記可視光センサSvと前記第1赤外光センサSr1との光電変換面に結像させるよう光学レンズ17の焦点位置を設定すると共に、この写真フィルムFのベース面Fbからの画像情報を前記第2赤外光センサSr2の光電変換面に結像させるよう光学レンズ17の焦点位置を設定している。前記可視光センサSvはR(赤)、G(緑)、B(青)夫々の波長の光線からラインイメージを独立して取り込み得るよう夫々の波長に対応した受光特性となる3種のラインCCDを平行姿勢で配置したものであり、前記第1、第2赤外光センサSr1、Sr2は赤外域の波長の光線からラインイメージを取り込み得るよう赤外光を受光する受光特性の1つのラインCCDを配置したものである。
【0023】
尚、図面において光学レンズ17を単一のレンズとして描いているが、この光学レンズ17は前記R(赤)、G(緑)、B(青)夫々の波長の画像情報を同一面に結像させるよう色収差を補正した複数のレンズを組み合わせたものであり、後述するように拡大率を調節できるようズームレンズ型に構成したものであっても良い。
【0024】
又、前記フィルムキャリアFCは、写真フィルムFを挟み込んで搬送する圧着型の複数の搬送ローラ21と、これらの搬送ローラ21を駆動する搬送モータMFと、写真フィルムFの側部に形成されたDXコードを読み取るよう光源22Aと受光素子22Bとで成るDXセンサ22とを備えている。
【0025】
同図に示すように、フィルムスキャナSは、前記光源15を制御する光源制御回路31と、前記搬送モータMFを制御する搬送モータ制御回路32と、前記DXセンサ22からの検出信号を取り込むセンサインタフェース33と、前記可視光センサSvからの画像情報を一時的に保存するバッファメモリMvと、このバッファメモリMvを制御するメモリ制御回路34と、前記第1赤外光センサSr1からの画像情報(欠陥情報)を一時的に保存するバッファメモリMr1と、このバッファメモリMr1を制御するメモリ制御回路35と、前記第2赤外光センサSr2からの画像情報(欠陥情報)を一時的に保存するバッファメモリMr2と、このバッファメモリMr2を制御するメモリ制御回路36とを備えると共に、これらと情報のアクセスを行うコントローラ40を備えている。
【0026】
前記コントローラ40は入出力インタフェース(I/O)と、マイクロプロセッサー(CPU)と、このマイクロプロセッサー(CPU)のデータバスに接続する半導体メモリで成るデータメモリ41と、データバスに接続する半導体メモリに保存したデータで成るプログラムデータ部42とを備えると共に、前記データバスに対して光源制御部43と、搬送制御部44と、表裏判別手段としての表裏判別部45と、画像処理手段としての画像処理部47とを接続している。尚、光源制御部43、搬送制御部44、表裏判別部45、画像処理部47はハードウエア又はソフトウエア、あるいは、ハードウエアとソフトウエアとの組合わせで成っている。
【0027】
前記データメモリ41は、後述するように搬送制御部44を制御する際の制御量を保存する機能と、処理の実行時に必要なデータを一時的に保存する機能とを有する。前記プログラムデータ部はコントローラ40で実行される基本的なプログラムが保存される。前記光源制御部43は、前記光源制御回路31を介して前記光源15に供給する電力を制御する。前記搬送制御部44は前記搬送モータ制御回路32を介して前記搬送モータMFを制御して写真フィルムFの搬送方向と搬送速度を制御する。前記表裏判別部45は、前記センサインタフェース33を介してDXセンサ22からDXコード情報を取り込み、搬送方向とDXコードの整列方向と配置(写真フィルムFの幅方向の何れの位置に存在するかの判別)からフィルムキャリアFCに保持されている写真フィルムFの表裏を判別する。
【0028】
前記画像処理部47は可視光情報処理部47Aと、赤外光情報処理部47Bと、画像情報補正部47Cとで構成され、可視光情報処理部47Aは前記可視光用のバッファメモリMvから送られる画像情報をコマ単位で独立する画像情報として生成する処理を行い、赤外光情報処理部47Bは前記赤外光用のバッファメモリMr1、Mr2からの画像情報をコマ単位で独立する画像情報として生成し、かつ、その画像情報に含まれる濃度情報からゴミや傷の有無を判別し、そのゴミや傷が存在する領域を情報化する処理(欠陥情報を抽出する処理)を行い、画像情報補正部47Cは可視光情報処理部47Aからの画像情報と、赤外光情報処理部47Bからの欠陥情報とに基づいて画像情報の補正を行う。尚、この画像情報補正部47Cでは、欠陥情報が存在する領域を、その領域の周囲の画像情報に基づきニアレストレイバー法、バイリニア法、あるいは、バイキュービック法により画像情報を生成し修復する形態での補正を行う。
【0029】
前記入出力インタフェース(I/O)から前記制御装置Cに対して情報を伝える信号系が形成され、前記制御装置Cは、後述するプレスキャンで取り込まれた画像情報が送られた場合には、ディスプレイ1に表示する処理を行い、又、このプレスキャンで取り込んだ画像情報に基づき後述する本スキャンで取り込んだ画像情報を自動的に補正する、若しくは、この画像情報を任意に補正する等の処理を行った後に、前記現像処理ユニットBに送り出すプログラムがセットされている。
【0030】
このフィルムスキャナSではフィルムキャリアFCに保持された写真フィルムFの画像情報を可視光センサSvで取り込む処理と、写真フィルムFの画像形成面の画像情報を赤外光センサSrで取り込み、その画像情報からゴミや傷等の欠陥情報を抽出し、この欠陥情報に基づいて可視光センサSvで取り込んだ画像情報におけるゴミや傷を取り除いた画像情報を自動的に生成する処理を実現するよう構成されている。
【0031】
特に、このフィルムスキャナSでは、フィルムキャリアFCに対して写真フィルムFを誤って裏向きに保持した場合にも、フィルムキャリアFCに対して適正な向きに写真フィルムFを保持した場合と比較して遜色のない画像情報を得る処理系を備えおり、例えば、135サイズの写真フィルムFの画像情報を取り込む際の制御形態を例に挙げると、その処理を図4のフローチャートのように示すことが可能である。
【0032】
つまり、フィルムキャリアFCに写真フィルムFを保持してスキャニングを実行すると、光源15からの光線を写真フィルムFに照射する状態で正方向(図2においてPで示す方向)に写真フィルムFを搬送し、この写真フィルムFを透過した光線を可視光センサSvで受け、少ない画素数の画像情報を取り込む(プレスキャン:#100ステップ)。このプレスキャンを実行した後には、その画像情報からコマ画像情報を抽出して前記制御装置Cに出力する処理が実行される(#01)。尚、このようにプレスキャンを実行する場合には、写真フィルムFの搬送下手側(先端)の端部をフィルムキャリアFCの内部に巻き取る形態で一次的に収納するよう該フィルムキャリアFCが構成されている。
【0033】
又、プレスキャンを行う際には写真フィルムFを搬送する搬送モータMFの駆動信号と同期して可視光センサSvからのラインイメージを取り込む処理が実行されるが、少ない画素数の画像情報を取り込む場合には、可視光センサSvからのラインイメージを取り込むインターバルを、後述する本スキャン時におけるインターバルより長く設定することにより副走査方向での画素数を低減し、かつ、可視光センサSvによって取り込んだラインイメージから画像情報を間引きする処理を行うことによって主走査方向での画素数を低減している。尚、主走査方向での画素数を低減する手段として、前記光学レンズ17をズームレンズ型に構成し、光学レンズ17の焦点距離を調節することにより、可視光センサSvの中央領域に対してだけ写真フィルムFの画像情報を結像させてラインイメージそのものの画素数を低減するよう構成しても良い。
【0034】
次に、このプレスキャンを終えた後には、搬送モータMFを逆転させて写真フィルムFを逆方向(T方向)に搬送しながら可視光センサSvでプリントサイズに対応した画素数の画像情報を取り込むと同時に、第1、第2赤外光センサSr1、Sr2を介してプリントサイズに対応した画素数の画像情報を取り込む(本スキャン:#200ステップ)。このように本スキャンを実行した後には画像処理を実行し(#300ステップ)、本スキャンによって取り込まれた画像情報を前記制御装置Cに出力する(#02ステップ)。
【0035】
図5のフローチャートに示すように、前記プレスキャンルーチン(#100ステップ)は、写真フィルムFを正方向(P方向)に搬送しながら、予め設定された画素数の画像情報を取得する処理を実行し、このように写真フィルムFを搬送する際に前記DXセンサ22からの情報に基づいて前記表裏判別部45が写真フィルムFの表裏を判別する処理を実行し、更に、画像情報を取得する処理を写真フィルムFの終端が専用のセンサ(図示せず)で検出されないうちは継続させ、写真フィルムFの終端をセンサが検出すると搬送モータMFの駆動を停止する(#101〜#104ステップ)。
【0036】
前記表裏判別部45によって写真フィルムFの表裏を判別する判別処理は、DXコードを構成するバーの整列方向と写真フィルムFに対する配置とに基づいて行われるものであり、この判別の結果により、写真フィルムFが裏向きであることが判別された場合にはフラグを「1」にセットし、画像処理部47において該プレスキャンで取り込んだ画像情報を反転(裏向きに設定)させる処理を実行する(#105〜#107ステップ)。
【0037】
図6のフローチャートに示すように、逆方向(T方向)に写真フィルムFの搬送を行い乍らプリントサイズに対応した画素数の画像情報を可視光センサSvから取得すると同時に、プリントサイズに対応した画素数の画像情報を第1、第2赤外光センサSr1、Sr2から取得し、更に、この画像情報を取得する処理を写真フィルムFの先端が専用のセンサ(図示せず)で検出されないうちは継続させ、写真フィルムFの先端を前記センサが検出すると搬送モータMFの駆動を停止する(#201〜#203ステップ)。
【0038】
尚、プリントサイズに対応して設定される画素数は、前述したプレスキャン時に設定される画素数と比較して充分に大きい値であり、プリントサイズが大きいほど画素数も大きい値が与えられる。
【0039】
次に、フラグが「1」である場合には可視光センサSvで取得した画像情報と、第1、第2赤外光センサSr1、Sr2で取得した画像情報とを、前記画像処理部47において反転(裏向きに設定)する変換処理を実行し、最後にフラグを「0」に設定する処理を実行する(#204〜#206ステップ)。
【0040】
図7のフローチャートに示すように、前記画像処理は、前記第1、第2赤外光センサSr1、Sr2で取り込まれた画像情報と、予め設定された濃度情報とを前記赤外光情報処理部47Bにおいて比較し、予め設定された濃度を超える領域を欠陥部として抽出し、このように抽出した欠陥部を、前記画像補正部47Cにおいて補間情報により修復する処理を実行する(#301〜#303ステップ)。つまり、可視光センサSvを介して取り込んだ画像情報のうち、ゴミが付着したことや傷が存在することにより欠陥部が存在する場合には、第1、第2赤外光センサSr1、Sr2で取得した画像情報から欠陥部の領域を特定し、その欠陥部の領域の周囲の画像情報に基づきニアレストネイバー法、バイリニア法、あるいは、バイキュービック法により補間情報を生成し、修復する処理が実行されるのである。特に、写真フィルムFにゴミや傷が存在する場合には、第1、第2赤外光センサSr1、Sr2夫々で同時に重なり合う位置に欠陥情報を取り出すことになるので、画像情報の修復を行う場合には、これらの欠陥情報に基づいて欠陥部の領域を特定する必要がある。
【0041】
次に、本スキャンで取得した画像情報が反転処理されたものである場合には、可視光情報処理部47Aにおいてコントラストを高める処理や、エッジを強調する処理等の処理により画像情報を鮮明化する鮮明化処理が実行される(#304、#305ステップ)。尚、このように補正処理と鮮明化処理とが行われた後には、赤外光の画像情報は破棄され、可視光の画像情報がコマ単位で前記制御装置Cに送られる。
【0042】
因みに、写真フィルムFにゴミや傷が存在する場合には前述した通り、第1、第2赤外光センサSr1、Sr2夫々で同時に欠陥情報として取り出すことになるので、例えば、第1、第2赤外光センサSr1、Sr2で重なり合う状態で取り出された欠陥情報を比較して鮮鋭度が高い側のフィルム面に欠陥情報が存在すると判断することも可能である。従って、この判断結果と、前記表裏判別部45の判別結果とに基づいて写真フィルムFの何れの面に欠陥情報が存在するかを求め、写真フィルムFの画像形成面Faの欠陥情報と、ベース面Fbの欠陥情報とに対する補正の処理形態を異なるよう設定することも考えられる。
【0043】
このように本発明のフィルムスキャナSでは、フィルムキャリアFCに対して写真フィルムFを適正にセットした場合には従来からのものと同様に可視光センサSvから画像情報を取り込み、第1、第2赤外光センサSr1、Sr2からの画像情報に基づいて写真フィルムFの両面のゴミや傷に起因する欠陥情報の修復を行うものである。特に、フィルムキャリアFCに対して写真フィルムFを誤って裏向きにセットした場合には、可視光センサSvに対して写真フィルムFの画像情報を結像させないものであるが、画像情報を鮮明化させる鮮明化処理により高品質のプリントを出力できるものになっている。
【0044】
〔別実施の形態〕
本発明は上記実施の形態以外に、例えば、実施例におけるオペレートユニット全体をフィルムスキャナとして捉えることも可能であり、この場合、実施例における制御装置Cにおいて画像情報の反転、画像情報の補正、画像情報の鮮明化処理を行うよう処理形態を設定することも可能である。又、実施例におけるコントローラ40と制御装置Cとで画像処理を実現する処理系を構成することも可能となる。
【0045】
又、本発明は、135サイズ以外のサイズの写真フィルムに適用することが可能であり、又、ダイクロイックミラーに換えて、ハーフプリズムやハーフミラーを用いることも可能であり、この場合、赤外光変換系に赤外線を選択的に透過させる光学フィルターを併用することも可能である。更に、本発明では、表裏判別手段を写真フィルムの側部に形成されるメーカ名を示す文字やコマを示す数字を読み取る画像処理系を備え、この画像処理系で読み取った文字や数字の形状から表裏を判別するよう構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】写真プリント装置の全体斜視図
【図2】フィルムスキャナの構成図
【図3】可視光センサと第1、第2赤外光センサとに対する結像状態を示す模式図
【図4】スキャニング処理のフローチャート
【図5】プレスキャンルーチンのフローチャート
【図6】本スキャンルーチンのフローチャート
【図7】画像処理のフローチャート
【符号の説明】
15 光源
17 光学レンズ
18 ダイクロイックミラー
19 ハーフミラー
45 表裏判別手段
47 画像処理手段
F 写真フィルム
FC フィルム保持機構
L 光軸
Sv 可視光用の光電変換部
Sr 赤外光用の光電変換部
Sr1 第1光電変換手段
Sr2 第2光電変換手段
Claims (4)
- フィルム保持機構に保持した現像済み写真フィルムに光源からの光線を照射し、その写真フィルムを透過した光線を光学レンズを介して可視光用の光電変換部に導いて画像情報を取り出すと共に、前記光学レンズを通過した光線を赤外光用の光電変換部に導いて前記写真フィルムの欠陥情報を取り出すよう構成されているフィルムスキャナであって、
前記赤外光用の光電変換部が、前記フィルム保持機構に予め設定された姿勢で保持された前記写真フィルムの画像形成面からの赤外光情報が結像する位置に配置した第1光電変換手段と、この写真フィルムにおいて前記画像形成面と反対側のベース面からの赤外光情報が結像する位置に配置された第2光電変換手段とを備えて構成されているフィルムスキャナ。 - 前記光源からの光線を前記光学レンズに導く光軸上にダイクロイックミラーと、このダイクロイックミラーを透過した可視光が導かれる前記可視光用の光電変換部とを配置すると共に、前記ダイクロイックミラーで反射した赤外光が導かれる光路にハーフミラーを配置し、このハーフミラーで反射した赤外光が導かれる位置に前記第1光電変換手段を配置し、かつ、ハーフミラーを透過した赤外光が導かれる位置に前記第2光電変換手段配置する、又は、前記ハーフミラーで反射した赤外光が導かれる位置に前記第2光電変換手段を配置し、かつ、ハーフミラーを透過した赤外光が導かれる位置に前記第1光電変換手段を配置している請求項1記載のフィルムスキャナ。
- 前記フィルム保持機構に対し、前記設定された姿勢として前記画像形成面が前記光学レンズの方向に向かう表向きで前記写真フィルムを保持した状態で、この写真フィルムの画像形成面の画像情報が前記光学レンズによって前記可視光用の光電変換部に結像するように前記光学レンズの焦点位置が設定され、前記フィルム保持機構に保持された前記写真フィルムの表裏を判別する表裏判別手段を備えると共に、この表裏判別手段で前記写真フィルムの表裏が前記表向きと逆となる裏向きであることを判別した際には、前記可視光用の光電変換部で取り出した画像情報を鮮明化する処理を行うと共に、この画像情報と、前記赤外光用の光電変換部で取り出した欠陥情報とを裏向きに変換する画像処理手段を備えている請求項1又は2記載のフィルムスキャナ。
- 前記表裏判別手段が、前記写真フィルムの形成されたDXコード情報を光学的に読み取るセンサからの情報からDXコードの配列方向の判別と、前記写真フィルムの幅方向の何れ側にDXコードが存在するかの判別とに基づいて前記写真フィルムの表裏の判別を行うよう処理形態を設定してある請求項3記載のフィルムスキャナ。
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