JP3783759B2 - ドット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シリアルプリンタ等のドット記録装置に係り、特にドット記録ヘッドを用いて、該記録ヘッドに対向し主走査方向(紙幅方向)に互いに離間して並べられている記録媒体規制部上を搬送される記録媒体に記録を行う構成のドット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
先ず、記録媒体を典型的な印刷用紙を例とし、この印刷用紙に対応させてドット記録装置の一例であるインクジェットプリンタの各構成要素の名称を具体的に特定して本発明の第1の課題を明らかにするための従来構造について説明する。従来のインクジェットプリンタの紙送り装置は、紙送りローラにて定速で用紙を送りつつ該用紙の先端側から印刷を開始し、該用紙の先端が印刷ヘッドの下流近傍に配置された排紙ローラの位置まで到達すると該用紙は該排紙ローラと前記紙送りローラの両方で挟持されるように形成されている。
【0003】
そして、該印刷用紙は、前記両ローラによってテンションがかかった状態で搬送される。排紙ローラのニップ点の位置は、前記記録媒体規制部の頂面の位置より低く形成されている。そのため、用紙の終端が紙送りローラを外れた後には、該終端側を拘束するものがなくなるため、前記記録媒体規制部の頂面によって該用紙終端は反り上がって平坦では無くなってしまい、更には当該該用紙終端が印刷ヘッドに接触する虞れがあった。ただ、このように用紙終端が反り上がって平坦でなくなっても、従来のプリンタは用紙の終端が紙送りローラを外れた後は印刷せず、そのまま排紙ローラで排紙されるように形成されているため、特に大きな不都合はなかった。
【0004】
ところが、用紙終端が紙送りローラを外れた後も印刷を継続しようとすると、上記反り上がりに基づいて該用紙終端のペーパーギャップが一定でなくなって高画質印刷が難しくなると共に、用紙終端が印刷ヘッドに接触することによって印刷面が汚損される問題か発生する。この問題に対処する観点から図10に示した構造の紙送り装置が考えられる。この紙送り装置は、排紙ローラ3のニップ点14の位置が、記録媒体規制部9の頂面15の位置より高く形成されて該排紙ローラ3の上流に在る印刷用紙8の面を下方に付勢するように形成されている。この下方への付勢力により、ほとんどの印刷用紙については、図10の破線に示した如く、その用紙終端10側は印刷ヘッドに接触しない平坦な状態に保持され、前記ペーパーギャップをほぼ一定に保持することができる。
【0005】
しかし、用紙の剛性によっては、特に腰の弱い薄紙では、排紙ローラ3による前記下方への付勢力によって、図10の実線に示した如く、通常の腰の強さの用紙よりも大きく下方に向けられるため、用紙終端10側は記録媒体規制部9の頂面15によって却って大きく浮き上げられてしまい、依然としてペーパーギャップが一定でなくなり、更には該用紙終端10が印字ヘッド1に接触して汚損される虞れがあった。尚、図10において、符号4は紙送りローラ2の駆動ローラ、符号5はその従動ローラ、符号6は排紙ローラ3の駆動ローラ、符号7,17は排紙ローラ3の従動ローラを示す。
【0006】
本発明の第1の課題は、印刷用紙の終端が紙送りローラから外れた後にも印刷を継続するタイプのプリンタすなわちドット記録装置であって、印刷用紙の終端が紙送りローラから外れた後においても該用紙の剛性等の影響を受けずに印刷用紙の終端側を平坦に保持でき、すなわちペーパーギャップを一定に保持でき、そのまま印刷を継続して高画質の印刷を行えるドット記録装置を提供することにある。
【0007】
シリアルプリンタ等のようにドット記録ヘッドが印刷媒体である用紙面をラスタ状に走査するタイプのプリンタでは、記録ヘッドは、そのヘッド面に副走査方向に沿って多数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有している。そして、このドット形成要素アレイにより1回の主走査パスで同一色の多数本の主走査ラインを同時に印刷できるようになっている。
【0008】
このような記録ヘッドを用いたプリンタ、特にインクジェットプリンタでは、前記ドット形成要素を成す個々のインクジェットノズルの特性のばらつきや、各インクジェットノズルのピッチのばらつきが、高画質の印刷を実現する上で問題となる。
【0009】
そこで、米国特許第4,198,642号や米国特許第5,844,585号は、インクジェットノズルの特性やピッチのばらつきを印刷された画像上で目立たなくさせることにより高画質な印刷を可能とする、「インターレース記録方式」と呼ばれる印刷方式を提供している。
【0010】
このインターレース記録方式では、記録(印刷)解像度ピッチを単位として、そのk倍のkドットピッチ相当のピッチでN個のインクジェットノズルを副走査方向に沿って配列したノズルアレイを有する記録ヘッドが用いられる。ノズルピッチkには、使用するノズル個数をNとした場合、このNと互いに素の関係にあるN以下の整数が選ばれる。そして、ノズルアレイが主走査パスを1回し終える度に、Nドットピッチ相当の一定距離だけ副走査、すなわち紙送りが行われる。
【0011】
インターレース記録方式を具体例を挙げて説明する。例えば、解像度360dpiの画像を印刷する場合に、N=20個のノズルをk=3ドットピッチ分のピッチで配列したノズルアレイを用いるとする。距離をインチに換算すると、1ドットピッチは1/360インチであるから、ノズルピッチはその3倍の3/360インチであり、1回の副走査による用紙の送り量、即ち副走査距離は、その20倍の20/360インチとなる。
【0012】
この設定の下で、副走査を1回行うと、各ノズルは20/360インチだけ移動するから、各ノズルは7個先のノズルの前回の主走査時の位置、つまり、21/360インチ先から1ドットピッチ分だけ手前の位置に移動することになる。そして更に1回副走査を行うと、各ノズルは、14個先のノズルの前々回の主走査時の位置から2ドットピッチ分だけ手前の位置に移動する。換言すれば、ある回の主走査パスで各ノズルによって各ラインが印刷されると、次の回の主走査パスでは各ラインの上側の隣接ラインが、その各ノズルから7ノズル分だけ異なる位置のノズルによって印刷され、更に次の回の主走査パスでは、その各隣接ラインの更に上側の隣接ラインが、最初の各ノズルから14ノズル分だけ異なる位置のノズルによって印刷されることになる。
【0013】
このように、インターレース記録方式の印刷では、隣接ラインは、必ず異なるノズルにより印刷されることになる。その結果、個々のノズルの特性やピッチにばらつきが多少あっても、そのばらつきは印刷画像上では目立たなくなり、高画質の印刷画像が得られる。
【0014】
以上に説明したようにインターレース記録方式は、高画質の印刷を行えるが、印刷開始時に全ノズルを用いて印刷を開始すると、その原理上、印刷開始部分にラインを完全に密に印刷することができない領域(以下、「不完全印刷領域」という)が発生する。すなわち、用紙搬送方向の最も下流側に位置する先端ノズルを#1、最も上流側に位置する後端ノズルを#Nとした場合、印刷の開始時には、#1から#Nの全ノズルを使って印刷することができず、#1ノズルと#Nノズルの間に位置するノズル#T以降のノズルしか印刷開始当初は使用(駆動)できない。但し、#Tは副走査の度に#1に近づいていく。
【0015】
ところで、前記インターレース記録方式で前記高画質の印刷を実現するには、その前提として印刷用紙と前記ノズルアレイとの距離、いわゆるペーパーギャップを印刷中一定に保持する必要がある。そのために、記録ヘッドに対向して記録媒体規制部が設けられ、該記録媒体規制部の平坦な頂面によって前記用紙を下側から支えて、前記ペーパーギャップを一定に保持するようになっている。従来、この記録媒体規制部は、その平坦な前記頂面が、前記ノズルアレイの配列方向(副走査方向)に沿う範囲外の下流側に位置して設けられていた。
【0016】
また、前記記録媒体規制部は、主走査方向に一連ではなく、互いに離間して配設された複数個から構成されている。インクジェットプリンタのように水分を含むインクによって印刷されると、該用紙は水分の付着浸透によって伸びるため、僅かに波打ち現象、いわゆる「コックリング現象」が生じる。そこで、このコックリング現象による用紙の伸びを隣設する前記頂面同士の間に逃がすために前記離間構造が採用されている。
【0017】
印刷開始に際し、前記ペーパーギャップを一定に保持するために、用紙の始端は前記記録媒体規制部の頂面に到達させる。ところが、前記平坦な頂面は、前記ノズルアレイの範囲外の下流側に位置して設けられているので、用紙の始端が前記頂面に到達した状態では、該用紙始端は、ノズルアレイの範囲外に位置することになる。したがって、この状態の用紙始端には絶対的に印刷できない範囲(ノズルアレイと対向できない始端部分)が生じることになる。
【0018】
更に、上記の如く、インターレース記録方式の印刷では、印刷開始時に全ノズルを使用して印刷することができず、即ち前記#1ノズルから#Tノズルまでは使用できないため、その分だけ更に印刷できない範囲が追加される。
【0019】
最近、写真並みの高画質で、上端余白を小さくした印刷を行える記録装置が切望されているが、上記の如く、上端余白を小さくすることには構造的及び原理的に限界があった。
【0020】
そこで、従来においても、特開平9−71009号公報に、前記#1ノズルから#Tノズルまでの領域に対しても主走査ラインを密に印刷するために、印刷開始当初だけ、副走査距離(紙送り量)を本来のインターレース記録方式の副走査距離より小さくし、且つ使用するノズルも先端側ノズルの一部とした印刷方式が提供されている。この印刷方式は、従来のインターレース記録方式を補完して、印刷できない範囲を少なくでき、その分、上端余白を小さくできるが、印刷開始当初の印刷方式とその後の本来のインターレース方式の2つの印刷方式を具備し且つそれらを切り換えなければならないことから、その駆動制御部の制御構造が複雑化する問題がある。
【0021】
本発明の第2の課題は、写真並みの高画質で、上端余白を充分に小さくした印刷が可能であると共に、それを簡単な制御構造で実現できるドット記録装置を提供することにある。
【0022】
次に、前記コックリングの点について着目すると、以下のような問題がある。記録媒体規制部の頂面がノズルアレイの範囲外の下流側に位置し、紙送りローラのニップ点からは大きく離れている従来の配置構造では、該記録媒体規制部の前記離間構造により、コックリングすなわち波打ち変形による印刷用紙の延びを逃がしているが、その波打ち変形の影響が前記ノズルアレイと対向する印刷領域にまで及ぶ。その結果、波打ち変形の大きい種類の印刷用紙においては前記ペーパーギャップが部分的に変動し、印刷の高画質を維持できなくなる問題が生じる。
【0023】
更に、印刷用紙の終端部が紙送りローラを外れた後も印刷する場合に着目すると、従来の記録媒体規制部の配置では以下のような問題がある。印刷用紙の終端近傍領域は、記録ヘッドの上流側に位置する紙送りローラと下流側に位置する排紙ローラに挟圧された状態で搬送されて印刷が行われる。遂には印刷用紙の終端部は、前記紙送りローラから外れ、拘束するものがない自由状態となる。この自由状態では、印刷用紙の終端部が、前記記録媒体規制部の前記頂面より紙送りローラ側に向かって延び出ている。
【0024】
インクジェットプリンタのように水分を含むインクによって印刷されると、該印刷用紙は水分の付着浸透によって少し丸まる現象と共に剛性が低下する。元々の剛性が高い印刷用紙においては殆ど問題ないが、剛性の低い印刷用紙においては、水分の付着浸透による前記丸まり及び剛性低下によって、前記頂面より紙送りローラ側に向かって自由状態で延び出ている用紙終端部を平坦に保持しておくことができず、該終端部側がその自重で下方に傾く虞がある。このように傾くと前記ペーパーギャップが変動するため、紙送りローラを外れた後の当該用紙終端部の印刷は、それ以前と同様の高画質を維持しにくいという問題がある。
【0025】
本発明の第3の課題は、上端余白を充分に小さくした印刷を簡単な制御構造で実現できると共に、コックリングによる印刷用紙の波打ち変形がノズルアレイと対向する印刷領域にまで及ぶのを抑制でき、更に印刷用紙の終端部が紙送りローラを外れて自由状態になった後においてもペーパーギャップを一定に保持でき、もって写真並みの高画質な印刷を容易に実現することのできるドット記録装置を提供することにある。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、本発明の第1の課題は、印刷用紙の終端が紙送りローラから外れた後にも印刷を継続するタイプのプリンタすなわちドット記録装置であって、印刷用紙の終端が紙送りローラから外れた後においても該用紙の剛性等の影響を受けずに印刷用紙の終端側を平坦に保持でき、すなわちペーパーギャップを一定に保持でき、そのまま印刷を継続して高画質の印刷を行えるドット記録装置を提供することにある。
【0027】
本発明の第2の課題は、写真並みの高画質で、上端余白を充分に小さくした印刷が可能であると共に、それを簡単な制御構造で実現できるドット記録装置を提供することにある。
【0028】
本発明の第3の課題は、上端余白を充分に小さくした印刷を簡単な制御構造で実現できると共に、コックリングによる印刷用紙の波打ち変形がノズルアレイと対向する印刷領域にまで及ぶのを抑制でき、更に印刷用紙の終端部が紙送りローラを外れて自由状態になった後においてもペーパーギャップを一定に保持でき、もって写真並みの高画質な印刷を容易に実現することのできるドット記録装置を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本願請求項1に記載の本発明に係るドット記録装置は、副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで並べられた複数個のドット形成要素をヘッド面に備えて成る記録ヘッドと、前記記録ヘッドのヘッド面と対向し且つ主走査方向に互いに離間して複数個配設され、平坦な頂面を有すると共に該頂面によって当該頂面上を搬送される記録媒体の前記ドット形成要素に対する間隔を規定する記録媒体規制部と、前記記録ヘッドの主走査を行うための主走査駆動部と、前記主走査の最中に前記ドット形成要素を駆動して記録媒体に記録を行うためのヘッド駆動部と、前記記録ヘッドの上流側に近接配置されて記録媒体を前記記録ヘッド側に送るための記録媒体送りローラと、前記記録ヘッドの下流側に近接配置され記録媒体を下流に排出するための排出ローラと、前記記録媒体送りローラ及び前記排出ローラの回転を制御して前記記録媒体の副走査を行う副走査駆動部とを備え、前記記録媒体の終端が記録媒体送りローラを外れ、排出ローラだけで搬送される状態においても記録ヘッドによる記録が継続されるように構成されているドット記録装置であって、前記排出ローラのニップ点の位置は、前記記録媒体搬送路に直交する方向の高さ位置として該記録媒体規制部の頂面の位置より高く形成されて該排出ローラの上流にある記録媒体の面を下方に付勢するように形成され、前記記録媒体規制部の平坦な頂面の位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内であり、前記複数の記録媒体規制部の内、主走査方向の両側端部に配置された記録媒体規制部の頂面の位置は、それ以外の中央部に配置された記録媒体規制部より更に後退していることを特徴とするものである。
【0030】
この構成により、記録媒体規制部の頂面の位置を、前記ドット形成要素の配列範囲内としたので、すなわち、排出ローラのニップ点と記録媒体規制部の頂面との距離が従来構造のものより増したことにより、記録媒体の終端が記録媒体送りローラから外れた状態において、前記排出ローラによって下方に付勢された記録媒体終端に対して該記録媒体規制部の頂面による反転浮き上げ力が低減される。即ち、記録媒体の終端が紙送りローラから外れた後にも記録を継続するタイプのドット記録装置であっても、記録媒体の終端が記録媒体送りローラから外れた後において、該記録媒体の剛性等の影響を受けずに記録媒体の終端側を平坦に保持できる。すなわち記録媒体の終端が記録媒体送りローラから外れた状態においてもペーパーギャップを一定に保持でき、そのまま印刷を継続して高画質の印刷を実行することができる。
また、記録媒体の終端が記録媒体送りローラから外れた状態では、当該記録媒体はそのコーナー部が最も変形しやすい。即ち前記コーナー部は他の部分よりカールして大きく変形する傾向がある。本構成では、このコーナー部分にある記録媒体規制部の頂面の位置を他の記録媒体規制部より更に後退させたので、このコーナー部において記録媒体規制部による前記反転浮き上げ作用を効果的に防止でき、記録媒体を平坦に保持することができる。従って前記コーナー部についてもペーパーギャップを一定に保持しやすくなり高画質印刷を実行することができる。
【0031】
また、本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載されたドット記録装置において、前記主走査駆動部、ヘッド駆動部および副走査駆動部の各駆動を制御することによって、前記記録ヘッドの1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットを形成し、前記記録媒体を所定の副走査距離にて副走査し、前記ドット形成を繰り返すことにより、記録解像度ピッチで副走査方向に沿って同一色の複数個のドットを形成すると共に、副走査方向で隣接するドットは異なるドット形成要素によって記録されるインターレース記録方式を実行する駆動制御部を備えていることを特徴とするものである。
本構成によれば、インターレース記録方式に基づく高画質印刷を効果的に実現することができる。
【0032】
また、本願請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載されたドット記録装置において、前記記録媒体規制部の頂面の位置は、記録ヘッドの副走査方向におけるほぼ中央部付近まで、前記排出ローラに対して上流側へ後退していることを特徴とするものである。
通常では、記録媒体規制部の頂面の位置を記録ヘッドのほぼ中央部付近まで後退させれば、ほとんどの記録媒体に対して、記録媒体の終端が記録媒体送りローラから外れた状態において、前記排出ローラによって下方に付勢された記録媒体終端に対して該記録媒体規制部の頂面による反転浮き上げ力が確実に低減され、記録媒体が記録ヘッドに接触して汚れることを防止することができ、もって高画質の記録(印刷)を実現することができる。
【0037】
また、本願請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載されたドット記録装置において、前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面の上流側端部位置が前記ドット形成要素の配列範囲内に位置するように設けられ、前記駆動制御部は、記録媒体の始端が前記記録媒体規制部の頂面の上流側端部にまで到達して位置決めされた後、最後端のドット形成要素を用いてこれから記録する記録対象のファーストラインを記録し、続いて所定の副走査距離の副走査と、記録ヘッドの主走査を繰り返して前記インターレース記録方式の記録を行うように構成されていることを特徴とするものである。
【0038】
本構成によれば、記録用紙の始端が前記記録媒体規制部の頂面の上流側端部にまで到達して位置決めされた後、最後端のドット形成要素を用いてこれから記録する記録対象のファーストラインを記録することで、インターレース記録方式による記録を開始するので、制御構造は複雑化せず、単純であると共に高画質の印刷を行える。すなわち、印刷開始の最初の主走査で前記ファーストラインを最後端のドット形成要素にて記録するので、その後の主走査で使用(駆動)するドット形成要素を、各副走査後に前記ファーストラインの位置より上流側(用紙終端側)に位置することになるものに限定するだけであることから制御構造が単純になる。
【0039】
しかも、前記平坦な頂面の上流側端部位置が前記ドット形成要素の配列範囲内に位置するため、記録用紙の始端が前記頂面の上流側端部にまで到達して位置決めされたとき、即ち前記ペーパーギャップが一定に保持されて用紙先端の位置決めがされたときの当該用紙始端位置は、ドット形成要素アレイの範囲内に位置することになる。従って、前記ファーストラインの位置と用紙始端との距離が従来のものより小さくなるため、上端余白を小さくすることができる。
【0040】
このように本構成によれば、写真並みの高画質で、上端余白を充分に小さくした印刷が可能であると共に、それを上記の如く簡単な制御構造で実現することができる。
【0041】
また、本願請求項5に記載の発明は、請求項4に記載されたドット記録装置において、前記平坦な頂面の上流側端部位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内の中央より上流側に位置するように設けられていることを特徴とするものである。
【0042】
本構成によれば、記録用紙の始端が到達する前記平坦な頂面の上流側端部位置が、前記ドット形成要素の配列範囲内の中央より上流側に位置するので、前記ファーストラインの位置と用紙始端との距離が一層小さくなり、上端余白を一層小さくすることができる。
【0043】
また、本願請求項6に記載の発明は、請求項5に記載されたドット記録装置において、前記平坦な頂面の上流側端部位置は、前記ドット形成要素の搬送方向上流側である最も後端の要素とほぼ一致する位置に設けられていることを特徴とするものである。これにより、上端余白がほぼ零の印刷も可能となる。
【0044】
また、本願請求項7に記載の発明は、請求項5に記載されたドット記録装置において、前記平坦な頂面の下流側端部位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内の下流側約30%の範囲より上流側に位置するように設けられていることを特徴とするものである。
【0045】
印刷開始当初においては、印刷された部分だけがインクで濡れ、それ以外の部分は乾燥状態にある。このため、印刷された部分だけが少し丸まる傾向がある。この丸まりによって用紙が浮き上がると記録ヘッド面に接触し印刷画質を低下する虞がある。上記の如く、当該平坦な頂面をドット形成要素の配列範囲内に位置させたことから、前記丸まりによって用紙が記録ヘッド面に接触し易くなる。しかし、本構成によれば、前記平坦な頂面の下流側端部位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内の下流側約30%の範囲より上流側に位置するため、前記丸まりがあっても用紙先端が前記頂面の下流側端部を早期に外れて下降することができる。従って、用紙に前記丸まりによる変形が発生しても、その影響を記録ヘッド面と反対方向に逃がすことができ、印刷画質の低下を防止することができる。
【0046】
また、本願請求項8に記載の発明は、請求項2または3に記載されたドット記録装置において、前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面が前記ドット形成要素の配列範囲と対向する位置に設けられると共に、該頂面の記録媒体搬送方向の長さは、前記ドット形成要素の配列長とほぼ同程度に長尺に形成されていることを特徴とするものである。
【0047】
本構成によれば、前記記録媒体規制部の前記頂面の記録媒体搬送方向に沿う長さは、前記ドット形成要素の配列長とほぼ同程度に長尺に形成されているので、第1に、該頂面の上流側端部の位置に基づいて、前記ファーストラインの位置と用紙始端との距離をほぼ零にすることも可能となることから、上端余白を充分に小さくすることができる。第2に、当該頂面は前記ドット形成要素と対向しつつその全長に渡って存在することになるため、前記ペーパーギャップをドット形成要素アレイの全長にわたってほぼ一定に保持することができ、高画質印刷が可能となる。
【0048】
また、本願請求項9に記載の発明は、請求項8に記載されたドット記録装置において、前記駆動制御部は、記録媒体の始端が前記記録媒体規制部の頂面の上流側端部にまで到達して位置決めされた後、最後端のドット形成要素を用いてこれから記録する記録対象のファーストラインを記録し、続いて所定の副走査距離の副走査と、記録ヘッドの主走査を繰り返して前記インターレース記録方式の記録を行うように構成されていることを特徴とするものである。
【0049】
本構成によれば、記録用紙の始端が前記記録媒体規制部の頂面の上流側端部にまで到達して位置決めされた後、最後端のドット形成要素を用いてこれから記録する記録対象のファーストラインを記録することにより、インターレース記録方式による記録を開始するので、制御構造は複雑化せず、単純であると共に高画質に印刷を行える。その結果、写真並みの高画質で、上端余白を充分に小さくした印刷が可能であると共に、それを簡単な制御構造で実現することができる。
【0050】
また、本願請求項10に記載の発明は、請求項2または3に記載されたドット記録装置において、前記記録媒体送りローラは前記記録ヘッドの上流側に近接配置されると共に、該記録媒体送りローラのニップ点は前記記録媒体規制部の頂面より僅かに上方に位置して記録媒体に対して前記頂面への押しつけ力を付与するよう構成され、前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面の上流側端部位置は前記ドット形成要素の配列範囲内であるものに代えて、該ドット形成要素の最も後端の要素の位置より記録媒体送りローラ側に設けられていることを特徴とするものである。
【0051】
本構成によれば、前記記録媒体規制部は、その平坦な頂面の上流側端部位置が前記ドット形成要素の最も後端の要素の位置より給紙ローラ側に設けられているので、印刷用紙の始端がノズルアレイの範囲内に至る前段で前記ペーパーギャップを一定に保持した状態とすることができる。従って、インターレース記録方式にて印刷開始当初に駆動できるノズルの内の最も副走査方向下流側に位置するノズル位置を基準にして、それより上端余白分だけ印刷用紙の始端が先方(下流側)となるように紙送りすれば希望通りの当該上端余白を確保することができる。そして、その状態で一定距離の副走査と主走査を交互に繰り返すインターレース記録方式での印刷を開始することにより希望通りの上端余白で且つ高画質の印刷を簡単な制御構造で実現することができる。
【0052】
更に、本構成によれば、当該記録媒体規制部の頂面と、前記記録ヘッドの上流側に近接配置され記録媒体に対して前記頂面への押しつけ力を付与する構成の紙送りローラとの距離が従来のものより大幅に近くなるため、前記押しつけ力がノズルアレイと対向する位置の印刷領域にまで有効に作用し、それによって前記コックリングによる波打ち変形の影響が当該印刷領域に及ぶのを抑制することができ、もって前記高画質を維持することができる。
【0053】
また更に、本構成によれば、印刷用紙の終端部が紙送りローラを外れて自由状態となった後において印刷する場合でも、当該記録媒体規制部の前記頂面と前記紙送りローラとの距離が従来のものより大幅に近くなるため、前記用紙終端部が前記頂面にて下から支えられた状態における前記延び出し寸法が小さくなる。よって、自由状態の当該用紙終端部が下方へ傾く虞を低減でき、一定のペーパーギャップを確実に維持することができ、もって前記高画質な印刷を実現することができる。
【0054】
このように本構成によれば、上端余白を充分に小さくした印刷を簡単な制御構造で実現できると共に、コックリングによる印刷用紙の波打ち変形がノズルアレイと対向する印刷領域にまで及ぶのを効果的に抑制でき、更に印刷用紙の終端部が紙送りローラを外れて自由状態になった後においてもペーパーギャップを一定に保持することができ、もって前記高画質の印刷を容易に実現することができる。
【0055】
また、本願請求項11に記載の発明は、副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで並べられた複数個のドット形成要素をヘッド面に備えて成る記録ヘッドと、前記記録ヘッドのヘッド面と対向し且つ主走査方向に互いに離間して複数個配設され、平坦な頂面を有すると共に該頂面によって当該頂面上を搬送される記録媒体の前記ドット形成要素に対する間隔を規定する記録媒体規制部と、前記記録ヘッドの主走査を行うための主走査駆動部と、前記主走査の最中に前記ドット形成要素を駆動して記録媒体に記録を行うためのヘッド駆動部と、前記記録ヘッドの上流側に近接配置されて記録媒体を前記記録ヘッド側に送るための記録媒体送りローラと、前記記録ヘッドの下流側に近接配置され記録媒体を下流に排出するための排出ローラと、前記記録媒体送りローラ及び前記排出ローラの回転を制御して前記記録媒体の副走査を行う副走査駆動部とを備え、前記記録媒体の終端が記録媒体送りローラを外れ、排出ローラだけで搬送される状態においても記録ヘッドによる記録が継続されるように構成されているドット記録装置であって、前記排出ローラのニップ点の位置は、前記記録媒体搬送路に直交する方向の高さ位置として該記録媒体規制部の頂面の位置より高く形成されて該排出ローラの上流にある記録媒体の面を下方に付勢するように形成され、前記記録媒体規制部の平坦な頂面の位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内であり、前記主走査駆動部、ヘッド駆動部および副走査駆動部の各駆動を制御することによって、前記記録ヘッドの1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットを形成し、前記記録媒体を所定の副走査距離にて副走査し、前記ドット形成を繰り返すことにより、記録解像度ピッチで副走査方向に沿って同一色の複数個のドットを形成すると共に、副走査方向で隣接するドットは異なるドット形成要素によって記録されるインターレース記録方式を実行する駆動制御部を備え、前記記録媒体送りローラは前記記録ヘッドの上流側に近接配置されると共に、該記録媒体送りローラのニップ点は前記記録媒体規制部の頂面より僅かに上方に位置して記録媒体に対して前記頂面への押しつけ力を付与するよう構成され、前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面の上流側端部位置は前記ドット形成要素の配列範囲内であるものに代えて、該ドット形成要素の最も後端の要素の位置より記録媒体送りローラ側に設けられ、前記記録媒体規制部は、副走査方向下流側は主走査方向に互いに離間した複数個から成るが、副走査方向上流側は主走査方向に離間せず前記頂面が一連の平坦面に形成されていることを特徴とするものである。
また、本願請求項12に記載の発明は、副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで並べられた複数個のドット形成要素をヘッド面に備えて成る記録ヘッドと、前記記録ヘッドのヘッド面と対向し且つ主走査方向に互いに離間して複数個配設され、平坦な頂面を有すると共に該頂面によって当該頂面上を搬送される記録媒体の前記ドット形成要素に対する間隔を規定する記録媒体規制部と、前記記録ヘッドの主走査を行うための主走査駆動部と、前記主走査の最中に前記ドット形成要素を駆動して記録媒体に記録を行うためのヘッド駆動部と、前記記録ヘッドの上流側に近接配置されて記録媒体を前記記録ヘッド側に送るための記録媒体送りローラと、前記記録ヘッドの下流側に近接配置され記録媒体を下流に排出するための排出ローラと、前記記録媒体送りローラ及び前記排出ローラの回転を制御して前記記録媒体の副走査を行う副走査駆動部とを備え、前記記録媒体の終端が記録媒体送りローラを外れ、排出ローラだけで搬送される状態においても記録ヘッドによる記録が継続されるように構成されているドット記録装置であって、前記排出ローラのニップ点の位置は、前記記録媒体搬送路に直交する方向の高さ位置として該記録媒体規制部の頂面の位置より高く形成されて該排出ローラの上流にある記録媒体の面を下方に付勢するように形成され、前記記録媒体規制部の平坦な頂面の位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内であり、前記記録媒体規制部の頂面の位置は、記録ヘッドの副走査方向におけるほぼ中央部付近まで、前記排出ローラに対して上流側へ後退しており、前記記録媒体送りローラは前記記録ヘッドの上流側に近接配置されると共に、該記録媒体送りローラのニップ点は前記記録媒体規制部の頂面より僅かに上方に位置して記録媒体に対して前記頂面への押しつけ力を付与するよう構成され、前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面の上流側端部位置は前記ドット形成要素の配列範囲内であるものに代えて、該ドット形成要素の最も後端の要素 の位置より記録媒体送りローラ側に設けられ、前記記録媒体規制部は、副走査方向下流側は主走査方向に互いに離間した複数個から成るが、副走査方向上流側は主走査方向に離間せず前記頂面が一連の平坦面に形成されていることを特徴とするものである。
また、本願請求項13に記載の発明は、副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで並べられた複数個のドット形成要素をヘッド面に備えて成る記録ヘッドと、前記記録ヘッドのヘッド面と対向し且つ主走査方向に互いに離間して複数個配設され、平坦な頂面を有すると共に該頂面によって当該頂面上を搬送される記録媒体の前記ドット形成要素に対する間隔を規定する記録媒体規制部と、前記記録ヘッドの主走査を行うための主走査駆動部と、前記主走査の最中に前記ドット形成要素を駆動して記録媒体に記録を行うためのヘッド駆動部と、前記記録ヘッドの上流側に近接配置されて記録媒体を前記記録ヘッド側に送るための記録媒体送りローラと、前記記録ヘッドの下流側に近接配置され記録媒体を下流に排出するための排出ローラと、前記記録媒体送りローラ及び前記排出ローラの回転を制御して前記記録媒体の副走査を行う副走査駆動部とを備え、前記記録媒体の終端が記録媒体送りローラを外れ、排出ローラだけで搬送される状態においても記録ヘッドによる記録が継続されるように構成されているドット記録装置であって、前記排出ローラのニップ点の位置は、前記記録媒体搬送路に直交する方向の高さ位置として該記録媒体規制部の頂面の位置より高く形成されて該排出ローラの上流にある記録媒体の面を下方に付勢するように形成され、前記記録媒体規制部の平坦な頂面の位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内であり、前記複数の記録媒体規制部の内、主走査方向の両側端部に配置された記録媒体規制部の頂面の位置は、それ以外の中央部に配置された記録媒体規制部より更に後退しており、前記記録媒体送りローラは前記記録ヘッドの上流側に近接配置されると共に、該記録媒体送りローラのニップ点は前記記録媒体規制部の頂面より僅かに上方に位置して記録媒体に対して前記頂面への押しつけ力を付与するよう構成され、前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面の上流側端部位置は前記ドット形成要素の配列範囲内であるものに代えて、該ドット形成要素の最も後端の要素の位置より記録媒体送りローラ側に設けられ、前記記録媒体規制部は、副走査方向下流側は主走査方向に互いに離間した複数個から成るが、副走査方向上流側は主走査方向に離間せず前記頂面が一連の平坦面に形成されていることを特徴とするものである。
【0056】
請求項11から13に記載された構成によれば、記録媒体規制部の前記平坦な頂面の上流側端部位置は、ノズルアレイの範囲外で且つ給紙ローラ側に設けられているので、印刷用紙の前記ノズルアレイの範囲外の部分にはインクが付着することはない。このインクが付着しない部分にはコックリングが生じないため、この部分の印刷用紙を下から支える当該記録媒体規制部を主走査方向に互いに離間させる必要はない。そこで、平坦な前記頂面の内、副走査方向上流側だけは主走査方向に離間せず前記頂面が一連の平坦面に形成されている。この一連平坦構造により、印刷開始前における前記ペーパーギャップの一定化を一層確実に行うことができる。
【0057】
また、当該記録媒体規制部は、副走査方向下流側のコックリング現象が生じる領域は、主走査方向に互いに離間した構造であるため、この領域ではコックリングによる用紙の伸びを逃がして、印刷用紙の浮き上がりを防止することができる。
【0058】
また、本願請求項14に記載の発明は、請求項11から13のいずれか1項に記載されたドット記録装置において、前記記録媒体規制部は、上流側頂面の前記一連構造が、主走査方向において数カ所に分割されていることを特徴とするものである。このように分割されていてもほぼ同様の作用効果が得られる。
【0059】
また、本願請求項15に記載の発明は、請求項1から14のいずれか1項に記載されたドット記録装置において、最も外側に位置する両記録媒体規制部の頂面の位置は、前記中央部の記録媒体規制部と同じであり、前記最も外側に位置する記録媒体規制部と前記最も後退した記録媒体規制部との間隔は、他の記録媒体規制部同士の間隔より約2倍程度大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0060】
本構成によれば、前記コーナー部の記録媒体規制部の間隔を大きくして、最も前記反転浮き上げ作用を受ける部分の記録媒体規制部を無い状態にしたので、一層効果的にコーナー部において記録媒体規制部による前記反転浮き上げ作用を防止でき、これにより記録媒体の前記汚れの問題を解決することができ、もって高画質記録を実現することができる。
【0061】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るドット記録装置についてインクジェットプリンタを例にして図面に基づいて説明する。説明の都合上、本発明の前記第2の課題に対応する実施の形態部分から説明を始める。図1は本実施の形態のインクジェットプリンタの要部側面図、図2は同要部平面図である。当該インクジェットプリンタは、図1に示したように、紙送りローラ101によって印刷用紙102を下流方向(副走査方向)に搬送し、記録ヘッド103と記録媒体規制部104との間で印刷用紙102に外部コンピュータなどから送られてくる印刷データに従って所望の印刷を実行し、排紙ローラ105で前記印刷用紙102をプリンタ外部に排出するようになっている。
【0062】
前記記録ヘッド103は、副走査方向(用紙搬送方向)に沿ってほぼ一定のピッチで並べられた複数個のドット形成要素、すなわちインクノズルアレイ106をヘッド面107に備えている。各インクノズルには、インクを吐出するためのピエゾ素子(図示せず)が設けられている。図1において、符号#1は用紙搬送方向の最も下流側に位置する先端ノズルを示し、符号#Nは最も上流側に位置する後端ノズルを示す。この記録ヘッド103は、図示しない公知の機構により主走査方向(紙幅方向)に往復動可能に構成されていると共に、この往復動は主走査駆動部108によって駆動制御されるようになっている。また、ヘッド駆動部109によって主走査の最中に前記インクノズル(#1〜#N)の各ピエゾ素子を駆動して印刷用紙102に印刷するようになっている。
【0063】
前記記録媒体規制部104は、前記記録ヘッド103のヘッド面107と対向し、且つ図2に示したように、主走査方向に互いに離間して複数個配設されている。該記録媒体規制部104は、平坦な頂面110を有し、用紙搬送方向に長尺なリブにより形成されている。上流から送られてくる印刷用紙102の先端120は、上流側斜面111に当接しつつガイドされて頂面110に到達するようになっている。この頂面110は、当該頂面110上を搬送される印刷用紙102を下から支えて前記インクノズルアレイ106に対する間隔、即ちペーパーギャップを規定する。符号112は記録媒体規制部104の下流側斜面を示す。
【0064】
当該平坦な頂面110の前記上流側斜面111との境となる上流側端部位置113は、前記インクノズルの配列範囲内、即ち#1ノズル〜#Nノズルの範囲内に位置するように設けられている。本実施の形態では、図1に示したように、インクノズルアレイ106のほぼ中央部に位置している。また、平坦な頂面110の下流側端部123も#1ノズル〜#Nノズルの範囲内に位置するように設けられている。
【0065】
尚、本実施の形態では、複数の記録媒体規制部104の内、主走査方向の両端部近傍に配置された記録媒体規制部104aの頂面110は、図2に示した如く、他のものより副走査方向の先端側が後退して形成されている。これは、当該プリンタで最も多く使われる印刷用紙のサイズに合わせて形成されているが、そのサイズの印刷用紙が紙送りローラ101を外れて自由端となったときの用紙終端のコーナー部の変形を逃がす為のものである。
【0066】
前記紙送りローラ101は、駆動ローラ114と従動ローラ115との対から成り、これら両ローラ114,115の対により印刷用紙102を挟圧しつつ、搬送するようになっている。駆動ローラ114の回転駆動は、駆動源を有する副走査駆動部118によって制御され、印刷中は前記主走査が終わる度に印刷用紙102の副走査を一定の副走査距離にて行うように構成されている。また、前記排紙ローラ105は、図示しない駆動源によって回転駆動される駆動ローラ116と、2種類の従動ローラ117a,117bとの対から成り、前記印刷用紙102を挟圧しつつ排出するようになっている。
【0067】
そして、前記主走査駆動部108、ヘッド駆動部109および副走査駆動部118の各駆動は、駆動制御部119によって制御される。該駆動制御部119は、図示しない外部のコンピュータから送られる印刷データや図示しない用紙位置センサーから送られる用紙位置検出信号等に基づいて前記各駆動部108,109,118を制御する。紙送りローラ101によって搬送される印刷用紙102は、その位置が、前記駆動制御部119において把握された状態で搬送される。
【0068】
すなわち、駆動制御部119は、主走査駆動部108を介して記録ヘッド103を主走査させ、該記録ヘッド103の1回の主走査中にヘッド駆動部109を介してインクノズルを駆動して複数の主走査ライン上で同一色のドットを形成する。そして副走査駆動部118を介して前記印刷用紙102を所定の副走査距離にて副走査し、前記ドット形成を繰り返すことにより、記録解像度ピッチで副走査方向に沿って同一色の複数個のドットを形成すると共に、副走査方向で隣接するドットは異なるドット形成要素によって記録されるインターレース記録方式を実行するように構成されている。
【0069】
更に、当該駆動制御部119は、印刷用紙102の始端120が前記記録媒体規制部104の頂面110の上流側端部113にまで到達して位置決めされた後、最後端の#Nノズルを用いてこれから記録する記録対象のファーストラインを記録し、続いて所定の副走査距離の副走査と、記録ヘッド103の主走査を繰り返して前記インターレース記録方式の記録を行うように構成されている。
【0070】
次に、上記実施の形態のインクジェットプリンタにより印刷用紙に印刷する工程を図1乃至図4を用いて説明する。印刷用紙102は、駆動制御部119によりその始端120の位置を把握された状態で、紙送りローラ101によって搬送される。そして、該始端120は、記録媒体規制部104の上流側斜面111にガイドされて頂面110の上流側端部113に到達し、前記後端ノズル#Nの位置と当該始端120との距離が印刷データ中にある上端余白と一致する位置に位置決めして停止される。
【0071】
図1に示した実施の形態では、該始端120は、前記頂面110の上流側端部113の位置に位置決めされた状態が示されている。これは、上端余白が、後端ノズル#Nの位置と前記上流側端部113との距離に一致する場合に相当する。従って、例えば上端余白3mmの印刷を可能にしたい場合は、後端ノズル#Nの位置と前記上流側端部113との距離が3mmとなるように当該記録媒体規制部104の前記頂面110の位置を設計すればよい。
【0072】
図3は、この状態のイメージを示す平面図であり、インクノズルアレイ106と印刷用紙102の印刷開始時の相対位置が示されている。図3において、符号121は後端ノズル#Nによって印刷されるファーストラインを示し、符号122は上端余白を示す。また、符号Xは主走査方向、符号Yは副走査方向(用紙送り方向)を示す。
【0073】
続いて、インターレース記録方式による印刷工程を図4に基づいて具体的に説明する。このインターレース記録方式は、インクノズルアレイ106のノズル個数(N)が4個のノズルから成り、各ノズルのノズルピッチ(k)が3ドットであり、副走査距離は4ドットに設定されている。図4において、丸の中の数字はノズル番号を示している。
【0074】
先ず最初に後端ノズル#4だけを主走査中に駆動させ、印刷対象のファーストライン121を印刷する。即ち、最初の主走査では#1ノズル〜#3ノズルは駆動させない。これにより、図4の右部に示したラスタ番号1のラインに#4ノズルによってファーストラインが印刷される。
【0075】
そして1回目の副走査を行い、記録ヘッド103を主走査させる。このときは前記ファーストラインより用紙終端側となる#3ノズルと#4ノズルだけを駆動させて印刷する。これにより、ラスタ番号2と5のラインが印刷される。2回目の副走査を行い、#2ノズル〜#4ノズルを駆動して印刷する。これによりラスタ番号3,6,9のラインが印刷される。3回目の副走査を行い、今回は全ノズル(#1〜#4)を用いて印刷する。これにより、ラスタ番号4,7,10,13のラインが印刷される。これ以降は、4ドットの副走査と全ノズルによる印刷を繰り返す。
【0076】
上記実施の形態によれば、印刷用紙102の始端120が前記記録媒体規制部104の頂面110の上流側端部113にまで到達して位置決めされた後、後端ノズル#4(N)だけを用いてこれから印刷する印刷対象のファーストライン121を印刷することにより、インターレース記録方式による印刷を開始するので、制御構造は複雑化せず、単純にすることができると共に高画質の印刷を行える。すなわち、印刷開始の最初の主走査で前記ファーストライン121を後端ノズル#4にて記録するので、その後の主走査で駆動するノズルを、各副走査後に前記ファーストライン121の位置より用紙紙終端側に位置することになるものに限定するだけでよいため制御構造が単純になる。
【0077】
しかも、前記平坦な頂面110の上流側端部113の位置が前記インクノズルアレイ106の配列範囲内に位置するため、印刷用紙102の始端120が前記頂面110の上流側端部113にまで到達して位置決めされたとき、即ち前記ペーパーギャップが一定に保持されて用紙先端の位置決めがされたときの当該用紙始端120の位置は、ノズルアレイ106の範囲内に位置することになる。従って、前記ファーストライン121の位置と用紙始端120との距離が従来のものより小さくなるため、上端余白122を小さくすることができる。
【0078】
図5は、本発明に係るインクジェットプリンタの他の実施の形態を示す要部側面図である。本実施の形態では、前記平坦な頂面110の上流側端部113の位置は、前記インクノズルアレイ106の配列範囲内の中央より上流側に位置するように設けられている。その他の構成は図1に示した実施の形態と同様なので同一部分に同一符号を付して説明は省略する。
【0079】
この実施の形態によれば、印刷用紙102の始端120が到達する前記平坦な頂面110の上流側端部113の位置が、前記ノズルアレイ106の配列範囲内の中央より上流側に位置するので、前記ファーストライン121の位置と用紙始端120との距離が一層小さくなり、上端余白122を一層小さくすることができる。
【0080】
図6は、本発明に係るインクジェットプリンタの更に他の実施の形態を示す要部側面図である。本実施の形態では、前記平坦な頂面110の上流側端部113の位置は、前記ノズルアレイ106の後端ノズル#4(N)とほぼ一致する位置に設けられている。これにより、上端余白122がほぼ零の印刷も可能となる。
【0081】
尚、前記平坦な頂面110の下流側端部123位置を、前記ノズルアレイ106の配列範囲内の下流側約30%の範囲より上流側に位置するように設けておくと以下のような効果がえられる。
【0082】
印刷開始当初においては、印刷された部分だけがインクで濡れ、それ以外の部分は乾燥状態にある。このため、印刷された部分だけが少し丸まる傾向がある。しかし、前記平坦な頂面110の下流側端部123の位置を、前記の如く下流側約30%の範囲より上流側に位置させれば、前記丸まりがあっても用紙先端が前記頂面110の下流側端部123を早期に外れて下降することができる。従って、用紙102に前記丸まりによる変形が発生しても、その影響を記録ヘッド面107と反対方向に逃がすことができ、印刷画質の低下を防止することができる。
【0083】
図7は、本発明に係るインクジェットプリンタの更に他の実施の形態を示す要部側面図である。本実施の形態では、前記記録媒体規制部104は、前記平坦な頂面110が前記ノズルアレイ106の配列範囲と対向する位置に設けられると共に、該頂面110の記録媒体搬送方向の長さは、前記ノズルアレイ106の配列長とほぼ同程度に長尺に形成されている。その他の構成は図1に示したものと同様なので同一部分に同一符号を付して説明は省略する。
【0084】
本実施の形態によれば、第1に、該頂面110の上流側端部113の位置に基づいて、前記ファーストライン121の位置と用紙始端120との距離をほぼ零にすることも可能となることから、上端余白122を充分に小さくすることができる。第2に、当該頂面110は前記ノズルアレイ106と対向しつつその全長に渡って存在することになるため、前記ペーパーギャップをノズルアレイ106の全長にわたってほぼ一定に保持することができ、高画質印刷が可能となる。その結果、写真並みの高画質で、上端余白を充分に小さくした印刷が可能であると共に、それを簡単な制御構造で実現することができる。
【0085】
以上説明したように本発明によれば、写真並みの高画質で、上端余白を充分に小さくした印刷が可能であると共に、それを簡単な制御構造で実現することができる。
【0086】
次に、本願発明の前記第1の課題に対応するドット記録装置の実施の形態についてインクジェットプリンタを例にして図面に基づいて説明する。図8は本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンタの、用紙終端が紙送りローラを外れた直後の状態を示す要部縦断面図であり、図9は同プリンタの紙送り装置を構成する記録媒体規制部部分の平面図である。以下に説明する部分以外は、図1に示した前記実施の形態と同様に構成されているので、同一部分に同一符号を付してその説明は省略する。
【0087】
本実施の形態では、該インクジェットプリンタの紙送り装置は、図8に示した如く、印刷ヘッド103の上流側近傍に配置された紙送りローラ101と、印刷ヘッド103の下流側近傍に配置された排紙ローラ105とを備えている。印刷ヘッド103は、主走査駆動部108によって主走査方向に往復動可能に形成されている。また副走査駆動部118によって紙送りローラ101及び排紙ローラ105の回転を制御して前記印刷用紙102の副走査すなわち紙送りを行うように構成されている。
【0088】
当該プリンタは、前記副走査駆動部118によって、印刷用紙102の終端10が紙送りローラ101を外れ、排紙ローラ105だけで搬送される状態においても印刷ヘッド103による印刷が継続されるように構成されている。本実施の形態では、当該用紙102の終端10の約3mmまで、すなわちボトムマージン3mmまで印刷できるように構成されている。
【0089】
紙送りローラ101は、前記副走査駆動部118によって制御される図示しない駆動モータから歯車(図示せず)を介して動力伝達される駆動ローラ114と従動ローラ115の対から成る。排紙ローラ105は、その駆動源を前記紙送りローラ101と共通にして前記駆動モータから歯車(図示せず)を介して動力伝達される駆動ローラ116と従動ローラ117a,117bとの対から成る。該駆動ローラ116は、図9に示した如く、軸体20を共通にして軸方向に互いに離間して複数個配設されていると共に、各駆動ローラ116,116,…は、その幅が総てほぼ同一に形成されている。
【0090】
本実施の形態では、用紙搬送路に直交する方向の高さ位置として、排紙ローラ105のニップ点14の位置が記録媒体規制部104の頂面110の位置より高く(この例では0.2mm高い)形成され、排紙ローラ105の上流にある用紙102の面を下方に付勢するように構成されている。すなわち、この例では排紙ローラ105のニップ点14の位置が記録媒体規制部104の頂面110より約0.2mm高く形成され、排紙ローラ105の上流にある用紙102の面を前記頂面110に押し付けるように構成されている。
【0091】
記録媒体規制部104は、図9に示した如く、印刷ヘッド103に対向し主走査方向に互いに離間して並べられている。そして、記録媒体規制部104の平坦な頂面110の位置は、図8に示したように前記ノズルアレイ106の配列範囲内となるように設けられている。具体的には、印刷ヘッド103のほぼ中央部付近まで後退させてある。勿論支障のない範囲で記録媒体規制部104の頂面110の位置を、更に後退させても、或いは少し前に移動させてもよい。すなわち、排紙ローラ105のニップ点14と記録媒体規制部104の頂面110との距離が従来構造のものより増した構成にして、印刷用紙102の終端10が紙送りローラ101から外れた状態において、前記排紙ローラ105によって前記頂面110に向かって付勢された印刷用紙終端10に対して該記録媒体規制部104の頂面110による反転浮き上げ力が低減されるようになっている。
【0092】
言い換えると、印刷用紙102の終端10が紙送りローラ101から外れた後にも記録を継続するタイプのプリンタにおいて、印刷用紙102の終端10が紙送りローラ101から外れた後において、印刷用紙102の剛性等の影響を受けずに該印刷用紙102の終端10側を平坦に保持し易くなっている。従って、印刷用紙102の終端10が紙送りローラ101から外れた状態においてもペーパーギャップを一定に保持でき、そのまま印刷を継続して高画質の印刷を実行することができる。通常は、図8に示した如く、記録媒体規制部104の頂面110を印刷ヘッド103の副走査方向におけるほぼ中央部付近まで後退させれば、ほとんどの用紙に対してその終端10側を平坦に保持することができる。
【0093】
また、本実施の形態では、前記複数の記録媒体規制部104,104,…の内、主走査方向の両側端部に配置された記録媒体規制部104aの頂面110の位置は、図8に示した如く、それ以外の中央部に配置された記録媒体規制部104の頂面110より更に距離「S」だけ後退して設けられている。これは、当該プリンタで最も多く使われることが予想される印刷用紙のサイズに合わせて形成されているが、そのサイズの印刷用紙が紙送りローラ101を外れて自由端となったときの用紙終端のコーナー部の変形を逃がすためのものである。
【0094】
ただし本実施の形態では、図9に示した如く、両側端部にある総ての記録媒体規制部104を距離「S」だけ後退させたものではなく、最も外側に位置する各記録媒体規制部104の頂面110の位置は、前記中央部の記録媒体規制部104と同じに配置されている。そして、前記最も外側に位置する記録媒体規制部104と前記最も後退した記録媒体規制部104aとの間隔「L」は、他の記録媒体規制部104同士の間隔より約2倍程度大きく形成されている。これは、実質的には、ほぼ等間隔で配列されている記録媒体規制部104を前記両端部分では1個無くしてその部分の間隔を他より大きくした状態に相当する。これにより、最も前記反転浮き上げ作用を受け易い部分の記録媒体規制部104を無い状態にした構造に相当するので、一層効果的にコーナー部において記録媒体規制部104による前記反転浮き上げ作用を低減でき、印刷用紙102が紙送りローラ101を外れた後の終端10を平坦に保持することができる。
【0095】
また、当該プリンタは、インターレース記録方式で印刷を行うタイプのインクジェットプリンタであるため、写真並みの高品質な印刷物を得るに際し、記録媒体規制部の位置をノズルアレイ106の配列範囲内とする本発明適用の効果は顕著である。
【0096】
以上説明したように本発明によれば、記録媒体規制部104の頂面110による前記反転浮き上げ作用が殆ど問題にならない位置まで該記録媒体規制部の頂面110の位置が後退しているので、印刷用紙102の終端10が紙送りローラ101から外れた後においても、該用紙102の剛性等の違いによる影響を受けずに用紙終端10側を平坦に保持できる。従って、そのまま印刷を継続しても高画質な印刷を実行することができる。
【0097】
尚、前記排紙ローラ105の排紙速度は、該排紙速度が前記紙送りローラ101の紙送り速度より遅くなることを避けるために、前記紙送りローラ101の紙送り速度に対して増速率「s」だけ早く設定されており、また前記紙送りローラ101と排紙ローラ105の両方が印刷用紙102を挟持している状態では紙送りローラ101の紙送り速度で前記用紙102が送られるように構成されている。従って、紙送りローラ101と排紙ローラ105で印刷用紙102を挟持して搬送している状態では排紙ローラ105にバックテンションがかかっている。
【0098】
次に、本発明の第3の課題に対応するドット記録装置の実施の形態についてインクジェットプリンタを例にして図面に基づいて説明する。図11は本実施の形態に係るインクジェットプリンタの要部側面図、図12は同要部平面図である。当該インクジェットプリンタは、図11に示したように、図1に示す実施の形態とほぼ同様な構成を備える。なお、本実施の形態において図1に示す実施の形態と同様な部材には、図1中の100番台の符号に変えて200番台の符号を付している。本実施の形態において以下に特に説明をしない部分については、図1に示す実施の形態に対応する部材と同様な構成であり、同様な作用を有するものである。
【0099】
本実施の形態では、複数の記録媒体規制部204の平坦な頂面210の上流側斜面211との境となる上流側端部位置213は、前記インクノズルの配列範囲外、即ち#1ノズル〜#Nノズルの範囲外の紙送りローラ201側に位置するように設けられている。具体的には、記録媒体規制部204は、図11に示したように、その平坦な頂面210の下流側端部位置223は、前記ノズルアレイ206の配列範囲内の下流側約30%の範囲より上流側に位置するように設けられている。即ち、当該頂面210全体が先端ノズル#1より上流側に位置し、紙送りローラ201のニップ点225に接近して設けられている。
【0100】
尚、本実施の形態では、複数の記録媒体規制部204の内、主走査方向の両端部近傍に配置された記録媒体規制部204aの頂面210は、図11に示した如く、他のものより副走査方向の先端側が後退して形成されている。これは、当該プリンタで最も多く使われる印刷用紙のサイズに合わせて形成されているが、そのサイズの印刷用紙が紙送りローラ201を外れて自由端となったときの用紙終端のコーナー部の変形を逃がす為のものである。
【0101】
前記紙送りローラ201は、駆動ローラ214と従動ローラ215との対から成り、これら両ローラ214,215の対により印刷用紙202を挟圧しつつ、搬送するようになっている。該紙送りローラ201は、そのニップ点225が記録媒体規制部204の頂面210より僅かに上方に位置して印刷用紙202に対して前記頂面210への押しつけ力を付与するように構成されている。駆動ローラ214の回転駆動は、図示しない駆動モータを介して副走査駆動部218によって制御され、印刷中は前記主走査が終わる度に印刷用紙202の副走査を一定の副走査距離にて行うように構成されている。また、前記排紙ローラ205は、紙送りローラ201の駆動モータを駆動源にして図示しない歯車列によって動力伝達されて回転駆動される駆動ローラ216と、2種類の従動ローラ217a,217bとの対から成り、前記印刷用紙202を挟圧しつつプリンタ本体の外部に排出するようになっている。
【0102】
更に、当該駆動制御部219は、印刷用紙202の始端220が前記記録媒体規制部204の頂面210の上流側端部213にまで到達して位置決めされた後、図11において一点鎖線で示したように、インターレース記録方式にて印刷開始当初に駆動できるノズルの内の最も副走査方向下流側に位置するノズル位置#(T+1)を基準にして、それより上端余白222の分だけ印刷用紙202の始端220が先方(下流側)となるように紙送りされるようになっている。そして、その状態で一定距離の副走査と主走査を交互に繰り返す通常のインターレース記録方式での印刷を開始するようになっている。
【0103】
次に、上記実施の形態のインクジェットプリンタにより印刷用紙に印刷する工程を図11および図12を用いて説明する。印刷用紙202は、駆動制御部219によりその始端220の位置を把握された状態で、紙送りローラ201によって搬送される。そして、該始端220は、記録媒体規制部204の上流側斜面211にガイドされて頂面210の上流側端部213に到達し、ペーパーギャップが一定に保持された後、インターレース記録方式にて印刷開始当初に駆動できるノズル#(T+1)を基準にして、それより上端余白222の分、例えば3mmだけ印刷用紙202の始端220が先方(下流側)となるように紙送りすることで、3mmの上端余白222を確保することができる。そして、その状態で一定距離の副走査と主走査を交互に繰り返すインターレース記録方式での印刷を開始することにより3mmの上端余白222で且つ高画質の印刷を簡単な制御構造で実現することができる。
【0104】
更に、本実施の形態によれば、当該記録媒体規制部204の頂面210と、前記記録ヘッド203の上流側に近接配置され印刷用紙202に対して前記頂面210への押しつけ力を付与する構成の紙送りローラ201のニップ点との距離が従来のものより大幅に近くなるため、前記押しつけ力がノズルアレイ206と対向する位置の印刷領域にまで有効に作用し、それによって前記コックリングによる波打ち変形の影響が当該印刷領域に及ぶのを抑制することができ、もって前記高画質を維持することができる。
【0105】
また更に、本実施の形態によれば、図13に示したように、印刷用紙202の終端226が紙送りローラ201のニップ点225を外れて自由状態となった後において印刷する場合でも、記録媒体規制部204の頂面210と、紙送りローラ201との距離が従来のものより大幅に近くなるため、前記用紙終端226を含む終端部227が前記頂面210にて下から支えられた状態における前記延び出し寸法228が小さくなる。よって、自由状態の当該用紙終端部227が下方へ傾く虞を低減でき、一定のペーパーギャップを確実に維持することができ、もって前記高画質な印刷を実現することができる。
【0106】
尚、本実施の形態のように前記平坦な頂面210の下流側端部位置223を、前記ノズルアレイ206の配列範囲内の下流側約30%の範囲より上流側に位置するように設けておくと以下のような効果が得られる。
【0107】
印刷開始当初においては、印刷された部分だけがインクで濡れ、それ以外の部分は乾燥状態にある。このため、印刷された部分だけが少し丸まる傾向がある。しかし、前記平坦な頂面210の下流側端部223の位置を、前記の如く下流側約30%の範囲より上流側に位置させれば、前記丸まりがあっても用紙先端が前記頂面210の下流側端部223を早期に外れて下降することができる。従って、用紙202に前記丸まりによる変形が発生しても、その影響を記録ヘッド面207と反対方向に逃がすことができ、印刷画質の低下を防止することができる。
【0108】
以上説明したように本実施の形態によれば、上端余白222を充分に小さくした印刷を簡単な制御構造で実現できると共に、コックリングによる印刷用紙202の波打ち変形がノズルアレイ206と対向する印刷領域にまで及ぶのを効果的に抑制でき、更に印刷用紙202の終端部227が紙送りローラを外れて自由状態になった後においてもペーパーギャップを一定に保持することができ、もって前記高画質の印刷を容易に実現することができる。
【0109】
図14は、本発明に係るインクジェットプリンタの他の実施の形態を示す要部平面図である。本実施の形態では、記録媒体規制部204の前記平坦な頂面210の上流側端部位置213は、ノズルアレイ206の範囲外で且つ給紙ローラ201側に設けられているので、印刷用紙202の前記ノズルアレイ206の範囲外の部分にはインクが付着することはない。このインクが付着しない部分にはコックリングが生じないため、この部分の印刷用紙202を下から支える当該記録媒体規制部204を主走査方向に互いに離間させる必要はない。そこで、平坦な前記頂面210の内、副走査方向上流側だけは主走査方向に離間せず前記頂面が一連の平坦面229に形成されている。この一連平坦構造により、印刷開始前における前記ペーパーギャップの一定化を一層確実に行うことができる。尚、その他の構成は図11に示した実施の形態と同様なので同一部分に同一符号を付して説明は省略する。
【0110】
また、当該記録媒体規制部204は、副走査方向下流側のコックリング現象が生じる領域は、主走査方向に互いに離間した構造であるため、この領域ではコックリングによる印刷用紙202の伸びを逃がして、印刷用紙202の浮き上がりを防止することができる。
【0111】
図15は、本発明に係るインクジェットプリンタの更に他の実施の形態を示す要部側面図である。本実施の形態は図14に示した実施の形態の変形例に相当する。すなわち、当該記録媒体規制部204は、上流側頂面210の前記一連構造(図14の一連の平坦面229の部分)が、主走査方向において数カ所に分割された分割平坦面229aとして形成されている。このように分割されていても図14に示したものとほぼ同様の作用効果が得られる。
【0112】
図16は、本発明に係るインクジェットプリンタの更に他の実施の形態を示す要部側面図である。本実施の形態では、記録媒体規制部204は、前記平坦な頂面210の下流側端部位置223がノズルアレイ206の最も先端のノズル#1より下流側に位置する。尚、前記下流側端部位置223が先端ノズル#1の位置とほぼ一致するものでもよい。その他の構成は図11に示したものと同様なので同一部分に同一符号を付して説明は省略する。
【0113】
本実施の形態によれば、記録媒体規制部204の当該頂面210は、図16に示した如く、ノズルアレイ206と対向しつつその全長より広範な範囲で存在することになるため、前記ペーパーギャップをノズルアレイ206の全長以上の範囲にわたってほぼ一定に保持することができ、高画質印刷実現の確実性が向上する。尚、この実施の形態は、図11に示した実施の形態における用紙先端の丸まり対策よりもペーパーギャップをノズルアレイ206の全長以上の範囲にわたって一定に保つことを重視したものである。
【0114】
本発明によれば、当該記録媒体規制部は、その平坦な頂面の上流側端部位置が前記ドット形成要素の最も後端の要素の位置より紙送りローラ側に設けられているので、印刷用紙の始端がノズルアレイの範囲内に至る前段で前記ペーパーギャップを一定に保持した状態とすることができる。従って、上記したように、上端余白を充分に小さくした印刷を簡単な制御構造で実現できると共に、コックリングによる印刷用紙の波打ち変形がノズルアレイと対向する印刷領域にまで及ぶのを抑制でき、更に印刷用紙の終端部が紙送りローラを外れて自由状態になった後においてもペーパーギャップを一定に保持でき、もって写真並みの高画質な印刷を実現することができる。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、印刷用紙の終端が紙送りローラから外れた後にも印刷を継続するタイプのドット記録装置において、印刷用紙の終端が紙送りローラから外れた後においても該用紙の剛性等の影響を受けずに印刷用紙の終端側を平坦に保持でき、すなわちペーパーギャップを一定に保持でき、そのまま印刷を継続して高画質の印刷を行うことができる。
【0116】
また、写真並みの高画質で、上端余白を充分に小さくした印刷が可能であると共に、それを簡単な制御構造で実現することができる。
【0117】
また、上端余白を充分に小さくした印刷を簡単な制御構造で実現できると共に、コックリングによる印刷用紙の波打ち変形がノズルアレイと対向する印刷領域にまで及ぶのを抑制でき、更に印刷用紙の終端部が紙送りローラを外れて自由状態になった後においてもペーパーギャップを一定に保持でき、もって写真並みの高画質な印刷を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施の形態のドット記録装置の要部側面図である。
【図2】同ドット記録装置の要部平面図である。
【図3】本発明で、上端余白が、後端ノズル#Nの位置と上流側端部との距離に一致する場合に相当するイメージを示す平面図である。
【図4】インターレース記録方式による印刷工程を示す説明図である。
【図5】本発明に係るドット記録装置の他の実施の形態を示す要部側面図である。
【図6】本発明に係るドット記録装置の更に他の実施の形態を示す要部側面図である。
【図7】本発明に係るドット記録装置の更に他の実施の形態を示す要部側面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るプリンタの紙送り装置であって用紙終端が紙送りローラから外れた直後の状態を示す要部縦断面図である。
【図9】同紙送り装置の記録媒体規制部部分の平面図である。
【図10】記録媒体規制部の頂面の位置を後退させていないプリンタの紙送り装置であって用紙終端が紙送りローラから外れた直後の状態を示す要部縦断面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係るドット記録装置の要部側面図である。
【図12】同ドット記録装置の要部平面図である。
【図13】本発明に係る印刷用紙の終端が紙送りローラのニップ点を外れて自由状態となった状態を示すドット記録装置の要部側面図である。
【図14】本発明に係るドット記録装置の他の実施の形態を示す要部平面図である。
【図15】本発明に係るドット記録装置の更に他の実施の形態を示す要部側面図であり、図14に示した実施の形態の変形例に相当する。
【図16】本発明に係るドット記録装置の更に他の実施の形態を示す要部側面図である。
Claims (15)
- 副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで並べられた複数個のドット形成要素をヘッド面に備えて成る記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのヘッド面と対向し且つ主走査方向に互いに離間して複数個配設され、平坦な頂面を有すると共に該頂面によって当該頂面上を搬送される記録媒体の前記ドット形成要素に対する間隔を規定する記録媒体規制部と、
前記記録ヘッドの主走査を行うための主走査駆動部と、
前記主走査の最中に前記ドット形成要素を駆動して記録媒体に記録を行うためのヘッド駆動部と、
前記記録ヘッドの上流側に近接配置されて記録媒体を前記記録ヘッド側に送るための記録媒体送りローラと、
前記記録ヘッドの下流側に近接配置され記録媒体を下流に排出するための排出ローラと、
前記記録媒体送りローラ及び前記排出ローラの回転を制御して前記記録媒体の副走査を行う副走査駆動部とを備え、
前記記録媒体の終端が記録媒体送りローラを外れ、排出ローラだけで搬送される状態においても記録ヘッドによる記録が継続されるように構成されているドット記録装置であって、
前記排出ローラのニップ点の位置は、前記記録媒体搬送路に直交する方向の高さ位置として該記録媒体規制部の頂面の位置より高く形成されて該排出ローラの上流にある記録媒体の面を下方に付勢するように形成され、
前記記録媒体規制部の平坦な頂面の位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内であり、
前記複数の記録媒体規制部の内、主走査方向の両側端部に配置された記録媒体規制部の頂面の位置は、それ以外の中央部に配置された記録媒体規制部より更に後退していることを特徴とするドット記録装置。 - 請求項1において、前記主走査駆動部、ヘッド駆動部および副走査駆動部の各駆動を制御することによって、前記記録ヘッドの1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットを形成し、前記記録媒体を所定の副走査距離にて副走査し、前記ドット形成を繰り返すことにより、記録解像度ピッチで副走査方向に沿って同一色の複数個のドットを形成すると共に、副走査方向で隣接するドットは異なるドット形成要素によって記録されるインターレース記録方式を実行する駆動制御部を備えていることを特徴とするドット記録装置。
- 請求項1または2において、前記記録媒体規制部の頂面の位置は、記録ヘッドの副走査方向におけるほぼ中央部付近まで、前記排出ローラに対して上流側へ後退していることを特徴とするドット記録装置。
- 請求項2または3において、前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面の上流側端部位置が前記ドット形成要素の配列範囲内に位置するように設けられ、
前記駆動制御部は、記録媒体の始端が前記記録媒体規制部の頂面の上流側端部にまで到達して位置決めされた後、最後端のドット形成要素を用いてこれから記録する記録対象のファーストラインを記録し、続いて所定の副走査距離の副走査と、記録ヘッドの主走査を繰り返して前記インターレース記録方式の記録を行うように構成されていることを特徴とするドット記録装置。 - 請求項4において、前記平坦な頂面の上流側端部位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内の中央より上流側に位置するように設けられていることを特徴とするドット記録装置。
- 請求項5において、前記平坦な頂面の上流側端部位置は、前記ドット形成要素の搬送方向上流側である最も後端の要素とほぼ一致する位置に設けられていることを特徴とするドット記録装置。
- 請求項5において、前記平坦な頂面の下流側端部位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内の下流側約30%の範囲より上流側に位置するように設けられていることを特徴とするドット記録装置。
- 請求項2または3において、前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面が前記ドット形成要素の配列範囲と対向する位置に設けられると共に、該頂面の記録媒体搬送方向の長さは、前記ドット形成要素の配列長とほぼ同程度に長尺に形成されていることを特徴とするドット記録装置。
- 請求項8において、前記駆動制御部は、記録媒体の始端が前記記録媒体規制部の頂面の上流側端部にまで到達して位置決めされた後、最後端のドット形成要素を用いてこれから記録する記録対象のファーストラインを記録し、続いて所定の副走査距離の副走査と、記録ヘッドの主走査を繰り返して前記インターレース記録方式の記録を行うように構成されていることを特徴とするドット記録装置。
- 請求項2または3において、前記記録媒体送りローラは前記記録ヘッドの上流側に近接配置されると共に、該記録媒体送りローラのニップ点は前記記録媒体規制部の頂面より僅かに上方に位置して記録媒体に対して前記頂面への押しつけ力を付与するよう構成され、
前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面の上流側端部位置は前記ドット形成要素の配列範囲内であるものに代えて、該ドット形成要素の最も後端の要素の位置より記録媒体送りローラ側に設けられていることを特徴とするドット記録装置。 - 副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで並べられた複数個のドット形成要素をヘッド面に備えて成る記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのヘッド面と対向し且つ主走査方向に互いに離間して複数個配設され、平坦な頂面を有すると共に該頂面によって当該頂面上を搬送される記録媒体の前記ドット形成要素に対する間隔を規定する記録媒体規制部と、
前記記録ヘッドの主走査を行うための主走査駆動部と、
前記主走査の最中に前記ドット形成要素を駆動して記録媒体に記録を行うためのヘッド駆動部と、
前記記録ヘッドの上流側に近接配置されて記録媒体を前記記録ヘッド側に送るための記録媒体送りローラと、
前記記録ヘッドの下流側に近接配置され記録媒体を下流に排出するための排出ローラと、
前記記録媒体送りローラ及び前記排出ローラの回転を制御して前記記録媒体の副走査を行う副走査駆動部とを備え、
前記記録媒体の終端が記録媒体送りローラを外れ、排出ローラだけで搬送される状態においても記録ヘッドによる記録が継続されるように構成されているドット記録装置であって、
前記排出ローラのニップ点の位置は、前記記録媒体搬送路に直交する方向の高さ位置として該記録媒体規制部の頂面の位置より高く形成されて該排出ローラの上流にある記録媒体の面を下方に付勢するように形成され、
前記記録媒体規制部の平坦な頂面の位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内であり、
前記主走査駆動部、ヘッド駆動部および副走査駆動部の各駆動を制御することによって、前記記録ヘッドの1回の主走査中に複数の主走査ライン上で同一色のドットを形成し、前記記録媒体を所定の副走査距離にて副走査し、前記ドット形成を繰り返すことにより、記録解像度ピッチで副走査方向に沿って同一色の複数個のドットを形成すると共に、副走査方向で隣接するドットは異なるドット形成要素によって記録されるインターレース記録方式を実行する駆動制御部を備え、
前記記録媒体送りローラは前記記録ヘッドの上流側に近接配置されると共に、該記録媒体送りローラのニップ点は前記記録媒体規制部の頂面より僅かに上方に位置して記録媒体に対して前記頂面への押しつけ力を付与するよう構成され、
前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面の上流側端部位置は前記ドット形成要素の配列範囲内であるものに代えて、該ドット形成要素の最も後端の要素の位置より記録媒体送りローラ側に設けられ、
前記記録媒体規制部は、副走査方向下流側は主走査方向に互いに離間した複数個から成るが、副走査方向上流側は主走査方向に離間せず前記頂面が一連の平坦面に形成されていることを特徴とするドット記録装置。 - 副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで並べられた複数個のドット形成要素をヘッド面に備えて成る記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのヘッド面と対向し且つ主走査方向に互いに離間して複数個配設され、平坦な頂面を有すると共に該頂面によって当該頂面上を搬送される記録媒体の前記ドット形成要素に対する間隔を規定する記録媒体規制部と、
前記記録ヘッドの主走査を行うための主走査駆動部と、
前記主走査の最中に前記ドット形成要素を駆動して記録媒体に記録を行うためのヘッド駆動部と、
前記記録ヘッドの上流側に近接配置されて記録媒体を前記記録ヘッド側に送るための記録媒体送りローラと、
前記記録ヘッドの下流側に近接配置され記録媒体を下流に排出するための排出ローラと、
前記記録媒体送りローラ及び前記排出ローラの回転を制御して前記記録媒体の副走査を行う副走査駆動部とを備え、
前記記録媒体の終端が記録媒体送りローラを外れ、排出ローラだけで搬送される状態においても記録ヘッドによる記録が継続されるように構成されているドット記録装置であって、
前記排出ローラのニップ点の位置は、前記記録媒体搬送路に直交する方向の高さ位置として該記録媒体規制部の頂面の位置より高く形成されて該排出ローラの上流にある記録媒体の面を下方に付勢するように形成され、
前記記録媒体規制部の平坦な頂面の位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内であり、
前記記録媒体規制部の頂面の位置は、記録ヘッドの副走査方向におけるほぼ中央部付近まで、前記排出ローラに対して上流側へ後退しており、
前記記録媒体送りローラは前記記録ヘッドの上流側に近接配置されると共に、該記録媒体送りローラのニップ点は前記記録媒体規制部の頂面より僅かに上方に位置して記録媒体に対して前記頂面への押しつけ力を付与するよう構成され、
前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面の上流側端部位置は前記ドット形成要素の配列範囲内であるものに代えて、該ドット形成要素の最も後端の要素の位置より記録媒体送りローラ側に設けられ、
前記記録媒体規制部は、副走査方向下流側は主走査方向に互いに離間した複数個から成るが、副走査方向上流側は主走査方向に離間せず前記頂面が一連の平坦面に形成されていることを特徴とするドット記録装置。 - 副走査方向に沿ってほぼ一定のピッチで並べられた複数個のドット形成要素をヘッド面に備えて成る記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのヘッド面と対向し且つ主走査方向に互いに離間して複数個配設され、平坦な頂面を有すると共に該頂面によって当該頂面上を搬送される記録媒体の前記ドット形成要素に対する間隔を規定する記録媒体規制部と、
前記記録ヘッドの主走査を行うための主走査駆動部と、
前記主走査の最中に前記ドット形成要素を駆動して記録媒体に記録を行うためのヘッド駆動部と、
前記記録ヘッドの上流側に近接配置されて記録媒体を前記記録ヘッド側に送るための記録媒体送りローラと、
前記記録ヘッドの下流側に近接配置され記録媒体を下流に排出するための排出ローラと、
前記記録媒体送りローラ及び前記排出ローラの回転を制御して前記記録媒体の副走査を行う副走査駆動部とを備え、
前記記録媒体の終端が記録媒体送りローラを外れ、排出ローラだけで搬送される状態においても記録ヘッドによる記録が継続されるように構成されているドット記録装置であって、
前記排出ローラのニップ点の位置は、前記記録媒体搬送路に直交する方向の高さ位置として該記録媒体規制部の頂面の位置より高く形成されて該排出ローラの上流にある記録媒体の面を下方に付勢するように形成され、
前記記録媒体規制部の平坦な頂面の位置は、前記ドット形成要素の配列範囲内であり、
前記複数の記録媒体規制部の内、主走査方向の両側端部に配置された記録媒体規制部の頂面の位置は、それ以外の中央部に配置された記録媒体規制部より更に後退しており、
前記記録媒体送りローラは前記記録ヘッドの上流側に近接配置されると共に、該記録媒体送りローラのニップ点は前記記録媒体規制部の頂面より僅かに上方に位置して記録媒体に対して前記頂面への押しつけ力を付与するよう構成され、
前記記録媒体規制部は、前記平坦な頂面の上流側端部位置は前記ドット形成要素の配列範囲内であるものに代えて、該ドット形成要素の最も後端の要素の位置より記録媒体送りローラ側に設けられ、
前記記録媒体規制部は、副走査方向下流側は主走査方向に互いに離間した複数個から成るが、副走査方向上流側は主走査方向に離間せず前記頂面が一連の平坦面に形成されていることを特徴とするドット記録装置。 - 請求項11から13のいずれか1項において、前記記録媒体規制部は、上流側頂面の前記一連構造が、主走査方向において数カ所に分割されていることを特徴とするドット記録装置。
- 請求項1から14のいずれか1項において、最も外側に位置する両記録媒体規制部の頂面の位置は、前記中央部の記録媒体規制部と同じであり、前記最も外側に位置する記録媒体規制部と前記最も後退した記録媒体規制部との間隔は、他の記録媒体規制部同士の間隔より約2倍程度大きく形成されていることを特徴とするドット記録装置。
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