JP3783169B2 - 水溶性フォトレジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細化するカラーブラウン管のシャドウマスク、ICリードフレーム、蛍光表示管用メッシュ、カラーフィルター、蛍光体スクリーンにおけるブラックマトリックス、ネームプレート等の製造において、フォトリソグラフィーを用いるプロセスに使用される水溶性フォトレジスト組成物に係わり、特に高感度で経時安定性が良好な、肌出し工程を削除することにより高解像度を実現し、かつ基板との密着性に優れた水溶性フォトレジストに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーブラウン管に用いられるシャドウマスクは、25μm〜0.3mmの板厚の脱炭したアルミキルド鋼(以下AK材と称する。)や熱膨張率の小さいニッケル36%含有アンバー型鉄合金(以下アンバー材と称する。)などを基板として用い、図1に示すように板面にレジスト膜を形成し、露光し、現像し、残ったレジスト膜を熱硬化後、エッチング及びレジスト除去工程を経て製造される。ICリードフレーム、蛍光表示管用メッシュ等も、純銅、銅合金、鉄材、42Ni−鉄合金(以下42アロイと称する)、ステンレス鋼等を基板として図1のシャドウマスクの製造と同じような工程を経て製造される。
【0003】
フォトレジスト(以下レジストと称する)としては、安価で引火性がなく、全工程が水処理でできる等の利点のため、カゼインやポリビニルアルコール、フィッシュグリュー等の水溶性ポリマーの水溶液に、該水溶性ポリマーに対して重クロム酸アンモニウムを0.3〜1.5%添加して感光性を持たせた水溶性ネガタイプのエッチング用レジストが使用されている。
また、これらのエッチング用レジストは、賦感剤として重クロム酸アンモニウム等の重クロム酸及び硬膜剤として無水クロム酸が使用されている。これらの六価クロムは有害物質であるため、排水基準も厳しく規制されている。
【0004】
六価クロムを使用しない水溶性エッチング用レジスト(以下ノークロムエッチング用レジストと称する)としては、フィッシュグリュー+第二鉄塩、ポリビニルアルコール+4−ジアゾジフェニールアミンとパラホルムアルデヒドとの縮合物(以下ジアゾ樹脂と称する)、カゼイン+水溶性アジド化合物、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する水溶性合成樹脂+アントラキノンスルホン酸塩+水溶性アジド化合物、等が検討されているが、感度、解像性、及び耐エッチング性等の点で未だ満足すべきものはない。
【0005】
カラー固体操像素子に用いられるカラーフィルターとしては、干渉フィルター又は染色フィルターが知られている。
染色フィルターは、例えば透明基板上に重クロム酸アンモニウムで感光性を付与したゼラチン、カゼイン、あるいはアミノ基等の染色基を有する水溶性合成ポリマー+ジアゾ樹脂等からなる媒染層を設け、その媒染層を所定のパターンに合わせて着色して製造されている。カラー液晶ディスプレー(LCD)用カラーフィルターの製造には、耐熱性と色透過率を向上させるため顔料の粒子径を1.0μm以下にして、感光性樹脂水溶液に分散させたものが使用されている。感光性樹脂には、ポリビニルアルコール(PVA)−重クロム酸塩、ヒドロキシエチルメタアクリレートの共重合体+ジアゾ樹脂、PVAにN−メチル−γ−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウムサルフェートを数モル%導入した水溶性感光性樹脂(以下PVA−スチルパゾリウムと称する)などが用いられる。
【0006】
カラーブラウン管の蛍光体スクリーンにおけるブラックマトリックス製作には、ポリN−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、アクリルアミド−ジアセトンアクリルアミド共重合体等の水溶性ポリマーと水溶性アジド化合物、さらに密着促進剤として種々の水溶性シラン化合物を添加した水溶性レジストが用いられている。この水溶性レジストをガラス基板上に膜厚0.3〜2μmに塗布し、パターン露光後温水を用いてスプレー現像し、その後、カーボンを含むダック液等を塗布し、露光部をエッチング液に浸した後、水スプレーによりドット部分をその上のカーボンと共に水溶性レジスト皮膜を除去してブラックマトッリクスが製造される。ブラックマトリックスは露光部分より実質的に小面積である。
【0007】
ネームプレート等の作成の場合には、陽極酸化したアルミニウム基板にレジストを塗布し、パターン露光後水で非露光部を現像し、露出した基板を染料溶液に浸漬すると、染料が基板に形成した酸化アルミニウムからなる無数のセル孔に入り、封孔処理後レジストを剥離すると、微細な染料パターンをもったアルミニウム基板のネームプレートが出来る。このネームプレート作成に使われるレジストには、重クロム酸塩で感光性を付与したフィッシュグリューやジアゾ樹脂等の水溶性有機感光剤で感光性を付与したポリビニルアルコール等の水溶性レジストが用いられる。
【0008】
ところで近年、フォトリソグラフィーを用いるプロセスに使用されるレジスト像の製作等においては、加工の精密度の向上が要求されている。集積回路製作用レジストにおいては、使用する光源から発する光の波長より短い寸法のレジストパターンが実現化しつつある。上記水溶性レジストにおいても微細加工化が進み高解像化の要求が増えてきている。
【0009】
水溶性レジストに含有されるポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン、フィッシュグリュー、ポリN−ビニルピロリドン、その他合成水溶性ポリマー等からなる塗布液は、重クロム酸塩、ジアゾ樹脂、水溶性アジド化合物、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等の水溶性感光剤が添加されて、感光性が付与されると同時に熱硬化性も高められている。これらの水溶性ポリマーは、水溶化するための水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、酸アミド基、スルホン酸基等を分子内に有し、さらにその分子量は数万以上である。そのため、基板上に塗布、熱乾燥した水溶性レジスト皮膜は基板との接着もよい。特に金属材料を基板にした場合は、接着界面で化学反応を起こして水に不溶の薄層を形成することがある。
【0010】
例えば、感光剤として重クロム酸アンモニウムを用いた水溶性レジストを金属表面に塗布、乾燥させてレジスト皮膜を形成し。このレジスト皮膜上にフォトマスクを介して紫外光を照射し、未露光部を水等で溶出して現像した後無水クロム酸水溶液に接触させて硬膜処理を行い、更に加熱硬化させてレジストパターンを形成している。
ところが露光、現像後に未露光部の金属表面上に僅かながらレジスト皮膜の薄膜が残るとか、又未露光部に硬膜処理後の水洗時に露光部から流れ出した水溶性ポリマーがパターンの端に溜まったまま乾燥されて裾引き現象(レジストの薄膜として残る。以下フリンジと称する)を起こして解像度を低下させている。
この薄膜は極めて薄い場合は、エッチング液を布に付けて金属表面をこすって薄膜を除去して金属の表面肌を出したり、あるいはエッチング工程でのスプレー圧を上げることで解決していた(以下肌出し工程と称する)が、パターンの微細化が進むにつれてこの薄膜がレジストの解像度を低下させる原因にもなっている。
【0011】
とくにポリビニルアルコールを水溶性ポリマーとして使用した場合この薄膜が厚く残り且つ強靭なので、スプレー圧を上げてもエッチングが行われないという問題を生じている。そこで、肌出し工程として、過マンガン酸カリウムと蓚酸の水溶液を用いてレジスト表面全体に酸化、還元反応を起こさせることによって薄膜を除いている。そのため、レジスト皮膜が劣化して解像度や寸法精度を低下させたり、エッチング後のピンホール等欠陥の原因にもなっていた。
この未露光部の薄膜残りは、基板にレジストを塗布した後の引きおき(以下暗反応による薄膜残りと称する)や露光後の焼きおき(以下残反応による薄膜残りと称する)した後の現像、硬膜処理する際に顕著に影響し放置時間が長いと現像不能になる。
それ故、これらの未露光部のレジストの薄膜残りを発生しない水溶性エッチング用レジストが強く望まれていた。
【0012】
特公平2−61733号公報には、ミルクカゼインと重クロム酸アルカリを含む水溶性感光材料に、塗布膜の光非照射部にカゼイン−クロム錯体が形成されるのを抑制する目的でクエン酸アルカリとホウ酸とを含ませて、パターンニング再現性を均一化させることが記載されている。
特公平2−61732号公報には、水溶性高分子と重クロム酸塩とからなる水溶性感光材料に、酸価が20以下に規定される高分子エマルジョン及び2個のヘテロ原子を含む五員環化合物又はその誘導体を添加して薄膜残りの発生を抑制することが記載されている。
【0013】
特開平1−261635号公報には、特に銅系合金基材を使用した際に発生するかぶり現象をなくすために、水溶性高分子と重クロム酸塩を含有する水溶性感光剤組成物にアルカノールアミン、ベンゾトリアゾール、グリシン又はアルキレンジアミンを添加して薄膜残りの発生を抑制することが記載されている。
しかしこれらの特許公報に記載されていることは、薄膜残りの発生を抑制することに役立っているが、添加物が感度を低下させたり、金属基板をひどく腐食変色させたり、又経時安定性を悪化させるなどの問題点を抱えるものであった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで水溶性ポリマーに賦感剤として重クロム酸塩や水溶性有機感光剤を使用した水溶性レジストであって、高感度で経時安定性が良好で、かつ、肌出し工程を削除することにより高解像度を実現し、更に基板との密着性の優れた水溶性レジストを開発することは微細加工が要求されているフォトファブリケーション業界にとっても緊急の課題になっている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水溶性ポリマーと水溶性感光剤からなる水溶性感光性組成物に、ある特定のアミノ基を有する複素環式化合物を少なくとも一種類含有させることにより、上記課題を満足させる水溶性フォトレジスト組成物が得られるという知見を得、これに基づいて本発明を完成させるに至った。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明で使用されるアミノ基を有する複素環式化合物としては、水溶性ないしは水溶性感光性組成物に添加し得る親水性を有する化合物で、ヘテロ原子として窒素原子2〜4個を有する5員ないし6員環又はこれらの縮合環化合物のうち、感光性を阻害しないものが使用できる。具体的には、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸、3−アミノ−ピラゾール、2−アミノ−ピリミジン、5−アミノ−テトラゾール、6−アミノ−プリン、5−アミノ−バルビツール酸、アンメリド及びアンメリンを挙げることができる。
【0017】
本発明の特定のアミノ基を有する複素環式化合物(以下本発明化合物と称する)は、水に溶け、水溶性感光性組成物に添加されて使用される。
本発明化合物を含む本発明の水溶性フォトレジスト組成物は、銅、鉄及びそれらの合金、陽極酸化したアルミニウム、シリコン等の金属基板やガラス、セラミック、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムなどの非金属基板に塗布、乾燥され、特に限定されないが、膜厚0.1〜10μmのレジスト皮膜を形成するのに使用される。
形成されたレジスト皮膜は、常法にしたがってパターン露光後、水を主成分とする現像液を用いて現像し、あるいは必要あれば、硬膜処理を行ってレリーフパターンを形成すると、露光部は基板との接着性が向上するため高感度を有し、一方未露光部は薄膜残りがほとんどないものが得られる。そのため肌出し工程を省くことが出来、また暗反応や残反応による薄膜残りは、良くはなっても悪くなることはない。
【0018】
本発明化合物の添加によるこれらの効果の理由は明確ではないが、露光部は紫外線エネルギーの一部が本発明化合物を介して熱エネルギーに転換されて水溶性ポリマーの架橋反応を促進するものと考えられ、又、未露光部は本発明化合物が基板との相互作用で水に容易に除去されることに起因するものと思われる。
本発明化合物は、それぞれ単独で用いてもよいが、2種類以上の化合物を併用してもよい。本発明化合物の添加量は、水溶性感光性組成物中の水溶性ポリマーに対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲である。0.1重量%未満では薄膜残りを除く効果が弱く、10重量%をこえるとレジスト性が低下し、又AK材などの金属基板を僅かであるが腐食させるので本発明の目的に適合しない。
【0019】
本発明に用いる水溶性ポリマーは、水又は弱酸、あるいは弱アルカリ水溶液に溶解する高分子樹脂を含むもので、例えばポリビニルアルコール、カゼイン、フィッシュグリュー、ゼラチン、ポリ−N−ビニルピロリドン、アクリルアミド−ジアセトンアクリルアミド共重合体等の水溶性合成ポリマーが挙げられる。
本発明に用いる水溶性感光剤組成物は、上記水溶性ポリマーの水溶液に溶解する感光剤を含むもので、例えば重クロム酸アンモニウム等の重クロム酸塩、水溶性ジアゾ化合物、水溶性アジド化合物、ジフェニルヨードニウム塩、PVA−スチルパゾリウム等の水溶性感光剤が使用できる。
【0020】
水溶性有機感光剤は低分子量のものより高分子量のものの方が高感度を実現させる。例えば、水溶性ポリマーの水溶液に4,4′−ジアジドスチルベン−2,2′−ジスルホン酸ジナトリウム、あるいはジメチルアクリルアミド−ビニルアジドベンジリデンアセトフェノンスルホン酸ナトリウム共重合体(モル比2:1重量平均分子量20000)を添加した水溶性感光性組成物の感度比は3倍以上異なる。
【0021】
本発明のフォトレジスト組成物は、水溶性ポリマーと水溶性感光剤からなる水溶性感光性組成物に、アミノ基を有する特定の複素環式化合物を添加することからなるが、必要に応じて、この種の分野で通常使用される防腐・防カビ剤、色材、可塑剤、架橋剤、増感剤(例えばチオキサントン−4−スルホン酸塩等)、更に密着促進剤等を併用してもよい。水溶性レジストと接着の良くない金属基板を使用する場合には、密着促進剤として、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−プロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランのうちから1種又は2種以上を加えることができる、この密着促進剤は、水溶性ポリマーに対して100〜1000ppm の範囲で本発明の水溶性レジスト組成物に添することによって金属基板への密着性を向上させることができる。例えば、密着促進剤を含む本発明の水溶性レジスト組成物を金属基板に膜厚6μmに塗布してパターン形成を行ったところ、未露光部には薄膜残りもなく20μmのライン・アンド・ラインスペース(L/S)パターンが解像されていた。
【0022】
本発明の水溶性レジスト組成物は、回転塗布法、浸漬法、又はフローコーティング法等、従来使用されている方法により、基板上に膜厚0.1〜10μmに塗布乾燥し、画像露光後、未露光部を溶解除去(水現像)することにより、レジストパターンを形成することができる。次に必要に応じて、この形成されたレジストパターンを加熱硬化し、耐レジスト性を高めた後、エッチング液等で処理して基板に所望のパターンを転写形成する。
【0023】
【実施例】
以下実施例及び比較例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものでない。
【0024】
実施例1
カゼイン水溶液(「FR−17」冨士薬品工業(株)製、カゼイン12.02重量%含有)100gに10%重クロム酸アンモニウム水溶液10gを添加混合した水溶性レジスト溶液に、更に6−アミノプリンを0.12g添加溶解した後暗所に4時間放置し、脱泡処理して本発明の水溶性レジスト組成物の水溶液を調整した。
板厚0.3mmの銅系合金板(リン青銅板)をジャスコクリーンNo. 5(日本表面処理(株)製)の3%水溶液に60℃にて2分間浸漬してアルカリ脱脂後水洗、乾燥して基板とした。上記の調整したレジスト組成物液を、脱脂した上記リン青銅板にホイラーを用いてレジスト膜厚が5μmになるように塗布し、熱風恒温乾燥器中で60℃、10分間乾燥(プレベーク)した。
【0025】
形成されたレジスト膜上に凸版印刷(株)製の解像力チャートとKodak Photographic Step tablet No.2(以下グレースケールと称する)を真空密着させながら、超高圧水銀灯を用いて紫外線を400mj/cm2 の光量で露光を行った。次に25℃の水道水で未露光部を60秒間浸漬現像した後水洗し、直ちに5%無水クロム酸水溶液に15秒間浸漬後水洗し水切り後、乾燥して硬膜処理を行った。硬膜処理後のレジスト皮膜を150℃、10分間熱風恒温乾燥器中でポストベークした。このレジストの感度はグレースケールの残りが6.5段(以下グレースケール感度、6.5段と表現する。またグレースケール感度を2段上げるには露光時間が2倍必要である)と高感度であった。また、解像性は未露光部での裾引きによる薄膜残りのフリンジも無く、解像力チャートでのライン・アンド・ラインスペース(L/S)パターンのライン線幅が10μmであるパターン(以下10μmのL/Sと表現する)が解像されていた。このレジストパターンを有するリン青銅基板を45°Be′の塩化第二鉄液を用いて60℃1分間スプレーエッチング(0.5kg/cm2 )を行ったところ(以下プリエッチングと称する)、未露光部は均一にエッチングされていた。
【0026】
比較例1〜4
実施例1において使用した水溶性レジスト組成物から6−アミノプリンを除いた組成物(比較例1)を用い、実施例1と全く同様な方法でレジストパターンを作成しプリエッチングを行った。
更に6−アミノプリンの代わりにイミダゾール、トリエタノールアミン、ベンゾトリアゾールを各々同量添加した各組成物(比較例2〜4)を用い、実施例1と全く同様な方法でレジストパターンを作成してプリエッチングを行った。
これらの結果を表1に実施例1の結果と併せて示した。比較例ののものは現像硬膜処理後の未露光部には薄膜残りがあり、プリエッチングが全く入らなかったり、グレースケール感度が低下して解像度も良くなかった。また、リン青銅板の表面が赤変してプリエッチングも不均一に入っていた。
【0027】
実施例2〜4
実施例1において使用した水溶性レジスト組成物の6−アミノプリンの代わりに、5−アミノ−テトラゾール、アンメリン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールを各々同量添加した組成物を用い、実施例1と全く同様な方法でレジストパターンを作成しプリエッチングを行った。この結果を表1に実施例1の結果と併せて示した。
高感度で、現像硬膜処理後の薄膜残りも無く、10〜15μmのL/Sが解像されていた。またプリエッチングを行ったところ、未露光部にエッチングが均一に入っていた。
【0028】
【0029】
実施例5
ポリビニルアルコール水溶液(「FR−14」冨士薬品工業(株)製、PVA11.0重量%含有)200gに10%重クロム酸アンモニウム水溶液10gを添加混合した水溶性レジスト溶液に、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール0.25gを添加溶解した後暗所に4時間放置し、脱泡処理して本発明の水溶性レジスト組成物の溶液を調整した。この溶液をアルカリ脱脂した、板厚0.3mmの42アロイ板にホイラーを用いてレジスト膜厚が5μmになるように塗布し、熱風恒温乾燥器中で60℃、10分間乾燥した。
形成されたこのレジスト膜上に解像力チャートとグレースケールを密着させながら、超高圧水銀灯で400mj/cm2 の光量で露光を行った。次に25℃の水道水で未露光部を60秒間浸漬現像後水洗し、直ちに4%無水クロム酸水溶液に10秒間浸漬した後水洗し、水切り乾燥して硬膜処理を行った。硬膜処理後のレジスト皮膜を150℃、10分間熱風恒温乾燥器中でポストベークを行った。
この時のレジストのグレースケール感度は4.5段と、高感度であった。また解像性は未露光部の薄膜残りも無く、解像力チャートでの20μmのL/Sが解像されていた。このレジストパターンを有する42アロイ基板をプリエッチングしたところ、未露光部は均一にエッチングされていた。
【0030】
比較例5
実施例5において使用した水溶性レジスト組成物から4−アミノ−1,2,4−トリアゾールを除いた組成物を用い、実施例5とまったく同様な方法でレジストパターンを作成してプリエッチングを行ったところ、未露光部に薄膜残りがあり全くエッチングが入らなかった。そこで本発明化合物を除いた水溶性レジスト組成物を用い実施例5と全く同様な方法でレジストパターンを作成した後、5%(K2MnO4:NaOH=2:1)の水溶液に3秒間浸漬し水洗した後、更に5%シュウ酸水溶液中に10秒間浸漬水洗して肌だしを行った(これを比較例5とする)。
【0031】
実施例5と比較例5のレジストパターンは、グレースケール感度は4.5段と同じであるがレジストパターンを電子顕微鏡で観察すると、実施例5のレジストパターンは比較例5に比べ明らかにパターンプロファイルの向上が見られ、また、比較例5に見られるような表面荒れはなかった。更に実施例5は比較例5に比べてレジストの解像度が10μm以上向上していた。
【0032】
次に実施例5と比較例5によって形成されたレジストパターンを有する42アロイ基板を2枚同時に45°Be′塩化第二鉄液を用いて、50℃、10分間スプレーエッチング(スプレー圧0.5Kg/cm2 )した。レジストを20%水酸化ナトリウム水溶液に100℃、3分間浸漬して剥離後、サイドエッチ量とエッチング深度を測定しエッチファクターを求めた。
上記エッチングを3回行いエッチファクターの平均値を求めたところ、実施例5に使用した本発明のレジストが1.82、比較例5のレジストが1.76というエッチファクター値を得た。
このエッチファクター値から本発明によるレジストが基板に対して密着性が良いことが判る。また、実施例5にもとずく水溶性レジストは湿度30%、室温10〜25℃で引き置き及び焼き置きした場合でも一週間以上その性能を維持出来た。
【0033】
実施例6
ポリビニルアルコール水溶液(「FR−14」冨士薬品工業(株)製、PVA11.0重量%含有)200gにジアゾ樹脂1.2g、とN,N−メチレンビスアクリルアミド2.0gを溶解し、さらに2−アミノピリミジン0.25gを添加溶解した後濾過して本発明の水溶性レジスト組成物の溶液を調整した。アルカリ脱脂した42アロイ基板上に、このレジスト組成物溶液をホイラーを用いてレジスト膜厚5μmになるように塗布し、熱風恒温乾燥器中で60℃、10分間プリベークを行った。
【0034】
形成されたこのレジスト膜上に解像力チャートとグレースケールを密着させながら、超高圧水銀灯を用いて400mj/cm2 の光量で露光を行った。
次に25℃の水道水で未露光部を60秒間浸漬現像後水洗し、水切り後200℃、10分間熱風恒温乾燥器中でポストベークを行った。このレジストのグレースケール感度は4.5段と高感度であり、また、未露光部には薄膜残りも無く、20μmのL/Sが解像されていた。このノークロムレジストパターンを有する42アロイ基板をプリエッチングしたところ、未露光部にエッチングが均一に入った。
実施例6において使用した水溶性レジスト組成物から2−アミノピリミジンを除いた組成物を用い、実施例6と全く同様な方法でレジストパターンを作成してプリエッチングを行ったところ、全くエッチングされなかった。
【0035】
実施例7〜9
実施例6において使用した水溶性レジスト組成物の2−アミノ−ピリミジンの代わりに、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸、5−アミノ−バルビツール酸、アンメリドを各々同量添加した組成物を用い、実施例6と全く同様な方法でレジストパターンを作成し、感度等を調査した。その結果を表2に示す。
いずれも高感度で、現像処理後の薄膜残りも無く、15〜20μmのL/Sが解像されていた。またプリエッチングを行ったところ、未露光部にエッチングが均一に入っていた。
【0036】
表2
┌────┬──────────┬───┬──────┬──────┐
│ │ 添加剤の種類 │感 度│現像硬膜後の│プリエッチン│
│ │ │(段)│状態 │の状態 │
├────┼──────────┼───┼──────┼──────┤
│実施例7│3−アミノ−トリアゾ│4.5│薄膜残り無し│均一に入る │
│ │ール−5−カルボン酸│ │ │ │
├────┼──────────┼───┼──────┼──────┤
│実施例8│5−アミノ−バルビツ│4.5│ 〃 │ 〃 │
│ │ール酸 │ │ │ │
├────┼──────────┼───┼──────┼──────┤
│実施例9│アンメリド │4.5│ 〃 │ 〃 │
└────┴──────────┴───┴──────┴──────┘
【0037】
【発明の効果】
本発明の水溶性フォトレジスト組成物は、水溶性感光性組成物にアミノ基を有する複素環式化合物を含有させたことにより、高感度で経時安定性が良好で、かつ、未露光部を水現像のみで薄膜残りを発生させることなくその後のエッチングが良好に行われるため、肌出し工程が削除できる利点を有する。この水溶性フォトレジスト組成物は高解像度を有し、かつ基板との密着性が優れているため、微細化が進むカラーブラウン管のシャドウマスク、ICリードフレーム、蛍光表示管用メッシュ、カラーフィルター等の製造に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レジストを使用したエッチング工程を示す工程図である。
Claims (2)
- 水溶性ポリマーと水溶性感光剤からなる水溶性感光性組成物に、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸、3−アミノ−ピラゾール、2−アミノ−ピリミジン、5−アミノ−テトラゾール、6−アミノ−プリン、5−アミノ−バルビツール酸、アンメリド、及びアンメリンからなる群から選ばれるアミノ基を有する複素環式化合物を少なくとも一種含有せしめたことを特徴とする水溶性フォトレジスト組成物。
- 水溶性ポリマーがポリビニルアルコール又はカゼインで、水溶性ポリマーに対するアミノ基を有する複素環式化合物の添加量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の水溶性フォトレジスト組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16055596A JP3783169B2 (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 水溶性フォトレジスト組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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