JP3783125B2 - 溶融炉とごみガス化溶融装置 - Google Patents

溶融炉とごみガス化溶融装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみ又は各種産業廃棄物(以下、これらを単にごみと言うことがある)等の被焼却物をガス化し、その燃焼性ガス、チャーにより燃焼させ飛灰を溶融する溶融炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のごみガス化溶融装置の系統を図6により説明する。
都市ごみ等の被焼却物21を熱分解ガス化溶融する場合、500〜600℃の流動層3を備えたガス化炉22に被焼却物21を給塵機1より二重ダンパ2を介して投入し、流動層3に散気管4より流動化空気を供給して流動化させた状態でごみをガス化する。ガス化炉22で発生した可燃ガス及び可燃ガスに同伴されるチャーと飛灰を送風機9による送風で溶融炉5に吹き込み、溶融炉5では1300〜1400℃で可燃ガス及びチャーを燃焼させて飛灰を溶融する。溶融炉5で発生した燃焼性排ガスは、急冷反応塔13において、冷却水供給源11からの冷却水によりバグフィルター14の処理温度である200℃以下に冷却される。バグフィルター14に導入する前の排ガスには消石灰12が添加され、排ガス中のHCl、SOxが無害化され、バグフィルター14ではダスト等が回収される。その後、排ガスは煙突16から大気に放出される。なお、急冷反応塔13では送風機10からの送風を予熱しておき、ガス化炉22の散気管4より噴出する流動化空気として用いる。また、バグフィルター14で回収されたダスト等は溶融炉5に循環供給される。さらに溶融炉5から排出するスラグはスラグ水砕槽23の水中に投入され、水砕スラグ19として回収される。
【0003】
溶融炉5での飛灰の溶融温度は図2に示すように飛灰の塩基度(CaO/SiO)によって変化する。例えば、塩基度を約1.0程度にした場合には溶融温度1250℃〜1350℃で飛灰を溶融させることができる。そこで、溶融炉5での飛灰の溶融時に、飛灰の塩基度(CaO/SiO)の調整により、塩基度を約1.0程度に調整して溶融温度1250℃〜1350℃で飛灰を溶融している。この飛灰の塩基度は予め被溶融物である飛灰の成分を分析し、塩基度、すなわちCaO/SiOを調べ、塩基度の調整をしてカレットや砂を混練して溶融炉5内に投入している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ガス化炉22に投入されるごみの種類により飛灰に含まれる成分が異なってくるため、飛灰の塩基度にばらつきが発生する。このため、溶融炉5に導入される飛灰の塩基度を常に測定する必要があるが、溶融物の成分が途中で変化すること等によりスラグが溶け難くなった場合、灰の溶融状態等を目視で観察し、溶融温度を調整している。
【0005】
また、SiOの成分を多くすることにより飛灰の溶融温度を下げることができる。また、溶融温度を同一にした場合、飛灰の塩基度が低い方が粘性は低くなり溶融したスラグの流動速度も速くなる。スラグの流動速度と溶融スラグを水砕槽23に投入してスラグを細かく破砕した時の水砕スラグ19の粒径との関係を図3に示すが、スラグ流動速度が大きく変わると得られる水砕スラグの粒径がばらつき、当該水砕スラグ19の利用性が悪くなる。
【0006】
本発明の課題は、スラグの塩基度が変化しても均質なスラグの溶融ができる溶融炉と該溶融炉を備えたごみガス化溶融装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の溶融炉は上記課題を達成するために、スラグの流動速度を測定し、流動しなくなった場合、塩基度を下げ、スラグを均質化するものである。
【0008】
すなわち、本発明は次の構成からなる。
(1)ごみを焼却して得られる灰を溶融する溶融炉において、灰溶融物であるスラグ中の微粒子又は/及び気泡を検出し、該微粒子又は/及び気泡の移動速度をスラグの流化速度として測定する手段と、流化速度により流動化剤を添加する流動化剤供給手段を設けた溶融炉。
(2)ごみを焼却するためのごみの焼却炉と、該ごみ焼却炉で得られた灰を溶融する溶融炉を備えたごみガス化溶融装置において、灰溶融物であるスラグ中の微粒子又は/及び気泡を検出し、該微粒子又は/及び気泡の移動速度をスラグの流化速度として測定する手段と流化速度により流動化剤を添加する流動化剤供給手段を溶融炉に設けたごみガス化溶融装置。
【0009】
本発明では、例えば灰溶融物であるスラグの流化速度を測定するために、スラグの流動状態をCCDカメラで取り込み、画像処理により流動速度を検出し、この信号により、流動化剤であるSiOを多く含んだカレットまたは砂を溶融炉のスラグ流出口の上流部分に供給する供給量を制御する。
【0010】
また、流動中のスラグに所定の周波数の超音波を当て、スラグ中の微粒子、気泡などに衝突して跳ね返ってくる超音波の周波数(fr)を受信して、送受信した超音波の周波数の差(△f)によりスラグの流速を求めて、溶融炉のスラグ流出口の上流部分に供給する流動化剤(SiOを多く含んだカレットまたは砂など)の供給量を制御する。
【0011】
本発明は、以上のように構成することにより、スラグの流動速度を均一にすることができ、回収するスラグの品質を均質化できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する。
図1に示す本発明の実施の形態のごみガス化溶融システムを詳述する。本システムは給塵機1、二重ダンパ2、溶融炉5,ITV(CCDカメラ)6、画像処理装置7、流動化剤供給装置8、急冷反応塔13、排ガス処理装置(バグフィルター)14、IDF15及び煙突16、流動層式ごみガス化炉22及びスラグ水砕槽23などから構成されている。
【0013】
都市ごみ等の被焼却物21は給塵機1の給塵シュートから二重ダンパ2を介してごみガス化炉22の流動化している流動層3上部に供給され、散気管4から噴出する流動化空気により流動化燃焼されてガス化する。流動層3の流動化は必要最低限の流動化空気をガス化炉22に導入して行う。ガス化炉22から発生するCO等の可燃ガスとチャーは溶融炉5に吹き込まれ、可燃ガスとチャーと飛灰の混合物が1250〜1400℃で溶融燃焼し、飛灰は溶融炉5内でスラグ化された後、スラグ水砕槽23内で水砕スラグ19として回収される。
【0014】
また、溶融炉5内では前記混合物が高温で燃焼することによりダイオキシン等有害物は分解され、燃焼により発生した燃焼排ガスは急冷反応塔13に送られ、後段の排ガス処理装置であるバグフィルタ14での処理温度である150℃〜200℃にまで冷却水11により冷却される。バグフィルタ14に導入される前の排ガスには排ガス処理剤である消石灰12が吹き込まれ、HCl及びSOxを反応除去し、誘引送風機(IDF)15を通り、煙突16から大気に放出している。
【0015】
なお、急冷反応塔13では送風機10からの送風を予熱しておき、ガス化炉22の散気管4より噴出する流動化空気として用いる。また、バグフィルター14で回収されたダスト等は溶融炉5に循環供給される。
【0016】
溶融炉5にはスラグの流動速度を測定する手段として、CCDカメラ6により羽口近傍のスラグ流動物20(図4)中にある気泡の画像を取り込み、流動速度を求める画像モニタ7a(図4)を備えた画像処理装置7と、この画像から得られた流動速度に基づき、必要であれば流動化剤であるSiOを多く含んだカレットまたは珪砂(約75%前後のSiO含有物)を流動化剤供給装置8より供給することにより流動速度を5〜20mm/secにすることができ、水砕槽23内の水砕スラグ19の粒径を1〜5mmに均一化できる。また、流動化剤を溶融炉5に添加することにより助燃バーナ(図示しない)により炉温を上げることなく、飛灰の成分が異なっても、安定した溶融ができる。
【0017】
また、スラグ流動物20の流動速度を測定する手段として、図4に示す方法はスラグ20はCCDカメラ6によりスラグ流動物20中の気泡などの所定時間T内の移動距離Lを画像処理装置で算出し、スラグ流動物20の流速v(=L/T)を算出し、その結果を流動化剤供給装置8に送信する。
【0018】
また、スラグ流動物20の流動速度を測定する手段として、図5に示す方法はスラグ流動物20に超音波送波器17からの所定の周波数(ft)の超音波を当て、スラグ流動物20中の微粒子、気泡などに衝突して跳ね返ってくる超音波の周波数(fr)を受波器18で受信して、送受信した超音波の周波数の差(△f)が次式で表されるようにスラグ流動物20の流速vに比例することを利用する。
【0019】
fd=(2vcosθ/c)ft
v=fd×(c/2cosθ×ft)
ここで、θは超音波の伝播方向とスラグ流動物20の流れる方向に垂直な方向とのなす角度であり、cは流動中のスラグ流動物20中の超音波の伝播速度である。
【0020】
こうして溶融流動体であるスラグ流動物20の流速vを求めて、スラグ流動物20の単位面積Fからスラグ流動物20の流量Qは
Q=F×v
で求められる。
【0021】
以上のように、スラグ流動物20の流動化速度を測定し、これに基づいてスラグ流動物20の流動速度を5〜20mm/secになるように流動化剤を溶融炉5に添加することにより、水砕スラグ19の粒径を再利用に好適な1〜5mmに均一にでき、かつ流動温度を一定にできることにより溶融炉温度を上げることなく溶融できる効果を有する。
本発明は、灰の溶融を行う灰溶融装置に応用しても同様の結果が得られる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、水砕スラグの粒径を再利用に好適な大きさに均一化でき、かつ流動温度を一定にできることにより溶融炉の溶融温度を上げることなくスラグを溶融できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のごみガス化溶融装置の系統図である。
【図2】 飛灰の塩基度とスラグ融点の関係を示す説明図である。
【図3】 流動加速度と水砕スラグの粒径の関係の状態説明図である。
【図4】 本発明の実施の形態のカメラを使用したスラグの流動速度を測定する系統説明図である。
【図5】 本発明の実施の形態の超音波を使用した流動加速度を測定する系統説明図である。
【図6】 従来技術によるごみガス化溶融装置の系統図である。
【符号の説明】
1 給塵機 2 二重ダンパ
3 流動層 4 散気管
5 溶融炉 6 ITV(CCDカメラ)
7 画像処理装置 7a 画像モニタ
8 流動化剤供給装置 9、10 送風機
11 冷却水 12 消石灰
13 急冷反応塔 14 バグフィルタ
15 誘引送風機(IDF) 16 煙突
17 超音波送波器 18 超音波受波器
19 水砕スラグ 20 スラグ流動物
21 被焼却物 22 流動層式ごみガス化炉
23 スラグ水砕槽

Claims (2)

  1. ごみを焼却して得られる灰を溶融する溶融炉において、
    灰溶融物であるスラグ中の微粒子又は/及び気泡を検出し、該微粒子又は/及び気泡の移動速度をスラグの流化速度として測定する手段と、流化速度により流動化剤を添加する流動化剤供給手段を設けたことを特徴とする溶融炉。
  2. ごみを焼却するためのごみの焼却炉と、該ごみ焼却炉で得られた灰を溶融する溶融炉を備えたごみガス化溶融装置において、
    灰溶融物であるスラグ中の微粒子又は/及び気泡を検出し、該微粒子又は/及び気泡の移動速度をスラグの流化速度として測定する手段と流化速度により流動化剤を添加する流動化剤供給手段を溶融炉に設けたことを特徴とするごみガス化溶融装置。
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