JP3783033B2 - シートの前後調節装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用シートの前後調節装置、詳しくは、車両の前後方向に配設した2ケのシートを前後に移動調節可能、且つ、各シートを着脱自在に取付ける長尺状のスライドレールからなるシートの前後調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
左右一対の長尺状スライドレールの前後に、2ケのシートをスライド自在に配設してなるシートの前後調節装置には、例えば、特開平6ー336131号公報に開示されているものがある。
【0003】
これは、各シートの前後方向の移動範囲を拡大することができ、荷物搭載スペースの増大など車内を有効利用できると共に、シートを使用し易い状態に調節できる利点がある。
【0004】
更に、車内の荷物搭載用スペースを増大するために、シートを前方、又は後方に跳上げ可能にスライドレールに取付けたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、前記2ケのシートを前後にスライド自在に配設した長尺状スライドレール(ロングスライドレール)に、シートを跳上げ可能に設けることにより、シートの使用性が向上し、且つ、荷物搭載スペースを増大することができる。
【0006】
しかし、シートを跳上げ可能に取付けるスライドレールは、車床側に固定するロアレールにスライド自在に嵌合するアッパーレールにストライカを設け、このストライカにシートのフックを係脱自在に取付ける構造である。
【0007】
そのため、前記ロアレールにストライカがスライドするための拡大状の開口部を設けなければならず、このロアレールの開口部からロアレール内に異物(ゴミ、チリ)が入り込み、アッパーレールのスライド性が損なわれる不具合がある。
【0008】
そこで、本発明はロアレールの開口部を幅狭状に形成して前記不具合を除去することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明は、車床側に固定しシート側のアッパーレ ールがスライドする前部ロアレール及び後部ロアレールと、前部ロアレールと後 部ロアレールとを前後に一体に連結する連結ロールとからなる左右一対のスライ ドレール、
前記連結レールに着脱自在で前記前部ロアレール、後部ロアレールに接続し、 且つシートクッション、アッパーレールに取付けた状態で、前記連結レールから 外される中間ロアレール、
前記前部ロアレール、後部ロアレールと中間ロアレール内をスライド自在に嵌合す る前記アッパーレールとからなることを特徴とする
ものである。
【0010】
従って、連結レールの位置において、シートは中間ロアレールと、この中間ロアレールに嵌合するアッパーレールと共に、連結レールから取り外すことができる。
【0011】
また、第2請求項の発明はシートが使用状態において、ストッパによって連結レールの位置に移動できないため、シートがスライドレールから外れることがない。
【0012】
第3請求項の発明はシートをスライドレールから取り外した際に、連結レールの開口部はカバーによって被覆されているため、連結レール内に、異物が入り込む余地がない。
【0013】
第4請求項の発明はアッパーレールを固設する台座にシートが着脱自在に取付けられているため、シートが使用位置においても、スライドレールからシートを取り外すことが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の一形態を説明する。
図1は本発明の分解部分切欠斜視図であり、図中(1)は車床側に車両の前後方向に向けて固定する前部ロアレール、(2)は同後部ロアレール、(3)は前部ロアレール(1)と後部ロアレール(2)を前後に一体に連結する連結レールで、この連結レール(3)も前、後ロアレール(1)(2)と同様に車床に固定される。
【0015】
図中(4)はアッパーレールで、左右のアッパーレール(4)は台座(40)の左右に固定され、上下方向に摺動するロック歯(43)と、前後にはスライド用の左右一対のローラ(44)(44)が設けてある。
【0016】
図中(6)は前、後ロアレール(1)(2)に対して独立状で、前、後ロアレール(1)(2)と断面形状が同一の中間ロアレールであり、この中間ロアレールは連結レール(3)に着脱自在で、連結レール(3)に係合状態で、前、後ロアレール(1)(2)に接続できるように形成されている。
【0017】
図中(7)はT字状のストッパで、中間ロアレール(6)を取り外した状態の連結レール(3)に装着され、頂部には連結レール(3)の開口部被覆用の樹脂製カバー(70)が固定されている。
【0018】
図中(SC)はシートクッションを示し、このシートクッション(SC)にはシートバック(SB)がリクライニングデバイス(不図示)により、シートクッション(SC)上に折り畳み可能に連結されている。
【0019】
このシートクッション(SC)の底部左右には、固定フック(51)と操作レバー(53)により回動する可動フック(52)とが設けてあり、固定フック(51)、可動フック(52)を台座(40)に固定した止軸(41)(42)に掛止することにより、シートクッション(SC)は台座(40)に取付けられる。図中(40A)(40A)は固定フック(51)、可動フック(52)の挿入口を示す。
【0020】
以上の前、後ロアレール(1)(2)及び連結レール(3)は、いずれも車床に設けた凹溝内に埋設され、取付ブラケット(11)(21)(31)によって凹溝内に固定され、前、後ロアレール(1)(2)は断面形状がチャンネル状で前記アッパーレール(4)のスライド用の開口部(1A)(2A)が上向きに配設されている。そして、この開口部(1A)(2A)は柔軟弾性部材からなるスリット付の被覆材(10)(20)によって閉口されている。図中(16)は前部ロアレール(1)の後端面、(26)は後部ロアレール(2)の前端面を示す。
【0021】
この前、後ロアレール(1)(2)の底部には、前記アッパーレール(4)に設けたロック歯(43)が係合するロック孔(不図示)がアッパーレール(4)のスライド方向に多数設けてある。
【0022】
前記連結レール(3)は前、後ロアレール(1)(2)の端部を抱持するように開口を上向きにした断面コ字状に成形され、端縁には中間ロアレール(6)の装着性を容易にするためのガイド片(30)(30)が延設されており、また、底部には前記ロック片(43)が挿入して係止する係止孔(33)が開孔されている。
【0023】
中間ロアレール(6)は前端面(61)が前部ロアレール(1)の後端面(16)に、後端面(62)が後部ロアレール(2)の前端面(26)に合致して、中間ロアレール(6)から前部ロアレール(1)、後部ロアレール(2)に、又は、逆方向にアッパーレール(4)がスライドできるように構成されている。
【0024】
この中間ロアレール(6)の所定位置である連結レール(3)の係止孔(33)の上方に、ロック孔(63)が開孔され、このロック孔(63)に前記アッパーレール(4)のロック歯(43)が係合できるように配設されている。
【0025】
以上のストッパ(7)には、中間ロアレール(6)のロック孔(63)から連結レール(3)の係止孔(33)に挿込まれる係止歯(73)が設けてあり、この係止歯(73)はロック歯(43)と同形状に形成されている。図中(74)はストッパ(7)の水平部、(71)は前部ストッパ部、(72)は後部ストッパ部を各々示す。
【0026】
図2はシートをスライドレールから取り外した状態を示し、アッパーレール(4)には中間ロアレール(6)が取り付けた状態で、シートクッション(SC)は車床側の連結レール(3)から取り外される。
【0027】
この状態において、連結レール(3)の開口部は開口されている状態である。従って、カバー(70)と一体のストッパ(7)を連結レール(3)内に装着すると、連結レール(3)の開口部は閉口され、内部への異物の入り込みを防止することができる。
【0028】
前記アッパーレール(4)に中間ロアレール(6)を取付けた状態において、アッパーレール(4)のローラ(44)(44)等が断面チャンネル形状の中間ロアレール(6)内に装着してなるため、中間ロアレール(6)がアッパーレール(4)から脱落することがない。
【0029】
図3はスライドレールに、2ケのシートを前後方向に移動調節可能に取付けた状態を示し、前部ロアレール(1)にはセカンドシートのシートクッション(SSC)、シートバック(SSB)、後部ロアレール(2)にサードシートのシートクッション(TSC)、シートバック(TSB)を配設した状態を示す。
【0030】
この状態において、シートクッション(SSC)、(TSC)側のアッパーレール(4)は前部ロアレール(1)、後部ロアレール(2)に各々スライド自在に嵌合されているため、シートクッション(SSC)は前部ロアレール(1)、シートクッション(TSC)は後部ロアレール(2)内において前後位置を調節できると共にシートがスライドレールから取り外されることがない。
【0031】
そして、各シートクッション(SSC)、(TSC)は、ストッパ(7)によって連結レール(3)への移動は規制されるが、連結レール(3)より、ストッパ(7)を取り外すと、連結レール(3)には中間ロアレール(6)が、前、後部ロアレール(1)(2)に接続して配設されているため、例えば、シートクッション(SSC)は中間ロアレール(3)からシートクッション(TSC)の後部ロアレール(2)にスライドさせることができる。
【0032】
このようにすることにより、前部ロアレール(1)、中間ロアレール(6)上を、例えば、荷物の搭載スペースなどに利用できる。
【0033】
なお、図3はセカンドシートをサードシートと同方向に向けて配設しているが、点線に示すように、セカンドシートのシートクッション(SSC)を台座(40)より取り外して、サードシート方向に向けて台座(40)に取付けることにより、セカンドシートはサードシートに対して対面状に配設できる。従って、シートを使用目的に応じて向きを自由に変更できる。
【0034】
図4はシートを台座(4)と共にスライドレールから取り外す状態を示し、連結レール(3)からストッパ(7)を取り除き、シートクッション(SC)を連結レール(3)に装着されている中間ロアレール(6)に移動させると、ばねの弾力により常に下方に付勢されているロック歯(43)が、中間ロアレール(6)のロック孔(63)から連結レール(3)の係止孔(33)に挿入して係止する。
【0035】
これにより、シートクッション(SC)の連結レール(3)に対する取り外し位置に位置決めされる。
そこで、シートバック(SB)をシートクッション(SC)上に前倒してシートクッション(SC)を上方に持ち上げると、シートクッション(SC)が連結レール(3)から取り外される。
【0036】
その際、シートクッション(SC)には台座(40)、アッパーレール(4)、中間ロアレール(6)を取付けた状態で、連結レール(3)から外される。
【0037】
そのため、連結レール(3)は開口されるため、カバー(70)付のストッパ(7)を連結レール(3)に装着して連結レール(3)の開口部を閉口する。
【0038】
次に、スライドレールから取り外したシートを前部ロアレール(1)又は後部ロアレール(2)に配設するのには、前記と逆の手順で行えば良い。その際、取り外したシートを向きを変えて連結レール(3)上に装着することにより、2ケのシートを対面状に配設することができる。
【0039】
なお、前記カバー(70)付のストッパ(7)は、連結レール(3)に有する中間ロアレール(6)に装着する必要がない場合には、車床の適宜場所に載置しても良いが、前部ロアレール(1)又は後部ロアレール(2)に嵌合して収納する。
【0040】
また、前記前部ロアレール(1)、連結レール(3)、後部ロアレール(2)は各々を一体に連結する前に、車床に組付ける。これにより、前、後部ロアレール(1)(2)、連結レール(3)の車両に対する取付作業が容易化し、その作業性が向上する。
【0041】
更に、前述の如く、前部ロアレール(1)等を組付後、シートを前部ロアレール(1)、後部ロアレール(2)に、連結レール(3)から装着することにより、シートの車両に対する取付作業も一層向上する。
【0042】
図示するものは、前部ロアレール(1)と後部ロアレール(2)に各々シートを取付けているが、1ケのシートを前部ロアレール(1)又は後部ロアレール(2)に取付けても良い。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、シートが前部ロアレールと後部ロアレールとの間に設けた連結レールの部分で取り外すことができるため、従来の如く、シートの着脱用ストライカがスライドする幅広状の開口部をロアレールに設ける必要がない。従って、前部、後部ロアレール内に異物が入り込む虞れがなく、アッパーレールのスライド性が損なわれることがない。
【0044】
また、中間ロアレールと共にシートが車床側の連結レールから取り外すことができるため、アッパーレール及びアッパーレールのロック機構に付着するグリスによって車床等が汚損されることがない。
【0045】
更に、シートを取り外した際、中間ロアレールがアッパーレールがスライドできるように底面が平面状であるため、取り外したシートを車内又は他の収納場所に収納する際、収納状態が安定し、転倒防止用のストッパを設ける必要がない。
【0046】
加えて、車床側に固定する前部ロアレール、連結レール、後部レールは各々車床側に組付けることができるため、長尺状にならず、車床に対する組付作業が効率良く行える。
【0047】
本第2請求項の発明によれば、連結レール上にストッパが設けてあるため、このストッパにより、前部ロアレール又は後部ロアレールに有するシートの前後動が規制され、中間ロアレールにシートが移動することがない。そのため、シートがシートベルトの非使用位置である連結レール位置に移動することがなく、安心して使用できる。
【0048】
本第3請求項の発明によれば、連結レールの開口部はカバーで閉口されているため、連結レールに異物が混入することがない。
【0049】
本第4請求項の発明によれば、シートがアッパーレールと一体の台座から取り外すことができるため、前部ロアレール、後部ロアレールにアッパーレールが位置する状態からシートを取り外しできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部分切欠分解斜視図である。
【図2】シートを取り外した状態の斜視図である。
【図3】本発明を説明する説明図である。
【図4】本発明の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 前部ロアレール
2 後部ロアレール
3 連結レール
4 アッパーレール
6 中間ロアレール
7 ストッパ
40 台座
SC シートクッション

Claims (4)

  1. 車床側に固定しシート側のアッパーレールがスライドする前部 ロアレール及び後部ロアレールと、前部ロアレールと後部ロアレールとを前後に 一体に連結する連結ロールとからなる左右一対のスライドレール、
    前記連結レールに着脱自在で前記前部ロアレール、後部ロアレールに接続し、 且つシートクッション、アッパーレールに取付けた状態で、前記連結レールから 外される中間ロアレール、
    前記前部ロアレール、後部ロアレールと中間ロアレール内をスライド自在に嵌合する 前記アッパーレール、
    とからなることを特徴とするシートの前後調節装置。
  2. 前記連結レールには、前後方向に係止し上方に着脱自在に嵌合 するストッパを設けてなる前記請求項1記載のシートの前後調節装置。
  3. 前記ストッパには連結レールの開口部被覆用カバーを頂部に一 体に設けてなる前記請求項2記載のシートの前後調節装置。
  4. 前記左右アッパーレールを台座の左右に設け、該台座にシート を着脱自在に取付けてなる前記請求項1記載のシートの前後調節装置。
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