JP3781420B2 - 舗装補修装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽度な路面損傷を補修するための装置であって、簡単に持ち運びのできる舗装補修装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軽度な路面損傷とは、主にアスファルト舗装版にできる深さ3〜5cm、直径10〜50cm程度のポットホールといわれる穴をいう。このポットホールは、路床面の不均一や表層のヘアークラックなどから浸透する雨水などが原因で発生する。
【0003】
道路に発生するポットホールの補修は、軽度の作業であるため、従来、人力によって行われていた。この人力による補修は、腰をかがめた低姿勢での作業となり、また、アスファルトなどの補修材料を路面に確実に付着させ、耐久性をもたせるためには、付着性を低下させる泥、ごみ、雨水などを清掃することが必要である。
【0004】
下水管、ガス管などの敷設などの大掛かりな工事のときは、掘削溝に管路を埋め込んだ後、土を埋め戻して転圧し、その上にアスファルトを敷いて固めるような作業をするので、トラックで転圧装置を現場まで運んで、転圧装置を使用する(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、地下に水道管やガス管が埋設されているかどうかを調査するために、調査穴を掘り、調査後に土を埋め戻す場合に、局所転圧装置が利用される(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
実開平1−93250号公報。
【特許文献2】
特開平8−184007号公報。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
人力による補修は、腰をかがめた低姿勢での作業となり、苦渋の作業となるのみならず、通行車両への注意配慮ができず、危険を伴う。
また、補修材料の付着性を低下させる泥、ごみ、雨水などの清掃が不十分なため、数日で飛散してしまうという問題があった。
【0008】
大掛かりな工事に用いられる転圧装置は、装置が大きすぎて、ポットホールなどの路面補修工事のように軽度の作業であって、作業人員も精々1〜2名である工事に利用することは不向きである。
【0009】
また、調査穴を埋め戻すときに使用される局所転圧装置は、直径35cm、深さ1.5m程度の調査穴を対象とするものであり、このような装置を深さ3〜5cm、直径20〜80cm程度のポットホールといわれる穴などの軽度な路面の補修には利用することができない。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、作業者の腰をかがめての作業をなくして通行車両への視認性を高めると共に、苦渋作業を改善し、また、装置は、一人で持ち運びできる小型軽量化を図り、さらに、路面の清掃をより確実にして補修後の耐久性を向上させることのできる装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、機枠フレーム11にエンジン10を載せるとともに、ハンドル15を取り付け、前記エンジン10で起振機14を駆動して転圧板13により路面補修材料を転圧するようにした舗装補修装置において、前記エンジン10の回転軸19に吸引ファン30を連結し、この吸引ファン30の吸引側に集塵タンク31を取り付け、この集塵タンク31に路面清掃用の吸引ホース47を連結したものである。
【0012】
人力による補修作業のようなかがみこんだ低姿勢での作業はなくなり、中腰又は立った状態で全ての作業が可能となり、作業の苦渋性を緩和でき、かつ、通行車両への注意配慮が容易になり、安全性に優れた作業となる。
また、本発明による舗装補修装置は、作業者が一人で迅速に持ち運びができ、軽度な路面補修作業に最適である。さらに、清掃機能を有することで、補修材料の路面への付着性、締め固め度、表面平滑性を向上でき、かつ、初期飛散の低減ができ、補修部分の耐久性が向上する。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図1から図5に基づき説明する。
図1及び図2において、機枠フレーム11には、エンジン10が載せられ、このエンジン10の上には、オイルタンク12が取り付けられている。前記機枠フレーム11の下面には、転圧板13が取り付けられ、この転圧板13の前部に起振機14が載せられている。
【0014】
前記機枠フレーム11には、また、3又の支柱20が略垂直にして固定的に取り付けられ、この支柱20の上端部やや下方には、前方へ水平に伸びた運搬用把手21が固定的に設けられ、さらに、この支柱20の上端部には、連結金具23を介してT字型のハンドル15が折り畳み自在に取り付けられている。
この連結金具23は、図5(a)(b)に示すように、図中右側が開口したコ字形をなし、この開口側に縦方向の長孔27が形成され、この長孔27に上下動自在に支持ピン28が嵌合している。この連結金具23は、下端部でピン24により支柱20に固定的に取り付けられている。この連結金具23の上端部には、回動ピン25によりハンドル15が回動自在に連結され、回動ピン25と前記支持ピン28との間にばね29が介在して支持ピン28を上方に引張っている。
【0015】
また、連結金具23の上部左側に切り欠き26が切り欠かれ、支持ピン28をばね29に抗して長孔27の下方に引いてハンドル15との係合状態を外し、図中左側に倒したとき、ハンドル15が切り欠き26に当接してハンドル15が略水平に折り畳まれ、車載時の荷台への収納がし易くなっている。
ハンドル15を立ち上げるときには、ハンドル15を回動ピン25を支点として図中右回転すると、ハンドル15の下端部が支持ピン28に当接し、支持ピン28を長孔27に沿って下方に押し下げ、ハンドル15が支持ピン28から外れると、ハンドル15は、垂直になる。ハンドル15が垂直になると、支持ピン28がばね29により引き上げられ、支持ピン28がハンドル15の側面に密着してハンドル15の垂直状態を保持する。このため、立位での作業を可能にしている。
【0016】
前記エンジン10には、図2に示すように、一側面から回転軸19が突出し、他側面に消音用のマフラー22が設けられている。前記回転軸19には、プーリ16と吸引ファン30が連結されている。前記プーリ16には、ベルト18が掛け渡され、このベルト18の他端は、図1に示すように、起振機14側のプーリ17に掛け渡されている。前記吸引ファン30のさらに側方には、連結管32を介して集塵タンク31が取り付けられている。この集塵タンク31は、舗装補修装置全体の形状が嵩張らないように、幅方向にできるだけ薄い5角形の箱型をなし、また、図3に示すように、この集塵タンク31の一側面略中央に前記連結管32がフィルタ33を介在して連結されている。この連結管32の上面の水平部分と下面には、排気孔35と吐出孔36が開口し、また、上面の傾斜面には、吸引管34が連結されている。
【0017】
前記吸引管34には、屈曲自在の吸引ホース47の一端部が嵌め込まれ、この吸引ホース47の他端部は、吸引嘴管48に連結される。この吸引嘴管48の先端部は、直径10mm程度以下の小石、砂、泥、雨水、ごみなどが吸引されるような縦幅が狭く、横幅を広げた吸引口50が形成され、また、吸引嘴管48の基端部には、清掃作業時の取っ手49が一体に設けられている。
【0018】
前記排気孔35と吐出孔36には、図3に示すように、蓋体37と蓋体38が開閉自在に設けられている。このうち、蓋体37は、アーム39に連結され、このアーム39の中間位置を支点41で揺動自在に指示し、さらに、アーム39の他端は下方に折曲された連動棒43が設けられ、この連動棒43には、長孔45が形成されている。同様に、蓋体38は、アーム40に連結され、このアーム40の中間位置を支点42で揺動自在に指示し、さらに、アーム40の他端は上方に折曲された連動棒44が設けられ、この連動棒44には、ピン46が設けられ、前記連動棒43と交差した状態で長孔45に摺動自在に係合している。また、連動棒44(又は連動棒43)と集塵タンク31との間には、前記排気孔35と吐出孔36のそれぞれの蓋体37と蓋体38を常時閉じるように付勢するばね65が設けられている。
【0019】
図4に示すように、前記起振機14側のプーリ17には、クラッチ盤56が接離自在に設けられており、この構成を説明する。
前記起振機14の起振軸51は、起振機枠52に軸受53を介在して回転自在に設けられ、起振機枠52から外方へ突出した起振軸51には、軸受54を介在してプーリ17が回転自在に設けられている。また、起振軸51の先端部は、スプライン軸55の構造をなし、クラッチ盤56の軸孔と軸方向に進退自在に嵌合している。そして、プーリ17とクラッチ盤56とは、すり鉢状の摩擦面62をもって向かい合っている。このクラッチ盤56の中心部には、軸受57を介在して回転しないクラッチ接離軸59が支持枠64に進退自在に設けられ、このクラッチ接離軸59の内方端は、前記起振軸51の内部の回転しない固定軸61にばね60を介在して連結されている。前記クラッチ接離軸59の外方突出端には、クラッチペダル58が係合し、このクラッチペダル58により摩擦面62を接離する。
【0020】
以上のようにして構成された本発明による舗装補修装置は、幅が約28cm、長さが約45cm、ハンドル15を伸ばしたときの高さが約80cm、ハンドル15を折り畳んだときの高さが約48cm、重さが約22kgであり、作業者が一人で十分持ち運びできる大きさである。
ただし、この大きさは、一例であって、これらの値に限られるものではない。
【0021】
以上のように構成された本発明による舗装補修装置の作用を説明する。
図1の鎖線のようにハンドル15を折りたたんだ状態で運搬用把手21を手に持って作業現場まで運ぶ。
補修しようとするポットホール63の近くで、ハンドル15を垂直に起こし、吸引ホース47の先端に吸引嘴管48を連結する。また、クラッチペダル58を踏んでクラッチ接離軸59をばね60に抗して引き出すことにより、クラッチ盤56とプーリ17との間の摩擦面62を離す。また、連動棒44は、ばね65により図3の実線のように手前に押し出されているので、アーム40の蓋体38が吐出孔36を閉じ、かつ、連動棒43、アーム39の蓋体37が排気孔35を閉じる。この状態でエンジン10をかける。
【0022】
エンジン10により回転軸19が回転し、吸引ファン30が回転して集塵タンク31側を負圧に吸引するので、吸引嘴管48の先端の吸引口50から、ポットホール63の小石、泥、砂、ごみ、雨水などが吸引され、補修しようとするポットホール63がきれいに清掃される。吸引された小石、泥、砂、ごみ、雨水などは、集塵タンク31内に収容され、空気と細かなチリなどが吸引ファン30から外部へ排気される。
このとき、摩擦面62が外れているので、起振機14は駆動していない。
【0023】
きれいに清掃されたポットホール63に、図示しない播きだし装置などで常温アスファルト材料などの補修材料が投入される。補修材料の投入後、クラッチペダル58を元に戻すと、ばね60でクラッチ盤56がプーリ17側に引張られて摩擦面62が密着する。そのため、プーリ17の回転が、クラッチ盤56を介して起振軸51へ伝達され、起振機14が駆動する。起振機14を駆動して投入された補修材料を初期転圧することで、ポットホール63に充填した補修材料の密度、表面平滑性が向上し、補修した部分の耐久性が高められる。また、感圧硬化促進型の補修材料と併用することで、耐久性向上の効果がより発揮される。
【0024】
作業終了後は、エンジン10を切り、ばね65に抗して連動棒44を鎖線のように押し出すことで、連動棒43も押し込まれ、アーム39の蓋体37とアーム40の蓋体38が開いて、集塵タンク31内の泥水、小石などが吐出孔36から排出される。吐き出し後、連動棒44の押し出しを解除すると、ばね65により、連動棒43と44が元に戻り、排気孔35と吐出孔36がそれぞれの蓋体37と蓋体38により閉じられる。
また、支持ピン28をばね29に抗して押し下げてハンドル15を直角に折り畳んで舗装補修装置の高さを低くし、さらに、吸引ホース47から吸引嘴管48を抜き取って、吸引ホース47を運搬用把手21に嵌め込んだ後、運搬用把手21を手に持って運び出す。
【0025】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、機枠フレーム11にエンジン10を載せるとともに、ハンドル15を取り付け、前記エンジン10で起振機14を駆動して転圧板13により路面補修材料を転圧するようにした舗装補修装置において、前記エンジン10の回転軸19に吸引ファン30を連結し、この吸引ファン30の吸引側に集塵タンク31を取り付け、この集塵タンク31に路面清掃用の吸引ホース47を連結したので、人力による補修作業のようなかがみこんだ低姿勢での作業はなくなり、中腰又は立った状態で全ての作業が可能となり、作業の苦渋性を緩和でき、かつ、通行車両への注意配慮が容易になり、安全性に優れた作業となる。
【0026】
請求項2記載の発明によれば、回転軸19側のプーリ16と起振機14側のプーリ17との間にベルト18を掛け渡し、起振機14側のプーリ17と起振機14の起振軸51との間に、クラッチペダル58で接離するクラッチ盤56を介在したので、エンジン10により吸引ファン30が回転して集塵タンク31側を負圧に吸引し、ポットホール63の小石、泥、砂、ごみ、雨水などが吸引され、補修しようとするポットホール63がきれいに清掃できる。この間、起振機14を駆動停止することで、無駄な振動や騒音をなくすことができる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、機枠フレーム11にエンジン10を載せるとともに、ハンドル15を取り付け、前記エンジン10で起振機14を駆動して転圧板13により路面補修材料を転圧するようにした舗装補修装置において、前記エンジン10の回転軸19に吸引ファン30を連結し、この吸引ファン30の吸引側に集塵タンク31を取り付け、この集塵タンク31に路面清掃用の吸引ホース47を連結し、前記ハンドル15は、前記機枠フレーム11に固定的に取り付けた垂直な支柱20の上端に連結金具23を介して折り畳み自在に連結し、前記機枠フレーム11の上端よりやや下方に、運搬用把手21を固定的に取り付けたので、作業者が一人で迅速に持ち運びができ、軽度な路面補修作業に最適である。また、ハンドル15を折り畳み自在にしたことで、嵩張らないので、運搬時に車載時の荷台への収納がし易い。さらに、清掃機能を有することで、補修材料の路面への付着性、締め固め度、表面平滑性を向上でき、かつ、初期飛散の低減ができ、補修部分の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による舗装補修装置の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1における舗装補修装置の側面図である。
【図3】図1における集塵タンク31の縦断面図である。
【図4】図1におけるクラッチ盤56の断面図である。
【図5】(a)は、ハンドル15の要部の斜視図、(b)は、(a)における連結金具23の一部切り欠いた正面図である。
【符号の説明】
10…エンジン10、11…機枠フレーム11、12…オイルタンク運搬用把手213…転圧板集塵タンク314…起振機支点415…ハンドル起振軸516…プーリ固定軸617…プーリ17、18…ベルト18、19…回転軸19、20…支柱20、21…運搬用把手21、22…マフラー22、23…連結金具23、24…ピン24、25…回動ピン25、26…切り欠き26、27…長孔27、28…支持ピン28、29…ばね29、30…吸引ファン30、31…集塵タンク31、32…連結管32、33…フィルタ33、34…吸引管34、35…排気孔35、36…吐出孔36、37…蓋体37、38…蓋体38、39…アーム39、40…アーム40、41…支点41、42…支点42、43…連動棒43、44…連動棒44、45…長孔45、46…ピン46、47…吸引ホース47、48…吸引嘴管48、49…取っ手49、50…吸引口50、51…起振軸51、52…起振機枠52、53…軸受53、54…軸受54、55…スプライン軸55、56…クラッチ盤56、57…軸受57、58…クラッチペダル58、59…クラッチ接離軸59、60…ばね60、61…固定軸61、62…摩擦面62、63…ポットホール63、64…支持枠64、65…ばね。
Claims (3)
- 機枠フレーム11にエンジン10を載せるとともに、ハンドル15を取り付け、前記エンジン10で起振機14を駆動して転圧板13により路面補修材料を転圧するようにした舗装補修装置において、前記エンジン10の回転軸19に吸引ファン30を連結し、この吸引ファン30の吸引側に集塵タンク31を取り付け、この集塵タンク31に路面清掃用の吸引ホース47を連結したことを特徴とする舗装補修装置。
- 機枠フレーム11にエンジン10を載せるとともに、ハンドル15を取り付け、前記エンジン10で起振機14を駆動して転圧板13により路面補修材料を転圧するようにした舗装補修装置において、前記エンジン10の回転軸19に吸引ファン30を連結し、この吸引ファン30の吸引側に集塵タンク31を取り付け、この集塵タンク31に路面清掃用の吸引ホース47を連結し、前記回転軸19側のプーリ16と前記起振機14側のプーリ17との間にベルト18を掛け渡し、前記起振機14側のプーリ17と起振機14の起振軸51との間に、クラッチペダル58で接離するクラッチ盤56を介在したことを特徴とする舗装補修装置。
- 機枠フレーム11にエンジン10を載せるとともに、ハンドル15を取り付け、前記エンジン10で起振機14を駆動して転圧板13により路面補修材料を転圧するようにした舗装補修装置において、前記エンジン10の回転軸19に吸引ファン30を連結し、この吸引ファン30の吸引側に集塵タンク31を取り付け、この集塵タンク31に路面清掃用の吸引ホース47を連結し、前記ハンドル15は、前記機枠フレーム11に固定的に取り付けた略垂直な支柱20の上端に連結金具23を介して折り畳み自在に連結し、前記機枠フレーム11の上端よりやや下方に、運搬用把手21を固定的に取り付けたことを特徴とする舗装補修装置。
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