JP3781263B2 - 長尺床材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、寸法安定性に優れた塩化ビニル樹脂系長尺床材に関する。
【0002】
塩化ビニル樹脂は、機械的性質、耐薬品性および難燃性に優れているほか充填配合・加工の許容度が広いため、硬質製品から軟質製品にわたり多様な製品に加工されており、事実玩具、履物または包装容器などの日用品からパイプ類、継ぎ手または電線被覆などの工業製品に至るまで殆どあらゆる分野で使用されており、その生産量も1997年には250万トンを上回るまでに至っている。
床材においても例外ではなく、特に廉価であることと自己消火性、耐水性、耐油性、耐薬品性および成形加工性に優れていることを利用して、エンボス加工、発泡加工または半溶融加工などを施した塩化ビニルのカレンダシートの被覆積層製品が多く用いられている。具体的には、1998年において、床材には27.5万トン、特に長尺床材には13.5万トン使用されていた。
【0003】
近年環境問題がますます深刻化するなかで、塩化ビニル樹脂製品から焼却処理時の燃焼条件によっては塩素ガスが発生し、また約800℃以下で焼却するとダイオキシンが発生することが判明し、更には「環境ホルモン」との関連性も問題視されるに至っている。
日本では廃棄物の処理を焼却に依存しており、焼却できない廃棄物は埋め立て処理しているが、近年、埋め立て処分場の確保が難しくなっている。
【0004】
この対策として塩化ビニル樹脂を用いた建材から塩素化合物を含まない他の建材への代替が考えられるが、床材についてはコスト、デザイン性、接着性または耐傷性などから壁紙以上に塩化ビニル樹脂に代わる素材の開発は遅れている。
他の対策として、塩化ビニル樹脂を分別しリサイクルを行い、廃塩化ビニル樹脂建材の焼却量を大幅に削減する方法がある。
ここで、廃塩化ビニル樹脂建材をリサイクルするに際し、新築時に現場から発生する端材についてはその分別が比較的容易で、経時変化による物性の低下も少ないことから再生原料として利用し易く、既に大手住宅メーカーを中心にリサイクルの取り組みは開始されている。
しかし、問題は解体時に発生する廃材のリサイクルである。塩化ビニル樹脂を用いた建材のリサイクルを促進するための第1の条件は分別あるが、特に床材の場合、コンクリートやモルタルなどの下地材と塩化ビニル樹脂製床材が接着剤で強力接着されていることから、解体の際、塩化ビニル樹脂製床材にコンクリートやモルタルが付着し、分別が非常に困難となっている。
一方、接着剤を用いなければ、床材がたわみ、また上反りにより目地が浮き上がるなどの問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、寸法安定性に優れた塩化ビニル樹脂系長尺床材を提供することにある。
本発明の他の重要な目的は、該長尺床材を用いたリサイクル容易な建築構造物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、解体の際に塩化ビニル樹脂の分別が困難であるという従来の問題点を解消すべく、接着剤を用いずに下地材に敷設できる長尺床材について検討した。その結果、寸法安定性に非常に優れた長尺床材であれば、接着剤を用いなくても、床材がたわみ、また上反りにより目地が浮き上がるなどの問題が生じないという知見を得た。
かかる知見に基づいて、さらに鋭意検討した結果、従来の長尺床材においては、塩化ビニル樹脂層の層間に、アクリル樹脂でプライマー処理されたガラスクロス等がラミネートされるのが一般的であったが、これに代えてポリウレタン樹脂処理を施した布帛をラミネートすれば、寸法安定性が顕著に改善されるという思いがけない知見を得た。
さらに検討を重ねたところ、布帛としてガラス繊維からなるガラスクロス等を用いればさらに寸法安定性が上がることを知見した。また、ポリウレタン樹脂処理についても検討を重ね、ポリエステル系ポリウレタン、エポキシ樹脂で架橋されたポリウレタン樹脂、またはアイオノマー型ポリウレタン樹脂を用いて処理すると寸法安定性がさらに向上することも知見した。
本発明者らは、さらに検討を重ねて本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)複数の塩化ビニル樹脂層からなり、その層間にポリウレタン樹脂処理を施した布帛がラミネートされていることを特徴とする長尺床材。
(2)布帛がガラスクロス、ガラスネットまたはガラスペーパーである前記(1)に記載の長尺床材。
(3)ポリウレタン樹脂がポリエステル系ポリウレタン樹脂である前記(1)または(2)に記載の長尺床材。
(4)ポリウレタン樹脂がエポキシ樹脂で架橋されたポリウレタン樹脂である前記(1)〜(3)に記載の長尺床材。
(5)ポリウレタン樹脂がアイオノマー型である前記(1)〜(4)に記載の長尺床材。
(6)前記(1)〜(5)に記載の長尺床材を敷設した建築構造物。
【0008】
塩化ビニル樹脂には硬質塩化ビニル樹脂と軟質塩化ビニル樹脂があるが、本発明においては軟質塩化ビニル樹脂を用いるのが好ましい。
軟質塩化ビニル樹脂としては、汎用の塩化ビニル樹脂でよく、例えば、塩化ビニルの単独重合体または塩化ビニル共重合体が挙げられる。
また、塩化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル−スチレン共重合体またはメタクリレートグラフト重合体などと、上記ポリ塩化ビニルとのポリマーブレンド物であってもよい。
【0009】
該塩化ビニル樹脂に、可塑剤、無機質充填材、その他添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、従来公知の種々の可塑剤を使用できるが、例えば、DOP等のフタル酸エステル、DOA等の直鎖二塩基酸エステルまたはTCP等のリン酸エステル等が挙げられる。
可塑剤は、ポリ塩化ビニル100重量部に対し約30〜80重量部程度、好ましくは約40〜60重量部程度が配合される。
【0010】
無機質充填材としては、従来公知の種々の充填材を使用できるが、その中でも、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、またはそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、10μm以下の平均粒径を有する炭酸カルシウムの粉末、該炭酸カルシウム粉末と水酸化アルミニウム粉末との混合粉末、またはこれらの粉末を表面処理したものが使用される。
炭酸カルシウム粉末を配合するだけでも長尺床材に難燃性を付与することはできるが、炭酸カルシウム粉末と水酸化アルミニウム等の水酸化の粉末との混合粉末を配合すると、水酸化アルミニウム等の水酸化が熱分解時に水を放出するため難燃性のより高い長尺床材を得ることができる。
該無機質充填材は、ポリ塩化ビニル100重量部に対し約50〜300重量部程度配合するのが好ましい。あまり多すぎると長尺床材が脆弱化する。また、少なすぎると床材の難燃性と寸法安定性が低下するといった不都合を生じ得る。
【0011】
ポリ塩化ビニル樹脂には、その他、必要に応じて顔料、過酸化系の架橋剤、カップリング剤、例えばビスアマイド等の滑剤、例えばフェノール系の酸化防止剤、例えばヒンダードアミン系の光安定剤、紫外線吸収剤または難燃剤など公知の添加剤を配合してもよい。
【0012】
ポリ塩化ビニル樹脂は、押出加工機またはカレンダー等公知もしくはそれに準ずる方法でシート状とすることができる。
また、後述するポリウレタン樹脂処理を施した布帛にポリ塩化ビニル樹脂を厚膜塗布し、これを加熱してプリゲル化し、さらに加熱加圧処理して積層体を製造してもよい。
【0013】
本発明で用いる布帛としては、例えば、織物、編物、直交ネット、直交積層ネット、多軸積層ネットまたは不織布等が挙げられる。
織物としては、例えば、平織、朱子織、綾織、横縞織、からみ織または斜こ織などが挙げられる。
編物としては、例えば、平編み、ゴム編みもしくはパール編みなどの横編み、シングルデンビー編みもしくはシングルデンビー編みなどの縦編み、またはレース編み等が挙げられる。
不織布は、繊維の集合体であるウェブを織ったり編んだりしないで、ウェブの繊維同士を化学的、物理的もしくは熱によって接着または絡ませて作られたシート状の構造体であり、例えば、湿式法不織布、乾式法不織布または直接法不織布などが挙げられる。
これら布帛は、公知の方法またはそれに準じる方法で製造することができる。
【0014】
本発明で用いる布帛は、公知の繊維で製造されたものであってよい。すなわち、天然繊維の布帛であっても、化学繊維の布帛であってもよい。
天然繊維としては、例えば綿や麻などの植物繊維、または羊毛やカシミアなどの毛もしくは絹などの動物繊維などが挙げられる。
化学繊維としては、レーヨンなどの再生繊維;アセテートなどの半合成繊維;ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリウレタン系もしくはフェノール系などの合成繊維;ガラス繊維、炭素繊維あるいいは金属繊維などの無機繊維などが挙げられる。
【0015】
特に、寸法安定性の観点から、本発明で用いる布帛はガラス繊維からなるものが好ましい。
ガラス繊維は、アルカリ含有率によって無アルカリタイプと含アルカリタイプに大別されるが、前者はホウ素とフッ素系の融剤が配合されているため電気的及び機械的特性が優れており、電気関係の分野で使用される関係でEガラスと称され、また後者は耐薬品性が高く化学的用途に用いられるためCガラスと称されている。いずれも本発明で使用できる。
なお、Cガラスはアルカリ含有率が高いため、アルカリ含量を下げると同時にチタンと亜鉛系の融剤を用いたECRガラスが開発され、Cガラスを代替して汎用されている。従って、ECRガラスも本発明で使用できる。
さらにAガラス、Lガラス、SガラスまたはYM31−Aガラス等も本発明において使用できる。
【0016】
本発明に用いられるガラス繊維布帛は、例えば、ヤーンから織成された平織、からみ織、朱子織もしくは綾織等のガラスクロス、ロービングから織成されたロービングクロス、ガラスネット、からみ織、または編物などの織布状のもの;チョップドストランドマットやサーフェ−シングマット等の短繊維マット、もしくはダイヤモンドマットやスワールマット等の長繊維マットなどによる不織布状のもの;または、ガラスペーパーなどが挙げられる。
これらは、公知またはそれに準ずる方法で製造でき、また一般市販品が便宜に適用される。
【0017】
本発明で用いるガラスクロスとは、例えば、無アルカリガラスクロス、含アルカリガラスクロスまたは電気絶縁用ガラスクロス等が挙げられる。また、例えば平織、朱子織、綾織、横縞織、からみ織または斜こ織りなど公知の製織方法で製織されたものであってよい。
本発明で用いるガラスネットとは、ガラス繊維を用いた直交ネット、直交積層ネットまたは多軸積層ネット等が挙げられる。
【0018】
本発明で用いるガラスペーパーとは、ガラス繊維で抄いた紙をいい、抄紙原料としてガラス繊維のみを用いる場合の他、パルプとの混合抄紙のもの等であってもよい。寸法安定性の点からガラス繊維のみを用いたガラスペーパーが好ましい。
該ガラスペーパーは、約0.5〜3μm程度の短繊維および約5〜9μm程度の長繊維を用いるものが挙げられる。ガラス繊維は短繊維相互間のからみ合いが乏しいので、ガラス繊維のみを用いる場合は短繊維の直径が約3μm程度以下であることが好ましい。
該原料ガラス繊維を開繊するには、水中で軽い撹拌によって開繊、分散するのが好ましい。ビーターを用いて開繊すると、繊維が短く切断し、抄紙しにくくなるからである。開繊の際に、開繊をよくするために適当な界面活性剤を加えたり、pHを約4以下に調整したりするなどの処理を行ってもよい。
抄紙用接着剤を用いて、公知またはそれに準ずる方法で開繊した繊維を紙状にすることができる。抄紙用接着剤としては、例えば、ポリビニルアセテートまたはポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0019】
本発明で用いられるガラス布帛として、ガラス繊維と例えばポリエステル繊維、炭素繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維(例えばケブラー49)、金属繊維(ステンレス繊維、銅線等)およびポリ−p−フェレンベンズビスオキサゾール繊維(PBO繊維;例えば、株式会社東洋紡製のザイロン(登録商標)など)、ポリアクリレート繊維(例えば、ベクトラン)またはポリプロピレン繊維等から成る群から選ばれる一種以上の繊維との混織物または混撚物等であってもよい。
上記のガラス繊維やガラス繊維以外の繊維のそれぞれは、複合素材からなっていてもよい。そのような複合素材繊維として、具体的には、例えば二重構造になっていて、芯側がポリエステル樹脂であって、当該ポリエステル樹脂をポリエチレン樹脂で被覆してなる繊維などが挙げられる。
繊維の種類の選択は所望する機械的、熱的や物理的特性やコストを勘案して適宜に行なう。
【0020】
本発明で用いられるポリウレタン樹脂処理とは、例えば、ポリウレタン樹脂を布帛の両面に塗布すること、または溶融状もしくは溶液状のポリウレタン樹脂を収納した桶の中に浸漬し引き上げて余剰量をしぼり取ることをいう。ポリウレタン樹脂処理をすることによって、布帛と塩化ビニル樹脂層との接着性が高まり、長尺床材の寸法安定性が格段に向上する。
その塗布方法としては、例えばアプリケーター、ナイフコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、ロッドコーターまたは刷毛など公知の手段を用いてよい。
ポリウレタン樹脂の塗布または含浸量は、ポリウレタン樹脂を塗布または含浸させた布帛に対して、1〜50重量%、好ましくは5〜25重量%程度である。
【0021】
ポリウレタン樹脂処理として、例えば一液反応型と二液反応型が挙げられる。また、それぞれ水性タイプと溶剤系タイプがあり、本発明においてはいずれを採用してもよいが、水系タイプの方が好ましい。樹脂の粘度を低く保ったまま、被膜強度等の物性を得ることができるからである。
また、ポリウレタン樹脂としてはポリエステル系ポリウレタンが中でも好ましい。ポリエステル系ポリウレタンは被膜強度が大きい等の利点があるからである。
【0022】
水性ポリウレタン樹脂を用いた処理には、一液反応型が好ましい。すなわち、例えば、脂肪族、芳香族または脂環式イソシアネート類とポリオール類とを反応させて得られる、末端に2個以上のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを用いるのが好ましい。このポリウレタンプレポリマーは、公知の方法により製造することができる。
本発明においては特に、カルボキシル基を有する水性ポリウレタン樹脂が好ましい。後述するアイオノマー型のポリウレタン樹脂を得ることができるからである。カルボキシル基を有する水性ポリウレタン樹脂としては、カルボキシル基を有するポリオール類、またはカルボキシル基を有するポリオール類とカルボキシル基を有しないポリオール類の混合物を、イソシアネート類と反応させたポリウレタンプレポリマー用いるのが好ましい。
【0023】
前記のイソシアネート類としては、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートもしくは2,8−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族イソシアネート類;3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアンート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネートもしくはメチルシクロヘキシル−2,4−ジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、またはトルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフテンジイソシアネート、ジフェニルメチルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4‘−ジベンジルジイソシアネートもしくは1,3−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類などのジイソシアネート類;これらの脂肪族、脂環式もしくは芳香族ジイソシアネート類を塩素化または臭素化してなる塩素化ジイソシアネート類または臭素化ジイソシアネート類;塩素化ジイソシアネート類もしくは臭素化ジイソシアネート類に水を付加してなるポリイソシアネート化合物などが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合させてもよい。
【0024】
また、ポリオール類としては、通常のウレタン樹脂の製造に使用される公知のポリオール類を用いてよい。例えば、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリブタジエンポリオールまたはフランジメタノール等が挙げられる。
本発明で用いられるポリオール類は、上記ポリオール類を単独で用いてもよいし、2種以上を混合させてもよい。
また、カルボキシル基を有するポリオール類としては、ポリウレタンプレポリマー分子骨格に分岐状にカルボキシル基を付与するものであれば、いずれのものも本発明において使用できる。プレポリマー中のカルボキシル基含有量を多くするには、ポリオール類として分岐状にカルボキシル基を少なくとも1個有する炭素数3〜10の低分子量のものを用いるのが好ましい
【0025】
前記の反応において、イソシアネート類とポリオール類との使用割合は、得られるウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量(固形分換算で)が約0.5〜10重量%程度、好ましくは約1〜4重量%程度となるように調整されるのが好ましい。イソシアネート基含有量が0.5重量%未満では、鎖伸長反応において分子量が大きくなり難く、また、10重量%を超えると、鎖伸長反応において発生する炭酸ガス量が多くなりすぎるため、製造が困難となり易い。
カルボキシル基を有するポリオール類の量は、酸価(固形分換算で)として約10KOHmg/g程度以上、好ましくは約20KOHmg/g程度以上になるように調整されるのが好ましい。酸価が10KOHmg/g未満であると、水性分散体の粒径が大きくなり、貯蔵安定性が悪化する。
【0026】
水性ポリウレタン樹脂は、例えば、上記ポリウレタンプレポリマーを溶媒および/または水に溶解または懸濁させ、塩基性有機化合物および伸長剤を滴下することができる。また、溶媒および/または水に塩基性有機化合物および伸長剤を溶解し、この溶液を上記ポリウレタンプレポリマー溶液または懸濁液に滴下することもできる。
次いで、適当量の水で希釈し、減圧下、不揮発分の濃度が約30〜40重量%程度になるまで、脱水もしくは脱溶媒して、さらに約70〜80℃程度で約6時間程度反応させることにより製造することができる。
【0027】
用いられる溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンまたはジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0028】
また、伸長剤として、例えば、水またはポリアミン類を用いることができる。ポリアミン類としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、α、α’−メチレンビス(2−クロルアニリン)3,3’ジクロルα,α−ビフェニルジアミン、2,6−ジアミノピリジン、α,α−ジアミノジフェニルメタン、m−キシレンジアミン、イソフォロンジアミン、N−メチル−3,3’−ジアミノプロピルアミン、またはジエチレントリアミンとアクリレートとの付加物もしくはその加水分解生成物等が挙げられる。
【0029】
また、塩基性有機化合物は、公知のもの何れを本発明において使用してもよい。例えば、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンまたはトリエチルアミン等が挙げられる。該塩基性有機化合物は、カルボキシル基と反応して、親水基を付与することができる。
【0030】
溶剤系のポリウレタン樹脂としては、例えば以下のものが挙げられる。
一液反応型はイソシアネート基をポリマーの末端に持つポリウレタンプレポリマーを使用し、空気中の水分あるいは塩化ビニル樹脂層に吸着している水分と反応し、尿素結合を形成して塩化ビニル樹脂層と接着する。
二液反応型は、高分子末端に水酸基を有する主剤と、イソシアネート基(−NCO)を有する硬化剤の2液からなり、水酸基とイソシアネート基の反応によりウレタン結合を形成して塩化ビニル樹脂層と接着する。
本発明においては、溶剤系のポリウレタン樹脂としては二液反応型のほうが好ましい。一液反応型は乾燥している状態または塩化ビニル樹脂層の水分吸着の低い場合は、接着が不十分で、また完全に接着するまでに時間がかかるからである。
【0031】
一液反応型におけるポリウレタンプレポリマーとしては、例えば、上記イソシアネート類とポリオール類を反応させたポリウレタンプレポリマーが挙げられ、またジイソシアネートとポリエーテルポリオールを重付加させたポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート、またはジイソシアネートとポリエステルポリオールを重付加させたポリエステルポリウレタンポリイソシアネートなどが挙げられる。
二液反応型における高分子末端に水酸基を有する主剤としては、例えば、上記のポリオール類;グリコールとジカルボン酸が縮重合してなるポリエステルポリオール;ポリエーテルポリオールとジイソシアネートを重付加したポリエステルポリウレタンポリオール;またはポリエステルポリオールとジイソシアネートが重付加したポリエーテルポリウレタンポリオールなどが挙げられ、硬化剤としては、例えば、上述のイソシアネート類またはトリイソシアネートなどが挙げられる。
【0032】
溶剤系のポリウレタン樹脂処理として、さらに例えばドライラミネーション用処理とノンソルベントラミネーション用処理等に分けることができる。
ドライラミネーション用処理は、一液反応型におけるポリウレタンプレポリマーまたは二液反応型における主剤および硬化剤を、有機溶媒に溶かしたものを布帛に塗布または含浸させる処理である。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンまたはnーブタノール等が挙げられる。
ノンソルベントラミネーション用処理は、一液反応型におけるポリウレタンプレポリマーまたは二液反応型における主剤および硬化剤を、有機溶媒に溶かさずに加熱して粘度を下げた状態で布帛に塗布または含浸させる処理である。
【0033】
本発明においてポリエステル樹脂として好適に用いられるポリエステル系ウレタンは、例えばポリイソシアネートとポリエステルポリオールとからなるのが好ましい。
ポリイソシアネートはイソシアネート基を一または複数個有する化合物で、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、65/35トリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとを65/35(重量比)の割合で混合した混合物をいう。以下同様)、80/20トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジアニシジンジイソシアネート,トリデンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート(XDI)、メタキシレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6HMDI)、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添2,4−トリレンジイソシアネート、水添65/35トリレンジイソシアネート、水添80/20トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等を使用することができる。
また、配合するポリイソシアネートとしては、上記ポリイソシアネートに加え、三官能イソシアネートである4,4’,4''−トリフェニルメタントリイソシアネート(TPMT)、トリス(P−イソシアネートフェニル)チオフォスフェイト(TIPP)等を使用することができる。そして、このポリイソシアネートの配合割合は、ポリエステル系ウレタンの固形分100重量部に対し、約0.1〜30重量部程度の範囲がよい。これは、この配合割合が0.1重量部未満では接着強度の向上が少なく、30重量部を越えると逆に接着強度の向上が望めなくなるからである。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリエチレンブチレンアジペート(PEBA)、ポリエチレンアジペート(PET)またはポリエチレンセバケート(PESET)等を使用することがきる。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂には水系タイプまたは溶剤系タイプがあり、本発明においてはいずれを用いてもよいが、水系タイプのほうが好ましい。また、いずれのタイプでも上述したポリウレタン樹脂と同様に、または公知あるいはそれに準ずる方法で製造することができる。
【0034】
本発明に係るポリウレタン樹脂処理において、エポキシ樹脂で架橋されたポリウレタン樹脂を用いるのが好ましい。
ポリウレタン樹脂をエポキシ樹脂で架橋させるには、ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂を混合して、布帛に塗布または含浸すればよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂またはノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0035】
エポキシ樹脂とともにエポキシ樹脂用硬化剤を用いてもよい。エポキシ樹脂用硬化剤としては、アミン系硬化剤が好適に用いられる。アミン系硬化剤としては、トリエチレンテトラアミン、イソフォロンジアミン、メタキシレンジアミンもしくはポリアミドアミン、またはそれらの変性物などが挙げられる。
硬化剤は、当量比で約0.7〜1.3程度の割合で使用されるのが好ましい。
【0036】
また、溶剤系のポリウレタン樹脂処理の場合は、反応性希釈剤または非反応性希釈剤を添加してもよい。
反応性希釈剤としては、例えば、アルキルグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アルカン酸グリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテルまたはプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
非反応性希釈剤としては、例えば、トルエン樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、タールもしくは変性石油樹脂などの石油系樹脂、またはベンジルアルコール、ブチルジグリコールもしくはプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類が挙げられる。
【0037】
ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂には、例えば充填剤や顔料などの公知の各種の添加剤を配合することができる。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、硫酸バリウム、クレー、マイカまたは珪砂などが挙げられ、顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄もしくはカーボンブラック等の無機顔料、またはフタロシアニンブルー等の有機顔料などが挙げられる。
【0038】
本発明のポリウレタン樹脂処理において、アイオノマー型のポリウレタン樹脂を用いるのが好ましい。アイオノマー型のポリウレタン樹脂としては、ポリウレタン高分子骨格の側鎖にカルボニル基を有するポリウレタン樹脂において、ガルボニル基の少なくとも一部が金属陽イオン等で部分中和されているものが挙げられる。
金属イオンとしては、例えばNa、K、Mg、Zn、Ca、Cu、FeまたはBa等のイオンが挙げられる。また、アンモニアまたはアミン等により部分中和されているものもあり、本発明においてはいずれを使用してもよい。
【0039】
アイオノマー型のポリウレタン樹脂を製造するには、例えば、NaOH、KOH、ZnO、Zn(OH)2 、MgO、Mg(OH)2 、CuO、Cu(OH)2 、Ba(OH)2 、ZnCO3 、MgCO3 、Zn(CH3 COO)2 、Mg(CH3 COO)2 等もしくはこれら2種以上混合物、アルコレート、または低級脂肪酸塩などを加えてカルボニル基を中和する方法が挙げられる。
これにより、ポリウレタン高分子骨格の側鎖にあるカルボキシル陰イオンが分子間に存在する金属陽イオンと静電的に結合して一種の架橋を形成し、共重合体の分子間を金属イオンで架橋した構造のアイオノマー型の樹脂が得られる。
【0040】
本発明で用いるポリウレタン樹脂処理を施した布帛の表面をシランカップリング剤により表面処理してもよい。
シランカップリング剤は、通常、塩化ビニル樹脂との親和性または結合性をもたらすための有機鎖部と、布帛の表面に処理された際、酸素原子を介してシランカップリング剤のケイ素と布帛との間に化学的もしくは電気的結合を形成させるための水酸基またはアルコキシ基を有する部分とからなっている。そのため、シランカップリング処理を行うと、布帛と塩化ビニル樹脂との接着性を高めることができる。
シランカップリング剤は、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランまたは3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩などの公知のシランカップリング剤を用いてよい。
【0041】
長尺床材とは、例えば、幅が900mm〜1840mm程度、長さ9m程度の床材である。長尺床材は、張り上げたとき長辺方向も短辺方向もタイル状のものに比較して継ぎ目がなく、はがれにくく、施工性もよいことから、建材として多用されている。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明に係る塩化ビニル樹脂系長尺床剤は、好ましくは表面保護層、プリント層、複数の塩化ビニル樹脂からなる層が積層してできている。本発明では、かかる複数の塩化ビニル樹脂層の層間に、ポリウレタン樹脂処理を施した布帛がラミネートさせる。
ここで、布帛層の位置は複数の塩化ビニル樹脂層の真中ないしはやや上側が好ましい。例えば、塩化ビニル樹脂層が3層ある場合は、保護フィルム、プリント層の次に塩化ビニル樹脂層を積層し、これにポリウレタン樹脂処理を施した布帛をラミネートさせ、これに塩化ビニル樹脂層を2層積層したものが好ましい。
【0043】
上記積層材の表面に、公知の処理を施してもよい。例えば、意匠性を上げるためエンボスによる凹部を施してもよいし、表面に汚れがつきにくくするため表面をフッ素樹脂加工してもよい。
これらの処理は公知方法を用いて行うことができる。例えば、エンボスを施す手段としては、凹凸面を有するエンボスロールまたはエンボス版で加圧するなど公知の方法を用いて行うことができる。エンボスは下記するラミネーションとは別に行っても構わないが、同時に行う方が製造工程を短縮できて有利である。
【0044】
また、コンクリートやモルタルなどの下地との接着性を上げるために、最下層に寒冷紗を積層してもよい。
適度なクッション性が得るために、発泡樹脂からなる緩衝層を積層してもよい。
【0045】
表面保護層は、耐汚れ性および耐傷性の良好な樹脂フィルム等公知のものを用いてよい。耐汚れ性および耐傷性の良好な樹脂フィルムとしては、例えば、エチレン酢酸ビニル重合体フィルム、アイオノマーフィルム、無延伸ナイロンフィルムあるいは二軸延伸フィルムなどのナイロンフィルムまたはポリエステルフィルムなどが挙げられる。
また、樹脂フィルムは単層であっても、多層であってもよい。
これらの技術は十分に確立されており、本発明においてもそれらを適宜採用してよい。
【0046】
プリント層は、公知の任意の印刷方法を適用して形成することができ、例えばグラビア印刷、平版印刷、凸版印刷、スクリーン印刷または転写印刷等の方法で印刷されたフィルムを用いることができる。
フィルムは、表面保護層に使用した樹脂フィルムと接着性を有するものであれば、例えばポリエステルフィルムなど公知のものを用いてよい。
また、この場合使用するインキは、化粧材用に通常用いられているインキを保護フィルムの材質に合わせて選定して使用すればよい。
【0047】
表面保護層やプリント層に用いられるフィルムは、接着性を高めるためにアンカーコート剤(AC剤)などで処理されるのが好ましい。
AC剤としては、例えば、有機チタン系AC剤またはイソシアネート系AC剤など公知のものを用いてよい。
【0048】
また、本発明において、塩化ビニル樹脂の密着性向上のために、塩化ビニル樹脂にコロナ処理、プラズマ処理、または電子照射処理など、公知の接着性向上のための処理を行ってもよい。
コロナ処理としては、例えば、温度約0〜50℃程度、放電密度約300〜1600w/m2 /min程度の条件下に行う処理が挙げられる。
プラズマ処理としては、例えば大気中で電界強度約5〜90kV/cm程度、処理時間約1〜180秒程度の条件下に行う処理が挙げられる。
電子線照射処理としては、例えば、加速電圧約300〜1000kV程度、照射線量約1〜30Mrad程度の条件下に行う処理が挙げられる。
【0049】
保護フィルム、プリント層、所望により上記処理等を施した複数の塩化ビニル樹脂層、ポリウレタン樹脂処理を施した布帛、所望により上記処理等を施した複数の塩化ビニル樹脂層を配置させて、これを種々のラミネーション法により貼り合わせて一体化した積層体を作製する。
ラミネーションの方法としては、例えば、ウェットラミネーション、ホットメルトラミネーション、押出しコーティング・ラミネーション、共押出成形ラミネーション、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーションまたはサーマルラミネーションなどが挙げられる。好ましくは、サーマルラミネーションがよい。
【0050】
本発明は、上記長尺床材を敷設した建築構造物をも含む。
該建築構造物としては、例えば、木材、コンクリート、モルタル、鉄筋コンクリートおよび鉄骨などの床下地材に上記長尺床材を敷設したものが挙げられる。
また、例えば、下地に板を張り付けた荒床に本発明に係る長尺床材を敷設させたものが挙げられる。荒床に用いられる木材としては、例えば縁甲板や合板が挙げられる。特に床材を積層させることによって通気性が悪くなることから、耐水性に優れた木材を使用することが好ましい。
【0051】
本発明に係る長尺床材は寸法安定性に優れているので、接着剤を用いずに、下地材の上に敷設できる。
下地材の上に積層する際に粘着剤を用いるのが好ましい。
粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)粘着剤、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)粘着剤またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)粘着剤などが挙げられる。
また、本発明に係る長尺床材は、寸法安定性の基準として、JIS A 5705「加熱による長さの変化率」に記載されている試験方法に従った場合、変化率が0.5%以下のものが好ましい。
【0052】
【実施例】
〔実施例1〕
ガラスクロスM50F195L(ユニチカグラスファイバー株式会社製;縦糸および緯糸 G150 1/0 0.7Z y−3、縦糸18本/25mm、緯糸 15本/25mm)に、アイオノマー型のポリウレタン樹脂としてハイドランAP−60LM(大日本インキ化学工業株式会社製)と、エポキシ樹脂系架橋剤としてCR−5L(大日本インキ化学工業株式会社製)とを100:2(重量比)で混合した処理剤を含浸させた。処理剤を含浸させたガラスクロスをマングルにて絞った。このとき、処理剤の含浸量が、処理剤を含浸させたガラスクロスに対して9重量%になるようにした。
次いで、150℃で3分間加熱乾燥した。
【0053】
得られたガラスクロスの上にポリ塩化ビニルペーストをドクターブレードで塗布し、ヒーターでプリゲル化した。該プリゲル化した層に転写ロールにより模様を印刷した。この上にポリ塩化ビニルペーストをドクターブレードで塗布し、ヒーターでプリゲル化した。これをロールにより圧縮した。得られたシートはオーブンで200℃に加熱した。得られたシートを巻き取り、本発明に係る長尺床材を得た。
【0054】
〔試験例1〕
JIS A 5705「加熱による長さの変化率」に記載されている試験方法に従った試験を行った。具体的には、表面を上にしてステンレス鋼板からなる試験台の上に置いた。試験片を試験室内に12時間以上放置した後、縦横両方向それぞれ3箇所の標線の長さを測定した。次に、試験片を撹拌機付き恒温器の中に、器内壁から上下左右が5cmの間隔を開けて置いた。恒温器内の温度を80℃に保ち、6時間放置した。その後、恒温器から取り出し、室内に1時間放置した。その後それぞれの標先の長さを測定し、次式により変化率を求めた。その結果、変化率が0.3%であった。したがって、本発明に係る長尺床材は寸法安定性に優れていることがわかる。
変化率(%)={(試験前の長さ(mm)−試験後の長さ(mm))/試験前の長さ(mm)}×100
【0055】
〔実施例2〕
実施例1で製造した長尺床材にアクリル系ピールアップ粘着剤(株式会社イーテック製)を塗布し、コンクリートからなる床下地に敷設した。
1年後、長尺床材を床下地からはがした。このとき、長尺床材に床下地のコンクリートは付着してこなかった。
したがって、本発明にかかる長尺床材を使用すれば、解体時における塩化ビニルの分別が容易となることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
本発明にかかる長尺床材は寸法安定性に優れているので、接着剤を使わずに好ましくは粘着剤だけで、下地材に積層することができる。その結果、解体時において、下地材のコンクリートやモルタルなどが付着することなく該床材をはがすことができ、塩化ビニル樹脂の分別が容易になる。これにより塩化ビニルのリサイクルが非常に容易となり、塩化ビニル樹脂の焼却による塩素ガスやダイオキシンの発生を大幅に減らすことができるとともに、循環型産業に大いに貢献するものである。
Claims (6)
- 複数の塩化ビニル樹脂層からなり、その層間にポリウレタン樹脂処理を施した布帛がラミネートされていることを特徴とする長尺床材。
- 布帛がガラスクロス、ガラスネットまたはガラスペーパーである請求項1に記載の長尺床材。
- ポリウレタン樹脂がポリエステル系ポリウレタン樹脂である請求項1または2に記載の長尺床材。
- ポリウレタン樹脂がエポキシ樹脂で架橋されたポリウレタン樹脂である請求項1〜3に記載の長尺床材。
- ポリウレタン樹脂がアイオノマー型である請求項1〜4に記載の長尺床材。
- 請求項1〜5に記載の長尺床材を敷設した建築構造物。
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