JP3780685B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式により画像の形成を行う画像形成装置に係わり、特にベルト状のトナー画像担持体を用いてカラー画像の形成を行う画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ベルト状のトナー画像担持体を用いた画像形成装置としては、例えば図6に示すように、トナー画像担持体として中間転写体ベルト1aを備えた複写機が知られている。この画像形成装置では、レーザROS(Raster Output Scanner)等の潜像書き込み部2による書き込みおよび現像器3による現像によって、感光体ドラム4上にトナー画像を形成すると、そのトナー画像を中間転写体ベルト1a上に一旦転写する。ただし、カラー画像の場合には、中間転写体ベルト1aが1回転する毎に、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色のトナー画像を順に中間転写体ベルト1aへ転写し、中間転写体ベルト1a上で4色のトナー画像を合成する。そして、その後に、中間転写体ベルト1a上のトナー画像を記録用紙に転写して出力するようになっている。
【0003】
また、例えば図7に示すように、トナー画像担持体として感光体ベルト1bを備えたものもある。この画像形成装置では、感光体ベルト1bが1回転する毎に、潜像書き込み部2による書き込みおよび現像器3による現像によって、感光体ベルト1b上にY,M,C,Kの各色のトナー画像を形成し、感光体ベルト1b上で4色のトナー画像を合成した後に、記録用紙への転写を行うようになっている。
【0004】
これらの画像形成装置では、中間転写体ベルト1aまたは感光体ベルト1bといったトナー画像担持体が1回転する毎に、そのトナー画像担持体上に各色のトナー画像を順に重ねるようになっている。したがって、トナー画像担持体の回転周期と潜像書き込み部2による潜像の書き込みタイミングとは、同期していなければならず、これらが同期していないと各色のトナー画像の間で位置ずれが生じてしまうこととなる。
【0005】
ただし、潜像の書き込みを行う潜像書き込み部2は、通常、その書き込みタイミングがレーザビームの走査周期、すなわち回転多面鏡(ポリゴンミラー)の回転周期によって決定され、しかもその周期がトナー画像担持体の回転周期と非同期になっている。つまり、トナー画像担持体とポリゴンミラーとは、回転位相が非同期である。
そのために、ベルト状のトナー画像担持体を用いた画像形成装置は、各回転位相が非同期なために起こり得るトナー画像の位置ずれを補正する機能(以下、ポリゴン同期機能と称す)を有しており、そのポリゴン同期機能を用いてトナー画像担持体上でのトナー画像の位置ずれを防止するようになっている。
【0006】
ここで、ポリゴン同期機能について説明する。ポリゴン同期機能としては、例えば特開平9−80853号公報に開示されたものがある。このポリゴン同期機能は、図8に示すように、トナー画像担持体の回転に必要なベルト駆動モータ11,駆動モータ制御部12および基準クロック発生部13と、潜像書き込み部2での潜像の書き込みに必要な画像書き込みタイミング制御部14,画像処理部15および画像入力部16と、これらの各部を制御するメインコントローラ17との他に、トナー画像担持体の回転周期を検出するためのベルト基準位置検出手段18と、潜像書き込み部2による潜像の書き込みタイミング(ポリゴンミラーの回転周期)を検出するための露光ビーム走査開始タイミング検出手段19と、これらの回転周期の位相差を補正するためのコントロール部20と、を備えることによって実現される。
【0007】
ベルト基準位置検出手段18は、トナー画像担持体上に設けられた基準位置をセンサ等により検出し、これを検出する度に基準位置を示す基準位置信号(以下、TR0信号と称す)を出力する。また、露光ビーム走査開始タイミング検出手段19は、ポリゴンミラーが所定位置を通過する度に走査開始信号(以下、SOS信号と称す)を出力する。
【0008】
画像書き込みタイミング制御部14は、これらのTR0信号およびSOS信号に基づいて、潜像の書き込みを開始する。詳しくは、図9に示すように、TR0信号が出力された直後のSOS信号から所定時間経過後に潜像の書き込みを開始する。したがって、トナー画像担持体上の基準位置が検出されてから潜像の書き込みが開始されるまでの時間は、1色目で「T1 +Tsos ×n」、2色目で「T2 +Tsos ×n」となる。
【0009】
ところが、トナー画像担持体とポリゴンミラーとは回転位相が非同期であるため、「T1 」と「T2 」とは互いにばらつきを持ってしまう。そのため、このままでは、潜像を書き込むタイミングもばらついてしまい、トナー画像担持体上に形成されるトナー画像の先端位置(形成開始位置)もばらついてしまうこととなる。
【0010】
そこで、コントロール部20は、各色毎のTR0信号から潜像の書き込みまでの間に、トナー画像担持体の回転周期とポリゴンミラーの回転周期との位相差を演算し、その演算結果を基にトナー画像担持体の回転速度またはポリゴンミラーの回転速度を増減させ、トナー画像形成時におけるそれぞれの回転周期の位相差を補正する。
【0011】
この補正は、図10に示すように、トナー画像担持体が1回転する間のうちで、潜像の書き込みが行われていないとき(非画像形成状態)に、トナー画像担持体の回転速度またはポリゴンミラーの回転速度を一定の速度変動率で変更させることによって行われる。これにより、「T1 」、「T2 」のばらつきが除去され、ある色のトナー画像とその次に形成される色のトナー画像との先端位置が一致するようになり、トナー画像担持体上でのトナー画像の位置ずれが発生しなくなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トナー画像担持体上における各色のトナー画像の間での位置ずれは、トナー画像担持体の回転速度の変動によっても生じ得る。例えば、トナー画像担持体の回転速度が、ある色のトナー画像形成時と他の色のトナー画像形成時とで異なっていると、これらのトナー画像の間で位置ずれが発生してしまい、結果として出力画像における色ずれや濃度ムラの原因となってしまう。
【0013】
トナー画像担持体の回転速度の変動が生じる一因としては、トナー画像担持体に対する負荷変動が挙げられる。すなわち、図11(a)に示すようにトナー画像担持体の回転に対する負荷の増加が発生すると、これによりトナー画像担持体のスリップや伸びが生じてしまい、負荷の増加がある場合とない場合とでトナー画像担持体の回転速度が異なってしまうので、図11(b)に示すようにトナー画像担持体上におけるトナー画像の形成位置がずれてしまうこととなる。
【0014】
このような負荷変動は、以下の理由により発生する。
一般に、画像形成装置では、装置小型化のため、トナー画像担持体のベルト長が、形成可能なトナー画像の大きさに対応している。また、画像形成処理の迅速化のため、トナー画像担持体の4周で4色(Y,M,C,K)のトナー画像を形成し、その次の周には新たなトナー画像の1色目(Y色)の形成を開始する。
一方、トナー画像担持体上に対しては、トナー画像を記録用紙上へ転写するのにあたって、その転写位置において転写ロール(図6または図7における符号5参照)の当接が必要となる。さらには、トナー画像の転写後、残留トナーをトナー画像担持体上から除去するためにクリーナー(図6または図7における符号6参照)の当接が必要となる。
そのため、トナー画像担持体上では、例えば、4色目(K色)のトナー画像の形成が完了しないうちに、合成後のトナー画像の先端部の転写が開始されるとともに、残留トナーの除去が行われる、といったことが生じてしまう。つまり、K色のトナー画像の形成が行われている最中に、転写ロール6の当接やクリーナー7の当接等が発生し、これらによりトナー画像担持体の回転に対する負荷が増加することとなる。
【0015】
このような負荷変動が発生することにより、トナー画像担持体上では、ポリゴン同期機能により各色のトナー画像の先端位置が一致するように補正しても、例えば図12に示すように、K色と他の色のトナー画像の間の後端位置にずれが生じてしまうこととなる。
【0016】
これに対して、例えば特開平8−152812号公報には、ベルト状のトナー画像担持体の裏面あるいはそのトナー画像担持体を駆動する駆動ロールの表面に高摩擦係数の樹脂や粘着剤を塗布することにより、トナー画像担持体に対する負荷によるスリップの低減を可能にした画像形成装置が開示されている。ところが、これは、図13に示すように、トナー画像担持体が駆動不能になるような大きな負荷によるスリップに対しては効果的であるが、小さな負荷による微少スリップ、例えば1画素の大きさに満たないような微少な位置ずれの要因となるスリップについては、これを十分に防ぐことができない。また、トナー画像担持体の伸びについては全く対応することができない。
【0017】
このことから、上述したような各色のトナー画像の間における微少な位置ずれの発生を防ぐためには、トナー画像担持体の速度変動を検出し、その検出結果に基づいて各色のトナー画像の形成位置を補正するのが最も効果的であると考えられる。
【0018】
トナー画像担持体の速度変動を検出するものとしては、例えば特開平4−172376号公報や特開平4−234064号公報に開示されているように、トナー画像担持体に従動する従動ロールの軸にエンコーダを取り付け、そのエンコーダが検出する角速度からトナー画像担持体の速度を演算して認識するものがある。ところが、これらのものは、トナー画像担持体の速度変動を高精度に制御する技術として適しているが、その反面、エンコーダ等の検出手段や、その検出結果からトナー画像担持体の速度を認識する認識(演算)手段等、を新たに設ける必要がある。したがって、画像形成装置の構成の複雑化を招いてしまい、結果として装置の小型化やコスト低減化の妨げとなってしまう可能性がある。
【0019】
そこで、本発明は、上述したポリゴン同期機能を利用することにより、トナー画像担持体の速度変動を検出する手段等を新たに設けることなく、トナー画像担持体に対する負荷変動によって発生し得る各色トナー画像の間での位置ずれを低減することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために案出された画像形成装置で、回転駆動されるベルト状のトナー画像担持体と、前記トナー画像担持体の1回転毎にそのトナー画像担持体上へのトナー画像の形成のために潜像の書き込みを行う露光手段と、前記トナー画像担持体の回転周期および前記露光手段による潜像の書き込みタイミングを決定するポリゴンミラーの回転周期を検出するとともに、これらの間の位相差を演算する演算手段と、前記演算手段による演算結果を基に、前記トナー画像担持体の回転速度または前記露光手段による潜像の書き込み速度を増減させ前記位相差を補正する補正手段とを備え、前記補正手段での補正により前記トナー画像担持体上にて複数色のトナー画像が重なり合うように該トナー画像の前記トナー画像担持体上での形成開始位置を調整するものにおいて、前記複数色のトナー画像の重ね合わせに必要となる前記トナー画像担持体の複数回転のうちでそのトナー画像担持体に対する負荷変動がある場合とこの負荷変動がない場合とにおける回転周期の差を認識する認識手段と、前記認識手段による認識結果に基づいて前記負荷変動がある場合における補正値を求めて、該補正値を加味して前記回転速度または前記書き込み速度を増減を行うように前記補正手段に指示を与え、前記複数色のトナー画像の該トナー画像担持体上での形成開始位置を前記複数色間でずらすために前記負荷変動がある場合の前記トナー画像担持体上でのトナー画像の形成開始位置を前記負荷変動がない場合に比べて前記補正値の量だけずれた状態となるように修正する修正指示手段とが設けられたことを特徴とするものである。
【0021】
上記構成の画像形成装置によれば、認識手段は、所定の時点、例えばトナー画像担持体上へのトナー画像の形成に先立つ時点で、そのトナー画像担持体に対する負荷変動がある場合とない場合とにおける回転周期の差を認識する。認識手段が回転周期の差を認識すると、修正指示手段は、その認識結果に基づいて、補正手段が各色間の位相差補正を行う際の補正量を修正すべく、トナー画像担持体の回転速度または露光手段による潜像の書き込み速度の増減を、補正手段に対して指示する。これにより、補正手段は、複数色のトナー画像の重ね合わせに必要となるトナー画像担持体の複数回転のうちで、このトナー画像担持体に対する負荷変動が生じていても、これに対応してトナー画像担持体の回転速度または露光手段による潜像の書き込み速度を増減させ、複数色のトナー画像のトナー画像担持体上での形成開始位置を複数色間でずらすようにする。
したがって、この画像形成装置では、トナー画像担持体上に複数色のトナー画像を形成するのにあたって、トナー画像担持体に対する負荷変動があっても、トナー画像担持体上における各色のトナー画像の間の位置ずれの絶対量が小さくなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係わる画像形成装置について説明する。
ここでは、本発明を、トナー画像担持体として中間転写体ベルトを備えた複写機(図6参照)に適用した場合を例に挙げて説明する。ただし、本実施の形態では、上述した従来例(図6および図8参照)と同一の構成要素については同一の符号を与え、その詳細な説明を省略するものとする。
【0023】
本実施の形態の複写機は、図1に示すように、従来のポリゴン同期機能を有したもの(図8参照)に加え、コントロール部20内に、認識手段21と、修正指示手段22と、が設けられているものである。なお、これらの各手段は、マイクロプロセッサ等からなるコントロール部20が所定プログラムを実行することによって実現されるものである。
【0024】
認識手段21は、Y,M,C,Kの4色のトナー画像を重ね合わせるために必要な中間転写体ベルト1aの4回転のうちで、その中間転写体ベルト1aに対する負荷変動がある場合とこの負荷変動がない場合とにおける回転周期の差を認識するものである。なお、認識手段21では、詳細を後述するように、この認識を、ダミーサイクルにおけるベルト基準位置検出手段18からのTR0信号に基づいて行うようになっている。
【0025】
修正指示手段22は、認識手段21による認識結果を基に、中間転写体ベルト1aに対する負荷変動がある場合における補正値を演算し、その補正値によって中間転写体ベルト1aの回転速度の増減を指示するものである。この修正指示手段22による指示に従って、コントロール部20は、ポリゴン同期機能による補正の場合と同様に、基準クロック発生部13および駆動モータ制御部12を介してベルト駆動モータ11の回転速度の増減させるようになっている。
【0026】
次に、以上のように構成された複写機における画像形成処理の動作例、特にコントロール部20における制御処理例について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0027】
この複写機では、画像形成を行うのに先立ち、ダミーサイクルを実行する。なお、このダミーサイクルの際に、従来例(図8参照)で説明したポリゴン同期機能による補正も併せて行うようにしてもよい。
【0028】
ダミーサイクルは、電源投入等による装置起動時に行うもので、中間転写体ベルト1aの回転、ベルト基準位置検出手段18によるTR0信号の出力、転写ロール6やクリーナー7の当接等の動作を、実際の画像形成を行う場合と同様の手順により実行するものである。ただし、このとき、実際の画像形成、例えば中間転写体ベルト1aへのトナー画像の形成等は行わないものとする。
【0029】
そして、ダミーサイクルの実行中、コントロール部20では、認識手段21が、中間転写体ベルト1aに対する負荷変動がある場合とこの負荷変動がない場合とにおける回転周期の差を認識する。負荷変動がある場合としては例えばK(4色目)サイクルが相当し、また負荷変動がない場合としては例えばM(2色目)サイクルが相当する。
【0030】
具体的には、認識手段21では、先ず、ダミーサイクルの実行が開始されると、コントロール部20内等に設けられた図示しないタイマをリセットし、このタイマを中間転写体ベルト1aの回転周期を検知するためのカウンターとしてセットする(ステップ101、以下ステップをSと略す)。その後、ベルト基準位置検出手段18からMサイクルに相当するTR0信号の出力があると(S102)、タイマのカウントをスタートさせる(S103)。そして、その次のTR0信号(Cサイクルに相当するTR0信号)の出力があると(S104)、タイマによるカウントを終了するとともに(S105)、そのときのカウント値を「Tm」とし(S106)、その値を図示しないメモリ内やレジスタ内に保持させる。この「Tm」がMサイクルにおける回転周期の値となる。
【0031】
「Tm」の検出を終了すると、次に、認識手段21は、再びカウンターをセットし(S107)、Kサイクルにおける回転周期を上述の場合と同様にして検出し(S108〜S111)、その結果を「Tk」とする(S112)。
なお、認識手段21は、Y,M,C,Kの各サイクルからカウント値を検出するようにしてもよいが、ここでは負荷変動がある場合とない場合との回転周期の差が分かればよいので、MサイクルとKサイクルとの2つのみについて検出することにより、認識処理の迅速化を図っている。
【0032】
このようにして「Tm」および「Tk」の値を検出すると、認識手段21は、これらの間の差である「Tk−Tm」の値を、負荷変動がある場合とない場合とにおける回転周期の差として認識する。
【0033】
認識手段21が回転周期の差を認識すると、次に、修正指示手段22は、中間転写体ベルト1aに対する負荷変動がある場合におけるトナー画像の形成位置のずれ量、すなわち1〜3色目(Y色,M色,C色)のトナー画像の形成位置と最終色(K色)のトナー画像の形成位置との位置ずれの値、具体的にはトナー画像の後端位置でのずれ量の値を演算により求める(S113)。
【0034】
この位置ずれの値を予想レジずれ値「Rk」とすると、この予想レジずれ値「Rk」は、中間転写体ベルト1aの基準速度「V」の値からRk=(Tk−Tm)×Vの式によって定まる。このとき、基準速度「V」は、所定の値である。したがって、認識手段21による認識結果である「Tk−Tm」の値が分かれば、修正指示手段22は、予想レジずれ値「Rk」を求めることができる。
【0035】
修正指示手段22は、認識手段21による認識結果を基に予想レジずれ値「Rk」を算出すると、続いて、中間転写体ベルト1aに対する負荷変動がある場合における補正値「ΔR」を演算する(S114)。
【0036】
この補正値「ΔR」としては、予想レジずれ値「Rk」を半減させるための値が考えられる。これは、ポリゴン同期機能を利用した補正は、中間転写体ベルト1a上へのトナー画像の形成が行われていないときに、その中間転写体ベルト1aの回転速度を増減させることにより、各色のトナー画像の先端位置を一致させるものであり、中間転写体ベルト1a上へのトナー画像の形成中には中間転写体ベルト1aを基準速度「V」で走行させるようになっているからである。すなわち、ポリゴン同期機能を利用した補正では、トナー画像の形成中に発生する負荷変動による形成位置のずれ(図12参照)を完全に除去することができないからである。よって、そのずれが最も目立たなくなるよう、予想レジずれ値「Rk」を半減させることが考えられ、この場合にはΔR=Rk/2とすればよい。
【0037】
修正指示手段22が補正値「ΔR」を求めると、次に、この複写機では、メインコントローラ17からの指示に従って、各部が画像形成を開始する。詳しくは、先ず、Y色画像について潜像書き込み部2が感光体ドラム4上への潜像を書き込む。そして、現像器3がその潜像をY色のトナーで現像した後、そのトナー画像を中間転写体ベルト1a上に転写(1次転写)する。続いて、M色およびC色についても同様の処理を行い、中間転写体ベルト1a上で3色のトナー画像を合成する。なお、このとき、各色のトナー画像の形成位置については、ポリゴン同期機能による補正が行われ、それぞれの先端位置が一致しているものとする。
【0038】
3色のトナー画像の合成が終了すると、次に、最終色であるK色のトナー画像の形成を行う。ただし、最終色の場合については、中間転写体ベルト1aに対する負荷変動が生じるので、修正指示手段22は、K色のトナー画像の形成前、すなわち潜像書き込み部2による潜像を書き込みが開始される前で中間転写体ベルト1a上へのトナー画像の転写が行われていないときに(以下、この時間領域を1次転写非画像エリアと称す)、補正値「ΔR」によって中間転写体ベルト1aの回転速度の増減を指示する。
【0039】
詳しくは、修正指示手段22では、補正値「ΔR」による補正指示を、ポリゴン同期機能による補正を行う場合の補正指示と同時に、これに補正値「ΔR」を加味するようなかたちで、基準クロック発生部13に与える。この修正指示手段22からの補正指示により、基準クロック発生部13および駆動モータ制御部12は、例えばステッピングモータからなるベルト駆動モータ11に対して、時間当たりに与えるパルス数を増減させる。これにより、ベルト駆動モータ11では、回転速度が増減する。なお、この回転速度の増減は、1次転写非画像エリア内のみで行われ、K色のトナー画像の形成が開始すると中間転写体ベルト1aは基準速度「V」で駆動されることとなる。
【0040】
このような修正指示手段22から指示される補正によって、中間転写体ベルト1aでは、K色のトナー画像が補正値「ΔR」に対応する量だけ全体的にずれた状態で形成される。すなわち、K色のトナー画像は、他色のトナー画像に比べて、その先端位置が補正値「ΔR」の分だけずれた状態となる。
【0041】
したがって、中間転写体ベルト1aでは、図3に示すように、K色のトナー画像の形成中に転写ロール6やクリーナー7の当接等による負荷変動があり、K色のトナー画像の後端で予想レジずれ値「Rk」の分だけずれが生じていても、K色のトナー画像と他色のトナー画像との間の位置ずれの絶対量が「ΔR」となる。そして、この状態で中間転写体ベルト1a上で合成されたY,M,C,Kの4色のトナー画像は、その状態のまま記録用紙上へ転写(2次転写)されることとなる。
【0042】
以上のように、本実施の形態における複写機では、認識手段21による認識結果に基づいて修正指示手段22が中間転写体ベルト1aの回転速度の増減を指示するようになっているので、中間転写体ベルト1a上にY,M,C,Kの4色のトナー画像を形成するのにあたって、この中間転写体ベルト1aに対する負荷変動があっても、その負荷変動によって発生し得る各色のトナー画像の間の位置ずれの絶対量が小さくなるように修正されることとなる。これにより、この複写機では、負荷変動による各色のトナー画像の間の位置ずれを従来よりも小さくすることができ、中間転写体ベルト1a上のトナー画像を記録用紙上へ2次転写しても、その出力画像における色ずれや濃度ムラを従来よりも抑えることができる。
【0043】
また、この複写機では、負荷変動による各色のトナー画像の間の位置ずれを従来から複写機が有しているポリゴン同期機能を利用して小さくするようになっている。すなわち、コントロール部20における処理制御を従来と変更するのみで、エンコーダ等の検出手段やその演算結果に対する演算を行う手段等を新たに設けることなく、負荷変動による各色のトナー画像の間の位置ずれを修正することができるようになる。したがって、この複写機では、負荷変動による位置ずれを修正するために、装置構成の複雑化を招いてしまうことがなく、装置の小型化やコスト低減化の妨げとなってしまうおそれもない。
【0044】
つまり、この複写機では、ポリゴン同期機能を利用することにより、新たな検出手段等を設けることなく、中間転写体ベルト1aに対する負荷変動によって発生し得る各色トナー画像の間の位置ずれを低減することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、ポリゴン同期機能が中間転写体ベルト1aの回転速度を増減させるものであり、その中間転写体ベルト1aの回転速度の増減により各色トナー画像の間の位置ずれを修正する場合について説明したが、ポリゴン同期機能がポリゴンミラーの回転速度を増減させるものであれば、ポリゴンミラーの回転速度の増減により各色トナー画像の間の位置ずれを修正するものであってもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、トナー画像担持体として中間転写体ベルト1aを備えた複写機に本発明を適用した場合について説明したが、例えばトナー画像担持体として感光体ベルト1bを備えたもの(図7参照)であっても同様に、本発明を適用することが可能である。
【0047】
さらに、本実施の形態では、中間転写体ベルト1aに対する負荷変動がKサイクルにおいてのみ発生し、K色のトナー画像の形成位置を修正する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
例えば、複数枚の記録用紙に対する画像出力を連続して行う場合について考える。この場合には、K(4色目)サイクルの次の周において新たなトナー画像のY(1色目)サイクルが開始される。つまり、転写ロール6の当接やクリーナー7の当接等が完了しないうちに、新たなYサイクルが開始されることとなる。したがって、新たなYサイクルにおいても負荷変動が発生し、このYサイクルで形成するY色のトナー画像に図4(b)に示すような位置ずれ「Ry」が生じてしまう。そこで、この位置ずれ「Ry」についても、上述した「Rk」の場合と同様に修正を行うことにより、図4(a)に示すように、位置ずれの絶対量を小さくすることができる。つまり、本発明は、画像を連続出力する場合における2枚目以降の1色目に対しても適用でき、連続出力時であっても色ずれの低減を実現することができる。
【0049】
また、そのときの補正値「ΔR」は、K色のトナー画像に対するものであっても、あるいはY色のトナー画像に対するものであっても、ΔR=R/2に限られるものではない。トナー画像が中間転写体ベルト1aの略全面に渡って形成される場合にはΔR=R/2とするのが最も効果的であるが、実際にはトナー画像長は様々である。例えば図5(b)に示すように、トナー画像長(A4対応)が中間転写体ベルト1aの周長(A3対応)よりも短い場合には、ΔR=R/2とすると実際に記録用紙上で起こる色ずれ量はR×Lp/Lb(Lp;用紙長、Lb;周長)となり、却って位置ずれの絶対量が大きくなってしまう。そこで、このような場合には、トナー画像を出力する記録用紙の用紙長に応じΔR=R×(Lp/Lb)/2(周長「Lb」は固定値)として、修正指示手段22が「ΔR」を求めるようにすればよい。これにより、トナー画像長が中間転写体ベルト1aの周長よりも短い場合であっても、図5(a)に示すように、記録用紙上における色ずれの低減を実現することができる。
【0050】
また、色ずれを低減するためのトナー画像の形成位置の修正は、負荷変動がある場合のトナー画像に対してではなく、負荷変動がない場合のトナー画像に対して行うようにしてもよい。例えば、Kサイクルにおいてのみ中間転写体ベルト1aに対する負荷変動が発生している場合であれば、K色のトナー画像ではなくY,M,C色のトナー画像の形成位置を修正するようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、トナー画像の形成位置を修正するために必要な中間転写体ベルト1aの回転周期を、装置起動時等に行われるダミーサイクルの実行により検出する場合を例に挙げて説明したが、例えば装置製造過程における調整工程等の装置出荷前に予めその補正量を測定し、その結果をメモリ内等に設定しておくようにしても、同様の効果が得られ、さらには装置起動時等における処理迅速化も実現できるようになる。
【0052】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の画像形成装置は、トナー画像担持体上に複数色のトナー画像を重ね合わせるのにあたって、そのトナー画像担持体に対する負荷変動があっても、その負荷変動によって発生し得る各色トナー画像の間の位置ずれの絶対量が小さくなるように、トナー画像担持体の回転速度または潜像の書き込み速度を増減させるようになっている。よって、この画像形成装置では、負荷変動による各色トナー画像の間の位置ずれを従来よりも小さくすることができ、出力画像における色ずれや濃度ムラも従来よりも抑えることができる。また、そのために、エンコーダ等の検出手段といった新たな構成を設ける必要がないので、装置構成の複雑化を招くことがなく、装置の小型化やコスト低減化の妨げとなってしまうおそれもない。
つまり、この画像形成装置では、従来より存在するポリゴン同期機能を利用することにより、新たな検出手段等を設けることなく、トナー画像担持体に対する負荷変動によって発生し得る各色トナー画像の間の位置ずれを低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる画像形成装置の実施の形態の一例の機能構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の画像形成装置における画像形成処理の動作例、特にコントロール部における制御処理例を示すフローチャートである。
【図3】 図1の画像形成装置においてK色のトナー画像の形成位置を修正した場合における各色のトナー画像の間の形成位置のずれ量を示す説明図である。
【図4】 図1の画像形成装置においてY色およびK色のトナー画像の形成位置を修正した場合における各色のトナー画像の間の形成位置のずれ量を示す説明図であり、(a)は修正後のずれ量を示す図、(b)は修正前のずれ量を示す図である。
【図5】 図1の画像形成装置において画像長がびK色のトナー画像の形成位置を修正した場合における各色のトナー画像の間の形成位置のずれ量を示す説明図であり、(a)は修正後のずれ量を示す図、(b)は修正前のずれ量を示す図である。
【図6】 ベルト状のトナー画像担持体を用いた画像形成装置の一例の概略構成を示す断面図である。
【図7】 ベルト状のトナー画像担持体を用いた画像形成装置の他の例の概略構成を示す断面図である。
【図8】 従来の画像形成装置の一例においてポリゴン同期機能を実現するための機能構成を示すブロック図である。
【図9】 従来の画像形成装置におけるトナー画像担持体とポリゴンミラーの動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図10】 ポリゴン同期機能による画像先端位置の補正のタイミングを示す説明図である。
【図11】 トナー画像担持体に対する負荷変動の説明図であり、(a)は負荷の増加により回転速度が変化する状態を示す図、(b)は回転速度の差により画像形成位置がずれていく様子を示す図である。
【図12】 トナー画像担持体に対する負荷変動により発生するトナー画像の後端位置における位置ずれの例を示す説明図である。
【図13】 負荷変動に伴うトナー画像担持体の平均速度の変化とスリップとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1a…中間転写体ベルト、2…潜像書き込み部、18…ベルト基準位置検出手段、19…露光ビーム走査開始タイミング検出手段、20…コントロール部、21…認識手段、22…修正指示手段
Claims (7)
- 回転駆動され、複数色のトナー画像が重ね合わされるベルト状のトナー画像担持体と、
前記トナー画像担持体へ前記複数色間で異なる状態で当接し、前記トナー画像の形成のために必要な処理を行うとともに、前記トナー画像担持体へ負荷を与え該トナー画像担持体の回転速度を変動させてしまう負荷手段と、
各色のトナー画像形成が行われている最中に前記トナー画像担持体の回転速度が変動することにより発生する前記複数色間の色ずれを、前記複数色のトナー画像の該トナー画像担持体上での形成開始位置を前記複数色間でずらすことにより調整する調整手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記調整手段は、前記トナー画像担持体の回転速度を増減させる回転速度増減手段である
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記トナー画像担持体の1回転毎に該トナー画像担持体上へのトナー画像の形成のための潜像の書き込みを行う露光手段とを備え、
前記調整手段は、前記露光手段の書き込み速度の増減を行う書き込み速度増減手段である
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 回転駆動されるベルト状のトナー画像担持体と、
前記トナー画像担持体の1回転毎に該トナー画像担持体上へのトナー画像の形成のために潜像の書き込みを行う露光手段と、
前記トナー画像担持体の回転周期および前記露光手段による潜像の書き込みタイミングを決定するポリゴンミラーの回転周期を検出するとともに、これらの間の位相差を演算する演算手段と、
前記演算手段による演算結果を基に、前記トナー画像担持体の回転速度を増減させ前記位相差を補正する補正手段とを備え、
前記補正手段での補正により前記トナー画像担持体上にて複数色のトナー画像が重なり合うように該トナー画像の前記トナー画像担持体上での形成開始位置を調整する画像形成装置において、
前記複数色のトナー画像の重ね合わせに必要となる前記トナー画像担持体の複数回転のうちで該トナー画像担持体に対する負荷変動がある場合と該負荷変動がない場合とにおける回転周期の差を認識する認識手段と、
前記認識手段による認識結果に基づいて前記負荷変動がある場合における補正値を求めて、該補正値を加味して前記回転速度の増減を行うように前記補正手段に指示を与え、前記複数色のトナー画像の該トナー画像担持体上での形成開始位置を前記複数色間でずらすために前記負荷変動がある場合の前記トナー画像担持体上でのトナー画像の形成開始位置を前記負荷変動がない場合に比べて前記補正値の量だけずれた状態となるように修正する修正指示手段と
が設けられたことを特徴とする画像形成装置。 - 回転駆動されるベルト状のトナー画像担持体と、
前記トナー画像担持体の1回転毎に該トナー画像担持体上へのトナー画像の形成のために潜像の書き込みを行う露光手段と、
前記トナー画像担持体の回転周期および前記露光手段による潜像の書き込みタイミングを決定するポリゴンミラーの回転周期を検出するとともに、これらの間の位相差を演算する演算手段と、
前記演算する演算手段を基に、前記露光手段による潜像の書き込み速度を増減させ前記位相差を補正する補正手段とを備え、
前記補正手段での補正により前記トナー画像担持体上にて複数色のトナー画像が重なり合うように該トナー画像の前記トナー画像担持体上での形成開始位置を調整する画像形成装置において、
前記複数色のトナー画像の重ね合わせに必要となる前記トナー画像担持体の複数回転のうちで該トナー画像担持体に対する負荷変動がある場合と該負荷変動がない場合とにおける回転周期の差を認識する認識手段と、
前記認識手段による認識結果に基づいて前記負荷変動がある場合における補正値を求めて、該補正値を加味して前記書き込み速度の増減を行うように前記補正手段に指示を与え、前記複数色のトナー画像の該トナー画像担持体上での形成開始位置を前記複数色間でずらすために前記負荷変動がある場合の前記トナー画像担持体上でのトナー画像の形成開始位置を前記負荷変動がない場合に比べて前記補正値の量だけずれた状態となるように修正する修正指示手段と
が設けられたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記修正手段は、前記認識手段での認識結果から定まる予想ずれ量の1/2を前記補正値とする
ことを特徴とする請求項4または5記載の画像形成装置。 - 前記トナー画像担時体に形成するトナー画像長を認識するトナー画像長認識手段を更に備え、
前記修正手段は、前記認識手段での認識結果から定まる予想ずれ量と前記トナー画像長認識手段で認識されるトナー画像長との両方に基づいて前記補正値を求める
ことを特徴とする請求項4または5記載の画像形成装置。
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