JP3780051B2 - カメラの自動焦点調節装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラの自動焦点調節装置、詳しくは、移動している被写体に対して撮影レンズを合焦させる動体予測機能を有するカメラの自動焦点調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被写体の撮影レンズの光軸方向の移動を検出し、所定時間後の被写体の像面位置を予測し、予測した像面位置まで撮影レンズを駆動することによって移動被写体にも合焦するようにした、いわゆる、動体予測機能を持つカメラの自動焦点調節装置が特公平8−27425号公報等をはじめとして数多く提案されている。
【0003】
ところで、この動体予測機能は、被写界深度が深くなるようにプログラム線図がシフトする風景モードや、長時間露光するようにプログラム線図がシフトする夜景モードや、被写界深度が浅くなるようにプログラム線図がシフトする人物撮影モードでは、一般的に静止被写体を撮影するので動体予測を行っても効果を得ることは少ない。さらに、測距ばらつきやノイズによって予測精度に誤差を生じる場合を避けるために、従来これらのモードでは動体予測を禁止しているカメラが多々知られている。
【0004】
また、記念写真や集合写真の撮影においてはセルフタイマー撮影が使用されることが多いが、特開平5−203861号公報には、セルフタイマー撮影モード時に動体予測を禁止する技術手段が開示されている。
【0005】
さらに、同公報には、被写体距離が所定値より遠いときに動体予測を禁止する技術手段も開示されている。これは、遠い被写体は被写界深度が深いので動体予測無しでも合焦する可能性が高いことに起因するものである。
【0006】
また、手振れ防止モードを有するカメラの技術も数多く提案されている。すなわち、手振れによる画像劣化を防止するために、振動ジャイロで手振れを検出し、検出した手振れを相殺するように撮影レンズの一部を光軸と直交する方向に移動する技術が良く知られているが、より簡易的な手振れ防止技術として、レリーズボタンを押圧するときの手の動きやミラーアップの衝撃のためにレリーズボタン押圧後の手振れが大きいことに着目し、単にレリーズボタン押圧後に一定時間シャッタ遅延をする技術や、特開平3−92830号公報に開示されているように、振動ジャイロで手振れを検出して検出した手振れが小さくなるタイミングまでシャッタを遅延させる技術が知られている。
【0007】
このような動体予測技術とシャッタを遅延させる手振れ防止技術を組み合わせた従来技術として、特開平6−289283号公報ではミラーアップ動作後にシャッタ動作を予め設定した時間だけ遅延する手振れ防止モードが設定された場合には、この遅延時間中の被写体の移動を考慮して動体予測する技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平5−203861号公報に開示されているセルフタイマー撮影モードで動体予測を禁止する技術、ならびに風景撮影モード、夜景撮影モード、人物撮影モードが設定されている場合に動体予測を禁止するカメラにおいては、動体予測が強制的に禁止されたにもかかわらずその旨を表示しない場合には、たまたまこれらのモードにおいて移動被写体を撮影しようとした場合に撮影者が認識しないという問題点がある。
【0009】
また、セルフタイマーと同様に記念写真や集合写真に使用されるものにリモートコントロールを使用した撮影技術が知られている。そして、このリモートコントロール撮影においても動体予測の禁止は望ましい限りだが、しかしながら、上記特開平5−203861号公報においては、セルフタイマー撮影モードで動体予測を禁止する技術は開示されているものの、セルフタイマーと同様のケースで起こり得る上記リモートコントロールを使用した撮影における動体予測禁止に関しては何等開示はなく、またこれを示唆する記述も見あたらない。
【0010】
また、同公報には、上述したように被写体が遠い場合にのみ動体予測を禁止する技術が開示されている。しかしながら動体予測の禁止はこのように被写体が遠い場合のみならず、近い場合であっても実施することが望ましい場合がある。すなわち、いわゆるマクロモード等の近接撮影モードや、被写体が比較的近い場合、たとえば3m程度の撮影の場合、高速で移動する被写体を撮影する機会はあまりありえないため、動体予測は禁止することが望ましい。たとえ、近距離撮影で高速移動被写体の撮影機会が生じたとしても、合焦することは困難であるので、やはり動体予測は禁止することが望ましい。
【0011】
また、特開平6−289283号公報に開示の手振れ防止モードで動体予測を行う従来技術においては、動体予測の効果が著しく低くなるという問題点がある。なぜならば、ミラーアップの衝撃による画像劣化よりもレリーズボタン押圧に起因する手振れによる画像劣化のほうが大きいために、手振れの周波数が10Hz前後であることを考慮すると、手振れ防止の効果を得るためには数十msから百数十msの遅延時間が必要であり、このような長い時間余計に動体予測するために動体予測効果が低下することになるからである。また、露光が遅延する手振れ防止モードで移動する被写体を撮影することは、シャッタチャンスを逃がすことになるので好ましくなく、手振れ防止モードでは動体予測を禁止したほうがよい。
【0012】
また、ズームレンズで移動する被写体を撮影する場合には、長焦点側を使用することが多い。一方、短焦点側はもともと被写界深度が深いために動体予測をしなくても合焦するため誤動作を防ぐ意味からも短焦点側では動体予測を禁止する方が望ましい。
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、状況に応じて動体予測の可否が自動的に設定でき、適切な写真撮影が可能なカメラの自動焦点調節装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明のカメラの自動焦点調節装置は、撮影レンズによって形成された被写体像の焦点状態に応じて複数の焦点検出信号を時系列的に出力する焦点検出手段と、上記複数の焦点検出信号に基づいて予測演算を行い、上記撮影レンズの光軸方向に移動している被写体に合焦するように焦点調節を行う動体予測手段と、被写体距離が所定の距離よりも近いか否かを判定する被写体距離判定手段と、この被写体距離判定手段によって被写体距離が所定の距離よりも近いと判定された場合には、上記動体予測手段による予測動作を禁止する禁止手段と、を具備する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
まず、本発明の実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラシステムについて説明する。図2は、当該自動焦点調節装置が適用されたカメラシステムにおいて、ズームレンズ機構を内蔵するカメラシステムの光学系を示した要部側面図である。
【0028】
同図に於いて、被写体光線は、5つのレンズ群と撮影絞りから成る撮影レンズ101を通り、メインミラー102に入る。撮影レンズ101は第1群、第2群でフォーカシング作用を行ない、第3群、第4群がズーム作用を行う第5群は固定である。ズーミング時は第3群、第4群を動かすと同時に、第1群、第2群をカム構造で駆動しズーミング時のピントずれを防いでいる。
【0029】
上記メインミラー102はハーフミラーになっており、入射光量の2/3がファインダ光学系103に反射される。入射光量の残りの1/3は、メインミラーを透過しサブミラー104で反射されて、AF光学系105へ導かれる。AF光学系105は、視野絞り106、赤外カットフィルタ107、コンデンサレンズ108、ミラー109、再結像絞り110、再結像レンズ111、AFIC112から成る。
【0030】
視野絞り106は、撮影画面中からAF検出する視野を決定し、再結像レンズ111によって分割される2つの光像が干渉しないようにするものである。赤外カットフィルタ107は、AF検出に不要な赤外光をカットし、赤外光による収差ずれを防ぐ。コンデンサレンズ108は、撮影レンズ101による被写体光像の結像面、すなわちフィルム等価面の近傍に設置されるもので、再結像レンズ111と共にフィルム等価面近傍に結像した被写体光像をAFIC112に再結像させる。また、再結像絞り110は、光軸に対称で且つ対をなしいるもので、コンデンサレンズ108を通過した被写体光線の中から2つの光束を選択して通過させる。再結像絞りを通過した2つの光束は、AFIC112上の2つの光電変換素子列に再結像される。
【0031】
上記ファインダ光学系103は、フォーカシングスクリーン113、コンデンサレンズ114、プリズム115、モールドダハミラー116、接眼レンズ117で構成されている。上記撮影レンズ101を通過した被写体光像は、フォーカシングスクリーン113に結像される。そして、結像された像は、コンデンサレンズ114、接眼レンズ117を通して撮影者により観察されることができる。
【0032】
メインミラー102とサブミラー104は、フィルム露光時には図中の点線の位置(図示矢印G6方向)を退避する。そして撮影レンズ101を通過した被写体光は、シャッタ118の先幕が開く時から後幕が閉じる時までの間に、フィルム119に露光される。
【0033】
図3は、本実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラシステムのブロック構成図である。
【0034】
本実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラシステムには、CPU201、インターフェースIC202、電源ユニット203、ストロボユニット204、ミラーシャッタユニット205、巻き上げユニット206、レンズユニット207、ファインダユニット208、表示ユニット209、AFユニット210の各ユニット等で構成される。
【0035】
CPU201は、カメラシステム全ての制御を行うもので、シリアル通信ライン211を介して、インターフェースIC202、LCDIC235、AFIC240、EEPROM237とデータの送受信を行う。また、CPU201とインターフェースIC202との間には別の通信ラインがあり、各種アナログ信号の入力、PIの波形整形後の信号入力等を行う。アナログ信号は、CPU201のA/D変換入力端子に入力されてデジタル変換される。更に、CPU201は、各種の演算部やデータの記憶部、時間の計測部を有している。
【0036】
インターフェースIC202はデジタル・アナログ回路混在のBi−CMOSICであって、モータ、マグネットの駆動、測光、バッテリチェック、バックライトLED、補助光LEDの点灯回路、フォトインタラプタの波形整形回路等のアナログ処理部と、スイッチ(SW)の入力シリアル通信データ変換等のデジタル処理部で構成されている。
【0037】
電源ユニット203は、2系統の電源を供給する。1つはモータやマグネット等のパワーを必要とするドライバに使われる電源では、常時、電池212の電圧が供給される。他の1つはDC/DCコンバータ213によって安定化された小信号用の電源であり、CPU201よりインターフェース202を通して制御される。
【0038】
ストロボユニット204は、ストロボ充電回路214、メインコンデンサ215、ストロボ発光回路216、ストロボ発光管217等から成る。低輝度または逆光状態でストロボの発光が必要な時は、CPU201の制御信号によりインターフェースIC202を介して、ストロボ充電回路214が電池電圧を昇圧してメインコンデンサ215に充電を行う。同時に、ストロボ充電回路214から分圧された充電電圧が、CPU201のA/D変換入力端子に入力される。これにより、CPU201は充電電圧の制御を行う。充電電圧が所定レベルに達したならば、CPU201からインターフェースIC202を介してストロボ充電回路214に充電停止信号が通信されて、メインコンデンサ215の充電が停止する。CPU201はフィルム露光時に、所定のタイミングでストロボ発光回路216を介してストロボ発光管217の発光開始、発光停止の制御を行う。
【0039】
ミラーシャッタユニット205は、ミラーシャッタモータ218と、先幕、後幕の走行を制御する2つのシャッタマグネット219と、シーケンススイッチ群244に含まれる先幕走行完了スイッチ等で構成される。ミラーシャッタモータ218は、CPU201よりインターフェースIC202、モータドライバ241を介して制御され、その正回転によりメインミラー102のアップダウン、撮影絞りの絞り込みと、開放シャッタのチャージ(先幕を閉じて後幕を開ける)を行う。
【0040】
シャッタマグネット219は、インターフェースIC202を介してCPU201により制御される。露光開始時には、先ず開始直前にミラーシャッタモータ218により、メインミラーの退避と、撮影絞りの絞り込みが行われる。次に、シャッタマグネット219に通電を行い、マグネットを吸着する露光開始と同時に、先幕のシャッタマグネット219の吸着が解除されることにより、先幕が開かれる。先幕先行完了スイッチ244の入力から、所望の露光時間経過後に後幕のシャッタマグネット219の吸着が解除されることにより、後幕が閉じられる。こうして、先幕の開と後幕の閉の間に、フィルムに露光される。次にシャッタモータ218の正転によりミラーがダウンし、撮影絞りが開放状態になる。同時に、シャッタのチャージを行う。
【0041】
尚、シャッタモータ218は、逆転することによりフィルムの巻き戻しを行うものである。
【0042】
上記巻き上げユニット206は、巻き上げモータ220とフィルム検出フォトインタラプタ221等で構成される。巻き上げモータ220は、インターフェースIC202、モータドライバ241を介して、CPU201で制御される。フィルム検出PI221の出力は、インターフェースIC201で波形整形され、CPU201に伝達されて、巻き上げ量フィードバックパルスを生成する。CPU201は、パルス数をカウントすることによって1駒分の巻き上げ量を制御する。
【0043】
レンズユニット207は、撮影レンズ222、ズームモータ223、ズームギア列224、AFモータ225、AFギア列226、AFPI227、ズームエンコーダ228、絞りPI229、絞りマグネット230等で構成される。ズームモータ223、AFモータ225は、インターフェース202、モータドライバ241を介して、CPU201により制御される。ズームモータ223の回転はズームギア列224により減速され、これにより撮影レンズ222のズーム系が駆動される。また、ズームエンコーダ228は、撮影レンズ222を支持する鏡枠の周囲に設置された6本のスイッチから成るエンコーダであり、6本のスイッチりON、OFFデータがCPU201に入力され、ズームレンズの絶対位置が検出されるようになっている。
【0044】
CPU201は、ズームレンズの絶対位置から焦点距離を求めて、焦点距離記憶部247に記憶する。AFモータ225の回転はAFギア列226により減速され、これにより撮影レンズ222のフォーカス系レンズが駆動される。一方、AFギア列226の中間から、AFフォトインタラプタ227の出力が取り出される。AFPI227の出力は、インターフェースIC201で波形整形されてCPU201に伝達され、AFレンズ駆動量フィードバックパルスを生成する。CPU201は、パルス数をカウントすることによってAFレンズの駆動量を制御する。上記AFレンズのメカストッパ、または無限基準位置からの駆出し量は、AFPI227のパルス量とし、CPU201内のレンズ駆出し量記憶部246に記憶される。
【0045】
絞りマグネット230は、インターフェースIC202を介してCPU201で制御される。ミラーアップスタートと同時に、電流が通電されるマグネットが吸着される。撮影絞りは、上述したミラーシャッタユニット205のミラーシャッタモータ218のミラーアップ動作と同時に、ばねにより機械的に絞り込みが開始される。そして、所望の絞り値に達した時に絞りマグネット230の吸着が解除されて、絞り込み動作が停止されることにより設定されるものである。絞りPI229の出力は、インターフェースIC202で波形整形され、CPU201に伝達されて絞り込み量フィードバックパルスを生成する。CPU201は、パルス数をカウントすることによって撮影絞りの絞り込み量を制御する。
【0046】
ファインダユニット208は、ファインダ内LCDパネル231と、バックライトLED232と、測光用8分割フォトダイオード素子233等から成っている。ファインダ内LCDパネル231は等過形液晶で構成され、CPU201からLCDIC235に送られる表示内容に従い、LCDIC235によって表示制御される。バックライトLED232は、CPU201によってインターフェースIC202を介して点灯制御され、ファインダ内LCDパネル231を照明する。
【0047】
上記測光用素子233は、インターフェースIC202を介してCPU201で制御される。測光用素子233で発生した光電流は、8素子毎にインターフェースIC202に送られ、その内部で電流/電圧変換される。そして、CPU201で指定された素子の出力のみが、インターフェースIC202からCPU201のA/D入力変換端子に送られ、デジタル変換されて測光演算に用いられる。
【0048】
表示ユニット209は、外部LCDパネル234、LCDIC235、キースイッチ(SW)群(1)236等から成る。LCDパネル234は反射型液晶であり、CPU201からLCDIC235に送出される表示内容に従い、LCDIC235によって表示制御される。キースイッチ群(1)236は、主にカメラのモードを設定するためのもので、AFモード選択スイッチ、カメラ露出モード選択スイッチ、ストロボモード選択スイッチ、AF/PF切換スイッチ、マクロモードスイッチ等のスイッチが含まれる。これらの各スイッチの状態は、LCDIC235を介してCPU201に読込まれ、これによりそれぞれのモードが設定される。
【0049】
AFユニット210は、EEPROM237、コンデンサレンズ238、セパレタレンズ239、AFIC240等で構成される。
【0050】
被写体光像の一部は、コンデンサレンズ238、再結像レンズ239によって2像に分割され、AFIC240上の2つの光電変換素子列に受光される。AFIC240は、各素子毎に光強度に応じたアナログ出力を発生するもので、これがCPU201のA/D変換入力端子に送出されてデジタル信号に変換されCPU201内の素子出力記憶部245に記憶される。
【0051】
CPU201は、記憶された素子出力に基づいて、分割された2像の像間隔、或いは所定時間後の各像の移動量を、内部の相関演算回路248で計算する。更に、CPU201はAFIC240の光電変換動作を制御する。EEPROM237には、後述する光電変換素子出力の不均一補正データや、合焦時の2像間隔等の様々な調整データが、例えば工場出荷時に書込まれカメラ動作中は、フィルム駒数等の電源OFF状態になっても記憶しておく必要のあるデータが書込まれるようになっている。
【0052】
モータドライバ241は、上述したミラーシャッタモータ218、巻き上げモータ220、ズームモータ223、AFモータ225等の大電流を制御するためのドライバである。
【0053】
補助光LED242は、低輝度時に被写体を照明するためのLEDである。この補助光LED242は、AFIC240が所定時間内に光電変換が終了せず、2像の像間隔が検出できない時に点灯して、照明光による被写体像をAFIC240が光電変換できるようにするためのものである。
【0054】
キースイッチ(SW)群(2)243は、カメラの動作を制御するスイッチ群である。これには、レリーズスイッチの第1ストローク信号(1R)、第2ストローク信号(2R)、ズームレンズを長焦点側に駆動するスイッチ、短焦点側に駆動するスイッチ、スポット測光値を記憶するためのスイッチ等が含まれる。これらのスイッチの状態は、インターフェースIC202を介してCPU201に読込まれ、カメラ動作の制御が行われる。
【0055】
シーケンススイッチ(SW)群244は、カメラの状態を検出するものである。これにはミラーの上昇位置を検出するスイッチ、シャッタチャージ完了を検出するスイッチ、シャッタ先幕走行完了を検出するスイッチ、電源スイッチ、ストロボポップアップ状態を検出するスイッチ等が含まれる。
【0056】
また、ブザー245は、AF合焦時、非合焦時、電源投入時、手振れ警告時等に発音表示する。
【0057】
次にAF光学系について説明する。
【0058】
上記AF光学系105は、図4に示されるように、撮影レンズ121の結像面122の近傍に位置するコンデンサレンズ123と、一対の再結像レンズ124L及び124Rによって構成される。撮影レンズ121の合焦時に、上記結像面122上に被写体像125が結像される。この被写体像125は、上記コンデンサレンズ123と、上記一対の再結像レンズ124L及び124Rにより、光軸126に対して垂直な2次結像面127(光電変換素子列)上に再形成されて、第1の被写体像128L、第2の被写体像128Rとなる。
【0059】
撮影レンズ121が前ピン、すなわち、上記結像面122の前方に被写体像129が形成される場合、その被写体像129は、互いに光軸126に近付いた形で、光軸126に対して垂直に再結像されて第1の被写体像130L、第2の被写体像130Rとなる。また、撮影レンズ121が後ピン、すなわち、上記結像面122の後方に被写体像131が形成される場合、その被写体像131は、互いに光軸126から離れた位置に光軸126に対して垂直に再結像されて、第1の被写体像132L、第2の被写体像132Rとなる。これら第1の被写体像と第2の被写体像は同一方向を向いており、両像に於いて互いに対応する部分の間隔を検出することにより、撮影レンズ121の合焦状態を先ピン、後ピン等を含めて検出することができる。
【0060】
次に、2つの被写体像信号の相関演算について説明する。
【0061】
本実施形態の装置に於いては、2種類の相関演算を行う。1つは従来の合焦検出装置と同様に、検出光学系により分割された第1の被写体像と第2の被写体像の間で相関演算を行い、2つの像のずれ量からデフォーカス量を求めるものである。もう1つは、時刻t0 での被写体像と時刻t1 での被写体像の間で相関演算を行い、被写体像の移動量を求めるものである。
【0062】
最初に第1の被写体像と第2の被写体像の間の相関演算について説明する。
【0063】
便宜上、第1の被写体像を像L、第1の被写体像信号をL(I)とし、第2の被写体像を像R、第2の被写体像信号をR(I)とする。Iは素子番号で、同実施形態では左から順に1,2,3,…,64である。すなわち、各素子列は各64個の素子を有している。
【0064】
図5のフローチャートを参照して説明する。先ず、変数SL、SR、Jに、初期値として5、37、8がセットされる(ステップA1、ステップA2)。SLは被写体像信号L(I)のうちから相関検出する小ブロック素子列の先頭番号を記憶する変数であり、同様にSRは被写体像信号R(I)のうちから相関検出する小ブロック素子列の先頭番号を記憶する変数、Jは被写体像信号L(I)での小ブロックの移動回数をカウンタする変数である。次いで、次式により相関出力F(s)を計算する(ステップA3)。
【0065】
【数1】
Figure 0003780051
この場合小ブロックの素子数は27である。小ブロックの素子数はファインダに表示された測距枠の大きさと検出光学系の倍率によって定まる。
【0066】
次に、相関出力F(s)の最小値を検出する(ステップA4)。すなわち、F(s)をFMIN と比較し、若しF(s)がFMIN より小さければFMIN にF(s)を代入し、そのときのSL、SRをSLM、SRMに記憶して(ステップA5)、ステップA6に進む。上記ステップA4でF(s)がFMIN より大きければ、そのままステップA6に進む。
【0067】
このステップA6では、SRから1を減算し、Jから1を減算する。そして、Jが0でなければ(ステップA7)、式(1)の相関式を繰返す。すなわち、像Lでの小ブロック位置を固定し、像Rでの小ブロック位置を1素子ずつずらせながら相関をとる。Jが0になると、次にSLに4を加算し、SRに3を加算して相関を続ける(ステップA8)。すなわち、像Lでの小ブロック位置を4素子ずつずらせながら相関を繰返す。SLの値が29になると相関演算を終える(ステップA9)。
【0068】
以上により、効率的に相関演算を行い相関出力の最小値を検出することができる。この相関出力の最小値を示す小ブロックの位置が、最も相関正の高い像信号の位置関係を示している。
【0069】
次に検出した最も相関性の高いブロックの像信号について、相関性の判定を行なう。先ず、ステップA10にて、次式で示されるように、FM 及びFP の値を計算する。
【0070】
【数2】
Figure 0003780051
【数3】
Figure 0003780051
すなわち、被写体像Rについて、最小の相関出力を示すブロック位置に対して、±1素子だけずらせた時の相関出力を計算する。この時、FM 、FMIN 、FP は図6のような関係になる。ここで検出した像間隔が、相関性の高いものであれば同図(a)に示されるように、相関出力F(S)は点S0 に於いて0になる。一方、相関性の低いものであれば同図(b)に示されるように、0にはならない。
【0071】
ここで、次式のような相関性指数Sk を求める(ステップA11)。
【0072】
【数4】
Figure 0003780051
【数5】
Figure 0003780051
相関性指数Sk は、同図よりわかるように、相関性の高い場合はSk =1となり、相関性の低い場合はSk >1となる。したがって、相関性指数Sk の値により、検出する像ずれ量が信頼性のあるものであるか否かが判定できる(ステップA12)。実際には、光学系のばらつきや、光電変換素子のノイズ、変換誤差等により、像L 、像R 被写体像の不一致成分が生じるため、相関性指数Sk は1にはならない。故に、Sk ≦αの時は相関性あり判断して像ずれ量を求める(ステップA13及びA15)。Sk >αの時は、相関性がないと判断してAF検出不能と判断する(ステップA14)。
【0073】
尚、判定値αの値は約2〜3である。
【0074】
また、補助光点灯時は、補助光の色、収差等の影響で相関性が悪くなるので、判定値を大きくしてAF検出不能になりにくいようにする。相関性がある場合は図6の関係より、次式の如く、像して像Rとの2像間隔S0 を求める。
【0075】
【数6】
Figure 0003780051
【数7】
Figure 0003780051
合焦からの像ずれ量ΔZdは、次式のようにして求められる。
【0076】
【数8】
Figure 0003780051
ここで、ΔZ0 は合焦時の像ずれ量であり、製品個々に測定され記憶装置に記憶される。なお、時刻t0 での1回目のS0 をΔZ1 、時刻t2 での2回目のS0 をΔZ2 、時刻t2 での未来の予測されるS0 をΔZ´と記すことにする。
【0077】
また、像ずれ量ΔZd より光軸上のデフォーカス量ΔDは、次式で求めることができる。
【0078】
【数9】
Figure 0003780051
なお、光軸上のデフォーカス量ΔDよりレンズ駆動量を求める方法は、従来より数多く提案されているので、ここでは詳細な説明は行われない。例えば特開昭64−54409号公報に開示された方法では、次式にように求めることができる。
【0079】
【数10】
Figure 0003780051
さらに、後述する被写体の移動を考慮しなければ、撮影レンズΔLだけ駆動することによって合焦状態にすることができる。
【0080】
なお、本実施形態は、被写体像の移動を特開平5−93850号に開示され方法で求める。ここで、被写体像の移動を求めるための相関演算について述べる。
【0081】
時刻t0 での被写体像L´(I)、R´(I)と、上述した2像間の相関演算により求められた相関ブロック位置SLM´、SRM´、相関性係数Sk´、像ずれΔZは、一旦CPU内の記憶領域に記憶される。次いで、時刻t1で被写体像信号L(I)、R(I)を検出する。
【0082】
先ず、像Lの信号について、時刻t0 での被写体像信号L´(I)と時刻t1 での被写体像信号L(I)について相関演算を行う。
【0083】
相関をとる様子を、図7及び図8を参照して説明する。像Lの移動量演算方法についてのみ説明する。
【0084】
まず、変数SLにSLM´−10が代入される(ステップB1)。変数Jは相関範囲をカウントする変数であり、ここでは初期値20が代入される(ステップB2)。そして、ステップB3にて、次式の相関式により相関出力F(s)を計算する。
【0085】
【数11】
Figure 0003780051
次いで、上述した相関演算と同様にF(s)とFMIN を比較し(ステップB4)、F(s)より小さければFMINにF(s)を代入し、その時のSLをSLMに記憶する(ステップB5)。この場合、相関をとるブロックの素子数は、上述した像ずれ量を求める時のブロック素子数と同じ27である。次にSLに1を加算しJから1を減算する(ステップB6)。Jが負数になるまで相関式F(s)を繰り返す(ステップB7)。この場合、±10素子まで変化させて相関をとったが、この相関範囲は検出したい移動量範囲により決定される。
【0086】
したがって、焦点距離の短い時、すなわち被写体輝度の明るい時などは被写体像移動量が小さいと予想されるので相関範囲を小さくする。相関範囲を小さくすることによって演算時間を短くすることができる。逆に、被写体像の移動量が大きいと予想される場合は相関範囲を大きくする。
【0087】
次に相関性の判定を行う。上述した時刻t0 像間隔を求めたときと同様に次式の如く求める。(ステップB8)。
【0088】
【数12】
Figure 0003780051
【数13】
Figure 0003780051
また、相関性係数Sk は上記式(4)及び式(5)により求められる(ステップB9)。そしてSk ≦βのときは、相関性ありと判断して移動量を求める(ステップB10)。
【0089】
判定値βは、時刻t0 の像間隔を求めるときの判定値αより大きな値とする(βは7程度になる)。これは被写体が移動していると波形が変化する場合が多いので相関性が悪くなる可能性が大きいためである。また、被写体像の移動量が大きいほど相関性が悪くなるので、焦点距離の大きいレンズ、被写体距離の短い時、時刻t0 からt1 までの時間間隔の長いとき、すなわち被写体輝度の暗い時などは判定値を大きくする。
【0090】
次に像の移動量ΔXL を求める(ステップB11)。上述した時刻t0 の像間隔を求めたときと同様に、次式により求める。
【0091】
【数14】
Figure 0003780051
【数15】
Figure 0003780051
そして、検出不能フラグをクリアして(ステップB13)、リターンする。
【0092】
同様にして像Rについても相関演算を行い、相関ブロック位置SRM、移動量ΔXR を求める。
【0093】
像L、像Rの被写体像の移動量ΔXR とΔXL が求められると時刻t1 での2像間隔ΔZ2 は、時刻t0 の時の2像間隔ΔZ1 より次式のようにして求められる。
【0094】
【数16】
Figure 0003780051
また、より演算誤差を小さくするには、時刻t1 の像Lと像Rの信号に基づいて図5に示した相関演算をやり直して2像間隔を求めΔZ2 を演算してもよい。
【0095】
時刻t2 での2像間隔ΔZ´は前述のように次式で予測される。
【0096】
【数17】
Figure 0003780051
ΔZ´に基いた量だけレンズ駆動することにより、時刻t2 に於いて移動している被写体にピントを合わせることができる。
【0097】
一方、上記ステップB10にて、Sk ≦βの関係でなければ、ステップB12に進み、検出不可能フラグがセットされるようになっている。
【0098】
尚、被写体像の移動量ΔXR 又はΔXL が大きすぎる場合は、合焦不能として像ずれ量の予測はしない。一方、被写体像の移動量が小さく検出誤差と見なされる場合は、移動量を0にする。この判定値は焦点距離、被写体距離、被写体輝度に応じて、被写体の移動量に対して被写体像の移動量が大きいと予測される場合は大きくする。
【0099】
次に、上述したカメラに適用される、本発明の一実施形態である自動焦点調節装置について説明する。
【0100】
図1は、本発明の一実施形態のカメラの自動焦点調節装置の概略構成を示したブロック図である。
【0101】
図に示すように、この自動焦点調節装置は、上記AFIC240等を含むAFユニット210と焦点検出のための上記演算を行うCPU201内の相関演算回路249とを備えた焦点検出部1を具備し、この焦点検出部1には、上記焦点検出部1の出力を演算し、被写体が撮影レンズの光軸方向に移動しているかを判定する動体判定部2が接続されている。
【0102】
一方、モード設定部3は、撮影者により各種の撮影モードの可能な設定部であり、手振れ防止(防振)撮影モード設定部4、リモコン(リモートコントロール)撮影モード設定部5、動体予測AF設定部6、マクロモード設定部7、そして風景撮影モード等その他の撮影モード設定部8を備えている。
【0103】
また、被写体距離判定部9は、被写体距離が所定の被写体距離より近いか否かを判定する判定部であり、焦点距離判定部10は、撮影レンズの焦点距離が所定の焦点距離よりも短焦点側にあるか否かを判定する判定部である。
【0104】
上記焦点検出部1,動体判定部2,モード設定部3、被写体距離判定部9、焦点距離判定部10の出力信号は、それぞれデフォーカス量演算部11に対して出力され、該デフォーカス量演算部11は、上記焦点検出部1の出力を演算し、撮影レンズのデフォーカス量を演算するが、動体判定部2の判定結果とモード設定部3の設定状況によって、露光時のデフォーカス量を予測する動体予測を行ったり、動体予測を行わずに現在のデフォーカス量を演算するようになっている。
【0105】
上記デフォーカス量演算部11に出力信号は、駆動量演算部12に対して出力され、該駆動量演算部12は、該デフォーカス量演算部11の演算結果に基づいて合焦するに必要な撮影レンズの駆動量を演算するようになっている。
【0106】
また、シーケンス制御部13は、カメラ全体のシーケンスを制御するコントローラであり、上記CPU201に対応する。該シーケンス制御部13には、シャッタ18やズーム16や絞り17やミラー15や撮影レンズ19そして撮影モードを表示する表示部14(上記表示ユニット209に対応)等が接続されている。
【0107】
図16は、上記モード設定部3および表示部14の一表示例を示した説明図である。なお、この表示例は、説明を容易にするために全ての表示部を点灯させた全点灯状態を示している。また、図中、表示部において示す各符号は、それぞれ対応したモードを示す表示部であるとともに、便宜上、当該モード自体を示す符号として以下に説明する。
【0108】
図中、符号250はプログラムモード、符号251は絞り優先オートモード、符号252はシャッタスピード優先オートモード、符号253はマニュアル露出モード、符号254は動きの速い被写体を撮影するスポーツモードを示す表示部であり、このスポーツモードでは高速シャッタになるようにプログラム線図がシフトし、動体予測を行うようになっている。
【0109】
また、符号255は人物撮影モードを示す表示部であり、このモードでは被写界深度が浅くなるようにプログラム線図がシフトする。符号256は風景撮影モードを示す表示部であり、このモードでは被写界深度が深くなるようにプログラム線図がシフトする。さらに、符号257は夜景撮影モードを示す表示部であり、長時間露光するようにプログラム線図がシフトする。
【0110】
また、符号258は手振れ防止モードを示す表示部であり、このモードでは露光が一定時間遅延するようになっている。
【0111】
また、符号259は近接撮影モード(マクロモード)を示す表示部であり、このモードはマクロ撮影に適したモードである。
【0112】
以上の10種類の撮影モードはボタン260を押すことによって選択できるようになっている。
【0113】
一方、符号261はセルフタイマー撮影モードを示す表示部であり、同様にボタン262で設定する。さらに、符号263はリモートコントロール撮影モードを示す表示部であり、ボタン264で設定するようになっている。
【0114】
また、符号265は、AFモードが動体予測を行うコンティニュアスAFになっていることを示すものであり、上記スポーツモード254等の動体予測を行うモードである場合には自動的に点灯するようになっている。また、上記人物撮影モード255、風景撮影モード256、夜景撮影モード257、セルフ撮影モード261、リモートコントロール撮影モード263およびマクロモード259が選択された場合には自動的に消灯するようになっている。
【0115】
さらに、プログラムモードや絞り優先モードやシャッタ優先モード及びマニュアル露出モードでは、動体予測をするようにしてもよいし、動体予測しないようにしてもよい。撮影者の意図で選択できるように動体予測を行うスイッチを設けてもよい。以下、動体予測を行うモードを動体モードと呼ぶ。
【0116】
図9は、上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラ全体の動作を示したフローチャートである。
【0117】
上述したように、CPU201はカメラ全体のシーケンス制御や各種演算を行うマイクロコンピュータである。撮影者によりカメラのメインスイッチがオンされると、CPU201がパワーオンリセットされて動作を開始し、先ずI/Oポートの初期化とRAMの初期化等を行う(ステップC1)。
【0118】
そして、測光素子233の出力をインターフェースIC202内の測光回路で演算し、シャッタスピードの演算や絞り値の演算、即ちアペックス演算を行う(ステップC2)。続いて、AFIC240の出力の前述のように演算し、動体予測機能を含むAFの演算を行う(ステップC3)。なお、このステップC3については後述する。
【0119】
本実施形態におけるカメラのレリーズボタンは前述のように2段階になっており、半押しの第1ストローク(以下、1Rと記す)で測光とAF(オートフォーカス)動作を行い、全押しの第2ストローク(以下、2Rと記す)で露光に至るようになっている。
【0120】
続いて、上記1Rがオンになっているかを判定し(ステップC4)、該1Rがオフであればモードスイッチ260やセルフタイマー設定ボタン262やリモートコントロール設定ボタン264の状態を読込んで表示し(ステップC5、C6)、ステップC2に戻る。即ち、電源がオンである間は測光とAFと各スイッチの受付を常時行っている。
【0121】
上記ステップC4で上記1Rがオンであれば、続いてステップC3で演算したレンズ駆動量だけレンズを駆動する(ステップC7)。なお、該ステップC7については後述する。そして、次にレンズが合焦しているかを判定する(ステップC8)。このステップC8においては、後述する合焦フラグを判定する。ここで、合焦していないと判定されるとステップC2に戻る。合焦していると判定されると、上記2Rがオンになっているかを判定し(ステップC9)、該2RがオフであればステップC3に戻る。
【0122】
また、上記2Rがオンであれば、ステップC5でセルフタイマー撮影モードが選択されているかを判定し(ステップC10)、セルフタイマー撮影モードが選択されていれば10秒の待ち時間を置いて(ステップC11)、ステップC12に移行する。セルフタイマー撮影モードが選択されていなければそのままステップC12に移行する。そして絞りをステップC2で演算した値まで駆動し(ステップC12)、ミラー102をアップする(ステップC13)。
【0123】
次に、上記ステップC5で手振れ防止モードが選択されているか否かを判定し(ステップC14)、手振れ防止モードが選択されていれば露光を遅延させるため所定時間待機し(ステップC15)、ステップC16に移行する。また、手振れ防止モードが選択されていなければそのままステップC16に移行する。そして、シャッタ118をステップC2で演算したシャッタ速度だけ開口するように制御する(ステップC16)。
【0124】
次に、シャッタ118が所定時間開口したらミラー102をダウンして(ステップC17)、絞り開放にセットする(ステップC18)。また、シャッタ118を初期位置にチャージして(ステップC19)、1コマ巻上げを行い(ステップC20)、ステップC2に戻って以上の動作を繰り返す。
【0125】
図10は、上記ステップC3(図9参照)におけるAF(オートフォーカス)処理のサブルーチンを示したフローチャートである。
【0126】
まず、ステップD1のAF検出のサブルーチンは、積分の開始から焦点ずれ量ΔZを演算するまでのサブルーチンであり、動体予測演算を含んでいる。
【0127】
図11ないし図13は、上記ステップD1におけるAF検出のサブルーチンを示したフローチャートであり、さきにサブルーチンを説明する。
【0128】
まず、AFIC240の積分が終了するまで待機する(ステップE1)。次に全画素のデータを一画素毎に読み出す(ステップE2)。上記AFIC240の出力はアナログ値であり、一画素読出す毎にCPU201内のA/Dコンバータによってデジタル信号に変換し、所定の記憶領域に記憶する。
【0129】
次に、AFIC240の積分動作のリセットを行う(ステップE3)。
【0130】
ここで、このステップE3について図14に示すフローチャートを参照して説明する。
【0131】
まず、積分時間タイマの値を今回の積分時間として読み込む(ステップF1)。このタイマは、たとえばマイクロコンピュータのキャプチャ機能により、AFIC240の積分終了信号に同期してタイマのカウントを停止するように構成すればよい。次に、積分間隔タイマの値を前回と今回の積分間隔として読み込む(ステップF2)。
【0132】
次に、積分時間タイマと積分間隔タイマとリセットする(ステップF3、F4)。最後にAFIC240の次回の積分をスタートさせる(ステップF5)。
【0133】
図11の説明に戻って、次に、得られた被写体像信号に不均一補正を行う(ステップE4)。これは製造上で起こる画素毎の微妙な感度のばらつきや、AFユニット210内の再結像光学系の照度不均一を補正するためのものである。全画素中で最も感度の小さい画素に他の画素の出力を合わせるように補正する。補正係数は製品毎に調整されて、EEPROM237に記憶されている。詳細は特開平5−93850号公報に記しているのでここでは省略する。
【0134】
図12に移って、動体モードが選択されているか否かを判定する(ステップE5)。なお、本実施形態においては、スポーツモードが選択されている場合に自動的に動体モードに設定されるが、上述したように撮影者の意図で選択できる場合には、動体モードが選択されているか否かの判定を行う。
【0135】
次に、近接撮影モード(マクロモード)が選択されているか否かを判定し(ステップE33)、マクロモードが選択されていない場合には被写体距離が所定距離よりも近いか否かを判定する(ステップE34)。
【0136】
ここで、本実施形態においては、上述したようにTTL位相差検出パッシブAF方式を用いているので被写体距離に関する情報は別に得る必要がある。そこで、特開昭62−264032号公報に開示された技術手段を用い、被写体距離Lを次式で近似する。
【0137】
【数18】
Figure 0003780051
ここで、e,dは焦点距離ごとに定まる定数で、PLSはAFレンズの無限基準位置から合焦までの駆出パルス数でAFPI227のパルス数であり、コンティニュアスAFで移動する被写体を追っている場合では、前回のレンズ駆動終了後のAFPI227のパルス数である。
【0138】
上記ステップE34では、式(18)で求めた被写体距離Lが所定の被写体距離L′より近いか否かを判定する。このL′例えばEEPROM237に記憶しておけばよい。
【0139】
このように、上記ステップE33やE34を設けることにより、ほとんど動体予測の効果がない状況での無意味な動体予測を回避することができる。
【0140】
次に、撮影レンズの焦点距離が所定の焦点距離f′よりも短焦点側にあるか否かを判定する(ステップE35)。焦点距離の情報はズームエンコーダ228から出力され、f′は例えばEEPROM237に記憶されている。
【0141】
このように、上記ステップE35を設けることにより、被写界深度の深い短焦点側において無意味な動体予測を回避することができる。
【0142】
次に、セルフタイマー撮影モードが選択されているか否かを判定し(ステップE6)、リモートコントロール撮影モードが撮影されているか否かを判定する(ステップE7)。この後、風景撮影モードが選択されているか否かを判定し(ステップE8)、夜景撮影モードが選択されているか否かを判定する(ステップE9)。さらに、人物撮影モードが選択されているか否かを判定して(ステップE10)、また、手振れ防止モードが選択されているか否かを判定し(ステップE11)、今回の積分動作中に補助光LED242がオンしていたか否かを判定する(ステップE12)。
【0143】
以上の11種類の判定項目で、動体モードが選択されており、各撮影モードが全て選択されておらず、補助光もオフであると判定された場合のみコンティニュアスAFフラグをセットする(ステップE13)。このフラグがセットされていれば、以下、動体予測AFを行う。
【0144】
一方、上述以外の判定結果であればコンティニュアスAFフラグをクリアし(ステップE14)、ステップE16に移行して以下動体予測AFを行わない。なぜなら、各撮影モードで動体予測をしない理由はすでに述べたが、補助光の判定をする理由は、補助光LED242がオンしている状況では被写体が暗いために明るい場合よりもAF検出精度が低下し、動体予測演算の誤差が大きくなるからである。そもそも暗い状況ではシャッタースピードが遅くなるために動体の撮影には不向きである。
【0145】
続いて、一回目の像ずれ演算が終了しているか否かを判定する(ステップE15)。これは、後述するステップE18あるいはステップE20でセットクリアされる一回目演算済みフラグを判定する。このフラグは一回目の像ずれ量が演算済みであるか否かを示すフラグであり、初期値は図9のステップC1でクリアされている。一回目の像ずれ演算が終了していなければ図5で説明した相関演算を行って像ずれ量ΔZ1 を演算する(ステップE16)。
【0146】
続いて、ステップE17で像ずれ量ΔZ1 が演算できているか否かを判定する(ステップE13)。即ち、図5のステップA14とA15でセットクリアされる検出不能フラグを判定する。ステップE17で検出不能と判定されたならば、一回目演算済みフラグをクリアして(ステップE18)、後述するステップE25とステップE27からの移行のために再度検出不能フラグをセットして(ステップE19)、リターンする。
【0147】
上記ステップE17で検出可能と判定されたならば、一回目演算済みフラグをセットして(ステップE20)、リターンする。なお、検出不能と判定された場合には、後述するレンズ駆動のサブルーチン中でレンズスキャンに移行し、検出可能となるレンズの位置を探す。
【0148】
一方、ステップE15で一回目の像ずれ量演算が終了してると判定されると、二回目の像ずれ量演算を行う。まず、図13に移って、次回のために一回目演算済みフラグをクリアする(ステップE21)。そして、一回目と同じく相関演算を行って像ずれ量ΔZ2 を演算する(ステップE22)。
【0149】
続いて、ステップE17の一回目の場合と同様に、像ずれ量ΔZ2 が演算できているか否かを判定する(ステップE23)。ここで演算できていない場合には、ステップE18(図12参照)に移行して一回目の演算からやり直しを行う。また、演算できている場合には、図7で説明した相関演算を行って像Lの移動量を演算する(ステップE24)。
【0150】
続いて、演算した像Lの移動量が所定の第一の判定値よりも大きいか否かを判定する(ステップE25)。この第一の判定値は比較的大きい値であり、ステップE25は被写体がファインダ内の測距エリアから逸脱して測距不能となった場合や、被写体の移動速度が大きすぎて動体予測しても合焦不能な場合を検出するために設けてある。
【0151】
同様にして、像Rの移動量の演算(ステップE26)と、演算した移動量の判定を行う(ステップE27)。即ち、一回目と二回目の像ずれ検出相関演算と像L及び像Rの移動量演算がすべて演算されて合焦可能な場合のみステップE28に移行する。ステップE28では、被写体が移動しているか静止しているか否かを判定する。これは、演算された像Lの移動量と像Rの移動量の両方が所定の第二の判定値よりも大きいか否かを判断する。この第二の判定値は上記第一の判定値よりも小さい値であり、合焦可能な被写体の像移動速度から算出された値である。
【0152】
被写体が移動していると判定された場合には、式(17)に基づいて未来の像ずれ量ΔZ´を予測する(ステップE29)。そして、動体フラグをセットして(ステップ30)、リターンする。一方、被写体が静止していると判定された場合には、動体予測をする必要がないので、ΔZ´はステップE22で演算した像ずれ量ΔZ2 とする(ステップE31)。そして、媒体フラグをクリアして(ステップE32)、リターンする。
【0153】
ここで、二回目の演算から実際の露光までの所要時間、即ち式(17)中の(t2−t1)について述べる。以下、この時間を予測時間と記す。この予測時間は、特公平5−22214号では過去の撮影レンズ駆動量と駆動時間の情報によって次回の駆動終了までの時間を演算しているが、制御の簡素化のために本実施形態では固定時間とする。
【0154】
上記予測時間の内訳は、主に上記動体予測に係わるCPU201の演算時間、レンズ駆動時間、そしてミラーや絞り駆動の所要時間である第2ストローク信号2Rから実際の露光開始までの時間から構成される。このうち最も所要時間のばらつきが大きいのはレンズ駆動時間であり、CPU201の演算時間はほぼ一定であり、該2Rから実際の露光開始も電池212が極短に消耗していない限りほぼ一定の値を取る。
【0155】
レンズの駆動時間は僅か数パルス駆動する場合と大きく数百パルス駆動する場合とでは所要時間に差があるが、本実施形態では後述するように大きく駆動する場合においては、一旦所定量駆動してから測距しなおすので、駆動時間のばらつきを極力小さくすることができる。即ち、予測時間を固定値とすることが可能である。
【0156】
図10の説明に戻って、検出不能かどうかを検出不能フラグで判定する(ステップD2)。検出不能であると判定されたならば、合焦フラグをクリアして(ステップD3)、リターンする。検出可能であると判定されたならば、次に、コンティニュアスAFモードであるかどうかをコンティニュアスAFフラグで判定する(ステップD4)。コンティニュアスAFでないと判定されたならば、次の一回目の測距かどうかの判定は必要ないのでステップD6に移行するが、コンティニュアスAFであると判定されたならば、一回目の測距であるかどうかを一回目演算済みフラグで判定する(ステップD5)。一回目の測距であると判定されたならばステップD3に移行するが、二回目の測距であると判定されたならばステップD6に移行して行う。
【0157】
このステップD6では、上記ステップD1で演算した像ずれ量から式(8)および式(9)に基づいてデフォーカス量を演算する。続いて、演算したデフォーカス量と合焦判定値とを比較する(ステップD7)。この判定値は許容錯乱円に基づいて設計段階で求めた値であり、EEPROM237に記憶されている。ここで、該デフォーカス量が判定値内であればすでに合焦していると判断できる。
【0158】
次に、ステップD8において、デフォーカス量が合焦許容範囲内にあると判定されたならば、レンズ駆動する必要がないので合焦フラグをセットして(ステップD9)、リターンする。一方、合焦許容範囲内でないと判定されたならば、合焦フラグをクリアし(ステップD10)、合焦するのに必要なレンズの駆動量を演算した後(ステップD11)、リターンする。
【0159】
図15は、上述したレンズ駆動(ステップC7、図9参照)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【0160】
まず、検出不能か否かを検出不能フラグで判定する(ステップG1)。ここで、検出不能であると判定されると、検出可能な状態を探すためレンズスキャンに移行する。一方、検出可能であると判定されると、次にコンティニュアスAFであるか否かを判定し(ステップG2)、ここでコンティニュアスAFでないと判定されたならば、ステップG4に移行する。また、コンティニュアスAFであると判定されたならば、1回目の測距であるか否かを判定する(ステップG3)。ここで、1回目の測距であると判定されたならばレンズ駆動をせずにリターンする。一方、2回目の測距であると判定されたならば、レンズ駆動のための初期化を行う(ステップG4)。
【0161】
次に、既に合焦しているか否かを判定する(ステップG5)。これは、上記ステップD7(図10参照)の判定結果に基づいており、合焦していると判定された場合には、レンズ駆動する必要がないのでリターンする。また、合焦していないと判定されたならば、上記ステップD11(図10参照)で演算した駆動量に基づいて、以下に示すようなレンズ駆動を行う。
【0162】
まず、駆動量が駆動量判定値よりも大きいか否か判定する(ステップG6)。ここで、判定値よりも大きいと判定されると、所定駆動量だけ駆動した後に測距のやり直しを行う。
【0163】
例えば、上記所定駆動量判定値が150パルスとし、演算された駆動量が250パルスとすると、まず所定駆動量150パルス駆動してからレンズ駆動のサブルーチンをリターンし、測距をし直す。ステップG7では、駆動量を所定駆動量にする。そして、合焦フラグをクリアしてから(ステップG8)、ステップG14に移行する。
【0164】
一方、ステップG6で駆動量が駆動量判定値よりも小さいと判定されると、次に今回の駆動方向(繰り込み方向か、繰り出し方向か)と前回の駆動方向が同じか否かを判定する(ステップG9)。このステップG9の判定は、言い換えれば駆動系のギアのガタが詰まっているかどうかの判定である。
【0165】
上記ステップG9で今回の駆動方向が前回の駆動方向と同じであると判定されると、図10のステップD11で演算した駆動量をセットし(ステップG10)、合焦フラグをセットして(ステップG11)、ステップG14に移行する。
【0166】
一方、上記ステップG9で今回の駆動方向が前回の駆動方向と異なる判定されると、EEPROM237に記憶してあるガタ量に相当する駆動量をセットし(ステップG12)、合焦フラグをクリアして(ステップG13)、ステップG14に移行する。即ち、ギアにガタがある場合にはガタを詰めるための駆動をしてから測距をし直し、次回の測距ではガタが詰まっているので、ステップG10のルートを通って合焦することになる。
【0167】
最後に、今回の駆動方向を駆動方向フラグに格納し(ステップG14)、それぞれステップG7、ステップG10、ステップG12でセットした駆動量だけステップG14の駆動方向に駆動して(ステップG15)、リターンする。
【0168】
以上の本発明の実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱することなく変形が可能であることは勿論である。
【0169】
例えば、動体予測方式に特開平5−93850号公報の技術を用いたが、これに限ることなく動体が検出できればよい。
【0170】
また、上述した手振れ防止方式は単にレリーズボタン押圧後に一定時間シャッタ遅延をする技術を用いたが、特開平3−92830号公報に開示されているような、振動ジャイロで手振れを検出して検出した手振れが小さくなるタイミングまでシャッタを遅延させる技術を用いてもよい。
【0171】
また、本実施形態においては、可動ミラーを有する一眼レフレックスカメラに本発明を適用した例を説明したが、これに限らず、レンズシャッタカメラやレンジファインダカメラに本発明を適用できることは勿論である。
【0172】
さらに、本実施形態においては、動体予測における予測時間は第2ストローク信号(2R)から実際の露光開始までの時間であったが、これに限らず測距および測距結果に基づく撮影レンズの駆動終了までの時間としても良いことは勿論である。
【0173】
また、本実施形態では動体予測動作が禁止されたことを、動体予測動作の表示を消灯することにより表示していたが、これに限らず、別に禁止動作を表示するための表示素子を設けても良いことは勿論である。
【0174】
以上述べたように、本実施形態のカメラの自動焦点調節装置によると、図12に示すステップE5において、動体モードでないと判定された場合には、ステップE21以下の動体予測を行うためのフローチャートに分岐することがなく、これにより動体予測動作が禁止されるので、不必要な動体予測動作を行うことなく、的確な写真撮影が行える。
【0175】
また、同図12に示すステップE7においてリモートコントロールモードであると判定された場合や、ステップE33において近接撮影モードであると判定された場合や、ステップE34において被写体が所定の距離より近いと判定された場合や、ステップE35において撮影レンズの焦点距離が所定の焦点距離よりも短いと判定された場合にも同様に動体予測動作が禁止されるので、同様な効果を奏する。
【0176】
さらに、このように動体予測動作が禁止された際に、図16の符号265で示した表示を消灯して(図9のステップC6参照)、動体予測モードが禁止されたことを表示するので、撮影者は、動体予測動作の禁止状態を瞬時に判断することができるので、写真撮影の際に的確な判断を下すことができる。
【0177】
すなわち、本実施形態によれば、露光開始を遅延させる手振れ防止モードやリモートコントロール撮影モードが設定されている場合には動体予測を禁止することにより、無意味な動体予測をしないようにできる。また、動体予測を禁止した場合にはその旨を撮影者が認識できる。
【0178】
[付記]
以上詳述した如き本発明の実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
(1) 撮影レンズによって形成された被写体像の焦点状態に応じて焦点検出信号を時系列的に出力する焦点検出手段と、
上記複数の焦点検出信号に基づいて予測演算を行い、上記撮影レンズの光軸方向に移動している被写体に合焦するように焦点調節を行う動体予測機能を有するカメラにおいて、
複数の撮影モードを設定するモード設定手段と、
上記モード設定手段は、ミラーアップ後の露光動作を一定時間遅延させる手振れ防止モードを含み、該手振れ防止モードが上記モード設定手段によって設定された場合には、上記動体予測を禁止する第1の禁止手段と、
を具備することを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
【0179】
(2) 撮影レンズによって形成された被写体像の焦点調節状態に応じて焦点検出信号を時系列的に出力する焦点検出手段と、
上記複数の焦点検出信号に基づいて予測演算を行い、上記撮影レンズの光軸方向に移動している被写体に合焦するように焦点調節を行う動体予測機能を有するカメラにおいて、
複数の撮影モードを設定するモード設定手段と、
上記モード設定手段は、リモートコントロール撮影モードを含み、該リモートコントロール撮影モードが設定された場合には、上記動体予測を禁止する第2の禁止手段と、
を具備することを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
【0180】
(3) 撮影レンズによって形成された被写体像の焦点調節状態に応じて焦点検出信号を時系列的に出力する焦点検出手段と、
上記複数の焦点検出信号に基づいて予測演算を行い、上記撮影レンズの光軸方向に移動している被写体に合焦するように焦点調節を行う動体予測機能を有するカメラにおいて、
複数の撮影モードを設定するモード設定手段と、
上記モード設定手段によって風景撮影モード、夜景撮影モード、人物撮影モード、セルフタイマ撮影モード、リモートコントロール撮影モードもしくは手振れ防止モードのいずれかが設定された場合には、上記動体予測を禁止するとともに、上記表示手段において上記動体予測が禁止されたことを表示することを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
【0181】
(4) 撮影レンズによって形成された被写体像の焦点状態に応じて焦点検出信号を時系列的に出力する焦点検出手段と、
上記複数の焦点検出信号に基づいて予測演算を行い、上記撮影レンズの光軸方向に移動している被写体に合焦するように焦点調節を行う動体予測手段と、
撮影者の手振れの影響を防止する手振れ防止手段と、
この手振れ防止手段が選択された場合には、上記動体予測手段による予測動作を禁止する第1禁止手段と、
を具備することを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
【0182】
(5) 撮影レンズによって形成された被写体像の焦点状態に応じて焦点検出信号を時系列的に出力する焦点検出手段と、
上記複数の焦点検出信号に基づいて予測演算を行い、上記撮影レンズの光軸方向に移動している被写体に合焦するように焦点調節を行う動体予測手段と、
カメラの遠隔操作を行うためのリモートコントロール撮影モードの設定手段と、
このリモートコントロール撮影モード設定手段によってリモートコントロール撮影モードが選択された場合には、上記動体予測手段による予測動作を禁止する第2禁止手段と、
を具備することを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
【0183】
(6) 撮影レンズによって形成された被写体像の焦点状態に応じて焦点検出信号を時系列的に出力する焦点検出手段と、
上記複数の焦点検出信号に基づいて予測演算を行い、上記撮影レンズの光軸方向に移動している被写体に合焦するように焦点調節を行う動体予測手段と、
複数の撮影モードを設定するモード設定手段と、
このモード設定手段によって特定の撮影モードが設定された場合には、上記動体予測手段による動体予測を禁止する禁止手段と、
この禁止手段によって動体予測が禁止された場合には、動体予測が禁止されたことを表示する表示手段と、
を具備したことを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
【0184】
(7) 上記手振れ防止手段は、レリーズ釦の操作により露光動作を開始後、上記カメラの手振れ量が小さくなるタイミングでシャッタを開放する簡易防振を行う(1)または(4)に記載のカメラの自動焦点調節装置。
【0185】
(8) 複数の撮影モードを設定するモード設定手段を有し、上記複数の撮影モードの内の特定モードが設定されると、上記動体予測手段による動体予測動作が自動的に選択される(4)乃至(6)に記載のカメラの自動焦点調節装置。
【0186】
(9) 上記動体予測手段が選択されると、上記焦点検出手段の焦点検出信号に基づいて連続的に上記撮影レンズの合焦動作を行うコンティニュアスモードが自動的に設定されることを特徴とする(4)乃至(6)に記載のカメラの自動焦点調節装置。
【0187】
(10) 上記動体予測手段は、レリーズ釦の操作により撮影動作を開始させてから、実際にシャッタが開口し、露光が開始されるまでの時間後の被写体の移動を考慮して予測することを特徴とする(4)乃至(6)に記載のカメラの自動焦点調節装置。
【0188】
(11) 上記動体予測手段は、焦点検出手段による測距、および上記測距結果に基づく撮影レンズの駆動終了までの時間を考慮して予測することを特徴とする(4)乃至(6)に記載のカメラの自動焦点調節装置。
【0189】
(12) 撮影レンズによって形成された被写体像の焦点状態に応じて焦点検出信号を出力する焦点検出手段と、
上記複数の焦点検出信号に基づいて予測演算を行い、上記撮影レンズの光軸方向に移動している被写体に合焦するように焦点調節を行う動体予測手段と、
上記動体予測手段による動体予測を禁止する禁止手段と、
この禁止手段によって動体予測が禁止された場合には、動体予測が禁止されたことを表示する表示手段と、
を具備したことを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
【0190】
(13) 被写体の移動に応じた信号を検出し、上記被写体の移動を予測して撮影レンズのピント調節を行う動体予測動作と、手振れの影響を防止する防振動作を実行可能なカメラにおいて、上記防振動作を実行する場合には、上記動体予測動作の実行を禁止することを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
【0191】
(14) 被写体の移動に応じた信号を検出し、上記被写体の移動を予測して撮影レンズのピント調節を行う動体予測動作と、遠隔操作を行うリモートコントロール動作を実行可能なカメラにおいて、上記リモートコントロール動作を実行する場合には、上記動体予測動作の実行を禁止することを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
【0192】
(15) 上記動体予測動作の実行を禁止する場合には、上記禁止を表示することを特徴とする(13)または(14)に記載のカメラの自動焦点調節装置。
【0193】
(16) 被写体の移動に応じた信号を検出し、上記被写体の移動を予測して撮影レンズのピント調節を行う動体予測動作を実行可能なカメラにおいて、上記動体予測動作の実行が禁止された場合には、上記禁止を表示することを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
【0194】
(17) 被写体の移動に応じた信号を検出し、上記被写体の移動を予測して撮影レンズのピント調節を行う動体予測動作を行うカメラにおいて、上記被写体距離が近距離であると判定した場合には、上記動体予測動作の実行を禁止することを特徴とするカメラ。
【0195】
(18) 被写体の移動に応じた信号を検出し、上記被写体の移動を予測して撮影レンズのピント調節を行う動体予測動作が可能であると共に、近接撮影モードの設定可能なカメラにおいて、上記近接撮影モードが設定された場合には、上記動体予測動作の実行を禁止することを特徴とするカメラ。
【0196】
(19) 被写体の移動に応じた信号を検出し、上記被写体の移動を予測して撮影レンズのピント調節を行う動体予測動作が可能であると共に、上記撮影レンズの焦点距離を変更可能なカメラにおいて、上記焦点距離が所定焦点距離よりも短焦点側にあると判定した場合には、上記動体予測動作の実行を禁止することを特徴とするカメラ。
【0197】
(20) 上記動体予測動作の実行を禁止する場合には、上記禁止を表示することを特徴とする(17)乃至(19)に記載のカメラ。
【0198】
(21) 被写体の移動に応じた信号を検出し、上記被写体の移動を予測して撮影レンズのピント調節を行う動体予測動作が可能であると共に、複数の撮影モードから選択的に撮影モードの設定可能なカメラにおいて、上記複数の撮影モードの内、特定撮影モードが設定された場合には、上記動体予測動作の実行を禁止すると共に上記禁止を表示することを特徴とするカメラ。
【0199】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、状況に応じて動体予測の可否が自動的に設定でき、適切な写真撮影が可能なカメラの自動焦点調節装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である、カメラの自動焦点調節装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されたカメラシステムにおいて、ズームレンズ機構を内蔵するカメラシステムの光学系を示した要部側面図である。
【図3】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラシステムのブロック構成図である。
【図4】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラシステムにおける、AF光学系を示した説明図である。
【図5】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラシステムにおける、第1の被写体像と第2の被写体像との間の相関演算処理動作を示したフローチャートである。
【図6】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラシステムにおいて、被写体像Rについて、最小の相関出力を示すブロック位置に対して±1素子だけずらせた際の相関出力が、(a)相関性の高い場合の説明図であり、(b)相関性の低い場合の説明図である。
【図7】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラシステムにおいて、像Lの移動量演算方法を示したフローチャートである。
【図8】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラシステムにおいて、像Lの移動量演算方法を示した説明図である。
【図9】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラ全体の動作を示したフローチャートである。
【図10】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラにおいて、図9におけるAF(オートフォーカス)処理のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図11】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラにおいて、図10におけるAF検出のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図12】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラにおいて、図10におけるAF検出のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図13】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラにおいて、図10におけるAF検出のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図14】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラにおいて、AFICの積分リセット動作を示したフローチャートである。
【図15】上記実施形態の自動焦点調節装置が適用されるカメラにおいて、レンズ駆動動作を示したフローチャートである。
【図16】上記実施形態のカメラの自動焦点調節装置において、モード設定部および表示部の一表示例を示した説明図である。
【符号の説明】
1…焦点検出部
2…動体判定部
3…モード設定部
4…防振モード設定部
5…リモートコントロールモード(リモコンモード)設定部
6…動体モード設定部
7…マクロモード設定部
8…その他撮影モード設定部
9…被写体距離判定部
10…焦点距離判定部
11…デフォーカス量演算部
12…駆動量演算部
13…シーケンス制御部
14…表示部
15…ミラー
16…ズーム
17…絞り
18…シャッタ
19…レンズ

Claims (1)

  1. 撮影レンズによって形成された被写体像の焦点状態に応じて複数の焦点検出信号を時系列的に出力する焦点検出手段と、
    上記複数の焦点検出信号に基づいて予測演算を行い、上記撮影レンズの光軸方向に移動している被写体に合焦するように焦点調節を行う動体予測手段と、
    被写体距離が所定の距離よりも近いか否かを判定する被写体距離判定手段と、
    この被写体距離判定手段によって被写体距離が所定の距離よりも近いと判定された場合には、上記動体予測手段による予測動作を禁止する禁止手段と、
    を具備したことを特徴とするカメラの自動焦点調節装置。
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