JP3779679B2 - 毛髪洗浄剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄性・使用感を損なうことなく、物理的・化学的刺激から毛髪を保護して枝毛・切れ毛の発生を抑制し、更に洗浄後の毛髪に自然なすべり感、しっとり感、健康な髪本来のしなやかさ等の良好な感触や保湿性を付与する毛髪洗浄剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
毛髪は、常にドライヤー熱、ブラッシング等の日常的なヘアケア行動による物理的刺激、及び洗髪、パーマ、ヘアカラー、ブリーチ等による化学的刺激に曝されているため、成分や構造体の部分的欠損を伴う損傷状態にある。また、加齢にともなう髪質変化は、これらのダメージを加速させ、健康な髪本来のしなやかさを失わせる要因となる。
【0003】
損傷状態の毛髪の保護・修復は、損傷により欠損した成分、構造体及びそれらの類縁体を補う形で行われるのが一般的である。保護・修復機能の発現には保護基剤と毛髪の相互作用(親和性)が重要と考えられ、現在では保護基剤としてスフィンゴ脂質やタンパク誘導体を用いる方法が有益な技術として広く利用されている。例えば、アニオン性界面活性剤と双極イオン性界面活性剤からなる界面活性剤、カチオン性高分子、及びセラミド又はグリコセラミドを含有する頭髪洗浄剤がある(特許文献1参照)。しかし、セラミド、グリコセラミド等の保護基剤は、融点が高く結晶化し易いため、十分な量が配合できなかった。しかも、この配合されたわずかな量の保護基剤も毛髪内に浸透しにくく、毛髪に十分な量を供給できる方法は皆無であった。したがって、従来の毛髪洗浄剤では、配合した保護基剤の機能を十分に発揮し得ないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平8-59443号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、配合された保護基剤を十分に毛髪内へ浸透させることができ、毛髪損傷の防止・修復効果に優れる毛髪洗浄剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、組成物を酸性にすることにより、保護基剤としての両親媒性アミド脂質が洗浄剤系においても毛髪内に浸透しやすくなり、毛髪を物理的・化学的刺激から保護して枝毛・切れ毛の発生を抑制するとともに、毛髪に自然なすべり感、しっとり感、健康な髪本来のしなやかさ等の良好な感触を有意に付与することができることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(C)
(A) 両親媒性アミド脂質 0.001 20 重量%
(B) アニオン界面活性剤 1〜 50 重量%
(C) 乳酸若しくはリンゴ酸又はそれらの塩 0.05 10 重量%
を含有し、水で20重量倍に希釈したときのpHが1〜4.5である毛髪洗浄剤を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
成分(A)の両親媒性アミド脂質とは、1〜2個のアミド基を有し、アミド基のカルボニル基に結合する炭素鎖は、水酸基が置換してもよく、主鎖にエステル結合を含んでもよい炭素数5〜60のアルキル基又はアルキレン基であり、かつ、化合物全体として1〜5個の水酸基又は炭素数1〜30のアルコキシ基を含有するものをいう。両親媒性アミド脂質の具体例としては、以下の(1)〜(4)が挙げられる。
【0009】
(1)一般式(1)で表されるジアミド化合物
【0010】
【化6】
Figure 0003779679
【0011】
〔式中、R1は水酸基及び/又はアルコキシ基が置換していてもよい炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示す。〕
【0012】
一般式(1)において、R1としては、水酸基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよい炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。なかでも、無置換の炭素数1〜12のアルキル基、又は水酸基が1〜2個、炭素数1〜6のアルコキシ基が1個、若しくは水酸基と炭素数1〜6のアルコキシ基が1個ずつ置換した、炭素数2〜12のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基、2-メチルプロピル基、2-エチルヘキシル基、2-ヒドロキシエチル基、9-ヒドロキシノニル基、2,3-ジヒドロキシプロピル基、2-メトキシエチル基、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル基、9-メトキシノニル基等が挙げられ、なかでも2-ヒドロキシエチル基、メチル基、ドデシル基、2-メトキシエチル基が好ましい。
【0013】
一般式(1)において、R2としては、炭素数2〜5の、特に炭素数2〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が好ましい。具体的には、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、2-エチルトリメチレン基等が挙げられ、なかでもエチレン基及びトリメチレン基が好ましい。
【0014】
一般式(1)において、R3としては、炭素数2〜22の直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素基が好ましく、特に炭素数11〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、及び1〜4個の二重結合を有するアルケニレン基が好ましい。具体的には、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基、1-メチルエチレン基、2-エチルトリメチレン基、1-メチルヘプタメチレン基、2-メチルヘプタメチレン基、1-ブチルヘキサメチレン基、2-メチル-5-エチルヘプタメチレン基、2,3,6-トリメチルヘプタメチレン基、6-エチルデカメチレン基、7-メチルテトラデカメチレン基、7-エチルヘキサデカメチレン基、7,12-ジメチルオクタデカメチレン基、8,11-ジメチルオクタデカメチレン基、7,10-ジメチル-7-エチルヘキサデカメチレン基、1-オクタデシルエチレン基、エテニレン基、1-オクタデセニルエチレン基、7,11-オクタデカジエニレン基、7-エテニル-9-ヘキサデカメチレン基、7,12-ジメチル-7,11-オクタデカジエニレン基、8,11-ジメチル-7,11-オクタデカジエニレン基等が挙げられる。このうち、7,12-ジメチルオクタデカメチレン基、7,12-ジメチル-7,11-オクタデカジエニレン基、オクタデカメチレン基、ウンデカメチレン基、トリデカメチレン基が特に好ましい。
【0015】
特に好ましいジアミド化合物(1)は、R1、R2及びR3として、それぞれ上で挙げた好ましい基を組み合わせた化合物であり、その具体例として、以下の化合物が挙げられる。
【0016】
【化7】
Figure 0003779679
【0017】
【化8】
Figure 0003779679
【0018】
(2)一般式(2)で示されるセラミド類
【0019】
【化9】
Figure 0003779679
【0020】
〔式中、R4はヒドロキシ基、オキソ基又はアミノ基が置換してもよい炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、X1は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、又は隣接する酸素原子とともにオキソ基を形成し、X2、X3及びX4は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基又はアセトキシ基を示し(但し、Zがメチン基であるとき、X2とX3は一方が水素原子で他方は存在せず、−O−X1がオキソ基であるとき、X 4 は存在しない)、R5及びR6は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、R7はヒドロキシ基又はアミノ基が置換してもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和炭化水素基、又は該炭化水素基のω位にヒドロキシ基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐若しくは環状の飽和若しくは不飽和の脂肪酸がエステル結合した基を示し、R8は水素原子を示すか、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有してもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。〕
【0021】
一般式(2)において、R4としては、ヒドロキシ基が置換してもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましい。X1としては、水素原子、グリセリル基が好ましい。X2、X3及びX4としては、その0〜1個がヒドロキシ基であり、残余が水素原子であるのが好ましい。R5及びR6としては、一方が水素原子又はヒドロキシメチル基であり、他方が水素原子であるのが好ましい。R7における飽和炭化水素基のω位にエステル結合若しくはアミド結合してもよい脂肪酸としては、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、リノール酸が好ましい。R8としては、水素原子、あるいはヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換してもよい総炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。
【0022】
好ましいセラミド類(2)として次の(2a)及び(2b)が挙げられる。
【0023】
(2a)一般式(2a)で表される天然セラミド又は天然型セラミド類、及びその誘導体(以下、「天然型セラミド類」と記載する):
【0024】
【化10】
Figure 0003779679
【0025】
〔式中、R4aはヒドロキシ基が置換してもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Z1はメチレン基又はメチン基を示し、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、X1aは水素原子を示すか、又は隣接する酸素原子とともにオキソ基を形成し、X2a、X3a及びX4aは各々独立して水素原子、ヒドロキシ基又はアセトキシ基を示し(但し、Z1がメチン基であるとき、X2aとX3aは一方が水素原子で他方は存在せず、−O−X1aがオキソ基であるとき、X4aは存在しない)、R5aはヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、R7aはヒドロキシ基が置換してもよい炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和炭化水素基、又は該アルキル基のω末端にヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合した基を示し、R8aは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
【0026】
好ましくは、R4aが炭素数7〜19、更に好ましくは炭素数13〜15の直鎖アルキル基;Z1がメチン基でX2aとX3aの一方が水素原子;R7aが炭素数9〜27のヒドロキシ基が置換してもよい直鎖アルキル基である化合物が挙げられる。また、X1aは水素原子であるか、酸素原子とともにオキソ基を形成するのが好ましい。特に、R7aとしては、トリコシル基、1-ヒドロキシペンタデシル基、1-ヒドロキシトリコシル基、ヘプタデシル基、1−ヒドロキシウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したノナコシル基が好ましい。
【0027】
天然型セラミド類の具体例としては、以下に構造を示すような、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1〜7(例えば、J. Lipid Res., 24:759 (1983)の図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069 (1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)が挙げられる。
【0028】
【化11】
Figure 0003779679
【0029】
更にこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)も挙げられる。これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
【0030】
(2b)次の一般式(2b)で表される擬似型セラミド類:
【0031】
【化12】
Figure 0003779679
【0032】
〔式中、R4bはヒドロキシ基が置換してもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、X1bは水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し、R7bはヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該炭化水素基のω末端にヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合した基を示し、R8bは水素原子を示すか、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕
【0033】
7bとしては、特にノニル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位に12-ヒドロキシステアリン酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位にメチル分岐イソステアリン酸がアミド結合したウンデシル基が好ましい。R8bのヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基としては炭素数1〜8のものが好ましい。
【0034】
疑似型セラミド類(2b)としては、R4bがヘキサデシル基、X1bが水素原子、R7bがペンタデシル基、R8bがヒドロキシエチル基のもの;R4bがヘキサデシル基、X1bが水素原子、R7bがノニル基、R8bがヒドロキシエチル基のもの;又はR4bがヘキサデシル基、X1bがグリセリル基、R7bがトリデシル基、R8bが3-メトキシプロピル基のものが好ましく、一般式(2b)のR4bがヘキサデシル基、X1bが水素原子、R7bがペンタデシル基、R8bがヒドロキシエチル基のものが特に好ましい。好ましい具体例として、以下のものが挙げられる。
【0035】
【化13】
Figure 0003779679
【0036】
(3)一般式(3)で表されるジアミド化合物
【0037】
【化14】
Figure 0003779679
【0038】
〔式中、R9はヒドロキシ基が置換してもよい炭素数10〜18のアルキル基を示す。〕
【0039】
化合物(3)の具体例として、以下の化合物が挙げられる。
【0040】
【化15】
Figure 0003779679
【0041】
(4)一般式(4)で表されるアミド化合物
【0042】
【化16】
Figure 0003779679
【0043】
〔式中、R10は炭素数9〜31の直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和の、水酸基が置換してもよいアルキル基、又は2-ドデセン-1-イルコハク酸の残基を示し、mは1〜3の整数を示し、R11及びR12は各々水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、Yは炭素数10〜32の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の水酸基が置換してもよいアルキル基、又は次式
【0044】
【化17】
Figure 0003779679
【0045】
(k、i及びnは、各々1〜3の整数を示し、jは0又は1を示し、R13は炭素数9〜31の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の水酸基が置換してもよいアルキル基を示す)で表される置換基を示す。〕
【0046】
化合物(4)の具体例として、以下の化合物が挙げられる。
【0047】
【化18】
Figure 0003779679
【0048】
成分(A)の両親媒性アミド脂質は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、毛髪へのしなやかさの付与、枝毛・切れ毛の発生抑制の点から、本発明の毛髪洗浄剤中の0.001〜20重量%が好ましく、更には0.1〜15重量%、特に0.2〜3重量%が好ましい。
【0049】
成分(B)のアニオン界面活性剤としては、アルキル(又はアルケニル)硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(又はアルケニル)スルホコハク酸塩、ジアルキル(又はジアルケニル)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)スルホコハク酸塩、アルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルリン酸塩、脂肪酸塩、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルタウリン酸塩、N-アシルメチルタウリン等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩が好ましく、特に一般式(B1)又は(B2)で表されるものが好ましい。
【0050】
14O(CH2CH2O)aSO3M (B1)
15OSO3M (B2)
【0051】
〔式中、R14は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、R15は炭素数10〜18のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、aは重量平均で1〜5の数を示す。〕
【0052】
これら成分(B)は2種以上を併用してもよく、またその含有量は、泡立ち、使用時の液性、洗浄性の点から、本発明の毛髪洗浄剤中の1〜50重量%が好ましく、更には8〜30重量%、特に10〜22重量%が好ましい。
【0053】
成分(C)の有機酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸等のカルボン酸、アルキル硫酸、アルキルリン酸等が挙げられ、このうちカルボン酸、特にジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸が好ましい。ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。また、無機酸としてはリン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。成分(C)としては、有機酸が好ましく、なかでもα-ヒドロキシカルボン酸、特に乳酸、リンゴ酸が好ましい。
【0054】
これら成分(C)の有機酸若しくは無機酸又はそれらの塩は2種以上を併用してもよく、またその含有量は、成分(A)(両親媒性アミド脂質)の毛髪内への浸透を促進する観点から、酸換算量として、本発明の毛髪洗浄剤中の0.05〜10重量%が好ましく、更には0.1〜5重量%、特に0.5〜2重量%が好ましい。
【0055】
本発明の毛髪洗浄剤には、更に泡性能を向上させるため、成分(B)以外の界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤を含有させてもよい。
【0056】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド類、グリセリルエーテル類等が挙げられる。このうち、アルキルグリコシド類、ポリオキシアルキレン(C8〜C20)脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましい。また、脂肪酸アルカノールアミドとしては、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、例えばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0057】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤がより好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0058】
界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は全組成中の0.01〜20重量%、更に0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%が好ましい。
【0059】
本発明の毛髪洗浄剤には、更に使用感を向上させる目的で、感触向上成分として通常用いられるシリコーン誘導体やカチオン性ポリマーを含有させることができる。
【0060】
シリコーン誘導体としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン等が挙げられ、なかでもジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン、環状シリコーンが好ましい。シリコーン誘導体は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は全組成中の0.01〜20重量%、更に0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%が好ましい。
【0061】
カチオン性ポリマーとしては、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリルアミド/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー、メチルビニルイミダゾリニウムクロリド/ビニルピロリドンコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース/ジアリルジメチルアンモニウムクロリドコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーのジエチル硫酸塩、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメチタリレートコポリマー、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシセルロース、グアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等が挙げられる。カチオン性ポリマーは、2種以上を併用してもよく、またその含有量は固形分として全組成中の0.01〜20重量%、更に0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%が好ましい。
【0062】
本発明の毛髪洗浄剤には、上記成分以外に、高級アルコール、ラノリン誘導体、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類等の油性成分;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の水溶性高分子;ソルビトール等の多価アルコール;保湿剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤;ビタミン等の薬剤;アミノ酸及びその誘導体;ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、シリコーン等のポリマー微粉末及びそれらの疎水化処理物;動植物由来の抽出エキス;紫外線吸収剤;パール化剤;防腐剤;殺菌剤;pH調整剤;色素;香料などを、目的に応じて配合することができる。
【0063】
本発明の毛髪洗浄剤は、成分(A)(両親媒性アミド脂質)を毛髪内に十分に浸透させる一方で刺激を抑制する観点より、毛髪に適用する際(水で20重量倍に希釈したとき)のpHが1〜4.5とされるが、pH2〜4、特にpH3〜4であるのが好ましい。
【0064】
本発明の毛髪洗浄剤の形態は、液状、粉末状、ゲル状、顆粒状等、適宜選択できるが、溶剤として水又は低級アルコール、特に水を用いた液状のものが好ましい。
【0065】
【実施例】
以下の実施例及び比較例で使用した両親媒性アミド脂質は、以下の化合物である。
【0066】
【化19】
Figure 0003779679
【0067】
実施例1〜3及び比較例1〜3
常法にしたがって、表1に示すシャンプーを調製し、その評価を行った。
【0068】
(1) すべり感、しっとり感
健常な日本人女性の毛髪20g(長さ15cm)を束ね、この毛髪束に表1のシャンプー1gを塗布して1分間泡立てた後、30秒間流水ですすぎ、タオルで水分を拭き取り、ドライヤーにて乾燥した。乾燥状態の髪の「すべり感」及び「しっとり感」を以下の基準に従って官能評価した。
【0069】
すべり感:
◎:自然な良いすべりがある。
○:すべりがある。
△:どちらともいえない。
×:きしみがある。
【0070】
しっとり感:
◎:非常にしっとりする。
○:しっとりする。
△:どちらともいえない。
×:しっとりしない。
【0071】
(2) 毛髪物性回復率
未だパーマ、ヘアカラー等の化学処理をしたことのない日本人女性の毛髪約20g(約15〜20cm)の毛束に対し、ラビナスハイブリーチ(花王社)により、40℃、20分処理(浴比1:1)を8回繰り返した。更に各ブリーチ処理後は、90回ずつ総計720回のプレーンシャンプー及びプレーンリンスによる洗浄処理を行った。プレーンシャンプー及びプレーンリンスの組成は下記のとおりである。
【0072】
Figure 0003779679
【0073】
Figure 0003779679
【0074】
未処理の毛束(健常毛)、前記ブリーチ処理を行った毛束、及びブリーチ処理後に表1のシャンプーで30回洗髪した毛束について、動的粘弾性測定装置DMTA V(レオメトリックサイエンティフィック・エフ・イー社)を用いて、動的粘弾性(貯蔵弾性率E':毛髪の硬さに相当。単位[Pa]。)を測定した。
【0075】
・測定条件
温度:22±1℃、相対湿度:20±1%RH、周波数:10Hz
・評価基準
健常毛の貯蔵弾性率:EO'
ブリーチ処理毛の貯蔵弾性率:E1'
ブリーチ処理毛を各サンプルで30回処理した毛髪の貯蔵弾性率:En'
としたとき、ブリーチ処理による損傷で変化した毛髪の物性が、表1の各サンプルでの処理によって、ブリーチ処理前(未処理)の物性を基準として、どの程度まで回復するかを示す指標として、『R=(E1'−En')/(E1'−E0')×100』で表される毛髪物性回復率Rを算出し、下記の基準で評価した。
【0076】
◎:70〜100
○:50〜70
△:〜50
【0077】
【表1】
Figure 0003779679
【0078】
Figure 0003779679
【0079】
上記シャンプー(pH4.0)は、洗髪後の髪に良好なすべり感、しっとり感、しなやかさを付与できるものである。
【0080】
Figure 0003779679
【0081】
上記シャンプー(pH3.5)は、洗髪後の髪に良好なすべり感、しっとり感、しなやかさを付与できるものである。
【0082】
Figure 0003779679
【0083】
上記シャンプー(pH3.7)は、洗髪後の髪に良好なすべり感、しっとり感、しなやかさを付与できるものである。
【0084】
Figure 0003779679
【0085】
上記シャンプー(pH3.9)は、洗髪後の髪に良好なすべり感、しっとり感、しなやかさを付与できるものである。
【0086】
【発明の効果】
本発明の毛髪洗浄剤は、洗浄性・使用感を損なうことなく、物理的・化学的刺激から毛髪を保護して枝毛・切れ毛の発生を抑制し、更に洗浄後の毛髪に自然なすべり感、しっとり感、健康な髪本来のしなやかさ等の良好な感触や保湿性を付与し、かつ安定性にも優れるものである。

Claims (2)

  1. 次の成分(A)〜(C)
    (A) 両親媒性アミド脂質 0.001 20 重量%
    (B) アニオン界面活性剤 1〜 50 重量%
    (C) 乳酸若しくはリンゴ酸又はそれらの塩 0.05 10 重量%
    を含有し、水で20重量倍に希釈したときのpHが1〜4.5である毛髪洗浄剤。
  2. 成分(A)が、次の一般式(1)〜(4)から選ばれる両親媒性アミド脂質である請求項1記載の毛髪洗浄剤。
    Figure 0003779679
    〔式中、R1は水酸基及び/又はアルコキシ基が置換していてもよい炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示す。〕
    Figure 0003779679
    〔式中、R4はヒドロキシ基、オキソ基又はアミノ基が置換してもよい炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、X1は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、又は隣接する酸素原子とともにオキソ基を形成し、X2、X3及びX4は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基又はアセトキシ基を示し(但し、Zがメチン基であるとき、X2とX3は一方が水素原子で他方は存在せず、−O−X1がオキソ基であるとき、X 4 は存在しない)、R5及びR6は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、R7はヒドロキシ基又はアミノ基が置換してもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和炭化水素基、又は該炭化水素基のω位にヒドロキシ基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐若しくは環状の飽和若しくは不飽和の脂肪酸がエステル結合した基を示し、R8は水素原子を示すか、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有してもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。〕
    Figure 0003779679
    〔式中、R9はヒドロキシ基が置換してもよい炭素数10〜18のアルキル基を示す。〕
    Figure 0003779679
    〔式中、R10は炭素数9〜31の直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和の、水酸基が置換してもよいアルキル基、又は2-ドデセン-1-イルコハク酸の残基を示し、mは1〜3の整数を示し、R11及びR12は各々水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、Yは炭素数10〜32の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の水酸基が置換してもよいアルキル基、又は次式
    Figure 0003779679
    (k、i及びnは、各々1〜3の整数を示し、jは0又は1を示し、R13は炭素数9〜31の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の水酸基が置換してもよいアルキル基を示す)で表される置換基を示す。〕
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