JP3778337B2 - ろ布走行型脱水機におけるろ布の洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ベルトプレスやドラム型又は水平ベルト型の真空脱水機のろ布の洗浄装置に関し、詳しくは、高圧洗浄水を噴射しても目詰まり物が除去できなくなるまで汚れたろ布を、脱水機から取外すことなく再生させるろ布走行型脱水機におけるろ布の洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ろ布に炭酸カルシュームやスラリー等の無機物が固着してくると、脱水機に装着してある洗浄管から高圧水を噴射してもろ布の目詰り物の除去ができなくなる。そして、従来のろ布の再生方法としては、機体からろ布を取外して酸性の処理液等に長時間浸漬して目詰まり成分を溶解した後、高速ジェッター、或は、ブラシ等を用いて水洗いしていた。また、他の手段として、汚れたろ布を機体に装着したままで走行させ、ろ布に残滓付着防止液を噴射ノズルから噴射し、或は、並設した浸漬槽に浸漬走行させて汚れたろ布を洗浄する装置も、例えば、特公平7−12557号公報に記載してあるように公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上記従来の機体からろ布を取外しろ布を再生させる操作は、良好にろ布の目詰まり物の取除きが行なえるものであるが、ろ布を機体から脱着するので労作が面倒であり、酸洗する際には、強度の酸性液に対して手扱いであるので危険を伴っていた。また、機体に装着したままで走行させて洗浄する装置は、ろ布を機体から取外す労作と、強酸性液を手扱いするといった危険を少なくする利点があるが、噴射ノズルからろ布面に噴射する散布薬液がムラとなり、均一なろ布面の洗浄が困難であった。また、ろ布の伸縮や左右の縫製の違いによりロール間に張設したろ布が斜傾して、薬液がろ布表面を無駄に流れる欠点があった。そして、浸漬槽にろ布を浸漬して走行させる装置にあっては、汚れたろ布を浸漬させるために浸漬槽が懸濁し早期に薬液の交換を必要としていた。また、ろ布の全長が長くなり、洗浄装置も複雑となる欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述のような従来の課題を解決したものであって、その要旨とするところは、複数の案内ロールに掛け回されて循環走行する無端状のろ布に、所定位置で原液の固液分離を行い、分離した脱水ケーキをろ布から剥離させた後、ろ布を洗浄して再び固液分離を行なう脱水機において、上記脱水ケーキを剥離したろ布の表面に通水性を有する中空状の筒体を転接させ、この筒体に洗浄薬液を供給して、ろ布の走行により筒体を回転させ、筒体から薬液をろ布に供給するようにしたものである。そして、ろ布に転接させる筒体は、具体的には、脱水機に水平状に支架した洗浄主管の周部に細孔を有する筒体を回転自在に配設し、この筒体に通水性ろ材を張設して筒体をろ布に転接させるようにしたもので、ろ布面にムラなく均一に洗浄薬液が供給できるものである。また、洗浄主管を調整弁を介して薬液タンクに連結し、
洗浄主管の上部に多数のノズルを連結して、筒体の上面に向って薬液を噴射させるので、筒体内部に薬液の貯留空間が形成され、筒体の通水性ろ材からろ布面を均一に湿潤させることができる。なお、洗浄主管の端部に液位の検知管を連結して立設しておけば、筒体への薬液の供給状態が把握できるものである。そして、液位の検知により調整弁の開閉を行なえば自動散布が可能となるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
この発明に係る装置は、上述のように構成してあり、複数の案内ロールに掛け回されて循環走行する無端状のろ布は、所定位置で原液が供給され、ろ布からろ液を排出して固液分離を行い、捕捉した脱水ケーキをろ布から剥離させた後、洗浄水を噴射してろ布に付着している固形物を洗い流して再び固液分離を行なう。やがて、洗浄装置からの洗浄水の噴射ではろ布に付着した固形物の取除きが困難となった時には、ろ布への原液の供給を停止して調整弁を開放すると、薬液タンクから薬液が流下して洗浄主管に流入する。薬液が洗浄主管の内部に充満すると洗浄主管の上部のノズルから洗浄薬液が溢流し、薬液の貯留空間が形成された筒体底部に貯えられる。そして、ろ布の走行により筒体がろ布に摺接しながら回転し、筒体に張設した通水性ろ材から浸出した洗浄薬液がろ布に滴下され、洗浄薬液をろ布に染込ませてろ布の目詰り物を溶解させる。そして、案内ロール間をろ布を走行させることにより巻き回したロールを反転する時にろ布に付着している目詰り物を浮き上らせて剥離させる。次に、脱水機に配設した洗浄装置からろ布に高圧水を噴射して、洗浄薬液とろ布に残っているろ滓を洗い流し、ろ布の再生を終了する。再び、原液の固液分離を開始する。
【0006】
【実施例】
この発明に係るろ布走行型脱水機におけるろ布の洗浄装置について、実施例に基づき詳述すると、先ず、図1に示す脱水機はベルトプレスであって、一対のろ布1、1が多数の案内ロール2…に掛け回されており、原液の供給管3からホッパー4に供給した原液を上下のろ布1、1で挟持して、重力脱水ゾーンAでろ液を排出し、加圧ゾーンBの加圧ロール5…で圧搾脱水して、剥離ロール6に当接したスクレパー7でろ布1からケーキを剥離して機外に排出するようにしてある。次に、洗浄管8から高圧水を噴射して、ろ布1、1に付着しているろ滓を洗い流した後、再び原液をろ布1上に供給して固液分離を行なうようにしてある。やがて、対象原液が下水あるいは上水汚泥の場合には、ろ布1に炭酸カルシューム、スラリー等の無機物が付着してろ布1の目詰りが生じてくる。また、食品排水等の産業排水においては、脂肪、膠質、蛋白質も付着してくる。目詰まりによりろ布1のろ過性能が低下してくると、原液の供給を停止させ、ろ布1を洗浄管8から加圧水を噴射しながらろ布1を洗浄する。次に、ろ布1を走行させながら薬液洗浄装置9から薬液を供給し、ろ布1の目詰まり物を洗い流すようにしてある。
【0007】
この発明に係る薬液洗浄装置9について詳述すると、図2は薬液洗浄装置9の一部縦断側面図であって、機枠10、10に洗浄主管11が水平状に支架してあり、洗浄主管11の上部に等間隔に多数のノズル12…が螺着してある。洗浄主管11の周部に細孔を有する筒体13が配設してあり、この筒体13の外周に通水性ろ材14が張設してある。この筒体13は外周部にスクリーンを張設した構造としても、あるいは、パンチングメタルで構成してもよいものである。また、筒体13の外周に張設する通水性ろ材14は不織布、フェルト、あるいは、スポンジ等が考えられる。筒体13の両側端には内周面に液封用のオイルシール15を嵌入した支持板16、16が嵌着してあり、この支持板16で筒体13を洗浄主管11に回動自在に支架してある。そして、筒体13はろ布1の表面に接触させてあり、ろ布1を走行させると、筒体13がろ布1に摺接しながら回転するようにしてある。符号17は支持板16に取付けたオイルシール15の押さえ板、符号18は筒体13の両側端の洗浄主管11に嵌着したストッパー、符号19は筒体13の中間部に嵌入した支持板である。
【0008】
上記の薬液洗浄装置9には、図3に示すように、薬液タンク20に接続した供給管21が調整弁22を介して連結してあり、調整弁22を開放して洗浄薬液を薬液タンク20から流下させて洗浄主管11に流入させるようにしてある。符号23は洗浄主管11の端部に立設した液位の検知管であって、洗浄主管11に流入する洗浄薬液の状態を検知して、調整弁22の開口度を調節するようにしてある。そして、洗浄主管11に充満した洗浄薬液は洗浄主管11の上部のノズル12から溢流し、洗浄主管11の周面を伝って滴下させ、筒体13の内部の貯留空間に薬液を溜めるようにしてある。そして、ろ布1の走行により筒体13が回転しながら筒体13に張設した通水性ろ材14から浸出する洗浄薬液がろ布1に摺接しながら滴下され、ろ布1に固着する炭酸カルシューム等の目詰り物を溶解させるようにしてある。
【0009】
なお、このろ布1の薬液洗浄装置9に使用する薬液は、ろ布1の目詰まりが炭酸カルシウム等の無機物に起因する原液に対しては、インヒビター、界面活性剤を添加した酸性洗浄薬液を薬液タンク20に貯留する。そして、ベルトプレスに配設した洗浄管8からの高圧水では除去できない炭酸塩や無機塩類を酸性洗浄薬液で溶解させ、インヒビターで金属部分が酸により腐敗されるのを防止するものであり、界面活性剤は酸洗浄によって生じた第二鉄イオンを減少させてインヒビターの効果を保持するものである。また、原液中に脂肪、膠質、あるいは、たんぱく質を含有するものにあっては、洗浄薬液として界面活性剤を使用すればよいものである。
【0010】
図4は脱水機の他の実施例であって、ドラム25の下半部を原液槽24に原液に浸漬させたドラム型の真空脱水機であって、ドラム25と案内ロール2aにろ布1aがエンドレス状に掛け回してある。そして、ドラム25内にろ液を真空吸引してろ布1aに固形物を捕捉させ、水面上に移送した固形物を吸引脱水させ、ドラム25から離反したろ布1a上のケーキを剥離ロール6aに当接したスクレパー7aで剥離して、洗浄管8aから高圧水を噴射してろ布1aを洗浄し、再びろ布1aをドラム25に密着させて原液中に浸漬させてろ液を吸引するようにしてある。そして、ろ布1aが目詰まりしてくると、原液槽24の原液を排出し、ドラム25を回転させてろ布1aを走行させ、薬液洗浄装置9aをろ布1aに転接させてろ布1aの付着物を溶解させるようにしてある。
【0011】
また、図5は脱水機の他の実施例であって、ドライブプーリー26とテールプーリー27にエンドレス状に掛け回したフイルターベルト28の水平走行部分に、案内ロール2bに張設したろ布1bを重ね合せて走行させる水平ベルト型の真空脱水機であって、フイードボックス29に供給した原液をフイルターベルト28の裏面に配設したサクションボックス30から真空吸引して、原液の固液分離を行なうようにしてある。そして、ろ布1bが目詰まりしてろ過性能が低下した時には、原液の供給を停止し、ドライブプーリー26を回転させてフイルターベルト28を走行させ、薬液洗浄装置9bをろ布1bに転接させてろ布1bの付着物を溶解させるようにしてある。
【0012】
【発明の効果】
この発明は上記のように構成してあり、通水性ろ材を張設して筒体をろ布に転接させながら薬液を供給すれば、ろ布に付着している目詰り物を溶解してろ布を再生することができる。即ち、機体にろ布を装着したままで薬液洗浄を行なう従来装置にあっては、ろ布面に噴射する散布薬液がムラとなり、均一なろ布面の洗浄が困難であった。また、薬液がろ布表面を無駄に流れる欠点があったものであるが、この発明にあっては、洗浄主管のノズルから溢流した洗浄薬液を筒体の貯留空間に貯えて、通水性ろ材から洗浄薬液を浸出させ、摺接しているろ布に洗浄薬液を染込ませるので、薬液がろ布面に均一に塗布され、薬液の流失のムダもなくろ布の目詰り物を溶解させることができるものである。そして、浸漬槽にろ布を浸漬して走行させる従来装置のように、ろ布の全長が長くなることもなく、案内ロールと実質的に同径の薬液洗浄装置をろ布に転接させるだけでよく、脱水機の機長も短くて済むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るろ布の洗浄装置を配設したベルトプレスの概念図である。
【図2】この発明に係る薬液洗浄装置の一部縦断側面図である。
【図3】同じく、薬液洗浄装置に薬液タンクを配設した状態を示す概念図である。
【図4】この発明に係るろ布の洗浄装置を配設したドラム型真空脱水機の概念図である。
【図5】同じく、水平ベルト型真空脱水機の概念図である。
【符号の説明】
1、1a、1b ろ布
2、2a、2b 案内ロール
11 洗浄主管
12 ノズル
13 筒体
14 通水性ろ材
20 薬液タンク
22 調整弁
23 検知管
Claims (3)
- 複数の案内ロール(2、2a、2b…)に掛け回されて循環走行する無端状のろ布(1、1a、1b)に、所定位置で原液の固液分離を行い、分離した脱水ケーキをろ布(1、1a、1b)から剥離させた後、ろ布(1、1a、1b)を洗浄して再び固液分離を行なう脱水機において、水平状に支架した洗浄主管(11)の周部に細孔を有する筒体(13)を回転自在に配設し、この筒体(13)に通水性ろ材(14)を張設して筒体(13)をろ布(1、1a、1b)に転接させ、この筒体(13)に洗浄薬液を供給することを特徴とするろ布走行型脱水機におけるろ布の洗浄装置。
- 上記洗浄主管(11)を調整弁(22)を介して薬液タンク(20)に連結し、洗浄主管(11)の上部に多数のノズル(12)を連結したことを特徴とする請求項1記載のろ布走行型脱水機におけるろ布の洗浄装置。
- 上記洗浄主管(11)の端部に液位の検知管(23)を連結したことを特徴とする請求項1、2記載のろ布走行型脱水機におけるろ布の洗浄装置。
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